目次
原神 第380話 岩の名は
行方不明になった鉱夫
そして「鎮龍石」を探し
一行は南天門から北、古樹の麓で調査を開始した
登場人物
ルイ
|
パイモン
|
クンジュ
|
阿鳩
|
若陀龍王【初】
|
鍾離
|
古樹
鍾離先生が洞窟の前に立っていた
答えはこのすぐ先にあると言う鍾離先生
安心しろ
先頭は俺が切る
……
中から尋常ではない気配がする
警戒を解かず、戦う準備をしておけ
これは…
もしやこのトンネル
彼らが掘って出来たのかもしれない
古き封印に続く道だ
誰かが止めなければ
?!シールドを動かしている…
若陀龍王
モラクスよ
まさか直々のお出ましとは、貴様に封印された復讐がやっとできるわい!
任せろ
回復した?
まさかお前は…
戦闘に集中しろ!
モラクス
グゥッ…!
吾を裏切った貴様が、また吾を裏切るというのか!
そう思うのなら…それも致し方ない
いつの時も、記憶を持つ者は真実という重みを背負う
モラクスよ!
吾を滅ぼすというのか!
……
モラクス!かつて貴様に地下に封印された吾が、よもや千年後も貴様に…!
宿命として受け取れ、若陀龍王
宿命?
宿命…!
宿命!!
それが神の器とでも言うのか?
不要なものを滅ぼし、殺戮者を率いて荒野を蹂躙するのか!
久しいな、モラクス
見ての通り、若陀龍王だ
先の戦いの中、お前は力をすべて俺たちに使った
フッ、仕方のないこと
これが、吾の持つすべてだ
真相を告げなかったのは悪かった、旅人よ
吾もこの木の下に来てからはっきりと理解したのだ
若陀龍王の一つの欠片にすぎないと言うクンジュさん
天地、陰陽、両儀、吾とそこの龍王をそのような「存在」だと思ってくれていい
「吾ら」はみな、若陀龍王の意志なのだ
ありえん!まさか貴様は…!?
結界が緩み、貴様の力が外界で子供の形を生成した
貴様はそれを通して鎮圧された怨恨を訴えたが、人々が振り向くことはなかった
そこで貴様は封印が緩んだことを利用しようとした
鉱夫を攫ってきたのも封印の中と外から同時に攻撃し、それを解こうとしたからだろう
戯言を!
貴様が吾の一部だというなら、なぜ裏切り者の側に立つ!
吾は封印が緩んだ時に覚醒したもう一つの力
個体になるほどの力は持たず、こうして人間に憑依するしかない
吾の意識は混沌であった
自分が誰なのかも分からず、過去に関係があったことにしか反応しなかった…
吾の目的はただ一つ…
モラクスを見つけ、彼に貴様を止めさせること
「鎮龍石」の一件で異変に気付いたが、もしお前の力がもう少し強ければ、もっと早くに気付けていたはずだ
古代石碑に触れて過去を思い出したクンジュさん
永かった
若い人間と年老いた龍が知り得ない秘密…
モラクス、貴様から言うか?
どちらでも構わないと言う鍾離先生
ふん、相変わらずだな
では吾が言おう
静かに語り始めたクンジュさん
岩の記憶は長くはもたない
残留できるのは強烈な感情のみ
時が経つにつれ、記憶は薄れる
「摩耗」こそが、この世界がそれに課した導火線なのだ
摩耗によって若陀龍王の思考は奪われ、旧友も面影を思い出せなくなった
かつて自身が璃月港を守っていたことも
龍王は暴虐を尽くし、力を振るった…
それは人間が吾を支える地脈を荒らしたからだ!
確かにそれは事実だ
だから「貴様」は層岩巨淵を攻撃し、モラクスとあの戦いを繰り広げた
当初、領土を開拓し生産性を発展させるために、璃月人は鉱山で採掘を始めた
しかし適度な採掘は地脈振動を引き起こし「吾ら」を苦しめた
モラクスは自身の力を用いて「吾ら」の摩耗を食い止めようとしたが、それも無駄だった
「摩耗」は天理の成すものであり、止められない力であったからだ
だから「吾ら」は「貴様」となり
「貴様」の意志から「吾」が生まれた
……
吾は貴様の最後の契約
若陀龍王とモラクスの契りを見届けるがいい
憤ろうとも構わないが、否定はするな
やめろ、やめろ…
吾こそは若陀龍王の善意の残滓
契約の意志を掲げ、未来のため、人類と平和に共存することを願わん
モラクスは虫けらではない
虫けらの神なんぞ、虫けらも同然!
貴様が忘れたことも、吾の心に残っている
貴様が大地の記憶だというのなら、吾は人間と共存する記憶だ
おかしい、なんだこの感覚は?
これは…一体…
貴様はとっくに枯れ果てた、吾より先に消滅する
しかしその前に、これを貴様に授けよう
春になれば荒野に雪が降り、一瞬で融け逝く
それがつかの間で、貴様の心に痕跡を残せなくとも…
たとえそれが最後であったとしても…
違う、そんなもの…宿命だとは認めない!
宿命でなくとも、すでに定められたことなのだ
自らけじめをつけたのだ
良くも悪くもない
モラクス、貴様今の名を鍾離といったか?
ああ
やはり、吾はモラクスと呼んだ方がしっくりくる
好きに呼ぶといい
貴様が吾に与えたもの、忘れぬ
大したことではない
気にするな
モラクスが若陀龍王に目を授けたことを忘れないと言うクンジュさん
……
そろそろ力が枯れ果てる
相変わらず察しがいいな
少し外を歩かないか?
今やるべきは、封印の外にいる鉱夫の救助ではないのか
そうだ
だからこそお前と外を歩き、お前が引き起こしたことへのけじめをつけたい
ハハハ
それもそうだ
よかろう
鉱夫たちの所へ