原神 第452話 長野原龍之介

原神 第452話 長野原龍之介

鳴神島の海辺にて

「袋貉」を探す子供たちと出会う

架空の妖怪である事を伝えるが信じてもらえず

宵宮に助けを求め、子供たちは走り去ってしまった…

状況が掴めないまま宵宮の所へ向かう

登場人物

ルイ

パイモン

松坂

岩夫

彩香

宵宮

長野原龍之介【初】

長野原花火屋

子供たちを追いかけて海辺を走る

子供たちと一緒にいる宵宮を発見

宵宮

はいはい、そう悲しまんといてぇな、きっと冗談や

「袋貉」がおらんわけないやろ?

松坂

で、でも、今まで「袋貉」を見たことないし…

宵宮

そらぁ「袋貉」はえらい大妖怪やさかい

そのえらい大妖怪をあんたらが退治せんと、なぁ?

松坂

うん…

子供たちを元気づける宵宮さん

宵宮

今はいなくても、花火大会が始まる前には必ず現れる

そんな時は、宵宮姉さんのとこまで武器を取りにくるんやで、ええか?

宵宮姉さん特製の花火なら、「袋貉」なんてちょろいもんや

松坂

分かった!宵宮姉さんがそう言うなら、ボクたち信じるよ!

宵宮

あっ、ちょっと待ちや

この短冊を1枚ずつやるさかい、帰ったら父ちゃんと母ちゃんに渡しい

で、大事に保管するよう伝えといてや

宵宮姉さんからって言うたら、分かるさかい

岩夫

分かった!ありがとう宵宮姉さん!

そろそろ帰るよ!

彩香

ありがとう!宵宮お姉ちゃん、また一緒に遊ぼうね!

宵宮

ああ、約束や、ほな気ぃ付けて帰りぃ!

子供たちは帰って行った

宵宮

やっぱあんたらかぁ、子供相手に何言うとんねん

まあ、ええわ、別に責めるつもりはあらへん

「袋貉」は子供に大人気だと言う宵宮さん

宵宮

そうや、うちも最初から「子供が遅くまで外を走り回らんよう、親がでっち上げた妖怪」っちゅうことはわかっとったで

せやけど子供に聞かれた時、ほんまのことを言えんかった

逆に「袋貉」は可愛らしうて、人を傷つけへんイタズラっ子やって言ってもうた

子供たちが信じているのは自分が教えた作り話の方だと言う宵宮さん

宵宮

言いたいことは分かるけど、うちが否定するわけにもいかんのや

遅くまで遊ばんようにする他にも、親御さんに別の考えがあるかもしれへんやろ

何も分かってへんのに、ズバッと「袋貉なんておらん」って言うてもうたら、逆に迷惑をかけてまうかもしれへん

それに子供にとって真実なんて関係あらへん、楽しむことが何よりも大事なんや

空想の産物について語る宵宮さん

宵宮

どれもうちの妄想やっちゅうのは知っとる、せやけど信じたいんや

もし「どアホ、そんなもんあるか」っちゅうヤツがおったら―――

あっかんべえして泥んこを投げる宵宮さん

宵宮

真実なんて関係あらへん

かっこようてロマンがあれば、それを信じる価値があるもんなんや!

子供の頃に信じたもんは、大人になったらかけがえのない宝もんになる

あんたらも子供の頃は悪龍を退治する勇者とか、闇を斬り裂く聖剣とか信じとったやろ

それと同じや

宵宮

幻想が崩れ去ったら、次は何を教えるんや?

稲妻の鎖国の歴史?それとも「目狩り令」?

どれもまだ子供には早いやろ

宵宮

ははっ、理解できんくてもええわ

とにかく安心しい、うちがちゃんと子供たちの安全を守ったるさかい

「長野原花火大会」がもうすぐ始まるから帰ると言う宵宮さん

宵宮

そうや、うちの苗字が入っとるやろう、稲妻ではけっこう有名なんやで

あっ!せや、これから予定あるか?

なかったら見てってや、うちがおっきい花火準備したるさかい!

宵宮

へへ、ほなまずは店にいる父ちゃんのとこに行こか!

実はまだ完成してへん花火があるんや

長野原花火屋へ

宵宮

稲妻の「八重堂」は知っとるか?小説を書くのが好きな連中が集まっとるんやけど、さっきうちが話した伝説はどれもそこで脚色されて出版されとるんや

宵宮

まぁ、悪い結末になりがちなんやけどな――

例えば、「緋紋石」はお金持ちが見せびらかそうと展示した瞬間、二度と燃えなくなったとか

「霧霊」は悪党に追われた結果、怒って二度と姿を現さなくなったとか

悪龍を退治した勇者が次の悪龍になったり、闇を切り裂く聖剣が世界を滅ぼしたり…

最近はこないな物語が人気なんは知っとるけど…うちからしたら複雑な気持ちなんや

夢ならもっと夢らしくあって欲しいねん

稲妻城に到着

花火屋

長野原龍之介

もうじき花火大会や、各家庭の花火はほぼ準備が終わっとる

ん?こちらのお二人はお友達か?それともお客さん?

宵宮

どっちも、やろか

最近ここいらに来たばっかりなんや

ほんで稲妻に来たからには、花火を見てもらわなあかんと思うて

長野原家の歴史を語り出しそうな長野原龍之介さん

宵宮

それよりも父ちゃん、聞きたいことがあるんやけど

始めてもうたと思った宵宮さん

宵宮

堪忍な

父ちゃん、前にケガしてからずっと耳が遠いんや…

語り続ける龍之介さん

宵宮

父ちゃん、父ちゃん、ちょい待ち!

長野原龍之介

うん?どないした?

宵宮

こないだ注文した花火の材料、もう届いとるか?

長野原龍之介

昨日の花火なら全部出荷したで、一昨日のも、一昨々日のも

宵宮

ちゃう、材料や材料、こないだ注文したやつ

長野原龍之介

今日の分もぼちぼち仕上げや

心配せんとき、腕までは年取ってへんから

宵宮

材料やって言うてんねん!

花火の材料、こ、う、せ、き!

鼓膜に届けた宵宮さん

つい興奮してしまったパイモンさん

長野原龍之介

材料ならまだ届いてへんで、さっき担当のもんが理由を言いにきたんやけど、よう聞こえんかったわ…

宵宮

かまへん、それさえ分かれば十分や

ちゅうことは、まだ完成しそうにないな

父ちゃん、あとで届いたらちゃんと受け取っといてや

長野原龍之介

ああ、任せとき

うるさくしたと思った宵宮さん

宵宮

ひひっ、それよう言われるわ

父ちゃん耳が遠いから、何言われても文句言わへんし、否定もせえへん、笑うてばっかや

宵宮

子供の頃はうちの話すことをちゃんと理解しとって、何を話しても肯定してくれてると思うとった

ほんでいろんなことを父ちゃんに話してたんやけど

あとになって父ちゃんが笑うとったのは、ただよう聞こえへんかったからやって知ってな…せやからうち、毎日父ちゃんに話しかけるようにしとるんや

普通逆じゃないかと思ったパイモンさん

宵宮

父ちゃんが笑うとこ見ると、うちも嬉しいからや

それに父ちゃんも寂しくならへんで済むやろ

せやけど、花火大会が目前やのに材料が届いておらんとはな…

家の中から声が聞こえて来る

宵宮

びっくりした、勝手に喋ったらあかん言うたやろ?

そして宵宮さんに付いて家の裏手へ

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