M-1グランプリ2021結果と感想
M-1グランプリ2021の結果を、感想を交えつつ紹介します。
ファイナリスト10組
以下出番順。
- モグライダー
- ランジャタイ
- ゆにばーす
- ハライチ(敗者復活枠
- 真空ジェシカ
- オズワルド
- ロングコートダディ
- 錦鯉
- インディアンス
- もも
第1ラウンド
モグライダー7位
オール巨人 | 91 |
富澤たけし | 93 |
ナイツ塙 | 92 |
立川志らく | 89 |
中川家礼二 | 90 |
松本人志 | 89 |
上沼恵美子 | 93 |
合計 | 637 |
M1決勝初出場。
トップバッターとしてはよくウケていたと言う気がする。
でも、本当はもっと上の点数を狙えたのかもしれない。
漫才の技術的な意味では改善の余地があるのかもしれないけど、そう言ったぎこちない部分を含めて彼らのスタイルである事を感じさせた。
ネタの傾向から言っても、まだ来年ファイナルに出場して鮮度を損なわない気がしたので、再挑戦に期待したい。
ランジャタイ10位
オール巨人 | 87 |
富澤たけし | 91 |
ナイツ塙 | 90 |
立川志らく | 96 |
中川家礼二 | 89 |
松本人志 | 87 |
上沼恵美子 | 88 |
合計 | 628 |
決勝初出場。
個人的に一番期待していたコンビ。
結果は最下位であったものの、多分歴代のM1の最下位の面々とは違い、この結果がマイナスに働かない気がする。
それがランジャタイの強みなのかもしれない。
それ位、異彩を放っていたランジャタイのネタは、個人的に何度も何度も繰り返し見てしまうに違いない。
暫定ボックスを出る時のランジャタイに贈られたオール巨人さんのコメントには感動。
来年ラストイヤーと言う事で、来年の決勝でランジャタイが見たい。頑張って欲しい。
しかしYouTubeチャンネルでネタをいくつか見たけど、本当にどのネタも訳が分からない。
M1向きのネタなんてとても作れない。作らないのが彼らのカッコよさなのかもしれない。
ゆにばーす6位
オール巨人 | 89 |
富澤たけし | 92 |
ナイツ塙 | 91 |
立川志らく | 91 |
中川家礼二 | 93 |
松本人志 | 88 |
上沼恵美子 | 94 |
合計 | 638 |
決勝3度目。
真空ジェシカと同点6位。
今大会で最初に漫才らしい漫才を見せてくれたと言う印象。
技術的な意味でも上手さを感じさせる部分はあった。
しかし、やや品のない傾向のネタ内容だった事が、そこまで笑いと点数に繋がらなかった要因なのかも。
でも、「ゆにばーす」だからこそ、そう言ったネタでもそこまで不快に感じさせないとも言える。
ハライチ9位(敗者復活枠
オール巨人 | 88 |
富澤たけし | 90 |
ナイツ塙 | 89 |
立川志らく | 90 |
中川家礼二 | 89 |
松本人志 | 92 |
上沼恵美子 | 98 |
合計 | 636 |
正直な所、敗者復活で見取り図が上がって来なかった事は意外でした。
ファイナリスト発表時の記事でも、対抗馬として、ハライチ、ニューヨーク辺りが行く可能性は考えていましたが、それでもこの可能性はほぼ0に等しいくらいの予想だったので。
しかも、敗者復活でのネタは、タイムオーバーの時に流れるSEを利用して笑いを取る捨て身のネタでもあったため、そう言った意味でもハライチの敗者復活は意外な展開。
しかし、いざ決勝のネタを見ると、これがかなり面白かった。
ちなみに、敗者復活の時のネタとは違うネタで勝負と言う点も驚いた。
例年の敗者復活枠のM1決勝のネタを見ると、敗者復活時に見せたネタと同様のネタを披露するケースが多い。
そう言った部分にも、彼らのM1への強い思いが感じられた。
上沼さんが審査コメントでべた褒めしていたが、実際、もう少し全体に点数が高くても良かったのではとは思った。
実際には、敗者復活時と同様、かなり長めの時間やっていた点が、もしかしたら審査点にも影響したのかもしれない。
一視聴者として、これまでのハライチのスタイルとは違い、新鮮なネタとして見る事ができた。
ハライチが2009年に初めてM1グランプリのファイナルで見た時は、今までにないスタイルの漫才に感じたものの、さすがに今では鮮度も落ちていた。
そしてラストイヤーである今年、決勝の舞台でこれまでにない新たなハライチの漫才を見せてくれたことは、M-1にかける彼らの熱意を感じさせるとともに、私の中でハライチ再評価の波が押し寄せた。
芸人としても、人間としても、大きく変貌を遂げたのを感じさせた。
2009年の決勝時、笑い飯が「鳥人間」で圧倒的な点数を獲得後、今田さんとの絡みで
岩井「どうせ優勝は笑い飯さんなんで」
とコメントしていた尖りっぷりを思い出しながら、感動させてもらいました。
真空ジェシカ7位
オール巨人 | 90 |
富澤たけし | 89 |
ナイツ塙 | 92 |
立川志らく | 94 |
中川家礼二 | 94 |
松本人志 | 90 |
上沼恵美子 | 89 |
合計 | 638 |
ネタの中に込められたボケの数などは全体で言ってもトップクラスだった。
そして一つ一つを外さずしっかりウケていたと思う。
ネタ順的にも悪くなかったはずなんだけど、今一つ爆発力にかけてしまったかもしれない。
でも、審査コメントでも言われていた様に、言葉選びのセンスなどは抜群に感じさせる。
ネタによって傾向が違う事から、来年以降も鮮度が落ちにくいと思うので、是非リトライに期待したい。
オズワルド1位
オール巨人 | 94 |
富澤たけし | 95 |
ナイツ塙 | 95 |
立川志らく | 96 |
中川家礼二 | 96 |
松本人志 | 96 |
上沼恵美子 | 93 |
合計 | 665 |
第1ラウンド1位の665点。
安定感と、ツッコミの言葉選びのセンスは更に磨きがかかっていると感じた。
次はどんなツッコミが入るのか。と言うこちらの期待を外さない。
点数にはそう言った部分がしっかり反映されていたかも知れない。
昨年、オール巨人さんと松本人志さんの正反対の助言に頭を悩ませたと言うが、その両方を聞き入れ、自分たちのスタイルに巧みに取り入れた事が分かる漫才だった。
ロングコートダディ4位
オール巨人 | 89 |
富澤たけし | 90 |
ナイツ塙 | 93 |
立川志らく | 95 |
中川家礼二 | 95 |
松本人志 | 91 |
上沼恵美子 | 96 |
合計 | 649 |
初挑戦組。
ロングコートダディもまた、実に独特なネタのスタイルで魅せてくれるコンビで、今回決勝で披露したネタも、何度も繰り返し見てしまう魅力にあふれている。
結果は4位だったけど、こういう繰り返し楽しめる磁力を持ったネタを作れるセンスは素晴らしい。
インパクトやキャラクターを全面に押し出した漫才ではないからこその強みを活かし、来年以降のM1での活躍に期待したい。
錦鯉2位
オール巨人 | 92 |
富澤たけし | 94 |
ナイツ塙 | 94 |
立川志らく | 90 |
中川家礼二 | 96 |
松本人志 | 94 |
上沼恵美子 | 95 |
合計 | 655 |
2度目のファイナル。
インディアンスと同点2位。
錦鯉の1本目を見た時、もしかしたら今年は錦鯉が優勝するかもしれないと感じた。
理由は実にシンプルに、単純に笑えた。
一番シンプルに何も考えずに楽しい4分間を見せてくれたのが錦鯉だった。
他のコンビがセンスや技量を感じさせるネタのオンパレードだったのに対し、錦鯉はシンプルな言葉や動き、表情で笑わせるタイプだった事が、逆に新鮮に映ったのかもしれない。
それ位、錦鯉の1本目を見た瞬間、純粋なお笑いスタイルに感動を覚えた。
漫才の技術的な意味で言っても、実は渡辺さんがしっかりとお客さんの空気、反応に合わせてツッコミの声のトーンや強さを変えて、お客さんが安心して笑える空間を生み出す技量を持っていると感じさせた。
ツッコミが渡辺さんだからこそ、この面白さは生まれているに違いないと思わせてくれた。
昨年はそこまで気付かなかった、思わなかったけど、本当に年齢や芸歴に関係なく、いつまでも成長できると言う事を示してくれた錦鯉に感動させられた。
インディアンス2位
オール巨人 | 92 |
富澤たけし | 91 |
ナイツ塙 | 93 |
立川志らく | 94 |
中川家礼二 | 94 |
松本人志 | 93 |
上沼恵美子 | 98 |
合計 | 655 |
3年連続ファイナル。
そして第1ラウンド、錦鯉と同点2位。
さすが決勝3度目と思わせるネタのクオリティと漫才で、単純な漫才の技術、かけあいと言う意味では、今大会で一番と感じた。
多分、今回の決勝ネタの中でもトップクラスのセリフ量のネタにも関わらずミスはなかったと思うし、それでいて全体通して笑いを外す事のない安定感がこの結果につながったのではないだろうか。
審査コメントで松本さんが、お客さんがウケて拍手が来ている時でもすぐに次にいってしまうのはもったいないのではと言われるくらい、本当にテンポの良い、笑いが4分間に凝縮された漫才を楽しませてくれた。
もも5位
オール巨人 | 91 |
富澤たけし | 91 |
ナイツ塙 | 91 |
立川志らく | 96 |
中川家礼二 | 95 |
松本人志 | 92 |
上沼恵美子 | 90 |
合計 | 645 |
初出場組。
今大会一番の若手。
芸歴も4年でファイナル進出からの第1ラウンド5位は立派。
今一つネタがウケるまでに時間がかかってしまっているように感じられたのは惜しかった。
オール巨人さんが審査コメントで指摘していた、導入部分を短く、ツッコミ合戦に早めに持っていけば結果は少し違ったのかのかもしれない。
ここに関しては、もも当人にとっては非常に難しい判断だったのではないかと思う。
芸歴4年と言う点を考えると、自分たちのネタのスタイルを最初に丁寧に見せて行く必要があったのではないかと感じた。
そう言う意味でも、確かに来年以降の優勝候補筆頭なのかも知れない。
松本人志さんが「3年後優勝顔ですよね」と言うコメントを出していた。
私自身も、もものネタを見終えた時に、ミルクボーイが3年早くM1ファイナルに出た感じの印象を感じた。
それに対してまもるさんが「ぼくらは来年優勝するので」と返したコメントが熱かった。
もしかしたら、賛否両論あるコメントだったかも知れない。
しかし、これ位の意気込みを持って、それを口にできるくらいの自信がないと、M1で戦う事はできないんだろうと言う事を強く感じさせてくれた。
決勝ラウンド
決勝3組と審査結果は以下。※ネタ見せ順
- インディアンス
- 錦鯉
- オズワルド
オール巨人 | オズワルド |
富澤たけし | 錦鯉 |
ナイツ塙 | 錦鯉 |
立川志らく | 錦鯉 |
中川家礼二 | 錦鯉 |
松本人志 | 錦鯉 |
上沼恵美子 | インディアンス |
優勝 | 錦鯉 |
M1グランプリ2021優勝は「錦鯉」。
オズワルドは第1ラウンド時点では点数も抜けていたため、この結果は不本意なものだったかもしれない。
しかし、決勝ラウンドでややネタを噛んでしまう箇所が何度かあったり、そう言った部分によってお客さんの笑いが薄れていったのを感じてしまった。
オズワルドのネタは非常に言葉選びなどのセンスを感じさせる部分がある反面、しっかりと聞いていないと理解できない部分も多い。
そういうネタの中で、聞き取りにくい部分が多かったのが致命的だったかもしれない。
その直前の錦鯉が爆ウケしていた事がプレッシャーになってしまったと言うのもありそう。
決勝3度目と言う経験を活かして頑張ってほしかったけど、やはりそれはM1決勝で、しかも優勝がちらつくプレッシャーは想像もできない位重いに違いない。
結果的に、文句なく錦鯉優勝と言う結果だったと思う。
個人的には、インディアンスにはもう1~2票入っていてもおかしくないんじゃないかとは思ったけど、錦鯉優勝は異論がない。
錦鯉、優勝おめでとう!
M-1グランプリ2021終了
今年は3回戦辺りからかなりしっかりと見て来たので、その分決勝への期待も例年より大きかったです。
そして、初ファイナリストのコンビが多く、その多くが独特なスタイルでの漫才で、M-1としてもなかなか類を見ない新鮮な大会になっていたと思う。
それ位個性の際立ったコンビが多い中であっても、誰一組として滑ったコンビはいなかったと思う。
審査点の最低点が87と言う事から言っても、今年のM1のレベルの高さを感じさせる。
全ての出場者にとって価値のあるM1グランプリになったのではないかと。
それ位面白い大会に感じました。
2度目のファイナル、錦鯉が優勝と言う結果。
優勝後の錦鯉長谷川さんの涙にもらい泣きする審査員の面々。
素晴らしい笑いと感動を、ありがとう。
余談だけど、個人的に毎年取っている優勝予想などのアンケートでは、昨年も今年も錦鯉が1番票が集まっていた。
潜在的に錦鯉を応援するファンが多いと言う事なのかも知れないですね。
きっと来年は錦鯉の1年になるに違いない。
皆さんも是非、今大会で面白かったと思ったコンビを教えて下さい。