シェンムー セガの熱い魂が込められた作品

シェンムー セガの熱い魂が込められた作品

セガの最後のハードであるドリームキャストが残した、作り手の熱い魂が込められた作品、シェンムー。

そのシリーズの新作、シェンムー3が、実に18年の時を経てプレイステーション4で発売された。

 

今回は3つに分けて

ポイント

  • シェンムーの1作目と、その時代
  • シェンムーの2作目と、それが残したもの
  • シェンムーを生み出した鈴木裕さん

について語りたいと思います。

 

この度、2と3を遊び、シェンムーという作品の存在と内容に感動してしまったので語りたいと思います。

お付き合いいただけたら幸いです。

 

シェンムーの1作目が出た時代

 

ではまず、シェンムーの1作目を、思い出話を交えながら語りたいと思います。

シェンムーの1作目である、『シェンムー 一章 横須賀』は

1999年12月29日に発売されました。

内容としては、全11章(初期構想は16章だった模様)中の序章である1章を遊べるというものでした。

当時のゲーム業界事情としては、プレイステーションが圧倒的なシェアを占め、

翌年の3月にはプレイステーション2の発売を控えているという状況でした。

セガの最後のハードとなったドリームキャスト

 

そんな中、ドリームキャストのキラータイトルとして製作されていたシェンムーの発売のタイミングは、

ベストとはとても言えなかったかも知れません。

 

99年春頃の段階でのシェンムーの発売時期は99年末だったと思います。

 

その後、ドラゴンクエスト7の発売が99年12月29日と発表になり、

その直後シェンムーの発売延期が発表されました。

シェンムーを楽しみにしていた私にとって、この延期はかなりショッキングなものでした。

でも私的に、セガサターンやドリームキャストのゲームは楽しめるものが多かった事もあり、

ドリームキャストをかなり本気で支持していました。

「この背水の陣を、シェンムーでなんとかするしか」

私はそう思っていました。

そんな中の延期、私はショックでした。

PSで1番のヒット作となったDQ7

 

確かに、ドラクエ7と発売日がぶつかれば話題性を全て持って行かれていたかも知れません。

でもシェンムーは99年に出さないと、来年の春にはPS2が発売されて

シェンムーの持つ可能性やパワーはますます失われるのではないのか?

とも思いました。

 

しかし、99年の秋の終わり、突如ドラクエ7の発売延期が発表。

シェンムーもそれに呼応するかの様に発売時期が急遽前倒しになり、12月29日発売が発表されました。

正直、これはこれで素直に喜べなかった記憶はあります。

それでも、少しでも早く遊べる事自体はとても喜ばしい事でした。

 

シェンムーが発売に至る経緯の中で、テレビなどのメディアを通して大々的な宣伝も数多くありました。

テレビゲームにさほど興味もなかった私の父親が、テレビでシェンムーの特集を見たらしく、ある日

ドリームキャストですごいゲームが出るらしいなあ!

と語ってきた事がありました。

私がシェンムーに興味を持つきっかけとなったエピソードです。

FREE「フルリアクティブアイズエンターテインメント」

実はそれまではシェンムーに全く関心がないというか、知らないに等しいものでした。

実際調べていく内に、これは今までのゲームとは違うと感じ始めました。

シェンムーのジャンルは「RPG」ではなく「FREE」というものでした

 

ポイント

  • F-フル
  • R-リアクティブ
  • E-アイズ
  • E-エンターテインメント

 

の略称としてFREE

ゲーム内であらゆる事が自由に行なえる。

という様に勝手に認識していた記憶があります。

ゲームの一つの答えがある

という様な事を鈴木裕さんが話していたのも印象的です。

そしていよいよゲームの発売日を迎え、朝一で買いに行き、早速遊び始めました。

父も隣で見ていました。

それまでのゲームの常識を覆すリアルなグラフィックで遊べる事。

映画の様な演出と引き込まれるストーリー。

 

父親は

ゲームもここまできたのか

と感心していました。

ムービーだけはキレイ。

みたいなゲームが普通だった当時、確かにゲームをやっている立場からしても感動もののクオリティでした。

このクオリティで動かせるゲームは当時なかった。 今見てもそこまで時代を感じさせない。

 

しかしながら、シェンムーの驚くべき所は、それ以上に細部の作り込みへのこだわりです。

 

いくつか例を挙げると

ポイント

  • NPC一人一人がしっかりと設定を持ちゲーム内で生活している
  • 天候が実際の1986年当時の横須賀市の天候とリンクしている
  • フルボイスに関わらず、ストーリー進行に応じてキャラクター数百人のセリフが変化する

などがあります。

オープニングのワンシーンで雪がちらついている。実際の天候データとのリンクに気付ける人はどれくらいいただろうか。

 

この辺りの作り込みを、フルCGの様なグラフィックで展開するゲームで実現することは、

他の追従を許さない水準のものだったと思います。

シェンムーは、こう言った驚嘆するくらいの作り込みを、前面に押し出して見せつけるような作りにはしておらず、

気付く人と気付けない人に分かれる様な、抑えた作りになっていると感じます。

 

私の憶測ですが、恐らく鈴木裕さんが意識的にその辺りをかなり制御したと思います。

 

結果的にシェンムーはゲームの評判としては賛否が分かれたものとなりましたが、

もしかしたら製作チーム内でもその辺りの意見は分かれていたかも知れません。

自分たちが作るゲームのこだわりとなる部分を、全く気付けない人もいるかも知れない。

でも、気付ける事が必ずしも正解ではなく、気付けなくてもシェンムーは良いのだと

どこか確信を持ちながら作る人たちが揃っていたのではないかと思います。

 

そして、そこに気付けた人にとってシェンムーは、唯一無二のゲームになったのかも知れません。

 

私はシェンムー一章を購入後1週間ほどでクリアしました。

クリアタイムで言うと20時間ほどでした。

しかし、本当のシェンムーの魅力に気付けたのは2週目以降だったと思います。

 

 

次回の記事では、その辺りの魅力も含め、シェンムー2について語って行きます。

 

次回の記事はこちらから

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