原神 第423話 主なき神の目
万葉は旅人が元素力を使える人間である事を見抜いていた
そして稲妻に関する情報を得る事ができたルイは
いよいよ南十字武闘会決勝戦へ…
登場人物
ルイ | パイモン |
北斗 | 万葉 |
翔【初】 |
決勝
武闘会
では入場してください
北斗姉様がお待ちしております
ふむ…まだか…
まあいい、まずはあんたの入場から始めよう
注目の大一番の始まりだ!
刺激的で緊張感あふれる「南十字武闘会」も、いよいよ決勝戦
数多の劇的な試合の末、ついに二人の選手がこの舞台に辿り着いた
まず紹介するのはこちらの選手
会ったことはなくとも、その名は聞いたことがあるだろう
そう、彼こそは、魔神オセルをも恐れさせ、ファデュイ執行官でさえ震え上がらせた、璃月に現れし異郷の英雄!
おぉおおおおおっーーー!
待ってました!
準決勝ですでに彼の素晴らしい戦いをみなも目にしたことだろう
本日の決勝戦は、その時をさらに上回るものになるに違いない!
そして、もう一人の選手は…
あぁ…まだ会場には来てないようだ
決勝戦だから棄権扱いにするわけにも行かないと考える北斗さん
すまないが、みんなもう少し待っててくれないか!
何はともあれ、会場に来てないのなら、この決勝戦は延期するしか…
待ってくれ、何やら妙でござる
賞品の確認を促す万葉さん
ルイ、お主もついてきてくれ
神の目の入った箱を確認
ちっ…神の目がなくなってる
でもこんな真っ昼間から、いったい誰がそんなことを?
そもそも、いつ盗まれたのかもわからねぇ…
まさか、どこぞの誰かにこのアタシが隙を突かれるとはな
急ぐ必要はない
どのような手段であろうと、自然の目は誤魔化せぬ
どうやら盗まれたのは今しがたのこと
まだ遠くへは行っておらぬようだ
神の目は拙者が差し出した賞品、監視を疎かにし盗まれたのは拙者の責任だ
故に拙者が責任を持って取り返すでござる
分かった、そこまで言うなら、この件は万葉に任せる…
アタシはここに残って、武闘会を見に来た人たちに説明してこよう
うむ、ルイ、お主も共に来てくれぬか
追うって言っても、どこをどう追えばいいんだ?
もうじき「風」が吹くと言う万葉さん
すると会場付近に風域が発生
ちょうどよい風が吹いている
今が絶好の機会
風に乗ってゆこう
そのまま次の手がかりを探すでござるよ
風域で移動
盗む音が聞こえたのでござるよ
じきに分かるでござる
そして風域が次々発生
風が拙者たちを前へ導いてる
盗っ人は向こう岸に着いたようでござるな
一体どんな音なんだよ!
うむ…
「すさまじく得意気」であった
この方角で間違いない
拙者についてきてくれ
道中、待ち伏せを受けるかもしれぬが、お主なら容易く対処できるであろう
こうして璃月港北東の浜辺へ
そして西へ
野郎ども追手だ
かかれ!
宝盗団が出現
宝盗団…どうやら拙者の予想と大差なかったでござるな
道を開けてもらうぞ!
宝盗団を撃退
先へ進むと人を発見
この俺よりも足が速いとはな
逃げるためせっかく船を用意したのに、まさか追いつかれるなんて思わなかったぜ
どれほど船が速かろうと、風の速度には追いつけまい
万葉は神の目を持っていると思った翔さん
ちくしょう…俺にも神の目があれば…
この神の目を光らすことさえできれば、お前らなんかに追いつかれないのに!
神の目とは関係ない
お主は「群衆」から姿を消すのが得意かもしれぬが、「自然」の目から逃れるすべを知らなかったようでござる
それに、逃走経路の選択にも隙が多い
また拙者が風を頼りに追うさなか、お主の得意気な高笑いが聞こえてきた…
盗みの達人が持つべき3つの信条を何一つできていなかった事を伝える万葉さん
お、お前…
だがそれ以外に、拙者を一番失望させたのはその手にある神の目の状態…
どのような「願望」にも反応するわけではないと思った万葉さん
分かった分かった!今回は俺の負けだ!
この神の目はずっと狙ってたものなんだ
今回の武闘会の参加者が、全員まともな流派すら持たないヤツらと聞いて申し込んだ
せっかく順調に決勝まで進めたっていうのに…
俺の実力なら優勝は間違いないと思ったんだ!
それなのに、突然お前らが現れて!
勝ち目はないと察したけど神の目も諦めきれなかった翔さん
正当な方法がダメなら…みなの注目が北斗とお前に集まってる間に、過去に手を染めていた本業のやり方でと…
あれほど準備したのに、結局お前たちに追いつかれた
やっぱり悔しい翔さん
分かった、だが約束は守ってもらうぞ!
俺が持ってても光らなかったんだ、俺にとっちゃただのガラクタさ
盗みを働いた罪を償ってもらおうとする万葉さん
げっ!?うそだろ!?
それに賞品を盗んで決勝戦に参加しなかった
「南十字」船隊の頭領北斗に恥をかかせた
どうやら、真っ赤に熱した鉄をお主の額にあて
「盗人」の二文字を刻む必要があるでござるな
そこまでしなくていいんじゃないかと思ったパイモンさん
くそっ、こんな残酷なヤツだったのか!
いやだ…やめてくれ、烙印だけは…!
頼む!
生死の狭間に陥り、全力を尽くそうとも神に振り向いてもらえぬか
神の目を残して立ち去る様命じる万葉さん
どうした、もしかして自ら罰を受けたいと?
拙者は別に構わぬ、そのような武士道に則った覚悟は賞賛に値するでござるよ
いやいやいや、そんなわけないだろ
見逃してくれて感謝する
そのような趣味はない
ただ神の目がまだあやつの手の中にあった故、最後の可能性を試してみたかったのでござる
窮地に陥ることが神の目を照らすきっかけになるかも知れないと考えた万葉さん
残念なことに、何も起こらなかったでござるな
そうでござるよ
光の消えた神の目に、もう一度光が灯るのか知りたかったのでござる
あやつが神の目を盗んだ時から、この「実験」に利用させてもらおうと決めていたでござる
それに過去にも、幾多の方法を試してきた
「主なき神の目が再び光を灯す」ことは、伝説でしか聞いたことがない
だが、お主は複数の元素を同時に操れる
そんなものを目の当たりにすれば、不可解なことなどないと思うものであろう?
ルイにも主なき神の目を持たせる万葉さん
なるほど、お主でも無理であったか
気にするでない、こうなると予想はしていたでござる
これでこの神の目は、引き続き拙者と共にいることになるな
それについてはある故人の話をしなくてはならないと言う万葉さん
彼は拙者の親友であった
ある日彼は拙者に
「無想の一太刀」を聞いたことがあるかと聞いてきた
拙者は当然
その一太刀は「神罰」が下る時にのみ見られると答えた
それは雷電将軍が達した武の極み
最強である証
しかし彼は
「その一太刀 手が届かなくもない」
「いつの日か雷霆に相対する者がこの地上に現れる」
と言った
その後「目狩り令」がなんの前触れもなく下された
人々の願望は
「永遠」を構築する瓦と成り果てた
そして 拙者が放浪をしていた時
彼が「目狩り令」の執行者に
「御前試合」を申し込んだと聞いた
「御前試合」は厳粛で残酷なもの
敗者は神罰を受け
勝者は転機を勝ち取る
彼は自分こそが立ち上がるべき人間だと思ったのだろう
それに「無想の一太刀」に相対するのが
彼の願いでもあった
しかし拙者が「天守閣」に着いた頃
すでに御前試合は終わっていた
ただ「神罰」が下り
彼の刀が地面へと落ちる音が響いた
それが彼の見たかった光であったのであろう
最後の瞬間
彼はどのような顔をしていたのだろうか
想像する間もなかったでござる
拙者は光が失せゆく神の目を奪いそこから逃げた
拙者に理解できたのは
彼の熱い願いを
氷のように冷たき神像へとはめ込むべきではないということのみ
だが拙者がやってきたことは、結局のところなんの意味も成さなかったでござるよ
浪人の人生には、旅の「意義」や道すがらの花鳥風月以外にも、心に「道」があるのでござる
ははっ、気まぐれに従ったまででござるよ
さあ、そろそろ戻るでござる