防災・災害

緊急地震速報が鳴ったのに揺れないのはなぜ?逆に揺れてから鳴ることがある理由

目次
  1. 緊急地震速報が鳴ったのに揺れないのはなぜ?揺れてから鳴る理由も解説
  2. 先に結論|緊急地震速報は「地震が来る予言」ではない
  3. 緊急地震速報はどうやって強い揺れより先に知らせる?
  4. 緊急地震速報が鳴ったのに揺れないのはなぜ?
  5. 本当に「誤報」になることはないの?
  6. 逆に、なぜ揺れてから緊急地震速報が鳴ることがある?
  7. 緊急地震速報が鳴らないのに揺れることもある
  8. スマホの通知なら全部同じ「緊急地震速報」とは限らない
  9. 緊急地震速報が鳴ったのに揺れないとき、いつまで警戒する?
  10. 速報が先でも揺れが先でも、最初にすることは同じ
  11. 2023年からは長周期地震動でも警報が出る
  12. 気象庁の公式動画で仕組みと行動を確認
  13. 結局、緊急地震速報はどこまで信用すればいい?
  14. まとめ|「鳴ったのに揺れない」と「揺れてから鳴る」はどちらも起こり得る
  15. 参考情報

緊急地震速報が鳴ったのに揺れないのはなぜ?揺れてから鳴る理由も解説

緊急地震速報が鳴っても揺れない場合と、揺れてから鳴る場合を表したイラスト

スマートフォンから突然、緊急地震速報の音が鳴った。

身構えたのに、しばらく待ってもほとんど揺れない。反対に、すでに家が揺れ始めてから緊急地震速報が鳴った――。

どちらも経験すると、「速報なのに外れた?」「揺れてから知らせても遅いのでは?」と感じるかもしれません。

しかし、これは必ずしもシステムの異常や誤報ではありません。

緊急地震速報は、地震が起きる前に地震を予知するものではなく、すでに発生した地震を地震計が検知し、そのデータからこれから各地に届く強い揺れを急いで予測する仕組みです。

この仕組みを知ると、「鳴ったのに揺れない」と「揺れてから鳴る」という一見正反対の現象が、どちらも起こり得る理由が見えてきます。

先に結論|緊急地震速報は「地震が来る予言」ではない

疑問主な理由
速報が鳴ったのに強く揺れない速報時点では予測であり、予測震度には誤差がある。警報は震度4が予想される地域などにも発表される
自分の家だけあまり揺れない警報は家一軒単位ではなく地域単位。実際の揺れも地盤などによって違う
揺れてから速報が鳴る地震発生後に検知・解析するため、震源の近くでは強い揺れの方が先に届くことがある
最初に少し揺れ、その後に速報が鳴る先に届く比較的速い地震波を感じた後、より強い揺れが来る前に速報が届く場合がある

ポイントは、緊急地震速報が「未来の地震」を知らせているのではないことです。

地震そのものは、速報が出るより先にすでに始まっています。

緊急地震速報はどうやって強い揺れより先に知らせる?

地震が発生すると、その揺れは地震波として地下を伝わります。

代表的なのが、先に到達するP波と、P波より遅いものの一般に強い揺れをもたらすS波です。

気象庁によると、伝わる速さの目安はP波が秒速約7km、S波が秒速約4kmです。

緊急地震速報では、この「地震波が届く速さの差」を利用します。

  1. 地震が発生する
  2. 震源に近い地震計が地震波を検知する
  3. 観測データから震源やマグニチュードなどを推定する
  4. 各地で予想される揺れを計算する
  5. 発表基準を満たせば緊急地震速報を発表する
  6. その後、各地に強い揺れが到達する

つまり、うまくいけばP波を検知して計算した情報を、S波が到達する前に電気通信で先回りさせられます。

ただし、この途中には観測、データ送信、解析、発表、スマートフォンやテレビへの伝達という処理があります。すべてを瞬時に近い速さで行っても、完全な「ゼロ秒」にはできません。

緊急地震速報が鳴ったのに揺れないのはなぜ?

まず多い誤解が、「緊急地震速報が鳴った=自分のいる場所で震度5弱以上が来る」というものです。

実際の仕組みは少し違います。

警報は「震度5弱以上になる場所だけ」に出るわけではない

2026年10月時点で、一般向けの緊急地震速報(警報)は、2地点以上の地震観測点で地震波が観測され、最大震度5弱以上、または最大長周期地震動階級3以上になると予想された場合に発表されます。

そして実際に警報の対象となるのは、強い揺れが予想される地域だけではありません。震度4が予想される地域なども含まれます。

そのためスマートフォンで緊急地震速報を受信しても、「自分の地域は震度5弱以上になる」という意味ではありません。

速報時点ではまだ「予測」なので、実際の震度とずれることがある

緊急地震速報は、できるだけ早く知らせることを優先しています。

地震発生直後には、まだ使える観測データが少ない状態です。そこから震源や地震の規模、各地の震度を急いで計算するため、予測にはどうしても誤差が生じます。

気象庁の資料では、予測震度には震度階級で±1程度の誤差があるとされています。

たとえば震度4と予想された地域で、実際には震度3程度だったということは十分あり得ます。

逆に、予想より実際の揺れが強くなる可能性もあります。このため、「結果として弱かったこと」だけを見て、すぐに誤報だったと判断することはできません。

同じ地域でも、すべての場所が同じ強さで揺れるわけではない

緊急地震速報(警報)は、自宅の住所やスマートフォンの位置を一点単位で予測して出しているわけではなく、全国を約200の地域に分けて発表されます。

一方、実際の揺れ方は震源からの距離だけで決まりません。地盤や地下構造などによっても変わります。

同じ一つの地震でも場所によって震度が違う理由については、「震度とマグニチュードは何が違う?同じ地震でも場所によって震度が変わる理由」で詳しく整理しています。

そのため、警報対象になった地域の中でも「こちらではかなり揺れたのに、少し離れた場所ではほとんど感じなかった」ということがあります。

後から予測が弱くなっても、通常は警報を取り消さない

もう一つ知っておきたいのが、緊急地震速報は解析が進むにつれて予測が変わるということです。

最初の計算では警報基準を超えていても、その後に観測データが増え、予測震度が小さくなる場合があります。

それでも、通常の地震については一度出した警報を、予測値が下がったという理由だけで取り消す運用にはなっていません。

落雷など地震ではない現象を地震として検知したことが判明した場合などは別ですが、「後の解析では弱い揺れと予測された」というだけで最初の警報がなかったことになるわけではありません。

これも「鳴ったのにあまり揺れなかった」という体験が生まれる理由の一つです。

本当に「誤報」になることはないの?

緊急地震速報が鳴って結果的に弱い揺れだったからといって、それだけで誤報とはいえません。

ただし、技術的な誤認や大きな過大予測が起こる可能性がゼロという意味でもありません。

気象庁は、複数の地震が時間的・空間的に近い場所で発生した場合などに、別々の地震を一つの大きな地震として認識し、予想震度の誤差が大きくなる場合があると説明しています。

状況すぐ「誤報」と考えてよい?
警報が鳴ったが震度3程度だったいいえ。予測誤差の範囲で起こり得る
同じ警報地域で自分の場所だけ弱かったいいえ。地域内でも実際の揺れには差がある
解析が進んで予測震度が下がったいいえ。通常は最初の警報を取り消さない
地震ではない現象を地震と誤認した誤報として取り消される場合がある

したがって、「速報が鳴ったのに揺れなかった=緊急地震速報は当てにならない」という結論にはなりません。

逆に、なぜ揺れてから緊急地震速報が鳴ることがある?

こちらも緊急地震速報の仕組みを考えると理由が分かります。

緊急地震速報は地震予知ではないため、地震が発生し、地震計がその地震波を検知するまでは何も始まりません。

震源に近ければ、その短い処理時間の間にも強い揺れが到達してしまいます。

震源のすぐ近くでは、物理的に間に合わない

これは現在の緊急地震速報に残る最も重要な限界です。

気象庁も、解析や伝達には数秒程度かかるため、内陸の浅い地震などでは震源に近い場所へ強い揺れが到達するまでに、速報が原理的に間に合わない場合があると説明しています。

つまり、「速報が遅れた」というより、地震波が近すぎて先に届いてしまうわけです。

観測点や通信設備、解析技術が改善されても、この物理的な限界を完全になくすことはできません。

「少し揺れた→速報が鳴る→もっと強く揺れた」なら速報が間に合っている場合もある

「揺れてから鳴った」と感じたケースを、もう少し細かく見る必要もあります。

最初に感じたのが比較的小さな揺れで、その後に緊急地震速報が鳴り、さらに強い揺れが来たのであれば、速報は主要な強い揺れより前に届いている可能性があります。

緊急地震速報は、「人が一切の揺れを感じる前に必ず鳴る仕組み」ではありません。

目的は、可能な場合により強い揺れが来る前のわずかな時間を確保することです。

最初の解析では警報基準に届かず、後から警報になる場合もある

もう一つ、「地震は検知していたが、すぐには一般向けの警報が出なかった」というケースがあります。

地震発生直後は観測データが少ないため、最初の計算では予想震度が警報基準を下回ることがあります。

その後、別の観測点からデータが加わり、予測が更新されて初めて基準を超えれば、その時点で警報が発表されます。

気象庁も、地震の規模などによっては、繰り返し解析する途中で強い揺れを予測し、遅れて警報を発表する場合があるとしています。

したがって、「速報システムは地震を把握していたのに通信が遅れただけ」とは限りません。そもそも最初の段階では警報を出せる予測になっていなかった可能性もあります。

緊急地震速報が鳴らないのに揺れることもある

反対に、「今回は揺れたのに緊急地震速報が鳴らなかった」というケースもあります。

一般向けの緊急地震速報(警報)は、すべての地震について発表される情報ではありません。

最大震度5弱以上または最大長周期地震動階級3以上になると予想されるなど、発表基準を満たした場合に出されます。

そのため、実際に震度3や震度4の揺れを感じても、警報が発表されていないこと自体は不自然ではありません。

また、予測には誤差があるため、結果的に強く揺れた場所があっても、速報時点では警報基準に達する揺れを予測できなかったケースも考えられます。

スマホの通知なら全部同じ「緊急地震速報」とは限らない

ここも混同しやすい部分です。

テレビや携帯電話会社の緊急速報メールなどを通じて一般に届けられるのは、基本的に気象庁の緊急地震速報(警報)です。

一方、防災アプリや地震情報アプリには、より細かな地震情報や独自に設定した震度を基準に通知するものもあります。

「スマホが鳴ったのに揺れなかった」という場合は、携帯電話会社からの緊急地震速報だったのか、インストールしているアプリの通知だったのかも確認すると状況を整理しやすくなります。

緊急地震速報が鳴ったのに揺れないとき、いつまで警戒する?

「速報が鳴った。でも10秒たっても揺れない。もう大丈夫?」という疑問もあります。

気象庁は、震源から遠い場所では強い揺れが届くまで時間がかかることがあるため、速報を見聞きしても揺れが来ない場合は、1分程度は身を守るなどして警戒するよう案内しています。

「鳴ったのにすぐ揺れない=外れた」と判断して、すぐ通常行動へ戻らないことが大切です。

緊急地震速報から強い揺れまでに使える時間は、一般に数秒から数十秒しかありません。

通知画面をじっくり読んで震源や震度を確認するより、まず頭を守る、倒れてくる家具から離れるなど、その場でできる安全確保を優先します。

速報が先でも揺れが先でも、最初にすることは同じ

気象庁は、緊急地震速報を先に見聞きした場合も、先に地震の揺れを感じた場合も、基本となる行動は同じとしています。

周囲の状況に応じて、あわてず、まず身の安全を確保すること。

家庭内なら頭を守り、丈夫な机の下など安全な場所へ移ります。揺れている最中に無理に火を消そうとしたり、外へ飛び出したりすることは避けます。

エレベーターに乗っている場合の対応については、「地震でエレベーターに乗っていたら?『全部の階ボタン』は本当か、閉じ込め時の正しい行動」で詳しく整理しています。

また、揺れが収まった後に停電している場合や避難する場合は、電気製品やブレーカーの扱いにも注意が必要です。通電火災については、「地震のあとブレーカーはいつ落とす?『通電火災』が起きる仕組みと復電前に確認すること」で確認できます。

海辺や川沿いで強い揺れ、または弱くても長い揺れを感じた場合は、緊急地震速報とは別に津波への対応が必要です。津波警報を待つことだけを避難開始の条件にはせず、海岸から離れて安全な場所へ向かいます。

「海が引いてから逃げればいい」という判断が危険な理由は、「津波は海が引いてから来る?『引き潮を確認してから逃げる』が危険な理由」でも解説しています。

2023年からは長周期地震動でも警報が出る

現在の緊急地震速報では、通常の「震度」だけを基準にしているわけではありません。

2023年2月1日からは、発表基準に長周期地震動階級が加わりました。

最大震度5弱以上が予想されなくても、最大長周期地震動階級3以上が予想されれば、緊急地震速報(警報)が発表されます。

長周期地震動は、大きな地震で生じる周期の長い揺れで、高層ビルなどが大きく長時間揺れる原因になることがあります。

そのため現在は、「一般的な震度の予測だけでは警報基準に届いていないのに、なぜ緊急地震速報が出たのか」を考えるとき、長周期地震動も確認する必要があります。

気象庁の公式動画で仕組みと行動を確認

気象庁は、緊急地震速報の仕組みと、速報を見聞きしたときの行動を約2分で説明する公式動画も公開しています。

気象庁「緊急地震速報を見聞きしたときは」(2025年10月公開)

結局、緊急地震速報はどこまで信用すればいい?

緊急地震速報には、予測誤差があります。震源に近い場所では間に合わないこともあります。

だからといって「外れることがあるから意味がない」という情報ではありません。

緊急地震速報が作ろうとしているのは、地震を何分も前に予言する時間ではありません。

地震発生後、強い揺れがまだ届いていない場所へ、数秒から数十秒でも早く危険を知らせる時間です。

数秒しかなくても、机の下へ入る、頭を守る、倒れそうな棚から離れる、運転中なら急ブレーキを避けるなど、できることはあります。

一方、震源のすぐ近くでは、その数秒さえ確保できないことがあります。

だから地震への備えは、「緊急地震速報が鳴ってから考える」のではなく、鳴らなくても揺れた瞬間に身を守れる状態を作っておくことが重要です。

まとめ|「鳴ったのに揺れない」と「揺れてから鳴る」はどちらも起こり得る

緊急地震速報が鳴ったのに強く揺れなかったからといって、すぐ誤報と判断することはできません。

速報時点では限られた観測データから揺れを予測しているため誤差があり、警報は震度4が予想される地域などにも発表されます。同じ警報地域でも、実際の揺れ方には差があります。

反対に、揺れてから速報が鳴ることもあります。

緊急地震速報は地震発生前の予知ではなく、地震発生後に地震波を検知して解析する仕組みだからです。震源の近くでは、強い揺れの方が速報より先に到達することがあります。

覚えておきたいのは、「緊急地震速報は地震が来ることを当てる仕組み」ではなく、「すでに始まった地震の強い揺れを、可能な場所へ少しでも早く伝える仕組み」だということです。

速報が先でも揺れが先でも、最初にすることは変わりません。周囲の状況を見て、まず自分の身を守ってください。

参考情報

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