粗品の審査コメントがTHE W 2025で話題になった理由

『女芸人No.1決定戦 THE W 2025』では、審査員として初参加した霜降り明星・粗品のコメントが、放送直後から大きな話題になりました。冒頭の挨拶で「性別による先入観を持たず真摯に審査する」という趣旨を示したうえで、各対戦の講評ではネタの構造、ツッコミの強度、構成のテンポ、会場のウケ方まで踏み込んで言語化。長尺で“ガチ”な審査が支持を集めた一方、辛口表現や会場への言及に抵抗を示す声も出て、賛否が割れたことが拡散の引き金になりました。本記事では、放送内で注目を集めた粗品の審査コメントをブロック別に整理し、どこが評価点で、どこが論点になったのかをわかりやすくまとめます。
THE W 2025での粗品の審査スタンス(番組冒頭の挨拶)
THE W 2025の空気を最初に決めたのは、粗品の“審査の前置き”でした。
「女だから面白くない」「女のくせに面白い」といった見方を持ち込まず、性別を理由に評価を上下させない――その趣旨を冒頭で明確にし、会場には笑いが起きつつも、どこか背筋が伸びるような緊張感が生まれます。
この一言が効いたのは、以降の講評が“芸人に対する好き嫌い”ではなく、ネタの構造や精度に踏み込む内容だったからです。視聴者の間で賛否が割れた背景にも、粗品が最初から「真剣にジャッジする」というモードを強く打ち出していたことが関係していました。言い回しの強さやコメントの長さに反応が集まったのも、審査が本気であるほど目立つ“副作用”だった、と整理できます。
Aブロック|粗品の審査コメントまとめ
Aブロックの序盤で最も注目を集めたのが、「もめんと」と「電気ジュース」の対戦後に出た粗品の長尺講評でした。ここでは、単なる感想ではなく、ネタを“構造”として分解しながら改善点まで踏み込む姿勢が前面に出ます。結果として、会場は笑いが起きつつも、賞レースらしい緊張感が一気に高まり、この大会を象徴する場面の一つになりました。
もめんとへの講評
粗品は、演技の細かい配慮や芝居の技術といった“良さ”を拾いながらも、構成面に強い課題があるという方向で整理しました。
とくに、ネタの立ち上がりが遅く、面白さが本格的に動き出すまでに時間を要する点を問題視。短い持ち時間の賞レースでは、前半に情報や状況説明が偏りすぎると、後半で回収しても「旨み」が足りなくなりやすい――その発想で、テンポ設計の厳しさを指摘しています。
また、二人が“協力して進む構造”のコントは難度が高く、立場が動いたり逆転したりする瞬間が増えるほど笑いの波が作りやすい、という趣旨にも触れました。目指している方向性は理解できるが、現時点では設計と回収のバランスが追いついていない、という講評の組み立てです。
電気ジュースへの講評
電気ジュースに対しては、センスの良いフレーズが出ている点を評価したうえで、ツッコミの“言葉の強度”がまだ弱く、感情の吐き出しに見えてしまう瞬間がある、と課題を挙げました。
ツッコミは感情をそのまま出すだけではなく、相手のボケを「言葉の圧」で切り返して初めて笑いとして跳ねる――粗品はその基準を示し、言い回しの精度を上げる必要性を語っています。
さらに、設定や進行が“漫才としての掛け合い構造”になりきらず、ボケの羅列に見えやすい危うさにも言及しました。とはいえ、面白いアイデアや笑いの芽はあるため、あと一段のツッコミ強化で伸びる、という方向の励ましも含む講評でした。
なぜここが拡散したのか
この場面が話題になった最大の理由は、粗品のコメントが「好き嫌い」ではなく、ネタの構造・テンポ・言葉の圧といった要素を具体的に並べ、改善点まで提示する“ガチ審査”だったからです。進行上のツッコミや審査員席のやり取りも重なり、講評そのものが番組の見どころとして切り抜かれ、賛否とともに広がりました。
もめんとVSとんでもあや(粗品はとんでもあやに投票)
Aブロック中盤で粗品が票を入れたのが「とんでもあや」でした。ここで印象的だったのは、ネタの出来そのものだけでなく、当日の会場の反応(ウケ方)まで含めて評価しようとする姿勢です。粗品は「もっとウケてもいいはずなのに伸びきらない」というニュアンスで、会場の空気に違和感を示しつつ、本人のネタに対しては惜しい点を具体化していきました。
講評の中心は、“強いキャラクター”だけで押し切るのではなく、審査員票をより動かすための説得力がもう一段必要、という論点です。たとえば、芸歴や生き様が立ち上がる瞬間、あるいは「よく聞いたらものすごく面白いことを言っている」と腑に落ちる一撃が入ると、審査員の評価がさらに伸びやすい――粗品はそうした方向で、ネタの伸ばし方を示しました。
また、ネタの成立のさせ方や作り方の“本人性”についても触れ、ここが強固になるほど評価は安定しやすい、という見立ても含まれていました。総じてこの場面は、当日のウケ方への違和感と、上に行くための条件提示をセットにした講評として整理できます。
もめんとVS紺野ぶるま(粗品は紺野ぶるまに投票)
Aブロック後半では、紺野ぶるまに投票。最終的にAブロックを勝ち上がったのは紺野ぶるまでした。
Bブロック|粗品の審査コメントまとめ(導入)
Bブロックでも、粗品の講評は一貫して「ネタの核が刺さっているか」「刺さらない時の保険が用意できているか」「ツッコミの言葉の圧で跳ねられているか」といった“技術と構造”に寄った視点で進みました。
Aブロックで長尺講評が注目された流れを引き継ぎつつ、Bブロックではよりストレートな評価と、伸びしろに対する具体的な助言が目立ちます。
また、Bブロックでは出場者側が審査に対して強い返しを入れ、会場が沸く場面も生まれました。ここは「粗品の審査が話題になった理由」を象徴するパートで、単に辛口だったというより、賞レースの空気そのものが“審査コメント込み”で動いたことが拡散につながっています。
パンツ万博 vs エルフ(粗品はエルフに投票)
Bブロックで粗品が強い言葉を使って講評した場面の一つが、「パンツ万博」と「エルフ」の対戦後でした。粗品はこの対戦でエルフに投票しています。
パンツ万博への講評
粗品が問題視したのは、ネタの根幹に置いた発想が“刺さるかどうか”の一点でした。メインの仕掛けが客に届かなかった場合、そこで終わらないための細かい笑い(保険の打ち手)を、漫才のやり取りとして散りばめておく必要がある――粗品はそうした構造の話として課題を整理しています。
つまり、「核がウケないなら、その後に畳み掛ける一言や小さな掛け合いで客を引き留めるべき」という方向です。設定自体には可能性がある、という見立ても含めつつ、賞レースで戦うなら“メインが外れた時の設計”が不可欠だと強調した形でした。
フォロー(ここが重要)
一方で、粗品は演者の資質まで否定する言い方には寄せず、「形になりそうな部分がある」「劇場に足を運んで応援してほしい」という趣旨のフォローも入れています。
この“厳しさ+可能性”のセットが、粗品の審査全体の特徴でもあり、賛否が割れる理由にもなりました。
エルフVSニッチェ(粗品はニッチェに投票)
Bブロックで粗品が票を入れたのが「ニッチェ」です。ニッチェに対する講評は、Aブロックのような“ネタ構造の分解”というより、組み立ての運び方と、後半の期待値の上がり方に注目した内容として整理できます。
粗品は、ネタの中で要素を積み上げていくペースや構築の手つき自体は評価しつつ、前半で“やりたい裏切り”や大事なボケを早めに見せた分、視聴者側の期待が後半に向かって膨らみやすい構造になっていた、という見方を示しました。その結果、終盤の着地点が好みの差として表れやすく、「面白かった/もっと欲しかった」という評価が分かれやすいタイプのネタだった、という方向です。
この講評は、強い否定で切るのではなく、ネタの設計上の“期待値のコントロール”を論点にしている点が特徴でした。賞レースでは、前半の見せ方ひとつで後半の評価が大きく揺れる――粗品はそこを言語化していた、とまとめられます。
エルフへの厳しめ講評と“応酬”が話題に
Bブロックで拡散の火種になったのが、エルフに向けられた粗品の厳しめ講評と、それに対する舞台上の“返し”が生んだ応酬です。ここはTHE W 2025の中でも特に「審査コメントそのものが見どころになった」場面として語られやすいポイントです。
粗品の講評(要旨)
粗品が問題提起したのは、漫才コントの中に“評価されやすい要素”を置いた意図が、客側に透けて見える瞬間があるという点でした。合わせ技・ノリツッコミなどの手数自体はあるものの、賞レースで戦う精度としては荒さが目立ち、普段の環境(客のノリや反応)に寄りかかったままだと全国の舞台では損をする――そうした趣旨で、ネタの取捨選択と精度アップを促しています。
一方で、ここが重要ですが、粗品はエルフの強みもはっきり評価しています。キャラクターの立ち方、ツッコミの上手さ、通用するボケがすでにあることを前提に、粗い部分を削って“渋い”やりとりを増やせば、もっと上に行ける、という方向で締める流れでした。つまり、否定ではなく「伸ばし方」の提示に寄せた講評です。
応酬が生まれた理由(ここが拡散ポイント)
この流れの中で、エルフ側が粗品に対して強い言葉でツッコむ場面があり、会場が大きく沸きました。粗品もそれを受けて返し、審査席と舞台上のやり取りが“笑い”として成立したことで、切り抜きとして広がりやすい状況が生まれています。
審査コメントが一方通行で終わらず、舞台側の反応によって空気が動いたことが、賛否を超えて「見どころ」として記憶された要因でした。
ニッチェVSヤメピ(粗品はヤメピに投票)
Bブロック後半で粗品が票を入れたのが「ヤメピ」です。ここでの講評は、ネタの出来そのものに加えて、当日の会場の反応や“テレビで笑いが伝わる仕組み”まで含めて語られた点が特徴でした。
粗品はまず、「もっとウケてもいい」と評価の方向性を明確に示しました。関係性を一撃で提示する発想、言葉の選び方、ツッコミの独特なニュアンスなど、センス面を肯定し、当日の審査員の中でも印象に残ったポイントがある、という整理です。
一方で、王道コントとしてボケを積み上げていくなら、本来はさらに強いウケを取りにいきたい――そうした“伸ばすための条件”にも触れています。
また、同系統のスタイルが増える中で、今後埋もれずに伸びるためには「本人にしかできない場所」を探す必要がある、という助言も含まれていました。単に褒めるのではなく、「評価した理由」と「次に必要な課題」をセットで提示する講評であり、粗品の審査スタイルを象徴する一節として整理できます。
最終決戦|粗品の投票と最後のコメント
最終決戦に残ったのは「エルフ/ニッチェ/紺野ぶるま」の3組。粗品はこの最終局面で、紺野ぶるまに票を投じました。ここまでの講評が“構造や精度”に踏み込むスタイルだったことを踏まえると、最終投票も単なる好みではなく、粗品なりの評価軸に沿った判断として受け止められやすい場面です。
そして放送の締めで、粗品は大会全体の印象についても言及しました。賞金額に見合うレベル感かどうかという観点で厳しめの見立てを示しつつも、光った出場者がいたこと、決勝に残った3組が今後さらに活躍していくことへの期待、そして優勝者への祝福へと着地させています。
この「厳しさ」と「エール」を同時に置いた締め方は、粗品の審査が支持と反発の両方を生んだ理由を端的に表していました。辛口が目立つ一方で、最終的には“次に繋がる言葉”で終える。そのバランスも含めて、THE W 2025の記憶に残るシーンになったと言えます。
賛否が割れた3つの論点(長尺・辛口・会場への言及)
「長尺講評」は“ガチ審査”として支持される一方、テンポ面で反発も
最も拡散されたのは、Aブロック序盤で見せた長尺の講評でした。ネタの構造や改善点を具体的に言語化しようとする姿勢は、賞レースの審査として「根拠が分かる」「見る価値がある」と支持されやすいポイントです。
一方で、テレビ番組としては進行テンポも重要です。コメントが長くなるほど「主役が出場者からズレる」「講評が目立ちすぎる」と感じる視聴者も出やすく、この真逆の受け取り方が賛否の起点になりました。
「辛口の言い回し」が、評価の明快さと同時に“強さ”として受け止められた
粗品の講評は、褒める部分は褒めつつも、課題ははっきり言うトーンが一貫していました。
この“明快さ”は、審査としては分かりやすく、芸人に対しても改善方向が見えやすいという意味で支持されやすい反面、視聴者の側では「言葉が強い」「厳しすぎる」と受け止められることもあります。
とくに、ネタの根幹や構造に踏み込んだ指摘は、視聴者が好みで見ているだけだと気づきにくい部分でもあるため、「面白い/面白くない」の感覚差がそのまま温度差になり、賛否が大きく揺れました。
「会場のウケ方(客)」に触れたことが、最も割れやすい争点になった
あなたのメモでも、複数の場面で「会場のウケ方」そのものが論点として出ています。
賞レースでは“現場の空気”も含めて評価する審査員は珍しくありませんが、テレビで見る側にとっては「客に触れるのは違う」「審査はあくまでネタに対して」という感覚も根強いです。
今回、粗品が会場の反応に踏み込んだことで、審査の境界線をどう捉えるかが浮き彫りになり、賛否が最も割れやすいポイントになりました。
粗品の講評で一貫していた“評価軸”を整理
あなたのメモ全体を要約すると、粗品の評価軸は大きく次の5つに整理できます。
- ネタの山場が「狙った位置」で取れているか(構成とテンポ)
- ボケとツッコミの役割分担が、掛け合いとして成立しているか(漫才の構造)
- ツッコミのフレーズ強度が足りているか(言葉の圧・跳ね)
- “本人性(キャラや人生)”が、ネタに説得力として乗っているか
- 会場のウケ方をどう見るか(審査の目線)
この軸で読むと、Aブロック序盤の長尺講評から、Bブロック後半の「もっとウケていい」評価、最終決戦の投票まで、一貫性が見えやすくなります。
SNSで広がった反応(支持/反発の整理)

粗品の審査が拡散したのは、結論そのものより「審査コメントが番組の空気を動かした」からです。SNS上では、同じ場面を見ても受け取りが真逆になる反応が目立ちました。大きく分けると、支持は“根拠と緊張感”、反発は“言葉の強さと線引き”に集約されます。
支持側で多かった受け止め
支持の中心は、「なぜそう評価したのか」が言語化されている点でした。
ネタの構造、テンポ、ツッコミの強度といった“技術”で話すため、好き嫌いではなく審査として納得しやすい、という受け止め方です。Aブロックの長尺講評が象徴的で、「賞レースの審査として真っ当」「緊張感が戻った」といった評価に繋がりやすいポイントでした。
また、厳しめの指摘の中にも「伸ばし方」や「可能性」の話が含まれているため、“辛口=否定”ではなく“改善のヒント”として捉える層もいました。審査コメント自体が見どころになった、という反応はこの流れで説明できます。
反発側で多かった受け止め
反発の焦点は主に2つです。
ひとつは、長尺講評によって番組のテンポが変わり、出場者の余韻より審査が前に出てしまう感覚がある、という点。もうひとつは、言い回しが強く、視聴者として“見ていてしんどい”と感じるラインを超える瞬間があった、という点です。
さらに、会場のウケ方(客)への言及は、審査の線引きそのものを論点化しました。審査員として現場の空気を見るのは理解できる一方、テレビ視聴では「ネタに対する評価だけを聞きたい」という層もいます。ここが噛み合わないと、同じ発言でも“正論”にも“余計”にも見えてしまい、反発が強まりやすい構造でした。
賛否が割れたのに“長く残る話題”になった理由
今回の特徴は、支持と反発がどちらも一定の筋を持っていることです。
粗品の審査は、優しいコメントで場を丸く収める方向ではなく、審査の根拠を示して空気を引き締める方向に振れました。その結果、賞レースに求めるものが「バラエティとしての快さ」なのか「審査としての納得感」なのかで、反応が割れやすくなった。だからこそ、一過性の炎上ではなく“議論として残る話題”になりやすいと言えます。
まとめ(THE W 2025を象徴する出来事)
THE W 2025で粗品の審査コメントがここまで話題になったのは、辛口だったからだけではありません。冒頭で「先入観を排して真摯に審査する」という姿勢を示したうえで、Aブロックではネタの構造やテンポ、ツッコミの強度まで踏み込み、Bブロックでも“核が刺さらない時の設計”や“伸ばし方”を具体的に言語化しました。さらに、会場のウケ方に触れたことで審査の線引き自体が論点になり、支持と反発が同時に広がったことが拡散の決定打になっています。
一方で、粗品の講評は否定一辺倒ではなく、可能性がある部分や改善点もセットで提示するスタイルでした。だからこそ、視聴者の間では「賞レースに緊張感が戻った」「根拠が分かりやすい」という評価がある一方、「言い回しが強い」「コメントが長い」「客への言及は不要」といった違和感も生まれ、賛否が割れました。
結局、THE W 2025は“優勝者”だけでなく「粗品は何を言ったのか」「審査コメントは妥当だったのか」が長く検索される大会になりました。本記事が、粗品の審査コメントをブロック別に整理して追いかけたい人や、賛否の論点を短時間で把握したい人の答え合わせになれば幸いです。