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HEART of CROWN(ハートオブクラウン)忖度なしレビュー|クロスプレイ対応のデッキ成長型は面白い?“王冠即勝利”の駆け引きを検証

HEART of CROWN - ハートオブクラウン - 忖度なしレビュー

デッキ成長型カードゲーム「ハートオブクラウン」タイトル画面。海辺の王国と街並みが描かれた世界観紹介画像。

『HEART of CROWN(ハートオブクラウン)』は、皇帝崩御後の継承戦を題材にした「デッキ成長型(デッキ構築)カードゲーム」。4人対戦のターン制で、領地やアクションカードを購入してデッキを強化し、体制が整ったら“プリンセスを擁立”して勝利を狙います。勝ち筋は分かりやすく、議員や公爵などの有力者を味方につけて継承点を伸ばし、一定条件を満たすと戴冠式――王位を手にしたプレイヤーが勝者になります。

このゲームが今でも独特なのは、デッキ構築でありがちな「点数を積み上げる作業感」よりも、“どの姫をいつ擁立するか”“相手の擁立をどう遅らせるか”が勝敗を左右しやすいところ。早い者勝ちで強力なプリンセスを押さえるか、あえて遅らせて継承点レースを安全に進めるか――読み合いが短いターンの中で濃く出ます。

さらにデジタル版は、SteamとNintendo Switch間のオンラインクロスプレイに対応し、ランクマッチやルームマッチなど対戦導線も用意されています。加えて、1人でも遊べるシナリオモードを搭載し、ボイス実装など“デジタルならでは”の強化も入っているのがポイントです。紙の名作という肩書き抜きで、UI・テンポ・対戦環境まで含めて「今買う価値があるか」を忖度なしで見ていきます。

基本情報/作品概要(HEART of CROWN - ハートオブクラウン -)

『HEART of CROWN(ハートオブクラウン)』は、領地で資金を生み出し、カードを購入してデッキを成長させながら「後継者(プリンセス)を擁立し、戴冠式で勝利を決める」デッキ構築型カードゲームです。基本は4人対戦のターン制で、序盤は経済基盤づくり、中盤以降はアクションや妨害も絡めてテンポよく展開。勝ち筋は明確で、議員や公爵などの有力者(継承点を伸ばすカード)を揃え、一定条件を満たして戴冠式を宣言できれば勝利に近づきます。

デジタル版の強みは、対戦環境とソロ導線が“最初から用意されている”こと。SteamとNintendo Switchのオンラインクロスプレイに対応し、ランクマッチ/カスタム(ルーム)マッチを搭載。さらに、1人でも遊べるシナリオモードがあり、ボイス実装も含めて「対戦だけじゃない遊び方」を成立させています。

基本データ

  • タイトル:HEART of CROWN - ハートオブクラウン -
  • ジャンル:デッキ成長型(デッキ構築)後継者争いカードゲーム
  • 発売日:2025年12月18日
    • Nintendo Switch版:12月18日 0:00(JST)予定
    • Steam版(フルリリース):12月18日 17:00(JST)予定
  • 価格:
    • ダウンロード版:3,500円(税込)
    • パッケージ版(Switch):5,500円(税込)
  • プレイ人数:1人
  • インターネット通信:1〜4人
  • 対象本体:Nintendo Switch
  • 対応言語:日本語/英語/中国語(簡体字・繁体字)
  • レーティング:CERO C

ルールの要点(作品理解に必要な“芯”だけ)

領地から得た資金で市場のカードを買い、デッキを強化していきます。継承点(Succession Score / Succession Points)を伸ばし、一定条件を満たして戴冠式(coronation)を宣言できれば勝利、という「ゴールがハッキリ見える」設計です。

良かった点(HEART of CROWN - ハートオブクラウン -)

ハートオブクラウンのゲーム内イベントシーン。キャラクターたちが大きな税を巡って議論するストーリーの一場面。

1)Switch×Steamのオンラインクロスプレイ対応で、対戦相手が集まりやすい

デジタル版の強みとして明快なのが、Nintendo SwitchとSteam間のオンラインクロスプレイ対応。さらにランクマッチ/フリーマッチ(ルーム対戦系)が用意されており、「遊びたいのに相手がいない」を起こしにくい設計です。ボードゲーム発のデッキ構築は“卓が立つかどうか”が壁になりがちなので、これは素直に評価できます。

2)勝ち筋が“点数レースの作業”になりにくい:擁立→戴冠式の緊張感がある

本作は、デッキを回して資金を作り、領地やアクションを買って基盤を整え、プリンセスを擁立して勝ちに行く構造。さらに継承点スコアが一定(20点)に到達すると戴冠式という明確なゴールがあり、終盤に向けて緊張感が上がりやすいです。デッキ構築が“数値を積むだけ”になりがちな人ほど、この「勝ち切りの瞬間」が刺さりやすいタイプ。

3)1人用のシナリオモード搭載で、ソロでも回せる

対戦が前提のカードゲームでも、デジタル版は「1人で遊べる導線」があるかどうかで満足度が変わります。本作はシナリオモードを用意しており、対戦に入る前の練習・理解にも使えるのが強みです。

4)2nd Editionベース+ボイス実装で、“デジタルならでは”の価値がある

Steam側の説明では、「ハートオブクラウン 2nd Edition」をベースとしていることが明記されています。さらにボイスキャスト表記があり、演出面も強化。紙のプレイ感を再現するだけでなく、「デジタルで遊ぶ意味」を足してきています。


気になった点(HEART of CROWN - ハートオブクラウン -)

1)オンライン対戦は“ネットワークのみ”で、ローカルで複数人が遊ぶタイプではない

プレイ人数自体は1〜4人ですが、マルチプレイ(2人以上)はネットワークのみという扱いになっています。家で集まって同じ本体(あるいは同じ部屋のローカル)でワイワイ、という用途を期待するとミスマッチになりやすいです。

2)価格は軽めではない:DL3,500円/パッケ5,500円

Nintendo eShopの表記ではDL版が3,500円で、パッケージ版は5,500円。カードゲームとして見ると決して安い部類ではないので、「対戦頻度がどれくらいになるか」「シナリオモードをどれだけ回すか」でコスパ評価が割れやすいところです。

このゲームならではの魅力と評価(HEART of CROWN - ハートオブクラウン -)

『HEART of CROWN』の面白さは、デッキ構築を“点数を積む作業”で終わらせず、「姫を擁立した瞬間から勝負が加速する」設計にある。領地で資金を回し、カードを買ってデッキを強化し、体制が整ったらプリンセスを擁立。プリンセスは強力な効果を持ち、しかも早い者勝ちなので、単に経済を伸ばすだけではなく「いつ擁立するか」「どの姫を押さえるか」が、対戦の読み合いそのものになります。さらに議員や公爵などの有力者で継承点を伸ばし、継承点スコアが20点に到達すると戴冠式。勝利条件が明確だからこそ、終盤がダラつかず“ここから一気に終わる”緊張感が出やすい。

デジタル版として評価したいのは、名作ボドゲの移植にありがちな「遊びたいのに卓が立たない」問題を、最初から潰しに来ているところ。Steam×Nintendo Switchのオンラインクロスプレイに対応し、ランクマッチ/フリーマッチ(ルーム対戦)も完備。対戦相手が集まらないと価値が落ちるタイプのゲームで、この設計は“長く遊べる前提”を作ってくれます。

もう一つ大きいのが、シナリオモード搭載で「ソロでも成立する」こと。カードゲームは対戦が主役でも、覚えるまでの導線が弱いと離脱が起きやすい。1人で回して理解できるモードがあるだけで、対戦へ入るハードルが目に見えて下がります。しかも本作は2nd Editionをベースにしつつ、ボイス付きでデジタルならではの演出も用意しているので、“紙の代替”ではなく“デジタルで遊ぶ価値”が残っているのが強い。

一方で、注意点もハッキリしています。Switch側の情報では、プレイ人数は1人、インターネット通信は1〜4人とされ、マルチはネットワーク前提です。集まって同じ部屋で回すローカル対戦を期待するとズレやすい。また、Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみ遊べる旨も明記されているので、言語切り替え目的の人はここも確認ポイントになります。

総合すると『HEART of CROWN』は、デッキ構築の醍醐味を「姫の擁立」と「戴冠式」という分かりやすいゴールに収束させ、対戦の読み合いが“最後の数手”で一気に立ち上がるタイプのカードゲームです。クロスプレイ+ランク/ルーム+シナリオという土台が揃っている分、今から入っても遊び場を作りやすい。名作扱いだから…ではなく、デジタル対戦ゲームとしての寿命をちゃんと伸ばしに来た移植として評価できます。

忖度なしスコア(HEART of CROWN - ハートオブクラウン -)

『HEART of CROWN』は、デッキ構築の面白さを「姫の擁立→戴冠式」という分かりやすい“勝ち切り”に集約しているのが強みです。Nintendo Switch版は1人プレイ対応で、対戦はインターネット通信で1〜4人。クロスプレイ自体は公式・メディアで言及されており、卓が立ちにくいカードゲームの弱点をデジタルで補っています。

一方、マルチはネットワーク限定なので、家で1台持ち寄りのローカル対戦用途だと噛み合いにくいのは注意点。価格面はDL版が3,500円(税込)で、パッケージ版は5,500円(税込)。対戦頻度が上がる人ほどコスパが伸び、ソロ中心だと評価が分かれやすい価格帯です。

評価項目スコア
中毒性(擁立→戴冠式で終盤が加速する“勝ち切り”の気持ちよさ)8.6 / 10
対戦環境の強さ(Switch×Steamのクロスプレイで相手が見つかりやすい)8.3 / 10
ルールの分かりやすさ(デッキ構築として芯が太く、勝ち筋も明確)7.8 / 10
駆け引きの濃さ(擁立タイミング/相手の戴冠式を遅らせる読み合い)8.1 / 10
遊びやすさ(ソロ対応・対戦はネットワーク限定で用途が分かれる)7.4 / 10
機能・運用の明快さ(Switchは1人/通信1〜4人、マルチはネット限定)7.2 / 10
コストパフォーマンス(DL3,500円/パッケ5,500円。対戦頻度で評価が割れる)7.3 / 10
総合スコア7.8 / 10

紙の名作をそのまま閉じ込めた移植ではなく、対戦が回る前提を整えた“遊び続けられるデジタル版”。駆け引きの濃さを求める人ほど満足度が伸びます。

HEART of CROWN - ハートオブクラウン -

デッキ構築型カードゲーム「ハートオブクラウン」。 好みの姫を擁立し、税収や策略カードを駆使して帝位継承争いを勝ち抜く、 思考性とコンボの爽快感が魅力のタイトルです。ボードゲーム好きやTCG層にも 遊びごたえのある一本になっています。

価格・在庫・セット内容などは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。

総評(HEART of CROWN - ハートオブクラウン -)

ハートオブクラウンの公式プロモーションアート。後継者争いをテーマにしたデッキ成長型カードバトルのイメージ画像。

『HEART of CROWN』は、デッキ構築の面白さを「資金を回して強くなる」だけで終わらせず、プリンセスの擁立と戴冠式という“勝ち切りの瞬間”に集約したのが最大の強みです。序盤は領地で経済を整え、中盤で有力者やアクションを揃え、終盤に“擁立のタイミング”で一気にゲームの速度が変わる。点数を淡々と積むタイプではなく、最後の数手で読み合いが濃くなるデッキ構築として、今遊んでも独自性があります。

デジタル版としての評価ポイントは、名作ボドゲ移植でありがちな「遊びたいのに卓が立たない」を潰しに来ている点です。Steam×Nintendo Switchのオンラインクロスプレイに触れられており、対戦導線としてランクマッチ/ルームマッチ(フリーマッチ)も用意。さらにシナリオモードがあるので、ソロでルールを掴んでから対戦へ移れる導線も確保されています。紙の評判だけで売るのではなく、“デジタルで回る”前提を整えてきた設計は素直に強いです。

注意点は用途のズレが起きやすいところ。Switch版の情報では、プレイ人数は1人、通信はインターネットで1〜4人とされ、マルチはネットワーク前提です。家で同じ空間で遊ぶローカル対戦目的だと噛み合いにくい。また価格はDL版3,500円(税込)/パッケ5,500円(税込)なので、対戦頻度が上がる人ほどコスパが伸び、ソロ中心だと割高に感じやすい価格帯です。

結論として『HEART of CROWN』は、駆け引きの濃いデッキ構築を“対戦が成立する形”で遊び続けたい人向けの一本です。クロスプレイで相手を見つけやすく、シナリオで練習もできるので、カードゲーム経験者はもちろん「デッキ構築をちゃんと覚えてみたい」層にも入り口がある。逆に、ローカルで集まって遊ぶ用途や、ソロだけで元を取る期待が強い人は、購入前に“自分の遊び方”と合うかだけは確認しておくのが安全です。

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