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M-1グランプリ2025決勝考察|エバース870点でも優勝はたくろう…最終決戦8-1とネタ順で読み解く勝ち方の違い

M-1グランプリ2025決勝は「点数の強さ」と「票の強さ」が分かれた大会だった

M-1グランプリ2025決勝の優勝トロフィーがステージ中央に置かれ、観客と審査モニターに囲まれた決戦シーンのイメージ。

ファーストラウンド1位はエバースの870点。それでも優勝は、最終決戦で8票を集めたたくろうでした。数字だけ見ると「一番点が高かったのに、なぜ優勝じゃないの?」と引っかかるはずです。けれど2025年決勝は、ここにこそ見どころがあります。結論はシンプルで、今年は“点数で勝つ強さ”と“票で勝ち切る強さ”が、同じ一本に必ずしも重ならなかった大会でした。

まず事実として、ファーストラウンドで最も高得点を取ったのはエバース(870点)です。これは「10組の中で、採点という形で最も高く評価された」という意味で揺れません。ただし、ここを「この日いちばんすごかった」と断定するのは慎重であるべきです。なぜなら、最終決戦で披露したネタをファーストでやっていたら点数の並びが変わっていた可能性はありますし、ファーストと最終決戦では“見られ方”そのものが変わるからです。言い換えるなら、870点は「その条件下で、最も点が出た」という事実として押さえるのがいちばん正確です。

一方、最終決戦は点数ではなく票で決まります。ネタ順はドンデコルテ→エバース→たくろう。3本を見比べたうえで審査員9名が1票ずつ投じ、たくろうが8票、ドンデコルテが1票(山内)で優勝が決まりました。ここで問われるのは、平均点の積み上げではなく「優勝としてこの1本を選び切れるか」という決断の強さです。だからこそ2025年は、点数で最も高く評価されたエバースと、票で最も迷いなく選ばれたたくろうが並び立ちました。

この記事では、ファーストの得点表、最終決戦の8-1、そしてネタ順という動かない事実を軸に、2025年決勝がどんな構造で決着したのかを整理します。結果だけを追うよりも、「点数で勝つ漫才」と「票で勝つ漫才」がどう違うのかを押さえると、今年の決勝はぐっと立体的に見えてきます。

まずは事実整理|ファースト順位と最終決戦の結果

2025年の決勝を正確に理解するには、最初に「どこまでが点数で、どこからが票か」を切り分けておくのが一番早いです。ファーストラウンドは10組をそれぞれ採点し、合計点で順位が決まります。そして上位3組が最終決戦へ進出。ここまでは、あくまで“点数の勝負”です。

ファーストラウンドの上位は、1位エバース(870点)、2位たくろう(861点)、3位ドンデコルテ(845点)。この3組が最終決戦へ進みました。つまり、ファーストの時点で「エバースが最も高得点だった」という事実と、「たくろうとドンデコルテがそれに続いた」という事実が確定します。まずここを押さえると、以降の話がブレません。

最終決戦は仕組みが変わります。点数ではなく、審査員9名が「優勝にふさわしい1組」に1票ずつ投票し、最多票の組が優勝。ネタ順はドンデコルテ→エバース→たくろうでした。そして投票結果は、たくろうが8票、ドンデコルテが1票。山内のみがドンデコルテに票を入れ、残る8票がたくろうに集まりました。エバースは最終決戦に進出したものの、票は入らなかった、という形になります。

ここまでを一文でまとめるなら、2025年は「ファーストではエバースが最も高得点だったが、最終決戦ではたくろうに票が集中して優勝が決まった」大会です。点数と票がそれぞれ何を示しているのかを考える前に、この事実関係だけを土台として置いておくと、考察が感想に流れずに済みます。

なぜ「ファースト1位=優勝」にならなかったのか

ファーストラウンドで最も高得点だったのはエバース(870点)。これは動かない事実です。それでも優勝は、最終決戦で8票を集めたたくろうでした。ここを「結局は好みだった」で片付けると早いのですが、2025年の結果は、もう少しルールの構造として整理できます。ポイントは、ファーストラウンドと最終決戦が、同じ“強さ”を測っているようで、実は違う種類の勝負になっていることです。

まずファーストラウンドは、10組をそれぞれ独立に評価し、点数を積み上げて順位を決めます。採点は9人分の合計なので、全体として高い評価を広く集められれば上位に行きやすい。エバースが870点で1位になったのは、そうした「点数が出る条件」の中で、最も強く数字を積み上げた結果だと言えます。ここで重要なのは、870点が示しているのは“その場その条件での採点結果”であって、「別のネタ」や「別の並び」で同じ順位になると確定しているわけではない、という点です。

一方、最終決戦は3組を並べた“比較の勝負”です。点数ではなく票で決まり、審査員は9人とも「優勝にふさわしい1組」に1票しか入れられません。だから最終決戦では、細かな加点の積み上げよりも、「この1組を優勝として選び切れるか」という判断が前に出ます。2025年は、その票がたくろうに8票集まり、ドンデコルテに1票(山内)という形になりました。ここから言えるのは、少なくとも審査員の多数が「優勝として残すならたくろう」と同じ結論に到達した、ということです。

そして、あなたが指摘した感覚にもつながります。もし仮に、たくろうが最終決戦で披露したネタをファーストラウンドでやっていたら、点数の並びが変わっていた可能性はあります。これは断定ではなく、ルール上あり得る話です。ファーストは10組の中で点を積む勝負で、最終決戦は3組の中から1本を選ぶ勝負。同じ強さでも、置かれるステージが違えば評価の出方が変わり得る。2025年は、そのズレが結果として表に出た年でした。

つまり「ファースト1位=優勝」にならなかった理由は、エバースが弱かったからでも、たくろうが偶然だったからでもありません。ファーストは“点数での強さ”を測る場で、最終決戦は“票での強さ”を測る場。そして2025年は、点数で最も高く評価された組(エバース)と、票で最も選ばれた組(たくろう)が分かれた──その構造が、870点と8-1という数字にそのまま表れているのです。

最終決戦8-1が示したもの|2025年は「選び切られる強さ」が勝った

最終決戦の結果は、たくろう8票、ドンデコルテ1票。エバースは票を得られませんでした。この「8-1」という形は、2025年決勝を読み解くときに最も重要な数字です。なぜなら、最終決戦は点数ではなく票で決まる以上、この票の集まり方そのものが「今年、何が評価されやすかったか」を映しているからです。

まず押さえておきたいのは、8-1が単なる“大差”というだけではないことです。最終決戦では審査員9名が「優勝にふさわしい1組」に1票しか入れられません。僅差で迷う展開なら票は割れやすいですが、2025年は8票が同じ方向に集まりました。ここから言えるのは、少なくとも多数の審査員にとって、たくろうが「優勝として選び切りやすい」一本だった、という事実です。これは感想ではなく、票の形から読み取れる範囲の整理です。

もう一つ、1票がドンデコルテに入っている点も見落とせません。山内はドンデコルテを選びました。つまり、ドンデコルテは“最終決戦の舞台で支持が成立していない”わけではなく、明確な対抗軸として1票を獲得している。にもかかわらず、残り8票がたくろうへ流れた。ここが2025年の決着の特徴です。評価がバラけて偶然で勝ったのではなく、対抗軸がありながらも、なお多数が同じ結論に到達した大会だったと言えます。

そして2025年は、ファーストラウンドで最も高得点だったエバース(870点)が、最終決戦では票を得られなかった年でもあります。ここを「ゼロ票=弱かった」と短絡しない方が、決勝の構造は見えやすくなります。最終決戦は、3本を並べた比較の勝負です。ファーストのように“良い点を積み上げる”場ではなく、「優勝としてこの1本を残す」と選び切る場。その比較の場で、審査員の多数が最も迷いにくかったのがたくろうだった、というのが8-1の意味です。

結局、2025年の最終決戦は「点数の勝負」ではなく「選択の勝負」でした。その選択が8票という形で集中した以上、今年は“選び切られる強さ”が勝った大会だった、と整理できます。この視点を土台にすると、次の「ネタ順(ドンデコルテ→エバース→たくろう)が比較の流れをどう作ったか」も、感想ではなく構造として説明しやすくなります。

ネタ順の影響|ドンデコルテ→エバース→たくろうが作った「比較の流れ」

2025年の最終決戦は、ネタ順がドンデコルテ→エバース→たくろうでした。最終決戦は点数ではなく票で決まるため、ここでのネタ順は「どの順番が絶対に有利」と断定する材料ではありません。ただ、3本を見比べて1票を選ぶルールである以上、ネタ順が“比較のしかた”に影響するのは避けられません。2025年は最終結果が8-1と大きく偏ったからこそ、この比較の流れを一度整理しておくと、票が集まった理由を感想ではなく構造として捉えやすくなります。

1番手のドンデコルテは、最終決戦の空気を立ち上げる役割を担います。最初の一本はどうしても“基準”になりやすく、後に続く2組は無意識に「今の一本は、最初の一本を超えたかどうか」という見られ方になっていきます。だから1番手は、面白さの勝負に加えて、比較の物差しを最初に置く立場でもあります。ここで強い一本を置ければ、その後の二本に対して「上書きされにくい基準」を作れますし、逆に言えば、後の二本に更新されるリスクも背負います。

2番手のエバースは、比較の難しさが最も出やすい位置です。1番手でできた基準を更新しないといけない一方で、まだ最後の一本が残っています。審査員は「今のが一番かもしれない」と感じても、三本すべてを見てから結論を出したくなるのが自然です。ファーストラウンドで870点という高得点を取れる強さがあっても、最終決戦の2番手では「この時点で優勝として選び切れる一本か」という別の問いが突きつけられます。2番手は、強さの出し方が少しでも“途中経過”に見えてしまうと、最後の一本を見てから判断しようという心理が働きやすい位置でもあります。

3番手のたくろうは、比較が完結する瞬間を持っていける立場になります。三本目を見終わった時点で、審査員は「結局どれが一番だったか」を決めるモードに入ります。そこで強いのは、直前までにできた基準を上書きしつつ、「優勝としてこの一本を残す」納得感を最後に置ける漫才です。最終投票はたくろうに8票が集まりました。ネタ順だけで勝敗を決めつける必要はありませんが、少なくとも2025年は、比較の流れが最後に収束する位置で、たくろうが“選び切られる一本”を残した結果として8-1が生まれた、と整理するのが自然です。

要するに2025年の最終決戦は、1本目で基準ができ、2本目で更新が試され、3本目で結論が確定する、という流れをネタ順が作りました。そしてその結論が、たくろう8票という形でほぼ一致した。ここまでを押さえると、次の「点数で勝つ漫才」と「票で勝つ漫才」の違いが、抽象論ではなく、2025年の結果そのものとして理解しやすくなります。

「点数で勝つ漫才」と「票で勝つ漫才」の違い|2025年は後者が優勝を取った

2025年決勝は、ファーストラウンドでエバースが870点の1位。それでも優勝は、最終決戦で8票を集めたたくろうでした。この並びが示しているのは、単純に「点数が高い=優勝」ではないという事実です。ファーストと最終決戦は、同じ“強さ”を測っているようで、勝ち方の条件が変わる。だから「点数で勝つ漫才」と「票で勝つ漫才」が分かれる年があり、2025年はその分岐がはっきり出た大会でした。

まず「点数で勝つ漫才」は、9人の審査員の採点を合計して上に行く強さです。ファーストラウンドは10組をそれぞれ独立に点数化するので、評価が多少割れても、総合点が高ければ順位は上がります。エバースの870点は、まさにその条件下で最も点数が積み上がった結果です。これは「ファーストラウンドの採点として最も高い評価を集めた」という意味で、事実として揺れません。

ただし、点数は“積み上げ”である以上、強さの種類がいくつかあっても加点されます。安定して高い点を取り続ける力、完成度、密度、展開の強さなどが合わさると、トータルで伸びやすい。ファーストでトップに立つ強さは、こうした総合力が数字に変換されやすい場面で発揮されます。だからこそ「ファースト1位の価値」は大きいし、エバースが870点を取ったことは、今年の決勝の骨格としてまず押さえるべき事実です。

一方で「票で勝つ漫才」は、比較の場で“選び切られる”強さです。最終決戦では、審査員は1票しか入れられません。点数のように良い部分を積み上げて「全体として高評価」にするというより、「優勝として残すならこれ」と決断できる一本が強い。2025年は、その票がたくろうに8票集まり、ドンデコルテに1票という形になりました。ここから読み取れるのは、審査員の多数にとって、たくろうが“比較の場で迷いにくい勝ち筋”を持っていた、ということです。これはネタ内容を断定して語らなくても、票の形から言える範囲の整理です。

そして、あなたが感じている「たくろうの最終決戦ネタがファーストに回っていたら、点数の景色は変わったかもしれない」という視点も、この違いと相性がいい考察です。ファーストと最終決戦は、同じ舞台でも問いが違う。だからこそ、同じ組でも「ファーストで強い出方」と「最終で強い出方」が分かれることがある。2025年は、点数の最上位(エバース870)と、票の最上位(たくろう8票)が分かれたことで、それが見える形になりました。

結局、2025年の優勝は「点数の強さ」そのものではなく、「票で勝ち切る強さ」が取り切った結果です。ファーストの順位が無意味だったわけではなく、むしろエバースの870点があったからこそ「それでも8-1でたくろう」という決着が際立った。点数と票が別々の答えを出した年だからこそ、2025年は結果だけで終わらせず、勝ち方の違いとして振り返る価値がある大会だったと言えます。

数字から見える「2025年の分岐点」まとめ|870点と8-1が同時に成立した年

2025年決勝を“考察の対象”として面白くしているのは、数字がはっきり二つの答えを示していることです。ファーストラウンドの最高得点はエバースの870点。最終決戦の最多票はたくろうの8票(8-1)。この二つが同時に成立している時点で、今年は「点数が示す強さ」と「票が示す強さ」が一致しない年だった、と整理できます。

まずファーストラウンドは、10組をそれぞれ採点し、合計点で順位を決める方式です。その中で1位がエバース(870点)。2位はたくろう(861点)、3位はドンデコルテ(845点)で、この3組が最終決戦へ進出しました。ここで確定するのは、「ファーストという条件の中で最も高得点だったのがエバース」という事実です。逆に言えば、これは“そのネタ、その場、その並び”での採点結果であり、別の条件で同じ順位になると決まっているわけではありません。だからこそ、点数は「その条件下での強さ」を示すものとして受け止めるのが最も正確です。

次に最終決戦は、点数ではなく票で決まります。ネタ順はドンデコルテ→エバース→たくろう。審査員9名が1票ずつ投じた結果、たくろうが8票、ドンデコルテが1票(山内)で優勝が決まりました。票が大きく割れた年ではなく、たくろうに票が集中した年だった。ここから言えるのは、審査員の多数が「優勝として選び切るならたくろう」と同じ結論に到達した、ということです。これはネタ内容を断定して語らなくても、投票結果そのものが示している骨格です。

この二つを並べると、2025年の分岐点は明快です。ファーストで最も点数が伸びたのはエバース(870点)。それでも最終決戦では、たくろうが8票を集めて優勝した。つまり今年は、「点数で勝つ」ことと「票で勝つ」ことが同じ一本に収束しなかった大会でした。あなたが感じているように、たくろうの最終決戦ネタがファーストに回っていれば点数の景色が変わった可能性もあります。ここを断定する必要はありませんが、少なくとも“点数と票で問いが違う”以上、同じ組でも勝ちやすい条件が変わり得るという点は、2025年の数字が教えてくれます。

結局、2025年の決勝は「一番点数を取った組」と「優勝に選ばれた組」が分かれた年でした。この分かれ方が、870点と8-1という形でくっきり残った。だからこそ結果だけを追うより、「点数の強さ」と「票の強さ」の違いとして振り返ると、今年のM-1は納得感を持って整理できます。

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総まとめ|2025年は「一番点を取った漫才」と「優勝に選ばれた漫才」が分かれた

M-1グランプリ2025決勝は、数字がはっきり二つの答えを示した大会でした。ファーストラウンドで最も高得点だったのはエバース(870点)。一方で、最終決戦ではたくろうが8票を集めて優勝。この時点で今年は、点数の強さと票の強さが同じ一本に必ずしも重ならない年だった、と整理できます。

ここで大事なのは、「点数が高いのに優勝じゃない=不思議」ではなく、ルールの構造として理解することです。ファーストラウンドは10組を点数で並べる総合点の勝負。最終決戦は3組を見比べて1票を選ぶ比較の勝負。問いが違えば、勝ちやすい条件も変わります。だからエバースの870点という事実と、たくろうの8-1という事実が同時に成立すること自体が、今年の特徴になります。

さらに言えば、あなたが感じているように、たくろうが最終決戦で披露したネタをファーストでやっていたら点数の景色が変わった可能性はあります。これは断定できる話ではありませんが、「同じ実力でも、どの場でどのネタを出すかで評価の出方が変わり得る」という意味で、2025年の結果と相性の良い見方です。だからこそ今年は、結果を追うだけで終わらせるより、「点数で勝つ漫才」と「票で勝つ漫才」の違いとして整理すると、納得感が一段上がります。

結論として、2025年はファーストで最も点数を積み上げたエバースと、最終決戦で最も選び切られたたくろうが並び立った年でした。870点と8-1という数字は、単なる記録ではなく、決勝の構造そのものを示しています。来年以降M-1を見るときも、「ファースト順位」と「優勝」がズレたときに混乱せず、“勝ち方の違い”として楽しめるはずです。

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