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2025年に世間を賑わせたニュース総まとめ|芸能・ゲーム・SNS・社会・珍ニュース・文化まで「今年の話題」を一気読み

目次
  1. 2025年、結局いちばん世間をざわつかせたのは何だった?
  2. 2025年の芸能/テレビで世間を揺らした出来事まとめ
  3. 2025年のゲーム/アニメ/マンガ界隈で世間を賑わせた出来事まとめ
  4. ネット/SNS界隈で世間を賑わせた出来事まとめ
  5. 社会/ニュース界隈で世間を賑わせた出来事まとめ
  6. なぜか忘れられない珍ニュース(2025)
  7. 文化トピック(2025)
  8. 2025年を振り返って|多層化した話題が交錯した一年

2025年、結局いちばん世間をざわつかせたのは何だった?

2025年の話題を象徴するような、ネオンが輝く繁華街の夜景。カラフルな看板と行き交う人々が並ぶ都市の街並み。

2025年は、大きな出来事が次々に起きた一方で、「なんでこれがここまで話題に?」みたいな謎の盛り上がりもやたら多い一年でした。テレビや映画の大きなニュースが空気を変え、ゲームやアニメは“国民行事”みたいな熱量で回り、SNSは現実の買い物やルールまで動かしていく。そして、なぜか忘れられない珍ニュースが、最後に全部持っていく。
この記事では、芸能/テレビ、ゲーム/アニメ/マンガ、ネット/SNS、社会/ニュース、珍ニュース、文化トピックの6ジャンルで、2025年の「世間を賑わせた話題」をテンポよく整理しました。まずは“今年っぽさ”が濃いところから、一気に振り返っていきます。

2025年の芸能/テレビで世間を揺らした出来事まとめ

1) フジテレビの第三者委員会・調査報告書公表

2025年は「テレビ局そのものの信頼」が問われた一年でもありました。フジテレビをめぐる問題は、当事者の発信や憶測だけでは追い切れないほど論点が広がり、最終的に第三者委員会の調査報告書という形で、整理された情報として世に出たのが大きいポイントです。
この出来事は、単なる芸能ゴシップではなく、企業ガバナンスや説明責任、番組制作の体制まで含めて「テレビ業界の構造」に視線が向いた、年間級のニュースとして残りました。

何が「公表」されたのか(2025年3月31日)

フジテレビ(CX)とフジ・メディア・ホールディングス(FMH)が設置した第三者委員会が、調査結果を取りまとめた「調査報告書」を2025年3月31日に提出・公表しました。公表版はプライバシー・機密保護の観点から匿名化等が施され、要約版(58ページ)も同日に公開されています。

報告書が踏み込んだ“核心”(認定のポイント)

要約版の時点で第三者委員会は、本事案について「性暴力が行われ、重大な人権侵害が発生した」と認定し、さらに類似事案でもハラスメントが行われたと認定しています。

また、公表版では被害者の保護を最優先し、特定や二次被害を防ぐための匿名化・抽象化が明記されました(取締役等は実名、役職員は原則匿名/取引先は原則匿名)。一方で、中心的な調査対象で説明責任も踏まえ、中居正広氏は実名とされています。

“社内の情報管理不安”まで書かれた異例さ

要約版には、関係者実名を載せた「実名版」報告書について、社内からの機密流出リスクを第三者委が懸念したため、取締役会全員配布ではなく、FMH社長・CX社長に各1部交付し厳重管理を申し入れた、という運用まで記載されています。
この一文は、単なる不祥事調査ではなく「組織としての統治・統制の弱さ」まで問題視されたことを強く示します。

“会社の対応”そのものが検証対象になった

要約版の目次だけでも、第三者委員会が「起きた出来事」だけでなく、フジテレビ側の初動・危機管理・対外説明のまずさを大きな論点として整理しているのが分かります(例:初動調査の遅れ、危機認識の甘さ、責任者不在、専門家助言の欠如、第1回会見の失敗など)。

さらに「中居氏の利益のためとみられる行動」として、見舞金の運搬や弁護士紹介などの項目が独立して立っており、周辺対応の妥当性も検証対象になっています。

“組織文化”への踏み込み(人権・ジェンダー・意思決定)

報告書は、人権尊重の観点から、取引先が生じさせる人権問題への取り組み不足や、人権救済メカニズムの不十分さ、ジェンダーギャップ等を章立てで検証しています。

原因分析パートでは、社内の人権意識を映し出すものとして、「性別・年齢・容姿などに着目して呼ばれる会合」といった“慣行”が明示され、同質性・閉鎖性が「集団浅慮」を生む、意思決定がブラックボックス化している、といった形で組織の問題へ踏み込んでいます。

ガバナンス面でも「構造問題」として扱われた

要約版の構成上、内部統制・コーポレートガバナンスが独立章になっており、人権リスクが経営に与える影響、取締役会の体制・運用モニタリング、内部統制の監督などが検証対象に含まれています。
実際、広告主の動きや社会の反応の強さも後追い資料で整理されており、企業リスクとしてのインパクトが可視化されています。


2) BPOが『月曜から夜ふかし』に放送倫理違反の意見

バラエティ番組の“編集の強さ”は昔から議論がありましたが、2025年はそれが一段と可視化されました。『月曜から夜ふかし』をめぐる一件は、視聴者が笑って見過ごせなくなった境界線を、はっきり世間に突きつけた出来事です。
「テレビのテンポ」と「事実の扱い」は両立できるのか。軽い話題のはずが、いつの間にかメディア倫理の話になっていく、2025らしい転び方でした。

何が問題になったのか(発端:2025年3月24日放送)

BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会が審議対象にしたのは、2025年3月24日放送回の街頭インタビューVTRです。取材協力者の発言が、つぎはぎ編集(恣意的な編集)によって“実際の発言とは全く異なる内容”として放送された点が中核でした。

報道では、編集の結果として「中国ではカラスを食べる」趣旨に受け取られる内容になっていたことが取り上げられています。

番組側の謝罪と“街頭インタビュー停止→再開”の流れ

問題発覚後、番組は街頭インタビューを一時停止し、のちに放送内テロップや公式サイトで謝罪・再発防止策の作成を示した上で、街頭インタビュー再開を告知しました。

ここがポイントで、単なる「不適切でした」で終わらず、番組の核である“街録”を止めるほどの事態だった、という重さが読者にも伝わります。

BPOの結論(2025年10月21日:委員会決定 第49号)

放送倫理検証委員会は2025年10月21日、日本テレビ『月曜から夜ふかし』に「放送倫理違反があった」とする意見を公表しました(委員会決定第49号)。

意見書(PDF)では、番組の成り立ちとして「一般の人々の街頭インタビューが主役」であることを踏まえつつ、だからこそ取材対象者の発言を扱う責任が重い、という前提が示されています。

なぜBPOが「放送倫理違反」とまで言ったのか

意見書が重くなる理由は、単に“編集ミス”ではなく、取材協力者の発言を別物に作り替えた点にあります。BPOは、恣意的編集で「実際の発言と全く異なる内容」になったことを明確に書いています。

さらに、報道でも触れられている通り、この編集は外国人(中国人)へのステレオタイプや偏見を増幅しかねない形になり得るため、バラエティの“笑い”を超えて、社会的な影響(差別・偏見)まで波及する危険がある――という文脈で受け止められました。

3) BPOがTBS『熱狂マニアさん!』で「番組と広告の識別」を問題視

2025年のテレビを語るなら、番組と広告の境界も外せません。視聴者が感じた違和感が、BPOの場で“ルールの話”として表面化したことで、テレビの作り方そのものが問われました。
バラエティの明るさとは別に、「何を信じて見ればいいのか」という感覚が、少しずつ変わっていった一年。ここに2025の空気が詰まっています。

何が起きたのか(対象放送:2024年10月19日)

BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会が問題視したのは、TBSテレビのバラエティー番組『熱狂マニアさん!』の特定回(2024年10月19日放送)です。番組内で取り上げた企業が“ほぼ1社に集中”し、ロゴが常時に近い形で表示され、CM(30秒)が2回流れるなど、視聴者が「これは広告なのか?番組なのか?」と疑念を持ちやすい構成になっていた点が焦点になりました。

BPOの結論(委員会決定 第48号:2025年7月11日)

放送倫理検証委員会は、委員会決定第48号として「番組と広告の識別が問題視された」として意見書を公表し、民放連の放送基準(広告放送は広告放送であることを明確にする等)に反すると判断して「放送倫理違反があった」と結論づけました。

「番組と広告の識別」がなぜ重大なのか

この種の問題が厄介なのは、内容そのものが面白く作られていたとしても、視聴者が“広告を番組として見せられている”と感じた瞬間に、番組全体・放送局全体の信頼が落ちる点です。BPOは、番組制作者側の認識の甘さや、視聴者が疑念を持つ可能性が高い内容になっていたことを指摘しています。

どこが「仕組みとして」問題だったのか(制作・考査・情報共有)

意見書では、単発の演出判断だけでなく、制作過程の“仕組み”にも踏み込みがあります。具体的には、(1) 番組と広告の識別に関する制作側の認識、(2) 局内の情報共有が十分でなく、番組と企業CMの「直結/近接」を招きやすい状態になった点、(3) こうした事態を事前に防ぐ考査の役割が十分に機能しなかった点――これらが相乗的に作用した、という整理です。

TBSの受け止めと、その後の動き(通知・公表の場)

委員会決定の通知・公表は2025年7月11日に行われ、TBS側は「意見を真摯に受け止め、番組と広告の識別について適正な対策を講じ、信頼回復に努める」旨を述べています。

再発防止(“ルール化”と“運用”の両輪)

その後の委員会議事概要では、TBS側が書面で対応報告を提出したことが触れられています。再発防止としては、たとえば 2025年9月1日付で「番組内での商品・サービスの取り扱いに関する識別上の留意点」を策定し、ガイドライン集に掲載。さらに、スポンサー情報や番組で扱う企業名・企画内容などを一元管理して関係部門間で共有する運用を始めた、といった具体策が示されています。

4) NHK大河ドラマ『べらぼう』放送開始

年末の話題に偏りがちな振り返り記事でも、年初の大型コンテンツを入れると「一年の流れ」が出ます。大河ドラマは、毎週の視聴習慣としてSNSの話題も拾い、歴史ものなのにリアルタイム性が強いのが特徴です。
2025年のテレビは、炎上や謝罪だけではなく、こういう“粘り強く見られる作品”が空気を支えた面もありました。

どんな物語か(主人公とテーマの強さ)

主人公は、江戸の出版人として知られる蔦屋重三郎(通称・蔦重)。吉原の貸本屋から出発し、板元として喜多川歌麿や東洲斎写楽らを世に送り出した“江戸のメディア王”を描く、という筋立てが大きな軸です。つまり、武将の合戦ではなく「メディア」「表現」「商い」「才能の発掘」が中心。ここが2025の大河としてかなり攻めたポイントで、現代のカルチャー(出版・映像・SNS)を見ている感覚と接続しやすい題材でした。

5) 映画『国宝』が社会現象級のメガヒット

2025年のエンタメで、映画館という場所の存在感をもう一度押し上げたのがこのヒットです。作品内容そのものの評価に加えて、興行の動きがニュースになり、数字が更新されるたびに話題が再燃するタイプでした。
テレビとSNSが主戦場になりがちな時代でも、映画が「世間の話題の中心」に戻ってくる瞬間がある。2025年はそれを体感できた年でした。

まず“どれくらいヒットしたのか”(数字が強すぎる)

『国宝』が社会現象と言われる最大の根拠は、ヒットの規模が「邦画実写の歴史を塗り替える」レベルに到達したことです。
報道によれば、2025年11月24日までの172日間で観客動員約1231万人、興行収入約173.8億円に到達し、興行通信社調べの歴代興収ランキングで『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』(2003年/約173.5億円)を超え、邦画実写の歴代1位になりました。

「ロングランで伸び続けた」こと自体がニュースだった

この手の大作は初動が強くても失速しがちですが、『国宝』は6月公開→半年近く経っても上映が続くタイプの“ロングラン型”で、記録更新が「途中経過のニュース」として繰り返し話題になったのが特徴です。

何が刺さったのか(作品の“強み”を記事向きに整理)

公式サイトのキャスト・あらすじを見るだけでも、作品の核は「芸の世界にしがみつき、“国宝”へ駆け上がる」一代記。舞台は歌舞伎で、主人公の半生を長いスパンで描く“芸道もの”です。
そして報道では、歌舞伎シーンに吹き替えなしで挑んだ点や、歌舞伎役者の家に引き取られた主人公が芸の道に人生を捧げる物語、という“王道の熱量”が強調されています。
要するに、SNSのバズだけで押し上げたというより、「映画館で観る価値」の説得力が積み上がったタイプのヒットです。

“キャストの座組”が強い(話題化しやすい布陣)

主演の吉沢亮に加えて、横浜流星、渡辺謙、寺島しのぶ、高畑充希、田中泯、中村鴈治郎など、公式サイトに並ぶキャストの厚みがえぐい。
この顔ぶれだと、映画ファンだけでなく、ドラマ層・舞台層・歌舞伎関心層にも届きやすく、口コミの輪が広がりやすいのも納得です。

「2025年の映画興行が盛り上がった年」の象徴になった

2025年の映画興行全体が話題になった背景として、『国宝』が邦画実写の記録を更新したことは“象徴的出来事”として扱われています。
年末まとめでは、ここを「今年は映画が強かった」で終わらせず、“記録更新=世間の話題化”が起きた具体例として『国宝』を置くと、説得力が一気に増します。

ヒットが「映画の外」にも広がっている(展覧会・特別上映)

ヒットが大きい作品は、作品世界を体験する企画に派生しやすい。『国宝』は、記録更新を受けてGinza Sony Parkでの展覧会(2026年1月)が告知されており、熱が年をまたいで続いています。
さらに、歌舞伎座での大晦日特別上映会&全国同時生中継(2025年12月31日)も公式告知が出ています。

その他

  • 『国宝』が興収100億円を超えたタイミングの“加速報道”も含めて、年間ヒットの象徴として記憶に残りました。
  • 『月曜から夜ふかし』の件は「その後」まで含めて語られやすく、テレビの信頼をめぐる空気の変化を象徴する出来事になりました。

2025年のゲーム/アニメ/マンガ界隈で世間を賑わせた出来事まとめ

1) Nintendo Switch 2 発売(2025/6/5)

2025年のゲーム界隈で、いちばん「世間の空気」を変えたのはこれ。任天堂は Nintendo Switch 2 を2025年6月5日に発売し、メーカー希望小売価格は 49,980円 と発表しました。

Switch 2 は、モデルによって使い方が変わるのがポイントです。任天堂の公式説明では、日本語・国内専用は対応言語が日本語のみで、連携できるニンテンドーアカウントも「国/地域:日本」に設定されたものに限られます。逆に、多言語対応は複数言語に対応するモデルとして位置付けられています。買う側が「自分に必要なモデルはどっちか」を考える設計になっており、発売ニュースとセットで話題が広がりました。

ローンチの空気を決めた「マリオカート ワールド セット」

発売と同時に、任天堂は「Nintendo Switch 2(日本語・国内専用) マリオカート ワールド セット」もラインナップとして提示しています。希望小売価格は 53,980円(税込)で、マリオカート ワールド(ダウンロード版)と本体がセットになった構成です。ローンチから“みんなが同じ話題で盛り上がる導線”が用意されていたことが、世間の熱量を押し上げた要因のひとつです。

互換性は「基本OK」ではなく、公式が先に注意点を出した

Switch 2 は Switch と異なるハードウェアを搭載しているため、任天堂は公式ページで「一部タイトルはNintendo Switchと完全な互換性を実現することができない」と明記しています。対応状況はソフトごとに検索して確認する方式で、今後の検証とアップデートで動作タイトルが増える可能性がある一方、対応が遅れたり、対応できないタイトルが出る可能性もある、という整理です。年末まとめで触れるなら「互換は検索で確認」という一文が入るだけで、実用性が一気に上がります。

「買えない」まで含めて社会現象化した(抽選応募 約220万人)

発売前から熱狂を可視化したのが、マイニンテンドーストアの抽選販売です。任天堂の公式Xで、抽選販売の応募開始後、日本だけで約220万人という非常に多くの応募があったことが説明されました。発売日・価格に加えて、抽選や供給の話題が一般ニュース化したことで、Switch 2 はゲーム界隈を超えて“2025年の世間の話題”になりました。

Nintendo Switch 2 は、発売日と価格が公式発表で明確だったことに加え、国内専用と多言語対応というモデル差、ローンチでのマリオカート同梱セット、互換性の検索確認、さらに抽選応募220万人という熱狂まで含めて、発売そのものが“社会の話題”として膨らんだ新ハードでした。

2) 東京ゲームショウ2025が示した“ゲーム業界の次段階”(来場者数26万人超・5日間開催への転換)

東京ゲームショウ2025のキービジュアル。カラフルな背景とゲームアイコンに囲まれたキャラクターが描かれた公式メインアートで、TGS2025のテーマを象徴するデザイン。
来場者数26万3101人という「熱量の可視化」

東京ゲームショウ2025(TGS2025)は、2025年9月25日(木)〜28日(日)の4日間、幕張メッセで開催され、総来場者数は26万3101人(263,101人)と発表されました。内訳は、ビジネスデイが9/25=52,352人、9/26=54,779人、一般公開日が9/27=77,415人、9/28=78,555人です。
前年(2024年)の総来場者数は27万4739人で、数字だけ見ればやや減っていますが、4日間で26万人超という規模は、TGSが依然として「ゲームの年に一度の巨大な集積地」であることをはっきり示しました。

“次段階”を感じさせたのは、出展規模と国際性

TGS2025は「遊びきれない、無限の遊び場」をテーマに掲げ、主催側の発表では、47の国・地域から1,136の企業・団体が出展したとされています。家庭用ゲーム機、スマートデバイス、PC、VRなど多様なプラットフォーム向けの新作だけでなく、関連製品・サービス・ソリューション・グッズまで含めて展示された点が、ゲーム産業の広がりそのものを映す構図でした。

「遊ぶ場」だけでなく「仕事の場」としての機能も強い

一般向けの熱狂に加えて、TGSはビジネスの場としての役割も年々重要になっています。主催発表では、TGSビジネスマッチングシステムを活用した商談が3,591件に達したとされ、イベントが“巨大な見本市”として回っていることが数字で示されました。

オンライン展開が“世界同時”の標準になった

TGS2025はリアル会場に加えて、オンラインでも21本の公式番組を配信。YouTube、X、Twitchなどの公式アカウントやニコニコ等で配信され、中国向けにはDouYu・bilibili、欧米向けにはIGNとも連携したと発表されています。会場の来場者数だけでなく、「視聴・拡散・同時体験」で熱量を増幅させる設計が、今のTGSの標準になっていることが分かります。

そして決定打:TGS2026は史上初の5日間開催へ(2025年のうちに発表された“転換”)

このニュースを年末まとめに入れる最大の理由は、TGS2025が「今年のイベント」だけで終わらず、来年の構造変更まで同時に示した点です。主催発表では、東京ゲームショウ2026(TGS2026)は2026年9月17日(木)〜21日(月・祝)に、史上初の5日間開催となる予定(リアル会場は幕張メッセ予定)と告知されています
一般公開日が増える形になるため、TGSは「現地で体験するイベント」としても、さらに拡張していく流れが明確になりました。

2025年のゲーム界隈は、Switch 2のような“個別の社会現象”だけでなく、それを受け止める産業の器も拡張していった年でした。TGS2025は、来場者数26万3101人という規模、47の国・地域から1,136の出展、商談3,591件、公式番組21本の配信体制、そしてTGS2026の史上初5日間開催発表まで含めて、「ゲーム業界が次段階に入った」ことを分かりやすく可視化した出来事でした。

3) AnimeJapan 2025(出展117社・過去最大規模)

AnimeJapan 2025は、2025年3月22日(土)・23日(日)に東京ビッグサイトで開催されたアニメ業界最大級のイベントで、主催者発表による出展社数は117社と、これまでで最多となりました。会場は東展示棟1〜8ホールを使用し、開催規模そのものが大きく拡張されています。

展示エリアでは、テレビアニメ・劇場作品・配信作品の新情報公開や世界観展示、映像上映、関連グッズ展開などが行われ、来場者は作品発表と体験を同時に楽しめる構成となっていました。制作会社・出版社・配信プラットフォームが一堂に会することで、現在進行形のアニメビジネスの全体像が可視化された形です。

ステージ企画も大きな柱となり、公式発表ではAJステージのプログラム数は全52本。キャスト・スタッフ登壇によるトークイベントや新作発表、映像初公開などが行われ、会場内外でリアルタイムに話題が拡散されました。

また、AnimeJapan 2025は会場開催にとどまらず、事前情報解禁や関連配信を通じて、開催前から継続的に注目を集めました。イベント当日だけでなく、準備段階から話題が積み重なっていく構造は、近年のアニメイベントの特徴を色濃く反映しています。

出展117社という規模は、アニメ制作・流通・配信を取り巻く産業の広がりをそのまま示す数字でもあり、2025年のアニメ界隈が引き続き高い熱量を保っていたことを裏付ける出来事となりました。

4) コミック市場が過去最高更新(紙+電子で7,043億円)

全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、2024年(1〜12月)のコミック市場(推定販売金額)は、紙と電子を合わせて前年比1.5%増の7,043億円となり、7年連続のプラスで過去最高を更新しました。

内訳を見ると、伸びを作ったのは電子です。電子コミックは前年比6.0%増の5,122億円。一方で、紙(コミックス単行本+コミック誌)は前年比8.8%減の1,921億円でした。さらに紙の内訳は、コミックス(単行本)が1,472億円、コミック誌が449億円とされ、いずれも前年割れです。

この結果、コミック市場の構成比は電子が72.7%、紙が27.3%。出版市場全体に占めるコミック(紙+電子)の比率も44.8%まで高まったとされています。つまり、出版市場全体が厳しい局面にある中でも、コミックは“市場の中心”として存在感を強めた形です。

紙が縮小し、電子が伸びる流れは、雑誌の休刊・ウェブ連載への移行、ストア側の先行配信や独占配信、オリジナル作品強化などの動きとも重なります。実際、出版科学研究所は電子コミックが牽引したことを明確に示しており、紙のコミックスはコロナ禍の“巣ごもり需要”が落ち着いた後、伸び悩みが続いている状況も整理されています。

5) 『CESA ゲーム産業レポート2025』発売(2025/12/15)

『CESA ゲーム産業レポート2025』は、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が発行する年次レポートで、2025年12月15日(月)に発売されました。判型はA4、全462ページ。書籍版とPDF版(CD-ROM版)が用意され、価格はいずれも55,000円(税込)です。

本書は、国内外のゲーム産業を「市場」「ユーザー」「技術」「制度」という複数の軸でまとめ、ゲーム産業の全体像を一冊に集約した構成になっています。2023年版まで刊行されていた『CESAゲーム白書』を刷新して始まったレポートシリーズの流れを継ぎつつ、2025年版ではグローバル市場データの拡充が強調されています。

内容は大きく第1章から第4章+付録で構成され、第1章「トピックス」では3つの特集を掲載しています。第1特集は「AI技術とゲーム開発」、第2特集は「グローバルマーケット最新動向(中国・オーストラリア、ほか)」、第3特集は「法規制動向」。続く第2章で「世界のゲーム市場」、第3章で「ユーザー動向」、第4章でCESAの主要事業(東京ゲームショウ、日本ゲーム大賞、CEDECなど)の報告がまとめられ、付録として中国・豪州調査報告書も収録されています。

特に2025年版は、海外市場を把握するためのデータ増補に言及されており、中国・オーストラリアの独自調査に加えて、欧米主要国やインド、中東地域など多地域の動向を新たに整理して収録した、と説明されています。

ネット/SNS界隈で世間を賑わせた出来事まとめ

1)情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)が施行(2025/4/1)

2025年4月1日、いわゆる「プロバイダ責任制限法」は、SNSなどの“情報流通プラットフォーム”での誹謗中傷・権利侵害への対処を強化する枠組みとして「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」として施行され、一定規模を満たす大規模プラットフォーム事業者に“迅速対応”と“透明化”を法的に求める仕組みが動き出した。

情プラ法のポイントは、「削除してほしい」という申し出が“どこに・どう出せばいいのか分からない”“出しても放置される”といった状態を減らす方向に、手続き面を制度として整える点にある。大規模事業者は、被害を受けた人が申し出を行うための窓口・手続き方法を整備し、公表することが求められる。しかも、オンラインで申し出ができること、申出者に過重な負担を課さないこと、申出を受けた日時が申出者に分かること、といった要件が明示されている(例:フォームが見つけやすい/証拠添付ができる/アカウントがなくても申出可能、など)。

さらに、申し出を受けた後の“返事の遅さ問題”にも一定の歯止めが入る。大規模事業者は、申し出を受けた日から原則として一定期間内に、削除などの送信防止措置を講じたか否か、講じなかった場合は理由も含めて申出者へ通知しなければならず、ガイドラインでは「14日以内」の枠組みが示されている。理由の通知も「なるべく分かりやすく」「形式不備なら何が不足か分かる粒度で」とされ、再申出につながる説明が求められる。

運用の中身にも、外から見える形での“透明性”が求められる。大規模事業者は送信防止措置(削除など)を行う基準を策定して公表し、法律用語の羅列ではなく、一般に理解できる言葉で、カテゴリ別にできるだけ具体的に示すことが望ましいと整理されている(例:誹謗中傷、海賊版、自殺関連などの分類で明快に)。

もう一つ大きいのが「削除した側の説明責任」だ。削除などの措置を講じた場合、原則として発信者(投稿者)にも、遅滞なく、その旨と理由を通知するか、発信者が容易に知り得る状態に置く措置を取る必要がある。通知が難しい場合の代替として、削除された位置に削除の事実と理由を掲出する、といった考え方も示されている。

そして年1回、削除対応の実施状況を公表する義務もある。申出の受付状況、各種通知の実施状況、送信防止措置の実施状況などが対象で、外部から検証できる形での透明化が狙いになる。公表項目には、AI活用の有無、判断に関与する体制(日本語を理解する人員や訓練内容など)にまで踏み込むものが含まれ、単なる件数公表に留まらない設計になっている。

制度面では、削除判断を支える人材として「侵害情報調査専門員」の選任も求められる。ガイドラインでは、サービス特性を理解しつつ、日本の法令・文化的背景にも明るい人材が想定され、例として弁護士等の法律専門家も挙げられている。日本語圏の炎上や誹謗中傷が、文脈やニュアンスの解釈に左右される現実を踏まえると、“日本語で判断できる体制の整備”が制度として前面に出た点は、2025年のネット/SNS環境を語るうえで象徴的な変化になった。

2)LINEヤフーのプライバシーポリシー改定(2025/7/31)

LINEヤフーは、2025年7月31日にプライバシーポリシーを改定すると告知し、改定点を「旧→改定後」の対比で公表しました。

改定でまず目立つのが、「取得するパーソナルデータ」の説明です。従来の例示に加えて、取得する情報には 利用者がログインしていない場合や、アカウントを持っていない場合の情報も含まれる ことが明記されました。ログイン状態に関わらず、利用端末やブラウザ、サイト閲覧・操作などの“サービス利用に伴って自動的に取得され得る情報”がポリシー上の対象として明確化された形です。

次に、業務委託に伴うデータの移転先(取り扱いが及び得る国・地域)の表記が更新されました。告知ページでは、移転先の一覧が見直され、「英国および欧州経済領域(EEA)」 が追記されています。委託先やクラウド等の取り扱い範囲を、ポリシー上の文面としてアップデートしたものです。

今回の改定で特に議論を呼びやすいのが、広告に関する条項の新設・追記です。告知ページでは、LINEヤフーが広告配信に関するサービスにおいて、直接特定の利用者を識別できる情報と結び付いていない状態の「当社指定の識別子」を、広告の効果測定等で利用する目的で、「5.パーソナルデータの提供」に記載する国または地域以外に所在する広告主に提供することがある と明記しました。ここでのポイントは「識別子が“直接個人を特定できる情報と紐づいていない状態”」であること、そして提供先として“国外の広告主”が想定され得ることが、文面として示された点です。

さらに、サービス提供・維持の具体例の中に、入力内容に応じた生成機能に関する記載が追加されました。告知ページでは、利用者のサービス利用をサポートする目的などで、入力された内容に応じて、適切な文章や画像などを生成する という具体例が追記されています。問い合わせ対応や案内など、利用者サポートの文脈で“生成”が明文化された形です。

この改定は、「どのようなデータが取得対象になり得るか」「どの国・地域で取り扱われ得るか」「広告効果測定で使う識別子が国外の広告主に提供され得るか」「サポートの場面で文章・画像の生成が行われ得るか」といった論点を、ポリシー上の表現としてはっきり書き直したものとして位置付けられます。

3)ディープフェイクの悪用が“国内の社会問題”として前面化(性的ディープフェイク等)

生成AIの普及で、本人そっくりの画像・動画を簡単に作れてしまう一方、「実在の人物(とくに未成年を含む)を性的に加工した偽画像=性的ディープフェイク」が、学校やSNSの現場で現実の被害として表面化しました。2025年は、この問題が「ネットの新しい嫌がらせ」ではなく、被害相談・摘発・啓発まで含めた“社会問題”として扱われる局面に入った年と言えます。

2025年に“数字”として見えてきた被害の実態(警察庁が初公表)

警察庁は、18歳未満を対象にした性的ディープフェイクの被害相談が、2025年1〜9月で79件あったと公表しました。被害は中学生が最多(41件)、次いで高校生(25件)で、小学生のケースも確認されています。さらに、加害者側が「同じ学校の児童・生徒(同級生・先輩など)」に当たる割合が5割超(53.2%)という点が重く、学校コミュニティ内で起きる“身近な加害”として問題が可視化されました。

また報道では、前年(2024年)通年の相談・通報が110件に上り、2025年は同時期比較で増加傾向とも伝えられています。

なぜ深刻化するのか──「学校」と「拡散」の構造が噛み合ってしまう

性的ディープフェイクの怖さは、作る側が“遊び”や“ウケ狙い”のつもりでも、受ける側にとっては名誉・尊厳を壊される被害になり、しかもネット上では一度共有・投稿されると拡散が止めにくい点です。警察庁の啓発資料でも、軽い気持ちで他人の画像をAIで加工してSNS等に投稿する行為が、深刻なトラブルや犯罪につながり得ること、投稿した画像は拡散され「もう二度と消せない」リスクがあることを強く注意喚起しています。

2025年は「摘発が現実化」した年でもある

2025年は、生成AIを悪用した性的コンテンツが“実際に摘発対象になる”ことも広く知られるようになりました。たとえば報道では、AIで生成した性的な偽画像を販売・公開したとして、警視庁が容疑者を逮捕した事例(「日本で初のAI生成ディープフェイクポルノ逮捕」として報じられたケース)が伝えられています。

何が「社会問題化」を決定づけたのか

2025年の転換点は、被害が“芸能人の風評被害”の枠を超え、未成年の被害相談が具体的な件数で示され、加害が学校内で起きている実態まで明らかになったことです。警察庁が啓発資料を出し、安易なAI利用の危険性を正面から訴える段階に入ったことで、家庭・学校・自治体・プラットフォーム側も「放置できない問題」として向き合う土壌が一気に整いました。

4)Cloudflareの世界的障害(2025/11/18)で、XやChatGPTなど多数サービスが一時停止

2025年11月18日、インターネット基盤企業Cloudflareで大規模な障害が発生し、Cloudflareを経由して通信している多数のサービスでアクセス不具合が広がりました。報道では、X(旧Twitter)やChatGPTのほか、Canvaなど複数サービスで障害が確認され、利用者側には「サイトが開かない」「エラーが出る」といった形で一気に波及しました。

Cloudflareは事後の公式報告(ポストモーテム)で、今回の障害はサイバー攻撃ではなく、内部の不具合によって引き起こされたと説明しています。トリガーになったのは、CloudflareのBot Management(ボット対策)に関連する“機能ファイル”を自動生成する仕組みで、生成ロジックに潜んでいたバグが原因で不正なファイルが作られ、複数のCloudflareサービスに影響が及んだ、という整理です。

この障害が厄介だったのは、単一サービスのトラブルではなく「インフラ層の一部が崩れた」形だった点です。CloudflareはWebサイトの高速化(CDN)やセキュリティ(WAF、DDoS対策など)を担い、多数の企業・組織が前段に置いています。そこで広域の不具合が起きると、各サービスの“中身”が無事でも、入口で詰まってアクセスできない状態になり得ます。結果として、SNSやAIサービスだけでなく、公的機関や交通関連など幅広いサイトに影響が出たことも報じられました。

当日の状況は、利用者投稿を集計するDowndetector等でも可視化され、短時間に障害報告が急増したとされています。Cloudflareは障害を認識して復旧作業を進め、数時間規模で回復へ向かった一方、復旧の途中で一部ユーザーに影響が残る場面もあったと報じられています。

Cloudflareの説明で重要なのは、「攻撃が原因ではない」ことを明確にした上で、どこで何が壊れたのかを“設定ファイル生成ロジックのバグ”として特定している点です。障害のテーマが、外部からの攻撃ではなく、複雑化したインフラ運用の中で起きた内部不具合だったことは、2025年のネット/SNS界隈で語られた「インターネットは少数の基盤企業に強く依存している」という現実を、強烈に印象づけました。

5)TikTok コミュニティガイドライン刷新(2025/9/13施行)

2025年は、SNSが「自由に投稿できる場」である一方で、誤情報の拡散、いじめ、危機時の扇動、規制対象(ギャンブル・薬物・武器など)といったリスクが、日常のタイムラインにまで入り込んだ年でもありました。そうした空気の中で、TikTokはコミュニティガイドラインを刷新し、2025年9月13日から新ルールを施行しています。

刷新の特徴は、禁止事項を増やすというよりも、「何がダメなのか」を読み手が把握しやすい形に再整理した点です。要点を一覧で確認できる構成(rules-at-a-glance)が追加され、ルールの全体像に最短で到達できるようになりました。

中身では、拡散力の高い誤情報により効果的に対処するための新しいポリシー導入が示され、いじめに関する既存ルールも改良されたと説明されています。さらに、ギャンブル/アルコール/たばこ/薬物/銃器/危険な武器などを「規制対象の商品およびサービス」として統合するなど、禁止領域の見せ方も整理されました。

運用面では、DM・コメント・LIVE・TikTok Shopといった“機能ごとの安全”をまとめて説明するセクションが拡充され、危機時に増えやすい有害行為への対応や、地域ごとの文化・規範を踏まえた適用の考え方も示されています。

また、削除の実務がどのように回っているかについても数字が出され、ガイドライン違反で削除されたコンテンツのうち85%以上が自動検出によるもので、そのうち99%がユーザー報告より前に削除されたとされています。2025年は「AIが悪用される側面」が目立った一方で、プラットフォーム側も同じくAIを含む仕組みで監視・削除を強めていることが、こうした指標からも読み取れます。

社会/ニュース界隈で世間を賑わせた出来事まとめ

1)クマ出没・被害が深刻化(被害者数が過去最多ペース/対策拡充へ)

2025年は、クマの出没が「山の中の話」ではなく、人の生活圏そのものに入り込むかたちで全国的な不安材料になった年でした。環境省は令和7年度(2025年度)の死亡事故を随時整理して公表しており、6月以降、各地で死亡事故が複数発生している状況が確認できます。

背景として指摘されているのが、秋の主食になりやすいドングリ類などの不作です。餌が不足すると行動範囲が広がり、結果として集落周辺や市街地に近い場所まで出没が増えやすい、という説明が専門団体の整理でも示されています。

こうした事態を受け、政府は2025年11月に「クマ被害対策パッケージ」を決定。ポイントは「生活圏からクマを遠ざける」だけでなく、捕獲強化による個体数管理や、現場対応を担う人材・装備を“国が後押しする”方向に踏み込んだ点です。

パッケージの中身はかなり実務的で、たとえば次のような対策が明記されています。
・春期の捕獲を含む、集落周辺個体の捕獲強化(個体数の削減・管理)
・自治体が雇用するガバメントハンターの人件費・資機材などの支援
・はこわな、電気柵、クマスプレー、安全装備などの購入支援
・緩衝帯の整備、誘引物(ゴミ・収穫物残渣など)の撤去
・ICTを活用した出没情報の提供や注意喚起
・登山者・旅行者向けの多言語発信

さらに、出没時の「住民の安全確保」を前提に、警察の動きも具体化しました。関係機関との情報共有、立入規制や避難誘導などの徹底に加え、警察が保有するライフル銃を用いた駆除が可能になるよう規範改正が行われたことも、同パッケージ内で説明されています。

2025年のクマ問題が社会ニュースとして強烈に残ったのは、被害の多さだけでなく、「対策の担い手不足」や「住宅地に近い場所でどう安全に対処するか」という現実的な課題が一気に前面化したからです。出没の季節は毎年ありますが、2025年は“生活のすぐ隣”で起きた出来事として、全国に共有された一年になりました。

2)賃上げが連続で高水準(春闘の平均賃上げ率が5%超)

2025年の春闘は、連合の最終集計で定期昇給相当込みの賃上げ率(加重平均)が5.25%となり、2年連続で5%台を維持しました。賃上げ額は16,356円(対象5,162組合)とされ、1991年以来の高水準と位置づけられています。

一方で、300人未満の中小組合は4.65%(12,361円)で、全体より低い水準にとどまり、企業規模による格差が課題として示されています。

3)日銀の利上げ継続と「物価・金利のある日本」への転換が鮮明に

日銀は長期にわたる超金融緩和から段階的に正常化を進め、政策金利の引き上げを重ねてきました。日銀の講演資料では、2024年7月に0.25%、2025年1月に0.5%へ引き上げ、その後もしばらく据え置いた経緯が整理されています。さらに2025年12月には0.75%へ引き上げ(30年ぶりの水準)が報じられ、金利が“ある前提”の経済に移る流れが一段と明確になりました。

利上げ継続の考え方として日銀側は、「見通しが実現していくなら、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整する」という方針を繰り返し示しています。2025年12月の講演でも、見通しが実現すれば利上げを続ける立場が明確に述べられています。

背景にあるのは、物価だけが上がるのではなく、賃上げを伴いながら基調的インフレが2%へ近づく“持続性”を重視する視点です。総裁発言では、基調的インフレが目標へ近づいていること、賃金と物価の循環が根付きつつあることが語られています。そのうえで日銀は、名目金利を上げても実質金利はまだかなり低いという認識を示し、「引き上げても景気を急に冷やしにくい余地がある」という理屈で説明しています。

4)猛暑リスクの社会問題化(職場の熱中症対策が「義務」へ)

2025年は、猛暑が「毎年の風物詩」ではなく、働く現場の安全を左右する社会問題として一段と重く受け止められた年でした。実際に制度面でも動きがあり、2025年6月1日から労働安全衛生規則の改正が施行され、一定条件下の作業では事業者に熱中症対策が義務づけられました。

対象は、暑さ指数(WBGT)28以上、または気温31℃以上の環境で、連続1時間以上、または1日4時間を超える作業が見込まれるケースなどです。こうした条件下では、熱中症の兆候が出た段階で現場が確実に動けるよう、事業場ごとに「報告できる体制」と「対応手順」を定め、周知することが求められます。

義務化された内容は、冷却や作業離脱、医療機関受診や搬送、緊急連絡先などを含む実務的な手順づくりが中心で、「本人がつらいと言い出せない」「周囲が気づいても迷う」といった現場の穴を制度で埋めにいく形です。猛暑が常態化する中で、熱中症対策が“努力目標”から“守るべきルール”へ移ったことは、2025年の暮らしと働き方を象徴する変化のひとつになりました。

5)訪日客が過去最高水準へ(記録更新とオーバーツーリズムが同時進行)

2025年は、訪日客の回復が「戻った」ではなく「勢いが加速した」年でした。JNTO(日本政府観光局)の推計では、2025年10月の訪日客数は389万6,300人と単月の過去最高を更新し、1〜10月の累計は3,554万7,199人に到達しています。さらに年初からペースが速く、JNTOデータとして1〜3月だけで1,000万人を突破(過去最速)したことも報じられました。

一方で、訪日需要の集中は、受け入れ側の限界も浮き彫りにしました。観光客が特定の都市・観光地に集まり、交通混雑やマナー問題、住民生活への影響が強く意識される「オーバーツーリズム」が、2025年はニュースとして定着。対策としては、混雑の分散(地方誘導)や、混雑可視化のためのデジタル活用、地域側の受け入れ整備に資金を投じる――といった方向性が国際的にも整理されています。

つまり2025年の訪日観光は、過去最高水準という“追い風”と、混雑・地域負荷という“副作用”が同時に進行した一年でした。数字が伸びるほど、観光を「数」だけでなく「質」と「持続性」で設計し直す必要がある――その現実が広く共有されたのが2025年の特徴です。

なぜか忘れられない珍ニュース(2025)

ばんえい競馬で「ゴール直前に座り込む」珍ハプニングが話題(2025/11/24)

2025年11月24日、帯広のばんえい競馬重賞「ドリームエイジカップ」で、ゴール目前まで先頭争いをしていたキングフェスタサクラヒメが、最後の直線で転倒(座り込むように止まる)するハプニングが発生。映像のインパクトも強く、SNSで一気に拡散され「まさかの結末」として話題になりました。

この結果、後方から追い込んでいたタカラキングダムが、最後に前へ出て勝利。ばんえい競馬は重量を引く競技特性上、ゴール前に踏ん張りが切れて転倒が起こり得るとはいえ、人気馬同士が同時に止まる展開は珍しく、2025年の“忘れられない珍ニュース”枠として使いやすい出来事になりました。

JR新庄駅の車庫にクマが侵入、山形新幹線にも影響(2025/11/8)

2025年11月8日午後、山形県新庄市のJR新庄駅構内にクマ1頭(体長約50cmの子グマとみられる)が入り込み、北側にある山形新幹線の車庫内に居座る事案が発生しました。JR職員から警察へ通報が入り、警察・市・JRなどが周辺の警戒にあたりました。

現場では箱わなが設置され、クマは同日16時ごろに箱わなで捕獲。この時点で人的・物的被害は確認されていないと報じられています。

影響は鉄道にも及び、報道によれば、山形新幹線の新庄発上り列車が「新庄―山形」間で区間運休となり、約130人に影響が出ました。駅の“車庫”という運行の中枢に野生動物が入り込んだことで、列車の安全確認や対応が優先され、結果として運行が一時的に止まる──2025年のクマ問題が「生活圏」だけでなく、インフラの現場にまで及んだ象徴的な出来事として記憶されやすいニュースです。

“真夏に厚着”の詐欺容疑者がヘリまで出て追跡→新幹線で確保(2025年)

2025年6月、猛暑の中で「長袖シャツ+ベスト」という不自然な服装がきっかけになり、特殊詐欺グループの“出し子”とみられる男が逮捕される出来事が話題になりました。埼玉県内で警戒中の捜査員が、暑さの中でも腕まくりをせずに歩く男を不審に感じ、職務質問しようとしたところ男が応じず、そのまま追跡が始まります。

男はタクシーや電車を乗り継いで移動し、JR東京駅から名古屋方面へ向かう新幹線に乗車。警察はヘリコプターなども使って追跡を続け、最終的に走行中の新幹線内で身柄を確保しました。報道では、埼玉県久喜市のコンビニATMで他人名義のキャッシュカードを使い、現金を引き出した疑いが持たれているとされています。

“服装の違和感”という小さな引っかかりから、広域移動→新幹線内逮捕まで一気につながった点が、2025年の珍ニュースらしいインパクトとして印象に残った一件です。

大阪・関西万博の公式ストアで大量万引き、人気グッズ“黒ミャクミャク”転売疑い(2025年)

大阪・関西万博の会場内オフィシャルストアで、人気グッズを狙った万引き事件が相次ぎ、「黒ミャクミャク」の高額転売疑いとセットで大きく報じられました。発端として報道で繰り返し出てくるのが、2025年6月26日の犯行とされるケースで、大学生らが共謀してグッズ104点を盗んだ疑いが持たれています。

この104点のうち、約30点が「黒ミャクミャク」と呼ばれるぬいぐるみで、公式ストアでは購入数の制限がかかるほどの人気商品。警察は、こうした“転売で値が付きやすい”商品を狙った可能性があるとみています。

その後の報道では、関連する容疑者の逮捕が続き、関西テレビのニュースでは、同日付で扇子など9点(約7万4,000円相当)の万引き容疑で大学生と無職の男が逮捕されたこと、さらに別の大学生が「黒ミャクミャク」窃盗疑いで逮捕されていたことが伝えられました。グループは高額転売目的で、再販日を狙って来場した趣旨の説明も報じられています。

「人気キャラグッズ」「購入制限」「転売」「大型イベント会場内の公式ストア」という条件が重なり、2025年の“今っぽい珍事件”として印象に残ったニュースです。

迷惑系配信者の逮捕・摘発が「観光×治安」議論の火種に(2025年)

2025年は、訪日客の急増と同時に、観光地での迷惑行為が“撮影・配信のネタ化”されやすくなり、治安や住民生活への影響がニュースとして目立った年でした。典型例として報じられたのが、さっぽろ雪まつり会場で配信者がスタッフに雪玉を投げるなどの迷惑行為を行い、警察が呼ばれる事態になった件です。市は見回り強化に動き、現場の安全確保が課題として浮き彫りになりました。

同じ文脈で、北海道・小樽では“映える写真”目的の観光客が特定スポットに集中し、住民苦情や安全面の懸念が強まったとして、混雑抑止のため警備員を配置する対応が報じられています。撮影・配信が引き金になって「観光の受け入れ」そのものが警備・規制とセットで語られる流れが、2025年にいっそうはっきりしました。

さらに海外では、日本でも問題視された“迷惑系インフルエンサー”が他国で起訴されるなど、クリック目的の迷惑行為が国境を越えて問題化している状況も報じられています。こうした事例が積み重なったことで、2025年は「観光を伸ばす」だけではなく、観光地の安全・秩序を守る運用(通報、警備、ルール表示、場合によっては摘発)をどう整えるかが、現実の論点として共有された一年になりました。

文化トピック(2025)

大阪・関西万博(Expo 2025)が開幕し、社会の空気を動かした

2025年の日本で「年の顔」になった出来事のひとつが、大阪・関西万博(EXPO 2025)の開幕でした。会期は2025年4月13日〜10月13日(184日間)。会場は大阪湾の人工島・夢洲で、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」です。

万博は「未来技術の展示会」というだけでなく、2025年は現実の社会課題(医療・防災・環境・分断・人口構造の変化など)が日々ニュースになる中で、“未来をどう設計するか”を国際イベントとして可視化した存在でした。公式の整理では、サブテーマにSaving Lives/Empowering Lives/Connecting Livesを掲げ、会場全体を“実験場(People’s Living Lab)”として位置づけています。

一方で、万博が「社会の空気を動かした」最大の理由は、数字と体感が一致する規模で人を動かした点です。博覧会協会の公表データでは、開幕日(4月13日)から2025年10月13日までの累計来場者数は29,017,924人(うちAD証入場者数3,438,938人)とされています。さらに月次・週次で来場の波が話題になり、「行く/行かない」だけでなく、交通・宿泊・周辺観光まで含めて日常会話のテーマになりました。

この“巨大イベントの熱量”は、良い面と課題の両方を同時に浮き彫りにしました。行列・混雑・アクセス動線などの運営はもちろん、会場体験やパビリオンの評価がSNSで拡散され、期待と不満が同時に可視化されていく――2025年の万博は、イベントそのものが「現代の情報流通(SNS)で評価が生成される」象徴でもありました。海外メディアも、開幕の様子や会場の目玉施設、国・企業パビリオンの多さなどを報じ、国際イベントとしての存在感を強調しています。

結果として2025年の大阪・関西万博は、経済イベントでも観光イベントでもなく、“未来を語る場”が現実の都市生活にどんな影響を与えるかを、多くの人が同時に体験した年の出来事として記憶されました。

瀬戸内国際芸術祭 2025(現代アート×地域)が再び大きな話題に

瀬戸内国際芸術祭は、瀬戸内の島々を舞台に3年に1度開催される現代アートの祭典で、2025年も「春・夏・秋」の3会期に分けて実施されました。会期はそれぞれ春:4月18日〜5月25日/夏:8月1日〜8月31日/秋:10月3日〜11月9日。季節ごとに瀬戸内の表情が変わり、「一度で終わらない旅」として話題が継続しやすい構造になっています。

この芸術祭が2025年の文化トピックとして強かったのは、作品鑑賞が“美術館で完結”せず、島の生活圏や港、集落そのものが会場になる点です。公式の「島・会場」案内でも、直島・豊島・小豆島・犬島・大島など、島ごとに特徴や注意点が整理されており、アート体験がそのまま地域理解につながる設計が前面に出ています。

また2025年は、来場のしやすさが“仕組み”として整えられた年でもあります。作品鑑賞パスポートは、会期中に参加作品(施設)を各1回鑑賞できる形で、オールシーズン1シーズンが用意され、公式アプリからデジタル購入も可能。現地でも紙パスポートが購入できると案内されています(※一部施設は別料金)。こうした導線が、観光客だけでなく「ちょっと行ってみる層」を取り込みやすくしました。

さらに、公式サイトには混雑予測カレンダーも用意され、「人気会場に人が集中する」ことを前提に、分散・計画来場を促す情報が整備されています。訪日客増加とオーバーツーリズムが社会問題化した2025年において、“混むからこそ見える化する”姿勢は、文化イベント運営の一つのモデルとしても印象に残りました。

国際芸術祭「あいち2025」開催(地域発の国際アート)

2025年の文化トピックとして存在感が大きかったのが、現代美術と舞台芸術を核にした国際芸術祭「国際芸術祭 あいち2025」です。会期は2025年9月13日〜11月30日(79日間)。テーマは「灰と薔薇のあいまに(A Time Between Ashes and Roses)」で、芸術監督はフール・アル・カシミ(Hoor Al Qasimi)が務めました。

主会場は、名古屋の愛知芸術文化センター、瀬戸の愛知県陶磁美術館、そして瀬戸市のまちなか。ひとつの建物に集約せず、都市の中心部と“やきもののまち”の空間までを舞台にすることで、鑑賞体験がそのまま地域の移動や街歩きと結びつく設計になっています。

プログラムは、現代美術の展示だけでなく、舞台芸術やラーニング(学び・対話)も含む総合型。公式英語版の案内では、現代美術プログラムに国内外のアーティスト/グループが参加し、舞台芸術作品も用意され、各会場にラーニングセンターを置いて“参加型”の導線を強めていることが示されています。

大阪・関西万博で「大きなイベントが社会の空気を動かす」感覚が共有された2025年に、あいち2025はもう少し“生活に近いサイズ感”で、国際アートが地域に入り込む瞬間を可視化した存在でした。大都市の文化施設と、産地・街の空間を往復しながら体験するタイプの芸術祭として、年末の文化まとめに入れやすい一本です。

“放送100年”が可視化された一年(記念式典・展示など)

2025年は、日本の放送が始まってから100年という節目が、ニュースや街の企画として“見える形”で続いた一年でした。起点は1925年3月22日のラジオ放送開始で、2025年3月に放送100年を迎えたことが各所で明確に打ち出されています。

象徴的だったのが、NHKが第100回「放送記念日」記念式典を開催したことです。3月14日にNHKホールで行われ、放送文化賞の贈呈などと合わせて「放送開始100年」を公式に位置づける場になりました。

また“周年”を一過性で終わらせず、体験として残した動きも目立ちます。NHK放送博物館では、放送の100年をたどれる常設展示に加え、2025年春時点で災害報道など「信頼できる情報を伝える知恵と技術」を重点的に見せる構成が紹介されています。

さらに、放送の始まりを「ラジオ文化の歴史」として掘り起こす企画展も行われました。たとえば日本ラジオ博物館では、2025年3月15日〜12月14日の長期日程で「ラジオ放送百周年記念展」を実施し、節目を通年で扱う動きが確認できます。

つまり2025年の“放送100年”は、番組の話題だけではなく、式典・ミュージアム・企画展といった形で、放送史が生活の中に浮かび上がった年だった――この「可視化」こそが、年末の文化トピックとして残りやすいポイントです。

万博に合わせた大型文化展・特別展が増加(例:京博の関連特別展)

2025年は大阪・関西万博の開幕を追い風に、関西圏を中心に「万博開催記念」を冠した大型展が目立った年でした。代表例が、京都国立博物館で開催された「大阪・関西万博開催記念 特別展 日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」。会期は2025年4月19日〜6月15日で、万博開幕(4/13)直後から“文化の回遊”を強く意識した日程になっています。

この特別展が「万博と連動した文化トピック」として扱いやすいのは、万博のテーマが未来・テクノロジーだけに寄りがちな中で、こちらは逆に日本文化が異文化と交わってきた歴史(交流の積み重ね)を軸に据えている点。万博=国際交流という大きな枠に、博物館展示が“歴史側”から応答した形です。

さらに2025年は、こうした「万博を契機に、周辺地域の展覧会やイベントが厚くなる」現象が可視化され、京都側でも万博関連の展覧会情報をまとめて発信する動きがありました。万博が会場の中だけで完結せず、周辺都市の文化施設にも波及していった――という空気を伝えるトピックとして、年末まとめに入れやすい一本です。

2025年を振り返って|多層化した話題が交錯した一年

東京スカイツリーと浅草の五重塔が夕暮れに輝く東京の街並み。2025年の話題を象徴する日本の都市風景。

2025年は、ひとつの大事件が一年を塗りつぶしたというより、「話題の種類が多すぎる年」でした。放送や映画の論点は“倫理”や“見せ方”まで掘られ、ゲーム/アニメ/マンガは市場規模やイベントのスケールで“熱量”が可視化。ネット/SNSではルール整備と障害・炎上が同時に進み、社会面ではクマ被害や猛暑、賃上げ、金利、訪日客と、生活に直撃するテーマが次々と表面化しました。

そして、そんな重たいニュースの合間に挟まる「なぜか忘れられない珍ニュース」が、逆に2025年らしい余白として残るのも面白いところ。万博や国際芸術祭、放送100年の節目が文化の空気を押し上げた一方で、SNSはその空気を増幅も分断もさせる――このねじれた同居こそが、2025年の輪郭だったのかもしれません。

ここで挙げた話題は、年末の振り返りで終わるものもあれば、2026年以降も続くものもあります。だからこそ「今年はこんな一年だった」で閉じずに、気になったテーマから掘り下げていくと、2025年の出来事が“自分の生活や価値観にどう影響したか”まで見えてくるはずです。

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