キスリム 忖度なしレビュー|“サキュバスと共同生活”の魅力と、買う前に知りたい注意点
『キスリム』は、人間世界で居場所を失いかけたサキュバスの少女「リリー」と主人公の共同生活を描くノベル系アドベンチャーです。シナリオはK.バッジョ氏、キャラクターデザインは天音るり氏が担当し、甘さだけで押し切るのではなく“少し不器用で不思議な関係”を軸に進む作りが特徴として紹介されています。この記事では、公式情報で確定している内容を整理しつつ、どんな人に刺さって、どんな人が合わないのかを忖度なしでまとめます。
作品概要・基本情報
『キスリム』は、人間世界で居場所を失いかけたサキュバスの少女「リリー」と主人公の、少し不器用で少し不思議な共同生活を描くアドベンチャー(ノベル系)です。シナリオはK.バッジョ氏、イラストは天音るり氏が担当し、ヒロインのリリーは御園結唯さんがCVを務める形で紹介されています。甘さ一辺倒というより「共同生活」を軸に関係性を積み上げるタイプの作品として押し出されています。
基本データ
- タイトル:キスリム
- 対応機種:Nintendo Switch / Steam
- 発売日:2025年12月25日
- 価格:
- 完全生産限定版(Switch):9,900円(税抜9,000円)
- 通常版(Switch):3,960円(税抜3,600円)
- ダウンロード版(Switch / Steam):2,970円(税抜2,700円)
- CERO:D
- 販売元:エンターグラム
- 権利表記:©ENTERGRAM
完全生産限定版の内容
完全生産限定版には、B2タペストリー/録り下ろしドラマCD/アクリルフィギュア/アクリルキーホルダーが同梱特典として案内されています。
キスリムの良かった点|“オーソドックスなノベルADV”としてツボを外していない

『キスリム』のゲーム部分は、公式の商品説明で「選択肢を選んで分岐していく、オーソドックスなノベルタイプアドベンチャーゲーム」と明言されています。つまり、操作で何かをアクションさせるタイプではなく、基本はテキストを読み進め、要所で選択肢を選び、結果として展開が変わっていく“読み物の分岐型”です。ここが明確なので、ノベルADVを求めている人にとっては迷子になりにくい。
また、同じく公式に「ヒロインフルボイス」「主人公の名前入力機能付き」「E-moteによる立ち絵アニメーションあり」と明記されています。フルボイスは“読むテンポ”と相性がよく、E-moteは立ち絵の表情や動きで空気を作れるので、ノベルADVで起きがちな“紙芝居感”を和らげる方向の強みになります。少なくとも仕様としては、没入を支える要素が最初から揃っています。
物語面でも、公式サイトのストーリー説明が「深夜、橋の下で泣いている少女(サキュバス)と出会い、主人公が手を差し伸べたところから共同生活が始まる」とかなり明快です。導入で目的(助ける/生活する)がはっきり立つので、ノベルADVで重要な“読み始めの引力”は作りやすい型に入っています。
最後に、ヒロインの人物像も公式サイトに具体的に書かれていて、「男性が苦手で吸精(エナジードレイン)がうまくできず、追放されそう」という弱点と、「普段は穏やかで献身的だが、吸精時は煽るような言葉遣いになる」というギャップまで提示されています。ノベルADVは“キャラの差分”で読ませるジャンルなので、最初からギャップを武器として提示しているのは、ゲーム内容(会話劇)としても強いポイントです。
キスリムの気になった点|買う前に合う/合わないが出やすいところ

まず一番大きいのは、公式に「オーソドックスなノベルタイプのアドベンチャー」と明記されている通り、ゲーム体験の中心が“読むこと”に寄っている点です。アクションや探索などで手を動かす遊びを期待すると、体験の方向性がズレます。文章と選択肢で進むタイプが好きかどうかで、満足度がはっきり割れます。
次に、ヒロインが「男性が苦手で、吸精(エナジードレイン)がうまくできず追放されそう」という設定が公式ストーリーで提示されています。これは“守ってあげたい”“支えたい”系の関係性が好きな人には刺さる一方、最初からヒロインの弱さや追い込まれた状況が前提になるので、軽いラブコメだけを求める人には合わない可能性があります。
また、公式のキャラクター紹介で「普段は穏やかで献身的だが、吸精時は煽るような口調になる」と明記されています。このギャップは武器でもありますが、言い換えると“甘さ一辺倒”ではなく、煽り・挑発系のニュアンスが含まれるタイプ。そこが好みに合わないと、刺さるどころかノイズにもなり得ます。
そして、仕様面では「主人公の名前入力機能付き」と明記されています。没入感が上がる一方、実況や感想共有を前提にすると、名前を固定しない限り文章の読みやすさが下がったり、スクショで違和感が出ることもあります。ここは人によってプラスにもマイナスにも振れます。
最後に、ヒロインフルボイスやE-mote立ち絵アニメーションは魅力ですが、逆に言うと“演出が合うか”で評価が変わりやすいポイントでもあります。ボイスのテンションや間、立ち絵の動きが好みに合えば強い没入要素になりますが、合わなければテンポを落とす要因にもなり得る。ここは実プレイ(または公式が出している動画)で肌に合うか確認してから買うのが安全です。
キスリムならでは|“サキュバスの弱点”が物語のエンジンになっている
『キスリム』は、サキュバス=強い誘惑者という定番イメージに対して、公式ストーリーで「男性が苦手で、吸精(エナジードレイン)がうまくできず、追放されそう」という“弱点”を最初から中心に置いています。主人公との共同生活は、単なる同居ラブコメの舞台装置ではなく、リリーが居場所を失わないための切実さが土台になっている。ここが、甘さだけで転がしがちなサキュバス題材の中では、作品の推進力として特徴になります。
“献身と煽り”の二面性を公式が明確に打ち出している
キャラクター紹介で「普段は穏やかで献身的だが、吸精時は煽るような言葉遣いになる」と明記されているのもポイントです。ギャップ自体は珍しくないものの、この作品はそれを“性格のブレ”ではなく、状況(吸精の場面)に紐づいたスイッチとして提示している。ノベルADVとしては、会話の温度差を作りやすく、読後の印象を残しやすい要素です。
忖度なしスコア(暫定)
『キスリム』は、選択肢で物語が分岐していくオーソドックスなノベルアドベンチャーとして設計されています。ヒロインはフルボイス対応で、立ち絵にはE-moteによるアニメーション表現が採用されており、読み進めること自体に集中しやすい作りです。操作やルールで迷わせる要素がなく、「物語とキャラクターを追うこと」に体験を寄せた構成になっています。
物語の核となるのは、サキュバスでありながら吸精が苦手というヒロインの弱点と、主人公との共同生活です。設定が早い段階で提示されるため、プレイヤーは何を軸に読み進めればいいのかを理解しやすく、ノベルADVとしての導線は整理されています。キャラクターの性格や関係性を会話で積み上げていくタイプの作品として、設計上の迷いは少ない印象です。
一方で、題材やCERO区分の性質上、誰にでも広く勧められるタイプではありません。甘さや雰囲気を楽しめる人には評価が伸びやすい反面、刺激や意外性を重視する層には物足りなさを感じさせる可能性があります。全体として、ノベルアドベンチャーとしての「分かりやすさ」と「キャラクター主導の構成」を評価軸に据えた、方向性のはっきりした一本です。
| 評価項目 | スコア |
|---|---|
| ジャンル適合(選択肢で分岐して進むノベルADVとしての分かりやすさ) | 7.5 / 10 |
| 没入の土台(ヒロインフルボイス+E-mote立ち絵アニメーション) | 7.6 / 10 |
| キャラのフック(共同生活+“吸精が苦手”という弱点設定の明確さ) | 7.4 / 10 |
| ならでは度(献身と煽りの二面性を軸にしたキャラ設計) | 7.0 / 10 |
| 好みの分かれやすさ(題材・CERO Dの性質で合う/合わないが出やすい) | 6.8 / 10 |
| 情報の明確さ(公式でストーリー・仕様・限定版内容が整理されている) | 7.8 / 10 |
| 総合スコア(暫定) | 7.1 / 10 |
仕様だけで見ると手堅いノベルADVですが、最終的な評価は「リリーというキャラと共同生活の空気感」にハマれるかで大きく動くタイプです。
Nintendo Switch用ソフト「キスリム」の完全生産限定版。 限定パッケージや特典アイテムなど、ファン向けの豪華仕様となっており、 作品世界をより深く楽しみたい人がコレクションとして持っておきたいセットです。
価格・在庫・特典内容などは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。
総評

『キスリム』は、サキュバスの少女リリーと主人公の共同生活を軸に、選択肢で物語が分岐していくノベルタイプのアドベンチャーです。作品としての方向性はかなりストレートで、プレイヤーに求めるのは「読み進めて関係性の変化を味わうこと」。ゲーム性で驚かせるというより、キャラクターの距離感と会話の積み上げで勝負するタイプです。
本作の“ならでは”は、公式ストーリーで提示されている設定の組み立て方にあります。リリーは男性が苦手で、吸精(エナジードレイン)がうまくできず追放されそう――という弱点が最初から明確で、共同生活が単なるお約束ではなく「居場所を作るための現実的な理由」に結びついている。さらにキャラ紹介では、普段は穏やかで献身的なのに、吸精の場面では煽るような口調になる二面性まで明記されていて、会話劇の温度差を作れる仕掛けが最初から用意されています。
一方で、ここは忖度なしに言うと、刺さるポイントがはっきりしているぶん、合わない人には合いません。CEROはDで、題材も“サキュバスとの共同生活”という時点で好みが分かれる。さらにノベルADVとしてオーソドックスな設計なので、刺激の強いギミックや、派手にゲーム性で引っ張る作品を求める層とは相性がズレます。
総合すると『キスリム』は、「キャラクター主導の共同生活もの」「会話と関係性の積み上げ」「穏やかさと煽りのギャップ」といった要素が好きな人に向いた一本です。逆に、ゲーム性の新しさやテンポの速い展開を最優先にする人は、購入前に公式情報や紹介動画で“空気感”が合うか確認してから選ぶのが安全です。
© ENTERGRAM
※本記事内の画像・動画は、エンターグラム公式サイトおよび公式YouTubeチャンネルより引用しています。
著作権は各権利者に帰属します。