- ハイスコアガール1巻レビュー|大野が無口な理由と二人の関係を考察
- 『ハイスコアガール』第1巻の基本情報
- あらすじ|1991年、ゲームセンターで出会った二人
- 結論|ゲームに勝つ話ではなく、誰かと遊びたいと思うようになる話
- 自分の得意分野を、よりによって優等生に奪われる悔しさ
- 大野晶はなぜ話さないのか|「無口」を漫画の弱点にしない工夫
- 『ストII』では敵、『ファイナルファイト』では味方――なのに簡単には仲良くならない
- ゲームセンターの外へ出て、ハルオが初めて知る大野
- 第1巻のゲームは、懐古ネタではなく人物を動かす道具
- 第9話の空港|ゲームの外で、ハルオがようやく自分の気持ちを言葉にする
- 漫画表現として面白い点|「無言」とゲーム画面で感情を描く
- 弱点もある|ゲームを知らない読者と、ハルオの未熟さ
- 通常版と『CONTINUE』第1巻はどう違う?
- 本編は完結済み? 『DASH』とは別の物語
- 著作権をめぐる出版問題はどうなった?
- 『ハイスコアガール CONTINUE』第1巻を読む・購入する
- まとめ|勝った負けたより、一緒に遊んだ時間が残る
ハイスコアガール1巻レビュー|大野が無口な理由と二人の関係を考察

ゲームで負けた相手が、気に入らない。しかも自分より強いのは、学校ではまるで接点のない優等生の女の子。そんな出会いが、やがて忘れられない別れにつながっていく。
押切蓮介『ハイスコアガール』第1巻は、1991年のゲームセンターを舞台にしたラブコメディだ。ただ、古いゲームの名前が次々に出てくる懐かしさだけで読ませる作品ではない。対戦から始まった矢口ハルオと大野晶の関係が、一緒に遊ぶ時間を経て変わっていく。その変化が驚くほどゲームの遊び方と結びついている。
なぜ大野はほとんど話さないのに、二人の距離が近づいていくのか。 そして、いつも勝敗ばかり気にしていたハルオが、どうして最後には大野と一緒にゲームを遊べなくなることを悲しむのか。第1巻の小学生編に絞って考えてみたい。
※以下は第1巻終盤の展開まで触れるネタバレありの考察です。 評価範囲は2012年発売の通常版第1巻(第1~9話)を基本とし、続巻やアニメの追加場面を根拠にはしません。
『ハイスコアガール』第1巻の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | ハイスコアガール 1(2012年通常版) |
| 著者 | 押切蓮介 |
| 出版社 | スクウェア・エニックス |
| レーベル | ビッグガンガンコミックスSUPER |
| 発売 | 2012年2月刊(書誌では2月25日発売の表記) |
| ISBN | 978-4-7575-3512-1 |
| 対象範囲 | 通常版第1巻・第1話~第9話/小学生時代 |
| シリーズ | 本編全10巻・完結済み |
2016年には、通常版1~5巻を改訂した『ハイスコアガール CONTINUE』が発売された。表紙描き下ろし、加筆・修正に加え、各巻16ページの描き下ろし読切を収録している。CONTINUEは続編の名前ではなく、序盤5冊の改訂版だ。現在読むために買う場合の違いは後半で詳しく整理する。
あらすじ|1991年、ゲームセンターで出会った二人
1991年。勉強も運動も得意ではない小学生・矢口ハルオにとって、ゲームセンターは自分の腕前で勝負できる特別な場所だった。ところがそこで、学校の優等生として知られる大野晶に圧倒されてしまう。大野は成績も運動も優秀なお嬢様。ハルオとは住む世界が違うように見えるのに、ゲームでも手がつけられないほど強い。
『ストリートファイターII』での対戦をきっかけに、二人はゲーセンで顔を合わせるようになる。ハルオは悔しがり、大野の実力を意識する。大野は自分の気持ちをほとんど言葉にしない。それでも『ファイナルファイト』での協力プレイや、一緒に遊びに出かける時間、家庭用ゲームをめぐる出来事を通じて、ただの対戦相手ではなくなっていく。
だが大野には家庭の事情があり、二人の時間はずっと続かない。海外へ引っ越すと知ったハルオは、初めて大野の存在が自分にとってどれほど大きくなっていたかを思い知らされる。第1巻は、少年が空港へ走り、これまでの時間を形にして手渡そうとするところまでを描く。
結論|ゲームに勝つ話ではなく、誰かと遊びたいと思うようになる話
最初のハルオは、ゲームの強さを自分の価値と結びつけている。学校ではぱっとしなくても、ゲームの世界なら胸を張れる。その居場所に大野が現れ、自分を上回る。だから最初の感情は好意よりも敵対心に近い。
ところが巻末でハルオが惜しむのは、彼女に負けた記録でも、勝ち損ねた一戦でもない。これから次々に登場するゲームを、大野と一緒に楽しめなくなることだ。この変化が第1巻の芯になっている。ゲームは最初、二人の優劣を決めるものだった。最後には、同じものを面白がれる相手がいることの大切さを教えるものへ変わる。
大野がなぜ寡黙なのかという設定上の説明だけで、この巻を読んでしまうのは惜しい。ほとんど会話が成立しない相手とでも、プレイや行動を重ねれば関係が育つ。その過程こそ『ハイスコアガール』の特徴だ。
自分の得意分野を、よりによって優等生に奪われる悔しさ
学校でのハルオは、勉強も運動も苦手な少年として紹介される。一方の大野は、何でもそつなくこなす優等生だ。普通なら競争の土俵に立てないほど離れている二人が、ゲーセンでは同じ筐体の前に座る。
面白いのは、ゲームの世界では学校の成績が何の保証にもならないことだ。テストの点も家庭環境も関係なく、その場でどれだけ上手く操作できるかで勝負が決まる。ハルオはそこに救われていたはずなのに、大野はその土俵でも強い。だからこそ、ただの敗北より腹が立つ。
ここでハルオは決して最初から立派な主人公ではない。負けたくない一心で、相手がどう受け止めるかを考えずに振る舞う。その幼さをギャグとして見せながら、負けた相手から目を離せなくなる状態を作っている。嫌いなら関わらなければいいのに、気になって仕方がない。恋愛以前に、まずライバルとして大野が特別になっていく。
大野晶はなぜ話さないのか|「無口」を漫画の弱点にしない工夫
大野は言葉で心情を説明しない。だからといって、感情のない人間として描かれているわけではない。ゲームに夢中になる、嫌なことには怒る、相手に反応する。表情や仕草が大切な情報になる。
実はここに漫画としての仕掛けがある。ハルオのほうはよくしゃべり、自分の理屈も勢いよく口にする。対する大野は多くを語らない。読者はハルオの解釈を聞きながら、同時に大野の反応を見て「それ、本当に合っているのか?」と考えられる。しゃべる側の説明が、必ずしも正解とは限らない。
大野に台詞を与えずに進めることで、ゲームの選び方、相手に向ける視線、遊び終わったあとの様子などが、二人の会話に近い役割を持つ。説明台詞で好意を先取りしない分だけ、関係の変化が分かりやすい行動になって表れる。
ただし「無口だからかわいい」で終わらせるのは違う。第1巻の彼女には、学校で見せる優等生の姿だけでなく、家庭の制約から離れてゲームに没頭する時間がある。ゲームはハルオだけの逃げ場所ではない。二人にとって意味が違うからこそ、同じ画面を見ていても最初から互いを理解しているわけではない。
『ストII』では敵、『ファイナルファイト』では味方――なのに簡単には仲良くならない
対戦するゲームは、相手を「倒す対象」にする
『ストリートファイターII』は一対一で戦う対戦格闘ゲーム。ハルオと大野の出会いにふさわしく、目の前の相手に勝てるかどうかが何よりはっきりする。ハルオの得意分野で負ける悔しさも、何度でも挑もうとする気持ちも、このルールだから生まれる。
そして、勝つために有利な戦法を選ぶことと、相手から尊敬されることは同じではない。ゲーム内の勝敗が決着しても、二人の関係は決着しない。対戦格闘ゲームの仕組みが、そのまま少年の未熟さを浮かび上がらせる。
協力プレイは、ただの仲良しイベントではない
『ファイナルファイト』は横スクロールのアクションゲームで、二人で同時に遊べる。対戦格闘とは違い、画面の向こうにいる敵へ一緒に向かうことができる。
しかし、協力プレイに入っただけで大野の機嫌が良くなるわけではない。彼女の楽しみ方や腕前を尊重しなければ、助けるつもりの参加も迷惑になる。実際、ハルオが協力のつもりで加わって大野を怒らせる場面は、この漫画の性格をよく表している。
相手と同じゲームを遊べば気持ちが通じる、という都合のよい理想ではない。一緒に遊ぶには、相手がどう遊びたいかを知る必要がある。 勝ちたいだけだったハルオが、少しずつ他人の楽しさを意識し始める。対戦から協力へ変わること自体より、その途中の失敗に意味がある。
ゲームセンターの外へ出て、ハルオが初めて知る大野
二人の関係が変わるのは、ゲームセンターで勝敗を競う場面だけではない。遊びに出かけたり、家庭用ゲームに触れたりするなかで、ハルオは大野の普段の暮らしにも目を向けるようになる。
PCエンジンが印象に残るのも、単なる懐かしいハードだからではない。ゲームセンターという公共の場所では、二人は他の客と同じルールで遊ぶプレイヤー同士だ。家庭用ゲームになると、遊べる時間や場所、誰の家にゲーム機があるのかといった生活上の違いが表面化する。ゲームへの情熱は同じでも、自由に遊べる環境は同じではない。
ハルオは自分にとって当然だった遊びが、大野には簡単に手に入らないことを知る。その気づきは、「自分より強い嫌な相手」から「一緒に遊びたい相手」へ気持ちが変わるうえで欠かせない。
ここで時代設定も効いてくる。家庭の外へ出て実際に筐体の前へ座ること、100円玉を入れること、ゲーム機やソフトを持っている相手の家で遊ぶこと。1991年のゲーム体験は、人と人が同じ場所を共有することに強く結びついていた。ゲームセンターの料金文化については、つぶログの「1プレイ100円」が長く続いた理由を検証した記事でも詳しく扱っている。
第1巻のゲームは、懐古ネタではなく人物を動かす道具
| ゲーム・機種 | 当時の遊び方 | 第1巻での読みどころ |
|---|---|---|
| ストリートファイターII | 相手と対戦し、勝敗を争う | 自尊心が傷つく出会い。相手の腕を認めざるを得ない悔しさ |
| ファイナルファイト | 協力して同じ敵と戦える | 一緒に遊んでも、相手の楽しみ方を無視すれば衝突する |
| PCエンジン | 自宅などで遊ぶ家庭用ゲーム機 | ゲームの外にある二人の生活環境の違いが見えてくる |
登場ゲームを全部並べたくなる作品だが、第1巻レビューの中心にすべきなのはゲーム数ではない。そのゲームを別のタイトルに入れ替えても、同じ感情の動きが成立するのか。そこまで考えると、作品が単にゲーム名を借りているだけではないことが見えてくる。
当時のゲームを知っている読者には、遊び方そのものが思い出を刺激する。知らない読者は、ゲーム名より「どちらが勝ちたいのか」「どちらが困っているのか」「次は一緒に遊べるのか」を追えばいい。専門用語が分からなくても、二人の関係を読む入口はある。
第9話の空港|ゲームの外で、ハルオがようやく自分の気持ちを言葉にする
第1巻の後半で、大野は家庭の事情によって日本を離れることになる。ハルオは最初、その事実をきちんと受け止めきれない。毎日のように同じゲームを遊んできた相手が、これからは同じ場所にいない。相手の強さを気にしていたときには想像していなかった寂しさが生まれる。
この別れで効くのが、ゲームのキャラクターたちがハルオの内側の声を代弁するような演出だ。これまで彼の頭を占めていたゲームは、現実から逃げるためのものではなく、今の気持ちに向き合う後押しになる。ゲームが好きだということと、大野が大切だということを、ハルオはようやく切り離せなくなる。
空港で渡されるのは、豪華な贈り物でも、二人の関係を保証する品物でもない。かつて一緒に出かけたゲームセンターで手に入れた指輪だ。大人が選んだ高価な物ではなく、二人にしか分からない時間が染みついた、ありふれた景品。あれほど勝ち負けを気にしていた少年が、最後に相手へ差し出すのはスコアでも勝利でもなく、共有した記憶なのである。
そして大野は、最後まで分かりやすい説明の台詞を並べるのではない。別れ際にあふれる感情が、彼女の沈黙を破る。冒頭から感情を簡単に語らなかった人物だからこそ、その反応には重みがある。
第1巻がきれいなのは、恋人同士になるところで閉じず、「もっと一緒に遊んでいたかった」という感情にたどり着いて終わる点だ。 はっきりした告白より先に、二人にはすでに失いたくない時間があった。
漫画表現として面白い点|「無言」とゲーム画面で感情を描く
漫画でテレビゲームを描く場合、実際のゲーム画面をそのまま説明するだけでは単なる紹介になりやすい。『ハイスコアガール』は、画面の勝敗やゲームキャラの動作を、ハルオ自身の気持ちと重ねていく。プレイヤーの腕前と人間関係は別だが、彼にとってはその二つが最初から密接につながっている。
大野の感情が台詞ではなく顔や手の動きに寄せられる一方、ハルオの内面はゲームへの熱っぽい言葉にあふれている。二人の表現方法がまったく違うことが、会話の噛み合わなさを生み、同時に読者が表情を読む余地にもなる。
最初は対戦で相手を倒すのに夢中だったハルオが、最後には空港で相手に何かを伝えようと必死になる。ゲーセンと空港という場所の違いまで含めると、物語の進歩がよく分かる。コントローラーを操作している時間が、いつの間にか他人へ向かって動く力になっていた。
弱点もある|ゲームを知らない読者と、ハルオの未熟さ
この第1巻は誰にでも無条件で勧められるタイプではない。ゲーム名や対戦格闘の戦法が次々に出てくるため、名前を知っているだけで分かる面白さも確かにある。当時のアーケードゲームをほとんど知らない人にとっては、ギャグの一部が説明不足に感じられるだろう。
ハルオの振る舞いも、人によって好みが分かれる。ゲームに強いことへ執着し、負けた悔しさを相手へ向ける場面がある。大野の感情表現には身体的な反撃を含むコメディがあり、現代の感覚では荒っぽく映ることもある。ここを「子どもだからかわいい」で全部片づけるのは雑だ。
ただ、二人を最初から礼儀正しい理想の少年少女にしないことが、関係の変化を成立させてもいる。ハルオは自分の好きなものに夢中になりすぎて、目の前の相手を見落とす。そこから少しずつ視線が変わるから、第9話の行動に意味が出る。
もう一つ、序盤のゲームやギャグの密度と、終盤の切ない別れとの落差も大きい。ゆったりした恋愛漫画を期待すると騒がしく、純粋なゲーム史漫画を期待すると感情描写が多い。その両方が混ざる作品であることを、読み始める前に知っておくと印象は変わるはずだ。
通常版と『CONTINUE』第1巻はどう違う?
ここは購入前に一番間違えやすい。今回は2012年発売の通常版第1巻を基準に物語を分析しているが、現在の購入案内では2016年発売の『CONTINUE』版が中心だ。
| 比較 | 2012年通常版1巻 | 2016年CONTINUE 1巻 |
|---|---|---|
| ISBN | 9784757535121 | 9784757550391 |
| 発売 | 2012年2月 | 2016年7月25日 |
| 物語 | 小学生時代の第1~9話を中心とする元の第1巻 | 元のストーリーを維持したリニューアル版 |
| 収録・仕様 | 初刊行時の内容 | 表紙描き下ろし、一部加筆・修正、16ページの描き下ろし特別読み切り |
| 選び方 | 初刊行時の原本やコレクションを重視する人向け | 今から本編を読み始めたい人向け |
スクウェア・エニックスは『CONTINUE』を、通常版のストーリーを維持したリニューアル版と説明している。したがって、旧版1巻の続きが『CONTINUE 1巻』という関係ではない。読む順番は「CONTINUE 1~5巻」→「通常版6~10巻」で問題ない。
なお、改訂前後でゲームの描写などに修正があるため、旧通常版を基準にした場面を新しい版のページ番号で案内することは避けたい。両版を持っている読者は、同じ場面でも絵や細部が異なる可能性を踏まえて読むとよい。
本編は完結済み? 『DASH』とは別の物語
『ハイスコアガール』本編は全10巻で完結している。最終10巻の発売日は2019年3月25日。2016年版の『CONTINUE』1~5巻はこの10巻に別途足す5巻ではない。
続いて展開されている『ハイスコアガール DASH』は、日高小春を中心とした別シリーズ。2026年4月には第8巻が発売されている。第1巻の読者は、まずハルオと大野の本編を順に読めばよく、『DASH』を先に読む必要はない。
著作権をめぐる出版問題はどうなった?
本作は過去に、ゲームキャラクターの権利をめぐってSNKプレイモアとスクウェア・エニックスの間で紛争が生じた。2014年に刑事告訴・民事訴訟へ発展したが、2015年8月24日に和解が成立。スクウェア・エニックスは出版・販売を継続できると公式に発表した。2016年には『CONTINUE』の刊行と連載再開が行われている。
「著作権侵害が裁判で確定した作品」や「現在は販売できない作品」という理解は正しくない。現在は改訂版が正規に販売されている。出版問題を気にしている人は、2015年のスクウェア・エニックス公式和解発表で経緯を確認できる。
『ハイスコアガール CONTINUE』第1巻を読む・購入する
最初にゲームでぶつかった二人が、空港の別れまでにどう変わるのか。実際の表情やゲーム画面と一緒に確かめたいなら、現在も新品の取扱いがある『ハイスコアガール CONTINUE』第1巻から読み始められる。下の画像は2012年通常版の表紙だが、リンク先は2016年の改訂版なので、購入時には書名の「CONTINUE」を確認してほしい。
押切蓮介/スクウェア・エニックス。1991年のゲームセンターで始まるハルオと大野の物語を収録した改訂版第1巻。表紙・一部描写の修正と16ページの描き下ろし読切があります。※画像は2012年の旧通常版です。
価格・在庫・仕様や版の違いなどは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。
まとめ|勝った負けたより、一緒に遊んだ時間が残る
『ハイスコアガール』第1巻は、ゲーム好きの少年が、強すぎる少女と出会うところから始まる。最初のハルオにとって、大野は自分の自尊心を傷つける存在だった。自分が一番大切にしていた場所で、相手に勝てない。それが二人の出会いだ。
けれど、一緒に遊ぶ時間が重なるにつれて、ゲームの意味が変わっていく。誰が強いかを決めるためだけのものではなく、言葉の少ない相手とつながるためのものになる。最後に残るのは勝敗の記録ではない。二人で過ごした時間を思い出せる、小さな指輪だ。
大野がほとんど話さないからこそ、ハルオは彼女の行動を見る必要がある。そしてハルオがようやく自分の気持ちを言葉にするとき、第1巻は終わる。 レトロゲームの楽しさに包まれていながら、その下には、他人を大切に思えるようになるまでの不器用な成長がある。
資料:スクウェア・エニックス『ハイスコアガール』公式作品紹介/『ハイスコアガール CONTINUE 1』公式書誌/2016年の再刊・連載再開発表/2015年の和解発表。第1巻の場面については、初刊行当時の読了記録と照合している。