
『もっけ』で知られる熊倉隆敏による最新作『つらねこ』。青騎士コミックスから刊行された第1巻は、 「ヘンテコ不可思議異世界で、少女はこの世界の広さと美しさを知る」という公式の一文どおり、 こわさ・やさしさ・不思議が絶妙に混ざり合う導入巻でした。本文では発売情報と作品の「読み味」を、 ネタバレを避けつつまとめます。
発売情報
- 発売日:2023年2月20日
- 出版社/レーベル:KADOKAWA/青騎士コミックス
- 判型・ページ数:B6判・208ページ
- 定価:792円(本体720円+税)
- ISBN-13:9784047374102
- 紙・電子:同日配信(主要ストア)
※上記はKADOKAWA公式の商品ページおよびAmazon商品ページの記載に基づきます。
公式導入(ネタバレなし)
主人公・知里の悩みは、住む町の御神木から2km以上離れられないという不思議な“縛り”。
そこに現れた怪しい眼鏡のお姉さん・六尺先生が差し出したのは、別の土地へ抜けられる通路 「ネドコ」。不思議な生き物が漂うその空間で、知里は世界を“少しずつ広げる”冒険に踏み出します。
作品の“読み味”ポイント
1. こわさ・やさしさ・不思議のバランス
怪異そのものは説明し過ぎず、「見えるけれど言い切れない」距離感で描くのが熊倉作品らしさ。 ただ脅かすのではなく、環境や風習、時間の流れの中に“怖さ”が滲む。その一方で、知里の小さな一歩を温かく見守る 眼差しが必ず添えられ、ページを閉じた後にやわらかな余韻が残ります。
2. 「制限」を物語の推進力にする設計
半径2kmの縛りは、行ける場所・会える人・見える景色を限定します。そこでネドコという抜け道が“世界の広げ方”として機能。 大事件よりも、地続きの発見が積み上がる“拡張の物語”として読めます。読者も知里と同じ歩幅で世界を知る感覚が楽しい。
3. バニーガール衣装のギャップ
表紙で目を引く衣装は、作品全体のトーンを軽くするためのギャグではなく、 異界に入る際の“儀式”や“装備”としてのニュアンスを帯びています。異界の“異様さ”と日常の“可笑しさ”が 同時に立ち上がる、このアンバランスさがクセになる。
4. 線と空気の漫画
細密な背景と、抜けるコマ運び。ページの“余白”に湿度や時間が宿る作画は、デジタル端末でも紙でも読みやすい。 とくにB6判208ページというボリュームは、1巻読了の満足感と続巻への期待のバランスが良いです。
初めて読む人へのガイド
- 怪異の“設定解説”は最小限。雰囲気と出来事から感じ取るタイプの物語です。
- 恐怖演出はじわり型。ホラー耐性が高くなくても読みやすい。
- 第1巻は導入の手触りが中心。人物関係・世界観の伸びしろは続巻へ。
試し読み(公式)
まずはカドコミ(コミックウォーカー)の第1話常設公開から雰囲気を掴むのがおすすめです。
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――やさしさとこわさの境界で迷子になる。残るのは静かな余韻。
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参考情報(一次ソース)
まとめ
『つらねこ(1)』は、不思議=怖いを直球で描かず、不思議=世界を広げる契機としてそっと提示する導入巻。 知里の一歩に寄り添う視点と、六尺先生の“外への道”が交差して、ページごとに景色が拓けていきます。 まずは試し読みで空気を感じ、気に入ったら紙でも電子でもどうぞ。
関連リンク(公式・一次情報)
作品データ
- タイトル
- つらねこ(1)
- 作者
- 熊倉隆敏
- レーベル
- 青騎士コミックス(KADOKAWA)
- 判型/ページ数
- B6判/208ページ
- 発売日
- 2023年2月20日
- 定価
- 税込792円(本体720円+税)
- ISBN-13
- 9784047374102