
『メタモルフォーゼの縁側』1巻の基本情報
- 発売日:2018年5月8日
- 出版社/レーベル:KADOKAWA/単行本コミックス
- 判型:A5判/146ページ
- 定価:858円(税込)
- ISBN-13:978-4041068304
出典:KADOKAWA 公式書誌、Amazon商品ページ。 KADOKAWAオフィシャルサイトAmazon
75歳の雪と17歳のうららをつないだのはBLだった
75歳の市野井雪は、書店で表紙に惹かれた一冊を手に取る。それがBLコミックスだった。レジに立っていたのは、周囲には隠しながらBLを読んでいる17歳の高校生・佐山うらら。年齢は58歳離れているが、二人の間で最初に重要になるのは世代差ではない。同じ作品を読んで、続きを知りたいと思い、その感想を誰かと話したい。そんなごく普通の読者同士として出会うところから、1巻の関係が始まる。
参考映像:公式PV
出典:YouTube 作品PV(ロングVer.)。 YouTube
1巻が面白いのは「年の差58歳」そのものではない
1. 会話より先に、二人の居心地が見えてくる
本作は、二人が急に親友になるような展開を置かない。雪が漫画を読む姿、うららが相手の反応を気にする表情、言葉が途切れた時間。そうした小さな場面を積み重ねながら、少しずつ「この人とは話せる」という感覚を作っていく。友情の成立を説明するより、二人が同じ場所にいて無理をしなくなる過程を見せる漫画だ。
2. 雪だけでなく、うららにも必要な出会いだった
75歳で初めてBLに出会う雪の方が目立つが、1巻は「年配の女性が新しい趣味を始める話」だけではない。うららもまた、自分の好きなものを周囲へ簡単には話せない高校生だ。雪が素直に作品を面白がり、分からないことを尋ねる。その反応によって、うららの側にも初めて安心してBLの話をできる相手ができる。二人は一方的に教える側と教わる側ではない。
3. 世代差を笑いにも感動の道具にも使いすぎない
58歳という年齢差は大きい。それでも本作は「こんなに年の離れた二人が友達になるなんて」と珍しさだけを押し出さない。雪には雪の知らないことがあり、うららにはうららの知らないことがある。BLという共通の話題を前にすると、その差よりも「次の巻を読みたい」「この場面が好き」という感情の方が先に立つ。そこが二人の関係を自然に見せている。
「好きな作品を誰かと話せる」ことを丁寧に描く
- 雪がBLを「知らないもの」として素直に楽しむこと
知識のなさを笑いにせず、作品に夢中になる過程そのものを描く。 - うららが、自分の好きな漫画を他人と話せるようになること
雪との出会いは、うららにとっても初めて安心して趣味を共有できる時間になる。
全5巻で完結、2022年には実写映画化
- 原作は全5巻で完結。KADOKAWA公式でも全5巻が案内されており、『このマンガがすごい!2019』オンナ編では第1位に選ばれている。
- 2022年には実写映画化。芦田愛菜、宮本信子が主演し、日活配給で2022年6月17日に全国公開された。 日活公式
静かな漫画だが、二人の距離が変わる瞬間ははっきりしている
大きな事件で引っ張る漫画ではなく、会話や表情の変化をゆっくり追う作品だ。BLという題材に詳しくなくても、好きな作品について誰かと話したくなる感覚が分かれば入りやすい。一方で、展開の速さや強いドラマを1巻から求める人には、かなり静かに感じる可能性がある。
公式情報
- KADOKAWA:書誌情報(1巻) KADOKAWAオフィシャルサイト
- 実写映画の作品情報・公開日 日活公式
まとめ|「好き」が同じだけで、58歳差の二人は友達になれる
『メタモルフォーゼの縁側』1巻で面白いのは、75歳と17歳という大きな年齢差を超える特別な事件が起きることではない。同じ漫画を読み、続きを楽しみにし、感想を話す。その繰り返しだけで、雪とうららの間に友人としての時間が生まれていく。雪が新しい世界へ入っていく物語であると同時に、うららが自分の「好き」を誰かと共有できるようになる物語でもある。二人のどちらかが相手を救うのではなく、同じ作品を好きになった二人が、少しずつ相手の存在を必要としていく。その始まりを描いた1巻だ。
75歳の雪と17歳のうららが、一冊のBLコミックスをきっかけに知り合うシリーズ第1巻。原作は全5巻で完結しています。
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