
- PS『機動警察パトレイバー ゲームエディション』とは?3号機・空谷みどり・ゲーム内容を解説
- 『機動警察パトレイバー ~ゲームエディション~』とは?
- 『パトレイバー』は漫画を原作にしたアニメではない
- なぜ主人公は野明ではなく、イングラム3号機の新人なのか
- 空谷みどりとは?3号機を支えるもう一人の新人隊員
- 南雲しのぶは登場する?「主要キャスト総出演」ではない
- 物語の軸は「無人レイバー事件」
- 「全10話」なのに第0話がある?実際は第0話+第1~10話
- 一般的な「調査ADV」ではない|シナリオ→戦闘→後日談で進む
- RAPとは?タイミング入力で技をつなぐ独特のレイバー戦
- 37mmリボルバーカノンは6発|格闘だけでなく射撃もある
- 壊して終わりではない|被害金額と翌日の新聞が残る
- 3号機は途中でECM装備仕様へ改修される
- TVシリーズ・NEW OVA・劇場版とはどうつながる?
- グリフォン、ブロッケン、エイブラハム、そしてガネーシャ
- Production I.Gは「アニメだけ」ではなくゲーム制作そのものを担当
- 押井守監督の実写映像『PATLABOR THE LIVE ACTION MOVIE』も収録
- 2026年新作『the Case Files』とはまったく別のゲーム
- 2026年は『EZY』も劇場展開中
- 2026年現在『ゲームエディション』を遊ぶ方法は?
- まとめ|「新しい第二小隊員になる」ことをゲームにした2000年のパトレイバー
PS『機動警察パトレイバー ゲームエディション』とは?3号機・空谷みどり・ゲーム内容を解説
『機動警察パトレイバー』のゲームと聞いて、泉野明がイングラム1号機を操る作品を想像すると、2000年発売のPlayStation用ソフト『機動警察パトレイバー ~ゲームエディション~』はかなり意外なところから始まります。
プレイヤーが担当するのは野明ではありません。名前も設定されず、ほとんど顔も見せず、自分から台詞を話すこともない新人巡査。特車二課第二小隊へ新たに配属され、AV-98イングラム3号機のフォワードとなる人物です。
その相棒として3号機のバックアップを担当するのが、ゲームオリジナルの新人隊員・空谷みどり。既存の第二小隊へこの2人が加わり、人が乗っていないレイバーが次々と事件を起こす「無人レイバー」を巡る物語に巻き込まれていきます。
しかも本作は、アニメ作品を題材にゲーム会社が独自に作っただけのキャラクターゲームではありません。製品スタッフロールではゲーム企画・原案、アニメーション・ゲーム制作をPRODUCTION I.Gが担当し、監督・脚本・演出・絵コンテには檜垣亮、高田明美、出渕裕、黄瀬和哉、小倉宏昌、竹内敦志らの名前も並びます。
では、このPS版はどんなゲームだったのか。なぜ1号機でも2号機でもなく、プレイヤーは3号機の新人隊員なのか。そしてTVシリーズやNEW OVA、劇場版とはどのような関係にあるのでしょうか。
『機動警察パトレイバー ~ゲームエディション~』とは?
『機動警察パトレイバー ~ゲームエディション~』は、2000年11月30日にバンダイビジュアルから発売された初代PlayStation用ソフトです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式タイトル | 機動警察パトレイバー ~ゲームエディション~ |
| 発売日 | 2000年11月30日 |
| 対応機種 | PlayStation |
| 発売元 | バンダイビジュアル |
| 型番 | SLPS-02239 |
| 定価 | 6,800円(税別) |
| ジャンル | アクション/レイバーアクションゲーム |
| プレイ人数 | 1人 |
| メディア | PlayStation規格CD-ROM・1枚 |
| メモリーカード | 1ブロック |
| コントローラ | 標準コントローラ/アナログコントローラ対応、振動対応 |
| 原作 | HEADGEAR |
| ゲーム企画・原案 | PRODUCTION I.G |
| アニメーション・ゲーム制作 | PRODUCTION I.G |
| 製作 | バンダイビジュアル、Production I.G |
発売日については製品クレジットにも「2000.11.30 Bandai Visual」と明記され、型番SLPS-02239、JANコード4934569501721、1人用といった商品情報も複数のデータで一致します。ディスクは1枚、メモリーカード使用量は1ブロック、DUALSHOCK系のアナログコントローラと振動にも対応しています。
ジャンル表記は資料によって揺れがありますが、商品流通情報では「アクション」、後年のゲーム資料では「レイバーアクションゲーム」とされています。実際の内容も、場所を選んで聞き込みを繰り返す一般的なアドベンチャーゲームやシミュレーションゲームではなく、ストーリーシーンと3Dレイバー戦を交互に進めるアクション作品と考えるのが実態に近いでしょう。
なお2000年11月は、すでにPlayStation 2が日本で発売された後です。本作は初代PlayStation後期に登場したタイトルでもありました。
『パトレイバー』は漫画を原作にしたアニメではない
ゲームとの関係を整理する前に、『機動警察パトレイバー』そのものの成り立ちを押さえておく必要があります。
本作の製品クレジットに記された原作は、ゆうきまさみ個人や漫画版ではなくHEADGEARです。
HEADGEARは、ゆうきまさみ、出渕裕、伊藤和典、高田明美、押井守の5人を中心とするクリエイター集団。公式サイトも『パトレイバー』を、初期OVAから始まり、漫画、劇場版、TVアニメ、小説、ゲームなどへ広がった「メディアミックスプロジェクト」と説明しています。漫画版もその一つであり、「漫画を原作としてアニメ化した」という一本道の関係ではありません。
公式サイトでは作品世界も大きく分けられており、漫画版は独自の軸、初期OVAから劇場版へつながる軸、TVシリーズからNEW OVAへ続く軸などが整理されています。特に『ON TELEVISION』→『NEW OVA』のつながりは公式に明示されています。
したがってPS『ゲームエディション』を「原作漫画のゲーム化」と呼ぶのは正確ではありません。泉野明、篠原遊馬、後藤喜一らのキャスト、イングラムやグリフォン、NEW OVA側を想起させる人物配置など、実際にはアニメ系列から多くの要素を受け継いだ作品です。
なぜ主人公は野明ではなく、イングラム3号機の新人なのか
本作最大の特徴が、プレイヤーキャラクターの立場です。
主人公は特車二課第二小隊へ配属される新人巡査で、担当するのはイングラム3号機のフォワード。名前は設定されず、自分から話す台詞もなく、作中では「巡査」や搭乗機にちなんだ「三号機」といった呼ばれ方をします。姿がまったく存在しないわけではありませんが、人物像を特定できるような顔の見せ方は避けられています。
ここで重要なのは、泉野明の1号機や太田功の2号機をプレイヤーへ渡さなかったことです。
1号機と2号機にはすでに既存のフォワードがいます。その一方で、本作では主人公を新任の3号機フォワードとして増員することで、野明や太田の役割を奪わずに、既存の第二小隊へ新しい隊員を加えています。
「プレイヤー自身を『パトレイバー』世界へ入り込ませるために無名主人公にした」といった制作意図を開発者が明言した資料までは確認できません。しかし、ゲーム内設定として“既存の第二小隊に第三のフォワードが加わる”構造になっていることは明確です。
空谷みどりとは?3号機を支えるもう一人の新人隊員
主人公と同時に登場するゲームオリジナル人物が空谷みどりです。
みどりも新人巡査で、主人公が3号機のフォワードを担当するのに対し、みどりは3号機のバックアップ、つまり指揮担当として行動します。戦闘中にも主人公へ指示や声を送り、物語でも基本的に主人公と行動を共にするため、この「フォワード+バックアップ」の新人コンビがゲーム独自の中心人物になります。
製品スタッフロールでは、
空谷みどり:鶴野恭子
と明記されています。ネット上には異なるキャスト表記も残っていますが、製品版についてはスタッフロールの鶴野恭子を基準にするのが確実です。
第1話では、進士幹泰が総務課へ出向、山崎ひろみが長期研修中であることが語られ、その穴を埋める形で主人公とみどりが第二小隊へ加わります。つまり、新人2人の加入には作中でも人員配置上の理由が用意されています。
一方で、進士とひろみ自身は主要キャラクターとしてゲーム本編へ参加しません。
南雲しのぶは登場する?「主要キャスト総出演」ではない
ここは古い紹介記事ほど混乱しやすい部分です。
製品版スタッフロールで役名とキャストを確認できる主な人物は、
- 泉野明:冨永みーな
- 篠原遊馬:古川登志夫
- 後藤喜一:大林龍之介
- 太田功:池水通洋
- 熊耳武緒:横沢啓子
- シバシゲオ:千葉繁
- 松井刑事:西村知道
- 空谷みどり:鶴野恭子
- クリシュナ・アマルナート:若本規夫
です。ほかにも複数のキャストが役名なしで記載されています。
一方、南雲しのぶ/榊原良子の名前は製品スタッフロールのキャスト欄にありません。今回参照した本編記録でも、南雲を声付きの主要登場人物として確認できませんでした。
したがって「南雲しのぶを含む主要キャラクターが総登場」「アニメ版キャスト勢ぞろい」とするのは適切ではありません。販促物などに人物が描かれていることと、製品版ゲーム本編でキャラクターが登場し声優が出演していることも分けて考える必要があります。
物語の軸は「無人レイバー事件」
主人公とみどりが第二小隊へ加わって間もなく、物語を貫く大きな問題として浮上するのが無人レイバーです。
第1話では主人公とみどりがイングラム3号機を受け取った帰路でレイバー事件に遭遇します。暴れていた機体を停止させ、搭乗員を確保しようとしたところ、そこには人が乗っていない。以後も人間が直接操縦していないレイバーが事件を起こし、その背後にある仕組みと人物へ第二小隊が近づいていきます。
ゲームオリジナル人物のもう一人の重要人物が、クリシュナ・アマルナート。声は製品クレジットで若本規夫と確認できます。無人レイバー事件やゲームオリジナル機「ガネーシャ」に深く関係しますが、正体や目的まで説明すると終盤のネタバレになるため、ここでは事件の中核を担う人物とだけ押さえておけば十分でしょう。
毎話まったく無関係な事件を調査するADVではなく、複数の事件を通じて無人レイバーという一本の謎が徐々につながっていくオリジナルストーリーになっています。
「全10話」なのに第0話がある?実際は第0話+第1~10話
商品紹介では本作を「全10話」とする表記があります。一方、実際のゲームは第1話から始まるわけではありません。
最初に用意されているのが、
第0話「月月火水木金金」
です。
第0話の主人公はまだ特車二課へ正式配属される前の訓練生。特車隊員養成学校で訓練を受け、実際のレイバー操作と戦闘の基本を覚える導入部になっています。そこから第1話で主人公と空谷みどりが第二小隊へ加わり、本編の無人レイバー事件が始まります。
本編はその後、第1話から第10話まで進行します。
したがって商品説明の「全10話」は本編第1話~第10話を指すと考えると整合し、実際にプレイするストーリー単位としては、前段の第0話を加えた計11ラウンドです。第9話には複数回の戦闘も用意されています。商品側の「全10話」と、ゲーム内に第0話が存在することは矛盾ではなく、数え方の違いです。
一般的な「調査ADV」ではない|シナリオ→戦闘→後日談で進む
本作のゲーム構造も誤解されやすいところです。
各ラウンドは基本的に、
シナリオA → アクション → シナリオB
という流れで進みます。
ストーリー部分ではキャラクター同士の会話やアニメーションを見る比重が高く、場面を選んで現場を移動したり、聞き込み相手を選択したり、会話の選択肢で人間関係を変化させたりする一般的な調査ADVではありません。ストーリー中は進行操作やスキップはできますが、主人公自身が会話選択肢を大量に選んで物語を作る方式ではありません。
製品版については、好感度システム、会話選択によるルート分岐、複数のエンディングを攻略するマルチエンディング構造は確認できません。後年のゲーム資料でもストーリーは一本道で、分岐点なしと整理されています。
したがって「南雲しのぶの評価を上げる」「好感度によってエンディングが変わる」といった遊び方を想定する作品ではありません。
クリア後はステージを選んで再挑戦でき、より高いランクを狙う遊びが用意されています。
RAPとは?タイミング入力で技をつなぐ独特のレイバー戦
ストーリーと並ぶ本作のもう一つの柱が、3Dポリゴンで描かれる1対1のレイバー戦です。
当時の商品紹介でこの戦闘システムに使われた呼称が、
RAP(リズム・アクション・プログラム)
です。
ただし、一般的な3D格闘ゲームのようにパンチやキックを自由に連打する仕組みではありません。
まず敵へ接近し、突撃してつかみ状態へ入ります。そこから画面に示されるタイミングへ合わせて○・×・□・△の各ボタンを入力すると技がつながり、入力に成功し続けることでコンボが発展します。
基本入力にはストレート、ローキック、左パンチ、スタンスティックへの移行などが割り当てられ、そこからエルボーなどの技へつなげることができます。入力を外すと敵の反撃を受ける場合があり、防御側でも表示されたタイミングへ合わせてボタンを押す仕組みがあります。
要するに、敵へ接近する位置取りと、つかんだ後のタイミング入力を組み合わせたアクションです。
「格闘ゲーム」「ロボットシミュレーター」「音楽ゲーム」のどれか一つに当てはめるより、レイバー同士の組み合いをRAPという独自ルールに落とし込んだ作品と考えたほうが実態をつかみやすいでしょう。
37mmリボルバーカノンは6発|格闘だけでなく射撃もある
イングラム3号機は格闘だけでなく、37mmリボルバーカノンも使用できます。
L2またはR2で敵をロックし、射撃状態へ移行して狙いを合わせ、○ボタンで発射。装弾数は6発です。距離や照準を考えながら使うため、RAPの近接戦とは異なる攻撃手段になっています。
旧来の一部解説には射撃を「オーバーヒート操作」と説明するものもありますが、操作資料で確認できる中心要素はロックオン、照準、6発の弾数管理です。
もう一つ重要なのがバッテリー。レイバーには耐久度だけでなくバッテリー残量が設定されており、戦闘結果にも表示されます。巨大ロボットが無制限に動き続けるのではなく、電力を使って稼働する警察用レイバーという設定がゲーム側のパラメータにも持ち込まれています。
壊して終わりではない|被害金額と翌日の新聞が残る
レイバー戦では敵を止めればそれですべて終わるわけではありません。
戦闘終了後にはランクやバッテリー残量などとともに、周囲へ与えた被害金額が記録されます。最終的には総被害額や修理費も集計される資料が残っています。被害額を条件に隠しエンディングへ分岐するといった仕組みは確認されておらず、ストーリーそのものは一本道です。
さらに各事件のあとには、翌日の出来事を伝える新聞が表示されます。
事件の見出しや写真が掲載され、第二小隊が現場で起こしたことを、警察内部ではなく社会側からもう一度見せる仕掛けです。スタッフロールにはわざわざ、
新聞デザイン:藤咲淳一
という担当まで記載されています。
市街地で巨大なレイバーを動かし、事件を止めても建物や道路には被害が残る。その結果が金額と新聞になって翌日に返ってくるところまで含めて、本作の一つのゲームサイクルになっています。
任務失敗後にコンティニューしなかった場合には「特車二課解体」と表示されるゲームオーバー演出も記録されています。
3号機は途中でECM装備仕様へ改修される
ゲーム開始時の3号機は、TVアニメなどで見られる3号機に近い頭部を持っていますが、物語の途中で損傷を受けたあと、電子装備を強化した頭部へ変更されます。
ゲーム内ではECMの追加や電子装備の強化が語られ、この外観は『機動警察パトレイバー2 the Movie』に登場した3号機のECM装備仕様を取り入れたものです。HOBBY Watchも、PS『ゲームエディション』で3号機がプレイヤー機となり、途中で『パトレイバー2 the Movie』に登場するECM装備型へ変化することを紹介しています。
ファン資料ではこの頭部を「メデューサ」と呼ぶ例もありますが、本記事ではゲーム内の正式固有名称として断定せず、ECM装備型の3号機と表記します。
この要素があるからといって、本作が『パトレイバー2 the Movie』の直接的な続編になるわけではありません。
TVシリーズ・NEW OVA・劇場版とはどうつながる?
『パトレイバー』公式サイトの整理では、漫画版、初期OVA/劇場版系、TV/NEW OVA系などはそれぞれ区別されています。特にTVシリーズからNEW OVAへ続く関係は公式に明確です。
PS『ゲームエディション』には、TV/NEW OVA側を強く想起させる人物や機体が登場する一方、先ほどのECM仕様3号機のように劇場版第2作で使われたメカ設定も取り込まれています。
そのため、本作を
「TVシリーズ→NEW OVA→ゲームエディション」
という完全に固定された公式時系列へ入れることも、
「劇場版2の直接続編」
とすることも避けたほうが正確です。
確認できる事実は、ゲームがアニメ系列の人物・設定を広く使いながら独自の物語を作り、劇場版由来のメカ要素も取り入れているというところまでです。
制作側が複数の世界線を一つに統合しようとした、といった意図まで推測する必要はありません。
グリフォン、ブロッケン、エイブラハム、そしてガネーシャ
戦闘に登場するレイバーも、本作ならではの混成になっています。
主人公のイングラム3号機だけでなく、イングラム1号機・2号機、ブロッケン、M5エイブラハムなどが登場し、物語後半にはグリフォンも姿を見せます。攻略資料でも各ステージに登場する機体が記録されています。
ただしグリフォンが出てくるからといって、TV/NEW OVAのグリフォン編をそのまま再開した物語ではありません。本作ではゲーム独自の無人レイバー事件の中へ機体が組み込まれています。
さらに重要なのが、ゲームオリジナルの軍用レイバーGNX-002 ガネーシャ。
クリシュナ・アマルナートと深く関係する機体で、後半の事件では3号機のECM装備が重要になる相手でもあります。既存アニメの敵レイバーだけを並べたゲームではなく、オリジナル人物とオリジナル機体まで用意して一つの新規事件を構成していることが分かります。
Production I.Gは「アニメだけ」ではなくゲーム制作そのものを担当
本作について最も見落としたくないのがProduction I.Gの役割です。
スタッフロールには、
原作:ヘッドギア
ゲーム企画・原案:PRODUCTION I.G
アニメーション・ゲーム制作:PRODUCTION I.G
製作:バンダイビジュアル株式会社/株式会社プロダクションI.G
と明記されています。
つまりProduction I.Gは、ゲーム中のアニメムービーを外注で制作しただけではありません。ゲームの企画・原案からアニメーション、ゲーム制作までクレジットされた製作主体の一つです。
監督、脚本、演出、絵コンテは檜垣亮。プログラムやスクリプトにも檜垣の名前が入り、Production I.Gの後年の公式プロフィールでも『機動警察パトレイバー ゲームエディション』はディレクター・脚本・プログラマー担当作品として挙げられています。
さらに、
- キャラクターデザイン:高田明美、出羽直樹
- メカニックデザイン:出渕裕
- 作画監督:黄瀬和哉
- 美術:小倉宏昌
- レイアウト・原画:竹内敦志
- 新聞デザイン:藤咲淳一
- 音楽:岩品新
など、担当分野まで具体的に残っています。
本作の2Dアニメーションやゲーム独自キャラクター、メカ、新聞演出を語るなら、「制作陣の愛情が感じられる」と抽象化するより、実際に誰が何を作ったのかを見るほうが作品の成り立ちを正確に理解できます。
押井守監督の実写映像『PATLABOR THE LIVE ACTION MOVIE』も収録
さらに異色なのが、ゲーム本編とは別に収録された実写映像です。
製品スタッフロールには、
映像特典『PATLABOR THE LIVE ACTION MOVIE』
監督:押井守
と明記されています。
攻略資料では、ゲームを進めてSPECIALを解放すると、実写映像を3段階で見ることができ、後のものほど映像が追加される形式だったことが記録されています。
関連音源資料では『PATLABOR THE LIVE ACTION MOVIE』を1998年制作のパイロットフィルムとして扱っており、2000年のゲームより前に作られていた映像であることも分かります。
ただし、2014年から展開された実写シリーズ『THE NEXT GENERATION パトレイバー』と同じ作品ではありません。2000年のゲームに収録された映像を、そのまま2014年版のパイロット版だったと扱うのも避けるべきでしょう。
そしてもう一つ大切なのは、押井守がゲーム本編を監督したわけではないことです。
ゲーム本編の監督・脚本・演出・絵コンテは檜垣亮。押井守のクレジットは、あくまで映像特典『PATLABOR THE LIVE ACTION MOVIE』の監督です。
2026年新作『the Case Files』とはまったく別のゲーム
2026年には『パトレイバー』の家庭用ゲームが再び登場します。
グッドスマイルカンパニーの新作、
『機動警察パトレイバー the Case Files』
です。
発売元は2026年8月10日、PS5/PC版の通常発売日を2026年9月17日と正式発表しました。本作はシリーズの名シーンを追体験する3Dアクションで、特車二課側と相対する側のミッション、20体以上のレイバー、イングラム、グリフォン、零式、シミュレーターモードなどが発表されています。
| 項目 | ゲームエディション | the Case Files |
|---|---|---|
| 通常発売 | 2000年11月30日 | 2026年9月17日予定 |
| 機種 | PlayStation | PS5/PC |
| 発売元 | バンダイビジュアル | グッドスマイルカンパニー |
| 主人公・立場 | 3号機の新人フォワード | 複数の立場からミッションを追体験 |
| 物語 | 無人レイバーを巡るゲームオリジナル事件 | シリーズの名シーンを追体験 |
| 主な操作機 | イングラム3号機 | 20体以上 |
| 戦闘 | RAPを軸とする1対1レイバーアクション | 3Dアクション |
『the Case Files』は『ゲームエディション』のリメイク、リマスター、続編とは発表されていません。
26年ぶりに同じ『パトレイバー』を題材にした家庭用ゲームが現れるため検索では混在しやすくなっていますが、2000年版と2026年版は完全に別の商品です。
2026年は『EZY』も劇場展開中
ゲームだけでなく、2026年はアニメでも『パトレイバー』が大きく動いています。
完全新作『機動警察パトレイバー EZY』は全3章で、
- File 1:2026年5月15日
- File 2:2026年8月14日
- File 3:2027年3月5日予定
というスケジュールで劇場展開されています。2026年8月現在はFile 2公開直後です。
ただし『EZY』を2000年PS版の物語的続編とする公式情報はありません。『EZY』はあくまで2026年に始まった新しいアニメ展開であり、『ゲームエディション』とは別作品です。
『EZY』と旧シリーズの世界線・時系列については、つぶログでも別記事で詳しく整理しています。
『機動警察パトレイバー EZY』は旧作を見てなくても大丈夫?旧シリーズとの関係・時系列を整理
2026年現在『ゲームエディション』を遊ぶ方法は?
2026年8月現在、2000年版『ゲームエディション』には現行機向けのリマスター版やリメイク版は発表されていません。
旧作資料でもゲームアーカイブス未配信とされており、現在のPlayStation Storeで展開されている『パトレイバー』ゲームは2026年新作『the Case Files』です。PS Plusのクラシックス作品として2000年版が復刻された形跡もありません。
したがって、現在もっとも現実的な正規手段は中古などでPlayStation版の正規ディスクを入手し、PS1ディスクを再生できる実機で遊ぶことです。
PlayStation
当然ながらオリジナルのPlayStationでプレイできます。
PlayStation 2
PS2はPlayStation規格CD-ROMの再生に対応しています。ソニー公式取扱説明書にも「PlayStation規格 CD-ROM」が再生可能ディスクとして明記されています。
PlayStation 3
PS3もPlayStation規格CD-ROMに対応しています。ソニーはPS1ソフトについて完全互換を保証しているわけではないと注意していますが、PS3各モデルでPS規格CD-ROM自体はサポート対象です。
PS4・PS5
PS4/PS5へPS1のCD-ROMを挿して遊ぶことはできません。ソニー公式サポートでもPS4/PS5はCD形式をサポートしていないと案内されています。
Nintendo Switch/Nintendo Switch 2、Xbox、Steamなどへの2000年版の公式移植も発表されていません。
つまり2026年に『ゲームエディション』そのものを遊びたい場合は、PS1版ディスク+PS1/PS2/PS3系の実機環境が基本になります。9月発売の『the Case Files』を購入しても、2000年版が収録されているわけではありません。
まとめ|「新しい第二小隊員になる」ことをゲームにした2000年のパトレイバー
『機動警察パトレイバー ~ゲームエディション~』は、2000年11月30日にバンダイビジュアルから発売されたPlayStation用レイバーアクションゲームです。
泉野明を主人公にするのではなく、プレイヤーを名前も台詞も持たない新人巡査として第二小隊へ加え、空谷みどりとともにイングラム3号機を担当させる。そのうえで、無人レイバー事件というゲーム独自の物語を、ストーリーシーンとRAPによる3Dレイバー戦で進めていきます。
戦闘後には被害金額が残り、翌日の新聞に事件が掲載される。3号機は途中でECM装備型へ変化し、既存のグリフォンだけでなく、クリシュナやガネーシャといったオリジナル人物・機体も登場します。
そしてゲーム企画・原案からアニメーション・ゲーム制作までProduction I.Gが担当し、檜垣亮、高田明美、出渕裕、黄瀬和哉らが実際のスタッフとして参加。さらに押井守監督による実写映像『PATLABOR THE LIVE ACTION MOVIE』まで収録されています。
2026年には『EZY』が劇場展開され、9月17日には新作ゲーム『the Case Files』も発売予定ですが、どちらも2000年版とは別作品です。
26年前の『ゲームエディション』が作ったのは、「野明たちを外から眺めるゲーム」でも、「好感度を上げてマルチエンディングを目指すADV」でもありません。
既存の第二小隊へ新人として加わり、第三のイングラムを任される。
その立場そのものをゲームオリジナルの物語とアクションへ落とし込んだことが、『機動警察パトレイバー ~ゲームエディション~』最大の特徴です。