9月28日は何の日?

9月28日は、世界的に啓発活動が行われる「世界狂犬病デー」や、情報への自由なアクセスを訴える「国際デー」が重なる日です。
日本では、三島由紀夫の小説をめぐる裁判がきっかけとなった「プライバシーデー」、NECの名機PC-8001発売にちなむ「パソコン記念日」、さらに“9・2・8”の語呂で定められた「まけんグミの日」などユニークな記念日が並びます。
国際的な節目から生活に身近なお菓子まで、9月28日は驚くほど多彩な意味を持つ日。
本記事では、それぞれの記念日の由来や背景をわかりやすく解説していきます。
世界狂犬病デー(World Rabies Day)— 9月28日
9月28日は、狂犬病を「知って、備えて、なくす」ための世界的な啓発デー。
この日付は、狂犬病ワクチンの道を切り開いたルイ・パスツールの命日に由来します。年に一度、私たちの生活に直結する“かみ傷から守る知識”を見直す日でもあります。
いま世界では、犬にかまれたことをきっかけに、毎年およそ5万9千人が命を落としていると言われます。いったん発症するとほぼ致死的——だからこそ、発症“前”に止めることがすべて。世界は「2030年までに犬由来のヒト狂犬病死をゼロへ」という共通目標で動いています。
今年(2025年)のテーマは「Act now: You, Me, Community」。
個人も地域も同時に動こう——そんな合図です。犬へのワクチン接種、かまれた直後の“すぐ洗う・すぐ受診”、そして行政や学校ぐるみの啓発。どれも特別なヒーローでなく、私たち一人ひとりにできることです。
日本は1950年代以降、国内での犬由来の狂犬病を抑え込み、清浄を維持してきました。
背景には、犬の登録・予防接種制度や水際対策など、地道な仕組みの積み重ねがあります。ただし“海外での暴露→帰国後に発症”という輸入症例の可能性は常にゼロではありません。旅の前後は最新情報を確認し、現地で動物に触れない・かまれたら即洗浄と受診——この基本が自分と家族を守ります。
最後に、今日の“3つの実践”を置いておきます。
- 犬と暮らすなら、地域のルールに従って予防接種と登録をきちんと。
- 旅行先ではむやみに動物に触れない。かまれたら大量の石けん水で洗い、すぐ医療機関へ。
- 長期滞在や医療アクセスが限られる地域へ行くなら、渡航前に予防接種の相談を。
こうした小さな行動の積み重ねが、「ゼロ・バイ・サーティ(2030年までにゼロ)」への近道です。
情報へのユニバーサル・アクセスのための国際デー
(国際「知る権利」デー)
9月28日は「情報へのユニバーサル・アクセスのための国際デー」。
少し長い名前ですが、要するに「誰もが情報に自由にアクセスできることは人権の一部だ」という考えを世界で確認し合う日です。
そもそもの始まりは、市民団体が2002年に提唱した「知る権利デー」。
やがて国連が2019年に正式な国際デーと定め、いまでは各国の政府やメディア、教育機関がこの日を中心にイベントや発信を行っています。
“知る権利”と聞くと少し堅苦しく感じるかもしれませんが、実は私たちの生活に密着しています。
例えば、自分が住む町の予算の使い道を知れるかどうか。
病気やワクチンに関する正しい情報に誰でもアクセスできるかどうか。
災害時に必要な情報が、差別なく届くかどうか。
すべて「情報にアクセスできるか」が命や暮らしを守る前提になっています。
そして現代ではインターネットの存在が大きな鍵を握っています。
SNSや検索で手に入る情報は便利な一方で、誤情報や偏った情報に惑わされるリスクも増えました。だからこそ、情報を誰もが自由に得られるだけでなく、それを見極める力や制度の整備が求められているのです。
9月28日は、情報を“どう受け取るか”を考える日。
そして同時に、“どう発信するか”を振り返る日でもあります。
発信者としての責任と、受け手としてのリテラシー。この両輪があって初めて「知る権利」が本当に生きてくるのだと思います。
プライバシーデー
9月28日は「プライバシーデー」。
この日は1964年、三島由紀夫の小説『宴のあと』をめぐる裁判で、日本で初めて「プライバシー権」が法的に認められた判決が下されたことに由来しています。
当時の裁判では、小説に登場する人物が、実在の政治家をモデルにしているのではないかと問題になりました。本人の同意なく私生活を描いたことが「プライバシーの侵害」にあたるとされ、最終的に作家側が敗訴。この判決が、日本でプライバシーを守る権利を法的に確立した“原点”となったのです。
現代に生きる私たちにとって、プライバシーはさらに身近な課題になっています。
スマートフォンやSNSが当たり前の今、住所や写真、検索履歴、買い物のデータまでが簡単に残り、共有される時代です。「自分の情報をどう守るか」は誰にとっても無視できないテーマになりました。
一方で、情報公開や表現の自由といった権利も大切です。
社会にとって必要な情報を伝える自由と、個人のプライバシーを守る権利。そのバランスをどうとるか——これは現代でも議論が尽きないテーマです。
9月28日の「プライバシーデー」は、単に裁判の記念日ではなく、私たちが“自分の情報をどう扱いたいか”を考えるきっかけの日。便利さと自由を享受する一方で、どこまでを人に見せて、どこからを守るのか。その線引きを改めて見直す良い機会なのかもしれません。
パソコン記念日
9月28日は「パソコン記念日」。
1979年のこの日、NECがパーソナルコンピュータ「PC-8001」を発売したことにちなみます。家電量販店に“家庭で使うコンピュータ”が並び、一般の人が手に取れるようになった象徴的な出来事でした。
当時のPCは、いまのように電源を入れてすぐアプリ…ではありません。
まずBASICという言語で命令を書き、画面に文字を出したり、音を鳴らしたり、小さなゲームを自分で作って楽しむ—そんな「つくる側に回る体験」が入口でした。PC-8001はその間口を大きく広げ、雑誌に掲載されたプログラムを“打ち込む文化”を一気に広めます。
誤解のないように言えば、PC-8001が「日本初のパソコン」ではありません。
それ以前にも国産機は存在しました。ただ、量販店経由で広く普及し、“家庭にPCが入ってくる”流れを強く後押ししたという意味で、節目として語られるのがこの日です。
この記念日が教えてくれるのは、「触れる人が増えると、つくる人も増える」ということ。
誰かが作ったものを消費するだけでなく、ほんの少し手を動かして自分のアイデアを形にしてみる。40年以上前に芽生えたその精神は、いまのノーコードや生成AIの時代にも通じています。
もし今日キーボードの前に座るなら、ほんの数行でも“自分発”の何かを動かしてみる。
それが、9月28日に似合う小さなお祝いの仕方だと思います。
チェコ「国家の日(聖ヴァーツラフの日)」
9月28日は、チェコの「国家の日」。
国の守護聖人である聖ヴァーツラフ(ヴァーツラフ1世/ボヘミア公)の殉教に由来する祝日です。彼は10世紀に在位し、キリスト教と文化の受け入れを進めた統治者。弟ボレスラフの一派によって暗殺され、のちに聖人として敬われるようになりました(殉教年は929年または935年ごろとされます)。
この日は宗教と市民の記憶が重なる一日。
プラハ城の聖ヴィート大聖堂ではミサが行われ、街では聖人ゆかりの行事やマーケット、音楽イベントが開かれます。プラハ中心部の「ヴァーツラフ広場」の名も、彼にちなんだもの。観光で歩くいつもの景色が、この日だけは少し厳かな顔つきになります。
ポイントは、単なる“過去の英雄”にとどまらないこと。
ヴァーツラフは、信仰や学芸を通じて外とつながろうとした人物でした。だからこそ国家の日は、チェコが育んできた開かれた文化や、言葉・音楽・建築が紡ぐアイデンティティを確かめる日でもあります。
旅行者の目線なら、9月28日は街がゆっくりめ。
博物館や店舗の営業は場所によって異なるので、事前確認が安心です。もし予定が合うなら、聖人の記憶をたどる散策——プラハ城、旧市街、そしてヴァーツラフ広場を結ぶルート——は、この日ならではの深みが味わえます。
台湾「教師節」
9月28日は台湾の「教師節」。
孔子の誕生日にあたるとされる日で、教育に携わる人々へ敬意を表すために定められています。学校では教師に花やカードを贈ったり、感謝を伝えるセレモニーが開かれたりと、日本の「教師の日」よりも広く根付いた文化となっています。
この日が祝日になったのは比較的最近のこと。
2025年に法改正が行われ、正式に国家の祝日に加えられました(2025年は日曜に当たるため翌29日が振替休日)。教育者を社会全体でたたえる日を国のカレンダーに組み込んだのは、台湾の教育重視の姿勢を象徴する出来事といえます。
孔子は「学び続けること」「人を導くこと」の大切さを説いた人物。教師節はその精神を受け継ぐ日でもあります。学生にとっては「ありがとう」を伝えるきっかけであり、教師にとっては初心を思い出す節目。
9月28日は、学校という場がただの勉強の場所ではなく、「人を育てる場」であることを改めて意識させてくれる日なのです。
東京ごみ戦争宣言の日
9月28日は「東京ごみ戦争宣言の日」。
1971年のこの日、当時の東京都知事・美濃部亮吉が都議会で「ごみ戦争」を宣言しました。都市の生活を支えるインフラが、ごみ問題によって限界に達しつつあった時代です。
当時の東京は高度経済成長の真っ只中。
人口の急増と大量消費の波で、ごみの量は一気に膨れ上がり、処分場はすぐに埋まってしまう状況でした。清掃工場の建設には地域住民の反対が相次ぎ、処理能力と生活環境の板挟み。行政はまさに行き詰まっていました。
そんな中での「ごみ戦争」宣言は、単なるキャッチフレーズではなく、「この問題は避けて通れない社会全体の課題だ」と訴える強いメッセージでした。都民に分別や減量を呼びかけるだけでなく、ごみ処理施設をどう受け入れるか、都市のあり方をどう変えていくか、根本的な問いを投げかけたのです。
その後、東京は清掃事業の仕組みを見直し、焼却処理の拡充やリサイクルの推進に大きく舵を切っていきます。現在では当たり前になっている分別収集や資源化の考え方も、この時代の危機感が土台になっています。
9月28日は、都市に暮らす私たちが「ごみとどう付き合うか」を改めて考える日。
半世紀前の宣言は、いまもなお「便利な暮らしの裏にある責任」を問いかけ続けています。
くつやの日
9月28日は「くつやの日」。
“く(9)・つ(2)・や(8)”の語呂合わせに、秋は新しい靴が欲しくなる時期という季節感を重ねて、靴づくりの会社が定めた記念日です。テーマは「履きやすさを、ちゃんと選ぶ」。おしゃれと健康、その両方を大切にしようという呼びかけが込められています。
靴は見た目以上に“体の道具”。
合っていない靴は、足の痛みやマメだけでなく、姿勢や腰・膝への負担にもつながります。だからこそ選ぶ順番は「サイズ→ワイズ(足囲)→用途→デザイン」。まず夕方のむくみやすい時間に試着し、つま先に5〜10mmの“ゆとり”、かかとは脱げずにフィット、土踏まずは過度に押しつぶさない——この基本だけでも失敗が減ります。
もう一歩踏み込むなら、片足ずつのサイズ差もチェック。
左右で0.5サイズ違う人は珍しくありません。長く歩く靴は大きい方に合わせ、インソールや靴下で微調整。革靴なら“最初から痛くない”を基準に、馴染ませる前提で無理をしない。スニーカーは歩幅や路面を想像して、ソールの硬さと反発のバランスを見て選ぶのがコツです。
今日は下駄箱の総点検にも良い日。
出番の少ない一足はメンテして“また履ける状態”へ、ヘタった一足は感謝してリタイア。お気に入りを長く使うことが、結果的にお財布にも環境にもやさしくなります。
せっかくの「くつやの日」。
次の一歩が軽くなる一足を、丁寧に選び直してみませんか。
自動車中古部品の日
9月28日は「自動車中古部品の日」。
“9(くるま)・2(ちゅうこ)・8(パーツ)”の語呂合わせから生まれた記念日で、使える部品を賢く循環させよう、という呼びかけが込められています。
中古部品といっても、大きく三つあります。
そのまま再利用する「リサイクル部品」、壊れた内部を交換して性能を戻した「リビルト部品」、メーカー純正の新品に近い品質をうたう「リユース純正」。用途と予算に合わせて選べるのが強みです。
メリットははっきりしています。
価格が抑えられる、納期が早いことが多い、そして何より廃棄物やCO₂の削減につながること。事故で全損になった車から、状態の良い部品を丁寧に外して検品・清掃・品番管理したうえで流通させる——そんな“もったいない”を形にした仕組みです。
安全面が心配な人は、ここだけチェック。
修理時に「中古やリビルトでも見積もりできますか?」と最初に相談する。
その際、車検証の型式・年式・類別区分、必要ならカラーコードまで伝えると適合ミスが減ります。保証の有無、交換後の不具合時の対応も、事前に確認しておくと安心です。
結果として、財布にも環境にもやさしい選択肢。
同じ直し方でも、どの部品を選ぶかで“循環の輪”に参加できます。次にクルマを直すとき、見積もりの選択肢に「中古・リビルト」を一行足してみる——それだけで世界は少しエコになります。
続きは「まけんグミの日」をこのトーンでお届けします。
まけんグミの日
9月28日は「まけんグミの日」。
グー・チョキ・パーを数字に見立てて、“グー(9)・チョキ(2)・パー(8)”の語呂合わせから生まれた記念日です。制定したのは、グミやゼリー菓子で知られる杉本屋製菓。日本記念日協会にも登録されている、れっきとした公式記念日です。
まけんグミは、その名の通り「ジャンケン」をテーマにしたユニークなお菓子。袋を開けると、中にはグー、チョキ、パーのどれかの形をしたグミが入っています。友達や家族と一緒に食べながらジャンケンをして遊べるという仕掛けが、子どもたちに大人気。遊び心とおやつを組み合わせたアイデアは、発売からずっと愛され続けています。
味はシンプルなフルーツ系で、子どもでも食べやすいソフトな食感。遊び半分で開けても、ついついおいしくて手が止まらなくなる、そんな魅力があります。大人になってから食べると「懐かしい!」と声が出る人も多いはずです。
お菓子はただの甘い楽しみではなく、世代や思い出をつなげてくれる存在。9月28日の「まけんグミの日」は、あの頃の小さなワクワクを思い出しながら、気軽に笑顔になれる日でもあるのです。
牛乳屋さんの日
9月28日は「牛乳屋さんの日」。
粉末飲料「牛乳屋さん」シリーズで知られる和光堂が制定し、日本記念日協会にも登録されています。“牛(9)・乳(2)・屋(8)”という語呂合わせに由来する、ちょっとユニークで親しみやすい記念日です。
「牛乳屋さん」シリーズは、昔ながらの喫茶店で出てくるような素朴な味を家庭で楽しめることを目指して作られた飲み物。粉末をお湯や牛乳で溶かすだけで、ミルクティーやココア、カフェオレのような温かいドリンクがすぐに完成します。手軽でありながら、どこか懐かしさを感じる味わいが人気の理由です。
近年は、コンビニやスーパーでペットボトル飲料がすぐに手に入りますが、「牛乳屋さん」のような粉末飲料には別の魅力があります。自分の好みに合わせて濃さを調整できること、湯気とともに広がる香りをゆっくり楽しめること。飲む時間そのものが小さなリラックス体験になるのです。
9月28日をきっかけに、日常の一杯をちょっと丁寧に味わってみる。
そんな時間の積み重ねが、忙しい毎日の中に小さな癒やしを運んでくれます。
にわとりの日
毎月28日は「にわとりの日」。
“に(2)・わ(8)とり”という語呂合わせにちなみ、鶏肉や卵の消費をもっと身近に感じてもらおうと制定されました。特に9月28日もその一日として数えられます。
鶏肉や卵は、私たちの食卓に欠かせない食材です。栄養価が高く、調理の幅も広い。朝の卵焼きから夜の唐揚げまで、家庭の味に溶け込んでいます。だからこそ、毎月「にわとりの日」があることで、あらためてその魅力にスポットが当たります。
この日には、スーパーや飲食店で鶏肉や卵の特売が行われたり、ケンタッキー・フライド・チキンが「とりの日パック」を販売したりと、お得なイベントが定番になっています。買い物をする側にとっても楽しみが増える一日です。
単なる語呂合わせの記念日ですが、よく考えてみると「当たり前すぎて感謝を忘れがちな食材に、ありがとうを伝える日」なのかもしれません。28日が近づいたら、ちょっと奮発して地鶏を焼いてみる、卵料理を丁寧に作ってみる——そんな過ごし方も素敵です。
にわとりの日は、身近な食材に目を向けて、食べることのありがたさをあらためて感じさせてくれる日なのです。
9月28日のまとめ
9月28日は、世界規模から身近な暮らしまで幅広い記念日が重なる一日です。
世界では、狂犬病予防を訴える「世界狂犬病デー」や、情報公開をテーマにした「国際知る権利デー」があり、人類全体の課題に目を向ける日。
日本では、三島由紀夫の裁判に由来する「プライバシーデー」、NECの名機PC-8001にちなむ「パソコン記念日」、さらに「東京ごみ戦争」宣言の日など、社会や技術の転換点を思い出させる出来事が並びます。
一方で、「くつやの日」「まけんグミの日」「牛乳屋さんの日」「にわとりの日」といった親しみやすい記念日も揃い、ちょっとした買い物や食卓に彩りを添えてくれるのも特徴です。
さらにチェコの国家の日や台湾の教師節など、海外に目を向ければ文化や歴史に触れる機会も広がります。
つまり9月28日は、「命を守る知恵」「社会を支える仕組み」「暮らしを豊かにする小さな喜び」が同居する日。
一つひとつの出来事を知ることで、普段のカレンダーがぐっと奥行きのあるものに見えてきます。