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イースⅩ -Proud NORDICS-【Switch 2完全版レビュー】旧版との違い・追加要素・快適性を徹底比較

『イースⅩ -Proud NORDICS-』──Switch 2で蘇る“北海の完全版”

イースX -NORDICS- のキービジュアル。アドル・クリスティンとカージャが並び立ち、幻想的な北の海と青い鳥たちが舞う背景が印象的な公式アート

Switch 2専用の強化版として生まれ変わった『イースⅩ -Proud NORDICS-』は、北海の風とともに“いまの手触り”へ最適化された一作だ。
新たな物語と探索が加わり、航海→寄港→強化の循環はさらに心地よく、短いプレイでも前進の実感が残る。
描画・UI・ロード体感の改善により、アドルとカージャの連携はより滑らかに、戦闘の呼吸は一段研ぎ澄まされた。
本稿では、旧版(PS5/PS4/Switch/PC)との違いを軸に、追加要素と快適性の進化を“完全版としての価値”という観点から忖度なしで評価していく。

物語とキャラクター

北の海を舞台に、アドル・クリスティンが新たな航海へと挑む。
『イースⅩ -Proud NORDICS-』では、これまでの“漂流者”や“閉ざされた島”という閉鎖空間の冒険から一転、
自由な航路と広がる海原が物語の基調となる。

Switch 2版では、カージャとの絆を中心とした人間ドラマの演出が細やかに再構築され、
台詞テンポやイベント演出の間合いが改善。
シーンごとの照明や視点演出も最適化され、会話シーンの没入感が大きく増している。

アドルはこれまで以上に“観察者”として描かれ、
プレイヤーが各地の文化や宗教、海の民ノルディスたちの信条を追体験する構成。
その一方で、Switch 2版ではカージャやグリムソンなど、仲間キャラに追加サブイベントが複数追加され、
航海の合間に挿入される「絆イベント」が自然に物語へ溶け込む形へと刷新された。

全体として、ストーリーの骨格は旧版と同一ながら、
“テンポと密度”の調整によって印象が大きく変化
戦闘の合間に訪れる静かな会話や、夜明け前の港町の描写など、
Switch 2の高コントラスト表示が情感をより強く伝えてくれる。

イースⅩ -Proud NORDICS-の戦闘と探索 ── “共闘”の手触りが新段階へ

『イースⅩ -Proud NORDICS-』の戦闘は、従来シリーズのスピーディなアクションを踏襲しながら、
アドルとカージャが“二人一組”で連携する「クロスアクション」を軸に再構築されている。
瞬時にキャラを切り替え、攻防を連携でつなぐこのシステムは、
Switch 2版では入力レスポンスとカメラ挙動の最適化によって格段に洗練された。

マナを用いた特殊技「マナアクション」も健在で、
探索中に“ワイヤー移動”“障壁突破”“敵を引き寄せる”といった能力を活用。
Switch 2版では、エフェクト密度と動作フレームの安定化により、
画面内の混戦でも視認性が高く、マナを絡めた立体的な移動がより直感的になった。

フィールド探索においても、海上移動と陸上探索の境目がシームレスに繋がるよう再調整されており、
ロードや遷移の“待ち”を感じにくい構成。
またSwitch 2版では、ジャイロセンサーを活かした微調整操作や、
ミニマップUIの縮尺改善など、携帯プレイ時の快適性にも配慮されている。

特に注目なのは、敵AIの再調整だ。
高難易度モードでは旧版よりも敵が連携して動く傾向が強まり、
ガードやマナステップを的確に使う駆け引きがより戦略的になった。
派手さと手触りの両立――それがSwitch 2版のバトル体験を定義づけるキーワードだろう。

ボリュームとプレイ時間の目安

『イースⅩ -Proud NORDICS-』のSwitch 2版は、旧版と比べてロード短縮やテンポ調整により、
全体の進行リズムがよりスムーズになっている。
メインストーリーのみを進めた場合、約25〜30時間前後でエンディングに到達可能。
寄り道や探索を挟んだ標準プレイでは35〜40時間程度が目安となる。

サブクエストや収集要素、航海日誌の埋め込みなどを含めた完全コンプリートを狙う場合は50時間前後が現実的。
Switch 2版では、サブイベントの配置やUIの改善により、
クエスト達成までの導線が明確になり、旧版よりも「遊びやすい長さ」に再設計されている。

探索の密度やシナリオの厚みはそのままに、
「プレイ時間=没入時間」として心地よい範囲に収まる構成。
長大すぎず、物語をテンポよく味わえる──そんなバランスが本作の持ち味だ。


周回プレイについて

Switch 2版でも、周回プレイ(New Game+)機能が実装されており、
クリア後に主要スキル・装備・所持金を引き継いだ状態で再挑戦が可能。
難易度選択を変更できるため、初回プレイでは物語に集中し、
2周目以降に高難度モードで戦略性を楽しむ構成が推奨されている。

Switch 2版では周回特典として、
限定衣装や新規ボイスイベントの追加が確認されており、
キャラごとの理解を深めながら遊ぶリプレイ性が強化された。

また、旧版では一部引き継ぎ項目に制約があったが、
Switch 2版では「所持アクセサリ」「クエスト進行記録」なども選択的に引き継げる仕様となり、
プレイスタイルに合わせた柔軟な再挑戦が可能になっている。

イースⅩ -Proud NORDICS-機種ごとの違い(解像度/fps/特徴)

機種ごとの違い(Switch 2版を含む最新版)
機種解像度の目安フレームレートの目安ロード体感主な特徴
PS5最大4K(2160p)対応60fps安定非常に短い(約3〜5秒)高解像度・安定動作/旧版最高画質
PS4/PS4 Pro1080p(Proは高解像度寄り)可変60fps短め(約6〜8秒)安定性重視/グラフィックは控えめ
Nintendo Switch720p(携帯)〜900p(TV)30fps固定約10秒前後携帯性重視/一部エフェクト簡略化
PC(Steam)WQHD〜4K可(設定依存)60〜120fps可NVMe環境で最短最高品質設定可/MOD・カスタム対応
Nintendo Switch 2最大4K対応(DLSS相当処理)60fps安定(携帯時は45〜60可変)極めて短い(約2〜3秒)完全版要素追加/描画・ロード改善/UI刷新

※解像度・fpsは各機種公式仕様および主要レビューの整合値。Switch 2版は新ハード向け最適化により体感が大幅に向上しています。

解説

Switch 2版は、単なる移植ではなく“完全版+次世代最適化”の位置付け。
DLSS相当のアップスケーリング技術と高速ストレージによって、
PS5版に匹敵する表示品質とロードスピードを実現している。
特に携帯モード時でも描画の滑らかさが維持され、
旧Switch版にあった「処理落ち」や「影描画の欠落」はほぼ解消。

また、UIの文字サイズやコントラストも再設計されており、
携帯プレイ・TVプレイのどちらでも視認性が高く、操作性が向上した。
ファルコム作品としては珍しく、Switch 2が“最適環境”といえる仕上がりだ。

イースⅩ -Proud NORDICS-よかった点/気になった点

よかった点

イースX -NORDICS- のゲームプレイ画面。アドルが草原の森をスケボーのようなマナボードで疾走する探索シーン

Switch 2版でまず感じるのは、全体的な完成度の高さと快適さの両立
ロードが一瞬で終わり、移動も戦闘もテンポがまったく途切れない。
「イースⅧ」や「Ⅸ」で培われたスピード感を維持しつつ、Switch 2では安定性が明確に向上した。

さらに注目すべきは、追加シナリオと絆イベントの自然な融合だ。
後付け感がなく、アドルやカージャの心情がより丁寧に掘り下げられており、
旧版を遊んだプレイヤーでも新たな発見がある構成になっている。

演出面も進化しており、HDRと高コントラスト表示による夜明けや港の光表現が非常に美しい。
シリーズ全体で見ても、Switch 2版は“物語の陰影”が際立つ一本に仕上がっている。

また、UI・フォント・マップ操作など細かな快適性改善も見逃せない。
とくに携帯モードでのプレイ時は、操作レスポンスがPS5版に迫るレベルで滑らか。
“携帯でも据え置きと同じ感覚で遊べる”という、Switch 2世代の理想形を感じさせる。


気になった点

Switch 2版とはいえ、シリーズ構造上の課題は依然として残る。
アドルとカージャの二人制バトルは完成度が高い反面、
仲間全員を自由に操作できない仕様は、シリーズ従来ファンには少し物足りないかもしれない。

また、Switch 2特有の携帯モードでは、
解像度の自動可変によって一部エリアで細部がややぼやける場面もある。
描画負荷を考えれば許容範囲だが、PS5やPC版と比較すると質感の差は残る。

そして、シナリオ演出の“静と動”の切り替えが早すぎる部分もあり、
せっかく感情を掘り下げる場面で、もう少し余韻がほしかったという印象も。
ただし、これはSwitch 2版のテンポ調整の結果であり、テンポ重視派にはむしろ好ましい側面もある。

忖度なしスコア

8.0
/10

シリーズの原点回帰と革新が融合。新生「クロスアクション」と航海の自由度が、冒険そのものの手触りを一段引き上げた到達点。

※数値は編集部独自評価。機種ごとの体感差は下表も参照。

旧版の良さを引き継ぎつつ、Switch 2での最適化により“遊びやすさ”が一段底上げ。以下、主要項目ごとに短評で整理します。

評価項目スコア寸評(Switch 2版の体験)
グラフィック・演出8.5 光と影のコントラストが効き、港や夜明けの情景がぐっと映える。携帯モードでも破綻が少なく、可変解像度の切り替えも自然。
バトル・アクション8.0 二人一組のクロスアクションが軽快。入力遅延の少なさでコンボがつながりやすく、マナアクション絡みの立体戦が気持ちいい。
シナリオ・キャラクター8.0 追加の絆イベントが自然に挿入され、アドルとカージャの関係性が丁寧に深まる。テンポ重視で読み進めやすい。
サウンド・演出効果8.5 海上戦や街曲の厚みが増し、空間の広がりが心地よい。ヘッドホンでの定位感が良好で、移動時間も飽きない。
ロード・快適性9.0 エリア切り替えの待ちが極小。寄り道→復帰のリズムが崩れず、周回や収集のモチベが落ちない。
リプレイ性7.5 New Game+は快適で、周回特典もほどよい。ただ構造上、ダンジョンの奥行きはやや直線的で、人によっては単調に感じる場面も。

※スコアはSwitch 2版時点の体験に基づく編集部独自評価。パッチ配信・最適化により体感が変わる場合は更新します。

まとめ ― “完全版”としての意義と魅力

イースX -NORDICS- のタイトルビジュアル。アドルとカージャを中心に主要キャラクターたちが描かれた公式パッケージアート

『イースX』Switch 2版は、単なる移植にとどまらず、快適性・演出・テンポのすべてを磨き上げた“完成形”といえる内容です。 旧版で感じた細かなもたつきが解消され、物語や航海の流れが一層スムーズに。特に戦闘テンポとロード時間の短縮は、冒険のリズムを心地よく保ってくれます。

もしシリーズ未経験でも、このSwitch 2版から始めてまったく問題ありません。 アドルの新たな旅立ちが描かれる今作は、独立したストーリー性が強く、初見でも十分楽しめる構成です。 反対に、旧作を遊んだファンにとっては“熟成された再会”として、再びその海に漕ぎ出す価値がある一本です。

派手さよりも「確かな手触り」と「進化した快適性」を重視したSwitch 2版―― アクションRPGの原点を、現世代で一番自然な形に磨き直した“航海の決定版”といえるでしょう。

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