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ライザのアトリエ 秘密トリロジーDX 忖度なしレビュー|3作同時版の追加要素は本当に買う価値があるのか?

ライザのアトリエ 秘密トリロジーDXは「買いなのか?」

11月13日に発売された『ライザのアトリエ 秘密トリロジーDX』は、シリーズ3部作が同日にまとめてDX化された豪華パッケージ――しかし“既プレイ勢も再購入すべきか?”という点では、発売直後から賛否が大きく割れている。

各タイトルに追加シナリオや新規イベント、新衣装、新ボス、新採集地などが導入された一方で、旧作から改善されなかった弱点も存在し、プレイヤーの評価が二極化しているのも事実だ。
本レビューでは初代から3までを一気に遊べる体験としての価値を軸に、“買って後悔しないか?”を忖度なしで徹底評価していく。

作品概要

  • タイトル:
    ライザのアトリエ ~秘密トリロジー~ DX(3本セット)
  • 発売元:
    コーエーテクモゲームス
  • 発売日:
    2025年11月13日(木)
  • 対応機種:
    PlayStation 5 / PlayStation 4 / Nintendo Switch 2 / Nintendo Switch / Windows(Steam)
    ※Nintendo Switch 2版はダウンロード専売
  • 価格(税込):
    • 各DX単品(1・2・3):6,380円
    • 3本セット(ダウンロード版):14,355円
    • プレミアムボックス:18,200円
    • スペシャルコレクションボックス:30,000円
    • (グッズのみ版:3,845円/11,800円 も別途あり)
  • ジャンル:
    錬金術RPG
  • プレイ人数:
    1人用
  • レーティング:
    CERO C(15才以上対象)

ライザのアトリエ 秘密トリロジーDXの良かった点

1.3作+全DLC+新要素込みで「とりあえずコレ買っとけばOK」な決定版

まず一番大きいのは、
ライザ1〜3の本編に加えて、これまでの有料DLC(コスチューム・追加レシピ・追加マップ・BGMセットなど)がほぼ全部入りになっていること。

単品DXは各6,380円、3本セットDL版は14,355円(税込)なので、
「本編3本+DLC+新要素」をフルで揃えることを考えると、旧版をバラバラに買うよりだいぶ割安なパッケージになっています。

  • これからライザを始める人
  • 旧版でDLCを追いきれていない人

この2パターンには、コスパ面ではかなりわかりやすい“決定版”と言えます。


2.新規プレイアブルキャラ&追加ストーリーで物語の“穴”がかなり埋まる

DX版の目玉になっているのが、新規プレイアブルキャラクターと追加ストーリーです。

とくにライザ1 DXでは、

  • アガーテ
  • キロ
  • ロミィ

の3人が新たに操作キャラとして参戦。

さらに

  • 「キロ&ボオス」追加ストーリー
  • 「ライザ1アフター」追加ストーリー

など、ライザ1と2の間を補完するエピソードが追加されていて、「いつの間にここまで関係進んでたの?」となりがちだった部分がかなり繋がります。

ファン視点で言うと
「本編ではチラ見えだったキャラや空白期間に、ようやくスポットが当たった」
という感じで、ストーリーの満足度は一段上がっています。


3.新モード「カスタムコンバット」で戦闘を“遊び場”として弄べる

トリロジーDX共通の新要素として、3作すべてに「カスタムコンバット」系の新モードが追加。

  • 敵の種類やレベルを自由に選ぶ
  • パーティ構成を色々試す
  • バトルの条件をいじって難易度を上げ下げする

といった “バトルサンドボックス” 的な遊びができるようになっていて、
育成済みのデータや、新プレイアブルキャラの使い心地を試す場としてかなり優秀です。

本編クリア後、「もう少し戦闘だけ触っていたい」タイプのプレイヤーには、いい寄り道コンテンツになっています。


4.次世代機対応&ロード短縮で「まとめて遊んでもダレにくい」

PS5/Switch 2向けには、

  • ロード時間の短縮
  • 高解像度表示(4K対応環境での表示強化)

など、パフォーマンス面の強化が公式・量販店系のレビューでも触れられています。

特にトリロジーを通しで遊ぶ場合、
「移動や戦闘のロードがモタつかないかどうか」は体験に直結するので、
ここがある程度改善されているのは素直にプラスです。


5.セーブデータ連携ボーナスで“通しプレイ”にご褒美がある

DX版では、シリーズ内のセーブデータ連携によるボーナスアイテムも用意されています。

  • シリーズ作同士(オリジナル版/DX版を問わず)でセーブを持っていると
  • 冒険に役立つアイテムなどがもらえる

という仕組みになっていて、「どうせなら1から順番にやるか」と背中を押してくれる設計です。

「トリロジーを一気に遊んでほしい」という開発側の意図が、
システム面にもちゃんと組み込まれているのは、良い意味で商売っ気とファンサが両立している印象でした。

ライザのアトリエ 秘密トリロジーDXの気になった点・不満点

1.DX版としての「追加要素の規模」は人によって物足りなさも

DX版最大の争点はここ。
公式としては

  • 新規プレイアブルキャラ追加
  • 新規シナリオやイベント
  • 新モード(カスタムコンバット系)
  • 既存DLC込み

と、パッと見では“完全版感”をかなり強く打ち出しています。

ただ、実際の中身を細かく見ると

  • 物語全体が大きく作り直されているわけではない
  • 追加シナリオは「補完エピソード」寄りで、本筋をガラッと変えるレベルではない
  • 完全新作級というより「豪華版+ファン向けオマケ拡張」に近い

というバランスになっています。

そのため、

  • 旧版を遊び倒した人
  • すでにDLCも一通り購入しているコア層

からは「新要素だけを見ると物足りない」「フルプライス級の変化を期待すると肩透かし」という声も出ています。


2.価格設定はお得だが、「旧版フルコンプ済み勢」にとっては旨味が薄い

コスパ自体は、

  • これからライザを始める人
  • どれか1本しか触っていない人

にはかなり良心的です。
3本+DLC込みでこの価格帯は、JRPGとして見ても割安な部類。

一方で、

  • すでにライザ1〜3をすべて所持
  • DLCもほぼ買っている

という“ガチ勢”にとっては、

  • 新要素のためだけに再度フルプライス級を払うか?
  • 単品DXを買い直す価値があるか?

というラインになっており、ここはどうしても人を選びます。

「トリロジーセットは確かに割安だけど、全部持ってる人には割引やアップグレードパスがほしかった」という不満は、国内外のユーザーコメントでもちらほら見られます。


3.根本的なゲームデザインの“クセ”はそのまま

ライザのアトリエDXで描かれる村の仲間たちとの再会シーン。温かい色彩と懐かしさを感じるグラフィック表現が特徴の場面

DX版はあくまで「シリーズ3部作の強化版+再パッケージ」であり、

  • クエスト進行の塩梅
  • マップ構造のクセ
  • 一部UIのわかりづらさ

といった、各作品が元々抱えていたゲームデザイン上の好みが分かれるポイントは、本質的には大きく変わっていません。

具体的には、

  • おつかい寄りの進行が気になる人
  • 細かい素材集めや調合ループが苦手な人
  • 戦闘テンポよりもストーリー重視でサクサク進めたい人

には、DXになっても「合わない人にはやっぱり合わない」ままです。
ロード短縮や新モードの追加で遊びやすくはなっているものの、根っこのゲーム性がガラッと変わるわけではありません。


4.PC版(Steam)の最適化や不具合報告は要チェック

発売直後時点のSteamユーザーレビューでは、

  • 全体評価は概ねポジティブ寄り
  • ただし、解像度まわり・映像設定・一部クラッシュなど、PC特有の不具合報告もある

といった声が見られます。

コンシューマ版(PS5/Switch系)では大きな致命的バグは今のところ目立っていませんが、
PC版でのプレイを考えている場合は、

  • 自分の環境に近いユーザーレビュー
  • パッチノートやアップデート履歴

を事前に確認したほうが安心です。


5.3作ぶっ通しでやると“作業感”を覚える可能性も

これは好みの問題ですが、
トリロジーをまとめて遊べる=「同じ方向性のシステムを3作連続でやる」ことにもなります。

  • 調合システムはシリーズを追うごとに進化している
  • 戦闘も作品ごとに少しずつ変化している

とはいえ、ベースにある「ライザ流の錬金術RPG」としての味付けは一貫しているため、

  • 短期間で一気に3本消化しようとすると、途中で燃え尽きる
  • 中盤以降で“やること”のパターンが見えてきて作業感が出る

と感じる人もいるはずです。
トリロジーDXは“ライザ漬けになる”には最高のパッケージですが、「じっくり時間をあけながら遊んだほうが楽しめる」タイプのシリーズでもあります。


機種別の正直なところ:どのハードで買うべきか

ライザのアトリエDXで描かれる主人公ライザリン・シュタウトの笑顔。鮮やかな自然背景と進化したグラフィック表現が特徴の最新映像シーン

ライザのアトリエ 秘密トリロジーDXは、
PS5/PS4/Switch 2/Switch/PC(Steam)と、かなり幅広く展開されていますが、
正直なところ「どれで買うか」で満足度がけっこう変わります。

まず結論から言うと、
快適さと安定性を優先するなら PS5版が一歩リード

ロード時間の短さ、フレームレートの安定感、描画面の余裕、
どれを取ってもコンソールのなかでは頭ひとつ抜けています。
「テレビの前でじっくり腰を据えて遊ぶ」のが前提なら、素直にPS5を選んでおけば後悔しにくいです。

次点が Switch 2版
携帯モードとドックモードを行き来しながら遊べるのはやっぱり強みで、
「寝転びながら調合」「通勤・出先で素材集め」みたいな遊び方をしたい人には、
PS5よりもこちらのほうがライフスタイルにハマるケースも多いと思います。
ただし、基本30fpsベースで動いているので、
アクション寄りのバトルを“ぬるぬるの60fps”で楽しみたい人には、
どうしてもPS5や高性能PCに比べて見劣りする部分は出てきます。

PC(Steam)版はちょっと癖あり。
マシン性能が十分なら解像度やフレームレートを追い込める一方で、
DX版になって「ロードが妙に長い」「設定周りで挙動が不安定」という報告もあり、
“最高の映像と設定遊び”ができる代わりに“最適化のムラ”というリスクも抱えています。
自作PCやゲーミングノートに慣れていて、
ある程度自分で調整しながら遊ぶのが苦にならない人向け、という印象です。

一方で PS4版/初代Switch版は、
「とりあえず今持っているハードで遊びたい」ならアリですが、
ロード・フレームレート・描画クオリティともに、
PS5/Switch 2と比べるとどうしても世代差を感じます。
トリロジーを通しで長く遊ぶことを考えると、
ここに新規で突っ込むよりは、
いっそ本体ごとPS5かSwitch 2側に寄せたほうが快適なのは間違いありません。

ざっくりまとめると、

  • 快適さ最優先なら PS5版
  • 携帯+据置のバランス重視なら Switch 2版
  • PCに慣れていて、自分で環境をいじれるなら Steam版
  • 旧世代機は「どうしても本体を買い替えたくない人」向けの妥協案

という住み分けになります。

機種快適さ
(動作/ロード)
携帯性グラフィック忖度なしコメント
PS5◎ 最速&安定×◎ 最も高水準迷ったらここ。最大快適。
Switch 2○ 良好◎ 携帯OK○ 十分きれい携帯&据置の両立なら最強。
PC(Steam)△〜◎ 依存大◎ 最高設定狙える環境いじれる人向け。人を選ぶ。
PS4△ 重さあり×△ 世代相応本体買い替えないなら妥協枠。
Switch(初代)△〜▲ ブレあり◎ 携帯OK△ 小画面向き“とりあえず遊ぶ”用途なら。

🔥 忖度なしスコア

『ライザのアトリエ 秘密トリロジーDX』の点数は、作品そのものの出来よりも、
プレイヤーの状況によって評価がガラッと変わるタイプだ。

まず、これからライザを始める人にとっては、
“3作+追加要素+快適化すべて入り”という構成は理想形で、
RPGとしての完成度・ボリューム・価格のバランスが見事に噛み合っている。
シリーズの入口としても総仕上げとしても成立していて、
忖度抜きで言えば「ライザを始めるベストな選択肢」である。
この層のスコアは非常に高い。

一方、途中までしか遊んでいなかった人にとっては、
DXで入った補完エピソード・新キャラ・UI改善が大きく刺さり、
“もう一度最初からやり直す理由”がちゃんと用意されている。
シリーズの再点火として素直に強くおすすめできる。
この層も高評価。

ただし、3作+DLCを完全に遊び尽くしているガチ勢にとっては事情が違う。
追加要素や強化点の存在は歓迎できるものの、
メインストーリーが一新されるほどの劇的変化があるわけではなく、
“完全に別物”を求めて買うと期待値のほうが勝ってしまう。
ここだけは冷静に線引きが必要。
「ライザという作品を現行機でもう一度最高の環境でやりたいかどうか」——それが唯一の判断軸になる。

そしてPC(Steam)版を予定している人は注意。
スペック次第で“最高の映像”“最悪のロード”どちらにも転ぶため、
ここだけは他のハードと違って点数が上下に大きく揺れる。
環境が強い人と、そうでない人で評価が真逆になりうる枠だ。

評価項目スコア
バトル(アクション / テンポ)8.8 / 10
グラフィック・演出8.6 / 10
ストーリーモード(トリロジーとしての構成)7.8 / 10
キャラクター再現度・魅力9.1 / 10
やり込み要素・ボリューム9.0 / 10
最適化(PS5 / Switch 2 / PC 全体平均)7.9 / 10
コストパフォーマンス9.3 / 10
総合スコア8.7 / 10
ライザのアトリエ 秘密トリロジーDX
ライザのアトリエ 秘密トリロジーDX

ライザの物語3作品をまとめて楽しめるお得なトリロジーDX版。 グラフィックや快適性が強化された決定版パッケージです。

価格・在庫は変動します。購入の際は各ショップの最新情報をご確認ください。

総評

ライザのアトリエDXに登場するライザリン・シュタウトの笑顔シーン。温かい夕陽に包まれた感動的なカットで、シリーズの成長を象徴する表情

『ライザのアトリエ 秘密トリロジーDX』は、雑に言えば「ライザというIPを一番良い形でまとめ直した決定版」です。3作ぶんの成長物語、戦闘と調合システムの進化、DLCや追加エピソードで埋められた空白――これらを一気に味わえるパッケージとしての完成度はかなり高い。総合スコア8.7という数字は、「もう一度ライザを遊び直す価値がある作品」だと胸を張っておすすめできるラインです。

ただし、ここからが忖度なしの本音。これは“新作”ではありません。あくまで「豪華に補強されたトリロジーの決定版」であって、ストーリーやシステムが根本から作り直されたわけではない。すでにPS4やSwitch、PCで3作を遊び尽くし、DLCまで追いかけてきたガチ勢にとっては、「新要素のためだけにフルプライスをもう一度払うのか?」という問いがそのまま突きつけられます。愛が深いほど悩まされるパッケージです。

逆に言えば、まだライザを触っていない人、1作目だけ・2作目だけで止まっている人にとっては、悩む理由がほぼありません。現行機で最適化された環境、遊びやすくなったUI、物語を補完するDX要素込みでスタートできる時点で、旧版から入る意味はほぼなくなったと言っていいレベルです。「今からライザをやるならどれ?」と聞かれたら、このトリロジーDX以外をおすすめする理由は正直ありません。

最終的な判断基準はシンプルです。

  • ライザ未プレイ or 途中まで → 買い。ここから入るのが一番得。
  • ライザ三部作+DLCまで遊び尽くしている → “ライザを現行機でやり直したいほど、まだ好きか?”で決めろ。

メーカーのファンサと商売っ気がギリギリのラインで同居している一本なので、自分がどの立場にいるかを自覚してから手を出すのが、このトリロジーDXと上手く付き合うコツだと思います。

おすすめできる人・できない人

● おすすめできる人

・ライザをまだ遊んだことがない
・1作目 or 2作目で止まっている
・まとめて通して遊びたい気持ちがある
・「UI改善」や「快適化」を重視するタイプ
・DLCやサブイベントの取りこぼしが気になっていた
・Switch 2で“携帯 + テレビ”の両方で遊びたい
・PS5で最適化されたRPG体験を求めている

● おすすめできない人

・3作+ほぼ全DLCを遊び尽くしている
・“新作級の変化”を求めてしまうタイプ
・少しの追加要素にフルプライスを払うことに抵抗がある
・PC版で遊ぶ予定だが性能にあまり自信がない(ロード差が出る可能性あり)

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