激奏!BAND STAR 忖度なしレビュー|これは“曲を叩くだけ”じゃない、バンド体験型の音ゲー

激奏!BAND STAR は、Nintendo Switch向けに2025年12月11日に発売された新作音楽ゲームです。最大の特徴は、ギター/ベース/ドラム/キーボードの4パートから選んで“バンドスタイル”で演奏できること。さらに最大4人でのセッションプレイ、12万通り以上の組み合わせが可能な楽曲アレンジ機能、キャラクターカスタマイズなど、遊び方の幅を広げる仕組みが用意されています。
本記事では、収録曲の魅力だけで持ち上げるのではなく、音ゲーとしての気持ちよさ・アレンジ機能の実用性・人を選びそうなポイントまで、忖度なしで整理します。「普通のリズムゲームに飽きた人」に刺さるのか、それとも「万人向け」なのか。購入前の判断材料としてまとめました。
激奏!BAND STAR の作品概要・基本情報
激奏!BAND STAR は、人気楽曲を「ギター/ベース/ドラム/キーボード」の4パートから選んで、バンドスタイルで演奏できるNintendo Switch向け音楽ゲームです。最大4人でのセッションプレイにも対応し、演奏だけでなく“バンド体験”として遊べる仕掛けが用意されています。
また、収録曲を指定して簡単にアレンジできる機能があり、組み合わせは12万通り以上とされています。
基本データ(箇条書き)
- タイトル:激奏!BAND STAR
- 対応機種:Nintendo Switch
- ジャンル:音楽ゲーム
- 発売日:2025年12月11日(木)
- 価格:6,380円(税込)※パッケージ/DL同価格
- CERO:A(全年齢)
- プレイ人数:1人(ローカル通信で最大4人同時プレイ可)
- ※4人プレイは人数分の本体とソフトが必要
- 発売元:MAGES.
激奏!BAND STAR の良かった点
1)“バンドの役割”を選べる。4パート演奏がこのゲームの芯
本作最大の強みは、人気曲を「ギター/ベース/ドラム/キーボード」の4パートから選んで、バンドスタイルで演奏できること。単にノーツを叩くだけのリズムゲームではなく、どのパートを担当するかで体験が変わりやすいのが魅力です。
2)ソロでも“セッション感”が成立する設計(リプレイ活用で一人バンドができる)
公式説明では、ソロモードで選ばなかった楽器はCPUが担当し、さらに自分のリプレイデータを保存しておけば、別パートを自分でプレイし直して「1人で4人分のセッション」を楽しめる仕組みが明記されています。
一人でも「バンドを組んで演奏している感」を作りやすいのは、この手の音ゲーではかなり強いポイントです。
3)最大4人のローカル通信セッション対応。パーティー適性が高い
ローカル通信で最大4人同時プレイに対応しているため、友達や家族と“役割分担して演奏する”遊びが成立します(人数分の本体とソフトが必要)。
音ゲーは個人競技になりがちですが、本作は最初から“バンド遊び”に寄せているのが分かりやすい長所です。
4)アレンジ機能が強い。12万通り以上の組み合わせで「自分の曲」にできる
楽曲アレンジ機能が搭載されており、組み合わせは12万通り以上とされています。
同じ曲でも「アレンジして別物として遊ぶ」方向に広がるので、曲数の多さだけに依存しない“遊びの寿命”を作れるのが良いところです。
5)オンライン要素は「他人と同期して遊ぶ」より「データで繋がる」タイプで気軽
公式情報では、オンラインでリプレイデータを介して他ユーザーとセッションできる仕組みが示されています。
リアルタイム対戦が苦手でも参加しやすく、音ゲーの“緊張感”がストレスになる人にはありがたい設計です。
6)収録曲は「人気アーティスト+主題歌+クラシック」まで幅を持たせている
公式リリースでは、YOASOBI/AKB48/Omoinotake などの人気アーティスト曲に加えて、アニメ・ドラマ主題歌やクラシック曲も収録されると明記されています。
ジャンルを絞りすぎていないので、家族や友達と遊ぶ時に“知ってる曲がゼロ”になりにくいのも強みです。
7)キャラクターや背景のカスタマイズで「見た目のモチベ」が作れる
キャラクターカスタマイズ機能が搭載されていることが公式に明記されています。
上達要素だけでなく、見た目の変化でも継続の動機を作れるのは、ライト層にも刺さりやすいポイントです。
激奏!BAND STAR の気になった点
1)収録曲は「全30曲」固定。曲数重視の人は物足りない可能性
公式の楽曲リストは全30曲(順不同)と明記されています。
アレンジ機能で遊びの幅は広がる一方、純粋に「とにかく曲数が多い音ゲーが好き」という人は、購入前に曲リストを見て好みに合うか確認したほうが安全です。
2)最大4人プレイはローカル通信前提で、人数分の本体とソフトが必要
公式サイトでも「ローカル通信で4人同時プレイ可能」「人数分の本体とゲームソフトが必要」と明記されています。
パーティー用途で買う場合、ここを誤解すると痛いので要注意です。
3)オンラインは“リアルタイム共演”ではなく、リプレイデータを介した疑似セッション
オンラインは、他のプレイヤーがアップロードしたリプレイデータとマッチングして疑似的にセッションする仕組みが説明されています。
「友達と同時に繋いで演奏したい(リアルタイム合奏したい)」目的だと期待とズレる可能性があります。
4)ローカル通信のマルチは「曲がランダム選曲」仕様。狙った曲をみんなで固定しにくい
公式説明では、ローカル通信マルチは各プレイヤーが好きな楽曲を選び、その中からランダムに演奏が行われるとされています。
「この曲を全員で合わせたい」タイプの遊び方だと、気持ちよさより“運要素”が前に出る可能性があります。
5)Switch専用タイトル。プレイ環境の選択肢は限られる
激奏!BAND STAR は、現時点では Nintendo Switch専用タイトルとして展開されています。
そのため、PS5やPC版との比較で「より高解像度」「より滑らかな動作環境」を選ぶ、といった選択肢はありません。
普段からSwitchで音楽ゲームを遊んでいる人には問題ありませんが、他機種でのプレイを想定している場合は、この点を理解したうえで検討するのが安心です。
激奏!BAND STAR は「一人でもバンドを組める」音ゲー
激奏!BAND STAR の個性は、4パート演奏とマルチ対応だけでは終わりません。公式で明記されている通り、ソロプレイ時は自分が選ばなかったパートをCPUが担当し、さらにリプレイデータを保存しておけば、別のパートを自分で演奏し直して「一人で4人分のセッション」を作れる仕組みがあります。
この設計がうまいのは、音ゲーでありがちな「結局ひたすら同じ譜面を詰めるだけ」に留まらず、同じ曲でも担当パートを変えることで体験が変化しやすい点です。ギターでリードを取って気持ちよく弾くのか、ドラムでリズムの芯を作るのか、キーボードで華やかに支えるのか――“曲に参加している感覚”を、自分の手で組み立てられます。
また、オンラインでも他ユーザーのリプレイデータと組み合わせてセッションできる仕様が示されているため、リアルタイム通信の緊張感が苦手でも「誰かと演奏している雰囲気」を取り入れやすいのも特徴です。
結論として本作は、曲を叩くだけのリズムゲームというより、演奏パート・リプレイ・アレンジを使って「自分のバンド体験」を作るゲーム。ここがハマる人にとっては、30曲という土台でも遊び方の厚みが出やすい作品です。
忖度無しスコア
激奏!BAND STAR のスコアは、「音ゲーとしての完成度」と「バンド体験ゲームとしての独自性」を切り分けて評価した結果です。
本作は“純粋なリズムゲームの快感”を突き詰めたタイプではなく、演奏役割・アレンジ・セッション感といった周辺要素で価値を作ろうとしているタイトルだからです。
まず、演奏そのものの気持ちよさについては、一般的な音ゲーと比べると控えめな評価になりました。判定やフィードバックは最低限成立していますが、「叩いていて楽しい」「腕前がそのまま快感に直結する」タイプの作りではなく、音ゲー経験者ほど物足りなさを感じやすい設計です。
一方で、4パート制のバンド体験や、リプレイを使った疑似セッション、12万通り以上とされるアレンジ要素は、本作ならではの強みです。ここは明確に評価できるポイントで、「曲を叩く」以外の楽しみを用意しようとした意図は伝わってきます。ソロでもバンド感を作れる設計は、他の音楽ゲームとしっかり差別化されています。
楽曲ラインナップについては、全30曲という点が評価を分ける部分です。知名度やジャンルの幅はあるものの、長期的に遊ぶ前提ではボリューム不足を感じる可能性があります。アレンジで遊びの寿命を延ばせるとはいえ、「曲数そのもの」を重視する人には弱点になり得ます。
総合すると、本作は
「音ゲーとしての爽快感」を最優先する人向けではないが、
「バンドっぽく演奏する体験」や「役割分担を楽しむ遊び」が好きな人には一定の魅力がある作品
という評価に落ち着きました。
忖度なしで言えば、
・音ゲー目当てで買うと期待外れになりやすい
・バンド体験ゲームとして見ると、光る部分は確かにある
その中間点として、今回のスコア設定になっています。
| 評価項目 | スコア |
|---|---|
| 演奏の気持ちよさ(音ゲーとしての達成感) | 5.8 / 10 |
| バンド体験(4パート・セッション設計) | 7.6 / 10 |
| 楽曲ラインナップ(全30曲の質と幅) | 7.2 / 10 |
| アレンジ要素(12万通り以上の遊び分け) | 7.8 / 10 |
| サウンド品質・演出 | 5.9 / 10 |
| 遊びやすさ(難易度設計・導線の分かりやすさ) | 6.6 / 10 |
| ボリューム(曲数30曲+繰り返し耐性) | 6.4 / 10 |
| コストパフォーマンス | 6.0 / 10 |
| 総合スコア | 6.6 / 10 |
バンドサウンドをテーマにした「激奏! BAND STAR」の関連CD/グッズ。 迫力ある楽曲や世界観を楽しみたいファン向けのアイテムで、 コレクションとしても手元に置いておきたい一作です。
価格・在庫・仕様などは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。
総評|激奏!BAND STAR は「音ゲー」より「バンド体験」を求める人向け
激奏!BAND STAR は、リズムゲームとしての爽快感を突き詰めた王道作品というより、ギター/ベース/ドラム/キーボードの4パートを選んで演奏し、“バンドっぽさ”を遊びにするタイトルです。最大4人のローカル通信セッションや、リプレイデータを活用した疑似セッションなど、演奏を「一人の腕前勝負」だけで終わらせない設計は、このゲームの最大の個性です。公式で明記されている「12万通り以上」のアレンジ要素も含め、同じ曲を別の角度で遊び直せる余地があるのは強みと言えます。
一方で、購入前に理解しておきたいポイントもはっきりしています。収録曲は全30曲と明記されており、曲数の多さや最新曲の大量収録を期待して買うと、ボリューム面で物足りなさを感じる可能性があります。また、4人プレイはローカル通信前提で、人数分の本体とソフトが必要です。ここを把握せずに「みんなで遊べる音ゲー」とだけ思って買うと、理想の遊び方とズレるかもしれません。
結論として、本作は次のタイプにおすすめです。
・好きな曲を「担当パートを変えて」遊ぶのが好きな人
・友達や家族と役割分担して、合奏っぽく盛り上がりたい人(ローカル通信の環境が揃う人)
・曲数よりも、アレンジや遊び方の工夫で長く遊びたい人
逆に、
・音ゲーとしての判定の気持ちよさや、ストイックな腕前勝負を最優先したい人
・大量の収録曲や追加曲前提で遊びたい人
には、期待とズレる可能性があります(ここは目的次第です)。
激奏!BAND STAR は、刺さる人には「音ゲー+バンド遊び」という独自ポジションでハマる一方、王道音ゲーを期待すると評価が割れやすい作品。だからこそ、買う前に「自分が求めているのは音ゲーの爽快感なのか、バンド体験なのか」を一度整理してから選ぶのが、いちばん後悔しにくいと思います。