ブループロトコルの軌跡を振り返る

2019年、バンダイナムコが発表したオンラインRPG「ブループロトコル(BLUE PROTOCOL)」。アニメがそのまま動くかのようなビジュアルと、オンライン協力プレイの可能性で多くの注目を集めました。
しかし2023年の日本サービス開始からわずか2年足らずで、2025年1月18日にサービス終了を迎えることが発表されます。そして現在、そのブランドは新作『Blue Protocol: Star Resonance』へと継承され、スマホとPCを横断するクロスプラットフォーム作品として再び脚光を浴びています。
本記事では、ブループロトコルの歩みを発表当初から振り返り、なぜ短命に終わったのか、そして新作にどうつながっていくのかを、正確な情報に基づいて時系列で整理します。
発表と最初のテスト(2019)
2019年の夏、「ブループロトコル」は“アニメがそのまま動く”表現を掲げてお披露目されました。発表と同時に公開されたプロモーション映像は、キャラクターや背景の質感までアニメ的に統一した世界観を印象づけ、オンラインRPGでこの方向性を本格的に打ち出すタイトルとして注目を集めます。
同年7月末には、開発段階の手応えを確かめるクローズドαテスト(CaT)を日本で実施。期間は7月26日〜28日、募集人数は5,000人。テストではキャラクタークリエイトと、イージスファイター/ツインストライカー/ブラストアーチャー/スペルキャスターの4クラスが体験できる内容でした。開催日時や募集規模、体験できた要素はいずれも当時の告知で確認できます。
CaT後は、アンケートやプレイデータを踏まえたフィードバックを整理し、次のテストへ向けて開発を進める方針が示されます。公式の告知・報道ベースでも、CaTはサーバー負荷の検証とプレイ感の確認を主目的にしていたことが明記されています。まず“動くアニメ”の手触りを世に問う第一歩――それが2019年の夏でした。
CBT告知と開発の歩み(2020)
2020年に入ると、開発チームは次のステップとしてクローズドβテスト(CBT)の実施を告知しました。募集規模はおよそ5万人、期間は4日間という計画。2019年のクローズドαで得られた感触を踏まえ、ゲームプレイの芯になる部分――戦闘テンポや各クラスの役割、マッチングの流れ、そして“動くアニメ”としての見た目と軽快さの両立――を、より広い参加者で確かめていく段取りでした。
同時に、開発側はテストの目的をはっきり示していました。単なる“宣伝イベント”ではなく、正式サービスへ向けた負荷検証と運営導線の確認。サーバーの同時接続や、インスタンス・フィールドの切り替え時のストレス、拠点となるハブエリアの人流、UIのわかりやすさ――こうした実務的な論点を、数万人規模でデータとして取ることが狙いです。
その後は、社会情勢や開発上の調整も重なり、スケジュールの見直しやテスト内容の再調整が段階的に行われました。プレイヤーが気持ちよく戦える手触りを壊さずに、同時接続の重さやコンテンツの厚みをどう担保するか。実装と検証を重ねる時間が必要になった――2020年は、外から見える派手さは抑えめでも、“ローンチに耐える設計”へと土台を固めていく年だったと言えます。
ローンチ準備とパブリッシュ体制(2022)
2022年は、“どの地域で、どの体制で出すか”が具体化していった年でした。年末には西側地域(英語圏ほか)のパブリッシャーとして Amazon Games が発表され、グローバル展開の道筋がはっきり見えるようになります。ここで示されたのは、日本は引き続きバンダイナムコの体制で、海外はAmazon Gamesが担うという二段構えの構図。開発はバンダイナムコオンライン/スタジオが中心である点も、改めて押さえられました。
また、このタイミングで“PCだけでなく据え置き機にも広げる”方針が告知され、PS5/Xbox Series X|S 版の展開予定が示されます。もともと「PC発」のオンラインRPGとして準備されてきたブループロトコルにとって、コントローラー操作やUIスケーリング、表示負荷の最適化など、マルチプラットフォームならではの設計課題が一気に現実味を帯びた時期でもあります。
制作側からは、配信番組や開発レターを通じて、テストを重ねていることや“正式サービスに耐える運用設計”に焦点を置いていることが繰り返し伝えられました。広い地域・複数プラットフォームで同時に遊べるオンラインRPGに仕立てるために、アカウント連携やマッチング、コンテンツの初期ボリュームといった要点を詰めていく——2022年は、まさにその土台づくりの年でした。
日本サービス開始(2023) ─ 好調なローンチとその光景
2023年6月14日、ついに日本でのPC版正式サービスが始まりました。長い準備期間と多数のテストを経て、プレイヤーたちはついに“動くアニメ世界”の扉を開けます。
🚀 スタートダッシュ:驚くべき数値
開始からわずか6日間で、累計プレイヤー数が 60万人 を突破。さらに、最大同時接続者数は 20万人超 を記録しました。
この数値は、バンダイナムコオンラインが手がける国内PC向けオンラインサービスとしては最速の到達だったと、公式発表でも強調されています。
(サービス当初の混雑や接続トラブルを含め、さまざまな反響も同時に表明されました)
こうした“勢い”は、スタート直後の盛り上がりを象徴するデータとして、後の運営フェーズにおける期待値を高める材料となりました。
🛠 運営の課題と調整
ただし、「始まりが良かった」ことはリスクでもあります。高負荷状態、決済/課金機能のトラブル、ID接続問題など、不安定要素も少なからず露呈していました。運営側は初期の報告でこれらを率直に認め、「安定提供に向けて最優先で対応する」旨を伝えています。
同時に、ゲーム内では「スタートダッシュキャンペーン」が実施され、新規ログイン者への報酬配布、育成支援クエストの拡充など、できるだけ多くの人が落ちずに“続けられる導線づくり”が意識されていました。
コンソール版国内リリース(2023年末)
2023年12月13日17時、ついにPS5とXbox Series X|S版が国内で配信開始。基本プレイ無料のまま、PS Store/Microsoft Storeから導入でき、既存のPC版とコンソール間のクロスプレイにも対応しました。PC発のタイトルが“リビングの大画面”へ広がったことで、手に取りやすさは一段増したと言えます。
この拡張は、同年6月のPC版ローンチで生まれた勢いを家庭用にもつなぐ橋渡しでした。PCで触れていたプレイヤーと、家庭用を主戦場にしているプレイヤーが同じフィールドで出会える――“遊ぶ場所が違っても同じ世界を共有できる”という設計は、ブループロトコルのアニメ的世界観と相性が良かったはずです。
サービス終了の決定(2024年8月28日発表)
2024年8月28日、運営は日本版『BLUE PROTOCOL』のサービス終了を正式に告知しました。終了日時は2025年1月18日(土)22:00。対象は国内で展開していたPC/PS5/Xbox Series X|Sの各プラットフォームです。合わせて、海外(Amazon Gamesによる英語圏向け)リリース計画の中止も明らかにされ、ブルプロのグローバル展開はここで幕を下ろすことになりました。
告知では、今後“皆さんに満足いただけるサービス提供が難しいと判断した”旨が述べられています。ライブサービスは走りながら厚みを増す設計ですが、コンテンツ計画や運営体制、負荷といった複数の要因を総合的に勘案した結果、終了という決断に至った――という趣旨です。表現はあくまで公式の語調に沿い、具体的な数値や未発表の事情には踏み込みません。
終了決定後も、最終日まで“きちんと走り切る”ための運営計画が提示されました。発表当日から有償通貨の販売を停止し、代わりに無償通貨やガシャチケットの配布を継続。加えて、年末にかけての新要素(例:期間イベントや新章の投入)を予告し、クローズまでのプレイ体験を締めくくる方針が示されています。
この章の着地点はシンプルです。ブルプロは“終わる”と決まったが、だからこそ最後の数カ月をどう誠実に設計するか――運営はその段取りを提示し、プレイヤーはそれぞれの冒険の区切りに向けて歩き出した。次章では、1月18日当日の出来事を振り返ります。
終了当日(2025年1月18日)

2025年1月18日(土)22時。
日本のサーバーは予定どおりシャットダウンし、『BLUE PROTOCOL』の国内サービスは静かに幕を下ろしました。事前告知どおり有償通貨の販売は前段で停止され、最後の数カ月は配布やイベントで「遊び切るための導線」を整える形に。最終日はログインして“区切りの瞬間”を見届けるプレイヤーが多く、SNSには思い出のスクリーンショットやキャラクター自慢、初期の混雑や初クリアの歓声を懐かしむ投稿が並びました。
オンラインRPGにとって、サービス終了は物語の終わりであると同時に、コミュニティがそれぞれの場所へ散っていく節目です。
「動くアニメ」を掲げて走り切った1年半あまりの時間は、短くても濃い記憶として多くの人に残りました。次章では、この“終わり”の先に示された新しい受け皿――スマホ/PC向けの新作『Blue Protocol: Star Resonance』について、事実ベースで整理します。
ブランド継承と新作『Blue Protocol: Star Resonance』
サービス終了の告知からほどなくして、“ブループロトコル”の名を冠する新作が発表されました。タイトルは『Blue Protocol: Star Resonance』(以下、BPSR)。
ここで最初に押さえたいのは関係性です。BPSRは、本家『BLUE PROTOCOL』の移植でも直系アップデートでもありません。開発・運営の体制が異なる、同IPを用いた新作として位置づけられています。
プラットフォームは PC(ストア配信)とモバイル(iOS/Android)。基本プレイ無料で、クロスプレイ/クロス進行に対応する方針が明言されています。PCとスマホの間で、いつでもどこでも同じキャラクターを育てられる――オンラインRPGとしての敷居を下げる狙いが透けて見えます。
スケジュール面では、一部地域で2025年10月9日(木)にグローバル配信開始予定が案内されています(地域やプラットフォームにより前後する可能性あり)。日本については2025年11月にクローズドβテスト実施予定と告知されており、正式サービス時期は“追って案内”という段階です。いずれも“公式が出している日時・表現”をそのまま記し、推測は避けます。
内容面は、キャラクタークリエイトとアクション戦闘を軸にしたオンラインRPGという方向性で、イベント出展では実機試遊が行われました。キャラの見栄えや操作の手触りを短時間で確認できる構成で、いわば“入口の体験”に的を絞った披露です。大型のライブサービスは、最初の一歩で「触ってみたい」と思わせられるかが肝。BPSRはその“最初の壁”をていねいに越えていこうとしている印象です。
まとめると――BPSRは“ブルプロの魂を引き継ぐ別タイトル”。
開発・運営の体制は本家と別で、PCとスマホをまたぐ設計、2025年10月9日(地域により)からの段階的ローンチ、日本は11月にCBTというロードマップが示されています。
よくある誤解と用語整理(Q&A)
ブループロトコルと『Star Resonance』をめぐっては、SNSやニュース記事で誤解されやすい点がいくつかあります。ここでは、公式の情報をもとにシンプルに整理しておきましょう。
Q. 『Star Resonance』は“ブループロトコルのスマホ版移植”なの?
A. いいえ。
『Star Resonance』は本家ブルプロの直移植ではなく、別スタジオによる新作です。開発元は Shanghai Bokura Technology、配信は A PLUS JAPAN などが担っています。バンダイナムコが直接開発・運営していた本家とは体制が異なるため、あくまで「IPを活用した派生タイトル」という立ち位置です。
Q. 対応プラットフォームはどうなるの?
A. PC(Steam/Epic Games Store)とスマートフォン(iOS/Android)です。
クロスプレイ・クロスセーブ対応が予定されており、家庭用機(PS5/Xbox)で展開されていた本家とは異なる点に注意が必要です。
Q. 配信スケジュールは?
A. グローバル版は2025年10月9日(地域により前後あり)から段階的に開始予定です。
日本については2025年11月にクローズドβテスト(CBT)を実施予定と告知されており、その後の正式サービス開始時期は未発表です。
Q. “ブルプロの続編”と呼んでいいの?
A. 正確には“続編”ではありません。
物語や世界観を直線的に引き継ぐのではなく、ブルプロのブランドを用いた新しいタイトルという立場です。ですので、“ブルプロの魂を受け継ぐ別作品”と表現するのが実態に近いでしょう。
まとめ
ブループロトコルは、2019年の発表から“動くアニメ”という挑戦を掲げ、2023年に国内サービスを実現し、2025年1月に区切りを迎えました。短い時間でしたが、オンラインRPGの表現や運営の難しさ、そしてコミュニティの熱量まで、多くの学びと記憶を残してくれました。
いま、その名は『Blue Protocol: Star Resonance』へと受け継がれつつあります。直系の移植ではない――だからこそ、別体制・別設計の“新しい入り口”として、どこまで遊び続けられる導線を描けるのか。ブルプロで育まれた期待と経験が、次の一歩の肥やしになることを願いつつ、私たちはまた新しい冒険の扉を叩く準備をしています。
BLUE PROTOCOL アクリルスタンド 07/ティア(公式イラスト)