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紅白がつまらないと言われる理由は本当か?「面白くない」と感じるポイントを構造から整理【紅白歌合戦2025】

「紅白がつまらない」「面白くない」と感じるのはなぜ?まず前提を整理

青と赤に分かれたステージライトと観客席が向かい合う、紅白歌合戦の歌合戦ステージをイメージした抽象的イラスト。

紅白歌合戦は、年末の定番番組である一方、放送後には毎年のように「つまらない」「面白くない」といった声も出やすい。けれど、この言葉は単純に“番組の出来が悪い”と決めつけるためのものではない。
紅白は、歌をじっくり味わいたい人もいれば、年末フェスとして盛り上がりを楽しみたい人もいる。勝敗を重く見る人もいれば、イベントとして眺めたい人もいる。前提が違えば、同じ進行や構成でも評価は割れやすい。
この記事では、個別の出演者批評や感情的な断定は避け、進行・企画・勝敗の見え方などから「つまらない/面白くない」と感じやすい理由を構造として整理する。あわせて、逆に面白さとして受け止められる要素も確認し、評価が分かれる背景を冷静に言語化していく。

「紅白がつまらない」と感じる人が増えたのは本当か

「紅白 つまらない」「紅白 面白くない」という感想が出るのは、紅白が嫌われたからというより、紅白が“国民的に見られている番組”であり続ける証拠でもある。視聴者の層が広いほど、同じ番組でも受け取り方が割れやすいからだ。

実際、紅白2025(第76回)は、放送前にタイムテーブル(登場時間の目安)が公開され、放送枠も19:20〜23:45(中断ニュースあり)と明記されていた。これは「見たい場面を狙って見られる」利点がある一方で、番組全体が“区切りの連続”として体感されやすい条件も作る。
さらに司会は4人体制(有吉弘行/綾瀬はるか/今田美桜/鈴木奈穂子アナ)。体制が厚いぶん、テンポ重視の構成になりやすく、そのテンポが「快適」と「慌ただしい」に分かれやすい。

つまり「つまらない/面白くない」は、作品の出来の断罪というより、視聴者の期待と番組設計の噛み合わせがズレたときに出やすい“感想のラベル”だ。ここから、そのズレが起きる理由を、よくあるパターンに分解していく。


紅白が「つまらない」「面白くない」と言われやすい理由

1) 進行が慌ただしく、落ち着いて見られない

紅白は4時間超の生放送で、曲・転換・企画・審査など要素が多い。ここでテンポを上げると「ダレない」一方、視聴体験としては“せわしない”に振れやすい。

紅白2025はタイムテーブルが公開され、「この時間に誰が出るか」が見える化された。これは親切だが、見える化されるほど視聴者側が“次のブロック”を意識し、1つ1つの場面を腰を据えて味わうより「移動する番組」に感じる人が出やすい。
このタイプの番組設計は、スマホ時代の「つまみ食い視聴」には強い反面、紅白を“年末の儀式”としてゆったり見たい層には、温度差が生まれる。


2) 企画が多いほど「歌番組としての一本筋」が薄く感じる

紅白に期待するものが「歌そのもの」なのか、「年末イベント」なのかで評価は変わる。象徴的なのが恒例企画だ。

たとえば紅白2025では、三山ひろしの歌唱中に行われる「けん玉ギネス世界記録」企画が実施され、129人連続成功で達成したと報じられた。
この場面は、年末のライブ感・緊張感という意味では強烈な山場になる。一方で「歌に集中したい」視聴者からすると、どうしても企画が視界に入る。ここで好みが割れやすい。

大事なのは、企画自体の善悪ではなく、紅白の“見方”が視聴者によって違うこと。歌番組としての純度を求める人ほど、企画が増えるほど「面白くない」に寄りやすい。逆にイベントとして楽しむ人ほど「面白い」に寄りやすい。


3) 勝敗や審査の仕組みが、視聴者によっては“ノイズ”になる

紅白は「歌合戦」なので勝敗がある。だが、現代の視聴者は勝敗を重く見る人もいれば、「勝敗より、年末の祭りとして見たい」人もいる。ここが評価分岐の大きなポイントになる。

紅白2025の視聴者投票は、テレビ1台あたり最大5票で、視聴開始で1票、その後は5分連続視聴を10回達成するごとに票が増える仕組みが説明されている。
このルールは「参加している感」を生む一方で、ルールが細かいほど「勝敗の意味が分かりにくい」「そこまでして勝敗が必要?」と感じる人も出やすい。

結果として、勝敗をドラマとして楽しむ層にはプラス、勝敗に重みを置かない層には“引っかかり”として残りやすい。ここで「つまらない/面白くない」の言葉が出る土壌ができる。


4) “見たい人に合わせる”ほど、全員の満足度は下がりやすい

タイムテーブル公開や投票設計は、視聴者の利便性を上げる施策でもある。
でも、利便性を上げるほど「好きな場面だけ見る」視聴になり、番組全体を通して体験する人が減る。すると、番組の空気感や余韻で評価する層は「昔より面白くない」と感じやすい。

ここが現代の紅白の難しさで、誰にとっても見やすくするほど、“通しで見た満足”は下がりやすい。つまり構造的に賛否が起きる。


それでも「紅白は面白い」と感じる人がいる理由

1)生放送ならではの「一体感」と“結果が出る瞬間”がある

紅白2025で象徴的なのが、三山ひろしのステージ中に行われた恒例企画「紅白×けん玉」。今回は「連続してけん玉をキャッチした人の最も長い列」で129人の世界記録を達成しました。しかも、司会の有吉弘行を含む複数のゲストも参加し、舞台上で成功・失敗の緊張感が共有される構造でした。

この手の企画は「歌に集中したい人」にはノイズにもなり得ますが、“その瞬間を皆で見守る”ライブ体験としては非常に強い。結果(達成か否か)が放送中に確定するため、SNS時代の「リアルタイムで盛り上がる番組」として面白さが出やすいです。


2)「参加できる紅白」になっていて、見ている側の能動性が上がる

紅白2025の視聴者投票は、テレビ1台あたり最大5票。視聴を始めると1票獲得し、その後5分連続視聴を10回達成するごとに票が増える仕組みで、票は分割投票も可能と説明されています。
投票自体も、総合テレビだけでなくBSP4K・BS8Kでも参加でき、データ放送/データサービスで行う形式です。

ここが刺さる人にとっては、紅白が「眺める番組」ではなく“参加するイベント”になる。勝敗の意味を重く見るかどうかは別として、「自分も審査に関わっている」感覚が、面白さの一部になり得ます。


3)タイムテーブルがあることで「見たいところだけつまみ食い」できる

紅白2025はタイムテーブル(時間帯の目安)が告知され、後半の時間帯(午後10時以降に誰が出るか等)も記事として整理されています。

これにより、仕事・家事・帰省・初詣などで通し視聴が難しい人でも、

  • 「この枠だけは見たい」
  • 「後半の山場だけ見る」
    といった見方がしやすくなります。

“通しで見てこそ紅白”の価値観だと物足りなくなる可能性はありますが、逆に言えば、現代の生活に合わせて紅白を楽しめる設計になっている。ここを便利で面白いと感じる層は確実にいます。


4)「特別企画」の一点突破がある(刺さる人には強烈に刺さる)

紅白2025では、松田聖子が特別企画で出演し、「青い珊瑚礁」を披露。番組内でも“原点の曲”として紹介されたと報じられています。

こうした“その年限りの大きな見せ場”があると、紅白は「全体の完成度」よりも、一点の強い満足で“面白かった”に傾きやすい。推しがいない人でも、世代を超えて共有される曲・企画が刺さると、印象は一気に上向きます。


5)「放送100年」など、年越しの“節目”を演出する力がある

紅白2025は「放送100年」に絡む特別企画が告知され、たとえば堺正章×Rockon Social Clubによる企画が<放送100年 紅白特別企画>として案内されています。

紅白の面白さを「音楽番組」ではなく、年末の節目を象徴する“国民行事の演出”として受け取る人にとっては、こうした企画の存在自体がプラスに働きます。

矢沢永吉のパフォーマンスが「面白かった」と評価された理由

紅白2025で印象的だった要素の一つが、矢沢永吉のステージだった。事前発表では特別企画として「真実」を披露するとされ、実際の放送ではその流れを起点に“サプライズ展開”も含む構成で大きな話題を呼んだと報じられている。

評価が集まった理由は、演出の有無というよりも、企画が多くテンポが速くなりがちな番組の中で、矢沢永吉の歌唱が「番組の空気を一段変える」役割を果たした点にある。紅白は、企画・進行・演出の情報量が増えるほど「慌ただしい」と感じる視聴者も出やすい。その中で、長年第一線で歌ってきたアーティストの説得力が前面に出る瞬間は、視聴体験を“引き締める”方向に働きやすい。

つまり矢沢永吉のパフォーマンスは、「紅白は歌番組としての芯も見せられる」という納得感を生み、番組全体への評価が割れやすい年ほど、肯定側の根拠として強く残りやすかった——そう整理できる。


結論:紅白は「つまらない番組」になったのか

結論として、紅白が「つまらない」「面白くない」と言われる理由は、番組が一方的に劣化したと断定できるものではない。紅白は、歌をじっくり聴きたい人、年末フェスとして盛り上がりを楽しみたい人、勝敗を重く見る人など、前提の違う視聴者が同じ番組を見ている。だからこそ、テンポ重視の進行や企画の多さ、勝敗の見え方といった“設計”が、ある人には「飽きない」「便利」と映り、別の人には「慌ただしい」「集中しにくい」と映る。評価が割れるのは自然で、紅白は今も「全員の番組」であろうとするぶん、好みの差が表に出やすい番組だと言える。

紅白が「つまらない」と感じられるのは、番組の良し悪しが単純に決まるからではなく、紅白に求めるものが視聴者ごとに違うからだ。テンポや企画、勝敗の見え方が、面白さにも不満にもなり得る。つまり紅白は、評価が割れやすい構造を持つ番組であり、その割れ方自体が“国民的番組であり続けている”ことの裏返しでもある。

出典(一次・公式優先)

  • NHK公式:第76回NHK紅白歌合戦 公式サイト(番組概要/放送枠/司会/企画告知)
  • NHK ステラnet:視聴者投票(データ放送)の仕組み解説(投票方法・票数ルール)
  • 主要報道:紅白×けん玉「129人で世界記録達成」報道(複数社で照合)
  • 主要報道:松田聖子(特別企画)・矢沢永吉(ステージ)など放送内容の報道(複数社で照合)

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