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メトロイドプライム4 ビヨンド 忖度なしレビュー・評価|Switch 2版との違いと良かった点・微妙だった点を正直解説

メトロイドプライム4 ビヨンド 忖度なしレビュー|どんなゲームか・本記事のスタンス

Nintendo Switch向け新作『メトロイドプライム4 ビヨンド(Metroid Prime 4: Beyond)』の公式ロゴ画像

メトロイドプライム4 ビヨンド(Metroid Prime 4: Beyond)は、レトロスタジオが手がけるメトロイドプライムシリーズ最新作で、ニンテンドーSwitchとSwitch 2向けに2025年12月4日に発売された一人用アクションアドベンチャーです。舞台は未知の惑星「ヴューロス」。サムス・アランは宿敵シルクスとの戦闘の末、この惑星に飛ばされ、現地の種族ラモーンからの依頼を受けつつ、生き残りと脱出を目指すことになります。

ゲームとしては、従来どおりの一人称視点探索+戦闘に加えて、新要素として“サイキックアビリティ(念動力系の力)”と、高速移動用バイク「Vi-O-La(ヴィオラ)」が登場。環境ギミックを動かしたり、ビームの軌道を曲げたりする新アクションと、広いハブエリアを走り回る移動手段が組み合わさり、過去作とは少し違うリズムの探索が求められます。Switch 2版では4K/60fpsか1080p/120fpsのモード切り替え、Joy-Con 2を使ったマウスライクなエイムも選べるなど、プレイ感にも世代差があるタイトルです。

一方で、発売直後のレビューを眺めると、「シリーズ屈指の雰囲気とダンジョン設計は最高レベルだが、ハブエリアのスカスカ感やサイキック要素の扱いがやや足を引っ張っている」という声も目立ちます。メタスコア的には80点台前半と概ね高評価ながら、「任天堂近年の看板タイトルと比べると一段落ちる」「オープンワールド風の構成とメトロイドらしさの相性に違和感がある」といった意見も出ており、かなり“人を選ぶ仕上がり”になっている印象です。

本記事では、そうした世間の評価も踏まえつつ、実際にプレイした感触ベースで「良かったところ」「微妙だったところ」「メトロイドプライム4 ビヨンドならではのポイント」をできるだけフラットに整理していきます。Switch版とSwitch 2版の違い、シリーズ経験者・未経験者それぞれにとってのおすすめ度も含めて、購入前の判断材料になるような“忖度なしレビュー”を目指して書いていきます。

作品概要|メトロイドプライム4 ビヨンドとは?

『メトロイドプライム4 ビヨンド(Metroid Prime 4: Beyond)』は、レトロスタジオが開発し、任天堂から発売された一人用3Dアクションアドベンチャーゲームです。シリーズとしては『メトロイドプライム3 コラプション』以来となる完全新作で、2025年12月4日にNintendo Switch/Nintendo Switch 2向けに同時リリースされました。

舞台は未知の惑星「ヴューロス(Viewros)」。銀河最強のバウンティハンターであるサムス・アランがこの星に不時着し、謎の種族ラモーンや、シリーズで因縁のあるシルクスと関わりながら、惑星の秘密と脱出の手がかりを探る物語が展開されます。プレイヤーは一人称視点でフィールドを探索し、環境ギミックを解き、敵と戦いながら少しずつ行動範囲を広げていく、いわゆる“プライム系メトロイド”の文脈にある作品です。

本作の新要素として、サムスが得る「サイキックアビリティ(念動力による物体操作など)」と、高速移動用バイク「Vi-O-La(ヴィオラ)」が登場します。オブジェクトを動かして仕掛けを解いたり、広大なエリアをバイクで駆け抜けたりといった新アクションが加わり、従来作よりも“環境とのインタラクション”に比重が置かれたゲームデザインになっているのが特徴です。

Nintendo Switch 2版では、4K/60fpsまたは1080p/120fpsの映像モード切り替えや、Joy-Con 2を使ったマウスライクなエイム操作に対応し、グラフィックとフレームレートが強化された「Nintendo Switch 2 Edition」として提供されています。元のSwitch版を持っている場合は、有料アップグレードパスでSwitch 2版に移行できる仕組みも用意されています。


  • タイトル:メトロイドプライム4 ビヨンド(Metroid Prime 4: Beyond)
  • ジャンル:アクションアドベンチャー(メトロイドプライム系FPS探索)
  • 開発:Retro Studios(協力:Next Level Games, Virtuos)
  • 発売元:任天堂(Nintendo)
  • 対応ハード:Nintendo Switch/Nintendo Switch 2(アップグレードパス対応)
  • 発売日:2025年12月4日(木)
  • 価格:Switch版 7,980円(税込)/Switch 2版 8,980円(税込)
  • プレイ人数:1人(オフライン専用)
  • 主な特徴:一人称視点探索+戦闘、サイキックアビリティ、バイク「Vi-O-La」、ハブエリアとダンジョン型ステージ構成、Switch 2版の高解像度・高フレームレート対応

良かったところ

  1. 「これぞプライム」の探索とレベルデザインは健在
    惑星ヴューロスの各エリアは、クラシックなメトロイドプライムらしい“立体構造のダンジョン”としてよくできていて、少しずつ行ける場所が増えていく感覚はシリーズファンならニヤッとする出来です。とくに工場エリア「Volt Forge」などは、ギミックと戦闘の組み合わせが評価されていて、「探索と戦闘のループ自体はかなり中毒性がある」という声が多いです。
  2. サイキックアビリティとVi-0-Laがもたらす新しい“動き”
    新要素のサイキックアビリティは、隠れた足場を可視化したり、ビームを曲げて特定の敵やギミックを狙い撃ったりと、従来のビーム/ミサイル/グラップルだけでは解けなかったタイプのパズルを生んでいます。Vi-0-La(バイク)は、広いハブエリアを横断するだけでなく、ブーストでショートカットを開いたり、敵をはね飛ばしながら進んだりできる設計で、「一本道の通路をただ走るよりも、ルート選びの余地がある」のはプラスに働いています。
  3. Switch 2版の映像・フレームレート強化は素直にうれしい
    Switch 2版では、4K/60fpsまたは1080p/120fpsのモードが用意されており、解像度・フレームレートともにシリーズ最高水準。重厚なライティングとエイリアン感の強いビジュアルが高解像度で映えるうえ、照準操作も滑らかで「見た目と手触りの両面で一段階“次世代”になった」と評価されています。
  4. 雰囲気とサウンドはシリーズ屈指の完成度
    ジャングルや工場、荒野といった各エリアごとに雰囲気がはっきり作り込まれていて、「孤独な探索」と「SFアクションの見せ場」がうまく切り替わる構成になっています。音楽はおなじみ山本健司・濱野美奈子のコンビで、静かな環境音から重厚なボス戦BGMまで、最新ハードらしい音圧で鳴らせるのも強み。レビューでも「アートとサウンドはシリーズでもトップクラス」との声が多いです。
  5. “迷わせすぎない”構成と操作オプションで新規にも優しめ
    今回はメトロイドとしてはかなり“道筋が見えやすい”構造になっており、「完全な放り出し型ではなく、ある程度レールが見えるので迷いすぎない」というレビューが目立ちます。加えて、Switch 2版ではJoy-Con 2のマウスライクなエイム操作に対応しており、FPSに慣れていない人でもエイムしやすい設定を選べるのは明確なメリット。シリーズ未経験者でも「入口としては悪くない」と評価されているポイントです。

微妙だったところ・気になったところ

『メトロイドプライム4 ビヨンド』の美麗なジャングルマップ。探索型FPSならではの広大なエリアが描かれる
Screenshot
  1. ハブエリア「砂漠フィールド(Sol Valley)」がとにかくスカスカに感じる
    各ダンジョン内のレベルデザインは高く評価されている一方で、広いハブエリアとして機能する砂漠地帯「Sol Valley」は、かなり評価が割れています。探索できる範囲は広いのに、見返りになるギミックや報酬が薄く、「何もない荒野をオーブ(緑結晶)集めのために走らされる時間」が長く感じるという声が多いです。オープンワールド風の「どこでも行けますよ」という顔をしつつ、実際には結晶や能力でガチガチに通行制限されるため、“自由さ”より“足止め感”の方が強く出てしまっている、という指摘も目立ちます。
  2. サイキックアビリティが「面白そうな設定」で止まっている
    新要素として推されているサイキックアビリティは、隠れた足場の可視化やオブジェクト操作など、コンセプト自体はかなり魅力的です。ただ実際のゲームプレイでは「結局は決められたスイッチを決められたタイミングで使うだけ」に収まりがちで、既存のグラップルやスキャンを少し言い換えた程度、という評価もあります。レビューでも「操作レスポンスやカメラとの相性の悪さもあって、ややモッサリ・直感的でない」とされており、“シリーズを変えるほどの革新”というよりは“追加要素のひとつ”にとどまっている印象です。
  3. NPCの“おしゃべり”が、メトロイドらしい孤独感を削っている
    今作では銀河連邦の兵士たちや技術者マッケンジーなど、NPCの存在感がこれまで以上に強く、無線やイベントシーンで頻繁にコメントしてきます。これが「迷い過ぎない設計」に役立っている反面、「常に横から解説されている感」が強く、シリーズの持ち味だった“静かな孤独探索”が薄まったと感じているファンも少なくありません。とくにマッケンジーがストーリー進行や目的を細かく指示してくる点については、「親切を通り越して没入感を削っている」という辛口のレビューも見られます。
  4. ボスや雑魚のバリエーションが物足りず、中盤以降は“既視感”が強い
    レビューを横断して読むと、「ボス戦そのものの出来は良いが、バリエーションや構造がやや単調」という指摘が繰り返し出ています。特定の攻撃パターンを何度もなぞらせるタイプのボスや、色違い・強化版として再登場する敵が多く、シリーズ過去作と比べても“忘れられない一戦”の数は少なめ、という評価が目立ちます。雑魚戦も含めて、「戦うこと自体は楽しいが、終盤になるほど作業感が勝ってくる」という感想にまとまっている印象です。
  5. プレイ時間と構成バランスに賛否──“コンパクトだけど密度はそこそこ”
    クリアまでのボリュームは、寄り道込みで15〜20時間前後という評価が多く、「長年待たされた割にはあっさり終わる」「一本道寄りの構成で、シリーズ過去作ほど迷宮をさまよう感覚はない」といった声も出ています。一方で、「最近の超長尺オープンワールドRPGに比べれば遊び切りやすい長さ」とポジティブに受け取るレビューもあり、ここはユーザーの好みがかなり分かれそうなポイントです。

メトロイドプライム4 ビヨンドならではのポイント|砂漠ハブ+バイク+サイキックが生む“賛否あり”の新メトロイド体験

『メトロイドプライム4 ビヨンド』でサムス・アランが新たな惑星に降り立つシーン。重厚なスーツとスタイリッシュな登場演出が特徴

メトロイドプライム4 ビヨンドがシリーズの中で一番“らしくない”と言われつつも、同時に「4ならでは」として語られているのが、砂漠ハブ「Sol Valley」とバイク「Vi-0-La」、そしてサイキックアビリティを軸にした新しい探索の構造です。舞台となる惑星ヴューロスは、従来の“連結された迷宮エリア”に加えて、広大な砂漠フィールドをハブとして使う構成になっており、プレイヤーはバイクに乗ってこの砂漠を横断しつつ、各ダンジョンへアクセスしていきます。

一方で、その砂漠ハブの評価はかなり割れていて、「雰囲気やビジュアルは良いが、ゲームプレイ的にはスカスカ」「結晶集めや移動のためだけに広さが使われている」といった声も目立ちます。バイク自体は操作性も良く、敵をなぎ払いながら砂漠を突っ切る爽快感があると高評価するレビューもある一方で、「結局は何もない荒野を行き来させられているだけ」と感じる人もおり、この“広い砂漠+バイク”セットはまさに本作を象徴する賛否ポイントになっています。

もう一つの新要素であるサイキックアビリティも、本作ならではの色を強く出しているシステムです。ビームの軌道を曲げてスイッチを起動したり、オブジェクトを念動力で動かしてギミックを解いたりと、これまでのビーム/ミサイル/グラップルではできなかったタイプのパズルや戦い方が生まれている一方で、「操作が直感的でない」「結局は決められた場所で決められた使い方をするだけ」といった不満も挙がっています。

さらに、銀河連邦の兵士や技術者マッケンジーなどNPCの存在感が増し、無線や会話イベントを通じてかなり親切に導いてくれる構成も、本作を特徴づける要素です。迷いすぎない導線としてはプラスに働いているものの、「孤独な探索感が薄くなった」「常に誰かに見られている/指示されている感じがする」と感じるシリーズファンもおり、“オープンワールド風の砂漠ハブ+バイク+サイキック+おしゃべりNPC”という4点セットが、良くも悪くもメトロイドプライム4 ビヨンドを他作品と一線を画す存在にしている、と言えそうです。

メトロイドプライム4 ビヨンド 忖度なしスコア

メトロイドプライム4 ビヨンドは、「ダンジョン単体で見た探索の面白さ」と「重く静かなSFホラー寄りの雰囲気」はかなり高水準です。立体構造のエリアを少しずつ開いていく感覚や、視界・音響の使い方は“これぞプライム”と言いたくなる出来で、そこだけ切り取ればシリーズファンが望んだ続編にかなり近いと感じました。

一方で、その土台の上に載せられた新要素──砂漠ハブとバイク、サイキックアビリティ、NPCの案内多めの導線──は、良くも悪くもプレイヤーの好みを強く選びます。広大なフィールドを乗り物で駆け回る構造を「異星を旅している実感」として楽しめる人もいれば、「移動と回収作業が増えただけ」と感じてしまう人もいるはずです。サイキックも“発想は面白いけれど、遊びに落とし込めている部分とそうでない部分の差が大きい”印象で、テンポ面ではプラスとマイナスがせめぎ合っています。

総合すると、探索と雰囲気を重視するタイプのプレイヤーには十分おすすめできる一方で、「シリーズの集大成として隙のない完成度」を求めると粗も目立つバランスです。強みも弱みもはっきりしているぶん、人によって評価が大きく振れやすい“良作寄りの問題作”というポジションだと判断し、忖度なしの総合スコアは 7.5/10 とします。

項目スコア一言メモ
探索・レベルデザイン8.5ダンジョン単体の出来はシリーズ上位クラスで、“歩くだけで楽しい”空間が多い
バトル・ボス戦8.0手触りと演出は良好だが、パターンとバリエーションはやや物足りない
雰囲気・グラフィック・サウンド9.0重く静かなSFホラー寄りの空気感と音作りはシリーズ屈指の完成度
新要素(サイキック・バイク・砂漠ハブ)6.5コンセプトは面白いが、活かし切れておらずテンポ面で好みが大きく分かれる
遊びやすさ・テンポ・導線7.0迷いづらく親切な一方で、移動と会話の多さが没入感を削る場面もある
メトロイドファン満足度7.5探索と雰囲気は期待に応えるが、“集大成”を求めると粗も気になるバランス
総合スコア(発売直後・暫定)7.5探索と雰囲気は高水準だが、新要素とテンポの感じ方で評価が大きく分かれる“良作寄りの問題作”

メトロイドプライム4 ビヨンドは、「探索」と「雰囲気」というシリーズ最大の持ち味はしっかり高水準で、ダンジョン単体の完成度はかなりの安定感があります。一方で、新要素(サイキック・バイク・砂漠ハブ)の扱いが独特で、テンポや没入感にプラスにもマイナスにも働く“クセの強さ”が際立つ構造です。シリーズファンなら刺さるポイントも多い良作ですが、集大成級の完成度を期待すると評価が割れやすい一本という印象です。

メトロイドプライム4 ビヨンド Nintendo Switch 2 Edition

一人称視点で探索と戦闘を楽しむ「メトロイドプライム」シリーズ最新作。 広大な惑星を調査しながら、新たな敵との戦いと謎解きに挑むアクションアドベンチャーです。 Switch 2世代ならではの映像表現と操作性に期待が高まるタイトルです。

価格・在庫・特典内容は変動します。購入の際は各ショップの最新情報をご確認ください。

総評|“よくできた良作”だけど、待ちに待った決定版とは言い切れない一本

メトロイドプライム4 ビヨンドは、「立体構造のダンジョンを少しずつ解きほぐしていく楽しさ」と「重くて静かなSFホラー寄りの雰囲気」という、プライムシリーズの一番おいしい部分はしっかり守っている作品だと思います。ダンジョン単体で見ればレベルデザインの密度は高く、視界の抜けや敵配置、ギミックの連鎖で“歩いているだけで楽しい空間”になっている場所も多いですし、サウンドとビジュアルの作り込みもあって、探索型FPSとしての土台はかなり安定しています。Switch 2版の高解像度&高フレームレートも相まって、「久々にちゃんとしたプライムが遊べる」という意味では期待に応えてくれる一本です。

ただ、そのうえに乗せた“新しいメトロイド”の部分——砂漠ハブ+バイク+サイキック+おしゃべり多めのNPC導線——が、良くも悪くも強烈に賛否を生んでいるのも事実。砂漠ハブを「広大な異星の荒野を旅するワクワク」と受け取れる人にはプラスですが、「実質ただの移動と回収作業」と感じる人にとってはダレの原因になりやすく、サイキックアビリティも“発想は面白いのに使い方が決め打ち”というもどかしさが残ります。シリーズが停滞しないためのチャレンジとしては評価したい一方で、「20年待った集大成」に期待していた層からすると、どうしても“あと一歩”感が拭えないバランスです。

刺さる人の条件をはっきり書くなら、「プライムの探索と空気感が何より好きで、新要素の良し悪しも含めて『最新作』として受け止めるつもりがある人」には十分おすすめできます。一方で、「2D/3D問わずメトロイドは全部名作級であってほしい」「砂漠ハブのスカスカ感やNPCの多弁さに耐えられる自信がない」という人は、体験版や実況などでテンポ感を確認してから手を出した方が安心、というのが忖度なしの結論です。総じて、強みも弱みもハッキリした“良作寄りの問題作”──それを理解したうえで飛び込めるかどうかが、このゲームと相性よく付き合えるかどうかの分かれ目になりそうです。

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© 2025 Nintendo
Metroid Prime 4: Beyond © Nintendo

※Nintendo Switch / Switch 2 は任天堂の商標です。
※記事内の画像・映像の権利はすべて任天堂に帰属します。

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