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オクトパストラベラー0 忖度なしレビュー・評価|Switch 2・PS5で分かった良かった点・微妙な点【HD-2D最新作】

オクトパストラベラー0 忖度なしレビュー|まずはどんなゲームかざっくり整理

スクエニ最新作『オクトパストラベラー0(OCTOPATH TRAVELER 0)』の公式ロゴ画像。人気HD-2D RPGシリーズの前日譚を描く期待作

オクトパストラベラー0は、シリーズ本編『オクトパストラベラー』よりも前の時代・オルステラ大陸を舞台にした“ゼロ番目”の物語で、スマホ向けRPG『オクトパストラベラー 大陸の覇者』をベースにコンシューマ向けへ作り直した最新作です。舞台やテーマは引き継ぎつつも、ガチャ要素を撤廃し、1本のJRPGとして遊べるようにシナリオやゲーム体験が大きく組み直されています。

プレイヤーは、故郷ウィッシュヴェールを焼かれた主人公を自分好みにキャラメイクし、「富」「権力」「名声」という3つの欲望を象徴する敵たちへ復讐の旅に出ます。その過程で30人以上の仲間候補を勧誘し、前衛4人+後衛4人の最大8人パーティを編成。おなじみの「ブレイク&ブースト」システムと前衛/後衛の入れ替えを組み合わせた、よりパズル性の高いコマンドバトルが特徴です。

もうひとつの軸が、故郷ウィッシュヴェールの復興要素。街に施設や建物を配置しながら住民を呼び戻し、町を育てていくことで、戦闘や探索が有利になるボーナスやイベントが開放されていきます。「旅」と「町づくり」がセットになっているので、従来作よりも“自分の拠点”への愛着が生まれやすい構造になっています。

対応ハードは Switch 2/Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/PC とかなり幅広く、日本では2025年12月4日に発売されたばかりの最新JRPGです。本記事では、発売直後時点の情報をもとに、「グラフィック・ストーリー・戦闘・ボリューム感・遊びやすさ」などを項目別に分解し、良いところと気になるところをできるだけフラットに整理していきます。

作品概要

『オクトパストラベラー0』は、スクウェア・エニックスとDOKIDOKI GROOVE WORKSが手がけるHD-2Dの新作RPGで、シリーズ第1作『オクトパストラベラー』の前日譚にあたる作品です。スマホ向け『大陸の覇者』を土台にしつつも、据え置き/PC向けにシステムやシナリオを大幅に作り直した“コンソール版リビルド”で、プレイヤー自身がキャラメイクした主人公となり、オルステラ大陸で「神の指輪」をめぐる“復讐”と“復興”の物語を体験していきます。

町づくり要素「タウンビルド」や、アビリティを装備のように付け替える「セレクトアビリティ」、前衛4人+後衛4人の最大8人パーティで戦うバトルなど、シリーズでも新しいシステムを多数搭載。探索・バトル・拠点開発が密接に絡み合う構成になっており、「自分だけの主人公」「自分だけの街」「自分だけのパーティ」を作り込んでいくのが大きな特徴です。


  • タイトル:オクトパストラベラー0 / OCTOPATH TRAVELER 0
  • ジャンル:RPG(HD-2Dコマンドバトル)
  • 開発:Square Enix, DOKIDOKI GROOVE WORKS
  • 発売・販売:スクウェア・エニックス
  • 対応機種:Nintendo Switch / Nintendo Switch 2 / PlayStation 5 / PlayStation 4 / Xbox Series X|S / Windows / Steam
  • 発売日:2025年12月4日(木)※Steam版は12月5日配信開始
  • プレイ人数:1人(オフライン専用)
  • 舞台:オルステラ大陸(『オクトパストラベラー』と同一世界の過去)
  • 主な特徴:キャラメイク主人公/町づくり「タウンビルド」/最大8人バトル/セーブデータ連動特典あり

オクトパストラベラー0の良かった点

オクトパストラベラー0の感動的なシーン。満天の星と満月が輝く夜、スティアが主人公に語りかける感情的な会話イベントの様子。

1. HD-2D表現がシリーズでもトップクラスの完成度

まず一番わかりやすい長所は、HD-2Dの仕上がりがかなり高水準なところです。
ドット+3D背景の組み合わせ自体はシリーズ従来どおりですが、

  • ライティングやエフェクトがかなりリッチ
  • カメラワークに高低差や奥行きが増している
  • 炎や雨、光の差し込み方などの演出が細かい

というあたりは、各レビューでもほぼ共通して「今までで一番きれい」と言われています。

“懐かしいドットRPGっぽさ”と“今風のグラやエフェクト”のバランスが良くて、
「ただのレトロ風」ではなく、「ちゃんと現代向けに磨き直した2D JRPG」に見えるのが強みですね。

2. 8人パーティ制+前衛/後衛でバトルの“パズル感”がかなり強い

戦闘面は、シリーズおなじみの「ブレイク&ブースト」をベースにしつつ、
前衛4人+後衛4人の8人パーティ制になったことで、戦略の幅がかなり広がっています。

  • 後衛はそのターン行動できない代わりに、敵の攻撃を受けない“控え”ポジション
  • 前後を入れ替えることで、武器・属性の弱点を突けるメンバーを引っ張り出す
  • BPを溜めているキャラを後ろに置き、ここぞで前に出して一気に削る

といった動きができるので、雑魚戦ですら小さなパズルっぽく考えさせられます。

敵側も弱点変更や取り巻きでのガードなど、いやらしい行動をしてくるので、
「とりあえずレベルを上げて殴る」ではなく、編成と行動順を考える楽しさがしっかりあります。

3. キャラメイク主人公+“復讐と復興”の一本筋の通った物語

物語面では、従来作の「8人それぞれの物語」構造ではなく、

  • キャラメイクした自分の主人公
  • 故郷ウィッシュヴェールを焼かれた復讐劇
  • 富/権力/名声という3つの欲望を象徴するボスたち

という一本筋のストーリーに振り切っているのが特徴です。

その結果、

  • 群像劇としての“散らかった印象”が薄れ、物語の方向性がわかりやすい
  • テーマが欲望や腐敗など割とダーク寄りで、大人向けのトーン
  • それでも“温もり・癒やし”を感じるシーンも多いという評価

といった声が多く、「ストーリーのまとまり」という点ではかなり高く評価されています。

4. タウンビルドが“おまけ”ではなくゲーム全体にちゃんと絡んでいる

オクトパストラベラー0の街づくり要素。住民の家を自由に配置し、村を発展させるシミュレーションパートのゲーム画面。

新要素のタウンビルド(故郷ウィッシュヴェールの復興)は、
よくある“街づくりミニゲーム”で終わっていないのも長所です。

  • 住人や施設を増やすことで、装備・アイテム・バフなど実利的な恩恵が生まれる
  • 物語的にも「復讐の旅」と並行して“故郷を立て直す”軸がある
  • 大陸各地の人や仲間を連れてきて、町の変化を見る楽しみがある

という形で、探索・バトル・進行としっかり結びついています。

「ただ数字が伸びるだけの町育成」ではなく、
プレイヤーのモチベーションに直結する作りになっているのはプラス要素ですね。

5. スマホ版ベースとはいえ“ガチャなし1本完結RPG”としてまとまっている

元になっているのはスマホ版『大陸の覇者』ですが、

  • ガチャ要素は撤廃
  • オフラインで1本完結のRPGとして遊べる
  • メインストーリーを中心に大きく再構成している

という点は、各メディアレビューでも好意的に触れられています。

「スマホゲーの移植だからどうせ薄いでしょ?」という不安に対して、
“ちゃんとコンシューマRPGとして作り直されている”というのは、
購入を検討している人にとってかなり安心材料になるポイントだと思います。

オクトパストラベラー0の気になった点・イマイチなところ

1. 序盤〜中盤のテンポが重く、人によっては「眠くなる」構成

多くのレビューで共通しているのが「テンポの重さ」です。
復讐劇としての導入は強いものの、

  • 章ごとに話が区切られてテンポがブツ切りに感じる
  • “街を巡って依頼をこなす”流れがややループ気味
  • 中盤以降、とくにタウンビルドが本格化するあたりからダレやすい

と指摘されています。

もともとスマホ版「大陸の覇者」の構造を引き継いでいるぶん、“1日ちょっとずつ遊ぶ設計”の名残があって、コンシューマRPGとして長時間ぶっ続けで遊ぶと、どうしても同じパターンの繰り返しが見えやすい、という感じですね。

2. 「スマホ発」の痕跡はところどころ残っていて、作業感が出やすい

コンシューマ向けにかなり作り直されているとはいえ、

  • マップ構造やクエストの流れが似通いやすい
  • 敵のパレットスワップ(色違いの使い回し)が多い
  • 後半にかけて“似たようなバトルを何度もこなす”時間が増える

といった、“スマホRPGっぽさ”は完全には消えていない、という評価も多いです。

RPGとしての芯の部分はしっかり面白いものの、
「ボリューム多め=そのまま気持ちよく最後まで走り切れる」とまでは言い切れず、
後半は人によって“作業感”の受け取り方が分かれそうな作りになっています。

3. 難易度バランスがやや尖っており、中盤以降に“壁”を感じることも

戦闘そのものの完成度は高評価ですが、そのぶん難易度もそれなりに高め。

  • 雑魚戦でも油断すると普通に落ちる
  • 中盤以降、一部ボス戦やダンジョンで急に難度が跳ね上がる
  • 装備更新や育成をサボると、結果的に“装備集めの周回”を強いられがち

といった声が出ています。

「歯ごたえがあって楽しい」と感じる層にはプラスでも、
ライト層からすると「急にキツくなった」と感じやすく、
難易度設定やオプションである程度緩和できるともっと間口が広がった印象です。

4. UI・操作まわりは独特で、最初はちょっと戸惑う

UIそのものはシンプルですが、ボタン配置や操作感は少しクセがあります。

  • マップがL2、会話が×、フィールドコマンドが□など、一般的なRPGとは違う割り当て
  • 会話とフィールドコマンドのボタンが“逆”に感じるという声
  • チュートリアルの見せ方も、最初はやや情報が入りづらい

といった指摘があり、「慣れれば問題ないが、序盤は誤操作しがち」という評価に落ち着いています。

オプションである程度カスタマイズできればベストですが、
現状は「最初の数時間は操作系ストレスを感じるかも」という前提で見ておいた方が安全です。

5. 旧作ファンほど“既視感”が出やすく、人によって評価が割れそう

全体のメタスコアは84点前後とかなり高評価ですが、
細かくレビューを読むと、評価の割れ方も見えてきます。

  • スマホ版『大陸の覇者』をやりこんでいた人
    → 大筋は知っている展開も多く、“焼き直し感”や既視感を覚えやすい
  • シリーズ未経験 or 大陸の覇者未プレイの人
    → まとめて“濃い1本のJRPG”として楽しめる可能性が高い

という構図になっていて、「スマホ版をどこまで触っていたか」で受け止め方が変わりやすい作品です。

オクトパストラベラー0ならではのポイント|復讐と街づくりが同時進行するRPG体験

オクトパストラベラー0ならではの一番の特徴は、「復讐RPG」でありながら、同時に「街づくりゲーム」でもある二重構造にあります。主人公は故郷ウィッシュヴェールを焼かれた復讐者として大陸を旅しますが、その一方で、旅先で出会った人々や仲間たちを故郷へ招き入れ、街を少しずつ再建していくことができます。物語を進めるほど、プレイヤーの中で「奪われたものを取り返す物語」と「失われた日常を取り戻す物語」が、静かに重なっていく感覚があるのが印象的でした。

ゲーム的にも、タウンビルドは単なるおまけ要素ではありません。街に施設を建てたり、住人を増やしたりすることで、装備のラインナップが増えたり、バトルを有利にする効果が得られたりと、探索や戦闘としっかり結びついています。強敵に挑む前にウィッシュヴェールへ戻って準備を整えたり、新しい仲間を街に迎え入れてから再び旅立ったりと、「行き」と「帰り」のサイクルが自然に生まれる構造は、シリーズ作の中でもかなりユニークです。

個人的に良いと感じたのは、このタウンビルドが、数字やレベルではなく“景色”として進行度を見せてくれるところです。物語が進むほどに、焼け野原だった故郷に人が増え、灯りが増え、生活感が戻っていく。復讐の物語ゆえに重くなりがちなテーマを、「帰る場所が確かに育っている」という実感で少しだけやわらげてくれるバランスは、オクトパストラベラー0ならではの味わいだと感じました。

オクトパストラベラー0 忖度なしスコア

オクトパストラベラー0は、シリーズの根幹であるブレイク&ブーストのバトルをベースにしつつ、「タウンビルド」「セレクトアビリティ」「町の復興と復讐が絡み合う一本筋の物語」といった要素を加えることで、かなり“今どきの遊びやすさ”に寄せた王道JRPGに仕上がっています。海外レビューでもメタスコア84前後と概ね高評価で、「シリーズで最もまとまりのよいストーリー」「戦略性の高いバトルと中毒性のある街づくりが光る」といった声が目立ちます。

一方で、“元がスマホ発の『大陸の覇者』ベース”という出自はやはり色濃く残っていて、クエスト構造やマップの切り方に、どうしてもスマホRPG的な反復感が出る場面があります。バトル自体も戦略性が高いぶん、一戦一戦がやや長引きやすく、「大筋は大好きだけど、ペース配分にムラを感じる」という指摘もいくつか見られます。

総じて、「HD-2Dのグラフィック」「シリーズで一番遊びやすいバトル&育成」「町を育てるタウンビルド」という強みが、スマホ由来の構造的な“くどさ”とギリギリ拮抗しているタイプの作品です。JRPGとしての完成度は高く、とくにシリーズ経験者や腰を据えて遊ぶ人にはかなり刺さる一方で、「テンポ重視で短時間サクサク」「一本道で濃いドラマだけ味わいたい」という層とは、多少相性の差が出そうだと感じます。

項目スコア一言メモ
ストーリー・キャラクター8.5復讐と復興を軸にまとまりが良いが、章構成のメリハリにムラも
バトルシステム9.0ブレイク&ブースト+8人パーティでシリーズ屈指の戦略性と歯ごたえ
HD-2Dグラフィック・演出9.0ライティングやエフェクトが大幅進化し、ドットRPG表現の到達点クラス
ボリューム・やり込み要素8.5メイン+街づくり+サブクエで長く遊べるが、後半は反復感も出やすい
遊びやすさ・テンポ・UI7.5ボタン配置とバトルの長さにクセがあり、慣れるまでやや重たく感じる
オクトラファン・シリーズ入門度9.0既存ファンにも入門者にも薦めやすい、“0”から触れるHD-2D JRPG
総合スコア(発売直後・暫定)8.5HD-2D JRPG好きには強く推せる良作〜名作候補。テンポ次第で評価が割れそう

結論として、本作は「古き良きコマンドJRPGが好きで、腰を据えて物語とバトルをじっくり味わいたい」プレイヤーには、かなり自信を持っておすすめできる1本です。逆に、バトルの長さやクエストの反復にストレスを感じやすい人、短時間プレイ中心でテンポ最優先の人は、体験版や序盤のプレイ感を確かめてから判断したほうが安心だと思います。

オクトパストラベラー0(Nintendo Switch)
オクトパストラベラー0(Nintendo Switch)

『オクトパストラベラー』の前日譚となる完全新作RPG。 “HD-2D”の美しいグラフィックと、8人の主人公による群像劇バトルを 携帯・TVの両スタイルでじっくり味わえる一本です。

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総評|HD-2D JRPGとしてはかなりの良作。ただし「スマホ発」のクセとどう付き合うかがカギ

オクトパストラベラー0は、HD-2Dというシリーズの“売り”をきちんと磨き上げつつ、「ブレイク&ブースト」「8人パーティ」「タウンビルド」「キャラメイク主人公」といった新要素を積極的に取り入れた、かなり攻めた一本だと感じました。とくに、戦闘の戦略性と故郷ウィッシュヴェールの街づくりが、単なるおまけではなくゲーム全体の骨組みとしてしっかり噛み合っている点は、JRPGとして見てもかなりユニークです。復讐と復興というテーマを、システム面でもきちんと体験に落とし込めているのは強みだと思います。

一方で、土台になっているスマホ版『大陸の覇者』の構造自体はやはり色濃く残っていて、クエストやマップの切り方、バトルの長さなどに「もう一歩テンポが欲しい」と感じる場面も少なくありません。ボリュームだけ見れば文句なしですが、そのぶん後半はどうしても反復感が出やすく、「長所の裏側に、スマホRPG由来のくどさが顔を出している」タイプの作品でもあります。ここを“歯ごたえ”と取るか“ダレ”と取るかで、最終的な評価は大きく変わりそうです。

総合すると、「HD-2Dの世界観が好きで、コマンドバトルをじっくり解きほぐしていくJRPGが遊びたい」「腰を据えて1本のRPGに時間を投下したい」という人には、かなり自信を持っておすすめできる良作〜名作候補だと感じました。逆に、テンポ最優先でサクサク進むRPGを求めている人や、スマホ版『大陸の覇者』を遊び尽くしている人は、体験版や序盤を触ってから判断した方が安全です。刺さる人にはガッツリ刺さる一方で、合わない人には「惜しい部分」が目につきやすい——そんな、“尖り方を理解して買うべき”HD-2D JRPGというのが、この忖度なしで見たオクトパストラベラー0の立ち位置かなと思います。

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“OCTOPATH TRAVELER”, “OCTOPATH TRAVELER 0”, and “HD-2D” are trademarks or registered trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd.

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