新作ゲームレビュー

鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道編 忖度なしレビュー|シリーズ最長261.5km運転は神ゲーか作業ゲーか

鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道編とは?

Nintendo Switch用ソフト『鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編』は、実写映像で列車運転が楽しめる「鉄道にっぽん!RealPro」シリーズ第4弾にあたる鉄道運転シミュレーションです。舞台となるのは近畿日本鉄道のフラッグシップ特急「ひのとり」をはじめとした近鉄線で、実際の運転台から撮影された映像を使って、総延長261.5kmというシリーズ最長クラスのロングラン運転に挑戦できるのが最大の特徴です。

発売日は2025年11月20日(木)。価格は7,800円+税で、パッケージ版とダウンロード版が用意されています。対応機種はNintendo Switch/Switch Lite/Switch有機ELモデルのみで、プレイ人数は1人。開発・発売はこれまでの鉄道にっぽん!シリーズと同じくソニックパワードが担当し、CEROレーティングはA(全年齢対象)です。

作品概要

『鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編』は、実車の運転席から撮影した実写映像で列車運転を楽しめる「鉄道にっぽん!RealPro」(鉄プロ)シリーズ第4弾となる鉄道運転シミュレーションです。舞台は営業キロ私鉄最長を誇る近畿日本鉄道。新型車両「8A系」の急行、大型2階建て特急「ビスタEX」、そしてフラッグシップ車両「ひのとり」の3車両を運転しながら、都市部から郊外、山あい、田園地帯まで移り変わる景色の中を走り抜けます。

メインとなるのは、大阪難波から近鉄名古屋まで名阪特急「ひのとり」で約190kmを走破する長距離運転。鶴橋〜津間では49駅を一気に通過する1時間以上のノンストップ区間が用意されており、実際の運転士さながらの集中力が求められます。さらに、急行8A系(大阪難波〜近鉄奈良 32.8km)、特急ビスタEX(近鉄奈良〜京都 39.0km・夜間運転)を含めた3行程・総延長261.5kmはシリーズ最長クラスで、ボリューム感のある運転体験が楽しめるのが特徴です。


基本情報

  • タイトル:鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編
  • ジャンル:鉄道運転シミュレーション
  • 対応機種:Nintendo Switch/Nintendo Switch Lite/Nintendo Switch(有機ELモデル)
  • 発売日:2025年11月20日(木)
  • 価格:7,800円+税(パッケージ版/ダウンロード版)
  • プレイ人数:1人
  • CERO:A(全年齢対象)
  • 対応言語:日本語
  • 発売・開発元:株式会社ソニックパワード
  • 監修・商品化許諾:近畿日本鉄道株式会社(商品化許諾済)

鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編を忖度なしレビュー

良かったところ

【鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転 特急ひのとり 近畿日本鉄道編】のタイトル画面。山間を走る近鉄の赤い特急ひのとりの車両が背景に映り、長距離運転シミュレーター作品であることを示すロゴが大きく表示されている。

・近鉄「ひのとり」を実写映像でじっくり運転できる

本作最大の見どころは、近鉄のフラッグシップ車両「ひのとり」を、実際の運転席映像でたっぷり味わえるところです。大阪難波〜近鉄名古屋の名阪特急区間をほぼフルで収録しており、駅間の表情の違いや線路配線、トンネルや橋梁など、普段は乗客側からは見えにくい景色までじっくり眺めながら走れるのが鉄道ファン的にはかなり贅沢。
単に「ひのとりのゲーム」ではなく、「運転士視点でひのとりの仕事を追体験する」作品になっています。

・シリーズ最長クラスの261.5km運転で“ロングランのしんどさ”を体感

急行8A系(大阪難波〜近鉄奈良 32.8km)、ビスタEX(近鉄奈良〜京都 39.0km)、ひのとり(大阪難波〜近鉄名古屋 約190km)の3行程を合計した261.5kmは、シリーズでも最長クラスのボリューム。特にひのとり編は、鶴橋〜津間の49駅通過・約1時間以上ノンストップ区間が用意されていて、ダラダラしているとすぐに速度超過や信号見落としに繋がります。「長距離運転ってこんなに集中力が要るのか」と実感させられる作りで、単線ローカル線とはまた違う“幹線特急ならではの疲れ方”を味わえます。

・都市部〜郊外〜田園まで、移り変わる景色が楽しい

近鉄線ならではのポイントとして、走行区間の景色の変化が分かりやすいのも強み。大阪中心部の高架区間から始まり、やがて住宅街・郊外・山あい・田園風景へと切り替わっていくので、同じ編成を運転していても飽きにくくなっています。
ビスタEXの夜間運転では、駅の灯りや信号、対向列車のライトが映える“夜の近鉄”も楽しめて、時間帯ごとの雰囲気の違いを実写ならではの説得力で味わえるのが好印象でした。

・運転評価がしっかりフィードバックされて“作業”になりにくい

到着時刻、制限速度の遵守、ブレーキの扱いなどが運転ごとに採点され、成績表としてフィードバックされる仕様のおかげで、同じ区間を何度も走るときも「前回より丁寧に止めよう」「あの勾配区間をもっとスムーズに越えよう」と自然に目標が生まれます。単純にクリアして終わりではなく、減点を減らして自己ベストを更新していく遊び方ができるので、ロングランでも意外と“作業感”に落ちにくい作りになっています。

・鉄道にっぽん!シリーズらしい“落ち着いた一本”として安心して薦められる

派手な演出やゲーム的な脚色は控えめで、「実写映像で淡々と運転を楽しむ」というシリーズらしさは今回も健在。急カーブで画面が揺れたり、派手な事故演出があるようなゲームではないので、鉄道番組を見るような感覚でスローに遊びたい人にはちょうどいいテンポです。
近鉄やひのとりが好きな人、作業用BGM代わりに“運転しながら流しておきたい”タイプの人には、安心して勧められる一本だと感じました。

気になったところ

・2時間クラスの長距離運転は本気で“体力勝負”

本作の売りでもある「大阪難波〜近鉄名古屋 約190km」のひのとり運転は、裏を返せばかなり人を選ぶポイントです。最大2時間前後の運転になるうえ、鶴橋〜津のように1時間以上ノンストップで走り続ける区間もあり、ちょっとした空き時間にサクッと遊ぶ感覚からはかなり遠い作りになっています。
鉄道ファンにとっては“現実に近いロングラン体験”が魅力ですが、ライト層には「長すぎて腰が重い」「途中セーブや区切りが欲しい」と感じられてもおかしくないボリュームです。

・ひのとり編だけ映像クオリティに粗さが目立つという声

実写映像のクオリティについては、急行8A系やビスタEXの区間はかなり精細で前作・東急編と同レベルとの評価が出ている一方、距離の長いひのとり編では「やや画質の粗さが気になる」「他の2区間と比べると見劣りする」といったレビューも見られます。路線距離が長いぶん撮影・圧縮条件が厳しかった可能性はありますが、フラッグシップ車両が主役なだけに、ここはこだわりたいプレイヤーほど気になりやすいポイントになりそうです。

・実績アルバムにコンプリート不能の不具合が判明

発売直後の時点で、「特急ひのとり」の実績アルバムの一部が条件を満たしても解放されない不具合が公式から告知されています。具体的には「定刻で6回到着」「定位で6回到着」「定刻・定位で3回到着」の3実績が正常に獲得できず、現状では実績アルバムのコンプリートが不可能な状態。今後のアップデートで修正予定とアナウンスされていますが、実績集めややり込みを重視するプレイヤーにとっては、しばらく様子見したくなる要素です。

・ゲーム的なバリエーションは少なめで“運転に全振り”な作り

基本的な遊びはあくまで「3車両×3行程の運転」を繰り返すスタイルで、経営シミュレーションや自由なフリーモード、列車内のウォークスルーといった要素はありません。鉄道番組を観るような感覚で“運転だけに集中したい”人には割り切った構成とも言えますが、「もっとゲームらしい目標やモードのバリエーションが欲しい」「短時間でサクサク遊べるメニューも欲しい」と感じるプレイヤーも出そうです。
実写運転特化のコンセプトに共感できるかどうかで、評価が分かれるところだと思います。

忖度なしスコア

本作は「鉄道実写運転のリアリティ」と「長距離運転というコンセプト」の完成度が高く、近鉄・ひのとりが好きな人にはほぼ決定版と呼べる内容です。一方で、映像クオリティのムラと発売直後に判明した実績アルバムの不具合により、現時点ではマイナス点も無視できません。「ゲーム」というより「運転士視点の記録映像に自分で指令を与えていく体験」が核になっており、派手さやバリエーションは控えめで、あくまで“運転だけをじっくり味わいたい人”向け。ターゲットに極限まで寄せた設計なので、刺されば極めて満足度が高い一方で、ライト層にはおすすめしづらい一本という印象です。
近鉄・ひのとりへの思い入れ、実写運転シムへの愛、長距離運転への耐性…。これらのどれを持っているかで評価が変わる、典型的な“人を選ぶ特化作”と言えます。

項目スコアコメント
実写映像・雰囲気7.5 / 108A系・ビスタEXは鮮明。ただし「ひのとり」区間は粗さが目立ち統一感に欠ける。
操作性(Switch)8.0 / 10Proコン/Joy-Conとも扱いやすいが、細かい調整や設定幅は少なめ。
快適性・遊びやすさ6.5 / 102時間級の長距離運転に途中区切りがなく、隙間時間プレイには不向き。
ゲームボリューム9.0 / 10シリーズ最長クラスの261.5km。ロングラン前提の内容としては圧倒的。
やり込み・評価システム6.5 / 10採点は良いが実績アルバム不具合で現状コンプリート不可。
価格満足度7.5 / 10長距離運転を楽しめる人には妥当。ライト層には割高感の可能性。
総合スコア7.6 / 10 近鉄×実写運転シム好きには強く刺さる特化作。万人向けではないが“ハマる人は一生遊べる”系。

『鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編』は、映像のムラややり込み周りの不具合、極端に人を選ぶ設計などマイナスもある一方で、シリーズ最長クラスのボリュームと近鉄ロングラン運転の没入感はかなり高水準な一本です。
近鉄や実写運転シムが好きで、「長距離運転をじっくり楽しみたい」という人なら、総合7.6点という評価に見合うだけの満足感は十分得られるタイトルだと感じました。

鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編 - Switch
鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編(Switch)

近鉄特急「ひのとり」を運転し、実写映像ベースの路線をロングランで走破できる鉄道運転シミュレーター。 車内アナウンスや信号確認など、本格的な運転士体験を楽しめる一本です。

Amazonで見る 楽天で見る Yahooショッピングで見る

価格・在庫は変動します。購入の際は各ショップの最新情報をご確認ください。

総評

鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編は、良くも悪くも“近鉄と長距離運転が好きな人のためだけに作られた一本”だと感じました。
8A系・ビスタEXを含む261.5kmの実写運転はシリーズでも屈指のボリュームで、名阪特急ひのとりを運転士目線で追体験できる没入感はかなり高水準です。

一方で、ひのとり区間の映像ムラや実績アルバムの不具合、2時間級ロングランに途中区切りが少ない設計など、万人向けとは言いづらい要素もはっきり残っています。
「実写で近鉄をじっくり運転したい」「長距離運転のしんどさも含めて味わいたい」と思えるかどうかが、購入判断の分かれ目。
刺さる人には長く付き合える相棒になる反面、ライト層にはやや敷居の高い、尖った実写運転シミュレーターだと言えるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 対応ハードは? 他機種版の予定はありますか?
A. 本作の対応ハードは Nintendo Switch(通常版/Lite/有機ELモデル)のみです。公式サイト・ニンテンドーストアともに、現時点でPS5やPCなど他機種版の情報は出ていません。


Q. どのくらいのプレイ時間がありますか?
A. 収録区間は
・急行 8A系:大阪難波〜近鉄奈良 32.8km
・特急 ビスタEX:近鉄奈良〜京都 39.0km(夜間)
・特急 ひのとり:大阪難波〜近鉄名古屋 189.7km
の合計261.5kmです。ひのとり区間だけで約190km・約2時間の運転と公式に案内されており、3行程を1周するだけでも3〜4時間分の運転ボリュームがあります。


Q. 実績アルバムに不具合があるって本当ですか?
A. 公式サイトで「特急ひのとり」の実績アルバムに不具合があると告知されています。
具体的には
・ひのとりで駅に「定刻」で6回到着
・ひのとりで駅に「定位」で6回到着
・ひのとりで駅に「定刻・定位」で3回到着
の3つを達成しても、該当パネルが解放されずコンプリートできない状態です。現在、修正アップデートパッチを準備中と案内されていますが、配信時期はまだ明記されていません。


Q. 難易度はどのくらい? 長距離運転がきつそうで不安です。
A. 操作そのものは複雑ではありませんが、名阪特急ひのとり区間は約2時間・鶴橋〜津間は49駅通過の1時間以上ノンストップ区間とされており、集中力と体力はかなり要ります。短時間でサクッと遊ぶというより、「時間を取って腰を据えて運転したい人」向けの難度・ボリュームだと思っておくとギャップが少ないです。


Q. 専用マスコンなどのコントローラーには対応していますか?
A. 公式の説明では、別売りの「ズイキマスコン for Nintendo Switch」や「電車でGO!!専用ワンハンドルコントローラー for Nintendo Switch」に正式対応しているとされています。専用コントローラーを持っている人は、より本格的な運転感覚でプレイできます。


Q. 鉄道に詳しくない初心者でも遊べますか?
A. 本作はプロ運転士の雰囲気を重視した作りですが、速度制限や信号現示などは画面上に分かりやすく表示される仕様で、操作もアクセル・ブレーキ・警笛などに絞られています。鉄道用語に詳しくなくても、チュートリアルやガイドに従いながら少しずつ慣れていけば問題なく遊べるつくりで、「近鉄やひのとりをきっかけに鉄道ゲームに触れてみたい」という人の入門用としても十分対応できる内容です。

まとめ

『鉄道にっぽん!RealPro 長距離運転!特急ひのとり 近畿日本鉄道 編』は、シリーズでも突出した“長距離実写運転”に全力を注いだ一本でした。8A系・ビスタEX・ひのとりの3行程で合計261.5kmを走り切るボリュームは圧巻で、名阪特急ひのとりを運転士目線で体験できる没入感は、鉄道ファンにとって唯一無二の価値があります。

一方で、長時間プレイ前提の設計・映像のムラ・実績アルバムの不具合など、人を選ぶポイントもはっきり残っているため、万人受けのゲームではありません。「近鉄が好き」「実写運転シムが好き」「ロングラン運転が大好物」なら大満足。「短時間で遊びたい」「派手な演出を求める」なら向かない。強烈に刺さる層に贈られた特化型タイトルという位置づけです。

次に読みたい忖度なしレビューはこちら

-新作ゲームレビュー
-, , , ,