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2025年の流行語は本当に流行った?新語・流行語大賞トップ10の「知名度」と「実感」を検証する

目次
  1. 2025年の流行語、「どれくらい知ってる?」というモヤモヤから
  2. 2025年 新語・流行語大賞 ノミネート30語一覧(五十音順)
  3. 2025年の流行語は「本当に流行ったのか?」—論点を整理する
  4. トレンドの中心は「テレビかSNSか」で大きく変わる
  5. 「知名度」と「実感」の2軸で見ると評価が変わる
  6. 2025年の流行語は「本当に流行ったのか?」—論点を整理する
  7. トレンドの中心は「テレビかSNSか」でまったく違う
  8. 「知名度」と「実感」で見ると2025年の流行語の評価は変わる
  9. 世間のリアクションに見える“違和感”──2025年流行語大賞はなぜモヤモヤされたのか
  10. ネット民が選ぶ“2025年の流行語”と大賞の差
  11. 「2025年の流行語」はいつ頃ピークだった?“時期のズレ”問題
  12. 今後の「流行語大賞」に求められるアップデートとは
  13. 2026年の流行語はどうなる?今から見えている“次のテーマ”
  14. まとめ|「本当に流行った?」という違和感も、2025年らしさの一部

2025年の流行語、「どれくらい知ってる?」というモヤモヤから

2025年の新語・流行語大賞トップ10の知名度と実感度を検証する記事のアイキャッチ。タブレットを持った女性キャスターが、インターネット・テレビ・SNS・スマホなど多様なメディアのアイコンを示しながら、流行語の広がりを分析するアニメ調イラスト

毎年年末になると話題になる「新語・流行語大賞」。2025年も、年間大賞に「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」、トップ10に「エッホエッホ」「オールドメディア」「緊急銃猟/クマ被害」「古古古米」「二季」「ミャクミャク」など、世相を切り取ったことばがずらりと並びました。ニュースや情報番組でも大きく取り上げられ、「今年もそんな季節か」と感じた人も多いはずです。

一方で、X(旧Twitter)やSNSを眺めていると、「正直、知らない言葉の方が多い」「自分のまわりでは別の言葉が流行っていた」という声も少なくありません。「2025年の流行語」と紹介されているのに、自分の生活の中では一度も口にしたことがない。そんなギャップを抱えたまま、毎年モヤモヤした気持ちで発表を見ている人もいるのではないでしょうか。

そもそも「流行語」とは、誰の、どの世界で流行った言葉なのか。テレビや新聞がメインだった時代と、SNSや動画プラットフォームが主役になった今とでは、「世間で広く使われている」という感覚の基準自体が変わってきています。2025年の新語・流行語大賞トップ10やノミネート30語を手がかりに、そのズレをいったん整理してみると、「本当に流行ったのか?」という問いの中身が少しクリアになってきます。

この記事では、2025年の流行語を「知名度」と「実感」という二つの軸から見直しながら、国民的流行語と界隈ワードの違い、メディアとSNSの見ている世界の差、そしてこれからの流行語大賞に期待したいことまで、じっくり検証していきます。

前提として、2025年の新語・流行語大賞でノミネートされた30語を整理しておきましょう。

2025年 新語・流行語大賞 ノミネート30語一覧(五十音順)

  1. エッホエッホ
  2. オールドメディア
  3. おてつたび
  4. オンカジ
  5. 企業風土
  6. 教皇選挙
  7. 緊急銃猟/クマ被害
  8. 国宝(観た)
  9. 古古古米
  10. 7月5日
  11. 戦後80年/昭和100年
  12. 卒業証書19.2秒
  13. チャッピー
  14. チョコミントよりもあ・な・た
  15. トランプ関税
  16. 長袖をください
  17. 二季
  18. ぬい活
  19. 働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相
  20. ビジュイイじゃん
  21. ひょうろく
  22. 物価高
  23. フリーランス保護法
  24. 平成女児
  25. ほいたらね
  26. 麻辣湯
  27. ミャクミャク
  28. 薬膳
  29. ラブブ
  30. リカバリーウェア

2025年の流行語は「本当に流行ったのか?」—論点を整理する

流行語大賞の発表後に毎年起きる議論は、大きく分けると次の3つに集約できます。

  1. 「聞いたことがない言葉が多い」問題
  2. 「界隈限定ワードが国民的流行語扱い」問題
  3. 「流行した時期がズレている」問題(過去の話題が翌年入り)

この3つは、単に批判的な感情ではなく、社会の情報環境そのものが変化していることを示すシグナルともいえます。2025年版を具体的に見ながら整理していきます。


トレンドの中心は「テレビかSNSか」で大きく変わる

2025年のトップ10を、テレビ・ネットのどのジャンルで強かったか分類すると、傾向がはっきり分かれます。

ワード分類主に盛り上がった場所
全国ニュース・政治テレビ・新聞「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」
事件・社会問題報道番組・ネットニュース「緊急銃猟/クマ被害」「オールドメディア」
エンタメ・ポップカルチャーSNS・YouTube・TikTok「エッホエッホ」「ミャクミャク」
生活・気候・物価Webメディア・自治体情報「古古古米」「二季」

つまり、どの媒体を日常的に見ているかで“今年の流行語”は全く違って見えるという構造が発生しています。
テレビ中心の人にとっては「政治・社会」が強く映り、SNS中心の人にとっては「ネット発・キャラ発」が印象に残る。
その差が「知らない言葉が多い」という反応につながりやすいと言えます。


「知名度」と「実感」の2軸で見ると評価が変わる

流行語はシンプルに“知っているか”だけで判断されがちですが、本来はもう1つ、“実際に使った/聞いた”という体感値も重要です。

指標説明
知名度そのワードを認識している人がどれくらいいるか
実感会話・SNS・動画など、生の生活の中で触れたか

そして2025年のワードには、次のような特徴がありました。

・知名度は非常に高いが、生活のなかではあまり使わない
・実感は強いが、社会全体から見ると局所的
・ネット上だけで盛り上がり、テレビでは扱われない

この傾向が重なると、「自分の中の今年の流行語」と「大賞で発表される流行語」の乖離が一気に広がります。
この構造が「本当に流行った?」論争の真因と考えられます。

2025年の流行語は「本当に流行ったのか?」—論点を整理する

2025年の新語・流行語大賞が発表された直後、X(旧Twitter)やSNSには、今年もさまざまな反応が流れました。

「年間大賞のフレーズはニュースで見たけど、日常生活では一度も使っていない」
「トップ10の半分以上、聞いたことすらないんだけど」
「うちの界隈でバズってた言葉はノミネートにも入っていない」

こうした声は、毎年ほぼ定番のように見られますが、2025年は特に「本当に流行していた言葉なのか?」という疑問が強く出た年でもあります。その背景には、大きく3つの論点があります。

1つ目は、「聞いたことがない言葉が多い」問題です。
ノミネート30語のなかには、「エッホエッホ」「チョコミントよりもあ・な・た」「平成女児」「ラブブ」など、特定の作品や界隈では爆発的に知られているものの、そこから外れると一気に認知度が下がるワードが含まれています。一方で、「トランプ関税」「緊急銃猟/クマ被害」「物価高」など、誰もがニュースでは見聞きしているが、日常会話でわざわざ口に出す機会は少ない種類の言葉もあります。

2つ目は、「界隈限定ワードが“国民的流行語”のように扱われる」問題です。
たとえばキャラクター系や推し活系の言葉は、SNS上の一部コミュニティでは日常語レベルで使われていても、テレビしか見ない層や高齢者層にはほとんど届いていないことも多くあります。それでも「ノミネート30語」に並ぶと、あたかも全国的なブームであったかのように見えてしまう。その温度差が、「自分の周りでは誰も言っていなかった」という違和感につながります。

3つ目は、「流行した時期がズレている」問題です。
新語・流行語大賞は、その年の『現代用語の基礎知識』に収録された言葉をベースに候補を選ぶ仕組み上、「去年すでにピークは過ぎているが、今年になってからまとめて評価された」ようなパターンも起こり得ます。また、SNSでの流行は、数週間から数カ月単位で盛り上がっては消えていくサイクルが早いため、年末のタイミングで見たときにはすでに過去のネタになっているというケースも少なくありません。

この3つの要素が重なることで、多くの人が「2025年の流行語は本当に流行っていたのか?」と感じる構造が生まれます。つまり、違和感の正体は、単に選び方が悪いというよりも、“何をもって流行とみなすか”という基準が、時代の変化に対して追いつききれていないところにあると言えそうです。

次の章では、そのギャップをもう少し具体的に捉えるために、「テレビや新聞が中心の世界」と「SNSや動画プラットフォームが中心の世界」とでは、そもそも“今年流行った言葉”のラインナップがどう違って見えるのかを整理していきます。

トレンドの中心は「テレビかSNSか」でまったく違う

2025年の流行語をめぐる温度差は、単なる個人差ではなく、どのメディアを主な情報源としているかによって大きく分かれています。
テレビ・新聞・報道番組を中心に生活している層と、X・TikTok・YouTube・配信文化を中心とした層では、そもそも「今年よく目にした言葉」が違うのは当然です。

その差を可視化するために、2025年のトップ10を「どこで盛り上がったか」で分類すると、次のようになります。

主に盛り上がった場所該当語の傾向代表ワード
テレビ・新聞・報道番組政治・社会・災害・経済働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相、緊急銃猟/クマ被害、オールドメディア
YouTube・TikTok・SNSバズ系・キャラ系・ミーム系エッホエッホ、ミャクミャク
Webニュース・自治体・解説メディア気候・物価・生活課題二季、古古古米

ここから見えるのは、「流行語」には実は複数のレイヤーが存在するという事実です。

▷ テレビ視点での「今年」

・政治の変化
・社会問題
・災害・物価・気候のニュース
→ 年間を振り返ったときに話題量が多いほど“世相”として記憶される

▷ SNS視点での「今年」

・ファンコミュニティ/推し活
・キャラ・ミーム
・アニメ・音楽・ゲームの流行
→ 数週間〜数カ月単位の盛り上がりでも“今年の言葉”として強烈に残る

つまり、「流行語」の対象がテレビ中心の世界に寄るのか、SNS中心の世界に寄るのかによって、ランキングはまったく別の姿になるということです。

同じ年を生きていても、
・家庭でテレビを毎日観る人
・移動時間にYouTubeを観る人
・スマホでXとTikTokが中心の人
では、「今年よく見た言葉」は根本から違います。

そこで起こるのが、

「2025年の流行語? いやこっちの方が流行ってたでしょ」
という“複数の正解”です。

流行語大賞のランキング発表を見るたびに、「テレビでは今年はこうだった」という世界線と、「SNSでは今年はこうだった」という世界線が交錯し、その間にギャップと違和感が生まれます。

このズレが大きくなってきたことが、
「2025年の流行語は本当に流行ったのか?」という議論が例年以上に強まった背景だと考えられます。

「知名度」と「実感」で見ると2025年の流行語の評価は変わる

流行語は「知っているかどうか」だけで語られがちですが、2025年の議論が複雑になった理由は、言葉に触れた“実感値の差”が極めて大きかったことにあります。
つまり、次の2軸で見たとき、評価が大きく分かれました。

指標意味
知名度どれだけ多くの人がその言葉を認識しているか
実感実際の生活・SNS・会話の中で触れた頻度

たとえば、

・ニュースでは何度も見たが、生活の中では使わなかった言葉
・SNSで爆発的に見たが、リアルではまったく出てこなかった言葉
・動画・TikTokでは大流行したが、テレビではほぼ扱われなかった言葉

この3パターンは、2025年のトップ10とノミネート30語の中に一定数存在しました。

▷ 知名度は高いが実感が薄い言葉の例

・働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相
・緊急銃猟/クマ被害
・オールドメディア
→ 大きなニュースでは扱われたが、口語としては広まらなかった層が多い

▷ 実感は強いが社会全体から見ると局所的な言葉の例

・ミャクミャク
・エッホエッホ
・平成女児
→ 深く刺さった界隈では“2025といえばこれ”だが、対象外の層には届きにくい

▷ ネットでの盛り上がりがピークだったがテレビでは扱われにくい言葉

・○○してみたチャレンジ系
・ミーム型ことば
・アニメ・推し活発ワード
→ 期間が短く、俯瞰型ランキングでは評価されづらい

この構造が示すのは、
2025年の流行語を評価するには「知名度 × 実感」両方を見る必要があるという事実です。

たとえ知名度が80%あっても、
使われず印象にも残っていなければ、生活者にとって「流行語」の実感にはなりません。

逆に実感が圧倒的に強いワードでも、
1ジャンルに集中していれば“国民的流行語”とは言いにくい部分もある。

この2軸の葛藤が、
「2025年の流行語は本当に流行っていたのか?」という議論の核心だと言えます。

世間のリアクションに見える“違和感”──2025年流行語大賞はなぜモヤモヤされたのか

2025年の新語・流行語大賞の発表後、SNSやニュースコメント欄には、例年以上に強い反応が集まりました。

「今年一度も聞かなかった言葉がトップ10に入っている」
「うちの界隈で流行ってた言葉はノミネートすらされていない」
「SNSでは爆発的だったのに、テレビでは無視されたジャンルがある」

この“温度差”は、SNSとテレビ/報道が見ている世界が異なるだけでなく、
生活者の実感がランキングに反映されていないと受けとられることによって大きくなります。

この空気感を象徴する出来事として話題になったのが、
お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザーさんのコメントです。

自身と「ぺこぱ」松陰寺太勇さんのYouTubeチャンネルで2025年の新語・流行語大賞について語った際、カズレーザーさんは
「本当にみんなが使った流行語じゃなきゃダメなんじゃないですか?」
と、“選ばれるべき言葉の基準”そのものに疑問を投げかけました

決して年間大賞の内容を頭ごなしに否定したわけではなく、
「広く使われていた実感のある言葉にも光が当たる選考であってほしい」
という願いが込められたコメントでした。

また、選考委員のパックンは「新語をすべて把握している選考委員は誰もいなかった」と選評で語り、
情報の多層化・速度・ジャンルの細分化によって、“今年の言葉”を俯瞰的に定義すること自体が難しくなっている現状を示唆しています

この2つの発言が象徴しているのは、
“流行語の正解が1つだけの時代ではなくなった” ということ。

だからこそ、今年起きた議論やモヤモヤは
単なる批判ではなく 「流行語とは何か?」という問いが時代によって変化してきている証拠
と言えるのかもしれません。

ネット民が選ぶ“2025年の流行語”と大賞の差

2025年の新語・流行語大賞をめぐる議論の中で、特に強く見られたのが
「ネットで盛り上がった言葉ほど選ばれていない」という指摘です。
これを単なる不満と片付けるのではなく、データの視点で捉えると見えてくるものがあります。

まず、X・YouTube・TikTokなどの主要SNSで、2025年に検索・投稿・視聴が急増した“ネット発流行語”の傾向は次のとおりです。

▷ ネットで強かったワードの傾向

・キャラクター・公式企画・コンテンツ発のセリフや単語
・ミーム化しやすい短いフレーズ
・「音・口癖・決めゼリフ」など真似しやすい言葉
・推し活・配信文化で使われる言い回し
・動画のタイトル・コメント欄で反復される言葉

対して、流行語大賞の審査基準は
“社会・文化・政治・生活など世相を反映した言葉かどうか”
が強く重視されるため、エンタメ・ミーム系の強い語は相対的に入りにくい構造があります。

その結果、2025年はこうした感覚差が生まれました。

立場「今年よく見た」と感じた言葉
流行語大賞側(俯瞰型の世相)政治・社会ニュース・災害・物価・メディア
ネット民側(生活実感・趣味領域)コンテンツ/キャラ/推し活/配信文化/ミーム

つまり、どちらも“正しい流行語”なのです。
ただし見ている世界が違うため、並んだ言葉が「自分の2025年」と一致しないことが多い。

さらにSNSでは、
「流行の寿命が短い」
「複数の文化圏で同時に流行が起きる」
という特性が重なり、

・1カ月だけ猛烈に流行ったもの
・国内では小さくても界隈では大フィーバーだったもの
・海外発トレンドが逆輸入されたもの

など“スピード型の流行語”が量産されます。

このため、ネット民の実感では

「これこそ2025だ!」
と思う言葉がいくつもあるのに、ランキングの舞台では姿を見せない。

これが多くの読者の
「2025年の流行語、今の時代をちゃんと反映している?」
という違和感へとつながります。

流行語大賞が“間違っている”わけではなく、
SNSの文化が急速に広がった結果、“流行”という概念が多層化したと言うべきでしょう。

「2025年の流行語」はいつ頃ピークだった?“時期のズレ”問題

もうひとつ、2025年の流行語を語るうえで外せないのが「時期のズレ」の問題です。
新語・流行語大賞は年末に発表されますが、実際の流行は1年のどのタイミングでピークを迎えたのか——ここにも違和感の原因があります。

SNSやネット文化の世界では、
ひとつの言葉がバズってから鎮火するまでが数週間〜数カ月というスピード感です。

・1〜3月に盛り上がったミームは、夏頃にはもう別のネタに置き換わっている
・アニメやドラマ原作のフレーズは、放送期間が終わると同時にピークアウトしていく
・ゲームやアプリの流行語も、大型アップデートやイベントのタイミングごとに入れ替わる

こうした短いライフサイクルに慣れていると、12月に発表されたときに
「それ去年の話じゃない?」「今年の前半に一瞬流行ってたやつだよね」
と感じてしまうのは、ある意味自然なことです。

一方で、流行語大賞は

・その年の『現代用語の基礎知識』に収録された語
・年間を通して“世相を象徴した”と考えられる語

をベースに選ぶため、短期的なバズよりも、1年を通じた重みや象徴性が優先されます。

その結果、

・SNS的には「一瞬バズって終わった」感覚の言葉がノミネートされる
・逆に、ユーザー目線では「2024年からずっと話題じゃない?」というテーマも混ざる

というズレが生まれます。

特に2025年は、
物価高・気候変動・政治・安全保障といった、ここ数年ずっと続いている問題
あらためて言葉として整理された年でもあります。

「古古古米」「二季」「オールドメディア」といったワードは、
2025年“だけ”の話というより、数年スパンで積み上がってきた違和感や問題意識が、
ようやくキャッチーなフレーズとして形になったものとも言えます。

「今年の流行語は本当に流行ったのか?」という問いの裏側には、
・バズの寿命が短くなったSNSの時間感覚

・数年単位の変化をとらえようとする流行語大賞側の時間感覚
この二つがすれ違っている、という構図があるわけです。


今後の「流行語大賞」に求められるアップデートとは

ここまで見てきたように、2025年の流行語をめぐるモヤモヤには
情報源・時間軸・生活実感の差など、いくつもの要素が絡み合っています。

では、今後の新語・流行語大賞にどんなアップデートがあると、
「本当に流行った?」問題は少しやわらぐのでしょうか。

1. 認知度と実感を測る“もうひとつの物差し”

まず期待したいのは、
“世相を象徴する言葉”とは別に、生活実感として広く使われた言葉を測る仕組みです。

たとえば、

・一般アンケートで「30語のうちいくつ知っているか」を毎年公開する
・「実際に使ったことがある言葉はどれか」という項目を加える
・世代別(10代・20代・30代…)の認知・使用率の違いを示す

といったデータがあれば、

「社会的に大事だった言葉」と「生活のなかで使われた言葉」が分けて見え、
今よりも納得しやすくなるはずです。

2. SNSや検索トレンドの“空気感”も参考にする

次に考えたいのは、ネット上の空気感をどう取り入れるかという点です。

・Xでのハッシュタグ使用数
・検索エンジンでのキーワードトレンド
・YouTubeやTikTokでのタイトル・ハッシュタグの出現頻度

などを、あくまで“参考資料”として加味するだけでも、
ネット民の実感との乖離はかなり縮まりそうです。

もちろん、人気投票のように「数が多いものだけを選ぶ」とは違います。
ただ、「この言葉はSNS上ではほとんど使われていない」「この言葉は若い世代を中心に強い」
といった傾向を、選考委員の判断材料として可視化する価値は大きいでしょう。

3. 「象徴語」と「生活語」を分けて評価する視点

もう一歩踏み込むなら、
年間大賞やトップ10とは別に、“生活語部門”や“ネット・カルチャー部門”のような
サブカテゴリを設定するのも一案です。

・年間大賞:その年の日本を象徴する“象徴語”
・トップ10:象徴語+社会的インパクトの大きい言葉
・部門賞:生活に根づいた言葉/ネット発のカルチャー語 など

という形で整理できれば、

「確かに社会的にはこれだよね」
「でも生活実感としてはこっちも外せない」

という両方の感覚を、今よりバランスよくすくい上げられます。


2026年の流行語はどうなる?今から見えている“次のテーマ”

最後に、2025年のラインナップを踏まえて、
2026年にどんなタイプの流行語が生まれそうか、テーマレベルで整理しておきます。

もちろん、具体的な言葉はまだ誰にもわかりません。
ただ、「こういうジャンルから新しい流行語が出てきそうだ」という方向性は、
2025年のノミネートからある程度読み取れます。

1. 働き方・キャリア・お金まわりの言葉

・働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相
・物価高
・フリーランス保護法

といったワードが並んだ2025年は、
働き方と暮らし方の議論が強く意識された年でもありました。

2026年も、

・副業・フリーランス・ジョブ型雇用
・定年延長・リスキリング・学び直し
・増税・社会保障・所得再分配

など、“どう働き、どう生きるか”に関するフレーズが
新しい形で言語化されてくる可能性は高いでしょう。

2. 気候・防災・地域の暮らしをめぐる言葉

・二季
・緊急銃猟/クマ被害

が象徴していたように、気候の変化や自然との付き合い方は、
もはや「年に一度のニュース」では済まされません。

猛暑・豪雨・台風・地震・雪害など、
どの季節にもリスクがある時代のなかで、

・新しい防災用語
・自治体の取り組み・支援制度
・ライフスタイルの変化を表すことば

が、2026年版のノミネートに顔を出してくる可能性があります。

3. キャラクター・推し活・“平成レトロ”文脈

・ミャクミャク
・平成女児
・ぬい活
・ラブブ

など、キャラとファンカルチャー系のワードは、
2025年もかなり存在感がありました。

2026年も、

・大型イベントや新作コンテンツの公式キャラ
・平成〜ゼロ年代のリバイバルブーム
・推し活の新しい楽しみ方・グッズ文化

から、また新しい“かわいい流行語”が出てくるはずです。

こうした観点を持って日々ニュースやSNSを見ていると、
来年の流行語大賞を、単なる年末の行事ではなく
「一年を楽しく振り返るためのチェックポイント」として
より深く楽しめるようになります。


まとめ|「本当に流行った?」という違和感も、2025年らしさの一部

2025年の新語・流行語大賞をめぐる
「これ、本当に流行ってたの?」というモヤモヤの正体は、要約すると次の3つです。

・テレビとSNSで、見ている“今年”がそもそも違う
・知名度と生活実感のギャップがどんどん広がっている
・バズの寿命が短く、年末には別の言葉が主役になっている

その結果、
自分のタイムラインや日常会話で頻繁に見ていた言葉が選ばれず、
逆にニュース上では目にしていたものの、
自分では一度も口にしたことがないフレーズがトップ10入りする——
そんなズレが生まれています。

ただ、それは必ずしも「流行語大賞が間違っている」という意味ではありません。

むしろ、
・世相を俯瞰しようとする側の視点

・一人ひとりの生活や趣味の世界から見る視点

この二つが乖離するほど、社会が多層化したとも言えます。

大切なのは、「本当に流行ったのか?」という違和感をきっかけに、

・自分の外側の世界では何が話題になっていたのか
・自分の“2025年の言葉”は何だったのか

をあらためて考えてみることかもしれません。

2025年の流行語大賞は、
完璧な答えを教えてくれる“正解表”というより、
それぞれの立場から見た「今年の日本」を話し合うための
ひとつの“問い”として存在している——。

そんなふうに捉えてみると、
「本当に流行った?」というモヤモヤ自体も、
2025年という年の空気をよく表した、
ひとつの“時代の感想”になっていくのかもしれません。

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