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9月20日は何の日?空の日・バスの日・お手玉の日と歴史を刻んだ災害の記憶

9月20日は何の日?

9月20日は、日本で「空の日」「バスの日」「お手玉の日」といった、暮らしと遊びに根ざした記念日が並ぶ日です。

飛行船で東京の空を一周した「空の日」、旅や移動の原点を思わせる「バスの日」、ちょっとした遊び心を育む「お手玉の日」。

一方、1498年には南海沿岸であの大地震と津波が発生し、大きな被害を残しました。

普段は通り過ぎてしまう日付ですが、9月20日は空を見上げたり、昔の暮らしを想像したり、自然の力を思い返す機会をくれる日です。

空の日(9月20日)

9月20日は「空の日」。日本の航空史を記念する日として、1940年に「航空日」として制定され、戦後にいったん中断された後、1992年に「空の日」として復活しました。

由来は1911年、山田猪三郎が開発した大型飛行船が東京・代々木練兵場を出発し、東京上空を一周飛行したこと。この快挙をきっかけに、日本でも航空の可能性が注目されるようになりました。

現在では各地の空港で航空イベントや展示、子ども向けの体験教室などが行われ、空や飛行機への関心を広げる日として定着しています。飛行機に乗らなくても、空を見上げるだけで「空の日」の意味を少し感じられるかもしれません。

バスの日(9月20日)

9月20日は「バスの日」。1903年(明治36年)のこの日、京都市で日本初の営業バスが運行を開始したことを記念しています。堀川中立売から七条までを結ぶ路線で、蒸気自動車を改造した乗合自動車が街を走ったのが始まりでした。

しかし当時の道路事情や車両の不具合もあって長続きはせず、約2か月で運行は中止されてしまいます。それでもこの試みが日本のバス交通の出発点となり、後の自動車交通の発展へとつながりました。

現在は日本バス協会が中心となり、この日を「バスの日」として全国でイベントを開催。バス利用の普及や公共交通の大切さを考える機会となっています。普段の通勤や通学で何気なく乗っているバスも、120年の歴史を持つ乗り物だと知ると、少し見方が変わるかもしれません。

お手玉の日(9月20日)

9月20日は「お手玉の日」。1992年(平成4年)、広島県安芸郡熊野町で「第1回全国お手玉遊び大会」が開催されたことを記念して制定されました。

お手玉は古くから日本の子どもたちに親しまれてきた遊びで、江戸時代には「御手玉」と書かれ、豆や小石を布に包んで手で投げ合う単純な遊びとして楽しまれていました。世代を超えて受け継がれる伝統遊びですが、時代とともに遊ぶ子どもは減り、こうした大会や記念日が誕生した背景には「伝統文化を残したい」という願いがあります。

全国大会では、技を競う部門だけでなく、世代を超えた交流の場として親子や高齢者も参加し、お手玉を通じたコミュニケーションが生まれています。9月20日は、懐かしい遊びを改めて手に取ってみる日としてぴったりかもしれません。

1498年 明応地震

1498年9月20日(明応7年8月25日)、南海トラフ沿いで発生したとされる巨大地震が「明応地震」です。推定規模はマグニチュード8.2〜8.4とされ、歴史的に確認されている最大級の南海トラフ地震のひとつと考えられています。

地震は紀伊半島から遠州灘、駿河湾にかけて大津波を引き起こし、多くの沿岸集落が壊滅的な被害を受けました。特に鎌倉では津波により由比ヶ浜周辺が大きく浸水し、当時の大仏殿が流失したとも伝えられています。

記録が断片的なため被害の全貌は明らかではありませんが、この災害は日本列島が古くから大地震と共存してきたことを示す歴史的事例です。現代の防災を考える上でも「過去にどんな津波が起きたのか」を知ることは重要であり、9月20日はその教訓を振り返る日でもあります。

世界の9月20日

国際スポーツデー(International Day of University Sport)

9月20日は「国際スポーツデー」にも定められています。正式名称は「国際大学スポーツの日(International Day of University Sport)」で、国際大学スポーツ連盟(FISU)の提案に基づき、2016年にユネスコ総会で採択されました。

目的は、大学や教育機関におけるスポーツ活動を通じて、健康の増進や若者同士の交流を促進し、国際的な理解を深めること。毎年9月20日には世界各国の大学でスポーツイベントやシンポジウムが行われています。

日本でも大学のスポーツ部活動や地域連携の催しが企画されることがあり、学業と並んでスポーツが若者の成長に重要な役割を果たしていることを再認識させてくれる日です。

イタリア統一の節目 ― ローマ占領(1870年)

1870年9月20日、イタリア王国軍はローマを占領し、長く続いた教皇領に終止符を打ちました。この出来事は「ローマ進軍(Breccia di Porta Pia)」と呼ばれ、イタリア統一運動(リソルジメント)の最終章を飾る大事件です。

当時、ローマは依然として教皇庁の支配下にありましたが、イタリア統一を完成させるためには首都をローマに定めることが不可欠でした。フランス軍が普仏戦争で撤退した隙を突き、イタリア軍がローマ城壁の一角を突破。わずかな戦闘の後、ローマは陥落しました。

その後、住民投票でローマのイタリア王国への編入が承認され、翌1871年にはローマが正式に首都とされました。9月20日は今もイタリアでは統一記念日として知られ、国民の歴史的誇りを象徴する日付となっています。

南アフリカ初の国民投票(1984年)

1984年9月20日、南アフリカでは新しい憲法の是非を問う国民投票が実施されました。これはアパルトヘイト体制のもとで行われたもので、白人有権者のみが投票を許されるという、極めて不平等なものでした。

新憲法は「三院制議会」を導入し、白人・カラード(有色人種)・インド系に限定して議会参加を認めましたが、人口の多数を占める黒人は排除されたままでした。結果は賛成が大多数を占め、制度は承認されました。

しかしこの改革は国際社会から強い批判を浴び、「人種隔離を温存するための偽りの民主化」と見なされました。のちの民主化運動と1990年代のアパルトヘイト廃止につながる過程の一部ではありますが、この日付は南アフリカの歴史における矛盾と不平等を象徴する出来事として記録されています。

まとめ ― 空を見上げ、歴史を振り返る一日

9月20日は、日本では「空の日」「バスの日」「お手玉の日」といった日常や文化に根ざした記念日が並びます。さらに1498年の明応地震という大災害を忘れないための日でもあります。

世界に目を向ければ、イタリア統一の完成を告げるローマ占領や、南アフリカで行われた国民投票など、その国の歴史を大きく動かした出来事が刻まれてきました。

普段は特別な意味を持たずに過ぎていく日付も、調べてみると驚くほど多彩な歴史や文化が重なっています。今日という日をきっかけに、空を見上げたり、身近な移動手段に思いを寄せたり、歴史の教訓を心に留めてみてはいかがでしょうか。

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