9月27日は何の日?

9月27日は、国連が制定した「世界観光の日」をはじめ、日本各地の自治体や企業が定めた記念日が数多く存在します。
例えば、日本女性で初めて運転免許を取得したことにちなむ「女性ドライバーの日」や、御嶽山の噴火を教訓とした「信州 火山防災の日」など、歴史や文化、防災の意識とも深く関わっています。
さらに、Googleがこの日を“誕生日”として祝う慣例や、ベルギーでの「フランス語共同体の日」など、海外の記念日も同日に重なっています。
本記事では、9月27日にまつわる公式な記念日からユニークな由来までを、わかりやすく1つずつ解説していきます。
世界観光の日(World Tourism Day)
9月27日は「世界観光の日」。
国連の観光専門機関(UN Tourism、旧UNWTO)が制定した国際デーで、1980年から毎年この日に世界中でイベントや発信が行われています。
なぜ9月27日かというと、1970年のこの日、観光に関する国際的なルールや理念をまとめた「UNWTO憲章」が採択されたから。ちょうど10周年の節目に、観光の価値をあらためて考える日としてスタートしたわけです。
観光と聞くと「旅行してリフレッシュすること」を思い浮かべる人も多いかもしれません。
でも、実際はそれだけではありません。観光は地域の経済を動かし、伝統や文化を守り、人と人との交流を生み出す大切な“社会の仕組み”なんです。
例えば、観光地に人が訪れれば宿泊や飲食だけでなく、工芸品や伝統芸能の継承にもつながります。観光があることで地域の文化が次の世代に受け継がれていく。そんな循環を意識することも、この日の狙いのひとつです。
2025年のテーマは「観光と持続可能な変革(Tourism and Sustainable Transformation)」。
ただ観光客を戻すだけでなく、地域にとって長く良い影響を残せる形に変えていこう、というメッセージが込められています。今年の公式イベントのホスト国はマレーシア・マラッカ。歴史都市として世界遺産にも登録されている場所で、まさに「観光と文化の持続可能性」を象徴する舞台といえます
観光は“遊び”ではなく“未来への投資”。
次の旅行先を選ぶとき、ただ「どこが安いか」ではなく、「この旅で地域にどんな価値を残せるか」を考えることが、世界観光の日の精神に通じています。
女性ドライバーの日
9月27日は「女性ドライバーの日」。
1917年(大正6年)のこの日、日本で初めて女性が自動車運転免許を取得しました。その人物は渡辺はまさん。まだ車そのものが珍しく、道路も舗装されていなかった時代に、女性がハンドルを握ったというのはとても大きな出来事でした。
当時は「女性が車を運転するなんて危険だ」「社会的にふさわしくない」といった偏見が強く、免許を取るのは簡単なことではありませんでした。それでも渡辺さんは挑戦し、見事に合格。日本における“女性ドライバー第一号”として歴史に名を残しました。
現代では女性ドライバーは当たり前の光景になっていますが、その背景にはこうした先駆者の勇気があります。免許を取ることで「男性だけの世界」と思われていた領域に新しい風を吹き込み、社会全体の意識を少しずつ変えていったのです。
車を運転するという行為は、単なる移動手段を超えて「自由を手にする」ことでもあります。1917年の渡辺さんが感じた喜びや解放感は、今の時代を生きる私たちにも共通するものかもしれません。
だからこそ、この日は単に自動車文化の歴史を振り返るだけでなく、「誰もが自由に挑戦できる社会とは何か」を考えるきっかけになる日なのです。
信州 火山防災の日
9月27日は「信州 火山防災の日」。
これは長野県が定めた記念日で、2014年に起きた御嶽山(おんたけさん)の噴火を教訓に、火山災害への備えを呼びかける日です。
2014年9月27日午前11時52分。
青空のもと、紅葉を楽しみに登っていた登山者たちを突然襲った水蒸気爆発は、多くの尊い命を奪いました。あの日の衝撃は、今も日本の火山災害史に深く刻まれています。
長野県はその痛ましい出来事を風化させないために、2023年から毎年9月27日を「信州 火山防災の日」と定め、火山防災に関する啓発活動やイベントを行っています。また、国の「火山防災の日」(8月26日)からこの日までの約1か月を「信州 火山防災月間」と位置づけ、集中的に情報発信をしているのも特徴です。
長野県には御嶽山だけでなく、浅間山、焼岳、乗鞍岳など活火山が点在しています。
観光や登山の魅力と火山のリスクが隣り合わせだからこそ、「知って備える」ことが日常に直結します。例えば、登山に出かける前に噴火警戒レベルを確認すること、ヘルメットやゴーグルを携行すること、そして現地で発信される情報に耳を傾けること。小さな行動が命を守る大きな力になります。
「火山防災」という言葉は少し堅く聞こえるかもしれません。
でも本質は「自然とどう共に生きるか」を考えること。美しい景色を楽しみながらも、その裏に潜む危険を理解し、正しく恐れること。それが、この記念日が私たちに伝えようとしているメッセージなのだと思います。
黄ぶなの日
9月27日は、栃木県宇都宮市の「黄ぶな(きぶな)」を広めるために制定された記念日。
語呂合わせの“9(き)・2(ぶ)・7(な)”が由来で、日本記念日協会の認定も受けています。地域文化への関心を高め、まちなかを元気にするのが狙いです。
黄ぶなは、黄色い体に赤い顔の張り子の郷土玩具。
江戸時代に天然痘が流行したとき、川で釣れた“黄色いフナ”を食べたら回復した――という民話から、無病息災の縁起物として正月に飾る風習が残りました。やさしい色と丸い形は、お土産としても親しまれています。
いまも宇都宮では9月27日前後に関連イベントが開催され、巨大黄ぶなの展示やグッズ販売で街がにぎわいます。2025年は「黄ぶな市」も実施予定で、地域ぐるみの盛り上げが続いています。
小さな張り子に込められているのは、「病に負けないで、みんな元気に」という願い。
日々の暮らしの中で、そっと寄り添ってくれるお守りのような存在です。次に宇都宮へ行く機会があれば、現地の黄ぶなを手にとって、その物語も一緒に味わってみてください。
お菓子のみやきん「駒饅頭」誕生日
9月27日は、青森・七戸の銘菓「駒饅頭(こままんじゅう)」の“誕生日”。
1908年9月27日、当時の皇太子(のちの大正天皇)が七戸町の種馬牧場を訪れた際、小豆餡入りの酒饅頭を所望し、侍従を通じて「駒饅頭」と名付けられたのが始まりです。
この由来に合わせ、老舗「お菓子のみやきん」が記念日化。
2020年には日本記念日協会の認定も受け、地元の名物として毎年この日をきっかけに発信が続いています。素朴な酒饅頭の香りと上品な餡—“馬の里”七戸らしい物語が、いまも菓子に息づいています。
旅先で出会う一口が、その土地の歴史を教えてくれる。
そんな体験を確かめたい人に、駒饅頭はぴったりの手土産です。次に青森へ行くときは、日付の意味も思い出してみてください。
ブリスの日
9月27日は「ブリスの日」。
自動車用コーティング剤「ブリス」を開発したブリスジャパンカンパニーが定め、日本記念日協会に登録されています。製品とカーケア文化の魅力を広める日です。
なぜこの日かというと、2001年9月27日に「高密度ガラス繊維系ポリマー・ブリス」の開発実験が成功したから。記念日の由来はここにあります。
ブリスは“ツヤ”と“保護”をねらうコーティング剤。洗車後に塗ることでボディ表面を守り、美しい光沢をキープすることを目指します。毎年この時期は公式サイトでキャンペーンも展開され、ユーザーの盛り上がりも定番化しています。
車好きにとっては、愛車と少し丁寧に向き合うきっかけの日。
「今日はワックスより一歩先のケアをしてみよう」—そんな小さな一手間が、走り出すたび気持ちを上げてくれます。
英字新聞発刊記念日
9月27日は「英字新聞発刊記念日」。
“日本人の編集による日本初の英字新聞”とされる「Anglo-Japanese Review」が1885年9月27日、大阪で創刊したことにちなむ通称の記念日です。今日は何の日系の資料で広く紹介されているトピックで、公式な祝日ではありません。
ここで押さえたいのは“何をもって『日本初』とするか”。
英語で発行された新聞そのものは、もっと早くから存在しました。たとえば1861年、長崎で英国人A.W.ハンサードが発行した「The Nagasaki Shipping List and Advertiser」は、日本で最初の英語新聞として研究ガイド等に明記されています。その年の11月には横浜へ移り、紙名を「Japan Herald」に改めています。つまり“英語の新聞”の始まりは1861年、“日本人編集による英字紙”の節目として語られるのが1885年という整理です。
さらに補足すると、現在も発行が続く英字紙「The Japan Times」は1897年創刊。社史では“日本人が編集した英字紙”の草分けとして位置づけられており、どの出来事を基準に“初”と呼ぶかで説明が分かれる点も覚えておくと誤解を避けられます。
異文化の窓として始まった英字新聞は、いまも海外に日本を伝える大切なインフラ。
9月27日は、ニュースを“別の言語でどう伝えるか”という視点で記事を読んでみる、ちょっとしたきっかけの日でもあります。
Googleの“誕生日”(慣例)
9月27日は、Googleが検索トップにバースデーのロゴ(Doodle)を出してお祝いする日。
いまではこの日付が“Googleの誕生日”として、ユーザーのあいだでもすっかり定着しました。
少しややこしいのは、会社の設立日そのものは1998年9月4日だということ。
歴史をひも解くと、初期は年ごとに祝う日付が揺れていた時期もあり、やがて9月27日に落ち着いた——そんな経緯があります。つまり「公式の誕生日=設立日」ではなく、「毎年この日に祝う」と決めた“慣例の誕生日”なんですね。
検索窓の前で世界がつながる。
そんな体験を日常にしてくれた存在に、年に一度「おめでとう」を言う日。Doodleを眺めながら、初めてGoogleを使ったときのワクワクや、検索が生活のインフラになった実感を思い出すのも楽しい時間です。次の一歩は、AI時代の“探し方”がどう変わるか。誕生日は、未来の検索を想像するきっかけにもなります。
ベルギー「フランス語共同体の日」(Fête de la Fédération Wallonie-Bruxelles)
9月27日は、ベルギーのフランス語共同体(ワロン地域+ブリュッセルの仏語系教育など)で祝われる記念日。学校や共同体の行政機関は休みになりますが、全国の法定祝日ではないため民間の多くは通常営業です。ブリュッセルやナミュール、リエージュなど各地で無料コンサートや演劇、スポーツイベントが開かれ、街がフランコフォン文化一色になります。
この日付は、1830年のベルギー独立革命の山場「ブリュッセル四日間戦」の終結にちなみます。9月26日深夜から27日にかけて、オランダ王国軍がブリュッセルから撤退。これを“勝利の日”として記憶し、1975年にフランス語共同体が正式に「共同体の日」を9月27日と定めました。
豆知識としてもう一歩。
同時期に由来を同じくする「ワロン地域の日」は“毎年9月の第3日曜”。一方でフランデレン側には7月11日の「フラームス共同体の日」もあります。ベルギーでは“地域(州)”と“言語共同体”が並び立つため、祝う主体と日付が異なるのが面白いところです。
旅行者目線なら、「今日はなぜ閉まってる?」の答えになる日。
現地でイベントに出会えたら、フランス語文化のライブ感を全身で味わえます。
9月27日のまとめ
9月27日は、実に多彩な顔を持つ一日でした。
世界規模では、観光の価値を見直す「世界観光の日」があり、
日本では、御嶽山噴火を教訓にした「信州 火山防災の日」や、宇都宮の縁起物「黄ぶなの日」、青森の老舗菓子店にちなんだ「駒饅頭の誕生日」、そしてカーケア製品に由来する「ブリスの日」など、地域や企業の歴史を映す記念日が並びます。
歴史を振り返れば、女性が初めて運転免許を取得した「女性ドライバーの日」や、日本で英字新聞が生まれたことを伝える「英字新聞発刊記念日」。
さらに現代では、Googleがこの日を“誕生日”として祝うなど、時代を象徴する慣例も加わっています。
そして海外では、ベルギーの「フランス語共同体の日」。
自由を勝ち取った歴史と文化を今に伝える記念日が、同じ日に重なっていました。