
9月29日は何の日?
9月29日は、世界規模で心臓の健康を守る「世界心臓デー」や、食品ロス削減を呼びかける「国際デー」が重なる日です。
日本に目を向ければ、「招き猫の日」「洋菓子の日」「クリーニングの日」「接着の日」と、暮らしに密着したユニークな記念日が並びます。
また、1972年のこの日には日中共同声明が発表され、歴史的に大きな節目ともなりました。
そして毎月29日恒例の「肉の日」「クレープの日」も重なり、食卓をちょっと豊かにしてくれる日でもあります。
国際的な啓発から身近な楽しみまで、多彩な顔を持つ9月29日。
本記事では、それぞれの由来や背景をわかりやすく解説していきます。
世界心臓デー(World Heart Day)
9月29日は「世界心臓デー」。
心臓や血管の病気から命を守るために、毎年この日に世界中で啓発活動が行われています。
心臓病や脳卒中は、いまも世界で最も多くの人が亡くなる病気のひとつです。けれども、多くの要因は日常生活とつながっています。食事の塩分を減らす、定期的に体を動かす、タバコをやめる、血圧を測って早めに対応する。特別なことよりも、身近な習慣の積み重ねが未来を大きく変えます。
今年のテーマは「Don’t Miss a Beat(その一拍を見逃さない)」。
胸の痛みや息切れといったサインを軽く見過ごさず、早めに受診することも大切な一歩です。心臓は一生休むことなく働き続ける臓器だからこそ、ほんの少しの工夫で負担を減らすことができます。
世界心臓デーは、健康診断の数値や毎日の習慣を振り返るきっかけの日。今日できる小さな改善が、明日の鼓動を守ることにつながるのです。
食品ロスと食品廃棄に関する国際デー
9月29日は「食品ロスと食品廃棄に関する国際デー」。
国連が定めた日で、食べられるのに捨てられてしまう食品や、必要以上に廃棄される現状を考え直すきっかけになっています。
世界では、まだ十分に食べ物が行き届かない地域がある一方で、家庭やレストラン、流通の過程で膨大な量の食品が捨てられています。これは環境負荷を大きくするだけでなく、食料不足や気候変動とも深く関わっています。
「もったいない」という感覚は、日本人にとってなじみ深いもの。冷蔵庫の奥で食材を無駄にしてしまった経験は、誰にでもあるはずです。でも、その一つひとつを減らすことが、実は世界規模の問題の解決につながっています。
今日できることは、とてもシンプルです。
必要な分だけ買う、作りすぎない、残ったら工夫して食べ切る。外食では無理せず少なめに頼む。そんな小さな選択が積み重なれば、食品ロスは確実に減らせます。
9月29日は、「食べることのありがたさ」をあらためて思い出す日。おいしい食事を最後まで味わい尽くすことが、未来の地球を守る第一歩になるのです。
招き猫の日
9月29日は「招き猫の日」。
「来る(9)福(29)」という語呂合わせから、日本招猫倶楽部が制定しました。福を呼ぶ縁起物として知られる招き猫を改めて楽しみ、広めていこうという日です。
招き猫は、右手を挙げているものは「お金や商売繁盛」を、左手を挙げているものは「人や縁を招く」といわれます。白は福を呼び、黒は魔除け、金は金運と、色によっても意味が変わるのが面白いところです。地域や時代によって姿形が少しずつ違い、民芸品としての味わいも豊かです。
この日は、全国各地で招き猫にちなんだイベントが開催されることもあります。特に伊勢の「おかげ横丁」や瀬戸市などは有名で、工芸展やお祭りを通じて、多彩な招き猫が並びます。眺めているだけで、自然と笑顔になれる不思議な存在です。
日々の暮らしにちょっとした願いを託す——それが招き猫の魅力。
9月29日は、自宅の棚やお店の隅に座る小さな猫を見つめ直し、そこに込められた「福を招く気持ち」を思い出すのにぴったりな一日です。
クリーニングの日
9月29日は「クリーニングの日」。
「ク(9)リーニ(2)ング(9)」という語呂合わせから、1982年に全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が制定しました。季節の変わり目に衣類を清潔に保つ習慣を広め、クリーニングの役割を知ってもらうことを目的としています。
クリーニングは単なる「服をきれいにする」サービスではありません。汗や皮脂、花粉やカビといった家庭の洗濯では落としきれない汚れをしっかり処理し、衣類の寿命を延ばす大切な役割を担っています。特にスーツやコートなど高価な衣類は、プロの技術によるケアが欠かせません。
また、近年は環境配慮の流れも進んでいます。従来の溶剤に代わる「環境にやさしい洗浄法」や、リサイクル資材の活用など、クリーニング業界は時代に合わせて進化を続けています。
9月29日は、夏物をしまい秋冬物を出すタイミングとも重なります。大切な一着を見直して、きちんとケアしてから衣替えをするのにぴったりの日。清潔に整えられた服は、心までしゃんとさせてくれるものです。
洋菓子の日
9月29日は「洋菓子の日」。
フランスを中心に菓子職人の守護聖人とされる大天使ミカエルの祝日にちなみ、2002年に三重県洋菓子協会が制定しました。日本記念日協会にも登録されている、スイーツ好きにはうれしい記念日です。
洋菓子といえば、ケーキやシュークリーム、タルトにマカロンと、甘さの中に職人の技と遊び心が詰まった世界。日本では明治時代に西洋から伝わり、各地で独自の進化を遂げてきました。和の素材と掛け合わせた抹茶ケーキや、季節の果物をふんだんに使ったショートケーキは、日本ならではの洋菓子文化といえます。
「洋菓子の日」は、単にお菓子を楽しむ日ではなく、職人たちの努力や伝統に感謝する日でもあります。日々の暮らしに小さな幸せを添えてくれる洋菓子は、特別な日だけでなく、頑張った自分へのご褒美としてもぴったりです。
今日はお気に入りのパティスリーでケーキを一つ選んでみるのも良いかもしれません。甘いひとときが、きっと日常に小さな彩りを与えてくれるはずです。
接着の日(接着剤の日)
9月29日は「接着の日(接着剤の日)」。
「くっ(9)つ(2)く(9)」の語呂合わせにちなみ、日本接着剤工業会が2010年に制定しました。日常から産業まで広く使われる接着剤の役割を見直し、その正しい知識を広めることを目的としています。
接着剤は、ただ物と物をくっつける道具ではありません。住宅や家具、車や飛行機、医療や電子機器など、私たちの暮らしのあらゆる場面で使われています。ネジや釘では実現できない軽さや強さを可能にし、製品のデザインや性能を大きく進化させてきました。
一方で、用途ごとに適した種類を選ばないと十分な力を発揮できないのも接着剤の特徴です。木材用、金属用、瞬間接着、耐水性など、それぞれに特性があります。適材適所で使うことが、安全性や耐久性を高めるカギとなります。
9月29日は、普段は脇役のように思える接着剤に注目する日。小さなチューブ一本の中に、技術と工夫の積み重ねが詰まっていることを思い出すと、身近な道具のありがたさが少し違って見えてきます。
日中国交正常化の日
1972年9月29日、日本と中国は歴史的な一歩を踏み出しました。
この日、田中角栄首相と周恩来首相によって「日中共同声明」が発表され、戦後長らく途絶えていた両国の国交が正式に回復したのです。
戦後の日本にとって、中国との関係は複雑で重たい課題でした。冷戦下の国際情勢、台湾との関係、経済や資源の問題——さまざまな要因が絡み合い、簡単には進まなかった道のり。その流れを大きく変えたのが、1970年代初頭の米中接近でした。世界の空気が変わる中で、日本もまた大きな決断を迫られたのです。
共同声明では、日本が中華人民共和国を中国の唯一の合法政府として承認し、両国は互いの主権を尊重し、不干渉を原則とすることが確認されました。これにより、外交関係が開かれるとともに、経済や文化の交流が一気に広がっていきます。日本企業の中国進出や人的交流は、この日を契機に加速していきました。
9月29日は、アジアの歴史にとって大きな転換点の日。
国交の回復は決してゴールではなく、その後も摩擦や課題は絶えませんでしたが、「隣国と向き合う」という姿勢を示した意味は非常に大きいと言えます。今日の私たちにとっても、国と国の関係を考える上で振り返る価値のある一日です。
肉の日(毎月29日)
毎月29日は「肉の日」。
「に(2)・く(9)」の語呂合わせから全国食肉事業協同組合連合会が制定し、1987年から続いている定番の記念日です。スーパーや飲食店でセールや特別メニューが登場するので、すっかりおなじみになりました。
肉といっても、その魅力は幅広いもの。牛肉のジューシーさ、豚肉の甘み、鶏肉の食べやすさ。それぞれに調理法や文化があり、食卓にバリエーションを与えてくれます。栄養面でも、たんぱく質や鉄分、ビタミンB群などが豊富で、健康な体づくりには欠かせない存在です。
ただし、食べ方には工夫が必要です。焼き肉やステーキでガッツリ楽しむのもいいですが、野菜と組み合わせたり、脂身を控えめにしたりすることで、よりバランスのとれた食事になります。
「肉の日」は、おいしい食材をただ味わうだけでなく、畜産を支える人々の努力や、命をいただくことへの感謝を思い出す日でもあります。29日には、ちょっと特別な一皿を選んでみるのも良いかもしれません。
クレープの日(毎月9日・19日・29日)
毎月9日・19日・29日は「クレープの日」。
「ク(9)レープ」の語呂合わせから、株式会社モンテールが制定しました。特に29日は「肉の日」とも重なりますが、甘いスイーツ派にはこちらがうれしい記念日です。
クレープは、フランス・ブルターニュ地方が発祥。小麦粉やそば粉の生地を薄く焼き、果物やクリーム、チョコレートを包んだ甘いものから、ハムやチーズを合わせた食事系まで幅広く楽しめます。日本では1970年代から原宿の竹下通りを中心に広がり、若者文化の象徴ともなりました。紙に包んで片手で食べられる気軽さが人気を呼び、今では全国どこでも見かける定番スイーツです。
毎月めぐってくる「クレープの日」は、日常の中で小さなご褒美を楽しむチャンス。コンビニや専門店で新しいフレーバーを試してみたり、手作りに挑戦してみるのも楽しいかもしれません。甘い香りに包まれながら、ひと口で幸せな気分になれるのがクレープの魅力です。
工業用安全の日
9月29日は「工業用安全の日」。
労働安全や工業製品の安全性について意識を高めるために設けられた日です。工場や建設現場ではもちろん、私たちの身近な生活用品や機械にも「安全性を守るための工夫」が欠かせません。
工業の現場では、ほんの小さな不注意が大事故につながることがあります。そのため、ヘルメットや安全靴、保護具の着用といった基本的なルールが徹底されています。また、製造された機械や部品は厳しい規格でテストされ、日常で安心して使えるよう管理されています。
最近では、AIやセンサー技術が導入され、人間の見落としを補う仕組みも増えてきました。危険を未然に察知するシステムや、自動的に装置を停止させる機能など、技術の進歩が安全を支えています。
9月29日は、工業の発展を陰で支える「安全」というテーマに光を当てる日。普段何気なく使っている電化製品や道具の一つひとつにも、見えない努力と仕組みが込められていることを思い出すきっかけになるでしょう。
まとめ:9月29日に込められた意味
9月29日には、健康や食文化、歴史や産業まで、多彩なテーマの記念日が集まっています。
世界に目を向ければ「世界心臓デー」や「食品ロス国際デー」があり、日常生活を少し見直すきっかけを与えてくれます。日本では「招き猫の日」や「クリーニングの日」、「洋菓子の日」など、暮らしに身近なテーマが語呂合わせとともに親しまれています。さらに「日中国交正常化」という大きな歴史の節目も、この日に刻まれています。
どの記念日も、それぞれの分野で「意識を変えること」や「感謝を忘れないこと」を伝えています。毎日の忙しさの中で、改めて立ち止まり、自分の暮らしや周りの世界を少し見直す。それが、9月29日を過ごすうえでの小さなヒントになるのではないでしょうか。