10月8日は「地球と身体をいたわる日」。

10月8日は、私たちの暮らしを支える“自然と体”の両方に感謝を向ける記念日がそろう日です。
木のぬくもりを暮らしに取り入れる「木材利用促進の日」。
体を支える骨や関節の健康を見つめ直す「骨と関節の日」。
そして、地球の奥深くのエネルギーに注目する「地熱発電の日」。
さらに暦の上では、秋が深まり始める二十四節気「寒露」にもあたります。
自然の変化とともに、自分の体や住まいの環境を見直すきっかけにしたい一日です。
木材利用促進の日
「木材利用促進の日」は、都市(まち)の木造化推進法に基づき、10月8日と定められています。由来はシンプルで、漢字の「十」と「八」を組み合わせると「木」になること。10月は「木材利用促進月間」と位置づけられ、社会全体で木を暮らしや街づくりに活かす機運を高める期間です。
現在は、国の「木材利用促進本部」を軸に、産学官が一体で“木づかい運動(ウッド・チェンジ)”を展開。10月には集中的にイベントやキャンペーンが行われ、木の良さや価値を再発見する顕彰制度「ウッドデザイン賞」などの取り組みも広がっています。
木を選ぶことは、快適性だけでなく脱炭素や循環型社会にもつながります。中大規模建築の木造・木質化の潮流や、地域材の活用を可視化する各地の取り組みは、その象徴です。身近な暮らしから都市の風景まで、木を通じて“環境に良い選択”の裾野を広げる意義があります。
今日の小さな行動ヒントとしては、公式サイトで紹介されるイベントや展示を覗いてみる、家具や日用品で木のアイテムを一つ取り入れる、リフォーム・新築の計画があるなら木質化の選択肢を検討する、など。まずは「暮らしのどこを木に変えられるか?」を考えることが第一歩です。
骨と関節の日
「骨と関節の日」は、公益社団法人 日本整形外科学会が“運動器(骨・関節・筋肉など)”の大切さを広く伝えるために毎年10月8日に定めた啓発デーです。由来は、骨の「ホ」を十(10)と八(8)に分解できる語呂と、秋に向けて体を動かしやすい季節であること。全国の医療機関や自治体と連携し、公開講座や健康測定などを通じて、ロコモティブシンドロームの予防や骨粗しょう症対策を呼びかけてきました。
いま注目すべき意義は「自分の足で生きる力」を守ること。平均寿命が伸びる一方、骨折や関節疾患がきっかけで要支援・要介護に至るケースは少なくありません。正しい知識と日々のセルフケア(姿勢・荷重のかけ方・筋力維持)が、将来の移動能力と生活の質を大きく左右します。
今日の行動ヒントは三つ。まず、立ち姿を横から撮影して“耳・肩・股関節・くるぶし”が一直線かをチェック(姿勢の自己点検)。次に、つま先立ち10回・椅子からの立ち上がり10回・片脚立ち左右各30秒など、無理のない範囲で“毎日できる小さな運動”を決める。最後に、カルシウム・ビタミンD・たんぱく質を意識した食事と、喫煙・過度の飲酒・日照不足の見直し。小さな積み重ねが、5年後の脚力を守ります。
地熱発電の日
「地熱発電の日」は、日本初の商用地熱発電所である岩手・松川地熱発電所が1966年10月8日に営業運転を始めた節目から、2016年にJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)・日本地熱協会・電気事業連合会が制定した記念日です。以来、毎年10月8日前後にシンポジウムや見学会などの啓発イベントが各地で行われ、地熱への理解を広げてきました。
地熱発電は、天候や昼夜に左右されにくい“安定供給”が強みの再生可能エネルギー。発電時の二酸化炭素排出が少なく、国のエネルギーミックスでも着実な拡大が期待されています。地域と共生しながら長期的に使える「足もとにある熱」を活かす点が、本質的な意義です。
また、発電に使った熱水を温室栽培や養殖、温浴・暖房などに“カスケード利用”する取り組みも各地で進んでいます。電気だけでなく、暮らしと産業を温める多用途のエネルギーとして、地熱の可能性はまだ広がります。
今日の行動ヒントとしては、JOGMECの特設ページや関連イベント情報をチェックして、基本を短時間で学ぶこと。地熱の仕組みや地域の事例を知るだけでも、再エネを自分ごとに引き寄せる良い入り口になります。
寒露
「寒露」は二十四節気の一つで、露が冷たく感じられ、秋がいよいよ深まる頃を指します。例年、稲刈りや秋祭りが各地で進み、空気が澄んで朝晩の冷え込みがはっきりしてくるタイミングです。なお“記念日”ではなく、暦上の季節区分であることを最初に明確にしておきます。
いまの意義は、季節の変化に体を合わせること。乾燥が進み、喉と関節に負担がかかりやすい時期です。衣替えを一段進め、就寝前の加湿や、温かい飲み物で内側から整えると体調を崩しにくくなります。食卓では、秋刀魚・きのこ・里芋・柿など“旬で水分・ミネラルを補える食材”が頼りになります。
今日の行動ヒントは三つ。朝は首もとを冷やさない薄手のストールを一枚足す。日中は15分の散歩で日光と体温リズムを取り戻す。夜は湯船に短く浸かって深部体温を一度上げ、寝つきを良くする。季節の小さな調整が、明日のパフォーマンスを静かに底上げしてくれます。
入れ歯感謝デー
「入れ歯感謝デー」は、入れ歯や差し歯などの歯科補綴(ほてつ)によって“食べる・話す・笑う”を支える技術と人に感謝する日として、毎年10月8日に定められています。由来は、数字の1(い)・0(れ)・8(ば)で「入れ歯」と読む語呂。専門職である歯科技工士の歩みと役割を社会にひらくための啓発デーです。
いま改めて意義が大きいのは、口の機能が生活の質と直結しているからです。しっかり噛めることは栄養や発音の明瞭さ、表情づくり、さらには人との交流にも関わります。入れ歯は“代用品”ではなく、その人のからだに合わせて設計・加工される精密な医療技術の結晶。作り手・診療側・使い手が連携してこそ、本来の力を発揮します。
今日の行動ヒントは三つ。まず、入れ歯・差し歯の“痛み・がたつき・食べ物の詰まりやすさ”など小さな違和感をメモして、次回受診時に必ず伝える準備をする。次に、専用ブラシや洗浄剤での毎日の手入れを“寝る前の習慣”として固定する。最後に、地域の公開講座や配信で正しいケア情報を一度学び直す。小さな見直しが、明日の食事と会話の楽しさを守ってくれます。
出典メモ(本文外)
公益社団法人 日本歯科技工士会「10月8日 入れ歯感謝デー(日本記念日協会登録)」に関する案内・活動報告。
コンビニATMの日
「コンビニATMの日」は、コンビニエンスストアに“銀行の共同ATM”が初めて設置された1999年10月8日に由来します。設置の当事者である株式会社イーネットが制定し、日本記念日協会の認定を受けています(制定は2006年)。以来、身近な金融インフラとしての役割を見直すきっかけの日として周知されています。
いまの意義は、金融アクセスの裾野を広げること。主要な銀行や地域金融機関にまたがって利用でき、買い物動線上で現金を出し入れできる利便性は高齢者や深夜勤務者、出張・旅行者にも力になります。キャッシュレスが進む一方で、現金が必要な場面を支える“最後の一手”としての存在価値は変わりません。
今日の行動ヒントは三つ。まず、自分の口座が“手数料無料になる時間帯・提携先”を公式アプリや案内で確認し、無駄な手数料を減らす。次に、暗証番号の目隠し・明細の持ち帰り・利用後のカード/スマホのしまい忘れ防止など基本の防犯を徹底する。最後に、非常時に備え“少額の生活費をどこで確保できるか”を家族で共有しておく。日々の小さな工夫が、お金との距離をぐっと健やかにしてくれます。
トレハロースの日
「トレハロースの日」は、糖質トレハロースの認知を高めるために毎年10月8日に定められた企業制定の記念日です。由来は“ト(10)・レ(0)・ハ(8)”の語呂。世界で初めてデンプンからの量産化技術を確立した企業が中心となって周知してきた背景があり、食品・医薬・化粧品など幅広い分野で使われる素材としての特性を社会に開いてきました。
いま注目したいポイントは「保水」と「劣化抑制」。砂糖の一種であるトレハロースは、水分を抱え込む性質から生地のしっとり感や作り置きの品質保持に役立ちます。色や香りの変化を緩やかにし、果物や野菜のカット後の鮮度維持に使われることもあります。医薬・化粧領域では安定化の助けとして応用が広がり、生活のさまざまな場面で“見えない裏方”として働いています。
今日の行動ヒントは三つ。まず、家の台所で「砂糖の一部をトレハロースに置き換える」簡単レシピを一つ試す。次に、スーパーやドラッグストアで成分表示を眺め、どんな製品に使われているか“観察”してみる。最後に、企業や公的機関の解説資料で“どの用途に科学的な根拠があるか”を確認し、過度な期待や誤用を避ける。正しい理解が、日々の小さな改善につながります。
足袋の日
「足袋の日」は、和装文化に欠かせない足袋の魅力を広く伝えるため、業界団体が1988年に定めた記念日。日付は、七五三・正月・成人式などで和装の機会が増える季節の前にあたる10月と、末広がりで縁起がよい「八」にちなみ、10月8日となりました。2010年代以降は記念日登録の動きも進み、各社・各産地がキャンペーンや展示を通じて周知を続けています。
いま見直したい意義は二つ。ひとつは「暮らしに根づく技術」としての足袋づくり。木綿の選定、縫製、こはぜの位置合わせなど、履き心地と所作を支える緻密な工程が積み重なっています。もうひとつは「装いと地域」をつなぐ役割。産地や老舗、新しいデザインの地下足袋まで、足元から和装の楽しみを広げてくれます。
今日の行動ヒントは、小さな“足もと投資”。まずは自分のサイズ(足長・足幅)を測り直し、普段履きの足袋ソックスや地下足袋スニーカーなど手に取りやすい一品から試す。次に、長襦袢や草履との相性を意識して“白以外”の一足をワードローブに迎える。最後に、産地・メーカーのオンライン解説を覗き、こはぜの止め方やお手入れを学ぶ――その一歩が、装いの自由度をぐっと広げます。
まとめ
10月8日は、「自然と共に生きる知恵」と「人の技術」が静かに重なる日です。
木を使うこと、骨や関節を守ること、地熱を活かすこと――どれも“見えない支え”を意識するきっかけになります。
身近な素材やエネルギー、身体の仕組みを大切にすることは、結果的に社会や環境を守ることにつながります。木材も、地熱も、入れ歯も、足袋も、誰かの工夫と技術の積み重ねで私たちの生活を形づくっています。
今日できる小さな行動――木の家具を見直す、姿勢を整える、再生可能エネルギーを知る、食事をよく噛む、足もとに気を配る――その積み重ねが、季節の変わり目をより豊かにしてくれるでしょう。