10月21日は「ひかり」と「実り」、そして「学び」を照らす日

10月21日は、私たちの暮らしを支える“あかり”の力を見つめ直す「あかりの日」。
そして、自然の恵みを祝うイギリス発の「アップルデー(Apple Day)」、さらに日本の教育の礎を築いてきた「早稲田大学の創立記念日」が重なる日でもあります。
ひかりは文明を育て、果実は土地を豊かにし、学びは未来を形づくる。
それぞれの記念日には違う背景がありながらも、“人がより良く生きるために欠かせないもの”という共通点でつながっています。
今日という日を通じて、暮らしを照らす灯りのありがたさ、自然の循環がもたらす実り、そして学びが生む可能性を、静かに見つめてみませんか。
あかりの日(日本)
10月21日は「あかりの日」。1879年10月21日に白熱電球の実用化が達成された出来事にちなみ、照明学会・日本照明工業会・日本電気協会の三団体が、照明の価値と省エネルギーを広く伝える日として定めています。私たちの暮らしを支える“見えないインフラ”としてのあかりに、年に一度しっかり意識を向けるきっかけです。
この記念日は、単に昔の発明をたたえるためだけのものではありません。安全・快適・健康・景観を支える照明環境づくりや、節電と防犯・安全のバランス、光害や生態系への配慮など、現代の課題も見据えています。LEDの普及で電力は抑えられるようになりましたが、「どこで・どれだけ・どんな光を使うか」という設計の質が、これまで以上に問われる時代になりました。
家庭でも職場でも、照明は気分や作業効率、睡眠の質にまで影響します。明るければよい、暗ければ省エネ、といった単純化ではなく、用途に合う明るさ・光色・配光を選び、必要な場所だけを適切な時間だけ照らすことが、心地よさと省エネの両立につながります。照明器具の寿命や清掃、点灯時間の見直しといった地道な手入れも、質の高い光を保つ大切な要素です。
アップルデー(Apple Day/英国発)
10月21日は、イギリスの環境文化団体が始めた「アップルデー」。リンゴと果樹園を通じて、土地の個性や地域のつながりを祝う日として広がりました。品種の多様性、受粉を支える生きもの、果樹を育ててきた人々の手仕事――秋の実りの背景にある物語に光を当てるのが、この日の狙いです。
リンゴは同じ品種名でも育つ土や気候で風味が変わり、地域ごとに受け継がれてきた“在来品種”も少なくありません。市場では流通量の多い品種に偏りがちですが、果樹園やコミュニティでは接ぎ木や苗の分け合いで多様性を守り、景観や観光、学校の食育ともつながっています。搾汁やジャムづくり、品種当てクイズなど、誰もが参加しやすい催しが各地で行われてきました。
この記念日は、収穫を祝うだけでなく、気候変動や病害、受粉者の減少といった課題に目を向ける契機でもあります。手入れの行き届いた果樹は、日陰や生きもののすみかを生み、地域の小さな緑の拠点にもなります。庭やベランダの鉢植えでも、花の季節には街の景色をやわらげ、秋には小さな収穫を分かち合う喜びが生まれます。
早稲田大学 創立記念日(日本)
10月21日は、早稲田大学の創立記念日。1882年(明治15年)に大隈重信が創設した「東京専門学校」がその始まりで、後に早稲田大学へと改称されました。この日は、教育と研究の自由、そして「学問の独立」を掲げて歩み続けてきた歴史を振り返る特別な日です。
大隈は「国家の繁栄は教育にあり」と語り、政治・経済・文学・理工など幅広い分野で次世代のリーダーを育てることを目指しました。早稲田は創立当初から男女や身分の区別を設けず、時代に先駆けて開かれた教育を実践。自由闊達な校風と社会貢献への精神は、今も学生や卒業生の心に息づいています。
現在もキャンパスでは、学生による記念講演、同窓会イベント、校史展示などが行われ、地域住民にも開かれた大学としての姿勢が受け継がれています。「早稲田スピリット」と呼ばれる挑戦と多様性の文化は、創立者の理念そのもの。10月21日は、教育が社会を変える力を思い出す日でもあります。
トラファルガー・デー(英国・海軍記念日)
10月21日は、1805年に起きたトラファルガー海戦を記憶する日です。イギリス海軍はこの日を「トラファルガー・デー」として、ポーツマスの帆走戦列艦HMSヴィクトリーや各地の基地で式典や追悼行事を行い、戦いで失われた命と、海上交通を守る任務の重みをあらためて胸に刻みます。ロンドンのトラファルガー広場やネルソン記念柱も、この時期は関連行事の舞台となります。
この海戦は、英国艦隊がフランス・スペイン連合艦隊に勝利し、19世紀の海上覇権と本土防衛に決定的な影響を与えた出来事として知られます。戦術や通信、指揮統制の工夫は後世に大きな示唆を残し、海軍だけでなく組織運用や危機管理の教材としても語り継がれてきました。現代においても、自由で安全な海の利用が貿易やエネルギー供給、災害支援を支えるという事実は変わりません。
毎年この頃、海軍や海事関係者の間では「トラファルガー・ナイト」と呼ばれる晩餐会や講演、海の安全に関する啓発活動が行われます。若い海員やシーカデットにとっては、伝統と技術、そして公共奉仕の精神を学ぶ機会にもなっています。
Reptile Awareness Day(爬虫類啓発デー/民間主導の啓発日)
10月21日は、爬虫類への理解と保全意識を高めるための「Reptile Awareness Day」として、動物保護団体や動物園・博物館、爬虫類学(ヘルペトロジー)関係者が呼びかける啓発日とされています。国連などが定めた正式な国際デーではありませんが、各国で展示や講演、オンライン配信を通じた普及活動が行われます。
爬虫類は、砂漠から熱帯雨林、都市の公園まで多様な環境で生きる生態系の重要な一員です。昆虫や小型哺乳類の個体数調整、種子散布や栄養循環など、目立たないところで自然のバランスを保っています。一方で、生息地の分断や外来捕食者、気候変動、違法な野生動物取引といった複合要因にさらされ、地域によっては急速に数を減らしている種もあります。
飼育や観察の人気が高まるにつれ、適切な飼育環境や終生飼養の責任、脱走・遺棄による外来化のリスク、感染症対策など、人と爬虫類の“良い距離感”が問われるようになりました。野外での観察では持ち帰らない・触れない・餌付けしないという基本を守り、写真や記録で楽しむスタイルが推奨されます。地域の保全活動や動物園・博物館の解説は、偏見を減らし、科学的な理解を広げる近道になります。
この日は、身近な自然の中で彼らが果たす役割に思いを寄せ、私たちの暮らしとの接点――都市の緑地の管理、ペットとの向き合い方、買い物の選択——を少しだけ見直すきっかけになります。派手さはなくても、静かに環境を支える存在にスポットライトを当てる一日です。