
今年のTGSは“無限の遊び場”へ——規模も体験も、ひとつ上のステージ。
9月25日〜28日、幕張メッセで開催される東京ゲームショウ2025は、テーマ「Unlimited, Neverending Playground」の名のとおり、イベントそのものを“遊び場”として再設計したアップデート版です。まず規模面では、出展772社・4,083ブース(国内473/海外299)と史上最大を更新。開催日程やテーマとあわせて、今年は「体験の幅」を広げる取り組みも目立ち、ファミリー向けのFamily Game Parkや、発信者のためのインフルエンサー入場制度など、来場者層の拡張が進みます。さらにソニー、スクウェア・エニックス、カプコン、セガ、コジマプロダクションなど大手の存在感も健在。今年の記事では「去年までと何が違うのか」を、規模・テーマ・来場者体験・出展傾向の4視点で整理して解説していきます。
出展規模の変化
まず押さえたいのは、ブース数が過去最多を大幅更新している点です。公式発表(7月8日時点)では、TGS2025は4,083ブースを確保。昨年TGS2024の3,252ブースから+831ブース(約25.5%増)という伸びで、物理的な展示面積の拡張=来場者が実際に“触れる・体験できる”場が広がっていることを意味します。東京ゲームショウ20254c281b16296b2ab02a4e0b2e3f75446d.cdnext.stream.ne.jp
一方で、出展者数は「現時点」集計で772社(国内473・海外299)。昨年の最終値(開催時点)である985社と比べると、7月時点の速報ゆえに見かけ上は少なく見えますが、出展社あたりのブース占有が増えた=“濃い展示”にシフトしている可能性が読み取れます。国・地域の広がりも46か国・地域と国際色は十分。数字の読み方としては「社数」ではなく「ブース数(=体験機会)」の拡大が、今年のTGSの特徴を端的に表しています。東京ゲームショウ2025expo.nikkeibp.co.jp
要するに、“横に広がる”より“密度を上げる”方向の拡張です。ブースが増えた分だけ、プレイアブル出展やステージイベント、試遊待機列の回転率改善など、体験面のメリットが期待できます。数字で見ると味気ないですが、来場者視点では「歩けば新作・振り向けば体験」の確度が上がる──これが2025年版のスケール感です。東京ゲームショウ2025
(出典:TGS公式の「Exhibitor List Released」およびTGS2024公式リリース/レポート。ブース数はTGS2025=4,083、TGS2024=3,252。社数はTGS2025速報=772社、TGS2024実績=985社。)
新テーマとメインビジュアル
今年の東京ゲームショウ2025が掲げたテーマは、「Unlimited, Neverending Playground(無限の遊び場)」。直訳すると“限りなく続く遊び場”ですが、その言葉には単なるスローガン以上の意図が込められています。
公式発表によれば、このテーマは「ゲームの可能性は無限であり、その世界は終わりなく広がり続ける」というメッセージを軸にしています。近年はAAA級タイトルだけでなく、インディーゲームやモバイル、VR/AR、クラウドゲーミングといった多様な分野が台頭し、ゲーム体験は物理的な場所や時間の制限を超えてきました。TGS2025は、そうした**“ジャンルも世代も国境も越える遊びの拡張”**を象徴する場として、自らを「無限の遊び場」と位置づけています。
メインビジュアルを担当したのは、日本のイラストレーター座敷童子(Zashiki Warashi)。彼女が描いたビジュアルは、SF的な都市景観の中で多様な人々とクリーチャーが交流する様子を、鮮やかな色彩と緻密なディテールで表現しています。公式コメントでは「ビジュアルは“遊びの交差点”をイメージし、未知との出会いやワクワク感を喚起する構図にした」とされ、テーマとの一体感が強調されています。見る者に「この会場で何が待っているのか」を想像させる、いわばTGS2025の入口そのものです。
参戦企業の変化

東京ゲームショウ2025では、例年常連の大手企業に加え、久々の復帰組や新規参戦企業が目を引きます。まず注目は、Xbox(Microsoft)の出展が正式発表されたこと。海外メーカーの存在感がやや薄かった年もありましたが、今年は新作発表やゲームパス関連タイトルの試遊など、国内ユーザーにも響く発表が期待されます。
ソニー(PlayStation)はもちろん、スクウェア・エニックス、カプコン、セガ、コジマプロダクションなど、日本を代表するパブリッシャーが揃って出展予定。特にスクウェア・エニックスは複数の大型RPGの続報、カプコンはシリーズ最新作の体験版出展が予想されるなど、来場者の試遊待ち列は今年も長くなりそうです。
さらに、インディーゲームゾーンの拡大も顕著です。Selected Indieの採択枠が広がり、海外インディーの比率も増加。VR/AR、クラウドゲーミングなど新しいプラットフォーム企業も目立ち、いわば“大企業と新興勢力の共演”という構図が鮮明になってきました。こうした顔ぶれの変化は、単なる商談の場を超え、「あらゆる規模・ジャンルのクリエイターが交わる場」としてのTGSを強調しています。
来場者体験の刷新
東京ゲームショウ2025では、来場者がより快適かつ多様な形で楽しめるように、制度や会場構成が大きくアップデートされています。まずチケット制度では、従来のスタンダード入場券(3,000円)に加えて、特典付きで早期入場できる「Fast Ticket」(6,000円)が今年も導入。開場直後の混雑を避け、人気タイトルをいち早く試遊したい人にとっては大きなメリットです。
さらに、インフルエンサー登録制度が新設され、8月5日から受付を開始。登録者は専用ラウンジや早期入場特典を利用できるため、現地からのライブ配信やSNS投稿がよりスムーズに行える環境が整えられています。これはTGSとしても、発信力のある来場者層を積極的に取り込む狙いがあると言えるでしょう。
また、ファミリー層やライトゲーマーに向けた**「Family Game Park」**などのコーナーも継続・拡充され、子ども向けの体験型イベントや学びの要素を盛り込んだ展示が予定されています。ゲームショウ=コアゲーマーの祭典という従来のイメージを超え、世代や目的に合わせた多層的な体験設計が進んでいるのが今年の特徴です。
インディーゲームの位置づけ拡大
東京ゲームショウ2025では、インディーゲームの存在感がこれまで以上に強まっています。注目は、毎年実施されている**「Selected Indie」の採択枠が拡大されたこと。これにより、国内外から選ばれたインディー開発者が、自分たちのゲームを無料で出展できる機会が広がりました。特に今年は海外インディーの比率が高く、全体で46か国・地域**から出展が集まるなど、国際色がさらに濃くなっています。
加えて、VR/ARやクラウドゲーミング、AI生成技術を活用した作品など、**“インディーだからこそできる実験的アプローチ”**も増加。大企業のブースとは違い、開発者本人と直接対話できる距離感が魅力で、来場者にとっては“発見”の連続になるエリアです。
インディーゾーンは近年のTGSで着実に拡大してきましたが、2025年はその動きが加速。テーマ「Unlimited, Neverending Playground」のもと、あらゆる規模・ジャンルのクリエイターが同じ土俵に立つ姿は、イベントの多様性と未来志向を象徴しています。
独立開発者向け支援の充実

今年のTGSは、“見つけてもらうための導線”を会場内外に増やしたのが大きな特徴です。まず、審査で選ばれた80本を**「SELECTED INDIE 80」として無料出展できる枠を用意。物理会場(9〜11ホール)に専用エリアを設け、選出作品はそのまま「SENSE OF WONDER NIGHT 2025(SOWN)」**の候補にもエントリーされる仕組みで、ピッチ登壇や話題化までの階段が一本化されました。東京ゲームショウ2025+1
SOWNは“世界の見え方が変わる瞬間”を起こすアイデアを発掘するTGS恒例のプレゼンテーションで、今年もオンサイト/オンライン両方で実施。インディーの実験性や独創性を評価軸に据える場が明確に用意されており、来場者だけでなく業界関係者・メディアの目に触れるチャンスが広がります。東京ゲームショウ2025CDNEXT
ビジネス面でも、TGS Business Matching Systemが4日間(会期中)稼働。ビジネスデー向けチケット購入者には招待メールが届き、会場内のBusiness Loungeでの商談予約やオンライン面談の設定が可能です。小規模チームでもパブリッシャーや投資家へ“指名アプローチ”できる導線として機能します。東京ゲームショウ2025+1
さらに、公式プログラム連動の「Steam特設会場」が今年も予定され、オンラインでも作品に触れてもらえる導線を提供。会場に来られないユーザーからの体験・ウィッシュリスト流入が期待でき、露出の面でオフライン依存からの脱却が進みます。東京ゲームショウ2025
このほか、Creator Lounge等の創作者向け導線や、公式・招待・一般の各種インフルエンサー施策も整備。発信者と作品が交差するハブが複数用意されることで、“見つけてもらう→話題化→商談”という一連の流れを小規模チームでも狙いやすくなっています。
来場者向けの回り方|Fast Ticket活用術と混雑回避のコツ
東京ゲームショウ2025を最大限楽しむには、時間の使い方がすべてといっても過言ではありません。その中でも注目したいのが、一般公開日に販売される「Fast Ticket」(6,000円)の活用です。これは通常のスタンダード入場券(3,000円)に比べて、開場時間よりも早く入場できる特典付き。特に新作試遊や限定グッズ販売を狙う人には、朝イチの空いている時間帯に目当てのブースへ直行できるメリットがあります。
1. 朝イチ直行ルートを決める
Fast Ticket利用者は、入場後すぐに人気ブースを目指すのが鉄則。ソニーやスクウェア・エニックス、カプコンなど、試遊整理券が午前中に配布終了する可能性が高いブースは最優先で回るべきです。
2. 午後は“穴場タイム”を狙う
午前中に混み合うブースでも、ステージイベント開催中や昼過ぎは比較的列が短くなる傾向があります。この時間帯は整理券なしでも試遊できる可能性があるため、朝一で入れなかった場所を再訪するのがおすすめです。
3. インディーゾーンでの“掘り出し”
インディーゲームエリアは午前中より午後の方が会話しやすく、開発者も落ち着いて対応してくれることが多いです。Fast Ticketで人気ブースを制覇した後は、インディーゾーンで未知のタイトルと出会う時間を確保しましょう。
4. グッズ・物販エリアの回り方
物販は初日午前が一番在庫豊富ですが、Fast Ticketで試遊を優先する場合は、午後の在庫状況を公式アプリやSNSで確認しつつ動くと効率的。会場を縦横無尽に移動するより、エリアごとに集中的に回るほうが体力の節約になります。
5. 休憩・飲食のタイミング
昼のピークを避けて11時台か14時以降に休憩すると、フードコーナーの混雑を回避できます。長時間歩くイベントなので、休憩ポイントも事前にチェックしておくと安心です。
Fast Ticketは単に“早く入れる”だけではなく、混雑の波をコントロールして自分の時間を最適化できるツールです。事前のルート決めと当日の柔軟な動き方が、TGS2025を何倍も楽しむカギになります。
東京ゲームショウ2025 チケット詳細まとめ(一般公開日)
1. 一般公開日程
- 2025年9月27日(土)・9月28日(日)
- 会場:幕張メッセ(千葉)
2. チケット種別と価格
種別 | 価格(税込) | 購入方法・条件 | 特典・備考 |
---|---|---|---|
スタンダードチケット | 3,000円/日 | 事前購入制 | 一般入場(優先なし) |
Fast Ticket | 6,000円/日 | 抽選販売(7/12〜7/21申込) | 優先入場+オリジナルグッズ(トートバッグ+ステッカー) |
小学生以下 | 無料 | 要保護者同伴 | Fast Ticket優先入場希望の場合は子ども分もFast Ticketが必要 |
3. Fast Ticket 詳細
- 優先入場時間:開場時間より前に専用レーンから入場可能
- オリジナルグッズ:トートバッグとステッカー(両日でデザインが異なる)
- 販売方法:事前抽選(ロッタリー方式)
- 申込期間:2025年7月12日(土)12:00〜7月21日(月)23:59
- 当選発表:7月24日(木)予定
- 支払期限:当選通知後に案内(期日内支払必須)
- 本人確認:当日、写真付きID(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード等)必須
4. チケット購入の注意点
- 当日券の販売予定なし(原則すべて事前購入)
- 1人につき購入可能枚数に制限あり(転売防止対策)
- チケットは日付指定制、購入後の変更・払い戻し不可
- 入場には**電子チケット(スマホ表示推奨)**を利用
5. その他の特典・関連制度
- インフルエンサー登録制度:登録者は早期入場や専用ラウンジの利用可能
- Family Game Park:小学生以下の子どもが遊べる専用エリア(保護者同伴必須)
- コスプレエリア利用:別途コスプレチケット・更衣室利用料が必要
まとめ

東京ゲームショウ2025は、単なる規模の拡大にとどまらず、テーマ性・参加企業・体験設計・クリエイター支援のすべてがアップデートされた回と言えます。テーマ「Unlimited, Neverending Playground」に象徴されるように、ゲームという遊びは国境や世代を越えて広がり続け、会場全体がその“無限の遊び場”として機能する設計になっています。
ブース数は史上最多となり、大手パブリッシャーからインディーまで、来場者が触れられるコンテンツの幅と密度が大きく向上。加えて、Fast Ticketやファミリーゾーン、インフルエンサー制度など、多様な来場者層に対応する仕組みが整備されました。
一方で、独立系開発者向けには「SELECTED INDIE 80」や「SENSE OF WONDER NIGHT」、ビジネスマッチング、オンライン展示といった発表から商談までの導線が強化され、会期中だけでなくその後のチャンスにもつながるサポートが充実。
今年のTGSは、“見に行く”から“参加する・交わる”へという体験の変化が感じられる内容になっており、9月25日からの4日間、幕張メッセは文字通り「無限に広がる遊び場」として、多くの発見と交流の場を提供してくれるはずです。