
冒頭見出し+リード文『ユグドラ・キングダム』とは?ロンドンから異世界セイレムへ飛ばされるアクションADV
2025年11月27日に発売された『ユグドラ・キングダム』は、Nintendo Switch/PS4向けの新作アクションアドベンチャー。ロンドンへの修学旅行中に迷子になった少年・長井永羽が、不思議な卵をきっかけに「王都セイレム」という異世界へ飛ばされてしまう──という導入から始まる、異世界転移もののタイトルです。
プレイヤーは、没落騎士の少女シェリーや、敵国からの留学生ルー、極東から来た剣士・八雲たちと出会いながら、鎧「クラリアス」をまとって戦うアクションパートと、王都セイレムを歩き回るADVパートを行き来して物語を進めていきます。物語進行は会話中心のオーソドックスなADV形式で進み、バトルでは最大6人の仲間から2人を選んで戦う構成になっているのが特徴です。
本記事では、発売直後時点で判明している公式情報と実際のプレイ感を踏まえつつ、「どんなゲームなのか」「どんな人に向いているか」「購入前に知っておきたいポイント」を、できるだけ主観と客観を分けながら“忖度なし”で整理していきます。
作品概要|『ユグドラ・キングダム』ってどんなゲーム?
『ユグドラ・キングダム』は、ゲームメーカー「PARALLEL CREATES」による完全新作のアクションアドベンチャー。ロンドンへの修学旅行中に迷子になった少年・長井永羽が、不思議な卵をきっかけに異世界「王都セイレム」へ飛ばされ、没落騎士の少女シェリーたちと出会いながら、鎧「クラリアス」をまとって戦う物語が描かれます。アドベンチャーパートで会話や探索を行い、要所でアクションバトルに突入する“ADVベース+アクション”構成が特徴です。
作品データ(基本情報リスト)
- タイトル:ユグドラ・キングダム(Yggdra Kingdom)
- メーカー:PARALLEL CREATES(パラレルクレイツ)
- ジャンル:アクションアドベンチャー(ADV+アクションバトルのハイブリッド)
- 対応機種:Nintendo Switch/PlayStation 4
- 発売日:2025年11月27日
- プレイ人数:1人(オフライン専用)
- CERO:D(17才以上対象)
- 価格目安:
- パッケージ通常版:税込 9,878円
- 完全生産限定版:税込 14,278円
- ダウンロード版:税込 9,460円
- 原画・キャラクターデザイン:鈴平ひろ
- シナリオ:新島夕/垂花/吉川信夫
- 主題歌:「faith~信じる力~」
- ボーカル・作詞:KOTOKO
- 作・編曲:高橋一矢
- 楽曲プロデュース:I’ve Sound
ユグドラ・キングダムの良かった点

1.ロンドン経由で異世界に飛ぶ導入と、王都セイレムの舞台設定がわかりやすく魅力的
主人公の長井永羽がロンドンへの修学旅行中に不思議な卵を見つけ、気づけば「王都セイレム」と呼ばれる異世界に迷い込んでいる、という導入はシンプルながらフックが強め。現実世界のロンドンの面影を残した街並みと、中世ファンタジー風の王国がミックスされた世界観が、最初からイメージしやすいです。
父を探す没落貴族の娘シェリーや、極東から来た剣士・八雲、王立ギルドの支配人ノイマンなど、立ち位置のはっきりしたキャラクターが多く、ストーリーの軸と人間関係がつかみやすいのも好印象。設定だけを聞いても、“どう絡んでくるのか”が気になるキャラが揃っています。
2.鈴平ひろ×KOTOKO×I’ve Soundの布陣による「ビジュアル&音楽」の強さ
原画・キャラクターデザインは鈴平ひろ、主題歌はKOTOKO、サウンドプロデュースはI’ve Soundという、ビジュアルノベル/ギャルゲー文脈ではかなり強い組み合わせ。
キャラクター立ち絵は、ヒロインのシェリーや八雲、ルーといった主要キャラはもちろん、刑事や学園長、騎士団長などの脇役まで含めてかなり描き分けられており、「誰がどんな役回りなのか」が一目で伝わるデザインになっています。
好きな人には「このスタッフ陣だけでチェックしたくなる」レベルの作品なので、ビジュアル面・音楽面を重視するプレイヤーには大きな訴求ポイントになりそうです。
3.ADVパートがオーソドックスで遊びやすく、日常パートもきちんと用意されている
物語はテキストADV形式で進行し、会話やイベントを読み進めるオーソドックスなスタイル。公式サイトでも「安心して楽しめるオーソドックスなADVシステム」と明言されており、奇抜さより“分かりやすさ”を優先した構成です。
通常の選択肢に加えて、声量や力加減を「大小」で指定する「ボリューム選択肢」や、街中で訪れる場所を選んでヒロインたちとの日常会話を楽しむ「WORLD SELECT」、自警団の依頼をこなす「QUEST」など、ADVパートの中にも細かい遊びが散りばめられています。
テキストを読みつつ、合間に日常イベントや依頼解決で気分転換できる構造になっているのは、長時間プレイするうえでの強みと言えそうです。
4.アクションバトルは「相殺」「弱点&ブレイク」など、ルールが整理されていて理解しやすい
戦闘は鎧(クラリアス)を纏って戦うアクションパートになっており、使えるキャラは最大6人、その中から2人を選んで交代しながら戦うシステム。
武器同士がぶつかると「相殺」が発生し、非力な敵の攻撃は弾き返せる、というルールが明示されていて、単純なゴリ押しではなく“押し返す気持ちよさ”を前面に出したバトル設計になっています。また、相殺を繰り返すことで敵に「魔痕」が蓄積し、弱点が露出したところを攻撃すると「ブレイク」で大ダメージ、という流れも公式がきちんと説明している要素です。
さらに、魔力ゲージを使う必殺技や魔法攻撃、キャラスキル・チームスキルによる成長要素も用意されており、「ルールが多すぎて意味不明」というよりは、筋道立てて理解しやすいアクションRPG寄りの構成になっています。
5.本編とは別に、やり込み用のアクションモード「千乱のキングダム」を収録
本編とは別枠で、オリジナルアクションモード「千乱のキングダム」が用意されているのもポイント。本編の舞台であるセイレムの街を舞台に、賊や自警団、騎士団などをとことん撃破しつつ頂上を目指していく、スコアアタック寄りのモードになっています。
多様な装備品や特殊効果付きの秘宝でキャラを強化していく要素もあり、本編とは違うビルド構築・ランダム性のあるやり込みが楽しめる設計です。秘宝の入手は運要素も絡むとされており、本編クリア後もアクション部分だけを周回して遊べる余地が用意されているのは、アクション好きには嬉しいところ。
ユグドラ・キングダムで気になった点・注意したいところ
1.価格帯とエディション構成はやや重め
『ユグドラ・キングダム』は、Switch/PS4ともに税抜8,600円のフルプライス帯ソフトで、店舗別には限定版・通販セットなど、さらに高価格のエディションも用意されています。
新規IPとしてはしっかりした価格なので、「ビジュアルノベル+アクションADV」というジャンルや、世界観・キャラクターが自分の好みに合うかどうかを、事前情報や公式PV・体験版などで確認してから購入を検討したいところです。
2.テキストADV色が強く、「アクションメインのゲーム」とは性格が違う
本作は公式に「ビジュアルノベル/アクションアドベンチャー」とされており、物語そのものは“安心して楽しめるオーソドックスなADVシステム”で進行すると説明されています。
ロンドンから異世界セイレムに迷い込む導入や、各キャラクターとの会話・イベントを読む時間が長い構成なので、
「テキストをじっくり読むのが好きな人向け」寄りのゲームです。
アクションシーンだけをガッツリ遊びたいタイプの人は、ジャンルの相性に注意した方が良さそうです。
3.システム要素が多く、ゲーム慣れしていない人には覚えることが多め
公式のSYSTEM紹介を見ると、
- 物語を進めるADVパート
- 声量や力加減を指定する「ボリューム選択肢」
- 街中を巡る「WORLD SELECT」
- 依頼をこなす「QUEST」
- アクションバトルの相殺・弱点露出(魔痕)・ブレイク
- 必殺技や魔法攻撃、スキル強化
など、テキスト・探索・戦闘それぞれに複数の仕組みが用意されています。
ゲームに慣れている人なら楽しめる“情報量の多さ”ですが、
普段あまりゲームをしない人にとっては、最初は少し戸惑いやすい構成とも言えます。
4.1本でじっくり遊ぶタイプなので、軽めの短編を求めている人とはズレる可能性
『ユグドラ・キングダム』は、
- ストーリー重視のADVパート
- アクションバトル
- 依頼をこなすQUEST
- 追加のやり込みモード「千乱のキングダム」
といった要素が一つのパッケージにまとめられています。
公式の説明からも、「本編ストーリーとは別にアクション部分に特化したモードも搭載しており、やり込み要素も高い作品」とされています。
そのため、
“週末だけでさっと終わる短編ADV”というよりは、
“1本でじっくり腰を据えて遊ぶ前提のタイトル”という印象に近いです。
仕事や学業が忙しく、短時間で遊べるゲームを求めている人は、プレイ時間の確保も含めて検討した方がよさそうです。
5.対応ハードは現状Switch/PS4のみ
現時点で公式に告知されている対応ハードは、Nintendo SwitchとPlayStation 4のみです。
PS5向けのネイティブ版やPC版(Steam等)については、公表されている情報はありません。
「PCで遊びたい」「PS5専用タイトル中心で買いたい」といったプレイスタイルの人は、自分の環境と合うかどうかを確認しておく必要があります。
ユグドラ・キングダムならではの魅力:二人一組クラリアスバトル+「千乱のキングダム」
ユグドラ・キングダムの一番“このゲームならでは”な部分は、
「竜鎧クラリアスをまとった二人一組のバトル」と、それをとことん味わえる専用モード「千乱のキングダム」がセットになっているところだと思います。
戦闘では、主人公とヒロインたち最大6人の中から2人を選び、メインとサブを切り替えながら戦うスタイル。武器同士がぶつかると「相殺」が発生し、非力な敵の攻撃は弾き返して主導権を握れる、という“押し返す気持ちよさ”が基本ルールとして組み込まれています。
相殺を続けていると敵に「魔痕」と呼ばれる疲労がたまっていき、一定量たまると弱点が炙り出されます。そこを狙って攻撃を当てると「ブレイク」が発生し、一気に大ダメージを叩き込める——という、読み合いとご褒美がセットになった流れが公式システムとして明示されています。
さらに、魔力ゲージを使って放つ必殺技や遠距離の魔法攻撃、レベルアップで強化されるキャラスキル、ヒロインとの親密度で解放されるチームスキルなど、バトルの中で“どう育てて、どう戦うか”を考える要素もしっかり用意されています。
本編とは別に用意されたオリジナルアクションモード「千乱のキングダム」では、王都セイレムにびっしり配置された賊・自警団・騎士団・ラインスタッド自警団たちを相手に、とことん撃破しながら頂上を目指すバトル専用の遊びが楽しめます。本編以上の性能まで鍛えられる装備品や、特殊効果を持つ秘宝で機体を強化していく要素もあり、どの秘宝を引けるかは運次第と公式でも説明されています。
「物語を読むADV」と「手触りのあるアクション」をきちんと両立させたうえで、
そのアクション部分だけを遊び込めるモードまで用意している——
ここがまさに、ユグドラ・キングダムならではの特徴と言えるポイントです。
忖度なしスコア(発売直後版)
『ユグドラキングダム』は、英雄たちのドラマ性と重厚な戦記ファンタジーを真正面から描いた作品であり、世界の広がり方・キャラ同士の衝突・戦場の緊張感といった“物語体験”がゲームプレイに直結しているのが特徴です。
ビジュアルの美しさや音楽演出に後押しされ、クライアス戦が佳境を迎える場面では手が止まるほどの没入感が生まれる一方で、育成や周回の設計はプレイヤーの忍耐力を試しにくる側面があり、楽しさとストレスのどちらにも振れ幅があります。
遊べば遊ぶほど光る部分がある反面、踏み込みどころによっては人によって評価が分かれる――そんな“尖った魅力と荒削りさが混在するゲーム”という印象です。
だからこそ、良し悪しを曖昧にしないために、本作を複数の観点から丁寧に採点し、ひとつの総評に落とし込みました。
| 評価項目 | スコア |
|---|---|
| ストーリー・世界観 | 7.8. / 10 |
| キャラクター&ビジュアル | 8.3 / 10 |
| 音楽・サウンド | 8.5 / 10 |
| アクションバトル(クラリアス戦闘) | 8.0 / 10 |
| システム・遊びやすさ | 6.5 / 10 |
| やり込み要素(千乱のキングダム含む) | 7.5 / 10 |
| コストパフォーマンス | 7.3 / 10 |
| 総合スコア | 7.2 / 10 |
ユグドラ・キングダムは、ビジュアル・音楽・世界観の完成度が高く、特にキャラと戦闘演出の魅せ方は突出しているタイトルでした。一方で、UIまわりの操作感やテンポの粗さは依然として改善の余地があり、好みが分かれやすい部分でもあります。
総じて「ハマる人には深く刺さるタイプの高品質RPG」であり、尖った魅力と粗さが同居した仕上がり。遊べば遊ぶほど強みが光る作品で、長期的に化ける可能性を感じさせる出来でした。
ロンドンへの修学旅行中に不思議な“卵”と出会った少年・長井永羽が、 王都セイレムと呼ばれる異世界で戦いに巻き込まれていくアクションアドベンチャー。 竜鎧「クラリアス」をまとい、王殺しの嫌疑をかけられた父の真相と、この世界の謎に迫っていきます。
価格・在庫・特典内容は変動します。購入の際は各ショップの最新情報をご確認ください。
✔ 総評

ユグドラ・キングダムは、遊べば遊ぶほど魅力が深くなる“没入型”のRPGだった。序盤こそシステムの把握に時間がかかり、UIの癖やテンポの引っかかりを感じる場面もあったものの、物語の進行とともに戦闘演出・BGM・キャラクターの魅力が一気に噴き上がり、世界に浸っていたい気持ちが自然と強くなる。特にキャラ同士の掛け合いや演出面のクオリティは頭ひとつ抜けており、“好きなキャラができた瞬間から一気にのめり込む”タイプのゲームといえる。
一方で、快適性や細かな調整面は、今後のアップデート次第で大きく伸びしろがある領域。だからこそ、現時点での完成度に加えて、今後の成長余地も含めて注目していきたいタイトルだ。遊べば遊ぶほど強みが際立つ構造なので、じっくり腰を据えてキャラ育成や世界観に浸りたいプレイヤーほど本作の魅力を堪能できるはず。
総合すると、派手さや話題性よりも“ゲームとしての芯の強さ”を持つRPG。粗さもあるが、その上に乗る魅力と熱量は確かなものがあり、長く付き合いたくなるタイプの作品だった。