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Z世代とミドル世代でこんなに違う?2025年の流行語を「実際に使っていた言葉」と「ニュースで見ただけの言葉」で徹底比較

2025年の流行語、Z世代とミドル世代でなぜこんなに違って見えるのか

2025年の流行語について話し合う男女のイラスト。テーブルに資料を広げながら、SNSやニュース、検索ワードを象徴するアイコンが背景に浮かぶ。世代間の言葉の使われ方の違いを象徴する構図。

2025年の新語・流行語大賞が発表されると同時に、「この言葉、本当に流行していた?」「少なくとも自分の周りでは聞かなかった」という声が、SNSやコメント欄にあふれました。よく見ると、その違和感の方向は世代によってまったく逆です。10〜20代のZ世代は「自分たちが毎日使っている言葉が入っていない」と感じ、30〜50代のミドル世代は「ニュースでよく見た社会系ワードこそ今年を象徴しているのでは」と考えがちです。

なぜ、同じ「2025年の流行語」を見ているのに、世代によってここまで印象が変わってしまうのでしょうか。一番大きな理由は、そもそも“流行語が生まれる場所”が世代ごとに違うことです。Z世代にとっての流行語は、TikTokやショート動画、配信の切り抜き、ゲーム・推し活の界隈から自然に立ち上がり、タイムラインや日常会話の中で「気づいたらみんな使っている」言葉になっていきます。一方、ミドル世代が「今年よく耳にした」と感じるのは、ニュース番組の見出しやワイドショー、情報番組の特集で何度も取り上げられた政治・経済・社会ワードであることが多く、スタート地点からしてズレています。

さらに、情報を受け取るメディアも異なります。Z世代はSNSや動画プラットフォームのタイムラインを中心に、その場その場で生まれるノリやミームを共有するのに対し、ミドル世代はテレビ・ニュースアプリ・ポータルサイトを通じて「世の中で今これが話題です」という形で流行語を知ることが少なくありません。その結果、Z世代にとっては「友達やSNSで本当に使っていた言葉」が流行語であり、ミドル世代にとっては「社会の動きを切り取ったニュースのキーワード」が流行語になります。

2025年の流行語をめぐるモヤモヤは、「どの言葉が選ばれたか」という個別の問題だけでなく、この“発生源の違い”と“情報経路の違い”が積み重なった結果として表面化したものだと言えます。ここから先は、Z世代が実際にどんな言葉を使っていたのか、ミドル世代はどんな言葉を「今年のキーワード」と感じていたのかを、それぞれ具体的に見比べていきます。

Z世代が“実際に使っていた”2025年の言葉

2025年に10〜20代のタイムラインを中心に広がった流行語は、ニュースやテレビで取り上げられる“話題ワード”とは大きく異なります。Z世代にとっての流行語は、社会現象ではなく 「毎日のコミュニケーションの中で自然に生まれ、自然に消えていくもの」。短期間で一気に広まり、一瞬で別の言葉に置き換えられるスピード感が特徴です。

SNSでのトレンド動向、ショート動画の急速な拡散力、そして学校・友達・配信界隈でのミーム文化が重なり、2025年のZ世代には “大賞とは全く違う世界線” の流行語が存在していました。

ここでは、Z世代が2025年に 実際に日常で使っていたことば をカテゴリ別に見ていきます。


SNS・ショート動画発のことば(Z世代の中心流行)

2025年のZ世代で最も強い影響力を持っていたのは、TikTok・ショート動画・配信切り抜きから急拡散した言葉です。ニュースやテレビが“話題として取り上げた流行語”とは異なり、こちらはあくまで Z世代同士の会話の中で自然に使われていた“生活密着ワード” です。

特徴は以下の3点です。

1. ミーム化して一気に浸透する

動画のワンシーンや口癖、テンション系の断片がそのまま言葉として一人歩きし、「気づいたらみんな言っている」現象が起きます。使う意味も厳密ではなく、ノリ・間・勢いで使われることが多いのがZ世代的。

2. 期間が極端に短い(流行の寿命=数週間〜数ヶ月)

Z世代の流行語は とにかく寿命が短い のが特徴で、春に流行った言葉が夏にはほとんど使われなくなることも珍しくありません。これはショート動画中心文化ならではの高速回転で、TikTokの音源やネタが更新されるたびに次の流行語へ移行していきます。

3. “日常会話ベース”で使われる

ニュースで流行る社会ワードとは違い、「友達との会話のノリ」「コメント欄での軽いやり取り」「通話/配信のテンポ」で自然に使われるため、外の世代にはほぼ届かない言葉も多く存在します。

Z世代は、これらの言葉を“流行語として認識していない”ことすらあります。
本人たちにとっては
「流行っている言葉」ではなく 「今のノリ」 だからです。

学校・友達間で使われたことば(“身内ノリ”で広がるZ世代ワード)

Z世代の流行語の中でも、特に広がりやすいのが “学校・友達同士・通話グループ” など、日常コミュニケーションの中で自然発生した言葉です。SNSで拡散するものとは異なり、明確な元ネタがない場合も多く、外部の世代には理解されにくい独自の文化圏を形成しています。

2025年に見られた特徴は次のとおりです。

1. 「空気感」を共有するための言葉

Z世代は、意味よりも“場の空気を軽くする”“その瞬間のノリを作る”用途で使うことが多く、言葉自体の説明が難しいこともしばしばあります。そのため、同級生グループ内では当たり前に使われていても、別の学校ではまったく通じないケースも普通です。

2. 学校行事・部活・クラス文化で生まれるミニ流行

体育祭のスローガンや、部活の掛け声、学年内で流行ったちょっとした言い回しなど、小さなきっかけから“その学校だけの流行語”が生まれます。これらはSNSでトレンド化することは少ないものの、Z世代の生活実感としては強く残る言葉です。

3. 「流行語大賞」とは完全に別軸

こうした“身内ノリの言葉”は、テレビやニュースには一切登場せず、もちろん流行語大賞にも反映されません。しかしZ世代本人にとっては、これこそが「今年よく使った言葉」であり、「社会が選ぶ流行語」とのズレが生まれる大きな要因となっています。


推し活・ゲーム・サブカル系のことば(Z世代独自のカルチャー圏)

2025年のZ世代において、推し活・VTuber・アニメ界隈・ゲームコミュニティ発の言葉は、圧倒的に存在感がありました。これらの言葉は、一般的なニュースでは取り上げられにくいため、ミドル世代にはほとんど届きませんが、Z世代の中では“日常語”として浸透しているケースが多いです。

1. 推し活・配信文化で生まれる言葉

配信者の口癖やファン同士の呼び方、特別なイベント時だけに使われる言い回しなど、推し活界隈は独自の言語文化が非常に発達しています。コミュニティごとに微妙なニュアンスが異なる言葉も多く、2025年は特に“VTuber界隈の言語”がZ世代の日常へと大きく影響を与えました。

2. ゲームの対戦用語・ネットスラング

ゲーム実況・eスポーツ・スマホゲームの盛り上がりにより、ゲーム由来の言葉もZ世代にとっては重要な“日常語”です。とくに2025年は、新作タイトルや対戦ゲーム界隈の流行から生まれた語彙が、ショート動画によって一般Z世代層へ広がるスピードが加速しました。

3. 一般社会には届かない“界隈限定ワード”

これらのコミュニティで使われる言葉は、外部の世代には認識すらされないことが多いため、「今年の流行語」として社会的に扱われることはほぼありません。しかし、Z世代にとっては「毎日使う」「友達と共有する」「推し活や趣味の文脈で自然に出てくる」非常に強い実感を持つ言葉であり、世代間で“流行語の前提”がずれる原因になっています。

ミドル世代が“話題として認識していた”2025年の言葉

Z世代が「日常で使っていた言葉」を中心に流行語を捉えていたのに対し、30〜50代のミドル世代にとっての流行語は、どちらかというと「ニュースや情報番組で何度も耳にしたフレーズ」「社会や経済の動きを象徴するキーワード」という側面が強くなります。

ここでは、ミドル世代が2025年に「話題として覚えている」タイプの言葉の特徴を整理してみます。


ニュース・政治・社会ワード(“世の中の空気”を切り取る言葉)

ミドル世代が「2025年を象徴している」と感じやすいのは、政治・経済・国際情勢・物価高など、ニュースのトップや特集で繰り返し取り上げられたキーワードです。

・選挙や政権交代をめぐるフレーズ
・物価高や家計負担に関することば
・国際情勢や安全保障に関連する用語
・災害・事故・社会問題を象徴する表現

こうした言葉は、日常会話で頻繁に使われるとは限りませんが、「2025年って、ああいうニュースが多かったよね」という“世相のラベル付け”として記憶されやすくなります。家族との会話、職場の雑談、ワイドショーのコメンテーターの発言などを通じて、「今年よく耳にした気がする言葉」として蓄積されていくイメージです。


メディア報道で浸透したワード(情報番組・ワイドショー・経済ニュース発)

ミドル世代は、Xよりもテレビの情報番組やニュースアプリの通知、ポータルサイトのトップ見出しなどから「今年の言葉」に触れることが多くなります。具体的には、次のような流れで広がっていきます。

  1. ニュースや特集で何度も繰り返し使われる
  2. 解説コーナーや特集VTRでテロップ化される
  3. 解説者やコメンテーターがキャッチコピーのように繰り返す
  4. それを視聴した人が「最近よく聞くあの言葉」として覚える

そのため、ミドル世代にとっての「流行語」は、必ずしも自分で積極的に使う言葉ではなく、「メディア側から届けられたラベル」「社会の状況をわかりやすく切り取った標語」として頭に残ることが多いのが特徴です。


バラエティ・芸能・スポーツからのフレーズ

もうひとつ、ミドル世代に届きやすいのがバラエティ番組・お笑い・ドラマ・スポーツ中継などから生まれたフレーズです。

・人気芸人のギャグや決め台詞
・ドラマの名台詞やキャラクターの口癖
・スポーツ選手や監督のコメントが象徴的なフレーズとして切り取られたもの

これらは、テレビやネットニュースを通じて広く共有されるため、「なんとなく知っている」「聞いたことはある」という形で世代をまたいで浸透します。ただし、実際に日常会話で使っている人はそれほど多くないこともあり、「知ってはいるが、自分ではほとんど言わない」という“観賞用の流行語”になりがちです。


こうしてみると、ミドル世代にとっての「2025年の流行語」は、

・“使っていた言葉”というより
・“よく見聞きしたキーワード”

として記憶されているケースが多いと言えます。

この「実際に口にしていた言葉」と「ニュースで見ていた言葉」の違いこそが、Z世代とのギャップの源になっていきます。


両世代の“ギャップ”が生まれた理由

ここまで見てきたように、Z世代とミドル世代は「2025年の流行語」をまったく違う視点から見ています。では、そのギャップは具体的にどこから生まれているのでしょうか。

流行のスピードが違いすぎる

Z世代の流行は、主にSNSとショート動画を通じて広がります。新しいネタや言い回しがタイムラインに現れたと思ったら、数日〜数週間で一気に拡散し、あっという間に“次のネタ”に置き換えられていきます。流行の寿命がきわめて短く、同じ年の中でも「春と夏ではまったく別の言葉が流行っている」という状態になりがちです。

一方、ミドル世代が流行語を認識するタイミングは、ニュース特集やワイドショー、年末のまとめ番組など、「ある程度メディア側が整理したあと」であることが多くなります。つまり、Z世代がすでに使わなくなっている頃に、ミドル世代は初めてその言葉を知る、という時間差が起きやすいのです。

情報経路が違う(テレビとSNSの“別世界”化)

Z世代にとっての情報の入り口は、X・TikTok・YouTube・配信プラットフォームなどのSNS/動画サービスです。そこでは、友達やフォローしているインフルエンサーが使っている言葉が、そのまま“自分たちの流行語”になっていきます。

ミドル世代は、テレビニュースや情報番組、ニュースアプリの通知、ポータルサイトのトップ記事などから「今こういう言葉が話題です」と知ることが多くなります。ここでは、社会問題や政治・経済、芸能ニュースなどをわかりやすく整理したラベルが優先されるため、「日常で使いやすいかどうか」よりも「説明に便利かどうか」が重視されがちです。

結果として、
・Z世代:タイムラインと日常会話から生まれる言葉
・ミドル世代:ニュースと解説から届けられる言葉
という、まったく違う流通経路が出来上がっています。

「話題性」と「生活実感」の重みづけが違う

もうひとつ大きいのが、「流行語に何を求めているか」の違いです。

Z世代は、「自分や友達が実際に使っていたかどうか」を重視します。たとえ社会的に大きなニュースだったとしても、自分たちの会話にその言葉が登場しなければ、「流行した」という実感はほとんどありません。

ミドル世代は、「世の中の空気をよく表しているか」「2025年という年を象徴する言葉かどうか」を重視しがちです。実際に日常で多用していなくても、「ニュースや番組でよく見た」「あの年はこういう出来事が多かった」という意味で、“流行語としてふさわしい”と感じることがあります。

この「話題性」と「生活実感」の重みづけの違いが、同じ言葉に対する評価を分岐させ、「自分の周りでは流行っていないのに」というモヤモヤにつながっていきます。

“代表語”を選ぶ仕組みとのズレ

さらに、「新語・流行語大賞」のような賞は、どうしても “2025年という一年を一言で切り取る” 役割を求められます。ニュース性が高く、社会的インパクトがあり、説明しやすい言葉が優先されやすいのは、そのためです。

しかし、Z世代の日常は、多数の小さなミームや界隈ごとの言葉で構成されています。ひとつの言葉で一年を代表すること自体が難しく、「あのノリもあったし、この言葉もあった」という感覚のほうが強いのです。

つまり、
・賞の側:一年を象徴する“代表語”を選びたい
・Z世代:多数の“小さな流行”の積み重ねで暮らしている

この構造的なズレが、「2025年の流行語が本当に流行っていたのか?」という議論を毎年のように生み出しているとも言えます。


2025年の“本当に流行った言葉”とは?

ここまで見てきたように、Z世代とミドル世代では、「流行語」の捉え方や重視するポイントが大きく異なります。それでもなお、「2025年に本当に流行った言葉は何だったのか?」という問いは、多くの人が気になっているテーマです。

ここでは、あえて世代をまたいで共通していた要素に注目しながら、“本当に流行った言葉”を考えてみます。

生活実感が強かった言葉

ひとつの目安になるのが、「ニュースで聞いたことがある」ではなく、「実際に自分や周りの人が口にしていた」「SNSで何度も見かけた」という“生活実感”の強さです。

・物価や働き方の変化を語るときに、自然と口から出ていた言葉
・学校・職場・家庭で、ぼやきや冗談として使われていた言葉
・SNSでネタとして消費されるだけでなく、日常会話にも入り込んでいた言葉

こうした言葉は、世代ごとに中身が違っても、「確かに2025年を象徴していた」という共通認識になりやすい傾向があります。

SNS上での使用頻度と“話題の熱量”

もうひとつ重要なのが、SNSでの使用頻度と“熱量”です。単に投稿数が多いだけでなく、

・短期間に集中して爆発的に広がった言葉
・ハッシュタグ化して企画やイベントに使われた言葉
・ユーザー自身がアレンジして二次創作・ミーム化した言葉

などは、“その年ならではの空気”をよく映し出します。とくに2025年のように、トレンドの移り変わりが極端に早い年は、こうした“瞬間風速の強さ”も、流行語を考えるうえで無視できない指標になっていきます。

今後も残る言葉・静かに消えていく言葉

最後に、「2025年だけの流行で終わる言葉」と、「今後も残っていきそうな言葉」を分けて考えてみる視点も大切です。

・その年のニュースや事件に強く結びついた言葉は、翌年以降はあまり使われなくなることが多い
・一方、日常の価値観やライフスタイル、働き方を表す言葉は、数年単位で定着する可能性がある

2025年の流行語の中にも、
「来年にはもう使われていないだろうな」というものと、
「形を変えながら、しばらく残っていきそうだ」というものが、混ざり合って存在しています。

“本当に流行った言葉”を考えるとき、
単にその年のランキングを見るのではなく、

・どれだけ生活実感があったか
・どれだけSNSでの熱量が高かったか
・翌年以降も残りそうか

といった複数の軸から眺めてみると、2025年という年の輪郭が、より立体的に見えてきます。


まとめ|2025年の流行語は、世代ごとにまったく違う世界線にあった

2025年の流行語をめぐる議論は、「本当に流行っていたのか?」という疑問から始まりました。しかし、丁寧に分解していくと、そもそもZ世代とミドル世代では、

・流行語が生まれる場所
・情報を受け取るメディア
・流行語に求めている役割

がまったく違うことが見えてきます。

Z世代にとっての流行語は、
友達やSNS・推し活の中で自然に生まれ、
短期間で移り変わる“小さな波”の連続です。

ミドル世代にとっての流行語は、
ニュースや番組が切り取った“世相の見出し”であり、
一年を振り返るときのわかりやすいラベルです。

つまり、「2025年の流行語」と一言でまとめても、
世代によって見えている景色は、ほとんど別世界と言っていいほど違います。

これからの時代、「流行語大賞」やランキングを見るときには、
「自分の世界線ではどうだったか?」
「他の世代からはどう見えていたか?」
という二つの視点をセットで持ってみると、2025年の言葉たちが、より深く味わえるようになるはずです。


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