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インフルエンザが9月に異例の急拡大 なぜこんなに早い?全国5.54人の現状を整理

インフルエンザが9月に急拡大|なぜこんなに早い?全国5.54人・東京9.53人の現状

2026年9月に急拡大するインフルエンザと学校・手洗い・マスクなどの感染対策を表したアイキャッチ画像

※この記事は2026年9月23日時点で公表されている情報をもとにしています。全国の最新データは、厚生労働省が9月18日に公表した第37週(9月7日~13日)です。

まだ9月なのに、インフルエンザの流行が急速に広がっています。

全国の定点当たり報告数は、第34週の1.11人から、第35週1.76人、第36週3.29人、第37週には5.54人まで上昇しました。第37週に定点医療機関から報告された患者数は20,697人です。

しかも2026年の流行入りは、国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、感染症法が施行された1999年以来、2009年に次いで2番目に早いものでした。

「今年は本当に異例なのか」という疑問には、少なくとも流行が始まった時期については、異例に早いと言ってよい状況です。

一方で、「なぜ今年だけこんなに早いのか」については話が別です。長雨や台風、学校再開、海外からの流入など複数の説が出ていますが、厚生労働省やJIHSが単一の原因を特定したわけではありません。

現在どこまで増えているのか、例年と何が違うのか、ワクチンはどう考えればよいのかまで整理します。

2026年9月、インフルエンザはどこまで増えている?

厚生労働省が公表した2026年第37週(9月7日~13日)の全国のインフルエンザ患者報告数は20,697人、定点当たり報告数は5.54人でした。

直近4週間だけを見ても、増加のペースが分かります。

週期間全国の定点当たり報告数
第34週8月17日~23日1.11
第35週8月24日~30日1.76
第36週8月31日~9月6日3.29
第37週9月7日~13日5.54

8月後半に1人台だった数字が、3週間ほどで5人台まで上がっています。

つまり、9月になって突然話題になったわけではなく、8月後半から複数週にわたって増加が続いていることが確認できます。

「定点当たり5.54人」は全国の感染者数ではない

ここで「5.54人」という数字の意味を確認しておきます。

これは、日本人の5.54人に1人が感染したという意味ではありません。

現在のインフルエンザ発生状況は、全国約3,000カ所の急性呼吸器感染症(ARI)定点医療機関から報告された患者数をもとに把握しています。小児科定点が約2,000カ所、内科定点が約1,000カ所です。

第37週の「5.54人」は、こうした定点医療機関1カ所当たりに1週間で報告された患者数の平均です。

20,697人という数字についても、全国で実際にインフルエンザに感染した人の総数ではありません。定点医療機関から報告された患者数です。

「20,697人=全国の感染者全員」「5.54=国民の感染率」ではありません。流行の増減を見るためのサーベイランス指標として読む必要があります。

2026年は本当に異例?1999年以来2番目に早い流行入り

2026年の特徴は、単に9月の患者報告数が多いことだけではありません。

JIHSによると、全国の定点当たり報告数は第34週に1.11となり、全国的な「流行入り」とされる1.00を超えました。

これは感染症法が施行された1999年以来、2009年に次いで2番目に早い流行入りです。

つまり「異例の早さ」という表現には、公的機関による具体的な根拠があります。

近年のシーズンを振り返ると、流行のピークや始まり方は年によってかなり違います。

シーズン主な動き
2022/232023年第6週に12.91でピーク
2023/242023年第49週に33.72でピーク
2024/252024年第52週に64.39でピーク
2025/26第39週に1.00を超え、その後二つの大きな山を形成
2026年第34週に1.11。1999年以来2番目に早い流行入り

前年の2025年は第39週に1.00を超えていました。2026年はそれより約5週早く、8月の段階ですでに1.00を超えたことになります。

前年の0.72と比べて「感染者7.7倍」とは言えない

第37週の全国5.54人に対し、前年同期は0.72人でした。

数字だけを割ると約7.7倍ですが、「全国の感染者が前年の7.7倍になった」と表現するのは正確ではありません。

理由は、インフルエンザのサーベイランス制度が途中で変更されているためです。

2025年第15週から急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスが始まり、インフルエンザの報告元は従来の全国約5,000カ所から、現在の全国約3,000カ所のARI定点医療機関へ変更されました。

JIHSも、過去シーズンとの比較については「データの解釈に一定の注意を要する」としています。

したがって記事を読むうえでは、

  • 第37週の5.54は前年同期0.72を大きく上回っている
  • 2026年第34週から第37週にかけて増加が続いている
  • 流行入りの時期は1999年以来2番目に早い
  • ただし制度変更をまたいで「実感染者が何倍」と単純計算はできない

という4点を分けて考える必要があります。

全国ではどこが多い?沖縄16.61、関東でも9人前後

第37週の全国平均は5.54人ですが、地域ごとの差はかなりあります。

都道府県定点当たり報告数
沖縄県16.61
茨城県9.85
東京都9.53
神奈川県9.45
新潟県9.44
埼玉県9.10
千葉県8.63
山口県8.03
富山県7.67
愛知県6.58
全国5.54
北海道2.96

最も高い沖縄だけの問題ではありません。

茨城、東京、神奈川、新潟、埼玉などでも9人台となっており、関東を含む複数地域で報告数が増えています。

一方で、全国平均を大きく下回る県もあります。

ただし、全国平均より低いからといって「その地域では流行していない」とまでは言えません。地域の最新状況を見る場合は、各都道府県や保健所が公表する感染症情報を確認するのが確実です。

東京では前年より1カ月以上早く注意報

東京都では第37週の定点当たり報告数が9.53人となり、都としてインフルエンザ注意報が出ています。

前年に注意報基準を超えたのは2025年第43週、10月20日~26日でした。2026年はそれより1カ月以上早いことになります。

ただし、「東京都全域が警報状態」という意味ではありません。

第37週では、都内31保健所のうち14保健所が注意報レベルで、その管内人口は東京都人口の47.87%。警報レベルに達している保健所はありません。

東京都では、保健所ごとの定点当たり患者報告数が10人を超えると注意報開始、30人を超えると警報開始の目安になります。加えて、注意報・警報レベルの保健所管内人口が都人口の30%を超える場合などに、都として広域的な注意報・警報を出します。

そのため、今回の「東京都で注意報」という表現は、都内すべての地域で同じ流行状況になっているという意味ではありません。

学校では学級閉鎖などが急増

9月の流行で特に目立つのが、学校への影響です。

厚生労働省の第37週資料では、インフルエンザ様疾患による休校・学年閉鎖・学級閉鎖が全国で669施設報告されました。

区分第37週
休校11
学年閉鎖130
学級閉鎖528
合計669

施設別では小学校が491施設と多く、中学校95、高等学校48などとなっています。

東京都でも、8月31日から9月13日までに学校や社会福祉施設などのインフルエンザ様疾患の集団感染事例が225件報告されました。学校等の臨時休業は107施設で、前年同時期の13施設を大きく上回っています。

学校での拡大が目立っていることは確かですが、ここから「2026年の患者はほとんど子ども」とまでは言えません。

JIHSの入院サーベイランスを見ると、10歳未満だけでなく70歳以上の入院患者も多く、特に高齢者では重症化への注意が必要です。

なぜ今年はこんなに早い?単一の原因はまだ分かっていない

ここが今回のニュースで最も誤解されやすい部分です。

2026年のインフルエンザがなぜこれほど早く流行したのかについて、厚生労働省やJIHSは単一の原因を特定していません。

確認されているのは「流行が早く始まり、複数週にわたって増加している」という事実です。

背景として考えられる要素はいくつかありますが、それぞれ根拠の強さは異なります。

内容現時点での位置づけ
8月後半から患者報告数が増加公的データで確認済み
学校再開や連休による人の接触機会増加東京都など公的機関も拡大要因として注意を呼びかけている
海外の一部地域でもインフルエンザ活動が上昇確認済みだが、日本流行の原因と証明されたわけではない
長雨・室内滞在・換気不足医師が可能性を指摘しているが、今回の原因としては未確定
台風・気圧変化今回の全国流行の原因とする公的な確定情報なし
海外旅行者による持ち込み今回の流行原因と証明する情報なし

学校再開や人の移動はどう関係する?

東京都は8月の段階から、夏休み終了に伴って学校で人と接触する機会が増えることに注意を呼びかけていました。

9月17日の注意報発表でも、大型連休に伴って人の移動や接触機会が増えることから、さらなる流行拡大の可能性があるとしています。

インフルエンザは人から人へ広がる感染症なので、接触機会が増える時期に感染が拡大しやすくなること自体は不自然ではありません。

ただし、学校再開だけで2026年の異例の早さを説明できると公的機関が結論付けたわけではありません。

「長雨が原因」は本当?

9月23日のテレビ朝日の報道では、東京都内の医師が、長雨によって室内で過ごす時間が増えたことや換気不足、寒暖差、気圧変化などを背景として挙げています。

現場で患者を診ている医師による一つの見方として参考になりますが、「2026年の全国的な早期流行は長雨が原因」と確定したわけではありません。

台風についても同様です。

「雨が多かったからインフルエンザが流行した」「気圧変化で免疫力が落ちたから増えた」といった単純な因果関係は、今回確認した厚生労働省やJIHSの資料には示されていません。

海外から持ち込まれた?

JIHSは、北半球の一部の国・地域でインフルエンザ陽性率が上昇していることや、シンガポールで症例数・陽性率が上昇していることを紹介しています。

世界に目を向けても、インフルエンザが日本だけで動いているわけではありません。

ただし、海外で流行していることと、日本の今回の早期流行が海外からの持ち込みによって起きたと証明されていることは別です。

「訪日客が増えたから」「海外旅行者が持ち込んだから」と原因を一本化する根拠は現時点ではありません。

今年は何型?夏以降はAH1pdm09の検出が目立つ

インフルエンザには複数の型・亜型があります。

今回に近い時期の病原体サーベイランスを見ると、2026年9月2日時点の直近5週間、第31~35週に検出された37例のうち、AH1pdm09が36例、AH3亜型が1例でした。

夏以降の直近検体ではAH1pdm09が目立っています。

ただし、ここにも注意点があります。

37例という病原体検出データを、そのまま全国の全患者へ当てはめて「患者の97%がAH1pdm09」と表現することはできません。

また、2025/26シーズン全体では、9月2日時点の9,862例のうち、AH3亜型5,635例、B型3,955例、AH1pdm09が272例でした。

つまり、シーズン全体で多かった型と、夏以降の直近検出で目立つ型は同じではありません。

AH1pdm09と、いわゆる「A香港型」に当たるAH3亜型も別のものです。

型だけを見て「今年は必ず高熱になる」「この型だから重症になる」と症状を決めつけることもできません。

これからさらに増える可能性はある?

9月13日時点の5.54人が、今季のピークだったと考える根拠はありません。

日本では例年、インフルエンザは12月から3月ごろに流行することが多く、2026年はそのかなり前から増え始めています。

東京都も、連休などによる人の移動・接触機会の増加を踏まえ、さらに流行が拡大する可能性があるとして注意を呼びかけています。

一方、今後何週間でピークを迎えるのか、ピーク時にどこまで増えるのかについて、公的機関による確定的な予測は出ていません。

「さらに増える可能性はある。ただし、ピークの時期や規模までは分からない」というのが現時点での答えです。

ワクチンはもう受けた方がいい?

これほど早く流行すると、「例年は秋に打っているけれど、今年はどうすればいいのか」と気になるところです。

結論から言えば、記事側から「全員が今すぐ接種すべき」と一律に判断することはできません。

ただし、2026年は流行開始が非常に早いため、自分の自治体や医療機関で2026/27シーズンの接種開始時期を今の段階から確認しておく意味は大きいでしょう。

厚生労働省は通常、例年12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとしていますが、実際の接種開始日は自治体や医療機関によって異なります。

2026/27シーズンのワクチンは3価

2026/27シーズンのインフルエンザHAワクチンには、次の3株が選ばれています。

種類製造株
A/H1N1A/スイス/6849/2025
A/H3N2A/ミシガン/105/2025
B型B/東京/EIS13-175/2025(ビクトリア系統)

現在国内で広く使われる不活化インフルエンザワクチンは、A型2株とB型1株を含む3価ワクチンです。

供給量は約5,190万回分を予定

厚生労働省によると、2026/27シーズンの季節性インフルエンザワクチンは、約5,190万回分の供給が見込まれています。

9月第5週、厚労省資料上では10月2日時点で約3,147万回分、10月第4週には約5,190万回分が出荷可能となる見込みです。

厚労省は「比較的早期にワクチンが供給されるスケジュール」としています。

ただし、これは全国全体の供給見込みです。「9月23日の時点ですでにどこの病院でも接種できる」という意味ではありません。

定期接種の対象は?

インフルエンザの定期接種は、65歳以上の人と、60~64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能障害や、HIVによる免疫機能障害について一定の条件に当てはまる人が対象です。

それ以外の人も任意接種として受けることができますが、費用や開始時期は自治体、勤務先、医療機関などによって異なります。

子どもは何回?経鼻ワクチンは?

注射で接種する不活化ワクチンは、国内では13歳未満は原則2回接種です。6カ月以上3歳未満は1回0.25mL、3歳以上13歳未満は1回0.5mLとされています。

鼻へ噴霧する弱毒生インフルエンザワクチンは、2歳以上19歳未満が対象で、通常1回です。

年齢だけでなく、基礎疾患や健康状態によって接種の可否や適する製剤が変わることがあるため、実際の接種については医療機関へ確認してください。

打った直後から効くわけではない

厚生労働省のQ&Aでは、季節性インフルエンザワクチンの予防効果が期待できるのは、接種後おおむね2週間から5カ月程度とされています。

また、ワクチンには感染を完全に防ぐ効果があるわけではありません。発病を一定程度抑えたり、重症化を防いだりすることが主な目的です。

今年のように流行開始が早い年は、「冬になってから考えよう」ではなく、自治体やかかりつけ医の接種スケジュールを早めに確認するのが現実的です。

今から家庭・学校・職場でできること

特別な方法を探すよりも、公的機関が繰り返し案内している基本的な対策を続けることが中心になります。

厚生労働省や東京都は、手洗い、換気、咳エチケット、十分な休養や水分補給、人混みでの感染対策などを呼びかけています。

咳やくしゃみがあるときは、不織布マスクを着用するなど、周囲へ飛沫を広げない配慮も大切です。

一方、「この食品を食べれば感染しない」「特定のサプリで予防できる」といった方法を、今回の流行対策として公的機関が推奨しているわけではありません。

発熱や強い倦怠感などがある状態で、無理をして学校や職場へ行くことも感染拡大につながります。

発熱したら?インフルと新型コロナは症状だけでは見分けにくい

インフルエンザでは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などが比較的急速に現れ、のどの痛み、鼻水、咳などを伴うことがあります。

ただし、症状だけを見て新型コロナウイルス感染症や一般的な風邪と確実に区別することはできません。

「高熱だからインフル」「熱が低いからインフルではない」と自己判断するのも避けた方がよいでしょう。

厚生労働省は、高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいといった場合には、早めに医療機関を受診するよう案内しています。

高齢者、乳幼児、妊娠中の人、基礎疾患がある人など、重症化リスクが気になる場合も、症状が出た際には早めにかかりつけ医などへ相談してください。

学校はいつまで休む?

学校保健安全法施行規則では、インフルエンザについて「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」が出席停止期間とされています。

幼児の場合は、解熱した後3日を経過するまでです。

本人の体調だけでなく、周囲へ感染を広げないためにも、決められた期間は無理に登校・登園させないことが重要です。

9月の急拡大で一番重要なのは「早いこと」と「原因は未確定」を分けること

2026年のインフルエンザについて、「今年は異例なのか」という点にはかなり明確な答えがあります。

全国の定点当たり報告数は第34週の1.11から第37週の5.54まで増加し、流行入りの時期は1999年以来2番目の早さでした。

東京都では前年より1カ月以上早く注意報基準を超え、学校でも学級閉鎖などの報告が急増しています。

一方で、「なぜ今年は早いのか」については、まだ一つの原因で説明できる状況ではありません。

長雨や室内滞在時間の増加を指摘する医師はいますが、長雨や台風が全国的な早期流行の原因だと公的機関が確認したわけではありません。海外でもインフルエンザ活動が上昇している地域はありますが、「海外からの持ち込みが原因」と証明されたわけでもありません。

早い流行は事実。しかし、その原因までは断定できない。

この二つを分けて考える必要があります。

例年なら「インフルエンザは冬」という感覚で過ごしていた人も、2026年はすでに9月の時点で流行が広がっています。手洗い、換気、咳エチケットなどを改めて意識し、ワクチンを検討している場合は自治体や医療機関の接種開始時期を早めに確認しておくとよいでしょう。

※本記事は公的機関が公表している一般向け情報を整理したもので、個別の診断・治療・予防接種の判断を行うものではありません。症状や接種について不安がある場合は医療機関へ相談してください。

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