- SFTSとは?症状・感染経路・マダニに刺された時の対処【2026年最新】
- SFTSとは?マダニが主に媒介するウイルス感染症
- 2026年は全国で何人?第36週まで138例
- SFTSは西日本だけではない?北海道・関東・東北でも報告
- 普通の「家のダニ」でSFTSになるわけではない
- マダニに刺されたら必ずSFTSになる?
- SFTSはどうやって感染する?人やペットからの感染例もある
- 猫や犬から人へSFTSがうつることはある?
- 人から人へも感染する?国内初の事例は2024年に報告
- SFTSの潜伏期間と症状は?
- 致死率27%は「マダニに刺された人の27%が死亡」ではない
- マダニに刺されたらどうする?無理に引き抜かない
- SFTSには現在治療薬がある 「対症療法しかない」は古い情報
- SFTSのワクチンはある?
- 庭仕事・草むしり・キャンプでも注意 マダニ対策は?
- 犬の散歩後はペットのマダニもチェック
- マダニに刺されて起こる病気はSFTSだけではない
- SFTSについてよくある疑問
- まとめ|SFTSを必要以上に怖がらず、マダニ対策と正しい対応を
- 主な参考情報
SFTSとは?症状・感染経路・マダニに刺された時の対処【2026年最新】

マダニが媒介する感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」の患者が、2026年も全国で報告されています。
これまでSFTSは西日本を中心に発生する感染症として知られてきましたが、近年は関東や北海道を推定感染地域とする症例も確認されました。2026年9月には宮城県でも、県内で感染したと推定される初の患者が確認されています。
さらに、SFTSを発症した犬や猫から人へ感染したと考えられる事例や、患者の血液・体液への曝露を介したヒト―ヒト感染も報告されています。
ただし、ここで最初に押さえておきたいのは、SFTSの主な感染経路は今も「SFTSウイルスを保有するマダニに刺されること」だという点です。
人やペットからの感染例はありますが、新型コロナやインフルエンザのように、普通に一緒に生活しているだけで次々と広がる感染症として理解するのは正確ではありません。
この記事では、2026年9月24日時点で確認できる厚生労働省、国立健康危機管理研究機構(JIHS)、自治体などの公的情報をもとに、SFTSの症状や感染経路、最新の患者数、北海道・関東での状況、マダニに刺されたときの対応、現在の治療法まで整理します。
SFTSとは?マダニが主に媒介するウイルス感染症
SFTSは、「重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)」の略称です。
SFTSウイルスによって起こる感染症で、ウイルスは現在、フェニュイウイルス科バンダウイルス属に分類されています。一般向けには「SFTSウイルス(SFTSV)」という名称で覚えておけば十分でしょう。
日本では2013年1月に初めて患者が報告され、その後の調査では、それより前の2005年までさかのぼって患者が存在していたことも確認されています。
2013年3月4日からは感染症法上の四類感染症・全数把握対象疾患となっており、診断した医師には届出が求められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) |
| 原因 | SFTSウイルス |
| 主な感染経路 | ウイルスを保有するマダニの刺咬 |
| その他の感染経路 | 発症した動物や患者の血液・体液などへの曝露による感染例あり |
| 潜伏期間 | マダニ刺咬ではおおむね6~14日 |
| 主な症状 | 発熱、全身倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など |
| 治療 | 支持療法に加え、抗ウイルス薬ファビピラビルが承認済み |
| ワクチン | 承認されたヒト用ワクチンはない |
2026年は全国で何人?第36週まで138例
2026年9月24日午前の確認時点で、全国の最新集計は2026年第36週(8月31日~9月6日)までの累計138例です。
第37週の全国速報はこの時点ではまだ公表されていません。北海道感染症情報センターなど一部自治体では第37週まで更新されていますが、全国値については第36週の138例が最新となります。
なお、SFTSの数字を見るときは「届出年」「診断年」「発病年」の違いに注意が必要です。
たとえば2025年は、資料によって「191例」と「192例」が見つかります。191例は2025年第52週までの届出ベースの速報値、192例は後にJIHSが整理した発病年ベースの数字です。
どちらかが単純に間違っているわけではなく、集計方法と更新時点が異なります。
2013年以降の患者数はどう推移している?
年ごとの推移を見る場合は、集計基準をそろえる必要があります。下表はJIHSが2026年7月31日時点でまとめた発病年ベースの数字です。
| 発病年 | 症例数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2013年 | 40 | ― |
| 2014年 | 61 | ― |
| 2015年 | 60 | ― |
| 2016年 | 60 | ― |
| 2017年 | 90 | ― |
| 2018年 | 77 | ― |
| 2019年 | 102 | ― |
| 2020年 | 75 | ― |
| 2021年 | 111 | ― |
| 2022年 | 116 | ― |
| 2023年 | 134 | ― |
| 2024年 | 121 | ― |
| 2025年 | 192 | 発病年ベース |
| 2026年 | 115 | 7月31日時点の発病年ベース。年間値ではない |
2026年の「115例」と、先ほどの「138例」は矛盾していません。115例は7月31日時点で整理された発病年ベース、138例は第36週までの2026年累積届出速報で、集計時点と基準が違います。
2026年は「過去最多ペース」なのか
2026年春から初夏にかけては前年同期を上回っていたため、「過去最多ペース」と伝えられる時期がありました。
しかし、9月時点では状況が変わっています。
| 年 | 第36週までの全国届出数 |
|---|---|
| 2025年 | 152例 |
| 2026年 | 138例 |
同じ第36週までで比較すると、2026年は前年より14例少なくなっています。
したがって、2026年9月24日時点の記事で「現在も過去最多ペース」とするのは適切ではありません。
もちろん2026年はまだ途中です。最終的な年間患者数がどうなるかは、この時点では分かりません。
SFTSは西日本だけではない?北海道・関東・東北でも報告
SFTSは長い間、西日本を中心に患者が確認されてきました。
実際、累積患者数は現在も中国・四国・九州など西日本に大きく偏っています。ただ、近年はそれまで推定感染地域として扱われていなかった地域からも報告が出るようになりました。
JIHSは、現在のSFTSについて「全国的に感染リスクがある」と評価しています。
これは「日本全国で同じ確率で感染する」「全国でSFTSが流行している」という意味ではありません。地域差は依然として大きくあります。
関東では2025年に神奈川県内での感染が初確認
神奈川県では2025年7月、県内を推定感染地域とするSFTS患者が初めて確認されました。
JIHSはこれを、感染症発生動向調査において関東地方を推定感染地域とする初の届出として整理しています。
一方で、過去の不明熱患者を後から調べた研究では、2017年に千葉県で感染した可能性のある症例も見つかっています。そのため「2025年まで関東ではSFTS感染が一度もなかった」とまでは言えません。
さらに2026年には神奈川県内を推定感染地域とする追加症例が確認されるなど、東日本でも継続的に注意が必要な状況になっています。
北海道では2025年に道内感染と推定される初症例
北海道では2025年8月、札幌市から北海道内を推定感染地域とする初のSFTS症例が報告されました。
単に「北海道に住む患者が見つかった」という話ではなく、北海道内で感染したと推定された点が重要です。
ただし、北海道感染症情報センターの集計では2026年第37週までの北海道内の届出は0例です。
したがって「北海道でSFTSが流行している」とするのは正確ではありません。
なお北海道では、SFTSとは別にライム病やダニ媒介脳炎などのダニ媒介感染症も存在します。野外活動時のマダニ対策そのものは、SFTS患者数だけで判断しない方がよいでしょう。
2026年9月には宮城県で県内感染と推定される初患者
宮城県は2026年9月7日、県内初となるSFTS患者を発表しました。
患者は90代男性で、8月29日に発症し、9月5日に検査で陽性が確定。宮城県は石巻保健所管内で感染したと推定しています。
西日本だけを意識していればよい感染症ではなくなりつつあることを示す事例のひとつです。
普通の「家のダニ」でSFTSになるわけではない
「ダニの感染症」と聞いて、布団やカーペットにいるダニを思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし、SFTSを媒介するマダニと、家庭内にいるヒョウヒダニや食品などに発生するコナダニは別のものです。
厚生労働省によると、マダニの成虫は吸血前でおよそ3~8mm、吸血すると10~20mm程度になる比較的大型のダニです。
主に森林や草地に生息しますが、山奥だけとは限りません。郊外や市街地周辺の草地、畑、庭などにも生息します。
「家にダニがいるからSFTSになる」という理解は誤りです。
SFTS予防で重要なのは、屋外に生息するマダニに刺されないようにすることです。
マダニに刺されたら必ずSFTSになる?
マダニに刺されたからといって、必ずSFTSになるわけではありません。
すべてのマダニがSFTSウイルスを持っているわけではなく、国内調査でSFTSウイルスの遺伝子が確認される割合は、地域や季節によって異なるものの0~数%程度とされています。
ただし、この「0~数%」を「マダニに刺された人がSFTSになる確率」と読み替えることはできません。
ウイルスを持つマダニに刺された場合に、どの程度の割合で感染・発症するのかについて、一般の人が使える確立した数字は示されていません。
そのため、「1回刺されたら○%でSFTSになる」といった数字を独自に計算することはできません。
SFTSはどうやって感染する?人やペットからの感染例もある
SFTSの感染経路はひとつだけではありません。
ただし、すべてを同列に考えるのではなく、主な経路はマダニから人への感染だという順序を押さえておくことが大切です。
| 感染経路 | 現在分かっていること |
|---|---|
| マダニ → 人 | SFTSの主な感染経路。ウイルスを保有するマダニの刺咬で感染する |
| 犬・猫など → 人 | SFTSを発症した動物の血液・唾液などへの接触や咬傷を介した感染例が報告されている |
| 人 → 人 | 患者の血液・体液などへの曝露を介した事例が国内外で報告されている |
| 普通の日常接触 | 一般生活での感染リスクは低いとJIHSが評価。日常的に空気感染で広がる感染症として扱われてはいない |
猫や犬から人へSFTSがうつることはある?
あります。
国内では、SFTSを発症した犬や猫から人へ感染したと考えられる事例が報告されています。
具体的には、発症した猫にかまれて感染した事例や、動物の診療・看護中に血液や唾液などへ接触した獣医療従事者の感染例があります。
JIHSの2026年7月31日時点の集計では、動物の診療やケアなどによって感染したと推定される獣医療従事者は12例確認されており、そのうち1例は死亡例として届け出られています。
2026年9月12日には、鳥取市でも飼い猫のSFTS症例が確認されました。
一方で、ここから「猫や犬を触るだけで危険」と考える必要はありません。
厚生労働省によると、これまでSFTSを発症していない犬や猫、屋内だけで飼育されている犬や猫から人へ感染した事例は報告されていません。
注意が必要なのは、特に体調を崩している動物との濃厚な接触です。
発熱、元気消失、食欲低下、嘔吐などがみられる犬猫を扱うときは、血液や唾液などの体液に素手で触れたり、かまれたり、なめられたりしないよう注意し、早めに動物病院へ相談します。
なお厚生労働省は、SFTSを発症した動物について、猫では約6割、犬では約4割が死亡するとしています。
これは「SFTSウイルスに感染した猫の6割が死亡する」という意味ではありません。動物でも感染して症状を示さないケースがあるため、数字の対象を混同しないよう注意が必要です。
人から人へも感染する?国内初の事例は2024年に報告
SFTSのヒト―ヒト感染は中国や韓国などで以前から報告されていました。
日本でも2024年3月、国内初となるヒト―ヒト感染事例がIASR(病原微生物検出情報)で報告されています。
感染したのは、SFTSの重症患者を診療していた20代の医師でした。
患者はその後死亡し、医師は死亡後の処置にも関わっています。研究報告では、患者の血液などが結膜に曝露した可能性や、防護具を外す過程などで体液に曝露した可能性が検討されています。
ただし、「血液が目に入ったことが感染原因」と完全に特定されたわけではありません。
重要なのは、これまで報告されているヒト―ヒト感染の多くが、重症患者の血液や体液への濃厚な曝露と関係している点です。
家族がSFTSになったら普通に生活しているだけでうつる?
JIHSは、野外活動などでマダニに接触する可能性がある人と比べて、一般生活におけるSFTSの感染リスクは低いと評価しています。
現在の公的情報から、SFTSを新型コロナのように「同じ部屋にいるだけで空気感染して広がる病気」と考える根拠はありません。
一方で、患者の血液、尿、便、呼吸器分泌物などには注意が必要です。医療現場では標準予防策に加え、接触・飛沫感染予防策が推奨されています。
家族に患者が出た場合に、一般向けに一律の「家庭内完全隔離」が求められているわけではありませんが、血液・体液への直接接触を避け、実際の対応は医療機関や保健所の指示に従う必要があります。
SFTSの潜伏期間と症状は?
マダニに刺されて感染した場合、潜伏期間は6~14日程度とされています。JIHSでは通常7~10日前後と説明しています。
主な初期症状は次のようなものです。
- 発熱
- 全身倦怠感
- 食欲不振
- 吐き気・嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 頭痛
- 筋肉痛
検査では血小板減少、白血球減少、AST・ALT・LDH・CKなどの上昇が確認されることがあります。
重症化すると、意識障害、けいれん、出血症状、呼吸不全、多臓器不全などに至ることがあります。
ただし、これらはSFTSだけに見られる症状ではありません。初期には急性胃腸炎やインフルエンザなどと区別しにくいケースもあります。
症状だけを見て自分でSFTSかどうか判断することはできません。
また、マダニに刺された本人が刺咬に気付いていなかったり、医療機関でも刺し口を確認できなかったりするケースがあります。「刺された痕がないからSFTSではない」とも言い切れません。
致死率27%は「マダニに刺された人の27%が死亡」ではない
SFTSを調べると、「致死率10~30%」「国内27%」などの数字が出てきます。
日本について厚生労働省は、JIHSの研究に基づきSFTS患者の致命率を27%と説明しています。
ここで非常に重要なのが、この27%の対象です。
27%は「マダニに刺された人の27%が死亡する」という数字ではありません。
SFTSと診断・報告された患者を対象にした疫学調査上の致命率です。マダニに刺された人全体や、症状のない感染者まで含めた割合ではありません。
また、感染症発生動向調査に掲載される「死亡例」は基本的に届出時点までに死亡していた患者です。届出後に死亡したケースが反映されないことがあるため、届出表の死亡数を単純に患者数で割って「SFTSの致死率」とすることもできません。
数字だけを切り取って「刺されたら3割死亡」などと表現するのは不正確です。
高齢者に多いが、若い人が感染しないわけではない
国内のSFTS患者は高齢者に大きく偏っており、厚生労働省によると約90%が60歳以上です。
亡くなった患者の多くも50歳以上で、高齢は重症化リスクのひとつと考えられています。
一方、国内では5歳から90歳代まで患者が確認されています。
「若い人なら感染しない」「若ければ重症化しない」と考えるべき病気ではありません。
マダニに刺されたらどうする?無理に引き抜かない
皮膚に食い込んで吸血しているマダニを見つけた場合、厚生労働省は自分で無理に引き抜かず、皮膚科などの医療機関で処置してもらうよう案内しています。
マダニは長時間にわたって皮膚へ口器を差し込んで吸血します。無理に引っ張ると、口器の一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させて病原体が入りやすくなったりするおそれがあります。
| 状況 | すべきこと | 避けたいこと |
|---|---|---|
| マダニが皮膚に食い込んでいる | 皮膚科などの医療機関で除去してもらう | 指や器具で無理に引き抜く |
| 刺された後 | 数週間程度、体調の変化に注意する | 「取れたから問題ない」と体調変化を無視する |
| 発熱などの症状が出た | 速やかに医療機関を受診し、マダニ刺咬や野外活動歴を伝える | 症状だけで自己診断する |
| すでにマダニが取れている | 刺された後の体調を観察し、異変があれば受診する | 民間療法だけで感染の有無を判断する |
ワセリン、アルコール、火などを使った自己流の除去方法について、今回確認した国の最新一般向け情報では推奨されていません。
特に吸血中でしっかり食い込んでいる場合は、無理に取らないことが基本です。
刺されたらすぐSFTS検査を受ける?
マダニに刺された人全員について、症状がない段階ですぐSFTS検査を行うという一般向けの公的案内は確認できません。
厚生労働省の案内では、刺された後は数週間程度体調の変化に注意し、発熱などの症状が現れたら速やかに医療機関を受診することが基本です。
受診時には「マダニに刺された可能性がある」「山や草むらに入った」「農作業や庭仕事をした」といった情報を医師に伝えます。
宮城県も2026年9月の注意喚起で、森林や草地へ出かけた日付や場所など、発症前の行動を医師へ伝えるよう呼びかけています。
なお、潜伏期間が6~14日だからといって「15日目から絶対に安全」と線を引くことはできません。厚生労働省が一般向けに示している健康観察の目安は「数週間程度」です。
SFTSには現在治療薬がある 「対症療法しかない」は古い情報
SFTSについて検索すると、現在も「有効な治療薬はない」「対症療法しかない」と説明する古い情報が見つかります。
しかし、この点は2024年に大きく変わりました。
抗ウイルス薬ファビピラビル(商品名:アビガン)は、2024年6月24日にSFTSウイルス感染症への効能追加が承認されています。
そのため、2026年時点で「SFTSには承認された治療薬がない」とする説明は正確ではありません。
ただし、アビガンが誰でも簡単に処方されるようになったわけでもありません。
PMDAの電子添文では、SFTSに対しては重症感染症の診療体制が整った医療機関で、十分な知識を持つ医師のもと、入院管理下で使用することが定められています。
また、動物実験で初期胚の致死や催奇形性が確認されていることから、妊婦または妊娠している可能性のある女性には使用できないなど、重要な制限があります。
ファビピラビルが承認された後も、輸液、呼吸・循環管理、合併症への対応などの支持療法は重要です。
「治療薬ができた=SFTSが軽い感染症になった」という意味ではありません。
SFTSのワクチンはある?
2026年9月時点で、日本で承認されたヒト用SFTSワクチンはありません。
そのため予防の中心は、SFTSウイルスを保有するマダニに刺されないようにすることです。
庭仕事・草むしり・キャンプでも注意 マダニ対策は?
マダニ対策というと登山や深い山林を想像しがちですが、注意する場面はそれだけではありません。
森林や藪、草地のほか、畑、農地、庭、郊外の草むらなどでもマダニと接触する可能性があります。
草むしり、農作業、キャンプ、登山、山菜採り、犬の散歩など、草木に触れる機会があるときは対策を意識した方がよいでしょう。
| 場面 | 対策 |
|---|---|
| 服装 | 長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を減らす |
| 足元 | サンダルを避け、ズボンの裾を靴下や長靴の中へ入れる |
| 頭・首・手 | 帽子、手袋、首に巻くタオルなどを活用する |
| 衣服の色 | 付着したマダニを見つけやすい明るい色を選ぶ |
| 虫よけ | ディートやイカリジンを含むマダニに対応した製品を補助的に使用する |
| 帰宅後 | 早めに入浴し、全身にマダニが付いていないか確認する |
虫よけ剤だけで100%防げるわけではありません。肌の露出を減らす服装と組み合わせることが大切です。
帰宅後はどこをチェックする?
厚生労働省が特に確認する場所として挙げているのは、首、耳、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏などです。
自分では見えにくい場所もあるため、屋外活動後は入浴する際などに全身を確認します。
犬の散歩後はペットのマダニもチェック
犬や猫自身のSFTS予防だけでなく、人への感染リスクを減らす意味でも、ペットのマダニ対策は重要です。
散歩や屋外活動の後は、被毛や皮膚にマダニが付いていないか確認します。目の細かい櫛を使う方法も厚生労働省が紹介しています。
マダニが皮膚にしっかり食い込んでいる場合、人の場合と同様に無理に取らず、動物病院で除去してもらうのが基本です。
マダニの駆除・予防薬については、かかりつけの獣医師に相談します。人間用の虫よけ剤や薬を、自己判断で犬や猫へ使用するのは避けてください。
また、ペットに発熱、食欲低下、元気消失、嘔吐などの体調不良がある場合は早めに動物病院へ相談し、血液や唾液などへ素手で触れたり、かまれたり、なめられたりしないよう注意します。
マダニに刺されて起こる病気はSFTSだけではない
マダニが媒介する感染症はSFTSだけではありません。
日本では、日本紅斑熱、ライム病、ダニ媒介脳炎なども知られています。
特に北海道ではライム病やダニ媒介脳炎の患者も報告されています。
そのため、マダニに刺された後に発熱などの症状が出たからといって、症状だけで「SFTSだ」と決めつけることはできません。
逆に、SFTS以外の可能性もあるため、マダニ刺咬後に体調を崩した場合は、その情報を医療機関へ伝えることが大切です。
SFTSについてよくある疑問
マダニに刺されたら必ずSFTSになりますか?
なりません。すべてのマダニがSFTSウイルスを保有しているわけではありません。ただし、1回の刺咬でどの程度の確率で発症するかを示す確立した一般向けの数字はありません。
家の布団やカーペットのダニから感染しますか?
SFTSを媒介するマダニと、家庭内にいるヒョウヒダニやコナダニは別の種類です。「家にダニがいる=SFTSになる」という意味ではありません。
東京や関東でも感染する可能性はありますか?
あります。2025年には神奈川県内を推定感染地域とする症例が初めて確認され、2026年にも追加例が報告されています。ただし、届出地が東京都だから東京都内で感染した、というように居住地・診断地と感染地域を同じものとして考えることはできません。
北海道でも感染しますか?
2025年に北海道内を推定感染地域とする初の症例が報告されています。ただし、2026年第37週まで北海道内の届出は0例で、「北海道でSFTSが流行している」という状況ではありません。
犬や猫を抱いただけで感染しますか?
健康な犬猫との通常の接触だけで簡単に感染するとする根拠はありません。厚生労働省によると、発症していない犬猫や屋内だけで飼育されている犬猫から人へ感染した事例は報告されていません。注意が必要なのは、特にSFTSを発症している動物の血液・唾液などへの接触や咬傷です。
人から人へ空気感染しますか?
SFTSのヒト―ヒト感染例はありますが、主に患者の血液や体液への曝露が関係しています。普通の日常生活の中で空気感染により次々と広がる感染症として扱われてはいません。
マダニに刺されたら何科へ行けばいい?
吸血中のマダニが皮膚に食い込んでいる場合、厚生労働省は皮膚科などで除去してもらうよう案内しています。発熱など全身症状が出た場合は、受診先でマダニ刺咬や野外活動歴を必ず伝えてください。
刺された痕を見ればSFTSか分かりますか?
分かりません。マダニに刺されたこと自体に気付かない患者もおり、刺し口が確認できないケースもあります。刺された痕の見た目だけでSFTSの有無を判断することはできません。
治療薬はありますか?アビガンが使われる?
ファビピラビル(アビガン)は2024年6月にSFTSへの使用が承認されています。ただし、専門的な医療体制のある医療機関で入院管理下に使用する薬であり、誰でも希望すれば処方される薬ではありません。
ワクチンはありますか?
2026年9月現在、日本で承認されたヒト用SFTSワクチンはありません。現状ではマダニに刺されないための対策が予防の中心です。
まとめ|SFTSを必要以上に怖がらず、マダニ対策と正しい対応を
SFTSは重症化し死亡することもある感染症で、2026年も全国で患者が報告されています。これまで西日本が中心でしたが、近年は関東、北海道、東北にも推定感染地域が広がっています。
一方で、「全国で感染爆発している」「マダニに刺されたら高確率で死亡する」「猫を触るとうつる」「人から人へ簡単に広がる」といった理解も正確ではありません。
主な感染経路は、SFTSウイルスを保有するマダニに刺されることです。
発症した犬猫や患者の血液・体液を介した感染例もありますが、通常の日常生活における感染リスクは低いと評価されています。
野外では肌の露出を減らし、虫よけを補助的に使い、帰宅後にはマダニが付いていないか確認する。吸血中のマダニを見つけても無理に引き抜かず、皮膚科などで処置してもらう。刺された後は数週間程度体調を確認し、発熱や強い倦怠感、消化器症状などが出た場合は速やかに受診する。
この基本を知っておくだけでも、SFTSへの対応は大きく変わります。
また、古い情報では「治療薬はない」とされていましたが、現在はファビピラビルがSFTSに対して承認されています。情報が更新されている感染症だからこそ、患者数や治療については古い記事だけで判断せず、厚生労働省やJIHSなどの最新情報を確認することが重要です。
主な参考情報
厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」
厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」
国立健康危機管理研究機構(JIHS)「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」
JIHS「感染症発生動向調査で届け出られたSFTS症の動向」
JIHS「国内外におけるSFTSの発生状況」
JIHS・IASR「本邦で初めて確認されたSFTSのヒト―ヒト感染症例」
PMDA「アビガン錠200mg」医薬品情報
※本記事はSFTSについて一般向けに公的情報を整理したもので、個別の診断や治療を行うものではありません。マダニに刺された後に体調の変化がある場合や、SFTSが疑われる動物・患者の体液へ接触した後に症状が出た場合は、医療機関へ相談してください。情報は2026年9月24日時点で確認した内容です。