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QRコードの3つの四角は何のため?一部が欠けても読める「白黒の迷路」の正体

目次
  1. QRコードの3つの四角は何?なぜ3つ・逆さでも読める・欠けても読める仕組み
  2. QRコードの3つの四角は「位置検出パターン」
  3. では、なぜ大きな四角は4つではなく3つなのか
  4. QRコード1枚を分解すると、役割の違う模様だらけ
  5. QRコードにはVersion 1から40まである
  6. 逆さでも横向きでも読めるのはなぜ?
  7. 白黒のマスは「URLをそのまま0と1にしたもの」ではない
  8. 同じURLなら、同じQRコードになる?
  9. 一部が欠けても読めるのは「誤り訂正」があるから
  10. 「QRコードは30%欠けても読める」は、そのままだと間違いやすい
  11. 中央にロゴを置いたQRコードは、なぜ読めることがある?
  12. QRコードはスマートフォンのために生まれたものではない
  13. 「1:1:3:1:1」を見つけるため、印刷物を調べ続けた
  14. 開発チームは「2人」だった?「5人」だった?
  15. 日本で生まれたQRコードは、どうして世界中へ広がった?
  16. 自動車の現場から、電車の改札まで
  17. QRコードでよくある勘違いを整理
  18. まとめ|次にQRコードを見たら、3つの四角から見てみよう
  19. 主な確認資料

QRコードの3つの四角は何?なぜ3つ・逆さでも読める・欠けても読める仕組み

3つの位置検出パターンを青く強調したQRコードのイラスト

コンビニのレジ、飲食店のメニュー、電車の乗車券、キャッシュレス決済。今では、QRコードを一度も見ない日の方が珍しいかもしれません。

ところが、あの白黒の模様を少しじっくり眺めると、妙なことに気づきます。

大きな四角が、なぜか4隅ではなく3隅にしかありません。

しかもQRコードは、上下逆さにしても横向きにしても読み取れます。少しくらい汚れたり欠けたりしていても読み取れることがあり、企業のQRコードでは中央にロゴが載っていることさえあります。

適当に白黒のマスを並べているように見えて、実際にはかなり計算された構造です。

先に答えると
3つの大きな四角は、QRコードの位置や向きを見つけるための「位置検出パターン」です。内部にはさらに、歪みを補正する小さな四角、マス目の位置を測る模様、データ、誤り訂正用の情報などが組み込まれています。

この記事では、普段何気なく使っているQRコードを1枚ずつ分解するように、その正体を追っていきます。

QRコードの3つの四角は「位置検出パターン」

まず、最も目立つ3つの大きな四角から見てみましょう。

これはQRコードを読み取る機器が、「ここにQRコードがある」と見つけるための目印です。一般に「位置検出パターン」「ファインダパターン」などと呼ばれ、デンソーウェーブの開発史では「切り出しシンボル」という表現も使われています。

QRコードをスマートフォンで読み取るとき、カメラは最初から白黒のマスを一つずつURLとして読んでいるわけではありません。

まず画像の中から特徴的な位置検出パターンを探し、QRコードが存在する場所や向きなどを把握します。その基準が定まってから、細かなマス目の位置を割り出し、内部の情報を復号していきます。

つまり、あの大きな四角はピント合わせのマークでも、URLそのものが保存されている場所でもありません。

四角の中には「1:1:3:1:1」という仕掛けがある

位置検出パターンをよく見ると、単なる黒い四角ではありません。

中心を横または縦に通るように見ると、黒・白・黒・白・黒の幅が「1:1:3:1:1」という特徴的な比率になります。

この数字は偶然決まったものではありません。

デンソーウェーブが公開しているQRコード開発史によると、開発チームはチラシ、雑誌、段ボールなどに印刷された絵や文字を白黒のパターンとして調べ、周囲の印刷物と誤認しにくい比率を探しました。

そして見つけ出したのが「1:1:3:1:1」でした。

この特徴的な並びを探すことで、文字や写真などが周囲にある状況でも、読み取り機がQRコードの位置を素早く見つけやすくなります。

普段はただの「三重の四角」にしか見えませんが、実はQRコードだと見つけてもらうために選ばれた形なのです。

では、なぜ大きな四角は4つではなく3つなのか

ここが一番気になるところでしょう。

普通に考えれば、正方形の4隅すべてに目印を置いた方が分かりやすそうです。それなのにQRコードでは、左上・右上・左下の3か所に大きな位置検出パターンがあり、右下には同じものがありません。

理由を理解するポイントは、3つの位置関係だけでQRコードの枠と向きを判断するための十分な手掛かりになることです。

3つの位置検出パターンの中心は、QRコード上でL字型に並びます。読み取り側はこの3点の位置関係などを基準に、コードの位置・大きさ・回転方向を割り出せます。

QRコードを90度回せば、このL字の向きも90度変わります。180度回せば反対側へ移ります。

つまり、3つの大きな四角の「どこに3つ並んでいるか」そのものが方向を知る手掛かりになります。

3つで必要な位置関係を得られるため、通常のQRコードでは4隅すべてに同じ位置検出パターンを置く必要がありません。

注意したい点
「4つ目をなくしてデータ容量を増やすことが最大の目的だった」「4つ置くとQRコードは読めなくなる」といった説明まで、開発理由として単純化するのは避けた方が正確です。確認できるのは、通常のQRコードが3つの位置検出パターンを使って位置や向きを認識する構造になっていることです。

QRコード1枚を分解すると、役割の違う模様だらけ

3つの大きな四角が分かると、今度はその周囲にある細かな模様が気になってきます。

QRコードは「データが入った白黒のマス」だけでできているわけではありません。読み取りを助けるための機能パターンが各所に組み込まれています。

部分主な役割見た目
位置検出パターンQRコードの位置・向きなどを認識する基準3隅にある大きな四角
アライメントパターン歪んだ画像でもマス目の位置を補正しやすくする内部にある小さな同心四角
タイミングパターンマス目の位置や間隔を求める基準黒白が交互に続く線
フォーマット情報誤り訂正レベルやマスクパターンを伝える位置検出パターン付近の決められた領域
データ・誤り訂正領域文字列などの情報と復元用情報を記録残りの多数の白黒マス
クワイエットゾーン周囲の文字や図柄とQRコードを切り分けるQRコード周囲の空白

内部にある小さな四角は何?

大きめのQRコードを見ると、3隅の大きな四角とは別に、内部へ小さな四角が置かれていることがあります。

これはアライメントパターン(位置合せパターン)です。

役割は3つの大きな位置検出パターンとは異なります。

QRコードが斜めから撮影されたり、曲面へ印刷されたりすると、本来は正方形のマス目が画像上では歪んで見えます。アライメントパターンは、そうした歪みがあるときにマス目の位置を補正するための基準として利用されます。

現在一般的に使われるQR Code Model 2は、こうしたアライメントパターンを利用することで、歪みのある状況での読み取り性能を高めています。

なお、最も小さいVersion 1にはアライメントパターンがなく、Version 2以上で配置されます。QRコードが大きくなるほど、必要に応じて配置される数も増えていきます。

黒白が交互に続く線にも意味がある

3つの大きな四角の間をよく見ると、黒・白・黒・白……と交互に並ぶ細い部分があります。

これがタイミングパターンです。

QRコードを構成する最小単位の白黒のマスは「モジュール」と呼ばれます。タイミングパターンは、そのモジュールがどの間隔で並んでいるかを読み取り側が判断するための基準になります。

大きな位置検出パターンでQRコード全体を見つけ、タイミングパターンなどを使いながら細かなマス目の位置をつかむ。そう考えると、白黒の模様が急に「意味のある部品」に見えてきます。

周囲の白い余白も必要な部分

もう一つ見落としやすいのが、QRコードの外側です。

QRコードの周囲には通常、何も印刷しない白い余白があります。この部分はクワイエットゾーンまたはマージンと呼ばれ、通常のQRコードでは四方に4モジュール分の幅が必要です。

これは単なる見栄えのための余白ではありません。

QRコードのすぐ横まで文字やイラストが入り込むと、読み取り側がどこまでをQRコードとして扱えばよいのか判別しにくくなります。

「コード本体を欠けさせていないのに読みづらい」という場合、周囲の余白を削りすぎていることもあります。

QRコードにはVersion 1から40まである

QRコードはすべて同じ大きさではありません。

一般的なQRコードにはVersion 1~40があり、Version 1は21×21モジュール、最大のVersion 40は177×177モジュールです。

バージョンが1段階上がるごとに、縦・横それぞれ4モジュールずつ増えていきます。

そのため、長いURLや多くの情報を入れたQRコードほど、細かな白黒模様が増える傾向があります。

最大容量は文字の種類や誤り訂正レベルによって変わりますが、デンソーウェーブが示すQRコードの仕様では、最大で数字7,089文字、英数字4,296文字、8ビットバイト2,953文字、漢字1,817文字です。

ただし、これは常に入れられる文字数ではありません。使うバージョン、文字種、誤り訂正レベルなどによって実際の容量は変わります。

逆さでも横向きでも読めるのはなぜ?

QRコードをスマートフォンへ向けるとき、「上」を意識する人はあまりいないでしょう。

180度逆さでも、90度横向きでも、多くの場合はそのまま認識されます。

これは単に「スマホのカメラ性能が高いから」ではありません。

QRコード自体に、向きを判断しやすい構造が組み込まれているからです。

3か所の位置検出パターンを見つけると、その相対的な位置からQRコードの枠や回転方向を求められます。さらにタイミングパターンなどを使って各モジュールの位置を割り出し、画像上の歪みを補正しながら情報を読み取ります。

流れをかなり単純化すると、次のようになります。

  1. カメラが画像を取得する
  2. 3つの位置検出パターンを探す
  3. QRコードの位置・向き・大きさなどを求める
  4. 各モジュールの位置を割り出す
  5. 符号化されたデータを読み取る
  6. 誤り訂正を行う
  7. URLや文字列などへ復号する

つまり、QRコードは最初から「決まった向きでスキャナーへ差し込まなければならないコード」ではないのです。

デンソーウェーブもQRコードの特徴として、360度どの方向からでも高速に読み取れることを挙げています。

白黒のマスは「URLをそのまま0と1にしたもの」ではない

ここまで読むと、次は「それならURLはどのマスに書いてあるのか?」と気になります。

たしかにQRコードは最終的に白と黒のモジュールで情報を表現しています。しかし、黒を1、白を0として左上から順番に読めばURLになるというほど単純ではありません。

入力された文字列は、内容に応じた方式で符号化され、誤り訂正用のコード語も加えられます。

さらにQRコードにはマスク処理があります。

わざと模様を変える「マスク処理」

データをそのまま配置すると、黒いマスばかりが長く続いたり、白い領域が大きく固まったり、位置検出パターンに似た並びが生まれたりする場合があります。

それでは読み取りに不利です。

そこでQRコードでは、複数用意されたマスクパターンを使ってデータ領域の見え方を変え、読み取りに適した模様を選びます。

QRコードが「不規則な白黒の迷路」に見える理由の一つです。

そして、どの誤り訂正レベルとマスクパターンを使ったのかは、QRコード自身のフォーマット情報として記録されています。

QRコードは、データだけでなく「このQRコードをどう読めばよいか」という情報まで自分の中に持っているわけです。

同じURLなら、同じQRコードになる?

意外ですが、必ずしも同じ模様にはなりません。

デンソーウェーブのFAQでも、同一データを格納していても、QRコード生成ソフトによって異なるパターンが生成される場合があると説明されています。

理由の一つは、数字モードや英数字モードなど、内部でどのようにデータを表現するかが生成ソフトによって異なる場合があるためです。

さらに、バージョン、誤り訂正レベル、マスクパターンなどが違えば、最終的な白黒模様も変わり得ます。

つまり、QRコードの見た目だけを比べて、

「模様が違うからリンク先も違う」

とは限りません。

一部が欠けても読めるのは「誤り訂正」があるから

QRコードの不思議な特徴として有名なのが、少しくらい汚れたり欠けたりしても読み取れることです。

その理由が誤り訂正です。

QRコードでは、元のデータだけを保存するのではなく、破損したときに復元するための情報も一緒に持たせています。

そのため、読み取った情報の一部が失われていても、条件の範囲内なら元の内容を復元できる場合があります。

この仕組みにはReed-Solomon(リード・ソロモン)符号が利用されています。

一般読者向けには、難しい数式まで覚える必要はありません。

「データが一部失われても戻せるよう、あらかじめ復元用の情報もQRコードへ持たせている」と考えれば十分です。

誤り訂正レベルはL・M・Q・Hの4段階

通常のQRコードでは、誤り訂正能力を4段階から選べます。

誤り訂正レベル復元能力の目安
L全コードワードの約7%
M全コードワードの約15%
Q全コードワードの約25%
H全コードワードの約30%

レベルを高くすれば破損に強くなりますが、誤り訂正用の情報も増えるため、同じサイズなら保存できるデータ量との兼ね合いが出てきます。

「QRコードは30%欠けても読める」は、そのままだと間違いやすい

ここは特に誤解が広まりやすい部分です。

よく、

「QRコードは30%まで欠けても大丈夫」

と説明されます。

しかし、これを「QRコードの面積の30%を好きな場所から消しても必ず読める」と受け取るのは間違いです。

デンソーウェーブが示している約7%・15%・25%・30%という数字は、全コードワードに対するデータ復元率です。QRコードでは1コードワードが8ビットで構成されます。

QRコードの画像面積そのものを示した割合ではありません。

「30%」について覚えておきたいこと

誤り訂正レベルHの「約30%」は、QRコードの好きな場所を30%塗りつぶしてよいという意味ではありません。破損した位置や状態、読み取り環境などによって、同じような面積の欠損でも結果は変わります。

特に、QRコードを見つけるための位置検出パターンや、周囲を区切るクワイエットゾーンなど、読み取りに重要な部分を大きく損なえば、データ本体が十分残っていても認識できなくなる可能性があります。

印刷のにじみ、低いコントラスト、小さすぎるサイズ、撮影距離、カメラや読み取りソフトの違いも影響します。

そのため実用上は、

「誤り訂正があるから多少の汚れや欠損に耐えられる。しかし何%まで隠しても必ず大丈夫、という保証ではない」

と理解するのが正確です。

中央にロゴを置いたQRコードは、なぜ読めることがある?

SNSや企業サイトでは、QRコードの中央に会社のロゴやアイコンが入っているものをよく見かけます。

これを見ると、

「中央にはデータが入っていないのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、通常のQRコードの中央が最初からロゴ用の空白になっているわけではありません。

中央にもデータや誤り訂正用の情報などが配置され得ます。

ロゴを重ねても読み取れるQRコードがあるのは、主に誤り訂正によって、隠れた部分の情報を補えるよう設計したうえで作られているためです。

ただし「中央なら何%まで隠してよい」という万能な安全値が規格として用意されているわけではありません。

デンソーウェーブも、通常のQRコードへ文字や画像を重ねると明暗のコントラストが不明瞭になり、読み取りが困難または不可能になる場合があると案内しています。

ロゴ入りQRコードは、誤り訂正レベルを高くすれば何をしても大丈夫、というものではありません。実際に利用する環境と端末で十分に読み取り確認を行う必要があります。

QRコードはスマートフォンのために生まれたものではない

ここまで仕組みを見てきましたが、QRコードの開発史もかなり面白いものです。

QRコードが発表されたのは1994年。

開発したのは、日本のデンソーです。現在QRコード事業を手掛けるデンソーウェーブの公式資料では、当時のデンソーの一事業部で開発されたものとして紹介されています。

つまり、QRコードはスマートフォンやキャッシュレス決済のために生まれた技術ではありません。

背景にあったのは、製造・物流現場で使われていたバーコードの限界でした。

バーコードでは情報量が足りなかった

従来の一次元バーコードは、横方向に情報を記録します。

それに対してQRコードのような二次元コードは、縦と横の両方向へ情報を持たせられるため、同じ面積でも多くの情報を扱えます。

デンソーウェーブの開発史によると、当時はバーコードへより多くの情報を持たせたいという要求が高まっていました。

単に容量を増やすだけでは足りません。

工場で使う以上、コードを素早く認識し、高速に読み取れることも重要でした。

そこで生まれた発想が、コードそのものへ「ここにコードがあります」と読み取り機へ知らせる特徴的な目印を置くことでした。

それが、現在もQRコードの3隅に残っている位置検出パターンです。

「1:1:3:1:1」を見つけるため、印刷物を調べ続けた

QRコード開発史の中でも、特に印象的なのが位置検出パターンの形を決める過程です。

せっかく目印を付けても、近くに似た模様があれば読み取り機が間違えてしまいます。

そこで開発チームは、チラシや雑誌、段ボールなど、身の回りの印刷物に現れる白黒の比率を調べました。

そうして見つけたのが、先ほど登場した1:1:3:1:1です。

デンソーの原昌宏氏は後年、新聞や雑誌などを撮影し、比率を調べる作業を繰り返した当時の様子を語っています。

今では世界中で見かける3つの四角ですが、その背景には「周囲の印刷物と間違えず、しかも高速に発見できる模様は何か」という地道な調査がありました。

QRという名称も、この高速読み取りという開発思想を表しています。

QRは「Quick Response」に由来します。

開発チームは「2人」だった?「5人」だった?

QRコードの開発史を調べると、「2人で開発した」という説明と「5人の発明者」という説明が見つかります。

これは、どちらか一方が必ずしも間違いというわけではありません。

デンソーウェーブの公式開発史では、原昌宏氏がもう1人のメンバーと2人で新しい二次元コードの開発へ踏み出したと説明されています。

一方、QRコードに関する特許や欧州特許庁の資料では、原昌宏氏、渡部元秋氏、野尻忠雄氏、長屋隆之氏、内山祐司氏の5人が発明者として挙げられています。

そのため「QRコードは2人だけで最後まで完成させた」と単純化するより、開発初期は少人数で始まり、特許上は5人の発明者が記録されていると見るのが安全です。

日本で生まれたQRコードは、どうして世界中へ広がった?

1994年に発表されたQRコードは、まず自動車産業などで利用が広がっていきました。

その後、規格化が進みます。

時期主な動き
1994年デンソーがQRコードを発表
1997年10月AIM International規格として制定
1998年3月JEIDA規格として制定
1999年1月JIS X 0510として規格化
2000年6月ISO国際規格として制定
2024年8月ISO/IEC 18004:2024発行
2026年5月20日JIS X 0510:2026へ改正

2026年10月現在、日本ではJIS X 0510:2026が有効で、対応する国際規格はISO/IEC 18004:2024です。

なお、ISOではその次の版へ向けた改訂作業も始まっていますが、現時点で発行済みの国際規格はISO/IEC 18004:2024です。

「特許を放棄した」は正確ではない

QRコードが世界へ広がった理由を説明するとき、よく「デンソーが特許を無料開放した」と言われます。

方向性としては近いものの、より正確に書くなら注意が必要です。

デンソーウェーブはQRコードの仕様を公開し、規格化されたQRコードについて、保有する特許第2938338号の権利を行使しないことを宣言しています。

つまり、

「特許そのものを捨てた」

「著作権を放棄した」

という意味ではありません。

規格化されたQRコードを広く利用できる環境を作ったことが、産業用途から一般利用へ広がっていく大きな土台になりました。

自動車の現場から、電車の改札まで

1994年に産業用途から始まったQRコードは、現在ではスマートフォンの画面だけでなく、交通機関でも普通に使われるようになりました。

たとえば、つくばエクスプレスでは2026年10月から磁気乗車券に代わる仕組みとしてQR乗車券システムを導入しています。

つくばエクスプレスのQR乗車券がどう使われているのかは、こちらの記事で詳しく整理しています。

東京メトロでも、クレジットカードのタッチ決済とQRコード乗車券に用途を絞った専用改札機の実証が行われています。

東京メトロのクレカ・QR専用改札についてはこちらで解説しています。

工場の部品管理を効率化するために生まれた技術が、30年以上後にはスマートフォン、決済、チケット、鉄道の改札までつなぐ仕組みになった。

QRコードの歴史で面白いのは、この用途の変化です。

QRコードでよくある勘違いを整理

最後に、ここまでの内容の中でも特に誤解されやすい部分をまとめておきます。

よくある説明実際は
3つの四角はピント合わせ用QRコードの位置や向きなどを認識する位置検出パターン
3つの四角の中にURLが入っている位置検出に使う機能パターンで、URL保存場所ではない
黒=1、白=0を順番に読めばURLになる符号化、誤り訂正、配置、マスク処理などが行われる
30%まで好きな場所を消してよい約30%は面積ではなく、レベルHにおける全コードワードに対する復元率の目安
中央にはデータがない中央にもデータ等が配置され得る
同じURLなら必ず同じ模様生成方法などによって違う模様になる場合がある
QRコードはスマートフォン用に開発された産業現場での高速読み取りなどを目的に1994年に発表された
デンソーはQRコードの特許を放棄した規格化されたQRコードについて保有特許の権利不行使を宣言

まとめ|次にQRコードを見たら、3つの四角から見てみよう

QRコードの3隅にある大きな四角は、ただ目立たせるためのデザインではありません。

位置検出パターンとしてQRコードの場所や向きを認識する基準になり、その内部には「1:1:3:1:1」という特徴的な比率まで仕込まれています。

さらにQRコードをよく見ると、小さなアライメントパターン、黒白が交互に並ぶタイミングパターン、周囲のクワイエットゾーンがあります。

一見すると不規則な白黒模様も、データを単純に並べたものではありません。誤り訂正用の情報が入り、読み取りやすくするためのマスク処理まで施されています。

そして「最大30%」という数字も、QRコードの面積を30%自由に消せるという意味ではありません。

こうして一つずつ見ていくと、毎日のように見ていたQRコードが、かなり違って見えてきます。

次にQRコードを見かけたら、まず3つの大きな四角を見てみてください。

その瞬間にはもう、あの模様は単なる「白黒の迷路」ではないはずです。

身近なのに仕組みを意外と知らないものは、ほかにもあります。Webサイトで見かける「あのチェック」もその一つです。

「私はロボットではありません」は何を見ている?CAPTCHAが人間を見分ける仕組みを追う

主な確認資料

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