- 家具の転倒防止は何をすればいい?賃貸で穴を開けない対策と固定器具
- 結論|家具の転倒防止は何から始めればいい?
- 家具の転倒防止はなぜ必要?地震では家具が動いて避難できなくなることも
- 賃貸住宅で壁に穴を開けられない場合はどうする?
- L型金具・突っ張り棒・耐震マットの違いと選び方
- 突っ張り棒の正しい付け方|家具の奥に設置する理由
- 家具別の転倒防止方法|タンス・本棚・食器棚・テレビ・冷蔵庫
- 「震度7対応」なら安全?東京都の実験で分かった注意点
- まずどの部屋から対策する?寝室と避難経路を優先したい理由
- 壁・床・天井を傷つけないために確認したいこと
- 固定器具を買う前に確認したいチェックリスト
- 家具の転倒防止でよくある質問
- まとめ|家具転倒防止は買う器具より「どこに、どう固定するか」が重要
家具の転倒防止は何をすればいい?賃貸で穴を開けない対策と固定器具

地震に備えて家具を固定したい。でも、何を買って、どこに取り付ければいいのか分からない。賃貸住宅なので壁に穴を開けられず、対策を後回しにしている人もいるのではないでしょうか。
ホームセンターや通販サイトには、突っ張り棒、L型金具、耐震マット、転倒防止ベルトなど、さまざまな商品が並んでいます。しかし、どれも同じように使えるわけではありません。
家具の転倒防止で最も大切なのは、器具を買うこと自体ではなく、家具の種類と住まいの構造に合った方法で固定することです。
壁の適切な下地にネジで固定する方法が基本ですが、賃貸住宅などでネジを使えない場合にも、家具の配置変更や突っ張り棒とストッパーの組み合わせなど、検討できる対策があります。
この記事では、東京消防庁、東京都、総務省消防庁などの公的資料をもとに、賃貸住宅でも取り組める地震対策、固定器具の特徴、タンス・本棚・食器棚・テレビ・冷蔵庫の固定方法まで具体的に解説します。
結論|家具の転倒防止は何から始めればいい?
家具の転倒防止は、最初からすべての家具に器具を取り付けようとするより、家の中の危険な場所を把握するところから始めると進めやすくなります。
特に優先したいのは、寝ている場所の近くにある家具と、玄関や部屋の出入口など避難経路をふさぐおそれのある家具です。
| 対策 | 具体的にすること | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 家具の配置 | 寝床や出入口に倒れてこない位置へ移動する | 器具を買わずにできる対策 |
| L型金具 | 家具を壁の柱・間柱などに固定する | 壁下地と家具の強度が必要 |
| 突っ張り棒 | 家具上部と天井の間に設置する | 天井の強度と設置可能な隙間 |
| ストッパー | 家具の前下部に設置する | 大型家具では上部対策との併用を検討 |
| 耐震マット | 対応する家電や家具の底面に設置する | 対象重量・接着面・使用条件 |
| 転倒防止ベルト | テレビ・冷蔵庫などを適切な固定先につなぐ | 機種とメーカーの指定方法 |
| 収納方法 | 重いものを下に置き、棚の上を整理する | 収納物の落下や飛び出しにも注意 |
この中でも、適切な壁下地にL型金具などで直接固定する方法は、東京消防庁が基本として案内している対策です。
一方、ネジを使えない住宅では、突っ張り棒やストッパーなどを組み合わせる方法が候補になります。ただし、設置条件によって効果が変わるため、「とりあえず突っ張り棒を買えば大丈夫」とは考えないようにしましょう。
家具の転倒防止はなぜ必要?地震では家具が動いて避難できなくなることも
家具の転倒防止というと、タンスが倒れて下敷きになる危険を想像する人が多いかもしれません。
しかし、実際の地震では、家具が倒れるだけでなく、収納物が落下したり、家具や家電が大きく移動したりする被害も起こります。
東京消防庁は、近年の地震による負傷者について、約3〜5割が家具類の転倒・落下・移動に起因するという調査結果を紹介しています。
これは、すべての地震で負傷者の半数が家具によってけがをするという意味ではありません。過去の地震被害調査から分かった、室内の安全対策の重要性を示す数字です。
2026年8月4日に東京都が公開した注意喚起でも、タンスが動いて部屋に入れなくなった事例や、食器棚の扉が開いて食器類が飛び出した事例が紹介されています。
転倒・落下・移動は別々の危険
例えば、背の高い本棚が倒れれば、近くにいる人が下敷きになる危険があります。
食器棚の本体が倒れなくても、扉が開いて皿やグラスが飛び出せば、割れた破片でけがをするかもしれません。
また、家具が転倒せずに移動しただけでも、ドアが開かなくなったり、通路をふさいだりする可能性があります。
つまり、家具を固定するときは「倒れないこと」だけでなく、「中身が飛び出さないこと」「避難経路をふさがないこと」まで考える必要があるのです。
東京消防庁の地震動実験で家具の動きを確認できる
東京消防庁は2025年3月18日、家具転倒防止対策の有無によって、地震時に家具や家電がどのように動くかを紹介する公式映像を公開しています。
実験はあくまで特定の条件での挙動を示すものですが、家具や家電が想像以上に動くこと、固定していない家具が室内で危険になり得ることを理解する助けになります。
賃貸住宅で壁に穴を開けられない場合はどうする?
今回、特に詳しく解説したいのが賃貸住宅での家具固定です。
持ち家なら壁に金具を取り付けやすい場合でも、賃貸マンションやアパートでは、壁の穴や原状回復が気になって作業できない人もいるでしょう。
結論として、賃貸住宅でもネジを使わない転倒防止対策は可能です。ただし、壁を傷つけない器具だからといって、どんな場所でも安全に使えるわけではありません。
まずは家具の位置を変える
最初に考えたいのは、家具を固定する以前に、倒れても人に当たりにくい配置にできないかということです。
寝室に大きな本棚があるなら、ベッドから離れた場所へ移す。玄関付近の収納棚が倒れて出入口をふさぐ可能性があるなら、設置する位置や向きを変える。
このような対策は、壁や天井に穴を開けなくても取り組めます。
収納スペースに余裕があるなら、背の高い棚を生活空間から減らす方法もあります。家具が少なくなれば、固定が必要な対象も減らせます。
ネジを使わない転倒防止器具を組み合わせる
壁に穴を開けずに取り付けられる代表的な器具には、ポール式と呼ばれる突っ張り棒、ストッパー式、粘着マット式があります。
突っ張り棒は家具の上部と天井の間に設置するものです。ストッパーは家具の前下部に挟み込み、家具を壁側へ傾けることで転倒を抑制します。
東京消防庁は、ネジ固定が難しい場合に、ポール式器具とストッパー式またはマット式を組み合わせ、家具の上下で対策する方法を紹介しています。
ただし、家具の奥行きが小さい場合や、天井が弱い場合などは、突っ張り棒を適切に設置できないことがあります。
また、粘着式の器具では、壁紙や塗装面に接着できない場合や、取り外す際に表面を傷める場合も考えられます。
「ネジ不要」「穴開け不要」という表示は、施工方法の特徴を示すものであり、原状回復の問題が一切生じない保証ではありません。
賃貸でもL型金具を使える場合はある?
壁へのネジ固定が認められるかどうかは、賃貸借契約や建物の構造、貸主・管理会社の方針によって異なります。
国土交通省の原状回復ガイドラインでは、通常使用による損耗と借主の故意・過失などによる損傷を区別しています。しかし、このガイドラインがあるからといって、防災目的なら自由に壁へ大きなネジ穴を開けてよいわけではありません。
固定を検討する場合は、事前に管理会社や貸主へ確認してください。特に集合住宅の戸境壁などは、契約とは別に構造上の制約がある場合もあります。
許可が得られない場合や固定に適した下地がない場合は、無理に穴を開けず、別の方法を検討しましょう。
L型金具・突っ張り棒・耐震マットの違いと選び方
家具の転倒防止器具には、それぞれ得意な用途と設置上の制約があります。
大型の家具を固定したいのか、小型家電の滑りを抑えたいのかによって、選ぶべき器具は変わります。
L型金具|適切な壁下地への固定が基本
L型金具は、家具と壁をネジでつなぐ固定器具です。
東京消防庁は、家具の転倒・落下・移動防止対策の基本をネジによる固定とし、柱や間柱などの下地材に取り付ける方法を案内しています。
注意したいのは、壁にネジを打てばよいというものではないことです。
住宅の壁には、表面に石膏ボードを使用しているものがあります。石膏ボードの表面だけに一般的な木ネジを打っても、十分な固定強度を確保できない場合があります。
固定に適した下地を探すには、下地探知センサーなどを使用する方法があります。ただし、壁の構造によっては対応が難しいため、不明な場合は専門業者への確認が必要です。
また、家具の薄い天板や強度の低い板に金具を取り付けると、地震の揺れで家具側が破損するおそれがあります。
壁の強度、家具側の強度、金具とネジの適合性が揃って初めて、適切な固定になります。
突っ張り棒|壁に穴を開けずに家具上部を支える
突っ張り棒は、タンスや本棚などの上部と天井の間に設置し、家具が前方へ倒れる動きを抑制する器具です。
ネジを使わないタイプが多く、賃貸住宅で検討しやすい方法ですが、天井と家具の両方に適切な強度が必要です。
例えば、軽い天井材が取り付けられている場所や、家具の天板が弱い場所では、十分な固定効果を得られない可能性があります。
また、対応できる隙間の寸法は製品ごとに異なります。購入前に、家具の天面から天井までの距離を正確に測る必要があります。
ストッパー式|家具の前下部から転倒を抑制する
ストッパー式は、家具の前下部にくさび状の器具を挟み込み、家具をわずかに壁側へ傾けて転倒を抑えるものです。
製品によって素材や取り付け方法が異なりますが、家具の幅や床の状態に適合するものを選ぶ必要があります。
東京消防庁の資料では、ストッパー式を使用する場合、家具の端から端まで敷く方法が示されています。
大型家具にストッパーだけを使用する方法は一般に適さないため、上部の固定方法と組み合わせることが重要です。
耐震マット|小型家電などの滑り・移動を抑える
耐震マットは、家具や家電の底面と設置面の間に使用する粘着性のある器具です。
テレビや小型家電などに利用されますが、対象重量、接着する面の材質、設置面の状態によって使用条件が変わります。
また、粘着力は使用環境や経年劣化によって変化する場合があります。長期間貼ったままにしていれば安全というものではありません。
大型のタンスや本棚を、耐震マットだけで十分に固定できると考えるのは避けましょう。
突っ張り棒の正しい付け方|家具の奥に設置する理由
突っ張り棒は、家具の上であればどこに取り付けても同じ効果があるわけではありません。
東京消防庁は、家具の両端にある側板部分の、できるだけ壁側の奥に設置する方法を紹介しています。
家具は地震の揺れによって前方へ倒れようとするため、壁側の奥に支えを設けることが重要になります。
取り付ける前に確認したい5つの条件
- 隙間の寸法:家具と天井の距離が製品の対応範囲内にあるか
- 天井の強度:突っ張る力に耐えられる構造か
- 家具の強度:天板や側板に十分な強度があるか
- 取り付け位置:家具の両端、壁側の奥に設置できるか
- 家具の形状:奥行きが小さすぎず、安定して設置できるか
製品によっては、天井の強度が不足する場合に当て板を使用する方法も案内されています。
ただし、当て板を置くだけで必ず安全になるわけではありません。東京消防庁の資料では、補強する板の幅や固定方法も示されており、天井の構造に応じた適切な施工が必要です。
構造が分からない天井に無理な力を加えると、天井材を傷める可能性もあります。設置が難しい場合は、家具を移動するか専門業者へ相談する方が安全です。
突っ張り棒は何cmでも伸びるわけではない
具体例として、アイリスオーヤマの家具転倒防止伸縮棒には、家具と天井の隙間に応じた複数のサイズがあります。
メーカーが案内する現行の製品例では、次のように取り付け範囲が分かれています。
| 型番 | サイズ | 取り付け範囲 |
|---|---|---|
| KTB-12R | SSS | 約12.9〜23cm |
| KTB-23R | SS | 約23〜30cm |
| KTB-30R | S | 約30〜40cm |
これは2026年10月時点でメーカー公式情報を確認できる製品の一例です。ほかにも取り付け範囲の異なるサイズがあります。
例えば家具と天井の隙間が35cmなら、23〜30cm対応のKTB-23Rは使えません。同じメーカーの伸縮棒でも、サイズを間違えると取り付けられないことがあります。
また、製品に「耐圧220kg」と記載されていても、220kgの家具ならどんな地震でも倒れないという意味ではありません。設置条件や家具の構造による影響を別に考える必要があります。
選ぶ前には、メーカー公式のサイズ・取り付け範囲を確認すると、型番の取り違えを防ぎやすくなります。
なお、旧型のKTB-23と現行のKTB-23Rは同じ型番ではありません。商品名が似ていても、仕様が異なる場合があるため注意しましょう。
家具別の転倒防止方法|タンス・本棚・食器棚・テレビ・冷蔵庫
家具の転倒防止は、対象によって考え方が変わります。
タンスや本棚は前方への転倒、食器棚は中身の飛び出し、テレビや冷蔵庫は本体の転倒・移動にも注意が必要です。
タンス|背の高い家具は寝床との位置関係が重要
背の高いタンスは、地震によって前方に倒れた場合、広い範囲に危険が及びます。
特に寝室では、タンスが倒れてもベッドや布団の上に届かない位置に配置することが重要です。
固定する場合は、適切な壁下地へのL型金具などによる固定を基本に考えます。ネジ固定ができない場合は、家具と天井の条件を確認したうえで、突っ張り棒とストッパーなどの併用を検討します。
また、収納物の重さにも注意しましょう。重いものを上段に集中させるより、下段へ収納した方が家具の重心を低くできます。
上下二段に分かれているタンスでは、上下を金具などで連結する対策も必要です。下段だけを固定しても、上段が外れて落下する危険が残るからです。
本棚|本体の固定と本の落下防止を分けて考える
本棚では、家具本体の転倒に加えて、本が落下する危険もあります。
本体を壁に固定できても、棚板が外れたり、大量の本が飛び出したりする可能性は残ります。
棚板の固定状態を確認し、重い大型本などを下段に収納することを考えましょう。落下防止用のバーなどを利用する場合は、家具の構造と対応する製品を選びます。
特にベッドや机のすぐ横に本棚がある場合は、倒れる方向だけでなく、上段から本が落ちてくる可能性も考えてください。
食器棚|本体を固定しても扉から食器が飛び出すことがある
食器棚は、本体の転倒と収納物の飛散の両方に対策が必要です。
地震の揺れで観音開きの扉が開くと、皿やグラスが一斉に飛び出す可能性があります。
本体を適切に固定するだけでなく、扉の形状に合った開放防止器具を使用し、ガラス扉には飛散防止フィルムを検討しましょう。
また、引き出しが飛び出す場合もあるため、必要に応じて引き出し用のストッパーなどを使用します。
食器の収納方法も重要です。重い皿や鍋を高い場所に置くことは避け、食器棚の上に不安定な物を積み上げないようにします。
テレビ|テレビ本体とテレビ台の両方を確認する
テレビの転倒防止で見落としやすいのが、テレビ本体だけ固定して、テレビ台は固定していないケースです。
テレビ本体を台に固定していても、台ごと移動したり転倒したりすれば危険が残ります。
総務省消防庁は、テレビなどを台に置く場合、金具や耐震シートなどで本体と台を固定し、さらに台を壁の桟や柱に固定する方法を紹介しています。
具体的な取り付け方法はテレビの機種によって異なります。背面の固定穴の有無、純正の転倒防止部品、指定されたネジやベルトを確認してください。
また、テレビの重量や大きさだけを見て汎用ベルトを選ぶのではなく、対象機種への適合性と固定先の強度を確認することが重要です。
冷蔵庫|専用ベルトとメーカー指定の固定方法を確認する
冷蔵庫は重量のある家電ですが、地震の揺れで倒れたり、大きく移動したりする可能性があります。
例えばパナソニックは、冷蔵庫背面の取っ手と壁に取り付けた金具を専用ベルトでつなぐ方法を案内しています。
ただし、すべての冷蔵庫に同じベルトを取り付けられるわけではありません。
冷蔵庫の機種によって固定用の部位や方法が異なるため、取扱説明書やメーカーの案内を優先してください。
また、冷蔵庫には冷媒配管や電気部品が組み込まれています。パナソニックは、冷蔵庫側にビスや釘を使用しないよう注意しています。
冷蔵庫本体の任意の場所に穴を開けたり、自己判断で金具を取り付けたりしないでください。
固定するときも、放熱に必要な隙間など、メーカーが指定する据え付け条件を守ることが必要です。
電子レンジ・キャスター付き家具・ピアノはどうする?
電子レンジは、置いている台からの落下に注意が必要です。メーカーが認める固定方法や適合する器具を確認し、台自体の転倒・移動にも対策します。
キャスター付きの家具は、地震によって床の上を移動する可能性があります。普段は動かさない家具なら、キャスター用の下皿などを使う方法があります。日常的に動かす家具では、使用しないときにキャスターロックをかけ、必要に応じて着脱式ベルトなどを利用する方法もあります。
ピアノは非常に重く、設置場所や種類によって必要な対策が異なります。一般的な家具用の器具を自己判断で使用せず、メーカーや専門業者へ相談してください。
「震度7対応」なら安全?東京都の実験で分かった注意点
家具転倒防止器具を選ぶ際、「震度7対応」「耐震性能を実証済み」といった表示が気になる人も多いでしょう。
こうした表示は製品を比較する材料になりますが、設置条件を無視して安全を保証するものではありません。
東京都は2015年3月10日、市販されている家具転倒防止器具の性能について商品テストの結果を公表しました。
試験では、粘着マット式、ストッパー式、ポール式の合計7検体を大型のタンスや食器棚に取り付け、兵庫県南部地震の地震波などを使って揺れを再現しました。
その結果、震度6強相当の地震波を用いた試験では、7検体すべてで家具の転倒、または30cm以上の転倒相当の移動が確認されました。
一方、器具を家具の上下に組み合わせて使用した試験では、家具が転倒せず、移動が10cm以下に抑えられたケースもありました。
これは、2015年当時の特定の器具、家具、床面、地震波、取り付け条件を用いた実験結果です。現在販売されているすべての製品の性能を比較したものではありません。
また、この結果から「突っ張り棒は意味がない」「耐震マットは全部危険」と結論づけることもできません。
重要なのは、器具単体に頼るのではなく、家具の配置、適切な取り付け、器具の組み合わせによって危険を減らすことです。
この試験の詳しい条件や結果は、東京都の商品テスト「家具転倒防止器具の性能」で確認できます。
まずどの部屋から対策する?寝室と避難経路を優先したい理由
家具の数が多い家庭では、すべてを一度に固定するのは難しいかもしれません。
その場合は、家具の大きさだけでなく、人がどこで過ごすか、家具が倒れたときに何が起こるかという観点から優先順位を考えます。
寝室|寝ている場所に倒れる家具を置かない
就寝中に地震が発生した場合、すぐに家具から離れられるとは限りません。
特に背の高いタンスや本棚がベッドや布団の近くにある場合は、倒れたときに寝ている場所へ届かないか確認してください。
固定器具を取り付けるだけでなく、家具を別の部屋へ移すことや、背の低い収納に変更することも検討できます。
また、棚の上に置いた重い物やガラス製品が、寝ている場所へ落ちてこないかも確認しましょう。
玄関・廊下|ドアが開かなくなる配置を避ける
家具が倒れて出入口をふさいでしまうと、部屋から出られなくなる可能性があります。
ドアの近くに収納棚がある場合は、倒れたときにドアの開閉を妨げないか確認してください。
特に内開きのドアでは、家具が移動してドアの前をふさぐだけでも開けられなくなることがあります。
玄関までの通路はできるだけ整理し、背の高い収納家具や倒れやすい物を不用意に置かないことが大切です。
リビング・子ども部屋|長時間過ごす場所を確認する
リビングにはテレビ、本棚、収納棚、飾り棚など、さまざまな家具や家電があります。
家族が長時間過ごす場所では、家具が倒れる方向だけでなく、上から物が落下する位置にも注意しましょう。
子ども部屋では、地震対策に加えて、子どもが引き出しを足場にしたり家具に登ったりすることによる転倒にも注意が必要です。
背の高い家具を減らすことや、家具を適切に固定することが、地震以外の事故対策にもつながります。
キッチン|割れ物と重量物の両方に注意
キッチンでは、冷蔵庫や食器棚の転倒、電子レンジの落下、食器の飛散など、複数の危険があります。
特に高い位置に収納している食器や鍋は、揺れによって落下する可能性があります。
家具本体の固定だけでなく、収納物の配置や扉の開放防止も合わせて考えましょう。
壁・床・天井を傷つけないために確認したいこと
賃貸住宅では、固定器具の性能に加えて、取り付け後の壁や床への影響も気になるところです。
特に、壁紙、塗装面、クッションフロア、天井材などは、使用する器具によって傷や跡が残る可能性があります。
突っ張り棒でも天井に跡が残る場合がある
突っ張り棒はネジ穴を開けない点が利点ですが、天井や家具の天板に圧力をかけて設置する器具です。
そのため、設置面の材質や強度、長期間の使用状況によっては、へこみや跡が残る場合があります。
また、弱い天井に設置すると、天井材が破損したり、器具が十分に機能しなかったりする可能性があります。
製品の取扱説明書を確認し、設置できない天井や家具には使用しないでください。
粘着式の器具は剥がすときにも注意
粘着式の固定具は、壁紙や塗装面との相性が重要です。
接着力が十分に得られない場所では固定効果が低下する可能性があり、反対に、強く接着した器具を剥がすときに壁紙などが破損する場合もあります。
「きれいに剥がせる」と表示された商品でも、すべての材質や使用条件で跡が残らないとは限りません。
購入前に、使用できる壁材や床材、取り外し方法、使用上の注意を確認しましょう。
自分で取り付けられない場合は無理をしない
重い家具を一人で動かす作業や、不安定な脚立に乗って天井付近へ器具を取り付ける作業には危険が伴います。
特に大型家具の移動や壁下地への固定が難しい場合は、家具店、住宅設備業者、専門の取り付けサービスなどへの相談を検討してください。
また、自治体によっては、家具転倒防止器具の購入費や取り付け費用を助成している場合があります。
対象者や助成内容、申請方法は自治体によって異なるため、住んでいる市区町村の公式サイトで「家具転倒防止 助成」「家具固定 支援」などを確認するとよいでしょう。
固定器具を買う前に確認したいチェックリスト
固定器具を購入する際は、商品の価格や耐震性能の表示だけを見るのではなく、自宅の家具に取り付けられるかを確認することが重要です。
家具転倒防止・購入前チェックリスト
- □ 寝ている場所に倒れてくる家具がないか確認した
- □ 家具が玄関や部屋の出入口をふさがないか確認した
- □ 家具の高さ・幅・奥行き・重量を確認した
- □ 壁の下地と天井の強度を確認した
- □ 賃貸住宅の場合、ネジ固定の可否を確認した
- □ 突っ張り棒を使う場合、天井までの隙間を測った
- □ 大型家具では上下の固定を組み合わせられるか検討した
- □ テレビや冷蔵庫はメーカー指定の固定方法を確認した
- □ 食器棚や引き出しの中身が飛び出さないか確認した
- □ 取り付け作業を安全に行えるか確認した
- □ 設置後も器具の緩みや劣化を点検できるようにした
すべてを一度に完了させる必要はありません。危険な家具と不足している対策を把握し、優先順位を付けて進めることが大切です。
家具の転倒防止でよくある質問
Q. 突っ張り棒だけでも地震対策になる?
突っ張り棒は家具の転倒を抑制する器具ですが、設置条件によって効果が変わります。
東京消防庁は、ネジ固定が難しい場合、突っ張り棒とストッパー式またはマット式の器具を組み合わせ、家具の上下で対策する方法を紹介しています。
特に大型家具では、突っ張り棒だけで十分と判断せず、家具の配置や天井の強度も含めて確認してください。
Q. 石膏ボードの壁にL型金具を付けてもいい?
石膏ボードの表面に一般的なネジを打つだけでは、十分な固定強度を確保できない場合があります。
東京消防庁は、壁の柱や間柱など適切な下地材へ固定する方法を案内しています。
壁の構造が分からない場合は、下地探知器などを利用して確認するか、専門業者へ相談してください。
Q. 耐震マットはテレビにも使える?
テレビに対応する耐震マットはありますが、すべてのテレビで使えるわけではありません。
対象重量や設置面、テレビ本体の形状によって使用条件が異なります。メーカー指定の転倒防止ベルトや固定方法がある場合は、その内容も確認してください。
Q. 背の低い家具なら固定しなくてもいい?
背の低い家具は、背の高い家具に比べて転倒しにくい場合がありますが、必ず安全というわけではありません。
家具の重量や奥行き、設置場所、収納物の重さ、床の状態などによって危険性が変わります。
特に上にテレビや重量物を置いている場合は、家具本体が倒れなくても上の物が落下する危険があります。
Q. 家具と天井の隙間が大きい場合はどうする?
突っ張り棒には製品ごとに対応する高さの範囲があります。隙間が対応範囲外の場合、その製品は使用できません。
ただし、長い突っ張り棒を使えば必ず安全というわけではありません。東京消防庁は、家具と天井の間隔が大きい場合や奥行きのない家具では、ポール式が不向きであると説明しています。
適切に取り付けられない場合は、家具の配置変更や壁への固定など、別の方法を検討してください。
Q. 家具の固定は一度取り付ければ終わり?
固定器具は設置後も状態を確認することが大切です。
ネジやベルトの緩み、粘着部分の劣化、突っ張り棒の設置状態などを定期的に点検しましょう。
また、家具を移動した場合や、収納物を大幅に変更した場合は、固定方法が引き続き適切か見直す必要があります。
Q. 家具を固定すれば地震への備えは十分?
家具固定は室内のけがや避難経路の閉塞を減らすための対策ですが、地震への備えはそれだけではありません。
水・食料・携帯トイレなどの備蓄も必要です。具体的な必要量については、防災備蓄は何を買う?最低限必要なものと1週間分の買い物リストで紹介しています。
また、家具の固定を済ませていても、住宅そのものの耐震性や地域の災害リスクを確認し、安全な避難方法を考えておくことが重要です。
2026年11月2日の防災庁発足と家庭への備えの呼びかけについては、防災庁の緊急要請はなぜ?大地震との関係と必要な備蓄でも詳しく解説しています。
まとめ|家具転倒防止は買う器具より「どこに、どう固定するか」が重要
家具の転倒防止で最初に取り組みたいのは、寝室や避難経路にある危険な家具を見つけることです。
壁の適切な下地にL型金具などで固定できる場合は、その方法を基本に考えます。賃貸住宅などでネジ固定が難しい場合は、突っ張り棒とストッパーなどの組み合わせや家具の配置変更を検討できます。
ただし、突っ張り棒は天井と家具の強度が必要であり、耐震マットも大型家具を単独で確実に固定できるものではありません。「震度7対応」などの商品表示だけで安全を判断しないことも重要です。
また、テレビや冷蔵庫はメーカーや機種ごとに固定方法が異なります。自己判断で穴を開けたり、適合しない器具を使用したりしないようにしてください。
今日できる第一歩は、寝ている場所の周囲と玄関までの通路を見渡して、倒れたり動いたりすると危険な家具がないか確認することです。
必要な器具を選ぶのは、その後でも遅くありません。自宅の家具と住まいの条件を確かめ、無理のない方法で一つずつ対策を進めていきましょう。