- 冬の停電で暖房が止まったら?電気なしの防寒対策とストーブの注意点
- 冬の停電で暖房が止まったら、まず何をすればいい?
- 電気なしで寒さをしのぐ8つの方法
- 停電中に使える暖房器具・使えない暖房器具の違い
- 冬の停電で絶対に避けたい危険な暖房方法
- 石油ストーブやガス暖房を使うなら、一酸化炭素中毒に注意
- 夜間や就寝中に停電した場合はどうする?
- 寒さで避難した方がよいのは何度から?低体温症の判断も重要
- 北海道などの寒冷地では水道管や給湯器の凍結にも注意
- 車のエンジンをかけて暖を取っても大丈夫?
- 停電が復旧したら?通電火災と暖房器具の再使用に注意
- 冬の停電に備えて用意しておきたい防災用品
- 冬の停電でよくある質問
- まとめ|冬の停電では暖かさの確保と安全性の両方を考える
冬の停電で暖房が止まったら?電気なしの防寒対策とストーブの注意点

真冬の夜、突然の停電でエアコンやストーブが止まってしまったら、どうすればよいのでしょうか。
夏の停電も大変ですが、冬は時間がたつにつれて室温が下がり、寒さによる体調不良や低体温症の危険が高まります。特に北海道や東北などの寒冷地では、暖房が使えないことが深刻な問題になりかねません。
一方で、暖房を確保しようとして石油ストーブやカセットガス機器を誤った方法で使用すると、一酸化炭素中毒や火災につながる危険があります。
冬の停電で大切なのは、残っている室内の暖かさをできるだけ逃がさず、安全に使える暖房器具を見極め、必要なら早めに避難を判断することです。
この記事では、電気なしで寒さをしのぐ具体的な方法から、停電中に使えるストーブと使えないストーブの違い、一酸化炭素中毒の危険、夜間の防寒、避難判断、水道管の凍結対策まで詳しく解説します。
冬の停電で暖房が止まったら、まず何をすればいい?
突然暖房が止まっても、すぐに新しい熱源を探すことだけが正解ではありません。まずは安全を確認し、身体と室内の熱を守ることから始めます。
| 優先順位 | やること | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 最優先 | 火災・ガス漏れ・体調異常の確認 | 異臭、煙、頭痛、めまい、意識の異常などがないか |
| 1 | 停電の範囲を確認 | 自宅だけか、地域一帯か |
| 2 | 厚着と寝具による保温 | 防寒着、靴下、帽子、毛布、寝袋を活用 |
| 3 | 室内の熱を逃がさない | カーテン、ドア、床の冷えを対策 |
| 4 | 暖房器具の使用条件を確認 | 電源、換気、燃料、設置環境を確認 |
| 5 | 停電情報と避難先を確認 | 復旧見込み、気象状況、利用可能な暖かい場所 |
ただし、ガス臭い、煙が出ている、燃焼器具を使用中に頭痛や吐き気が生じたといった場合は別です。防寒より安全確保を優先してください。
一酸化炭素中毒が疑われる場合は、速やかに新鮮な空気のある安全な場所へ移動し、119番などで救急対応を求めます。ガス漏れが疑われる場合は火気や電気スイッチを操作せず、安全な場所からガス事業者などへ連絡してください。
自宅だけの停電か、地域全体の停電かを確認する
自宅の一部だけ電気が使えない場合は、ブレーカーが落ちている可能性があります。電気の使い過ぎによる遮断なのか、漏電や機器の故障なのかによって対応は異なります。
周辺の住宅や街灯も消えている場合は、地域停電の可能性があります。電力会社の停電情報や自治体の防災情報を確認しましょう。
なお、焦げた臭い、火花、漏水、損傷した配線などがある場合は、無理にブレーカーを入れ直さないでください。
スマートフォンは停電情報や家族との連絡に欠かせません。充電が限られている場合は、画面の明るさや不要な通信を抑え、モバイルバッテリーを優先的に活用します。
電気なしで寒さをしのぐ8つの方法
停電中でも、電気を使わずにできる防寒対策は数多くあります。
ここで覚えておきたいのは、毛布や断熱材は基本的に熱を生み出すものではないということです。身体や室内に残っている熱を逃がしにくくすることで、寒さの進行を緩やかにします。
1.重ね着をして、頭・首・手足を冷やさない
最初に行いたいのは、衣服による保温です。
肌着の上に長袖の衣類を重ね、さらにフリースやセーター、防寒着を着用します。衣服の間に空気の層を作ることで、身体の熱が逃げにくくなります。
特に意識したいのは、頭、首元、手首、足元です。ニット帽、ネックウォーマー、厚手の靴下などが役立ちます。
ただし、厚着をしすぎて汗をかくと、汗が冷えたときに身体の熱を奪われます。室内で軽く動く場合も、汗をかかない程度に衣服を調整しましょう。
雨や雪で衣類が濡れている場合は、できるだけ早く乾いた服へ着替えることが大切です。
2.毛布や寝袋で身体の熱を逃がさない
暖房が使えない状況では、毛布や寝袋が重要な防寒用品になります。
毛布だけでなく、掛け布団、敷布団、冬用の寝具なども活用しましょう。椅子やソファで過ごすより、断熱性のある寝具を使って身体全体を保温した方が寒さを抑えやすい場合もあります。
寝袋は身体を包み込む構造のため、停電時の備えとしても役立ちます。ただし、製品ごとに使用温度の目安が異なり、寒冷地用ではない寝袋が厳冬期の室内でも十分な保温力を発揮するとは限りません。
また、乳児の睡眠環境には特別な注意が必要です。大人用の寝袋や重い毛布をそのまま使わず、月齢に適した安全な寝具と衣服を選んでください。
3.生活する部屋を一つに絞る
冬の停電では、家中を暖かく保とうとするより、家族が過ごす部屋を限定した方が熱の流出を抑えやすくなります。
廊下や使っていない部屋との間のドアを閉め、できるだけ暖かさが残っている場所を選びましょう。
ただし、燃焼式の暖房器具を使う場合は、部屋を閉め切ってよいわけではありません。石油ストーブやガスストーブなど、換気が必要な機器では十分な換気を確保します。
「部屋を暖かく保つこと」と「燃焼器具を安全に使うこと」は、必ず両立させる必要があります。
4.カーテンや雨戸で窓からの冷えを抑える
窓は室内の熱が逃げやすい場所の一つです。
夜間は厚手のカーテンや雨戸を閉め、窓からの冷気を抑えましょう。カーテンの丈が短く、窓の下部に大きな隙間がある場合は、そこから冷気が広がりやすくなります。
日中に日差しが入る場合は、カーテンを開けて太陽の熱を取り入れる方法もあります。日が落ちたら閉めるなど、時間帯に応じて調整することが大切です。
窓に断熱シートを貼る方法もありますが、ガラスの種類によっては熱割れなどの問題が生じる場合があります。製品の適合条件を確認してください。
5.床から伝わる冷たさを減らす
暖房が止まると、床の冷たさが気になりやすくなります。
フローリングの上に直接座ったり寝たりするより、カーペット、断熱マット、厚手の敷物、段ボールなどを挟むことで、身体から床へ逃げる熱を減らせます。
アウトドア用のマットがあれば、寝具の下に敷いて使う方法もあります。毛布を何枚も重ねるだけでなく、身体の下側の断熱を考えることが重要です。
ただし、段ボールや寝具は燃えやすいものです。石油ストーブやガスストーブの周囲には置かず、取扱説明書で指定された離隔距離を確保してください。
6.ドアや窓の隙間風を減らす
ドアの下や窓の隙間から冷気が入る場合は、隙間を減らすことで寒さを抑えられます。
隙間テープや専用の断熱用品があれば活用しましょう。停電中の応急対策として、ドアの下に丸めたタオルを置く方法もあります。
ただし、住宅の換気口や暖房器具の給気口・排気口を塞いではいけません。
とりわけ燃焼器具を使用している場合は、空気の取り入れや排気を妨げることが一酸化炭素中毒につながる可能性があります。
7.食事と水分を確保し、無理のない範囲で身体を動かす
寒い環境では、身体が熱を作るためにもエネルギーが必要になります。停電が長引く場合は、食事と水分の確保も大切です。
温かい飲み物を安全に用意できるなら役立ちますが、必ず温めなければならないわけではありません。火を使わずに食べられる食品や飲料水も重要な備えです。
長時間じっとしていると身体が冷えやすいため、体調に問題がなければ、室内で手足を動かしたり軽く歩いたりすることもできます。
ただし、汗をかくほどの運動や、疲労するまで身体を動かすことは避けてください。アルコールも寒さ対策にはなりません。飲酒で暖かく感じても、身体の熱が逃げやすくなったり、判断力が低下したりする危険があります。
8.カイロや湯たんぽを安全に活用する
使い捨てカイロは、電気がなくても使える代表的な防寒用品です。
ただし、肌に直接当てたり、同じ場所に長時間密着させたりすると、低温やけどを起こす可能性があります。就寝中の使用を禁止している製品もあります。
湯たんぽも便利ですが、使用にはお湯を用意する必要があります。停電中に安全な方法でお湯を準備できるかも考えておきましょう。
また、湯たんぽはカバーで包んでいても低温やけどの危険があります。就寝前に寝具を暖め、眠るときには布団から取り出す方法が安全対策として推奨されています。
2025年1月には、製品評価技術基盤機構(NITE)もカイロや湯たんぽなどによる低温やけどについて注意を呼びかけています。
停電中に使える暖房器具・使えない暖房器具の違い
「灯油だから停電でも使える」「ガス式だから電気は必要ない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、暖房器具が停電中に使用できるかどうかは、燃料だけでは決まりません。ファンや制御装置、点火装置などに家庭用電源が必要かどうかが重要です。
| 暖房器具 | 停電中の使用 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| エアコン | 原則不可 | 通常は家庭用電源が必要 |
| 電気ストーブ・こたつ | 原則不可 | 外部電源の容量・出力によっては使用可能な場合あり |
| 電気式オイルヒーター | 原則不可 | 「オイル」という名称でも電気暖房器具 |
| 一般的な石油ファンヒーター | 原則不可 | ファンや制御装置に電源が必要 |
| 反射式・対流式石油ストーブ | 使用できる機種あり | 点火方式、換気、灯油、設置条件を確認 |
| 一般的なガスファンヒーター | 原則不可 | 電源を必要とする機種が多い |
| 電池式などのガスストーブ | 使用できる機種あり | ガス供給、換気、安全装置を確認 |
| 屋内用カセットガスストーブ | 条件付きで可能 | 屋内使用の可否、換気、低温時の燃焼性能に注意 |
| 外部電源不要のカセットガスファンヒーター | 条件付きで可能 | 専用設計の機種に限る |
| FF式ストーブ | 機種ごとに確認 | 電源の必要性と屋外給排気口の状態を確認 |
| 適切に設置された薪ストーブ | 設備条件による | 煙突・給排気・設置条件と電動部品の有無を確認 |
表の「使用できる機種あり」は、停電中なら無条件で使ってよいという意味ではありません。使用する機器の取扱説明書、燃料、換気条件、住宅の使用規則を確認してください。
石油ストーブと石油ファンヒーターは何が違う?
停電時の備えとしてよく挙げられるのが、反射式や対流式の石油ストーブです。
家庭用コンセントを必要としない機種であれば、停電中でも使用できる場合があります。ただし、点火に乾電池が必要な製品もあるため、停電前に電池の状態を確認しておくと安心です。
一方、一般的な石油ファンヒーターは、灯油を燃料にしていても、送風ファンや電子制御に電気を使用します。そのため、停電すると運転できなくなります。
また、石油ストーブが停電中に使えるとしても、換気できることが前提です。停電で換気扇が止まっているからといって、窓を閉め切ったまま使用してはいけません。
燃料にも注意が必要です。古い灯油や水分・異物が混入した灯油は、異常燃焼や故障の原因となる可能性があります。ガソリンや混合油を灯油の代わりに使用することは厳禁です。
カセットガスストーブは停電時に使える?
カセットガスストーブには、家庭用コンセントを使わずに運転できる製品があります。
例えば岩谷産業のカセットガスファンヒーター「風暖(CB-GFH-5)」は、外部電源を使わず、カセットガスの燃焼熱を利用した発電によってファンを動かす仕組みです。
メーカー公表の連続燃焼時間は、標準運転で約1時間40分、弱運転で約2時間30分。ただし、気温20〜25℃で測定した値であり、厳寒地で同じように使えることを保証する数字ではありません。
また、同社には専用ストーブユニットを備え、調理と暖房の両方に対応する「イザまる(CB-IZ-1)」もあります。
ここで重要なのは、暖房用として正式に設計された機器と、一般的な調理専用カセットコンロは別物だということです。
普通のカセットコンロを暖房代わりに長時間燃焼させたり、メーカーが認めていない器具を取り付けたりすることは避けてください。
さらに、カセットガスは低温になると気化しにくくなり、火力が低下したり使用できなくなったりする場合があります。寒冷地で使う場合は、使用できる温度や指定燃料を確認する必要があります。
安全装置が付いた屋内用ストーブでも、一酸化炭素中毒や火災の危険がなくなるわけではありません。
マンションや賃貸住宅では使用規則も確認する
停電対策として石油ストーブを購入する前に、住んでいる建物で使用できるかを確認しておきましょう。
集合住宅や賃貸住宅では、管理規約や契約条件によって、石油暖房器具などの使用が制限されている場合があります。
停電時だからといって、普段禁止されている器具を無条件に使えるわけではありません。建物の条件に合わない場合は、防寒用品や安全な避難先の確保を中心に備える必要があります。
冬の停電で絶対に避けたい危険な暖房方法
冬の停電では「少しでも暖かくなればよい」と、普段は暖房に使わない器具を利用したくなるかもしれません。
しかし、燃焼器具の誤使用は一酸化炭素中毒や火災につながります。特に次の方法は避ける必要があります。
七輪・練炭・木炭を室内で燃やす
七輪や練炭、木炭を室内暖房として使用してはいけません。
炭を燃やすと一酸化炭素が発生する危険があります。特に室内や車内、テントなどの閉鎖的な空間では、命に関わる中毒事故につながるおそれがあります。
「少し窓を開けておけば大丈夫」という考え方も危険です。室内暖房として使用しないことが基本です。
屋外用のキャンプストーブを部屋に持ち込む
アウトドア用のストーブやバーナーには、屋外での使用を前提としている製品が数多くあります。
キャンプ用品だから災害にも強いとは限りません。屋内使用が認められていない製品を自宅やテント、車内で使用すると、排ガスによる中毒や火災の危険があります。
必ず製品ごとの使用場所と禁止事項を確認してください。
ガスコンロやオーブンを部屋の暖房に使う
ガスコンロやガスオーブンは、基本的に調理のための器具です。部屋を暖める目的で使用し続けることは避けましょう。
停電時には換気扇が止まっている場合もあり、不完全燃焼や一酸化炭素中毒の危険が高まります。
なお、前述のようにメーカーが暖房用途を正式に認めている兼用製品は例外です。ただし、その場合も取扱説明書に従った使用と換気が必要です。
携帯発電機を室内や車庫で運転する
停電時に特に注意したいのが、エンジン式の携帯発電機です。
経済産業省は、携帯発電機を屋内で使用しないよう繰り返し注意を呼びかけています。
実際に2018年9月8日、北海道胆振東部地震後の停電時に、換気が不十分な屋内で携帯発電機を使用し、一酸化炭素中毒によって1人が死亡する事故が発生しました。
携帯発電機は室内、車庫、テント、車内では使用しないでください。屋外でも窓やドア、換気口の近くを避け、排気ガスが建物内に入らない場所で、取扱説明書に従って使用する必要があります。
ストーブの近くに洗濯物・寝具・カセットボンベを置く
停電中は、暖房器具の近くに家族が集まったり、布団を持ち込んだりする機会が増えるかもしれません。
しかし、ストーブの近くに洗濯物、毛布、衣類、紙、段ボールなどを置くと、接触や落下によって火災が発生する危険があります。
カセットボンベやスプレー缶を近づけることも危険です。加熱によって容器内部の圧力が上昇し、破裂するおそれがあります。
NITEが2026年10月29日に公表した資料では、2021〜2025年の5年間に主な暖房器具の製品事故が543件通知され、その約8割を電気暖房器具と石油暖房器具の事故が占めていました。
これは停電時だけの事故件数ではありませんが、普段から暖房器具と可燃物の距離を確保することの重要性を示しています。
また、給油はストーブを消火してから行い、燃料タンクのふたが確実に閉まっていること、燃料漏れがないことを確認してください。
石油ストーブやガス暖房を使うなら、一酸化炭素中毒に注意
電源不要のストーブを使えることは、停電時の大きな備えになります。しかし、燃焼器具を使用する以上、一酸化炭素中毒への注意は欠かせません。
一酸化炭素は無色・無臭で気付きにくい
一酸化炭素(CO)は、燃料の不完全燃焼などによって発生する有毒な気体です。
無色・無臭のため、においだけで危険を判断することはできません。
中毒になると、頭痛、めまい、吐き気、脱力感などが現れ、重症の場合は意識障害や死亡につながります。
燃焼式の暖房器具を使用している部屋で、家族が同時に頭痛や吐き気を訴えた場合も注意が必要です。
一酸化炭素中毒が疑われるときは、機器の使用を安全に停止できる場合は停止し、速やかに新鮮な空気のある安全な場所へ退避して119番に通報してください。意識の状態がおかしい場合は、機器の点検や換気作業にとどまらず、避難と救急対応を優先します。
停電中は換気扇が止まっていることを忘れない
日本ガス石油機器工業会は、停電中に商用電源を使わないガス・石油機器を使用する場合、窓を開けるなど十分に換気するよう案内しています。
目安としては1時間に1〜2回程度の窓開けが示されています。石油ストーブなどの安全案内では、1回につき1〜2分程度という目安も紹介されています。
ただし、これはどのような部屋でも安全を保証する時間ではありません。部屋の広さ、気密性、機器の種類、燃焼状態によって必要な換気は異なります。
寒いからと窓を閉め切ったまま燃焼器具を使用することは避け、製品の取扱説明書に従って十分に換気してください。
そもそも十分な換気を確保できない場所では、換気を必要とする暖房器具を使用しないことが大切です。
空気清浄機や一酸化炭素警報器があれば安心?
一般的なHEPAフィルターを備えた空気清浄機は、空気中の粒子を捕集するための機器であり、一酸化炭素を取り除く換気の代わりにはなりません。
また、一酸化炭素警報器は異常を早期に発見するための補助となりますが、警報器があるからといって換気を省略してよいわけではありません。
停電時への備えとしてCO警報器を用意する場合は、電池式など停電中にも作動する仕様か確認しましょう。
なお、ガス漏れを知らせる警報器と一酸化炭素を検知する警報器は、検知対象が異なる場合があります。どちらに対応しているか、機器の仕様を確認する必要があります。
夜間や就寝中に停電した場合はどうする?
冬の停電で特に不安なのが、夜間の寒さです。
昼間であれば日差しを利用できる場合がありますが、夜間は外気温が下がり、室内に残っている熱も徐々に失われます。
そこで重要なのが、寝る前の準備です。
寝る前に寝室と寝具を整えておく
停電が長引く可能性がある場合は、暗くなる前に必要な防寒用品を集めておきましょう。
寝具の下に断熱マットを敷き、厚手のパジャマや靴下を用意するなど、電気が使えなくても保温できる環境を整えます。
就寝中は自分の体調変化に気付きにくくなるため、無理に寒い部屋で眠ろうとしないことも大切です。
高齢者、乳幼児、持病のある人がいる家庭では、寒さが深刻になる前に暖かい避難先や支援を検討してください。
ストーブをつけたまま眠らない
電源不要の石油ストーブを持っていても、寝るときにつけっぱなしにすることは避けてください。
就寝中は火災や異常燃焼に気付くのが遅れる可能性があります。NITEも暖房器具について、就寝時や外出時には電源を切る、火を消すよう呼びかけています。
燃焼器具を使用し続けなければ眠れないほど室内が寒い場合は、そのまま我慢するのではなく、安全な暖房のある場所への移動を検討する必要があります。
カイロや湯たんぽを布団に入れっぱなしにしない
寒い夜は、カイロや湯たんぽを身体に密着させたくなるかもしれません。
しかし、比較的低い温度でも、同じ場所に長時間熱が加わることで低温やけどが起こる場合があります。
特に就寝中は熱さや痛みに気付きにくいため、製品の注意書きを守り、使用が禁止されている方法で寝具内に入れ続けないようにしましょう。
寒さで避難した方がよいのは何度から?低体温症の判断も重要
「室温が何度になったら危険なのか」「停電が何時間続いたら避難するべきなのか」は、多くの人が気になる疑問でしょう。
しかし、住宅の断熱性能、外気温、風の強さ、家族の年齢や健康状態によって危険性は大きく変わります。
そのため、すべての家庭に共通する「室温○℃で避難」「停電○時間で避難」という基準を設けることはできません。
室温18℃は健康維持の目安であり、避難の境界ではない
WHO(世界保健機関)は、寒い季節の一般的な健康保護の目安として、室温18℃を示しています。
厚生労働省も、冬の低い室温と血圧、睡眠などの健康への影響について注意を呼びかけています。
ただし、18℃は緊急避難の絶対的な基準ではありません。18℃を下回った瞬間に必ず避難が必要という意味でも、18℃以上なら全員が安全という意味でもありません。
高齢者や乳幼児、循環器・呼吸器などに持病のある人では、より暖かい室内環境が必要になる場合があります。
低体温症が疑われる症状を知っておく
寒さによって身体から失われる熱が増え、体温を維持できなくなると、低体温症につながる危険があります。
低体温症では、次のような症状が現れることがあります。
- 身体の震え
- 強い疲労感や異常な眠気
- 反応が鈍くなる、混乱する
- 言葉が不明瞭になる
- 手先の動作が不器用になる
- 意識の状態が悪くなる
乳児では、皮膚が冷たい、元気がないなど、大人とは異なる兆候が現れる場合もあります。
低体温症は医学的には深部体温35℃未満が一つの基準ですが、家庭用の体温計で正確な深部体温を測れるとは限りません。体温が測れないからといって、対応を遅らせないことが大切です。
疑わしい症状がある場合は、暖かい安全な場所へ移し、濡れた衣類を脱がせて乾いた衣服や毛布で保温し、速やかに救急対応を求めてください。
意識がはっきりしない人に無理に飲み物を飲ませたり、熱い風呂に入れたり、強い熱源を直接当てたりすることは避けます。
避難するかどうかは、室温だけで判断しない
冬の停電で避難を考える場合は、室温に加えて次の条件を確認しましょう。
- 安全に暖を取れる手段が残っているか
- 室内の寒さが強まり、保温が難しくなっていないか
- 家族に体調の異常が出ていないか
- 停電の復旧見込みが分かっているか
- 暖房の使える避難所や親族宅などへ移動できるか
- 屋外が暴風雪や凍結路面などで危険な状態ではないか
特に大雪や暴風雪の最中は、屋外へ出ること自体が危険になる場合があります。避難先が本当に利用できるか、そこまで安全に移動できるかも確認してください。
危険な寒さに耐え続ける必要はありませんが、無計画な移動も避けるべきです。自力で安全に避難できない場合や、体調に異常がある場合は、自治体の防災窓口や消防・救急などへ支援を求めます。
在宅で医療機器を使用している家庭は特に注意
在宅人工呼吸器や酸素濃縮装置など、電力に依存する医療機器を使用している家庭では、停電への対応が生命に直結する場合があります。
機器の非常用バッテリー、医療機関から指示されている代替手段、緊急連絡先などを平常時から確認しておく必要があります。
停電によって生命維持に必要な機器の稼働が確保できない場合は、一般的な防寒対策よりも医療上の緊急対応を優先し、主治医や医療機器業者、救急へ連絡してください。
また、在宅酸素療法中は火気にも特別な注意が必要です。厚生労働省は酸素濃縮装置などの周囲2m以内に火気を置かないよう注意を呼びかけています。
停電対策として石油ストーブやガスストーブを新たに使用する場合も、酸素機器の使用環境と医師の指示を優先し、火災の危険を避ける必要があります。
北海道などの寒冷地では水道管や給湯器の凍結にも注意
冬の停電が長引くと、暖房が止まるだけでなく、水道管や給湯器の凍結も問題になります。
住宅の温度が下がることで、普段は暖房によって凍結を防げていた場所にも影響が出る可能性があります。
水道管は外気温マイナス4℃以下で特に注意
札幌市水道局は、水道管の凍結に注意が必要な条件として、外気温がマイナス4℃以下になる場合、長時間水道を使用しない場合、真冬日が続く場合を挙げています。
ただし、マイナス4℃は注意を呼びかける目安であり、それより暖かければ絶対に凍結しないという意味ではありません。
凍結防止には、水抜き栓を利用して水道管の水を抜く方法が有効です。
水抜きの仕組みは住宅によって異なります。戸建て、マンション、アパートで操作方法が違う場合もあるため、建物に設置された水抜き栓の説明を確認してください。
電動式の水抜き栓については、停電時の操作や復旧方法も機種によって異なります。普段から使い方を確認しておくことが重要です。
給湯器の凍結防止機能も停電で止まることがある
ガス給湯器や石油給湯器には、凍結を防止するためのヒーターやポンプを備えた製品があります。
しかし、停電によって電気が供給されなくなると、これらの凍結防止機能が停止する場合があります。
日本ガス石油機器工業会も、停電時に凍結が予想される場合、取扱説明書に従った機器内の水抜きなどが必要になることを案内しています。
給湯器の種類によって必要な操作は異なります。浴槽の残り湯を利用した凍結防止機能などもあるため、自己判断で一律に水を抜いたり、逆に放置したりしないことが大切です。
凍結した水道管を直火で温めない
水道管が凍って水が出なくなっても、バーナーや火を直接当てる方法は避けてください。
札幌市水道局は、軽い凍結の場合、露出している管や蛇口にタオルを巻き、その上からお湯をゆっくりかける方法を紹介しています。ただし、直接お湯をかけたり直火を当てたりすると、破裂や火災の危険があります。
凍結の程度が強い場合や配管の状態が分からない場合は、指定給水装置工事事業者などへ相談してください。
詳しい水抜き方法や凍結時の対処は、札幌市水道局の水道凍結対策でも確認できます。
FF式ストーブは雪で給排気口が塞がれる危険もある
北海道などの積雪地域では、FF式ストーブの給排気口にも注意が必要です。
FF式ストーブは、一般的に屋外から燃焼用の空気を取り入れ、排気も屋外へ出す構造です。
しかし、屋外の給気口や排気口が雪で塞がれると、不完全燃焼や排ガスの逆流によって一酸化炭素中毒につながる可能性があります。
札幌市消防局は2026年1月にも、大雪による暖房器具の給排気口閉塞について注意を呼びかけています。
暖房が突然停止した場合は、停電だけでなく、安全装置の作動や給排気口の閉塞も原因として考えられます。安全を確認できない状態で繰り返し点火しないでください。
給排気口の周囲を確認する場合も、吹雪や落雪、屋根からの転落などの危険がある場所へ無理に出ないことが重要です。
車のエンジンをかけて暖を取っても大丈夫?
自宅の暖房が止まると、車のヒーターを利用することを考える人もいるでしょう。
しかし、雪が積もっている状況でエンジンをかけ続けることには、一酸化炭素中毒の危険があります。
マフラーの周囲が雪で塞がれると、排気ガスが車内へ入り込む場合があります。JAFの実験でも、積雪によって排気が妨げられると車内の一酸化炭素濃度が危険な水準に達することが確認されています。
窓を少し開けるだけで中毒を防げるとは限りません。
特に暴風雪や大雪の際は、自宅から車へ移動すること自体にも危険があります。車内でのエンジンを使った暖房を、安易な停電対策として考えないことが大切です。
自宅で安全に暖を取れない場合は、自治体の防災情報や救助体制を確認し、安全な暖房のある場所への移動を検討してください。
停電が復旧したら?通電火災と暖房器具の再使用に注意
停電から電気が復旧すれば、すぐに安心できると思うかもしれません。
しかし、復電時には電気製品が意図せず作動したり、損傷した機器や配線から火災が発生したりする危険があります。
電気ストーブや電熱器具のスイッチを確認する
停電中に電気ストーブ、電気ヒーター、電気こんろなどのスイッチが入ったままになっていると、復電時に再び加熱が始まる機器があります。
その周囲に衣類や紙、寝具などが置かれている場合、火災につながる危険があります。
停電中は、発熱する電気製品のスイッチを切り、安全にできる範囲で電源プラグを抜いておきましょう。
地震や浸水などで建物に被害がある場合は、復電前に配線や機器の損傷を確認する必要があります。
自宅から避難する際は、周囲の安全を確認したうえでブレーカーを切ることも重要です。ただし、火災や津波など差し迫った危険がある場合は、操作に時間をかけず避難を優先してください。
通電火災の仕組みやブレーカーの操作については、関連記事地震のあとブレーカーはいつ落とす?通電火災が起きる仕組みと復電前の確認事項でも詳しく整理しています。
給湯器やストーブの再起動は説明書に従う
停電から復旧すると、ガス給湯器や石油暖房器具の時計や設定が初期値に戻る場合があります。
また、エラー表示が出て運転できない場合もあります。無理に操作を繰り返さず、取扱説明書に従って確認してください。
異臭、異音、煙、燃料漏れ、給排気口の閉塞などがある場合は使用を中止し、メーカーや専門業者に点検を依頼する必要があります。
冬の停電では、電気が戻ったことだけでなく、暖房器具や給湯設備を安全に再使用できることまで確認することが大切です。
冬の停電に備えて用意しておきたい防災用品
冬の停電対策は、暖房器具だけを購入すれば完成するものではありません。
まずは身体の熱を守る用品を揃え、次に照明や通信手段、安全な熱源について考えることをおすすめします。
| 備えるもの | 主な役割 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 防寒着・帽子・手袋・靴下 | 身体の保温 | 家族全員のサイズと枚数 |
| 毛布・寝袋 | 夜間の保温 | 保温性能、収納場所、使用する人の年齢 |
| 断熱マット | 床からの冷えを軽減 | 厚さ、断熱性、必要な面積 |
| 使い捨てカイロ | 局所的な保温 | 使用期限、低温やけどへの注意 |
| 電池式LEDランタン | 停電中の照明 | 予備電池と連続点灯時間 |
| モバイルバッテリー | スマートフォンなどの充電 | 充電状態、劣化、対応機器 |
| 電池式CO警報器 | 一酸化炭素の異常検知を補助 | 検知対象、電源、設置条件 |
| 室温計 | 室温低下の把握 | 停電中でも使える電池式など |
| 水・調理不要の食品 | 長時間停電への備え | 保存期限、人数、食事制限 |
暖房器具を追加する場合は、価格や暖房能力だけでなく、安全に使用できる環境があるか、燃料を備蓄できるか、停電中でも点火できるかを確認してください。
また、防災用品を大量に買い揃える前に、自宅にある防寒着や寝具で何が使えるかを確認すると、無駄な購入を減らせます。
水や食料、携帯トイレなども含めた家庭全体の備えについては、防災備蓄は何を買う?最低限必要なものと1週間分の買い物リストで詳しく紹介しています。
ポータブル電源があれば電気毛布やストーブは使える?
ポータブル電源を持っている場合は、対応する電気毛布や暖房機器を使用できることがあります。
ただし、ポータブル電源なら何でも使えるわけではありません。
確認したいのは、ポータブル電源の定格出力、容量、接続する機器の消費電力、起動時の電力、出力方式などです。
例えば、消費電力の大きい電気ストーブは、ポータブル電源の容量を短時間で使い切る可能性があります。一方、電気毛布などは比較的少ない電力で使える製品もあります。
実際の使用時間は製品の仕様や温度設定、電源の変換損失、バッテリーの状態、周囲の気温などによって変わります。容量だけを見て「必ず何時間使える」と判断しないことが重要です。
なお、ポータブル電源の代わりにエンジン式の携帯発電機を室内で運転することはできません。両者は仕組みも安全上の注意点も異なります。
冬の停電でよくある質問
Q.暖房が止まった部屋は何時間で寒くなりますか?
住宅の断熱性能、外気温、風の強さ、窓の大きさ、停電前の室温などによって異なります。
高断熱住宅と古い住宅では室温の下がり方が大きく違うため、全国共通の時間を示すことはできません。室温計を利用し、寒さの進行と家族の体調を確認してください。
Q.石油ストーブなら停電が何日続いても使えますか?
使用できる期間は燃料の量や消費量によりますが、燃料があれば何日でも安全に使えるという意味ではありません。
換気、燃料の品質、機器の状態、給油時の安全、設置条件を守る必要があります。また、就寝時には消火してください。
Q.カセットガスストーブは氷点下でも使えますか?
機器や使用するカセットガスの種類、周囲の気温によって異なります。
一般的なブタンガスは気温が低くなると気化しにくくなり、火力が低下したり使えなくなったりします。メーカーが指定していない燃料への交換や、ボンベを火気で温める行為は避けてください。
Q.停電中、カセットコンロでお湯を沸かしてもよいですか?
停電中でも使用できるカセットコンロはあります。ただし、使用できる場所、換気、燃料、設置条件などを守る必要があります。
換気扇が止まっている場合は特に注意し、窓を開けるなど十分な換気ができない状況では使用しないでください。
また、通常の調理用カセットコンロを部屋の暖房代わりに使用することは避けましょう。
Q.停電中は窓を閉め切った方が暖かく過ごせますか?
燃焼器具を使用していない場合は、カーテンやドアを閉めて熱の流出を抑えることが防寒に役立ちます。
ただし、石油ストーブやガスストーブなど換気を必要とする機器を使用する場合は、十分な換気が必要です。換気口や給排気口を塞ぐことも避けてください。
Q.停電したら、すぐに避難所へ行くべきですか?
停電したという理由だけで、必ず全員が直ちに屋外へ避難する必要があるわけではありません。
安全に保温できる状況か、停電の復旧見込みがあるか、家族に体調の異常がないか、屋外の移動が危険ではないかを確認することが大切です。
ただし、低体温症や一酸化炭素中毒が疑われる場合など、緊急性の高い状況では救急対応を優先してください。
Q.停電中にスマートフォンもつながらなくなったら?
大規模災害では、通信設備の停電や故障、通信の集中によってスマートフォンがつながりにくくなる場合があります。
公衆電話や災害用伝言ダイヤルなど、別の連絡手段を知っておくことも備えになります。
詳しくは公衆電話はなぜ災害時につながりやすい?停電でも使えるのか、スマホとの違いを整理で解説しています。
まとめ|冬の停電では暖かさの確保と安全性の両方を考える
冬の停電で暖房が止まった場合、まず行いたいのは、身体の熱を逃がさず、室内に残っている暖かさをできるだけ保つことです。
重ね着、毛布、寝袋、窓や床の断熱などは、電気がなくても実行できる大切な対策です。
一方、石油ストーブやカセットガスストーブなどを使用する場合は、電源が不要という理由だけで安全と判断してはいけません。換気、燃料、設置環境、火災防止の条件を必ず確認してください。
特に一酸化炭素中毒や低体温症は、対応が遅れると生命に関わります。寒さを我慢し続けることを前提とせず、安全な暖房を確保できない場合は、早めに支援や避難を検討することが重要です。
さらに寒冷地では、水道管や給湯器の凍結、FF式ストーブの給排気口を塞ぐ積雪など、暖房以外の危険にも目を向ける必要があります。
冬の停電対策で本当に大切なのは、暖房器具を一つ持つことではなく、暖房が使えなくなったときにも安全に行動できる準備を整えておくことです。
本格的な冬が来る前に、家庭の暖房器具の電源方式、防寒用品の保管場所、停電中の連絡手段、暖かい避難先を一度確認しておきましょう。