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公衆電話はなぜ災害時につながりやすい?停電でも使えるのか、スマホとの違いを整理

目次
  1. 公衆電話はなぜ災害時につながりやすい?停電・無料化・171も解説
  2. まず結論|公衆電話は災害時に「つながりやすくなる」が、万能ではない
  3. なぜ災害が起きると電話がつながらなくなるのか
  4. では、なぜ公衆電話は災害時につながりやすい?
  5. 「災害時優先電話」と公衆電話は同じものではない
  6. 公衆電話は停電しても使える?
  7. なぜ電話は家が停電しても使えることがあるのか
  8. 110・118・119は硬貨がなくてもかけられる
  9. 災害が起きると公衆電話は無料になる?
  10. 公衆電話とスマホ、災害時に強いのはどちら?
  11. 公衆電話・加入電話・ひかり電話・スマホの違い
  12. 電話がつながらないときに覚えておきたい「171」
  13. web171ならインターネットから安否を残せる
  14. 避難所にある「災害時用公衆電話」とは?
  15. 公衆電話は今、どれくらい残っている?
  16. 大災害で公衆電話と171は実際に使われてきた
  17. 災害時、つながらない電話を何度もかけ続けるのは避けたい
  18. 近くの公衆電話は、災害が起きる前に調べられる
  19. 平時にやっておきたいのは「通信手段を増やす」こと
  20. まとめ|普段は目立たない公衆電話が、災害時には別の役割を持つ
  21. 主な確認先

公衆電話はなぜ災害時につながりやすい?停電・無料化・171も解説

「災害時にスマートフォンの通信が使えない中、緑色の公衆電話を利用する人のイラスト」

駅前やコンビニの近くで見かけても、普段はほとんど使わなくなった公衆電話。

ところが地震や台風などの大きな災害が起きると、「スマートフォンがつながりにくいときは公衆電話を使う」という話が出てきます。

なぜ古くからある公衆電話の方が、災害時には頼りになるのでしょうか。

理由は単純に「電話線だから強い」という話ではありません。大きなポイントは、災害時に電話が集中したとき、通信網を守るため一般の電話には接続量の制御が行われる一方、公衆電話などからの発信は優先的に扱われる仕組みがあることです。

さらに、停電中でも条件次第で通話できる公衆電話があります。ただし「公衆電話なら必ずつながる」「停電しても全部使える」「緑色なら大丈夫」という理解は正しくありません。

この記事では2026年9月時点のNTT東日本・NTT西日本の情報を中心に、公衆電話が災害時につながりやすい理由、停電中の硬貨とテレホンカードの違い、110・118・119、災害時の無料化、171、スマートフォンとの違い、避難所の「災害時用公衆電話」までまとめます。

※掲載内容は2026年9月18日時点で確認した情報です。実際の災害発生時には、NTTや通信事業者が発表する最新の提供状況も確認してください。

まず結論|公衆電話は災害時に「つながりやすくなる」が、万能ではない

疑問結論注意点
災害時につながりやすい?一般電話よりつながりやすくなる場合があるふくそう制御時に優先的に扱われる。ただし接続を保証するものではない
停電でも使える?条件付きで使える電話機の種類、内蔵バッテリー、回線やNTT設備の状態などに左右される
テレホンカードは使える?停電時は使えないNTT東西が現行案内で明記
硬貨は使える?利用できる場合があるグレーのディジタル公衆電話は内蔵バッテリー切れなどで利用できなくなる場合がある
110・118・119は?硬貨・カードなしで発信できる赤い緊急通報ボタンの有無で操作方法が違う
災害時は普通の通話も無料?NTTが無料化を実施した場合のみ災害発生と同時に自動的に無料になるわけではない
171は使える?公衆電話から利用できる実災害時は171が提供されていることが前提
絶対につながる?つながるとは限らない回線断、設備被災、相手側の障害や話中などでは接続できない

ここで最初に押さえておきたいのは、「つながりやすい」と「必ずつながる」はまったく違うことです。

公衆電話の強みは、災害で電話が集中したときの通信制御にあります。電話線そのものが切れていたり、交換設備や局舎が被災していたりすれば、その優先性だけで通話できるわけではありません。

なぜ災害が起きると電話がつながらなくなるのか

大地震が起きた直後を想像すると分かりやすくなります。

ニュースや緊急速報で災害を知った人が、一斉に家族、親戚、知人へ電話をかけ始めます。被災地の中だけではありません。全国各地から「大丈夫?」という安否確認の電話が被災地域へ集中します。

NTTでは、こうした安否確認などの電話を「見舞い呼」と呼んでいます。

一定以上の電話が集中すると、交換機の処理が圧迫されます。そのまま接続要求を受け続ければ、交換機そのものの処理に支障が出て、さらに広い範囲で電話が使えなくなるおそれがあります。

「ふくそう」は、単に回線が混んでいるだけではない

このように通信が集中してつながりにくくなる状態を「ふくそう」といいます。

NTT東日本が公開している災害時のふくそう制御の説明では、交換機の処理が限界へ達する前にトラヒック制御装置へ通知し、全国の交換機に対して接続量の制御を行う仕組みが示されています。

災害時に電話がつながりにくくなる流れ

大規模災害が発生

全国から被災地へ安否確認の電話が集中

交換機の処理が圧迫される

通信網全体を守るため接続量を制御

一般の電話がつながりにくくなる一方、災害復旧に必要な重要通信などを確保

つまり、災害時に電話がつながらない場面では「大量の人が同じ基地局を使っている」だけで説明できないケースがあります。固定電話網では、ネットワーク全体を守るため意図的に接続量を抑えていることがあるのです。

では、なぜ公衆電話は災害時につながりやすい?

ここで公衆電話の特徴が出てきます。

NTT東日本・NTT西日本は、災害時のふくそう制御について、一般電話の接続量を制御する一方で、公衆電話などの優先電話から発信される通話を確保する仕組みを案内しています。

これが「災害時は公衆電話の方がつながりやすい」といわれる大きな理由です。

公衆電話に特別に強力な電波が出ているわけでも、通信容量が無限にあるわけでもありません。一般電話へ制御がかかっている状況で、公衆電話からの発信は違う扱いを受けるため、結果としてつながりやすくなります。

公衆電話なら絶対につながるわけではない

優先されるのは、あくまで通信制御上の話です。

公衆電話につながる電話線が切断されている、電話機自体が壊れている、NTTの通信設備が被災している、相手側の回線が使えない、相手が話中――こうした場合まで接続できるわけではありません。

実際、2018年の北海道胆振東部地震では、NTT東日本が北海道全域の約5,800台の公衆電話を無料化しましたが、その案内には通信障害によって利用できない公衆電話があることや、NTTビルの非常用電源が枯渇すると利用できなくなる公衆電話があることも記載されていました。

「優先通信」と「物理的な設備被害に強いこと」は分けて考える必要があります。

「災害時優先電話」と公衆電話は同じものではない

名前が似ているため混同しやすいのが、「災害時優先電話」です。

災害時優先電話は、災害時の援助、復旧、公共の秩序維持などに必要な通信を確保するため、法律に基づいて対象機関へ提供される電話です。

対象には、気象、水防、消防、災害救援、国や地方公共団体のほか、警察、防衛、輸送、電力、水道、ガス、新聞社、通信社、放送事業者など一定の機関が含まれます。

こちらも一般電話より発信が優先されますが、一般の人が街中で利用する公衆電話そのものが「災害時優先電話という特別契約」になっている、という意味ではありません。

公衆電話もふくそう制御時に優先的に扱われますが、制度上の災害時優先電話とは分けて理解した方が正確です。

公衆電話は停電しても使える?

ここは「はい」「いいえ」だけでは答えられません。

NTT東西の現在の案内では、公衆電話を大きくアナログ公衆電話ディジタル公衆電話に分け、停電時の挙動を説明しています。

停電時ディジタル公衆電話アナログ公衆電話
硬貨での発信利用可※条件あり利用可
テレホンカード利用不可利用不可
110・118・119利用可利用可
無料通話利用可利用可※硬貨投入が必要な機種あり。通話後に硬貨は戻る

NTT東西の現行案内では、停電時にテレホンカードは利用できません。通常通話をするなら、まず硬貨を想定した方が安全です。

ただしディジタル公衆電話にはさらに条件があります。NTTは、グレーのディジタル公衆電話は内蔵バッテリーで動作し、バッテリーが切れると利用できないと案内しています。また、硬貨を収納する金庫がいっぱいになった場合も硬貨発信ができません。

通話中に停電した場合は、いったん通話が切れ、カードまたは硬貨が戻るため、再度かけ直す必要があります。

「緑色ならアナログ」は間違い

公衆電話を色で見分けようとすると、もう一つ落とし穴があります。

NTT東西の現在の分類では、ディジタル公衆電話は「グレーまたは緑色」、アナログ公衆電話は「緑色」です。

つまり、緑色を見ただけではアナログかディジタルか断定できません。

背景には公衆電話機の変化があります。NTT東日本の歴史資料によると、2005年に登場した新形ディジタル公衆電話には、一目で公衆電話と分かるグリーンのカラーリングが採用されました。その後2016年に登場した新形アナログ公衆電話も、同系統の外観を流用しています。

昔は赤電話、青電話、黄電話、緑電話、グレーのディジタル公衆電話と、色の印象が機種と結び付きやすい時代もありました。しかし現在は、色だけで停電時の挙動まで判断しない方が確実です。

なぜ電話は家が停電しても使えることがあるのか

ここは公衆電話を理解するうえで面白いところです。

昔ながらのメタル回線を使う加入電話では、対応した電話機なら電話回線側から電力の供給を受けることができます。NTT西日本も現在のFAQで、加入電話やINSネットについて「回線から電力を供給しているため、対応した電話機なら停電時も利用できる」と案内しています。

つまり、家庭の100Vコンセントが停電したからといって、電話に必要な電気まで必ず同時に消えるとは限りません。

ただし、これを「固定電話なら全部停電に強い」と言い換えるのは危険です。

コードレス電話の親機、FAX、留守番電話、ビジネスホンなど、家庭や事業所のコンセントから電源を取る機器は停電で使えなくなる場合があります。さらに、ひかり電話はONUやホームゲートウェイなどの宅内機器にも電源が必要です。

電話回線側が正常でも、家の中の機械に電気が来なければ通話できない。この違いがあるため、「固定電話」という一言だけでは停電耐性を判断できません。

110・118・119は硬貨がなくてもかけられる

公衆電話からの緊急通報は、通常の通話とは扱いが違います。

110は警察、118は海上保安庁、119は消防・救急。この3番号への発信には硬貨もテレホンカードも必要ありません。

ただし、操作方法は電話機によって違います。

電話機緊急通報の操作
赤い緊急通報ボタンなし受話器を上げ、110・118・119をそのままダイヤル
赤い緊急通報ボタンあり受話器を上げ、赤い緊急通報ボタンを押してから110・118・119をダイヤル

「公衆電話では赤いボタンを押して119」と覚えてしまうと、赤いボタンのない機種で迷います。ボタンがなければ、受話器を上げて緊急通報番号を直接ダイヤルします。

災害が起きると公衆電話は無料になる?

災害が起きた瞬間に、全国の公衆電話が自動的に無料になるわけではありません。

NTT東西は、災害救助法の適用が想定される規模の災害によって交通機関の遮断など社会的な混乱が起き、固定電話や携帯電話の通話規制が発生する可能性がある状況などを総合的に判断し、必要な場合に公衆電話を無料化するとしています。

つまり「震度○以上なら無料」「台風が上陸したら無料」といった単純な自動発動ルールではありません。

最近の例では、2026年7月の令和8年熊本地震で、NTT西日本が熊本県の指定した一部エリアの公衆電話を無料化しました。県内すべて、まして全国すべてが一律に無料になったわけではありません。

無料化されても、操作方法は電話機で違う

赤い緊急通報ボタンがない公衆電話では、無料化中は受話器を上げ、そのまま番号をダイヤルできます。

一方、赤い緊急通報ボタンがある電話機では、無料化中でも一度硬貨またはテレホンカードを入れて発信する方式です。通話料は課金されません。

さらに停電が重なるとテレホンカードは使えないため、状況によっては硬貨が必要になります。

なお、110・118・119が平常時から硬貨・カード不要なのは、この「災害時の公衆電話無料化」とは別の話です。

公衆電話とスマホ、災害時に強いのはどちら?

これは勝ち負けで考えない方が実態に合っています。

公衆電話には、自分が持っているスマートフォンの電池残量に左右されず、固定電話網のふくそう制御でも一般電話とは違う扱いを受けられるという特徴があります。

一方、スマートフォンには音声通話以外にも、SMS、インターネット、地図、位置情報、SNS、メッセージアプリ、防災情報、緊急速報、災害用伝言サービスなど、公衆電話にはできないことが大量にあります。

災害時に重要なのは「どちらが最強か」ではなく、一つの通信手段が使えなくなったとき、別の手段へ切り替えられることです。

基地局は停電した瞬間に止まるわけではない

スマートフォンについても、「停電したら基地局が即停止する」という説明は正しくありません。

携帯各社は基地局や通信拠点に蓄電池、自家発電設備などを用意し、災害時には移動基地局車、可搬型基地局、移動電源車などを投入します。通信事業者によっては、衛星通信を基地局のバックホールに利用する対策も進めています。

ただし非常用電源にも限界があります。停電が長期化し、燃料補給も難しくなったり、基地局までつながる光ケーブルなどの伝送路が切断されたり、基地局そのものが被災したりすれば、携帯電話サービスを維持できない場合があります。

実際、2026年の災害による携帯電話障害でも、通信事業者は停電だけでなく「伝送路の故障」「通信設備の故障」などを原因として公表しています。

2026年からは「JAPANローミング」も始まった

スマートフォン側の災害対策も変化しています。

NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯5社は、2026年4月1日から「JAPANローミング」を開始しました。

大規模災害や大規模障害で契約している会社のネットワークが使えない場合、条件が整えば他社の4G LTEネットワークへ一時的に接続し、一部の通信を利用できる仕組みです。実際に2026年の災害・障害対応でも提供例が出ています。

ただし常時使えるサービスではなく、提供されるエリア、方式、対応端末などに条件があります。これも「スマホならもう災害時も絶対大丈夫」という意味ではありません。

公衆電話・加入電話・ひかり電話・スマホの違い

項目公衆電話加入電話ひかり電話スマホ
自宅停電の影響自宅電源には依存しない電話機による宅内機器の電源が必要本体バッテリーで一定時間利用可能
停電時の注意機種・設備・バッテリー状態などに依存回線給電対応の単体電話機なら利用できる場合ありONU・ホームゲートウェイ等が止まると利用不可充電切れ、基地局・伝送路障害に注意
災害時の通信制御一般電話より優先的に扱われる一般回線は制御対象になり得る一般利用の通信として影響を受け得る携帯網側で通信規制が行われる場合あり
171○※利用条件あり○※契約事業者の条件を確認
Web・SNS××別途インターネット環境が必要

加入電話の欄で特に注意したいのが電話機です。回線から電力を受けられる加入電話でも、コードレス電話の親機などが家庭のコンセントを必要とするなら、停電で電話機側が使えなくなることがあります。

ひかり電話も、ONUやホームゲートウェイなどにUPS(無停電電源装置)を用意すれば一定時間使える場合がありますが、何も対策していなければ「光回線が生きている=電話も使える」とは限りません。

電話がつながらないときに覚えておきたい「171」

災害時、公衆電話から家族へ直接電話をかける方法だけを覚えておくのは十分ではありません。

もう一つ知っておきたいのが、災害用伝言ダイヤル「171」です。

171は、被災地などの電話番号をキーにして音声の伝言を残し、家族や知人が後からその伝言を再生できる「声の伝言板」です。

相手が電話に出るまで何度も直接かけ続けるのではなく、いったん171へ安否情報を残せます。電話が集中する災害時に、直接通話だけに頼らず連絡できることが重要です。

171は公衆電話からも利用できる

NTT東西によると、171は加入電話、ISDN、公衆電話、ひかり電話、災害時用公衆電話などから利用できます。携帯電話からも利用できますが、発信可否や料金などは契約している通信事業者の条件も確認する必要があります。

基本操作は、171をダイヤルし、音声ガイダンスに従って「1」で録音、「2」で再生を選び、キーとなる電話番号を入力して進みます。固定電話番号を使う場合は市外局番から入力します。

171の項目2026年9月時点の内容
1伝言の録音時間30秒以内
保存期間171の提供終了まで
蓄積数電話番号あたり1~20伝言。提供時に設定・案内
公衆電話利用可能
携帯電話利用可能。詳細・料金は通信事業者を確認

古い防災情報で「171の伝言は48時間保存」と書かれていることがありますが、現在のNTT東西の案内は違います。災害時の保存期間はサービスの提供終了までで、蓄積数も状況に応じて1~20伝言の範囲で設定されます。

171は普段から練習できる

いざ災害が起きてから初めて171を使おうとすると、どの番号を入力するのか迷うかもしれません。

そのためNTT東西は、災害が発生していない時期にも体験利用日を設けています。

体験利用日時間
毎月1日・15日0時~24時
正月三が日1月1日0時~1月3日24時
防災週間8月30日9時~9月5日17時
防災とボランティア週間1月15日9時~1月21日17時

体験利用時は1伝言30秒、電話番号あたり20伝言、保存は体験利用期間終了までです。実際の災害が発生している場合など、体験利用できないこともあります。

家族で一度試しておくなら、操作だけでなく、「誰の電話番号をキーとして使うか」まで決めておくと実際の災害時に迷いません。NTTも事前に家族や親戚、友人の間でキーとなる電話番号を決めておくよう案内しています。

web171ならインターネットから安否を残せる

171のインターネット版にあたるのが、災害用伝言板「web171」です。

web171では電話番号をキーにして、名前、安否、100文字以内の伝言などを登録・確認できます。

171とweb171は相互連携しており、171へ録音された音声伝言をweb171側で確認したり、web171へ登録されたテキスト伝言を171側で音声変換して確認したりすることもできます。

ただし171とweb171では保存条件が同じではありません。web171の現行案内では伝言板あたり20件、保存期間は最大6カ月ですが、災害の状況によって提供条件は変わります。

音声電話がつながりにくいときでもデータ通信が使えるならweb171、反対にインターネットへ接続できなくても電話が使えるなら171というように、複数の経路を持てます。

避難所にある「災害時用公衆電話」とは?

街中に置かれている公衆電話とは別に、避難所などには「災害時用公衆電話」があります。

以前は「特設公衆電話」と呼ばれていたもので、NTT西日本は現在の案内でも「旧:特設公衆電話」と説明しています。

市町村などの要請に基づいて、避難所や一時滞在施設へあらかじめ回線を構築しておき、実際に避難所が開設された際などに施設管理者が電話機を設置して使えるようにする仕組みです。

通常時は利用できないものが多く、開設された災害時には被災者などが無料で利用できます。

項目街中の公衆電話災害時用公衆電話
普段使える?原則として通常時は利用不可
主な設置場所駅、道路沿い、公共施設、商業施設など避難所、一時滞在施設など
災害時の料金NTTが無料化した場合に無料開設時は無料
171
停電・設備被害機種・回線・通信設備の状態に依存回線・施設・通信設備の状態に依存
整備方法NTTが設置・維持自治体等とNTTが協議し事前整備

全国で何台あるのかは、東西の基準日が違う

2026年9月時点で確認できる最新公表値では、NTT東日本エリアは2025年9月末時点で25,011カ所・51,056台。776/839自治体への設置を完了しています。

NTT西日本エリアは2026年3月31日時点で21,644カ所・38,271台、855自治体です。

単純に台数を足せば89,327台になりますが、東日本と西日本では公表値の基準日が半年違います。そのため「2026年現在、全国89,327台」と同一時点の数字のように扱うのは避けた方が正確です。

なお、2022年4月からは避難所や一時滞在施設へ設置する事前設置型の災害時用公衆電話も、電話のユニバーサルサービスの対象に追加されています。

公衆電話は今、どれくらい残っている?

スマートフォンの普及で、公衆電話そのものは大幅に減っています。

NTTの2025年度期末サービス概況によると、2026年3月末の通常の公衆電話は、NTT東日本が約4.1万台、NTT西日本が約4.2万台。全国では約8.3万台です。

公衆電話の施設数が最大だった1984年度は934,903台でした。単純比較では現在はピーク時の1割弱となり、約91%減っています。

それでもゼロにはなっていません。

「第一種公衆電話」は最低限の通信手段として残されている

公衆電話の中でも重要なのが「第一種公衆電話」です。

第一種公衆電話は、戸外における最低限の通信手段を確保するためのもの。2022年の設置基準見直し後は、市街地でおおむね1kmに1台、それ以外の地域ではおおむね2kmに1台を基準として設置されています。

2026年3月31日現在の第一種公衆電話は、NTT東日本34,811台、NTT西日本30,388台。合わせて65,199台です。

一方、公衆電話の利用減少は続いているため削減も進みます。NTT東西は2026年度、第一種公衆電話を東日本5,000台、西日本4,000台、合わせて9,000台削減する計画を公表しています。

つまり現在の公衆電話政策は、「昔の台数をそのまま残す」ものではありません。

街中には戸外の最低限の通信手段として公衆電話を残し、避難所などには別途、災害時用公衆電話を事前に整備する。スマートフォン時代の公衆電話は、こうした二段構えへ変わっています。

大災害で公衆電話と171は実際に使われてきた

阪神・淡路大震災をきっかけに171が生まれた

災害用伝言ダイヤル171は、1995年の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて開発され、1998年3月31日から提供されています。

2011年の東日本大震災では、NTTの資料で約347万件の利用が記録されています。ここでいう利用件数は録音と再生を合わせた延べ件数です。

北海道胆振東部地震では約5,800台を無料化

2018年の北海道胆振東部地震では、北海道全域約5,800台の公衆電話が無料化されました。

ただし同じ公式発表の中で、通信障害によって使えない公衆電話や、NTTビルの非常用電源が枯渇すると使えなくなる公衆電話についても注意が出されています。

公衆電話の性質を理解するうえで象徴的な例です。料金を無料化でき、ふくそう制御では優先されても、通信設備そのものの物理的な限界まで消えるわけではありません。

能登半島地震でも171は50万件以上利用された

令和6年能登半島地震では、2024年1月1日から6月25日までの171利用が、録音205,588件、再生328,309件、合計533,897件に達しました。

同期間のweb171も、登録72,966件、閲覧325,644件、合計398,610件が利用されています。

スマートフォンが広く普及した時代でも、電話による171とインターネットによるweb171の両方が現役の災害通信手段として使われていることが分かります。

災害時、つながらない電話を何度もかけ続けるのは避けたい

家族と連絡が取れなければ、すぐにもう一度かけたくなります。

しかし、多数の人が同じことを繰り返せば、新しい接続要求が次々と通信網へ入ります。災害時にふくそうが発生する仕組みを考えれば、不要不急の電話や過度なリダイヤルを控えることには意味があります。

音声通話だけに頼らず、171、web171、SMS、メール、メッセージアプリ、SNSなど、利用できる通信手段へ分散させる方が現実的です。

ただし「SMSなら絶対に届く」「SNSなら災害時でも必ず使える」とも言えません。スマートフォン側の電池、基地局、データ通信網、Wi-Fi、各サービスの稼働状況など、それぞれ違う条件に左右されます。

大切なのは、電話一本に連絡方法を集中させないことです。

近くの公衆電話は、災害が起きる前に調べられる

いざ停電してスマートフォンの電池を節約したい場面で、初めて「公衆電話ってどこにあったっけ?」と探すのは大変です。

NTT東日本・NTT西日本は、それぞれ公式の公衆電話設置場所検索を公開しています。

公衆電話を探す公式サイト

NTT東日本「公衆電話 設置場所検索」
NTT西日本「公衆電話 設置場所検索」

2026年9月18日の確認時点では、両サイトとも2026年9月15日現在の設置情報を検索できます。屋内設置の場合などは、施設の営業時間によって利用できない時間帯もあります。

災害時用公衆電話についても、NTT東日本・西日本が施設管理者から公開許可を得た設置場所を検索・一覧表示しています。

自宅だけでなく、勤務先、学校、よく利用する駅の周辺でどこに公衆電話があるか、一度見ておくだけでも違います。

平時にやっておきたいのは「通信手段を増やす」こと

公衆電話について調べていくと、結局たどり着くのは「スマホか公衆電話か」という二択ではありません。

スマートフォンは災害時にも非常に重要です。情報収集、地図、緊急速報、家族とのメッセージ、自治体情報の確認など、公衆電話では代替できません。そのスマートフォンが使えなくなったとき、公衆電話や171という別経路を持っていることに意味があります。

家庭での備えなら、モバイルバッテリーだけでなく、家族の電話番号を紙にも残す、公衆電話用の硬貨を少量持っておく、171を一度体験しておく、といった準備も考えられます。

水や食料、ライト、モバイルバッテリーなど基本的な備蓄については、大地震に備える防災グッズ10選でも整理しています。また、普段の防災セットから漏れやすいものは意外と役立つ防災アイテム15選にまとめています。

災害前に確認しておきたいこと

近所・勤務先・学校周辺の公衆電話を一度確認する。家族で171に使う電話番号を決める。体験利用日に171とweb171を実際に試す。スマートフォンの充電手段を用意する。そして、電話・SMS・インターネットのどれか一つだけに連絡方法を集中させない。

公衆電話は「スマホの代わり」ではなく、スマホが使えない状況で残る可能性がある別の通信経路です。

まとめ|普段は目立たない公衆電話が、災害時には別の役割を持つ

公衆電話が災害時につながりやすい最大の理由は、単に昔の電話設備だからではありません。

大量の安否確認電話が集中すると、交換機の処理を守り、警察や消防などに必要な通信を確保するため、一般の電話には接続量の制御が行われます。その状況で、公衆電話などからの発信は優先的に扱われます。

停電時にも硬貨で通話できる公衆電話がありますが、テレホンカードは利用できず、ディジタル公衆電話では内蔵バッテリーなどの条件もあります。通信設備そのものが壊れていれば、優先通信であってもつながりません。

一方、スマートフォンの通信網も、非常用電源、移動基地局、衛星回線、2026年に始まったJAPANローミングなど、災害対策を進化させています。

公衆電話は1984年度の約93万台から、2026年3月末には全国約8.3万台まで減りました。それでも第一種公衆電話を最低限残し、避難所には災害時用公衆電話を事前整備する仕組みが続いています。

普段はほとんど使わない設備でも、スマートフォンの充電が切れたとき、携帯網が混雑したとき、あるいは別の連絡経路が必要になったときには意味が変わります。

公衆電話、スマートフォン、171、web171。どれか一つを「最強の災害通信」と考えるのではなく、違う仕組みの通信手段を重ねて持っておく。

スマホ時代にも公衆電話が防災インフラとして残っている理由は、そこにあります。

主な確認先

本記事は、NTT東日本「災害時のふくそう制御のしくみ」「公衆電話の種類と利用方法」「災害用伝言ダイヤル(171)」、NTT西日本「公衆電話の災害対策」「171体験利用の案内」など、2026年9月時点で公開されているNTT東西の一次情報を中心に確認しています。

災害時用公衆電話の設置状況は、NTT東日本NTT西日本の最新公表値を使用しています。公衆電話・171・無料化措置などの提供条件は今後変更される可能性があります。

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