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ファミ通 クロスレビューはなぜゲームの買い方を変えた?1986年開始から『時のオカリナ』初40点まで

ゲーム雑誌のクロスレビュー文化をイメージした画像

ゲーム発売前、4人のレビュアーが付けた点数を見て「これは買う」「少し様子を見る」と考える。

現在は動画、SNS、体験版、ユーザーレビューなど判断材料が大量にありますが、1980〜90年代は発売前にゲームの中身を知る手段が今ほど多くありませんでした。

その時代に強い存在感を持ったのが、ファミ通の名物企画「新作ゲーム クロスレビュー」です。4人がそれぞれ10点満点で評価し、合計40点で示す。この単純な仕組みが、ゲームの評価を“数字で比べる文化”として広く定着させました。

クロスレビューは1986年から続くファミ通の名物企画

ファミ通は1986年6月6日に『ファミコン通信』として創刊しました。2026年の創刊40周年企画でも、クロスレビューは1986年から続く名物コーナーとして紹介されています。

基本形は、4人のレビュアーが同じゲームを遊び、それぞれ10点満点で点数と短評を付ける方式です。

一人の評論家が結論を出すのではなく、同じゲームへ4人の評価を横に並べる。だから合計点が高くても、内訳を見ると意見が割れていることがあります。

“4人で見る”ことに意味があった

クロスレビューの面白さは、40点満点という数字だけではありません。

アクションが得意な人、RPGを多く遊ぶ人、シリーズ経験者、初めて触れる人。同じゲームでも見る場所が違えば評価は変わります。

その違いを一つの欄に並べたことで、読者は「合計何点か」だけでなく、なぜその点数なのかを読むようになりました。

「操作は快適だがボリュームが少ない」「難しいがハマる」「シリーズ経験者向け」といった短評があれば、自分に合うかどうかを判断できます。レビュー点数が“絶対評価”ではなく、買う前の材料として機能した理由です。

複数のレビュアーが一つのゲームを評価する様子をイメージした画像

発売前のゲームに“共通のものさし”ができた

1980〜90年代は、ゲーム1本の価格が数千円から1万円を超えることもありました。子どもにとって何本も気軽に買えるものではありません。

しかも動画配信はなく、発売前に実際のプレイ感覚まで確認するのは難しい。雑誌の写真、紹介記事、広告、友人の評判など限られた情報から選ぶ必要がありました。

そこへ毎週ほぼ同じ形式で並ぶ40点満点のレビューがあれば、少なくとも「編集部の4人はどう見たか」を比較できます。

クロスレビューがゲームの売上を直接決めた、とまで断定することはできません。ただ、発売前の読者にとって強い判断材料の一つだったことは、長年続いた企画そのものからも分かります。

初の40点満点は1998年『ゼルダの伝説 時のオカリナ』

クロスレビュー史で最大の節目の一つが、1998年発売のNINTENDO64用ソフト『ゼルダの伝説 時のオカリナ』です。

2026年、ファミ通40周年企画で宮本茂氏は『時のオカリナ』について、クロスレビュー初の40点満点を獲得したタイトルだったと振り返っています。

クロスレビュー開始から10年以上、40点が一度も出ていなかった。その状況で4人全員が10点を付けたため、単に「高評価のゲーム」という以上に大きなニュースになりました。

宮本氏自身も、開発側では処理落ちなど完璧ではない部分を認識していた一方、「完璧ではないものに満点を付けるくらい褒めたいと思ってもらえた」ことを喜んだと語っています。

40点=“欠点が一つもない”という意味ではない

この宮本氏の振り返りは、レビュー点数を見るうえで重要です。

10点は「欠点が存在しないゲーム」という数学的な意味ではありません。レビュアーが対象ユーザーの立場やゲーム体験全体を見て、10点に値すると判断した結果です。

ファミ通の現行説明でも、一定水準の標準的な完成度を7点の基準とし、対象ユーザーの立場、得意ジャンル、シリーズ経験など各レビュアーの視点を加味するとしています。

つまり、クロスレビューは精密な性能測定ではなく、複数の人間による評価を同じ枠へ並べたものです。

現在の“殿堂入り”は30点から

現在のファミ通では、4人の合計点によって殿堂タイトルを区分しています。

合計点区分
35〜40点プラチナ殿堂
32〜34点ゴールド殿堂
30〜31点シルバー殿堂

ただし、この現在の区分をそのまま1980年代の誌面へ当てはめて「当時も35点がこの意味だった」と考えるのは避けた方が安全です。企画は長く続いており、誌面の運用や読者の受け止め方も時代とともに変化しています。

ネットレビュー時代でもクロスレビューが残る理由

現在は、発売日にYouTubeでプレイ動画を見られ、SNSには何千件もの感想が流れ、ストアにはユーザーレビューがあります。

それでもクロスレビューは2026年のファミ通40周年でも看板企画として扱われています。

理由の一つは、同じフォーマットが長期間続いていることです。時代ごとに作品は変わっても、「4人が10点満点で見る」という共通形式があるため、ゲーム雑誌文化そのものの記録にもなっています。

もう一つは、点数だけでなく意見の違いを一度に読めること。一人の配信者や一つのユーザースコアとは違い、最初から複数の視点が同じ欄へ用意されています。

まとめ|クロスレビューが残したのは“40点”より比較する習慣

ファミ通 クロスレビューがゲーム文化へ残したものは、満点40点の話題だけではありません。

同じ作品でも人によって評価が違う。その違いを点数と短評で横並びにし、読者自身が「自分ならどの意見を信じるか」を考える仕組みを長く提供してきました。

1998年の『時のオカリナ』初40点が強く記憶されているのも、それ以前に長いあいだ同じ40点満点のものさしを積み重ねていたからです。

現在のつぶログでもゲームを点数化していますが、単なる数字だけでなく「なぜその点なのか」を本文と採点項目で示す必要があるという原則は、レビュー文化が積み重ねてきた課題でもあります。

関連書籍でもっと詳しく

2010年のベストゲームを遊ぼう! クロスレビュー完全カタログの表紙
2010年のベストゲームを遊ぼう! クロスレビュー完全カタログ

2010年のファミ通クロスレビュー掲載ソフト513作品を扱い、得点・殿堂入り・ジャンル別の傾向も振り返れる一冊。2011年刊行のため現在の評価基準を示す本ではありません。

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