戦闘は良質、だが“続ける理由”が問われ始めている

ゼンレスゾーンゼロ──華麗な戦闘と世界観で登場した、HoYoverseの最新アクションRPG。
Ver.2.2時点で遊び続けて感じるのは、「短期の熱狂」と「長期の不安」が同居しているという現実だ。
戦闘の完成度は間違いなくトップクラス。
ただし、恒常Sキャラのバランス、日課・週課の煩雑さ、そしてストーリー上の敵キャラの薄さ――
これらが長く続けたプレイヤーほど気になり始めている要素でもある。
この記事では、最新Ver.2.2を基準に、ゼンゼロという作品全体を“忖度なし”で正直に評価していく。
「戦闘神ゲー」と呼ばれるその実態と、プレイヤーが抱える“静かな違和感”を、すべて言葉にしてみたい。
⚔️ 戦闘の完成度は依然として最高峰
ゼンレスゾーンゼロの戦闘は、リリースから現在まで一貫してアクションの完成度が高い。
エフェクトや打撃音の密度、動きのキレ、キャラ同士の連携テンポ──どれを取っても、同ジャンルの中で際立っている。
短いバトルの中でも「入力に対する反応速度」や「操作と映像の一体感」が優れており、触っていて気持ちいい感覚が常に保たれている。
アップデートを重ねるごとに、各キャラの挙動や手応えも確実に磨かれてきた。
初期の操作キャラに見られた“技の途切れ感”は、Ver2.x以降で大幅に改善されており、今ではコンボから連携への移行が自然になっている。
また、最新キャラのモーション品質やカメラ演出は、初期の頃と比べても一段階上の仕上がりだ。
ただし、欠点がないわけではない。
特に高難度戦では敵の耐久が高く、プレイヤーの戦略より火力差で押し切る展開になりがちな場面がある。
さらに複数体の敵が出る状況では、カメラワークやロックオンの挙動が乱れることがあり、爽快さを損なう瞬間も見られる。
こうした部分は、根本の設計が優れているだけに“惜しい”と感じる要素だ。
それでもなお、ゼンレスゾーンゼロの戦闘は作品の顔と言える完成度を保っている。
1.0から2.2まで通して、どのキャラを使っても一定の気持ちよさを感じられるのは大きな強みだ。
この“戦闘の手触り”こそが、他のHoYoverse作品と明確に差別化できている最大の魅力だろう。
💎 恒常Sランクの立ち位置と“すり抜けの絶望感”
ゼンレスゾーンゼロの恒常Sランクは、1.0の時点では「安定した基礎戦力」として機能していた。
しかし2.2時点で振り返ると、その立ち位置はかなり厳しいものになっている。
限定キャラが高頻度で追加され、性能も演出もすべて上回っていく中で、恒常Sは完全に環境の外側に押し出されつつある。
問題は単に“火力が低い”ではない。
最大の問題は、恒常Sがガチャのすり抜け枠として機能している点だ。
現在のゼンゼロでは、限定キャラを狙う過程で恒常Sを引いてしまうと、戦力的にも精神的にも完全なハズレ扱いになってしまう。
キャラクター自体の造形・性格・ボイスなどの魅力は高いのに、性能面で報われない――この構図が非常に惜しい。
他のHoYoverse作品では、この部分にしっかり救済があった。
たとえば『原神』では恒常星5の中にジンやモナなど、初期から長く活躍できるキャラが存在しており、完全なハズレにはならなかった。
また『スターレイル』でも、姫子やブローニャといった恒常キャラが一線級の活躍を続けており、すり抜け時にも一定の納得感があった。
さらに最近の原神では、完凸済みキャラを引いた際に“超限突破(限界突破システム)”の恩恵が追加され、すり抜けの旨みが格段に増している。
つまり「引けなかった失望」を「手持ち強化」に変える設計がしっかり用意されていたわけだ。
しかしゼンレスゾーンゼロは、真逆の方向を進んでしまっている。
限定ガチャで恒常Sが出る=戦力的ハズレ、モチベーションの低下。
ゲーム全体の完成度が高いだけに、この一点がユーザー体験を冷ます致命的な弱点となっている。
どんなにキャラの魅力があっても、実際に使う機会が少なければ“推し活”の喜びも薄れる。
この状況は、正直に言えば冗談抜きで由々しき事態で、早急な改善策を講じるべき問題点。
長期運営タイトルとして見ると、恒常Sランクの再設計――あるいは、すり抜け救済の仕組み――は早急に必要になるだろう。
これを放置すれば、ガチャ更新のたびに“限定が出なかった人”を脱落させる構造が固定化してしまう。
🗓️ 日課/週課は“時間密度”がキツい
日課は100歩ゆずって「まあ仕方ない」。問題は週課で、体感だとボス素材で数分、零号ホロウで10~20分ほどかかる。
この程度の時間でも、ほかのゲームを掛け持ちしていると一気に面倒に感じてしまう。
「無理してやらなければいい」――理屈ではそうだが、ここに手が回らなくなると起動頻度が落ちる → だんだんどうでもよくなるという離脱の流れを生む。
例外もある。式輿防衛戦や強襲戦はモチベが高く、今のところ十分に楽しめている。
要は、短時間でも“挑む理由”が明確なものは続けやすい。一方で、日課や週課は手順と移動の手間が勝ってしまい、正直だるさが先に立つのが実情だ。
そろそろ、スキップ機能や放置で報酬を受け取れる仕組みを入れてもいい頃合いだと思う。
たとえば、適当館のノリをそのままエージェント訓練に応用し、スタミナ(スタミナ相当)を消費しつつ放置で完了できるシステム――この程度の簡略化でも、日々の負担感はかなり下がるはず。
今後は無限大ANANTAやデュエットナイトアビスなどの期待作が控える。
プレイヤーが作品を掛け持ちする前提で、“短時間で用件が完了する導線”を整えることは、ゼンゼロが長く遊ばれ続けるうえで非常に重要だと感じている。
👿 敵キャラの存在感とストーリーの薄さ
ゼンレスゾーンゼロの物語で最も惜しい点は、敵キャラクターの存在感が極めて薄いことだ。
どんなに戦闘や演出が良くても、戦う相手に「恐れ」や「敬意」を抱けなければ、ストーリーの熱は持続しない。
現状では、章ごとに敵勢力が現れては消えていく構成で、長期的な因縁や思想の軸が感じられない。
たとえるなら、原神からファデュイ(執行官)という存在をまるごと抜き取ったような印象に近い。
もし原神の敵がアビス教団だけで、魔術師や詠唱者のような無個性な敵ばかりだったら──
おそらく今のゼンゼロと同じように、「誰と戦っているのか」「なぜ戦うのか」が曖昧になっていたはずだ。
個人的には、原神が面白くなったのはVer1.0で淑女(La Signora)が登場してからだった。
あの一瞬で“この世界の裏には巨大な組織がある”と理解でき、以降のストーリーに緊張感が生まれた。
一方ゼンゼロは、敵の思想や信念を提示する象徴的なキャラクター――つまり**「物語の顔」**が欠けている。
オルペウスの登場によって一時的に深みが増したが、彼単体で世界の均衡を背負うほどの重みまでは届いていない。
この欠落は、ストーリーを追うモチベーションそのものに影響している。
「次は誰と戦うのか」「敵の目的は何なのか」という連続的な興味のフックが生まれないため、
アップデートのたびに物語への熱量がリセットされてしまう。
今後の改善には、次の3点が鍵になるだろう。
- 継続して登場する象徴的な敵(ファトゥス的存在)の確立
- 敵サイドの信念や悲哀を描くエピソードの追加
- 章を超えて積み重なる“因縁の物語”の構築
ゼンゼロの世界観や演出力が優れているだけに、
この「敵の不在」はあまりにも惜しい。
戦闘の完成度に見合うだけのドラマを背負える悪役――その登場こそが、今後のストーリーに必要不可欠だと感じる。
🌆 演出・世界観・キャラクターの魅力
ゼンゼロの強みは、まず画面の説得力だ。街の色温度、ネオンの反射、影の落ち方まできちんと設計されていて、どの瞬間を切り取っても1枚絵として成立する。UIの音とアニメーションも軽やかで、操作→反応の間に“気持ちよさ”が入る。
音楽はジャンルミックスが冴えており、Lo-fi~フューチャーベースのレイヤーが夜の都会にぴったり合う。戦闘で音圧が上がっても耳に刺さらず、長時間聴いていられる。
キャラクター面では、表情芝居と所作の説得力が抜群。立ちポーズや視線の流し方まで作り込まれていて、台詞がなくても性格が伝わる。新顔(例:オルペウス、シード)も含め、衣装・小物・声のトーンが世界観に自然に溶け込んでいるのが好印象だ。恒常側にも“見た目/人格として推せる”キャラが多く、ここはゼンゼロの確かな資産と言える。
イベントは短編ドラマ的な小出し構成が多く、すき間時間で味わえる“ワンシーンの濃度”が高い。ミニゲーム寄りの試みも含めて、演出の遊び心があるため、世界観の持続性が保たれている。
総じて、ゼンゼロは“触って・見て・聴く”体験の品質が高く、ここが戦闘以外で作品を推し続けられる理由になっている。欠点を語ったあとでも、「やっぱりこの世界に戻りたい」と思わせる力が、確かにある。
🐾 ボンプの存在はゼンゼロ最大の功績
ゼンレスゾーンゼロという作品を語る上で、ボンプの存在は外せない。
この小さな相棒たちは単なるマスコットではなく、世界の“温度”そのものを象徴している。
ハードなアクションと都会的なスタイリッシュさの中で、ボンプが生み出すのは人間味と温かさだ。
登場するボンプたちは一体一体が個性的で、外見だけでなく性格・セリフ・仕草にまで丁寧なキャラクター設計が施されている。
プレイヤーの隣で文句を言いながらも、戦闘中には的確にサポートする――この“相棒感”の演出が絶妙だ。
見た目の可愛さに反して、育成や連携スキルは実用性も高く、ゲーム的な役割とキャラ性が一致している。
何より印象的なのは、街とボンプが共存している世界観の描き方だ。
看板に描かれ、グッズが並び、人々が自然にその存在を受け入れている。
この“世界に馴染んだデザイン”が、ゼンゼロの都会的でありながら温かい空気を形作っている。
ボンプの存在は、ゼンゼロにおける最大の成功例の一つだと思う。
冷たい未来都市の中に笑いや癒しを生む“命の粒”を配置したことで、
この作品は単なるアクションRPGではなく、“キャラクターと世界が共に生きるゲーム”へと昇華した。
🎯 総評(Ver1.0〜2.2時点)
結論から言う。ゼンゼロは“いま、この瞬間を最高に気持ちよくする”ことには長けている。
戦闘は良質、演出は鋭い、キャラクターは愛せる。ここは胸を張って推せる。
――だからこそ、長く付き合うほど浮き彫りになる3つの綻びが惜しくてたまらない。
- 恒常Sの価値低下 → すり抜けが絶望になる問題
キャラの魅力は十分なのに、性能の側面が“報われない”。限定更新の波に呑まれ、恒常で喜べる余地が薄い。
「推しを引けなかった失望」を「手持ちの前進」に変える変換装置が足りない――ここが、モチベーションを冷ます最大の穴だ。 - 日課/週課の時間密度が高すぎる問題
数分〜20分。数字だけ見れば軽い。でも掛け持ち前提の今、その“手順の多さ”が確実に心を削る。
式輿防衛戦や強襲戦のように“挑む理由”が明確なコンテンツは楽しめているのに、毎日の導線が続けにくさを生む。
このままでは、“気づけば起動しない日が増える”という静かな離脱を招く。 - 物語を牽引する“敵の顔”の不在
戦闘は熱いのに、誰と何を賭けて戦っているのかが胸に残らない。
原神で言えば、もしファデュイが不在でアビス教団だけが相手――そんな世界線のもどかしさに近い。
章を跨いで燃える“因縁”と“信念”が立ち上がらなければ、ストーリーの熱は次の更新でリセットされてしまう。
いますぐ手を入れてほしい“3つの処方箋”

- すり抜け救済の実装
完凸後の追加恩恵、恒常Sの段階的上方、指名コイン/交換ラインの強化など、“外れを前進に変える”仕組みを。 - 導線の再設計(スキップ/放置受取)
週課の一括処理、エージェント訓練を「適当館」方式でスタミナ消費の放置完了に対応。“遊ぶ前に疲れない”導線を作る。 - 敵サイドの継続設計
象徴的な悪役の常設、敵視点エピソード、章を跨ぐ被害と因縁の積み上げで、戦闘の熱と物語の熱を結合する。
私の結論
短期は幸福、長期は“今が分岐点”。
ゼンゼロには、戻ってきたくなる手触りがある。
だからこそ、ガチャ体験・毎日の導線・長期ストーリーの3点を整えれば、
この作品は“気分で起動するゲーム”から“習慣として続けたくなるゲーム”へと跳べるはずだ。
主観スコア(Ver1.0〜2.2時点)
- 戦闘:良質(高水準で安定)
- 演出・世界観:高水準(視覚・音の統一感が強み)
- キャラクターの魅力:高(造形・芝居の説得力)
- 恒常Sの設計:要改善(すり抜け救済・価値維持)
- 日課/週課:要改善(スキップ・放置受取の導入を希望)
- 敵キャラ/物語牽引力:要強化(“顔”と“理念”の常設)
ここを越えられるかどうかで、ゼンゼロは“良いゲーム”から“続ける理由のあるゲーム”へ化ける。
まだ間に合う。だから、期待する。
🎯 総評(Ver1.0〜2.2時点)
ゼンレスゾーンゼロは、リリースから現在に至るまで、
「プレイしている瞬間の楽しさ」だけで言えば、間違いなくトップクラスの作品だ。
アクションの手触りは軽快で、演出も一貫して高品質。
キャラクターも個性豊かで、世界観の密度も十分ある。
だが――その完成度の高さに対して、長期的に遊び続ける仕組みが追いついていない。
そこが、このゲームを語る上で最大の矛盾であり、惜しさだと思う。
💎 現状の問題点を率直に言うなら
- 恒常Sランクの価値低下
キャラの魅力は高いのに、ガチャですり抜けると“戦力的に外れ”になる構造。
原神のように恒常星5に長く使える強キャラがいるわけでもなく、スターレイルのように編成で活きる恒常も少ない。
その結果、「限定が出なかった=時間の無駄」という感覚が残ってしまう。
せっかくの魅力的なキャラたちが報われないのは、本当にもったいない。 - 日課・週課のテンポの悪さ
戦闘は気持ちいいのに、戦うまでの手順が多い。
週課は数分〜20分程度とはいえ、他ゲームとの掛け持ちを考えると負担が大きい。
無理してやらなければいい、という話ではあるが、触る頻度が減ると自然と興味が薄れていくのも事実。
そろそろスキップ機能や放置で報酬を受け取れる導線が必要だろう。
式輿防衛戦や強襲戦のようにモチベーションを保てる要素はあるのだから、
“義務”ではなく“選びたくなる日課”へ変える段階に来ている。 - 敵キャラ・ストーリーの弱さ
どれだけ演出が優れていても、「誰と戦っているのか」が印象に残らない。
原神で言えば、もしファデュイがいなくて、アビス教団だけが敵だったような状態だ。
Ver1.0の淑女(La Signora)が登場したときに感じた“世界の裏に何かがある”というワクワクが、
ゼンゼロでは最後まで得られない。
オルペウス登場で一瞬期待は生まれたが、世界全体を動かすような“悪の象徴”はまだいない。
ここが、ストーリー面で最大の課題だと感じる。
🧭 総合スコア(Ver1.0〜2.2時点)
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
戦闘・操作感 | 9.5 / 10 | 手触り・テンポ・映像演出すべて高水準。アクションRPGとして抜群。 |
演出・音楽・世界観 | 9.0 / 10 | 都市の空気感や音楽の統一感が強く、UIも高品質。 |
キャラクターの魅力 | 8.5 / 10 | デザインと演技は秀逸。ただし恒常勢の扱いが不遇。 |
ストーリー/敵キャラ | 6.5 / 10 | “ファトゥス的存在”が不在で物語に深みが出ない。 |
恒常Sランク設計 | 6.0 / 10 | すり抜け=ハズレ。救済・上方調整が急務。 |
日課・週課の快適さ | 6.0 / 10 | 内容は悪くないが導線が煩雑。スキップ/放置実装希望。 |
将来性・伸びしろ | 9.0 / 10 | 戦闘・演出の軸が強く、改善方向が明確。伸び代は十分。 |
総合評価 | 7.8 / 10 | 現時点で良作には違いない。さらに化ける余地は大きい。 |
🔧 今後への提案と期待
- 恒常S救済:完凸恩恵や交換ラインの拡充など、“すり抜けが嬉しくなる”設計へ。
- 導線の軽量化:週課のスキップ・放置受取、訓練の自動完了など“遊ぶ前に疲れない”工夫を。
- 象徴的な敵の創出:ファトゥス級の悪役を軸に、世界観を貫く“長期的な対立構造”を確立する。
💬 つぶログ総括
ゼンゼロは、“手触りの快楽”を極めた作品だ。
だが、長期運営タイトルとして見れば、まだ“仕組みとしての成熟”が足りていない。
今この瞬間は確かに楽しい。けれど、それを明日も続けたくなる仕組みが必要だ。
それでも、私はこの作品を見捨てる気にはなれない。
街の空気、キャラクターの息づかい、音のセンス――どれをとっても唯一無二だからだ。
この完成度に、“続ける理由”さえ追いつけば、
ゼンレスゾーンゼロは“ただの良作”から“長く語られる名作”へ変わるだろう。
だからこそ、まだ期待している。
このゲームは、まだ伸びしろしかない。
BANGBOO GARDEN KINGDOM(果物と野菜の王国)ミニフィギュア
※大箱(12小箱=60個)は ASIN: B0FNM2HB7Y
- ともに行こう、子供のころの悪夢へ
- 出口のない”ノーウェア“から脱出できなければ、死よりも残酷な運命が待ち受けているでしょう――。おぞましい世界で迷子になってしまった、「ロゥ」と「アローン」。プレイヤーはこの心優しい子供たちを操作し、悪夢からの脱出を目指します。
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