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日本人アーティストの中国公演中止が相次ぐのはなぜ?最新ニュースから見える背景と3つの傾向

1. 最近なにが起きているのか ― 日本人アーティスト中国公演「中止・中断」の連鎖

まずは、ここ1〜2週間で報じられた動きをざっくり整理します。

2025年11月下旬、中国・上海で開催されたイベント「バンダイナムコフェスティバル2025」のステージで、『ONE PIECE』楽曲で知られる大槻マキさんの歌唱が途中で中断され、その後の出演も「不可抗力による中止」と発表されました。

同じタイミングで、浜崎あゆみさんの上海単独公演が直前になってキャンセルとなり、主催者側はやはり「不可抗力」を理由に全額払い戻しを案内しています。

さらに、中国メディアや日本語ニュースのまとめでは、アイドルグループJO1のファンイベント、声優・斉藤朱夏さんや村上奈津実さんの上海・北京でのイベントなど、複数の日本人アーティストのコンサートやファンミーティングが「不可抗力の影響により」「やむを得ない事情により」と説明されて中止になったと報じられています。

国際ニュースでは、北京・上海・広州など中国の主要都市で、少なくとも十数件規模の日本人ミュージシャン公演が、同じ週にまとめてキャンセルされたとも伝えられています。

一方で、こうした発表の多くは「不可抗力」「技術的な問題」「やむを得ない事情」といった抽象的な表現にとどまり、個別の案件ごとに「具体的に何が理由だったのか」までは明らかにされていないケースがほとんどです。観客はすでに会場に集まっていた、開演直前まで中止が告知されなかった、といった報告もあり、ファン・アーティスト・主催者のすべてにとって影響の大きい事態になっています。

この記事では、個々のアーティストや運営を断定的に批判するのではなく、
こうした中止・中断が「なぜ同じ時期に重なっているのか」について、
・日中関係の最近のニュース
・公演中止の公式発表で使われている言葉
・過去の類似ケース

といった情報から、見えてきている「傾向」だけを整理していきます。

2. 公式発表に共通するキーワード ― 「不可抗力」「やむを得ない事情」

まず、今回の中止・中断に関する公式発表文を並べてみると、いくつかの共通点が見えてきます。

代表的なのが、
「不可抗力の影響により」
「やむを得ず公演中止とさせていただきます」
「やむを得ない事情により」
といった表現です。

たとえば、JO1が中国・広州で予定していたファンイベントは、主催側の発表で「不可抗力の影響により」「やむを得ない事情により」と説明され、中止が案内されました。

声優・歌手の斉藤朱夏さんも、12月6日に予定していた上海ワンマンライブについて、公式サイトとXで「不可抗力の影響により、やむを得ず公演中止」と発表し、チケット代は全額返金としています。

ロックバンド・シドの中国ツアー北京公演、アニメ音楽イベント「リスアニ!LIVE SHANGHAI 2025」、さらにはシティポップ系アーティストやVシンガーの公演まで、現地運営会社の告知文には一様に「不可抗力(不可抗力因素)」「諸般の事情」といった語が並んでいます。

この「不可抗力」という言葉自体は、日中どちらの契約文書でも使われる法律用語で、
・自然災害
・政変・戦争
・行政上の規制や突然の方針変更
など、当事者の努力では避けられない外部要因を指すのが一般的です。実際に中国のチケット販売サイトの「観覧規約」にも、「不可抗力により公演が延期・中止となった場合は、主催者の公式案内に従って払い戻し等の対応を行う」といった条項が明記されています。

今回の一連のケースでも、
・主催者やアーティスト側の一方的な都合ではない
・何らかの“外からの事情”で続行が難しくなった
ということを示すために、この定型的な言い回しが使われていると考えられます。

ただし、「具体的にどのような指示や事情があったのか」は、公演ごとに公表されていないため、外部から断定することはできません。現時点で言えるのは、
・ジャンル(ポップス/バンド/アニソン/声優)をまたいで、同じ週に中止が集中している
・その際に使われる言葉が、きわめて似通っている
という“現象レベルの共通点”までです。


3. 背景にある日中関係の緊張 ― 政治とカルチャーが交差する地点

では、なぜこのタイミングで「日本人アーティストの中国公演」がまとめて中止になっているのでしょうか。

ここで、直近の日中関係のニュースを振り返ると、いくつかの大きな出来事が見えてきます。

複数の国際報道によれば、2025年秋以降、日本の高市早苗首相が国会答弁などで「中国が台湾に武力行使した場合、日本の存立に関わる『存立危機事態』となり得る」といった趣旨の発言を行い、中国側はこれを強く批判しました。

その後、中国政府は
・日本への団体旅行の制限・自粛要請
・日本産水産物の再輸入禁止
・日中のフォーラムや学術交流の延期
など、経済・観光・文化の各分野で、日本向けの制限措置を相次いで打ち出しています。

音楽・ライブの分野についても、ロイターや香港紙などの報道では、
・北京・上海・広州などで予定されていた日本人ミュージシャンの公演が、一斉にキャンセルされた
・現地の会場やプロモーターに対し、「日本アーティストの新規公演は当面企画しないように」との通達があったとする証言が紹介されている
といった内容が伝えられています。

今回の大槻マキさんの上海ステージ中断や、浜崎あゆみさんの上海公演キャンセルも、こうした「日本と中国の政治的な緊張が高まる中で、文化イベントにも制限が及んでいる流れ」の中で起きた出来事として位置づけられています。

もっとも、
・どの公演に、どのレベルの行政的な関与があったのか
・現場の運営判断と、上位の方針がどう結びついているのか
といった“細部”までは、公的に明らかになっていません。

ただ、過去に中国が韓国との対立で「THAAD問題」をめぐってK-POP公演や韓流ドラマ放送を事実上ストップしたケースがあったように、外交関係の悪化がエンターテインメントの分野に波及するのは、今回が初めてではないという指摘もあります。

今回の日本との関係でも、
・観光(旅行・クルーズ)
・食品(海産物)
・文化交流(コンサート・映画・イベント)
といった「人の行き来」と「ソフトパワー」の領域で、段階的にブレーキがかかっている――というのが、現時点でニュースから読み取れる大きな流れです。

4. ファンと現地関係者にはどんな影響が出ているのか

今回の一連の中止・中断は、日本側のアーティストや運営だけでなく、中国現地のファンやスタッフにも大きな影響を与えています。

国際メディアの取材では、上海・北京・広州など各都市で予定されていた日本関連イベントについて、
「すでに会場に入場して開演を待っていたところで中止が告げられた」
「遠方から夜行バスや高速鉄道で来ていたが、その日のうちに帰ることになった」
といったファンの声が紹介されています。

JO1の広州イベントや、吉本興業のお笑いステージ「Yoshimoto Comedy Special in Shanghai」なども、現地のチケット販売サイトやSNSを通じて「不可抗力」「不可抗力因素」を理由にキャンセルが案内され、チケット代は全額払い戻しとされた一方で、交通費や宿泊費については個人負担となるケースがほとんどです。

斉藤朱夏さんの上海公演についても、公式サイトおよびチケット販売プラットフォーム「大麦(Damai)」側から、
・チケット代金は7〜15営業日以内に自動返金
・ただし、配送手数料など一部は返金対象外
といった具体的な払い戻し方法が案内されました。

また、バンダイナムコフェスティバル2025の中止により、
・ももいろクローバーZなど他の出演者のステージも含めて全日程がキャンセル
・会場となった西岸ドームアートセンターのスタッフや出展企業の準備も無駄になってしまった
と報じられています。

こうした状況は、
・チケットの売上だけでなく、物販・飲食・周辺観光も含めた経済的損失
・「次に日本人アーティストが来るのはいつになるのか」というファンの不安
・現地プロモーターやイベント会社が、日本やアジアのアーティストを呼びにくくなる空気
につながっており、日本と中国の文化交流全体にも長期的な影響を与えかねないと指摘されています。ザ・タイムズ+2南華早報+2


5. まとめ

現在、中国で予定されていた日本人アーティストの公演・イベントが複数同時期に中止・中断となっているのは事実であり、関係する公式発表には「不可抗力」「やむを得ない事情」といった表現が共通して見られます。
一方で、個別の公演ごとの詳細な理由については公開されていないケースが多く、外部から断定することはできません。

政治・外交面では、2025年秋以降の日中関係の緊張を受けて、文化交流や観光分野で制限措置が相次いでいるとする国際報道が増えています。
今回の一連の中止・中断も、その流れの中で起きているものとして位置付けられています。

ファンの立場から情報を追う際には、
・主催者/アーティスト/会場/行政など複数の主体が関係するという前提
・SNSの反応だけでは全体像が判断できないこと
・最新情報は公式発表を一次情報として確認すること
といった基本を押さえておくと、状況を整理しやすくなります。

今後の動きについては、政治情勢・国際イベント・文化交流の再開状況など、さまざまな要素によって変わる可能性があります。
公式発表や客観的なニュースをもとに状況を追っていくことが、現時点では最も確実な向き合い方といえます。

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