三重県南東沖でM6.1|福島県が震度3の理由は?異常震域と津波

2026年11月1日(日)午前7時15分ごろ、三重県南東沖を震源とするマグニチュード6.1(M6.1)の地震が発生しました。
最大震度3を観測したのは、震源に近い三重県ではなく、遠く離れた福島県浜通りの大熊町・双葉町・浪江町です。
さらに、北海道から西日本まで広い範囲で揺れが観測されました。一方、震央に近い三重県や愛知県では、震度1以上の観測地点が発表されていません。
なぜ三重県沖で起きた地震なのに、数百kmも離れた福島県の方が大きく揺れたのでしょうか。
その理由を理解する鍵となるのが、震源の深さ約350kmという深発地震の特徴と、「異常震域(いじょうしんいき)」と呼ばれる現象です。
今回の地震による津波の心配はありません。この記事では、11月1日の地震情報、実際に揺れた地域、異常震域の仕組み、過去の類似地震、南海トラフ巨大地震との関係まで詳しく解説します。
11月1日の三重県南東沖の地震|M6.1・深さ350km・最大震度3
まず、2026年11月1日午前7時22分に発表された地震情報を確認しましょう。
| 項目 | 地震情報 |
|---|---|
| 発生日時 | 2026年11月1日(日)7時15分ごろ |
| 震源地 | 三重県南東沖 |
| 震源位置 | 北緯33.7度・東経137.1度 |
| マグニチュード | M6.1 |
| 震源の深さ | 約350km |
| 最大震度 | 震度3 |
| 震度3の地域 | 福島県浜通り |
| 津波 | この地震による津波の心配なし |
数値は11月1日午前7時22分発表時点のものです。地震発生直後の震源の位置、深さ、マグニチュードは、後日の解析によって修正される場合があります。
今回の特徴は、震源の深さが約350kmに達することです。
地震の震源は地表付近にあるとは限りません。地下数百kmの深い場所で発生する地震もあり、一般に深さ300kmを超える地震は「深発地震」と呼ばれます。
そして深発地震では、通常の地震とは大きく異なる揺れ方が観測されることがあります。
福島県のどこが震度3?大熊町・双葉町・浪江町で観測
今回の最大震度3は、福島県浜通りの3町で観測されました。
| 市町村 | 観測地点 | 震度 |
|---|---|---|
| 福島県大熊町 | 大熊町大川原 | 3 |
| 福島県双葉町 | 双葉町長塚 | 3 |
| 福島県浪江町 | 浪江町幾世橋 | 3 |
いずれも福島県の太平洋沿岸に位置する地域です。
震央からは直線距離で約540km前後も離れています。それでも今回の地震では、これらの地点が全国で最も大きな震度を記録しました。
なお、震度3という数字は町全体のどこでも同じ揺れだったことを意味しません。実際の揺れの強さは地盤や建物の条件によっても異なります。
震度2は福島県内のほか北海道・関東でも観測
福島県内では、いわき市、相馬市、南相馬市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、新地町、飯舘村などでも震度2が観測されました。
また、福島県中通りの福島市、白河市、須賀川市、二本松市、田村市などでも震度2を観測しています。
揺れは福島県にとどまりませんでした。
宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の各地でも震度2を観測。東京都千代田区や江東区、世田谷区などにも揺れが届いています。
さらに驚くのは、北海道十勝地方の浦幌町でも震度2を記録したことです。
震度1まで含めると、東北地方から西日本の一部にまで広く揺れが観測されました。
この広がり方こそ、今回の地震を理解するうえで重要な手がかりになります。
なぜ三重県沖が震源なのに福島県で震度3?異常震域の仕組み
地震は一般的に、震源に近い場所ほど強く揺れ、遠く離れるほど揺れが弱くなる傾向があります。
ところが、今回の地震ではまったく違う特徴が見られました。
震央に近い三重県や愛知県では震度1以上の観測地点が発表されていない一方、約540kmも離れた福島県で震度3、さらに遠い北海道でも震度2を観測したのです。
これは「異常震域」と呼ばれる現象に特徴的な震度分布です。
異常震域とは?震源から遠い場所が強く揺れる現象
異常震域とは、震源に近い地域よりも、遠く離れた地域で相対的に大きな震度が観測される現象です。
名前に「異常」という言葉が使われていますが、地震そのものに特別な異常が起きているという意味ではありません。
気象庁も、異常震域を地球内部の岩盤の性質の違いによって説明できる現象として紹介しています。
では、なぜこのような揺れ方になるのでしょうか。
地震波が太平洋プレートを通って遠くまで伝わる
日本列島の地下では、太平洋プレートなどの海洋プレートが、陸側のプレートの下へ深く沈み込んでいます。
地震によって発生した揺れは、地下を地震波として伝わります。
通常、地震波は伝わる距離が長くなるにつれて弱くなります。しかし、海洋プレート内部の硬い岩盤は、周辺の岩盤と比べて地震波を減衰させにくい性質があります。
そのため、深い場所で地震が起きると、地震波が沈み込んだ海洋プレートに沿って遠方まで効率よく伝わる場合があるのです。
一方、震源の真上に向かう地震波は、途中の岩盤で大きく減衰することがあります。
その結果、震源に近い地表では揺れが小さいのに、遠くの太平洋側では強く揺れるという、一見不思議な現象が発生します。
今回の三重県南東沖の地震は深さ約350kmで、福島県を中心とする東日本の太平洋側に強い揺れが現れています。
この観測結果は、深発地震による異常震域の仕組みとよく一致しています。
ただし、今回の断層の動きや、地下のどのプレート内部で発生したかという詳細な発生メカニズムについては、個別の解析結果が必要です。過去の類似地震と完全に同じ仕組みだったとまでは断定できません。
M6.1なのに最大震度3だったのはなぜ?
もう一つ疑問に感じるのが、マグニチュード6.1という規模に対して、最大震度が3だったことではないでしょうか。
ここでは、マグニチュードと震度の違いを理解することが大切です。
マグニチュードは地震そのものの規模、震度はそれぞれの場所で実際に観測された揺れの強さを表します。
つまり、M6.1だから必ずどこかで震度6弱以上になる、という関係ではありません。
震度を左右する要素には、震源までの距離、震源の深さ、地震波の伝わり方、地盤の性質などがあります。
今回の震源は地下約350kmです。地震の規模が比較的大きくても、地表までの距離が非常に長いため、観測される震度が小さくなる場合があります。
ただし、深い地震だから必ず揺れが小さくなるとは限りません。地震の規模や波の伝わり方によっては、遠方でも強い揺れを観測する場合があります。
今回は最大震度3でしたが、同じ三重県南東沖では、過去に最大震度4を記録する深発地震も発生しています。
過去にも三重県南東沖で異常震域|2019年・2022年の地震と比較
実は、三重県南東沖の地下深くで大きな地震が起こり、遠く離れた東日本で強い揺れを観測する現象は、今回が初めてではありません。
2019年と2022年にも、よく似た特徴を持つ地震が発生しています。
今回の地震と過去の主な事例を比較すると、次のようになります。
| 発生日 | M | 深さ | 最大震度 |
|---|---|---|---|
| 2016年4月1日 | 6.5 | 29km | 4 |
| 2019年7月28日 | 6.6 | 393km | 4 |
| 2022年11月14日 | 6.4 | 362km | 4 |
| 2026年11月1日 | 6.1 | 350km | 3 |
過去3件の数値は気象庁の解析資料によるものです。2026年の数値は発生直後の発表値であり、今後修正される可能性があります。
2022年11月14日|深さ362kmで福島県・茨城県が震度4
2022年11月14日午後5時8分ごろ、三重県南東沖でM6.4、深さ362kmの地震が発生しました。
この地震では、福島県の双葉町と浪江町、茨城県つくばみらい市で最大震度4を観測しています。
今回の2026年の地震と比べると、震源の深さはわずか12kmほどしか違いません。
しかも、福島県の双葉町と浪江町は、今回も震度3を観測した地域です。
気象庁は2022年の地震について、太平洋プレート内部で発生し、震央から離れた東北地方や関東地方で強い揺れを観測した「異常震域」の事例だと説明しています。
同じ三重県南東沖から、似たような震度分布が繰り返し現れていることが分かります。
なお、2022年の地震は発生直後にM6.1・深さ約350kmと報じられましたが、その後の気象庁の解析値はM6.4・深さ362kmです。
今回のM6.1・深さ350kmと速報値が似ているものの、両者は別の地震なので混同しないようにしましょう。
2019年7月28日|深さ393kmで宮城県が震度4
2019年7月28日午前3時31分ごろにも、三重県南東沖でM6.6、深さ393kmの地震が発生しました。
この地震で最大震度4を観測したのは、宮城県丸森町です。
三重県沖が震源であるにもかかわらず、遠く離れた宮城県で大きく揺れたという点で、今回とよく似ています。
気象庁は2019年の地震についても、太平洋プレート内部で発生した地震として解析しています。
2022年の事例と合わせて考えると、三重県南東沖の地下深くで起きた地震が、東日本の太平洋側に比較的大きな揺れをもたらすことは、過去にも観測されてきた現象だと分かります。
2016年4月1日の地震は深さ29kmで種類が違う
一方、2016年4月1日に発生した三重県南東沖のM6.5の地震は、震源の深さが29kmでした。
こちらは比較的浅い場所で発生した地震で、フィリピン海プレートと陸側のプレートの境界付近で起きたと考えられています。
今回の350kmという深さとは、発生した場所の地下構造が大きく異なります。
つまり、同じ「三重県南東沖」という名前が付いていても、地震の種類や発生メカニズムまで同じとは限らないのです。
震源地名だけで地震の性質を判断せず、震源の深さや発震機構なども合わせて確認することが重要になります。
三重県南東沖の地震は南海トラフ巨大地震と関係する?
三重県の沖合でM6.1という地震が発生したことで、南海トラフ巨大地震との関係を気にする人もいるかもしれません。
しかし、今回の地震が南海トラフ巨大地震の前兆だと判断できる根拠は確認されていません。
ここで重要なのが、地震の発生した深さです。
南海トラフ巨大地震として想定されているのは、主にフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界で発生する大規模な地震です。
一方、今回の地震は地下約350kmという非常に深い場所で発生しています。
過去の2019年・2022年の三重県南東沖の深発地震は、いずれも太平洋プレート内部で発生したものでした。
今回も同様の震度分布が見られますが、詳細な発生メカニズムについては個別の解析が必要です。
少なくとも、震源地名が三重県南東沖だからという理由だけで、南海トラフ巨大地震の活動が活発化したと結び付けることはできません。
南海トラフ地震臨時情報の基準に当てはまる?
気象庁の「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」には、監視領域内でM6.8以上の地震が発生した場合などの発表条件があります。
また、太平洋プレートの沈み込みに伴う震源の深い地震は、この地震規模に関する条件から除外されています。
今回の地震は発表値でM6.1であり、M6.8の基準には達していません。
したがって、今回の地震の規模だけを理由に、南海トラフ地震臨時情報の発表条件を満たしたとはいえません。
ただし、これは南海トラフ巨大地震が今後発生しないという意味ではありません。もともと日本の太平洋側では、大規模地震への備えを継続する必要があります。
今回の地震に関する情報と、南海トラフ巨大地震の長期的な発生リスクは、区別して考えることが大切です。
津波の心配は?今後さらに大きな地震が起きる可能性は
11月1日の三重県南東沖の地震については、この地震による津波の心配はないと発表されています。
津波が発生する仕組みも、今回の深発地震を理解するうえで重要です。
深さ350kmの地震で津波が発生しにくい理由
一般に、地震による津波は、海底の地盤が大きく上下することで、その上にある海水が動かされて発生します。
そのため、海底の比較的浅い場所で大きな地殻変動が発生した場合には、津波につながることがあります。
一方、今回のように震源が地下約350kmと深い地震では、震源の周辺で起きた断層運動が直接海底を大きく変形させることは通常考えにくくなります。
今回、津波の心配がないと発表されたことは、こうした深発地震の特徴とも整合しています。
ただし、海の地震なら必ず津波が発生するわけでも、深い地震であれば地上の被害が絶対に起きないわけでもありません。
津波に関する情報と、建物や交通機関などへの被害情報は別々に確認する必要があります。
今後の地震との関係は予測できる?
今回のM6.1という規模や、異常震域に特徴的な揺れ方だけから、今後どこで、いつ、どの程度の地震が発生するかを正確に予測することはできません。
過去にも三重県南東沖で似た地震が起きているからといって、次に同じ場所で大きな地震が起きると決まっているわけではありません。
今回の地震が別の大地震を誘発する、あるいは特定の巨大地震の前兆であると断定できる情報も確認されていません。
一方、地震発生直後は、建物や室内に損傷がないか注意することも大切です。
特に揺れを感じた地域では、倒れかかった家具や落下しそうな物などに注意し、気象庁や自治体からの新しい情報を確認してください。
なお、11月1日の地震について、人的被害や建物・交通機関への影響の全体像は、発生直後の段階では確認できていません。被害の報告が確認できないことと、被害がまったくなかったことは区別する必要があります。
まとめ|三重県沖から福島県へ揺れが届いた理由は深さ350kmの地震
2026年11月1日午前7時15分ごろ、三重県南東沖でM6.1、震源の深さ約350kmの地震が発生しました。
最大震度3を観測したのは、福島県浜通りの大熊町・双葉町・浪江町です。北海道の浦幌町でも震度2を観測するなど、東日本の太平洋側を中心に広い範囲へ揺れが伝わりました。
今回の最大の特徴は、震央に近い三重県や愛知県では震度1以上の観測地点が発表されていない一方、遠く離れた福島県で震度3を観測したことです。
これは、地下深くに沈み込む海洋プレートを通って地震波が遠方まで伝わる「異常震域」に特徴的な現象です。
2019年と2022年にも三重県南東沖の深い場所で地震が発生し、東北地方などで比較的大きな揺れを記録しています。こうした過去の観測例からも、今回の震度分布が特別に不可解なものではないことが分かります。
この地震による津波の心配はありません。また、今回の地震が南海トラフ巨大地震の前兆だと判断できる根拠も確認されていません。
震源からの距離だけでは説明できない揺れ方にも、地下の構造や地震波の伝わり方という理由があります。
地震情報を見る際には、マグニチュードや震度だけでなく、震源の深さと各地の震度分布にも目を向けると、その地震の特徴をより正確に理解できます。