新作ゲームレビュー

MOTORSLICE 忖度なしレビュー|チェーンソー×パルクールは気持ちいいのか?人を選ぶ異色アクションを検証

MOTORSLICEは“見た目の勢い”だけで買っていいゲームなのか?

Steamで新作を眺めていると、たまに「これは大作ではないけれど、妙に気になる」というゲームがあります。

今回取り上げる『MOTORSLICE』は、まさにそのタイプの作品です。

荒廃した巨大構造物を走り、登り、滑り、壁を駆け抜け、さらにチェーンソーまで使って移動する。ジャンルとしてはパルクールアクションでありながら、巨大な重機のような敵と戦うボス戦も用意された、かなりクセの強い3Dアクションです。

本作はRegular Studioが開発し、Top Hat Studiosが販売する作品で、Steamでは2026年5月5日に配信されました。Steamストア上でも、ポストアポカリプス風のブルータリズム世界をパルクールで進み、チェーンソーを使って不可能に見える距離を越えていくゲームとして紹介されています。

正直に言うと、『MOTORSLICE』は万人向けの安全牌ではありません。

操作感が合うか。
視点移動で酔わないか。
パルクールの気持ちよさがストレスを上回るか。
そして、チェーンソーという派手な要素が、単なる見た目のインパクトで終わっていないか。

このあたりは、実際に触ってみないとかなり判断しにくい部分です。

一方で、こういうゲームこそ「忖度なしレビュー」と相性が良いとも感じます。大作のように発売前から情報が大量にあるわけではなく、日本語の詳細レビューも多くありません。だからこそ、買う前に「実際どうなの?」と検索する人に向けて、良いところも気になるところも整理する価値があります。

この記事では、『MOTORSLICE』を実際にプレイしたうえで、パルクールアクションとしての爽快感、操作性、戦闘の手応え、雰囲気、そして価格に見合う満足感があるのかを、いつものように忖度なしで見ていきます。

作品概要

  • タイトル:
    MOTORSLICE
  • ジャンル:
    パルクールアクションアドベンチャー
  • 開発元:
    Regular Studio
  • 発売元:
    Top Hat Studios, Inc.
  • 配信日:
    2026年5月5日
  • 対応機種:
    PC(Steam)
  • 価格:
    有料ダウンロードソフト
    ※Steamではデモ版も配信あり
  • 対応言語:
    日本語インターフェイス・字幕対応
    ※音声は英語対応

『MOTORSLICE』は、Regular Studioが開発し、Top Hat Studios, Inc.が販売するパルクール系アクションアドベンチャーです。Steamでは2026年5月5日に配信され、ジャンルはアクション、アドベンチャー、インディーに分類されています。Steamストア上でも、日本語インターフェイスと日本語字幕に対応していることが確認できます。

本作の大きな特徴は、荒廃した巨大構造物を舞台に、走る、登る、滑る、しゃがむ、壁を走るといったパルクールアクションを駆使して進んでいく点です。さらに主人公はチェーンソーを使い、通常では届かない距離を越えたり、巨大な機械に立ち向かったりします。

いわゆる大作アクションではありませんが、ひと目で分かるクセの強さがあります。
ポストアポカリプス風の無機質な世界、ブルータリズム建築を思わせる巨大な構造物、そしてチェーンソーを持った少女が機械だらけの世界を駆け抜けるという組み合わせは、かなり独特です。

「万人向けの安全なゲーム」というより、刺さる人にはかなり刺さりそうな一本。
だからこそ、買う前に実際の操作感やテンポ、難しさ、爽快感を確認したくなるタイプの作品です。

MOTORSLICEはどんなゲーム?

『MOTORSLICE』をひと言で言うなら、「チェーンソーを使って荒廃した巨大施設を駆け抜ける、かなり尖ったパルクールアクション」です。

主人公は“P”という少女。
プレイヤーは彼女を操作し、危険な罠が張り巡らされたメガストラクチャーの中を進んでいきます。走る、登る、滑る、しゃがむ、壁を走るといった基本アクションに加えて、チェーンソーを移動や戦闘に使うのが本作の個性です。

雰囲気として近いのは、ただ敵を倒して進むアクションゲームというより、「移動そのものがゲームプレイになっているタイプ」です。

段差をどう越えるか。
壁をどう走るか。
落下しそうな場所をどう抜けるか。
敵や罠をどう避けながら、勢いを殺さず進めるか。

このあたりが本作の中心になります。

また、相手になるのは人間ではなく、暴走した建設機械や巨大な重機のような存在です。小型の自律機械から巨大なダンプトラックのような敵まで登場し、ボス級の相手にはよじ登って切り刻むような戦い方も用意されています。

ここが『MOTORSLICE』の面白いところで、見た目はスタイリッシュなパルクールゲームなのに、戦う相手は無骨な機械です。
美少女キャラクター、チェーンソー、巨大重機、荒廃世界、パルクール。要素だけを並べるとかなりバラバラですが、その混ざり方に妙な魅力があります。

一方で、このタイプのゲームは操作感が合うかどうかで評価が大きく変わります。

移動が気持ちよければ、一気にハマれる。
逆に、視点移動やジャンプの感覚が合わないと、すぐにストレスになる。

特にパルクール系アクションは、少しの操作ミスやカメラの違和感がプレイ体験に直結します。だからこそ、『MOTORSLICE』は見た目だけで判断するより、「実際に動かして気持ちいいか」を重視して見るべきゲームだと感じます。

大作のように誰にでもおすすめしやすい作品ではありません。
ただ、競合の少ないインディーアクションの中で、「これは何だ?」と足を止めさせる力はかなりあります。

この記事では、『MOTORSLICE』のパルクールの気持ちよさ、チェーンソーアクションの手応え、世界観の魅力、そして気になる点まで、忖度なしで見ていきます。

MOTORSLICEの良かったところ

『MOTORSLICE』でまず良いと感じるのは、ゲームの方向性が非常にわかりやすいところです。

最近のインディーゲームには、雰囲気は良いけれど「結局どんなゲームなのか」が伝わりにくい作品も少なくありません。
その点、『MOTORSLICE』はかなり明快です。

荒廃した巨大構造物を走る。
壁を駆け抜ける。
段差を越える。
罠を抜ける。
チェーンソーで機械を切り刻む。

やること自体はシンプルですが、ビジュアルの引きが強く、「チェーンソーを持った少女が、巨大な機械だらけの世界をパルクールで進むゲーム」という一文だけで、かなり印象に残ります。

Steamストア上でも、本作は「ブルータリズム風のポストアポカリプス世界をパルクールで進む」「巨大ボスに登って切り刻む」「チェーンソーで不可能に見える距離を越える」といった要素が前面に出されています。単なる雰囲気ゲーではなく、移動・戦闘・探索のすべてにチェーンソーとパルクールを絡めている点が本作の個性です。

特に良いのは、世界観とゲームプレイの組み合わせです。

巨大建造物の中を小さな主人公が進んでいく構図は、かなりスケール感があります。
ただ広いだけではなく、プレイヤー自身が「登る」「滑る」「壁を走る」といった動作で空間を突破していくため、背景が単なる飾りになりにくい。

このタイプのゲームは、ステージそのものが敵であり、遊び場でもあります。

平坦な道を進むのではなく、目の前の構造物をどう越えるかを考えながら進む。
そこにチェーンソー移動や罠回避が加わることで、見た目以上にアクションゲームとしての手触りを重視した作りになっています。

パルクールとチェーンソーの組み合わせが独特

『MOTORSLICE』最大の個性は、やはりパルクールとチェーンソーの組み合わせです。

パルクールアクション自体は珍しいジャンルではありません。
壁走り、スライディング、ジャンプ、よじ登りといった要素は、ほかのアクションゲームでも見かけます。

ただ、本作の場合はそこにチェーンソーが加わることで、単なる移動アクションとは違う味があります。

チェーンソーというと、普通は攻撃用の武器という印象が強いです。
しかし『MOTORSLICE』では、戦闘だけでなく、移動の一部としても使われます。Steamストアでも、主人公Pは走る、登る、滑る、しゃがむ、壁を走るといった動きに加えて、チェーンソーを使って通常では越えられない距離を渡ると説明されています。

この設定がかなり面白いです。

単に「チェーンソーで敵を倒すゲーム」ではなく、「チェーンソーを使って世界を突破するゲーム」になっている。
ここが本作の見た目以上に大事なポイントです。

アクションゲームとして見ると、派手な武器を持たせるだけなら簡単です。
けれど、その武器が移動やステージ攻略にも関わってくると、プレイ体験そのものに個性が出ます。

『MOTORSLICE』はまさにそのタイプです。

チェーンソーが単なる攻撃ボタンではなく、プレイヤーの動線を広げる道具になっている。
この一点だけでも、他のパルクールアクションとの差別化はできていると感じます。

巨大機械との戦いにロマンがある

本作のもうひとつの魅力は、敵の方向性です。

『MOTORSLICE』で相手にするのは、ゾンビや怪物ではなく、暴走した建設機械や巨大な重機のような存在です。
Steamストアでは、小型の自律建設機械から巨大なダンプトラックまで登場し、巨大な機械には登って切り刻むボス戦があると説明されています。さらに、内容量として8章に加えプロローグとエピローグ、8体の巨大ボス戦が用意されていることも明記されています。

これがかなり良い方向に働いています。

人間同士の戦いではなく、無機質な機械との戦いなので、世界観に独特の冷たさがあります。
相手が巨大な建設機械だからこそ、主人公の小ささも際立ちます。

「チェーンソーを持った少女 vs 暴走重機」という構図は、かなり絵になります。

しかも、ただ殴って倒すだけではなく、巨大な機械によじ登り、部位を切り刻むような戦い方が用意されているのもポイントです。
巨大ボス戦は、アクションゲームにおいて見せ場になりやすい部分です。

ボスが大きければ大きいほど、こちらの動き方も重要になります。
正面から叩くだけでなく、どう近づくか、どこを登るか、どのタイミングで攻撃するかが問われる。

『MOTORSLICE』は、この巨大機械との戦いをゲームの大きな売りにしているため、ボス戦にロマンを感じる人にはかなり刺さる可能性があります。

雰囲気づくりがかなり強い

『MOTORSLICE』は、ビジュアルの方向性もかなり特徴的です。

派手なファンタジー世界ではなく、巨大で冷たい構造物が並ぶポストアポカリプス的な世界。
Steamストアでは、ブルータリズム風の風景、リミナルスペース、暗い回廊、巨大構造物の圧迫感といった要素が紹介されています。さらに、Pizza HotlineによるAtmospheric DnB/Jungle系のOST、P役としてKira Bucklandによるフルボイスのストーリーも特徴として挙げられています。

このあたりを見ると、本作は単にアクションだけで押し切るゲームではなさそうです。

巨大建築の中に取り残されたような不安感。
暗い通路をライトひとつで進む心細さ。
人間味の薄い機械世界の中で、主人公Pが日常業務のように“仕事”をこなしていく奇妙さ。

この「無機質な世界」と「キャラクターの生活感」のズレが、本作独自の雰囲気につながっています。

タイトルの説明にも“slice of life action-adventure”という表現があります。
直訳すれば日常系アクションアドベンチャーですが、実際には巨大構造物の中で機械を排除するという、かなり物騒な日常です。

このズレが面白い。

ただ暗いだけでもなく、ただスタイリッシュなだけでもない。
荒廃した世界で、ひとりの少女がチェーンソー片手に仕事をする。
この妙な生活感が、他のポストアポカリプス系ゲームとは少し違う味になっています。

ボリュームも意外としっかりしている

インディーゲームを買うときに気になるのが、ボリュームです。

見た目は良さそうだけど、すぐ終わってしまうのではないか。
雰囲気は良いけど、内容が薄いのではないか。
そう感じる人もいると思います。

その点、『MOTORSLICE』はSteamストア上で、8チャプター、プロローグ、エピローグ、8体の巨大ボス戦、30以上のフルボイス・インタラクティブなストーリー場面、9〜10時間以上のプレイ時間が記載されています。

もちろん、実際の体感ボリュームはプレイヤーの腕前や探索の仕方によって変わります。
パルクール系アクションは、詰まる人は詰まりますし、上手い人は一気に進めてしまうこともあります。

それでも、公式に9〜10時間以上を想定しているのは安心材料です。

短時間で終わる雰囲気ゲーというより、アクション、探索、ボス戦、ストーリー場面を含めて、ある程度しっかり遊ばせる構成に見えます。

特にこの手のインディー作品は、アイデア勝負で終わってしまうか、最後までゲームとして作り切っているかで評価が大きく変わります。
『MOTORSLICE』は、少なくとも公式情報を見る限り、単発のネタゲーではなく、チャプター制のアクションアドベンチャーとしてきちんと完成度を狙っている作品です。

日本語対応なのは大きい

地味ですが、日本語対応もかなり重要です。

Steamの対応言語欄では、日本語インターフェイスと日本語字幕に対応していることが確認できます。音声は英語ですが、ストーリーやメニューを日本語で追えるのは、日本のプレイヤーにとって大きな安心材料です。

特に『MOTORSLICE』は、30以上のフルボイス・インタラクティブなストーリー場面が用意されている作品です。
この手のゲームで字幕がないと、世界観やキャラクターの掛け合いを十分に楽しめない可能性があります。

アクションだけが目当てなら英語でも遊べるかもしれません。
しかし、本作はPという主人公、Orbieという謎の故障気味ドローン、そして巨大構造物の中で行われる“仕事”という設定が魅力になっています。

つまり、テキストや会話もゲームの味になっているタイプです。

そこで日本語字幕に対応しているのは大きいです。
インディー作品の場合、日本語対応の有無だけで購入候補に入るかどうかが変わることもあります。

『MOTORSLICE』は見た目のクセが強いぶん、内容が伝わるかどうかも大事です。
その意味で、日本語字幕対応は素直に評価できるポイントです。

MOTORSLICEの気になったところ

『MOTORSLICE』は、見た目の個性とアクションの方向性がかなりはっきりしている作品です。
ただし、その個性がそのまま「人を選ぶポイント」にもなっています。

まず前提として、本作はかなり操作感に依存するゲームです。

走る、登る、滑る、しゃがむ、壁を走る、チェーンソーを使って距離を越える。
こうした移動アクションが中心になる以上、プレイヤー側がその挙動に気持ちよく乗れるかどうかで、評価はかなり変わります。

Steamストアでも、本作は「ブルータリズム風のポストアポカリプス世界をパルクールで進む」「スムーズなゲームプレイ」「シームレスな戦闘」といった点を前面に出しています。つまり、移動そのものがゲームの中心にある作品です。

そのため、普通のアクションRPGやステージクリア型アクションの感覚で遊ぶと、思ったよりも“移動のゲーム”に感じる可能性があります。

敵を倒す爽快感だけを求めている人より、
「どう進むか」
「どう登るか」
「どう抜けるか」
を楽しめる人向けです。

ここはかなり大事です。

操作ミスがストレスになりやすいタイプ

『MOTORSLICE』のようなパルクールアクションは、うまく動けている時はかなり気持ちいい一方で、操作が噛み合わない時のストレスも出やすいジャンルです。

ジャンプの距離感。
壁走りに入る角度。
滑り込みのタイミング。
カメラの向き。
着地後の動き出し。

こうした細かい部分が、プレイ感に直結します。

本作は「ハードコアなチャレンジ」も特徴として掲げており、戦闘についても「死にやすいが、倒しやすい」という速いテンポの設計が示されています。

これは魅力でもありますが、裏を返すと、失敗に寛容なゆるいアクションではないということです。

軽快に動けるようになるまでが楽しい人には向いています。
逆に、最初から直感的にスイスイ進めたい人には、やや引っかかる場面があるかもしれません。

特に注意したいのは、ゲームが悪いというより、ジャンルの相性です。

パルクール系のゲームは、プレイヤーが操作に慣れてくるほど面白くなります。
最初の数十分で「なんか思ったように動かない」と感じても、慣れると一気に評価が変わることがあります。

ただし、その慣れる前の段階で合わない人は離脱しやすい。
『MOTORSLICE』も、おそらくそのタイプです。

カメラや視点移動が合わない人は注意

もうひとつ気になるのは、視点移動との相性です。

本作は巨大構造物の中を走り回り、壁を使い、上下移動をしながら進んでいくゲームです。
このタイプの作品では、カメラワークや視点操作がかなり重要になります。

海外レビューでも、パルクールや“スライス”系の移動場面で操作やカメラの向きが重く感じられる場面があると指摘されています。

これは購入前にかなり意識しておきたい部分です。

特に3Dアクションで酔いやすい人、カメラ操作が忙しいゲームが苦手な人は、いきなり本編を買うより、まずデモ版で確認した方が安全です。

Steam版では無料デモが用意されており、デモで最初のチャプターやボス戦、パルクールシステムの一部を試せることが紹介されています。

これはかなりありがたいです。

『MOTORSLICE』は、動画で見ると非常に魅力的に見える作品です。
ただ、動画で見て気持ちよさそうなゲームが、自分で操作しても気持ちいいとは限りません。

特にパルクール系は、ここが非常に大きいです。

だからこそ、購入前にデモで
「視点移動が合うか」
「ジャンプの感覚が合うか」
「壁走りやチェーンソー移動が気持ちいいか」
を確認できるのは、本作にとって大きな救いだと思います。

万人向けのわかりやすい爽快アクションではない

『MOTORSLICE』は、チェーンソー、巨大機械、パルクールという言葉だけを見ると、かなり派手な爽快アクションに見えます。

ただ、実際の方向性は、単純な無双系アクションとは違います。

Steamストアでは、本作は「ミニマルで雰囲気重視のアドベンチャー」「ハードコアなチャレンジ」「物理オブジェクトを使ったパズル」なども特徴として紹介されています。

つまり、敵を次々となぎ倒して気持ちよくなるだけのゲームではありません。

ステージの構造を読み、移動ルートを探し、時には物理オブジェクトを使って進む。
巨大ボス戦でも、ただ攻撃連打で倒すというより、登る、誘導する、弱点を探すといった要素が絡みます。

海外レビューでも、ボスは環境パズル的な設計で、弱点を見つけたり、周囲の構造を使ったり、パルクールを絡めたりする作りだと紹介されています。

この方向性を面白いと感じる人には刺さります。
一方で、「もっとシンプルに暴れたい」と思って買うと、少し違うと感じる可能性があります。

ここは、かなり誤解されやすいところです。

『MOTORSLICE』は派手な見た目をしていますが、ただの派手なゲームではありません。
むしろ、移動・探索・ボス攻略を組み合わせた、ややクセの強いアクションアドベンチャーです。

世界観が独特すぎて合わない可能性もある

『MOTORSLICE』の世界は、かなり無機質です。

ブルータリズム的な巨大建築。
リミナルスペースのような空間。
荒廃したメガストラクチャー。
人間味の薄い機械たち。

この空気感は本作の大きな魅力ですが、同時に好みが分かれる部分でもあります。

明るい冒険感や、わかりやすいファンタジー感を求めている人には、やや冷たく感じるかもしれません。

本作は「なぜこの場所にいるのか」「この世界は何なのか」を最初から丁寧に説明してくれるタイプというより、巨大な空間の中に放り込まれ、その中で少しずつ雰囲気を感じ取っていくタイプに見えます。

この“説明しすぎない感じ”を味と取るか、わかりにくさと取るかで評価は分かれます。

雰囲気ゲーが好きな人、廃墟や巨大建築に惹かれる人、少し寂しい世界を歩くのが好きな人にはかなり合いそうです。
逆に、ストーリーの目的や世界設定を最初からはっきり知りたい人には、少し距離を感じる可能性があります。

キャラクター性の強さも人を選ぶ

『MOTORSLICE』は、主人公Pのキャラクター性もかなり強い作品です。

海外では、Pのキャラクターデザインやインタラクティブなメニュー演出が話題になり、開発者の映像が大きく拡散されたことも報じられています。GamesRadar+の記事では、Pを前面に出したプロモーションがSteamのウィッシュリスト増加につながったことが紹介されています。

これはマーケティングとしてはかなり強いです。

ただし、キャラクターの魅力に寄せた売り方が強いぶん、純粋なアクションゲームとして見た時に、そこをどう受け取るかは人によります。

キャラクターの表情や仕草、会話、寄り道的なインタラクションを楽しめる人にはプラスです。
一方で、そうした要素にあまり興味がなく、ひたすら硬派なアクションを求めている人には、少しノイズに感じる可能性もあります。

本作は「チェーンソーで巨大機械を倒すゲーム」でありつつ、「Pというキャラクターを眺め、触れ合い、世界の中で過ごすゲーム」でもあります。

ここを魅力と見るか、余計な味付けと見るか。
そこでも評価が変わりそうです。

まずデモ版で相性確認するのが安全

結論として、『MOTORSLICE』は購入前にデモ版を触った方がいいタイプのゲームです。

これは悪い意味ではありません。

むしろ、良くも悪くも「触ればすぐに相性がわかる」ゲームです。

パルクールが気持ちいいか。
チェーンソー移動がしっくり来るか。
カメラや視点移動に酔わないか。
世界観に惹かれるか。
PとOrbieのやり取りを楽しめるか。

このあたりは、レビュー文を読むだけでは判断しにくい部分です。

Steamストアでは本編に加えてデモ版も配信されています。
特に本作のような移動アクション中心のゲームでは、デモ版の存在はかなり大きいです。

動画で見て気になった人ほど、まずデモを触る。
そこで「これは気持ちいい」と思えたら、本編購入を検討する。

『MOTORSLICE』は、その順番が一番失敗しにくい作品だと思います。

MOTORSLICEはこんな人におすすめ

『MOTORSLICE』は、万人向けのアクションゲームではありません。
ただ、「尖ったインディーアクションを探している人」にはかなり気になる一本です。

特に相性が良さそうなのは、パルクール系アクションが好きな人です。

本作は、敵を倒すこと以上に「移動そのもの」がゲームプレイになっています。
巨大構造物を走り、壁を駆け、足場を飛び越え、チェーンソーを使って突破していく感覚に魅力があります。

また、巨大ボス戦が好きな人にも向いています。

Steamストアでは、8体の巨大機械ボスとの戦いが特徴として紹介されており、単純な殴り合いではなく、登る・避ける・弱点を探すといった攻略要素が重視されています。(store.steampowered.com)

さらに、廃墟・リミナルスペース・巨大建築のような雰囲気が好きな人にはかなり刺さりそうです。

一方で、

  • カメラ酔いしやすい人
  • シンプルな爽快アクションを求める人
  • 親切な導線を重視する人

には少し合わない可能性があります。

『MOTORSLICE』は、わかりやすい大作アクションではなく、“クセの強い雰囲気系パルクールアクション”です。

だからこそ、ハマる人にはかなり記憶に残るタイプのゲームだと思います。

MOTORSLICEの評価ポイント

『MOTORSLICE』を評価するうえで一番大事なのは、「完成度の高い万能アクションかどうか」ではなく、「この尖ったコンセプトを最後まで楽しめるかどうか」です。

本作は、きれいに整った大作アクションとは少し違います。

パルクール。
チェーンソー。
巨大重機。
ブルータリズム風の廃墟。
無機質なメガストラクチャー。
そして、日々の仕事として機械を狩る少女P。

要素だけを見るとかなり変わっていますが、実際に公式情報でも「メガストラクチャーの廃墟をパルクールで進み、巨大ボスに登り、建設機械を狩る日常系アクションアドベンチャー」と説明されています。Steamでは2026年5月5日にリリースされ、開発はRegular Studio、販売はTop Hat Studios, Inc.です。

つまり、本作は最初から“普通のアクションゲーム”を目指している作品ではありません。

評価すべきポイントは、派手なコンボ数や装備の多さではなく、移動、空間攻略、ボス戦、雰囲気、キャラクター性がどれだけ噛み合っているかです。

爽快感よりも“突破する気持ちよさ”を見るゲーム

『MOTORSLICE』は、ひたすら敵を倒して気持ちよくなるゲームというより、目の前の空間をどう突破するかを楽しむゲームです。

Top Hat Studios公式ページでも、本作の特徴として、登る・走る・滑るといった流れるようなアクロバット操作、ハイスピードな戦闘、巨大な機械に登るボス戦、リミナルスペースやブルータリズム風の景観を進むパルクールが挙げられています。

ここがかなり重要です。

プレイヤーが気持ちよくなる瞬間は、敵を大量に倒した時だけではありません。
むしろ、難しそうな地形を見つけて、ルートを読み、動きをつなげて、ギリギリで突破できた時に楽しさが出るタイプです。

この「自分で道を通した感覚」が好きな人には、かなり相性が良いと思います。

逆に、アクションゲームに求めるものが、わかりやすい攻撃の手応えや、成長要素、装備収集、派手なスキル演出にある人は、少し物足りなく感じるかもしれません。

本作の魅力は、強くなって敵を圧倒する快感ではなく、危険な構造物を身体ひとつで突破していく緊張感にあります。

インディーゲームとしての“見た目の強さ”はかなりある

『MOTORSLICE』は、インディーゲームとしての見た目の引きがかなり強い作品です。

チェーンソーを持った少女が、巨大な建設機械に立ち向かう。
これだけで、かなり画になります。

国内メディアでも、チェーンソーを手にした少女が巨大重機に挑むアクションアドベンチャーとして紹介され、舞台は巨大建造物がそびえる世界、敵は自律型建設機械や巨大ダンプカーなどと説明されています。

この時点で、普通のファンタジーアクションやゾンビゲームとはかなり違います。

しかも、世界観は明るいポップ路線ではなく、無機質で重厚な巨大構造物が中心です。
その中に、アニメ調の主人公Pがいる。

このギャップが強いです。

硬い世界に柔らかいキャラクターがいる。
巨大な機械に小さな少女が立ち向かう。
日常業務のように危険な仕事をこなしていく。

こういう絵面の強さは、インディーゲームではかなり大事です。
『MOTORSLICE』は、スクリーンショットや動画の第一印象で「何これ?」と思わせる力があります。

レビュー記事としても、ここはかなり扱いやすいポイントです。

Steamでの初動評価も悪くない

購入判断という意味では、Steamでの初動評価も見ておきたいところです。

Steamページでは、2026年5月11日時点でユーザーレビューが1,769件、うち88%が好評の「非常に好評」と表示されています。

もちろん、発売直後の評価は今後変わる可能性があります。
アップデートや不具合修正、後半の評価、プレイヤー層の広がりによって印象が変わることもあります。

ただ、少なくとも初動の反応としては、かなり好意的に受け止められていると言えます。

特にインディー作品の場合、発売直後にレビュー数が集まり、そのうえで「非常に好評」まで到達しているのは大きいです。
単に見た目だけで話題になった作品ではなく、実際に遊んだプレイヤーからも一定の評価を得ていると見てよさそうです。

さらにGamesRadar+では、本作が発売後まもなく投資回収に成功したこと、Steamで多数のレビューを集め好評を得ていることも報じられています。

これは、競合が少ない週の小粒タイトルというより、インディー枠の中ではしっかり存在感を出している作品と見ていいと思います。

ただし“高評価=誰にでも合う”ではない

ここはかなり大事です。

Steamで評価が高いからといって、全員におすすめできるわけではありません。

『MOTORSLICE』は、そもそも好みが分かれやすいゲームです。
パルクールが中心で、巨大建築を移動し、機械ボスを攻略し、独特の雰囲気を楽しむ作品です。

そのため、Steamで高評価を付けている人は、本作の方向性に最初から興味があった層である可能性も高いです。

つまり、刺さる人には強く刺さる。
でも、合わない人には最初から合わない。

このタイプの高評価です。

レビュー記事では、ここを間違えない方が良いと思います。

「Steamで非常に好評だから安心して買っていい」と言い切るより、
「Steamでの初動評価は高いが、ジャンル相性の確認は必要」
という温度感が一番正確です。

特に本作はデモ版も用意されています。
そのため、購入前に触って判断できる余地があるのは大きな強みです。

忖度なしスコア

ここまで見た限り、『MOTORSLICE』は雑に大作と比較して評価するゲームではありません。

グラフィックの豪華さ。
システムの親切さ。
コンテンツ量。
万人向けの遊びやすさ。

そうした基準で見ると、大作アクションには及ばない部分もあるはずです。

ただ、その代わりに本作には「このゲームでしか見られない絵面」があります。

チェーンソーで巨大重機に挑む。
メガストラクチャーをパルクールで進む。
仕事のように機械を狩る少女Pを操作する。
巨大で冷たい空間の中を、自分の操作で突破していく。

この独自性はかなり強いです。

忖度なしで言えば、『MOTORSLICE』は安全牌ではありません。
でも、埋もれたインディーゲームの中から「何か変わったものを遊びたい」と思っている人には、かなり面白い候補になります。

万人向けではない。
けれど、刺さる人には記憶に残る。

『MOTORSLICE』は、まさにそういうタイプの一本だと思います。

評価項目スコア
パルクールアクションとしての爽快感7.9 / 10
チェーンソー移動・戦闘の独自性8.4 / 10
巨大機械ボス戦のインパクト8.0 / 10
ブルータリズム風世界観の魅力8.3 / 10
操作性・カメラ周りの遊びやすさ6.9 / 10
ボリュームと価格に対する納得感7.5 / 10
総合評価7.8 / 10

総評|MOTORSLICEは“刺さる人にはかなり刺さる”尖ったインディーアクション

『MOTORSLICE』は、いわゆる万人向けの大作アクションではありません。

親切な導線。
安定したカメラ。
誰でも遊びやすい操作感。
派手でわかりやすい爽快感。

そうした“遊びやすさ重視”のゲームを期待すると、少しクセの強さを感じると思います。

特にパルクールアクション中心という時点で、プレイヤーとの相性がかなり出ます。
移動が気持ちいいと感じられるか。
巨大構造物を突破していく感覚を楽しめるか。
カメラやジャンプ感覚に慣れられるか。

ここで評価は大きく変わります。

ただ、その代わりに『MOTORSLICE』には、他のゲームではなかなか見られない独特の魅力があります。

チェーンソーを持った少女。
荒廃したメガストラクチャー。
巨大建設機械との戦い。
ブルータリズム風の無機質な空間。
そして、パルクールで危険地帯を突破していくゲームプレイ。

この組み合わせはかなり強烈です。

Steamでは発売直後から「非常に好評」を獲得しており、少なくとも“見た目だけの雰囲気ゲー”では終わっていないことは伝わってきます。

一方で、評価が高いからといって、全員におすすめできるタイプでもありません。

だからこそ、本作はレビューを見る価値があるゲームです。

「これは合いそう」
と思える人にはかなり面白い候補になりますし、逆に少しでも不安があるなら、まずデモ版で相性確認した方が安全です。

忖度なしで言えば、『MOTORSLICE』は“完璧なゲーム”ではありません。

しかし、

「最近、大作ばかりで少し飽きてきた」
「もっと尖ったインディー作品を遊びたい」
「見た瞬間に“何だこれ?”と思えるゲームが好き」

そんな人には、かなり記憶に残る一本になる可能性があります。

総合評価は7.8点。
万人向けではない。
けれど、刺さる人にはしっかり刺さる。

『MOTORSLICE』は、そんなタイプのインディーアクションでした。

-新作ゲームレビュー
-,