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ねことじいちゃん(1)レビュー|猫と島とおじいちゃん——“ふたり暮らし”が教えてくれる、ゆっくりで豊かな時間

発売情報

  • 発売日:2015年8月7日
  • 出版社/レーベル:KADOKAWA/メディアファクトリー コミックエッセイ
  • 判型:A5判・176ページ
  • ISBN-13:978-4040676715(ISBN-10:4040676718)
    出典:KADOKAWA公式/Amazon書誌。KADOKAWAオフィシャルサイトカドストAmazon

どんな物語?(ネタバレなしの導入)

ばあさんに先立たれた大吉じいちゃんと、島で暮らす相棒猫のタマ。季節の移ろい、台所に立つ音、畑の土、商店の会話——“変わらない毎日”の中で確かに変わっていくものを、やわらかな視線で見つめていく短編集です。1巻は「春夏秋冬」の章立てで、行事や食卓の品、猫の気まぐれが、小さな事件や笑いとともに立ち上がる。読後に残るのは「今日もよかったね」という静かな満足感。

この1巻で掴める“読み味”

1. 生活のテンポが心拍に重なる

ページをめくる速度が自然と落ちるのに、退屈しない。理由は、生活動作(切る・煮る・干す・運ぶ)がコマのリズムそのものになっているから。ひとコマごとの手の動きが、読者の呼吸を整えてくれます。

2. 猫“タマ”は可愛いだけじゃない

タマはただのマスコットではなく、時間の案内人です。人より自由に、島のあちこちを歩き、時に大吉の背中を押し、時に気ままに離れていく。人と猫の距離の取り方が、老いと暮らしの「ちょうどよさ」を教えてくれます。

3. 語りすぎない“余白”

説明は最小限。台詞よりも余白と視線が語るから、大吉の寂しさもユーモアも、読者側の体験で補われる。淡い線と穏やかなレイアウトの中に、季節と匂いが確かに流れます。

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見どころ(ニュアンスのみ)

  • 縁側と台所:食材を刻む音、湯気、猫の足音。音が見えるような静かなシーン運びが心地よい。
  • 季節のごはん:旬の食材と小さな行事。“食べる”が生活の芯であることを思い出させてくれる。
  • 島の時間:商店の会話や寄り合い、ふとした噂話。地域のゆるいネットワークが、老いの孤独をやさしく受け止める。

“老い×猫×島”が生むやさしさ

本作のやさしさは、慰めではなく手触りのある現実から生まれます。足腰が疲れ、気候に体調が左右される——そんな“老いの当たり前”を曖昧にしない。その上で、猫の気ままさご近所の助けが、生活を少し軽くしていく。悲しみや不安は消えないけれど、機嫌よく暮らすコツは確かに増えていく。

関連映像:映画版の公式予告を添える

コミックを原作に、岩合光昭が監督を務めた実写映画『ねことじいちゃん』(2019年2月22日公開)。主演は立川志の輔、共演に柴咲コウ・田中裕子ほか。島×猫の空気感を一気に感じたい方に、最適の映像導線です。ウィキペディア映画.com

出典:YouTube『ねことじいちゃん』予告編(2019年2月22日公開告知)。

作品の広がりと話題性

  • コミックは**既刊11巻(2025年3月時点)**まで続刊、A5の読みやすい判型で安定したシリーズに。ウィキペディア
  • 2019年の映画公開で一般層にも一気に認知が広がり、猫×老い×島のフォーマットが“癒やし”だけでない読み応えを持つことが共有された。映画.com

読者へのおすすめポイント

  • 『つらねこ』の軽やかさが好きな方へ:猫の自由さと人の暮らしが溶け合う、同温度の癒やし
  • 『海が走るエンドロール』に響いた方へ:老いと日常の手触りを、料理と季節で確かめる楽しさ。
  • 忙しい毎日に疲れた方へ:1話ごとに呼吸が整う。寝る前の10分に最適。

まとめ

『ねことじいちゃん』1巻は、“今日を機嫌よく生きる”ためのささやかな技術に満ちています。台所に立つ、島の道を歩く、猫の背中を撫でる——そんなごく普通のことの繰り返しが、人生の質をじわりと上げてくれる。ページを閉じたとき、あなたの部屋の温度も、ほんの少しやわらかくなっているはずです。

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