
『24時間テレビ』の恒例企画として知られるチャリティーマラソン。
毎年、著名人が長距離へ挑戦する姿が注目される一方で、「チャリティー番組で、なぜ走る必要があるのか」「マラソンと募金はどうつながっているのか」「厳しい暑さの中でも続ける意味はあるのか」と疑問に感じる人も少なくありません。
結論からいえば、チャリティーマラソンが続いているのは、ランナーの挑戦を通して支援を必要とする人や社会課題へ関心を集め、視聴者が募金へ参加する入口を作れるからです。
『24時間テレビ』は、福祉の実績や支援の必要性を伝え、社会へ広げることを目的として、1978年から放送されてきました。チャリティーマラソンは番組開始当初から存在したのではなく、1992年の第15回大会から始まった企画です。
長距離を走ること自体が、そのまま寄付になるわけではありません。
ランナーの走行距離に応じて募金額が自動的に増える共通制度や、完走した場合に一定額が上乗せされる仕組みが設けられているわけでもありません。
マラソンの主な役割は、ランナーの経験や思いを支援テーマと結びつけ、視聴者へ募金を呼びかけることです。
近年は、ランナーが支援したい分野を明確にした目的別募金が行われています。
2024年のやす子さんによるマラソン募金では、5億493万6310円が集まり、全国606カ所の児童養護施設へ図書カードや生活用品などが届けられました。残る寄付金を使った、施設を巣立つ若者への継続支援も進められています。
2025年には、横山裕さんが自身の経験をもとに子ども支援を呼びかけ、マラソン子ども支援募金として約7億9186万円が集まりました。
一方、寄付が集まっているからといって、企画への批判がなくなるわけではありません。
真夏に長距離を走る安全性、ゴールを感動的に見せる演出、出演者の報酬、寄付金の管理、支援を受ける人の描き方など、検証すべき問題も残されています。
チャリティーという目的が正しくても、どのような方法でも許されるわけではありません。
反対に、企画方法への疑問だけを理由に、実際に寄せられた寄付や支援先へ届けられた成果まで否定するのも適切ではないでしょう。
2026年の『24時間テレビ49』では、星野真里さんがチャリティーランナーに選ばれました。自身の娘が先天性ミオパチーとともに生活している経験から、子どもたちが自分の居場所を選べる社会を願い、走る理由を語っています。番組は2026年8月29日・30日に放送予定です。
さらに2026年は、星野さんと一緒に走る一般参加の「応援ランナー」1000人を募集する新しい形式も導入されました。
この記事では、24時間テレビのチャリティーマラソンが始まった経緯、走る目的、募金との関係、寄付金の使い道、長年続いている理由、賛成・反対それぞれの意見、安全面の課題、今後必要な改善について、公式情報と過去の実績をもとに解説します。
- 24時間テレビのチャリティーマラソンはなぜ続いている?
- チャリティーマラソンはいつ始まった?
- チャリティーマラソンは毎年100キロと決まっている?
- 1人で走る形式だけではない
- 2018年は史上初のトライアスロン形式
- 2020年は公道を使わない「募金ラン」へ変更
- 形式を変えても企画の中心は共通している
- 形式変更は安全対策にもなる
- 「過酷さ」を競う企画にしないことが重要
- 2026年は一般参加型へさらに変化
- チャリティーマラソンと募金はどう関係している?
- 24時間テレビの寄付金は何に使われる?
- 寄付金は番組制作費に使われる?
- 出演者のギャラは寄付金から支払われる?
- 寄付金着服問題で信頼が揺らいだ
- 多額の募金が集まれば批判は解消される?
- 真夏のチャリティーマラソンは安全なのか
- なぜ涼しい季節に走らないのか
- ゴール時間や距離は演出のために決めている?
- 感動を作りすぎているという批判
- チャリティーを視聴率に利用しているという批判
- チャリティーマラソンに賛成する意見
- 賛成か反対かだけでは判断できない
- チャリティーマラソンは今後も続く?
- 継続するために必要な改善
- 廃止以外に考えられる選択肢
- チャリティーマラソンに意味はある?
- 24時間テレビのチャリティーマラソンに関するよくある質問
- まとめ|チャリティーマラソンが続く理由は募金への入口になるから
24時間テレビのチャリティーマラソンはなぜ続いている?
チャリティーマラソンが続いている大きな理由は、番組のチャリティー活動を分かりやすく象徴し、視聴者が支援へ参加するきっかけを作れるためです。
福祉、子どもの貧困、障害者支援、災害復興などの問題は、制度や数字だけで説明すると、日頃から関心を持っている人以外には届きにくいことがあります。
一方、著名人が目標へ向かって走る企画は、途中から番組を見た人にも内容を理解しやすく、スタートからゴールまで継続して進行状況を伝えられます。
その過程で、ランナーが走る理由や支援先を紹介すれば、普段は福祉や社会問題に接する機会が少ない人にも情報を届けられます。
チャリティーマラソンは、
ランナーの挑戦を見せる
→ 支援テーマへの関心を集める
→ 視聴者へ募金を呼びかける
→ 集まった寄付を支援へつなげる
という流れを作る企画です。
走る行為そのものよりも、走る姿を通して社会課題へ目を向けてもらうことに本来の役割があります。
番組全体を一本につなげられる
『24時間テレビ』には、ドキュメンタリー、音楽、ドラマ、スポーツ、福祉活動、災害復興支援など、さまざまな企画があります。
それぞれの内容は独立していますが、マラソンは放送中に何度も途中経過が挿入されます。
視聴者は別の企画を見ながらも、ランナーがどこまで進んだのか、体調はどうか、ゴールまでどれくらい残っているのかを継続して追えます。
スタートからゴールまでの明確な時間軸があるため、長時間番組全体に流れを作りやすいことも特徴です。
途中から視聴した人でも状況を理解しやすく、放送終盤へ向けて関心を高められます。
マラソンは一つのコーナーであると同時に、番組全体をつなぐ役割を担ってきました。
番組を象徴する恒例企画になっている
チャリティーマラソンは1992年の開始以来、30年以上にわたって形を変えながら続いています。
日本テレビも、1992年の第15回大会から長年にわたり番組の風物詩となった企画と紹介しています。
毎年ランナーが発表されると、
- 今年は誰が走るのか
- なぜその人物が選ばれたのか
- どのような支援を呼びかけるのか
- どれくらいの距離へ挑戦するのか
- 無事にゴールできるのか
といった複数の話題が生まれます。
放送前から番組への関心を集め、当日は進行状況を伝え続けられるため、テレビ企画としても扱いやすい構造です。
長年の知名度、募金への入口、長時間番組をつなぐ機能が組み合わさり、チャリティーマラソンは『24時間テレビ』を代表する企画として定着しました。
近年は支援目的が具体的になっている
以前のチャリティーマラソンでは、ランナーの挑戦そのものが大きく注目され、募金との関係が分かりにくいと受け取られることもありました。
近年は、ランナー個人の経験や問題意識と、具体的な支援分野を結びつける取り組みが強まっています。
やす子さんの児童養護施設支援や、横山裕さんの子ども支援では、集まった金額だけでなく、支援対象や贈呈内容、その後の継続事業まで公表されています。
2026年の星野真里さんも、娘との生活を通して抱いた願いを走る理由として示しています。
単に「有名人が長距離を走る」のではなく、
誰のために走るのか
どのような問題を伝えるのか
寄付によって何を支援するのか
を明確にする方向へ変化しています。
この説明が具体的であるほど、マラソンは単なる感動企画ではなく、募金と社会課題をつなぐ企画として意味を持ちやすくなります。
チャリティーマラソンはいつ始まった?
24時間テレビのチャリティーマラソンが始まったのは、1992年の第15回大会です。
『24時間テレビ』自体は1978年に始まっているため、最初の14回には現在のような長距離マラソン企画はありませんでした。
初代ランナーは間寛平さんです。
間さんは1992年に200キロへ挑戦しましたが、沿道へ多くの人が集まり、安全に走り続けることが難しくなったため、途中で挑戦を終えました。
翌1993年に再び200キロへ挑戦し、完走しています。
初年度から予定どおり成功した完成形の企画ではなく、実施後に安全管理や運営方法を見直しながら恒例化していった企画でした。
初年度の混乱が安全管理の教訓になった
1992年は沿道へ多くの見物客が集まり、走行の継続が困難になりました。
その後、スタート地点や細かなルートを事前に広く公表しない運用が定着したのは、ランナー、伴走者、沿道の住民、一般の通行者を守る意味があります。
走行場所を非公開にすると透明性への疑問が生まれる一方、事前に明かせば観客が集中し、交通や安全に影響する可能性があります。
そのため、詳細ルートを事前には伏せ、終了後に距離や実施結果を説明するなど、安全と透明性を両立する方法が必要です。
チャリティーマラソンはテレビスタジオ内で完結する企画ではなく、実際の道路や施設を長時間使用します。
初年度の経験が、現在まで続く警備や情報管理の基礎になったと考えられます。
なぜ1992年に始まったのか
日本テレビは、『24時間テレビ』を福祉の実績や支援の必要性を伝え、社会へ広げるための番組と説明しています。
ただし、マラソン企画について「この一つの理由で始めた」とする詳細な公式説明が、現在公開されている資料ですべて明らかになっているわけではありません。
そのため、企画開始の意図を断定することはできません。
一方、長距離走には、チャリティー番組の中心企画として使いやすい特徴があります。
- 誰にでも挑戦内容が伝わる
- 目標と進行状況が分かりやすい
- 放送開始から終盤まで追い続けられる
- ランナーの経験と支援テーマを結びつけられる
- ゴールという明確な区切りを作れる
複雑な福祉制度や寄付の使い道を説明するだけでは、視聴者の関心を長時間保つのが難しい場合があります。
ランナーの挑戦を軸にすれば、その途中で支援を必要とする人や社会課題を紹介し、番組全体を一つの流れとして見せられます。
支援活動を、誰にでも理解しやすい「挑戦」という形で象徴できることが、企画の採用と定着につながった可能性があります。
チャリティーマラソンは毎年100キロと決まっている?
24時間テレビのチャリティーマラソンには、毎年必ず100キロを走るという固定ルールはありません。
100キロ前後の距離が設定される年が多いため、「24時間で100キロを走る企画」という印象が広く定着しています。
しかし、過去には200キロや約600キロの挑戦があり、複数人によるリレー、駅伝、トライアスロン、私有地の周回コースを使った募金ランなども実施されてきました。
ランナーの年齢や体力、その年の企画テーマ、社会状況、安全面などに応じて、距離や競技形式は変更されています。
つまり、チャリティーマラソンの中心にあるのは「必ず100キロを完走すること」ではなく、走る挑戦を通じて支援への関心を集めることです。
200キロや約600キロに挑戦した年もある
初代ランナーの間寛平さんは、1992年と1993年に200キロへ挑戦しました。
さらに1995年には、阪神・淡路大震災で被災した神戸から東京まで、約600キロを1週間かけて走る企画が行われています。
番組放送中だけで完結するのではなく、放送前から長期間にわたって走り続け、最終的に番組内でのゴールを目指す形式でした。
その後は100キロ前後が多くなりましたが、歴史を振り返ると、距離は一律ではありません。
距離が長ければ長いほどチャリティーとして価値が高まるわけでもなく、ランナーの条件に合わせて無理のない設定を行うことが重要です。
1人で走る形式だけではない
チャリティーマラソンという名称から、一人の著名人が長距離を走り続ける姿を想像する人も多いでしょう。
実際には、複数人で距離を分担する形式も採用されてきました。
一人の限界へ挑戦する企画から、家族や仲間で目標をつなぐ企画へ変えることで、身体的な負担を分けながら、異なる物語を描くことができます。
2012年は家族4人によるリレーマラソン
2012年の第35回大会では、佐々木健介さん、北斗晶さん、長男の佐々木健之介さん、次男の佐々木誠之介さんが、家族4人でリレーマラソンへ挑戦しました。
日本テレビは、番組史上初の家族4人リレー形式として紹介しています。次男の誠之介さんは当時9歳で、史上最年少ランナーとして記録されました。
一人が長時間走り続けるのではなく、家族がたすきをつないでゴールを目指すことで、「家族の絆」が企画の中心になりました。
複数人形式には、負担を分散できるだけでなく、それぞれが走る理由や、前のランナーから受け取った思いを描ける利点があります。
2019年は4人による24時間駅伝
2019年は、近藤春菜さん、よしこさん、水卜麻美アナウンサー、いとうあさこさんの4人が走る「24時間駅伝」が行われました。
1区を近藤さん、2区をよしこさん、3区を水卜アナ、最終4区をいとうさんが担当し、たすきをつないでゴールを目指しました。
一人のランナーだけを追う通常の形式とは異なり、区間ごとに別の挑戦と物語が生まれます。
合計距離は大きくなりますが、一人当たりの走行距離を分けることで、それぞれの体力や準備状況に応じた設定が可能になります。
駅伝形式は、企画の核を「一人の極限状態」ではなく、仲間同士が支え合う姿へ移した例といえるでしょう。
2018年は史上初のトライアスロン形式
2018年の第41回大会では、みやぞんさんが、マラソンだけでなく水泳と自転車を組み合わせたトライアスロン形式へ挑戦しました。
内容は、水泳1.55キロ、自転車60キロを終えた後、長距離走へ移るもので、日本テレビは番組史上初のトライアスロン形式と発表しています。
通常のマラソンよりも種目が増え、挑戦時間も番組開始前から約33時間に及ぶ大規模な企画となりました。
この年は「チャリティーマラソン」という枠組みを保ちながら、走ることだけに内容を限定しませんでした。
長年続いた恒例企画でも、視聴者へ新しい見せ方を提示するため、競技そのものを変更する場合があることを示しています。
一方、種目が増えれば身体への負担や安全管理も複雑になります。
企画の新鮮さを優先するだけでなく、ランナーの能力や医療体制に見合った内容になっているかを慎重に判断する必要があります。
2020年は公道を使わない「募金ラン」へ変更
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、沿道に観客が集まる従来型の公道マラソンを実施できない状況でした。
そこで行われたのが、高橋尚子さんと「チームQ」による募金ランです。
舞台は一般公道ではなく、安全面を考慮した私有地の1周5キロのコースでした。
ランナー自身が1周するごとに10万円を寄付する独自ルールが設けられ、走行距離と寄付を直接結びつけた企画となっています。
これは通常のチャリティーマラソンとは異なり、ランナー側が距離に応じて寄付を行った例です。
前章で触れたとおり、毎年共通で「走った分だけ寄付が増える」仕組みがあるわけではありません。
2020年の募金ランは、感染症流行という特別な状況に合わせ、その年だけの個別ルールを設定した企画です。
沿道の密集を避ける目的があった
公道を走れば、ランナーを見ようと沿道へ人が集まる可能性があります。
2020年は人同士の接触を減らすことが求められていたため、走行場所を私有地へ限定することで、一般の観客が密集するリスクを抑えました。
通常のルートを維持するのではなく、場所や寄付の仕組みを根本から変えたことは、チャリティーマラソンが社会状況に応じて変更できる企画であることを示しています。
一方、私有地の周回コースは景色の変化が少なく、同じ場所を何度も走る精神的な負担もあります。
安全性を高めるための変更であっても、ランナーにとって別の難しさが生まれる点には配慮が必要です。
形式を変えても企画の中心は共通している
家族リレー、駅伝、トライアスロン、募金ランは、見た目もルールも異なります。
それでも共通しているのは、ランナーの挑戦を放送全体で追い、視聴者へチャリティー参加を呼びかけることです。
形式を変える理由には、
- ランナーの体力や年齢に合わせる
- 一人へ負担が集中するのを避ける
- その年のテーマを表現する
- 社会状況や感染対策へ対応する
- 長年続いた企画へ新鮮さを加える
などがあります。
毎年同じ距離を同じ方法で走ることが伝統なのではありません。
番組のチャリティーテーマを伝えながら、安全に実施できる形を選び直すことこそ、長く続けるために必要な変化です。
形式変更は安全対策にもなる
複数人で距離を分担すれば、一人当たりの走行時間を短くできます。
私有地やスタジアムを使えば、公道の交通や沿道への観客集中を抑えやすくなります。
夜間中心の開催にすれば、日中の強い日差しを避けられます。
このように、形式変更は番組の見せ方だけでなく、安全性を改善する手段にもなります。
ただし、リレーや周回コースなら必ず安全というわけではありません。
参加人数が増えれば、体調確認や給水、救護、参加者同士の接触、会場内の混雑など、新しい管理項目が増えます。
重要なのは、過去に成功した形式をそのまま繰り返すことではなく、その年の気候、参加人数、走行場所、ランナーの状態に合わせて安全計画を作ることです。
「過酷さ」を競う企画にしないことが重要
形式が変化する一方で、企画を新鮮に見せるために、距離や種目を増やしすぎる危険もあります。
200キロ、約600キロ、トライアスロンなど、過去の大規模な挑戦は強い印象を残しました。
しかし、前の年より長く、難しく、過酷にしなければ注目されない状態になると、チャリティーの目的よりテレビ企画としての刺激が優先されかねません。
支援を伝えるために必要なのは、ランナーが限界まで追い込まれることではありません。
短い距離やリレー形式でも、走る理由と支援先が十分に伝わり、寄付への参加につながるのであれば、企画として成立します。
挑戦の価値を距離や苦しさだけで測らず、どれだけ支援への理解と参加を生み出せたかで評価することが必要です。
2026年は一般参加型へさらに変化
2026年は、星野真里さんの挑戦に加えて、一般参加者1000人を「応援ランナー」として募集する形式が導入されました。
参加者は東京近郊の会場で、一人3〜5キロ程度を走る予定です。
著名人一人の挑戦を見る企画から、視聴者自身も短い距離を走ってチャリティーへ参加する形へ広げようとしています。
一人当たりの距離を抑え、夜間を中心に走ることは、真夏の長距離走に対する安全面の批判へ対応する意味もあります。
一方、1000人規模になれば、医療、給水、ペース管理、会場警備、参加者の健康状態確認など、運営側の責任はさらに大きくなります。
2026年の新形式が今後の標準になるかは、実際に安全に運営できたか、募金や支援への参加がどれほど広がったかによって判断されるでしょう。
チャリティーマラソンは、一人の有名人の過酷な挑戦から、多くの人が無理のない範囲で参加する企画へ変わる転換点を迎えているのかもしれません。
チャリティーマラソンと募金はどう関係している?
チャリティーマラソンについて、最も誤解されやすいのが「走ること」と「募金」の関係です。
通常のチャリティーマラソンでは、ランナーが1キロ走るごとに一定額が寄付される、完走すると日本テレビが追加で寄付する、走行距離によって募金額が決まるといった共通ルールは公表されていません。
マラソンの役割は、走る行為そのものによって寄付金を作ることではなく、支援テーマへ注目を集め、視聴者が募金へ参加するきっかけを作ることです。
基本的な流れは、次のように整理できます。
ランナーが走る理由を伝える
→ 支援が必要な社会課題を知ってもらう
→ 趣旨に賛同した視聴者が寄付する
→ 集まった寄付金を支援事業へ活用する
したがって、ランナーが予定距離を完走できなかった場合でも、それまでに寄せられた募金が無効になるわけではありません。
反対に、予定より長く走ったからといって、寄付金が自動的に増える仕組みでもありません。
2020年の募金ランのように、ランナー自身が周回数に応じて寄付する特別ルールが設けられる場合はありますが、これは通常のマラソンに共通する制度ではなく、その年の個別企画です。
走行距離は寄付額を計算する単位ではない
チャリティーマラソンでは、何キロ走ったかが大きく報じられます。
しかし、走行距離はランナーの挑戦内容を示すものであり、視聴者から集まる寄付額を計算する基準ではありません。
寄付額を決めるのは、視聴者や企業などが実際に寄せた金額です。
そのため、チャリティー企画として重視するべきなのは、距離の長さだけではありません。
- なぜその人物が走るのか
- どの支援分野へ寄付するのか
- 集まった寄付で何を実現するのか
- 支援結果をどのように報告するのか
まで伝えられているかが重要です。
100キロを走ったという事実より、支援先へ何が届いたのかの方が、チャリティーとしては本質的な成果です。
24時間テレビの寄付金は何に使われる?
24時間テレビチャリティー委員会は、預かった寄付金をすべてチャリティー事業費として使用すると説明しています。
主な支援分野は、次の3つです。
- 福祉支援
- 環境保護活動支援
- 災害復興支援
福祉分野では、福祉車両の贈呈、障害者スポーツ、子どもや福祉施設への支援などを実施しています。
環境分野では、清掃活動や環境保護活動を支援。
災害が発生した際には、被災地域への義援金や復興事業にも寄付金が活用されます。
2026年7月時点で、1978年の第1回から48年間に集まった寄付金の累計額は、469億3057万4753円と公表されています。
目的別募金は指定された支援分野へ使われる
近年は、寄付者が支援したい分野を選べる目的別募金が行われています。
2025年の横山裕さんによるマラソン子ども募金では、7億9186万1759円が集まりました。
寄付金は、全国608の児童養護施設、197の母子生活支援施設、715の子ども食堂・フードパントリーなどを対象に、外食体験、レジャー体験、教育、家電、食料といった支援へ活用されています。
同年度には、能登復興支援募金やパラスポーツ応援募金も実施され、それぞれの目的に沿った支援内容が公表されました。
支援する分野と結果を具体的に報告することは、マラソンと寄付の関係を理解しやすくするうえで重要です。
寄付金は番組制作費に使われる?
24時間テレビチャリティー委員会は、一般から預かった寄付金をすべてチャリティー事業費として使用し、委員会の運営経費は日本テレビを含む委員会社が負担すると説明しています。
この説明に基づけば、視聴者が募金箱などへ入れた寄付金を、スタジオ設営、番組スタッフの人件費、放送設備、出演者の報酬といったテレビ番組の制作費へ直接回す仕組みではありません。
番組制作に必要な費用は、放送局の予算やスポンサー収入など、寄付金とは別の資金で賄われます。
つまり、24時間テレビには、
- テレビ番組を制作・放送するための会計
- 寄付を集めて支援事業へ使うチャリティー会計
という、性質の異なる二つの資金の流れがあります。
寄付金と番組制作費は分けて管理されると公式に説明されていることは、記事内で明確にしておく必要があります。
キャッシュレス募金では手数料が差し引かれる
現金募金とキャッシュレス募金では、取り扱いに違いがあります。
クレジットカード、携帯キャリア決済、アプリ決済などを利用したキャッシュレス募金では、決済システムの利用料が寄付金から差し引かれると公式に案内されています。
これは、番組制作費や出演料へ使われるという意味ではありません。
決済サービスを利用するために発生する手数料です。
そのため、「寄付金は1円も差し引かれない」と一律に説明するのではなく、キャッシュレス募金ではシステム利用料を除いた金額が支援へ回ると表現する方が正確です。
出演者のギャラは寄付金から支払われる?
24時間テレビでは、出演者やマラソンランナーの報酬をめぐる議論が長年続いています。
海外のチャリティー番組では著名人が無償出演する例もあることから、「チャリティー番組なら出演者も無償で参加するべきではないか」という意見があります。
一方、24時間テレビの全出演者について、
- 誰が報酬を受け取っているのか
- 誰が無償で出演しているのか
- 個別にいくら支払われているのか
を確認できる公式の一覧は公表されていません。
そのため、特定の出演者やランナーについて「必ず高額なギャラを受け取っている」「全員無償で出演している」と断定することはできません。
確認できるのは、出演者への報酬を含む番組制作費が、視聴者から預かった寄付金から支払われる仕組みではないと説明されていることです。
報酬があればチャリティーではないのか
出演者が報酬を受け取ることに対しては、考え方が分かれます。
無償出演を求める立場からは、
- チャリティーを掲げるなら出演者も協力するべき
- 出演料に使う予算を支援へ回すべき
- 善意を商業番組へ利用しているように見える
という批判があります。
一方、テレビ局側から見れば、番組出演は仕事でもあります。
長時間の生放送だけでなく、事前取材、練習、ロケ、リハーサルなどに多くの時間が必要です。
その労働へ報酬を支払いながら、テレビ番組として得た知名度や広告収入を使い、全国規模の募金活動を行うことも、一つのチャリティーの方法だと考えられます。
重要なのは、報酬の有無だけで番組全体を判断することではありません。
- 寄付金と制作費が分けられているか
- 寄付金の使い道が公開されているか
- 実際に支援が行われているか
- 出演者報酬について誤解を招く説明をしていないか
を確認する必要があります。
寄付金着服問題で信頼が揺らいだ
24時間テレビをめぐっては、2023年11月に日本海テレビの元幹部社員による寄付金着服が発覚しました。
チャリティー番組にとって、預かった寄付金が正しく管理されることは活動の前提です。
実際に支援を行っていても、管理方法への疑いが残れば、番組や募金活動全体への信頼が失われます。
24時間テレビチャリティー委員会は、問題を受けて内部調査を行い、外部弁護士を交えた不正防止対策チームを設置しました。
再発防止策を導入したうえで、2024年以降の募金活動では、寄付金の取り扱いに関する新たな規約と実施細則に基づく運営を行っています。
外部弁護士による確認を導入
2024年の募金活動では、委員会を構成する31社が事前に募金活動計画書を提出しました。
放送当日には、弁護士や日本テレビ法務部社員による現地確認を実施。
放送後には、募金活動報告書や会場の写真を提出し、外部弁護士を含むチームが内容を確認しています。
この監視体制は2025年の募金活動でも継続され、2026年3月には「24時間テレビ48」の寄付金取り扱いに対するモニタリング結果が公表されました。
再発防止策は、一度導入すれば十分というものではありません。
毎年の募金活動について、
- 誰が寄付金を預かったのか
- どのように保管したのか
- いつ委員会へ入金したのか
- 現地確認で問題がなかったか
を継続して検証する必要があります。
地域募金にもルールが設けられている
地域の団体が募金活動へ参加する草の根チャリティーネットワークでは、寄付金の取り扱いに関する規定が示されています。
主な内容は、
- 寄付金から経費を差し引かない
- 特定の個人や団体の利益に利用しない
- 募金活動の責任者を決める
- 実施報告と募金額の入金を行う
- 寄付を強要しない
- 不測の事態を地域の放送局へ報告する
といったものです。
多数の放送局、企業、地域団体が関わる募金である以上、すべての現場で同じ基準を守ることが欠かせません。
多額の募金が集まれば批判は解消される?
2025年度の24時間テレビでは、一般募金、マラソン子ども募金、能登復興支援募金、パラスポーツ応援募金などを合わせ、20億円を超える寄付金が集まりました。
多くの施設や被災地へ具体的な支援が届けられていることは、企画の大きな成果です。
しかし、募金額が大きければ、安全性、演出、報酬、管理体制への疑問がすべて解消されるわけではありません。
寄付の成果と、寄付を集める方法が適切かどうかは分けて考える必要があります。
多額の寄付を預かる企画だからこそ、
- ランナーの健康が守られているか
- 寄付先と使い道が分かりやすいか
- 制作費との区別を正しく説明しているか
- 募金管理を第三者が確認できるか
- 支援結果を継続して報告しているか
を厳しく確認する責任があります。
チャリティーマラソンの価値は、募金額の大きさだけではなく、集める過程と使う過程の両方へ納得できるかによって決まります。
真夏のチャリティーマラソンは安全なのか
チャリティーマラソンで最も大きな課題となっているのが、真夏に長時間走る安全性です。
『24時間テレビ』は例年8月に放送されます。気温だけでなく、湿度や日射、路面からの熱も加わるため、ランナーには熱中症、脱水、筋肉や関節の損傷、疲労による転倒などの危険があります。
熱中症の危険度を判断する際には、気温・湿度・日射などを反映した暑さ指数「WBGT」が使われます。
日本スポーツ協会の熱中症予防運動指針では、WBGTが28度以上になると激しい運動や持久走を避け、31度以上では特別な場合を除いて運動を中止することが示されています。環境省も、暑さ指数を確認し、涼しい環境以外では運動を中止するよう呼びかけています。
医師やスタッフがいても危険はなくならない
24時間テレビのマラソンでは、医師、トレーナー、伴走者、給水スタッフなどがランナーを支えます。
休憩、給水、食事、マッサージ、アイシング、体調確認など、一人で長距離を走る場合より手厚い支援が用意されます。
しかし、サポート体制があれば必ず安全というわけではありません。
長時間の運動では、序盤に問題がなくても、疲労や脱水が積み重なった後に体調が急変する可能性があります。
ランナー本人が「まだ走れる」と希望しても、医療スタッフが危険と判断した場合は、番組の進行やゴールよりも中止を優先する必要があります。
完走させるための医療体制ではなく、危険になる前に止めるための医療体制でなければなりません。
中止や短縮の基準を事前に示す必要がある
安全性への信頼を高めるには、「万全の対策を行う」と説明するだけでは不十分です。
視聴者が知りたいのは、実際にどのような条件で中止や変更を判断するのかです。
たとえば、
- 暑さ指数がどの数値になれば中断するのか
- どのような体調変化を中止基準とするのか
- 豪雨や台風の場合はどう変更するのか
- ランナー本人の意思より医師の判断を優先するのか
- 予定距離を短くする判断は誰が行うのか
まで、可能な範囲で示した方が安心につながります。
2026年の一般参加型マラソンでは、気温が下がり始める午後8時以降にスタートし、給水設備、専門スタッフによるペース管理、医師の常駐、途中離脱できる体制を用意すると発表されています。
また、日本スポーツ協会の熱中症予防運動指針と暑さ指数を考慮し、中止や中断を判断する可能性も明記されました。
従来より具体的な安全対策が示されたことは前進です。
ただし、重要なのは発表内容ではなく、実際の気象条件や参加者の状態に応じて、予定を変更できるかどうかです。
なぜ涼しい季節に走らないのか
安全面だけを考えれば、真夏よりも春や秋の方が長距離走には適しています。
それでも8月に行われてきたのは、チャリティーマラソンが夏の『24時間テレビ』と同時に進む企画として定着しているためです。
マラソンだけを別の季節へ移すと、放送開始からゴールまでを生中継し、視聴者へ募金を呼びかける現在の構成は変わります。
しかし、長年8月に行ってきたことは、今後も同じ時期に続ける十分な理由にはなりません。
近年の猛暑を考えれば、
- 夜間を中心に開催する
- 距離を短くする
- 複数人でリレーする
- 屋内や管理された施設を利用する
- マラソンだけ別の季節に行う
- 長距離走以外の企画へ変更する
といった選択肢も検討する必要があります。
伝統を守ることより、現在の気候に合った形へ変えることの方が重要です。
ゴール時間や距離は演出のために決めている?
チャリティーマラソンでは、番組終盤にランナーがゴールする年が多いため、「放送時間に合わせて距離を調整しているのではないか」という疑問があります。
テレビ番組の企画である以上、ランナーの体力、練習状況、休憩時間、走行速度、放送時間を考慮して距離やスタート時刻を設定していると考えるのが自然です。
一方、距離をどのような計算で決めているのか、放送上の演出をどこまで考慮しているのかは、毎年詳しく公開されているわけではありません。
そのため、
- ゴール時間を合わせるために意図的に待機させている
- 車で移動して距離をごまかしている
- 発表された距離を実際には走っていない
といった情報を、証拠なしに事実として扱うことはできません。
ただし、疑問が繰り返される背景には、走行距離やルートの測定方法が見えにくいことがあります。
安全上、事前に詳しいルートを公開できなくても、放送後に、
- 実際の走行距離
- 距離の計測方法
- 主な休憩時間
- 安全上のコース変更
- 途中で行った移動
などを報告すれば、企画への理解を得やすくなります。
放送時間内のゴールを成功条件にしない
ランナーが出演者の待つ会場へ到着する場面は、番組を象徴する山場です。
しかし、時間内にゴールできたかどうかは、チャリティー活動の成果そのものではありません。
体調に異変があるのに、感動的なゴールのために続けさせるのであれば、目的と手段が逆転します。
途中で挑戦を終えたとしても、
- 支援テーマを多くの人へ伝えられた
- 募金への参加を呼びかけられた
- 実際に寄付が集まった
- ランナーが安全に企画を終えられた
のであれば、一定の目的は達成されています。
完走を成功、途中終了を失敗と決めつけない見せ方が必要です。
感動を作りすぎているという批判
24時間テレビ全体には、障害、病気、貧困、災害などの困難を、視聴者の感動を生むために利用しているように見えるという批判があります。
チャリティーマラソンでも、ランナーの生い立ち、家族、苦労、支援対象の物語を長距離走と重ね、感動的に描く構成が取られます。
人の経験を伝えること自体が問題なのではありません。
問題になるのは、支援を必要とする人を「かわいそうな人」や「視聴者へ勇気を与える存在」として、一面的に描いてしまうことです。
社会課題を伝えるなら、
- なぜ支援が必要な状況が生まれたのか
- どの制度や環境が不足しているのか
- 寄付で何を改善できるのか
- 行政や社会には何が求められるのか
- 継続的な支援をどう作るのか
まで扱う必要があります。
ランナーの挑戦は、視聴者の関心を集める入口になります。
その関心を一時的な涙で終わらせず、支援先への理解や継続的な寄付につなげられるかが重要です。
チャリティーを視聴率に利用しているという批判
『24時間テレビ』は、民間放送局がスポンサーを集めて制作するテレビ番組です。
番組が注目されれば視聴率が上がり、広告収入にもつながります。
そのため、「善意や福祉を商業番組のために利用しているのではないか」という批判があります。
特にチャリティーマラソンは、ランナー発表から当日のゴールまで大きな話題になるため、番組の視聴を支える企画として見られやすくなります。
一方、商業番組として成立させることと、チャリティー活動を行うことは両立し得ます。
全国ネットの大型番組だからこそ、社会課題を広く伝え、多額の寄付を集められる面もあります。
実際に2025年度の寄付金総額は20億1332万6946円となり、48年間の累計額は469億3057万4753円に達しました。
問題は、広告収入を得ていること自体ではありません。
- 視聴率を優先してランナーへ無理をさせていないか
- 支援対象を感動の材料として消費していないか
- 寄付金の使い道を十分に説明しているか
- 番組制作費と寄付金を明確に分けているか
- 批判や疑問に具体的に答えているか
が問われます。
商業番組とチャリティーを両立するなら、通常の番組以上に透明性が必要です。
チャリティーマラソンに賛成する意見
批判がある一方で、チャリティーマラソンには続ける意義があると考える人もいます。
主な賛成意見は、次のとおりです。
- 支援テーマを全国へ伝えられる
- 普段寄付をしない人にも参加を促せる
- 実際に多額の募金が集まっている
- 福祉や貧困について家族で考える機会になる
- ランナーの経験を通じて社会課題を身近に感じられる
- 一般参加型へ広げれば見るだけでなく行動できる
福祉施設の不足、子どもの貧困、障害者支援、災害復興などは、重要であっても毎日大きく報道されるとは限りません。
著名人が走ることで番組への関心が高まり、その背景として支援テーマを紹介すれば、普段その問題を知らない人にも届きます。
実際に集まった寄付金が、福祉、環境保護、災害復興などの支援へ使われていることは、企画の成果として無視できません。
完璧でなくても支援を生み出している
チャリティー活動は、すべての人が納得する方法でなければ価値がないわけではありません。
企画を見て初めて募金した人や、支援対象について知った人もいます。
集まった寄付が実際に施設や被災地へ届けられている以上、その成果には意味があります。
ただし、成果があることを理由に、安全性や透明性への批判を無視してよいわけでもありません。
寄付を集める力を残しながら、問題のある部分を改善することが現実的な方向です。
賛成か反対かだけでは判断できない
チャリティーマラソンは、「偽善だから不要」「募金が集まるから問題ない」と単純に分けられる企画ではありません。
実際に多額の寄付を集め、社会課題を広く伝える力があります。
同時に、真夏の安全性、感動演出、報酬、募金管理、支援対象の描き方など、改善すべき課題もあります。
毎年確認するべきなのは、
- ランナーと参加者の安全が守られたか
- 走る目的が明確だったか
- 寄付先と使い道が具体的だったか
- 支援対象の尊厳に配慮したか
- 募金を適切に管理したか
- 実施後の支援結果を報告したか
- マラソン以外の方法より効果的だったか
という点です。
目的がチャリティーであっても、手段が自動的に正当化されるわけではありません。
反対に、企画方法に問題があるからといって、これまで実現した支援まで否定する必要もありません。
チャリティーマラソンは今後も続く?
2026年8月1日時点で、チャリティーマラソンを終了するという公式発表はありません。
2026年の『24時間テレビ49』では、星野真里さんがチャリティーランナーを務め、一般参加の応援ランナー約1000人を募集する新形式が発表されています。参加者は一人3〜5キロ程度を走り、午後8時以降にスタートする予定です。
この内容を見る限り、日本テレビは企画を廃止するのではなく、一人の著名人による過酷な長距離走から、多くの人が短い距離で参加できるチャリティーへ広げようとしていると考えられます。
ただし、参加人数が増えれば、安全管理、医療、給水、警備、個人情報の取り扱いなど、運営側の責任も大きくなります。
2026年の新形式が今後の標準になるかは、実際に安全に運営できたか、募金や社会課題への関心を広げられたかを見て判断する必要があります。
継続するために必要な改善
チャリティーマラソンには、長年積み重ねてきた知名度と寄付を集める力があります。
今後も続けるのであれば、伝統を維持するだけでなく、次の改善が必要です。
距離より支援目的を前面に出す
「何キロ走るのか」「ゴールできるのか」は分かりやすい話題ですが、本来重要なのは、誰を支援し、何を実現するのかです。
ランナー発表と同時に、
- 支援する対象
- 必要とされている事業
- 募金の目標
- 支援の実施時期
- 結果報告の方法
まで示せば、走る意味を理解しやすくなります。
実施後の報告を番組の一部にする
チャリティー企画は、募金を集めた時点で終わりではありません。
寄付金がどこへ届き、何に使われ、どのような支援を生んだのかを伝えるまでが活動です。
24時間テレビチャリティー委員会は、寄付金総額や活動報告を公式サイトで公開しています。
ただし、当日のマラソンほど大きく注目されないため、翌年の放送でも前年の支援結果を丁寧に紹介する必要があります。
安全性を成功条件にする
従来は、時間内のゴールが企画の成功として描かれてきました。
今後は、
- 事故なく終了した
- 無理な続行をさせなかった
- 気象条件に合わせて変更できた
- 参加者全員が安全に離脱できた
ことを成功条件に含めるべきです。
完走や距離だけでなく、安全な運営を評価する番組へ変わる必要があります。
寄付金管理を継続して検証する
多額の寄付を扱う以上、会計報告、外部確認、支援実績の公表を続けなければなりません。
寄付者が、集め方、管理方法、手数料、使い道を確認できる状態を保つことが重要です。
2025年度の活動報告や外部弁護士によるモニタリング結果も、24時間テレビチャリティー委員会の公式サイトで公表されています。
廃止以外に考えられる選択肢
チャリティーマラソンへの批判が強まると、続けるか廃止するかの二択になりがちです。
しかし、目的を残しながら負担を減らす方法もあります。
短距離リレーへ移行する
一人が長距離を走るのではなく、複数の参加者が短い距離をつなぐ形式です。
2026年の一般参加企画は、一人3〜5キロ程度の予定であり、この方向に近い取り組みです。
一人当たりの負担を減らしながら、多くの人がチャリティーへ参加できます。
全国同時参加型にする
特定の会場へ参加者を集めず、全国の視聴者が各地域で歩いたり走ったりする方法です。
会場への集中を防ぎ、「見るチャリティー」から「参加するチャリティー」へ変えられます。
一方、安全管理や募金との連動方法を慎重に設計する必要があります。
マラソン以外の企画へ変える
支援を呼びかけるために、必ず長距離を走る必要はありません。
福祉施設の整備、被災地支援、清掃活動、障害者スポーツ、チャリティーライブなど、目的に合う方法はほかにもあります。
伝統を守ることよりも、現在の社会課題を安全かつ分かりやすく伝えられる方法を選ぶことが重要です。
チャリティーマラソンに意味はある?
チャリティーマラソンに意味があるかは、ランナーが完走したか、視聴者が感動したかだけでは判断できません。
評価するべきなのは、
- 支援テーマを伝えられたか
- 実際に寄付が集まったか
- 寄付金が適切に使われたか
- 安全が守られたか
- 支援対象の尊厳に配慮したか
- 継続的な支援につながったか
という点です。
過去の目的別募金では、数億円規模の寄付が集まり、子どもや福祉施設への具体的な支援が行われています。
この成果から見れば、企画に一定の意味があることは否定できません。
一方、安全性や表現方法、透明性に改善の余地があることも事実です。
意味があるか、ないかではなく、意味のある企画として成立させられているかを毎年検証する必要があります。
24時間テレビのチャリティーマラソンに関するよくある質問
チャリティーマラソンはいつ始まりましたか?
1992年の第15回24時間テレビから始まりました。
初代ランナーは間寛平さんです。
毎年100キロを走るのですか?
固定ルールではありません。
ランナーや企画によって距離は異なり、リレー、駅伝、トライアスロン、周回コースなども実施されています。
走れば走るほど寄付金は増えますか?
通常は、走行距離に応じて寄付額が自動的に増える仕組みではありません。
マラソンをきっかけに、視聴者が寄付へ参加します。
完走できないと募金は無効になりますか?
無効にはなりません。
寄付金は、ランナーの完走とは別に支援事業へ使われます。
寄付金は出演料や制作費に使われますか?
24時間テレビチャリティー委員会は、寄付金をチャリティー事業費に使用し、番組制作費や委員会の運営経費とは分けていると説明しています。
キャッシュレス募金では、決済システムの利用料が差し引かれます。
2026年のランナーは誰ですか?
星野真里さんです。
一般参加の応援ランナー約1000人も募集されています。
2026年はどのような安全対策を行いますか?
一般参加企画は午後8時以降に始まり、給水設備、専門スタッフによるペース管理、医師の常駐、途中離脱できる体制を用意すると発表されています。
暑さ指数などを踏まえ、中止や中断となる場合もあります。
今後廃止される可能性はありますか?
廃止の公式発表はありません。
2026年も新しい形式で実施されるため、現時点では形を変えながら継続する方針とみられます。
まとめ|チャリティーマラソンが続く理由は募金への入口になるから
24時間テレビのチャリティーマラソンは、1992年に間寛平さんの挑戦から始まりました。
その後、1人による長距離走だけでなく、家族リレー、駅伝、トライアスロン、周回コース、目的別募金など、時代に合わせて形を変えてきました。
企画が30年以上続いている大きな理由は、著名人の挑戦を通して社会課題へ関心を集め、視聴者が募金へ参加する入口を作れることです。
一方で、真夏の安全性、感動を強調する演出、出演者報酬、寄付金管理、支援対象の描き方など、解決すべき問題もあります。
寄付金が集まるから、どのような方法でも許されるわけではありません。
反対に、企画方法への疑問だけを理由に、実際に届けられた支援まで否定するのも適切ではないでしょう。
2026年は星野真里さんをランナーに迎え、一般参加者約1000人が短い距離を走る新形式が発表されました。夜間開催、医師の常駐、暑さ指数による中止判断など、安全面への対策も示されています。
チャリティーマラソンが今後も続くために必要なのは、過去の形を守ることではなく、現在の気候や社会の価値観に合わせて変わり続けることです。
誰が何キロ走ったかだけではなく、誰のために走り、どのような支援が実現したのか。
その結果を視聴者が確認できる企画になってこそ、チャリティーマラソンを続ける意味が生まれます。