- 『風の谷のナウシカ』はジブリ作品じゃない?制作会社と「ジブリ」と呼ばれる理由
- 結論|『ナウシカ』は「ジブリ制作ではない」が、現在はジブリ公式作品群に入っている
- 『風の谷のナウシカ』公開時、スタジオジブリはまだ存在しなかった
- 実際にアニメーション制作を担当したのは「トップクラフト」
- 『ナウシカ』の成功がスタジオジブリ設立のきっかけになった
- スタジオジブリの「第1作」は『天空の城ラピュタ』
- それなのになぜジブリ公式サイトに『ナウシカ』が載っている?
- 日本テレビも『ナウシカ』を「スタジオジブリの原点」と表現
- 宮﨑駿監督作品=すべてジブリ作品ではない
- 「トップクラフト=そのままスタジオジブリ」と考えていい?
- 「制作」と「製作」が両方出てくるのはなぜ?
- 時系列で見ると「ナウシカとジブリ」の関係が一気に分かる
- なぜ現在は普通に「ジブリ作品」と呼ばれているのか
- 2026年8月14日、金曜ロードショーでノーカット放送
- まとめ|『ナウシカ』は「ジブリ以前に生まれ、ジブリの原点になった作品」
『風の谷のナウシカ』はジブリ作品じゃない?制作会社と「ジブリ」と呼ばれる理由

『風の谷のナウシカ』といえば、誰もが知る「ジブリ映画」の一つ――そう思っている人は多いのではないでしょうか。
宮﨑駿監督、高畑勲プロデューサー、久石譲さんによる音楽。現在のスタジオジブリ公式サイトにも作品ページがあり、『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』などと並んで紹介されています。
ところが『ナウシカ』について調べると、
「実は『風の谷のナウシカ』はジブリ作品ではない」
という話が出てきます。
しかもこれは単なる都市伝説ではありません。
スタジオジブリ公式の『風の谷のナウシカ』ページには、公開日が1984年3月11日と記載されたうえで、**「制作はトップクラフトです」**とはっきり注記されています。
一方、スタジオジブリがスタジオを開いたのは翌1985年6月です。公式年表でも、1984年の『ナウシカ』公開、1985年のスタジオ開き、1986年の『天空の城ラピュタ』公開という順番が確認できます。
では結局、『風の谷のナウシカ』はジブリ作品なのでしょうか。
先に結論を言えば、
映画が制作された1984年当時の制作会社はスタジオジブリではなく、トップクラフトです。
しかし同時に、
現在のスタジオジブリは『ナウシカ』を公式作品ページに掲載し、自らの歴史の「原点」につながる作品として扱っています。
つまり、
「ジブリが制作した映画なのか?」と聞かれればNO。
「現在ジブリ作品群の中で扱われているのか?」と聞かれればYES。
この2つは矛盾しません。
2026年8月14日の金曜ロードショーで再びノーカット放送される今、なぜ少しややこしいことになっているのかを公式資料から整理します。今回の放送は21時から23時24分までの30分拡大です。
結論|『ナウシカ』は「ジブリ制作ではない」が、現在はジブリ公式作品群に入っている
まず、最低限ここだけ押さえておけば混乱しません。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1984年 | 『風の谷のナウシカ』公開。制作はトップクラフト |
| 1985年 | 株式会社スタジオジブリとしてスタジオ開き |
| 1986年 | ジブリ第1作『天空の城ラピュタ』公開 |
スタジオジブリ公式の年表にも、この順序で記録されています。
つまり、『ナウシカ』公開時点ではまだスタジオジブリという制作スタジオが存在していません。
この意味では、
「『風の谷のナウシカ』はスタジオジブリ制作ではない」
という説明は正しいです。
しかし現在のスタジオジブリ公式サイトを見ると、『ナウシカ』は「スタジオジブリの作品」に含まれ、『天空の城ラピュタ』などと並んで掲載されています。そのうえで『ナウシカ』のページだけには「制作はトップクラフト」と明記されています。
この公式自身の扱いが、今回の疑問を解く最大のヒントです。
『風の谷のナウシカ』公開時、スタジオジブリはまだ存在しなかった
映画『風の谷のナウシカ』が公開されたのは1984年3月11日。
スタジオジブリ公式によると、原作・脚本・監督は宮﨑駿さん、プロデューサーは高畑勲さん、音楽は久石譲さん。上映時間は約116分、配給は東映でした。
今見ると、後のスタジオジブリを象徴する名前がすでに並んでいます。
そのため「ナウシカ=ジブリ映画」という印象になるのも自然です。
ところがスタジオジブリ公式年表を見ると、株式会社スタジオジブリとしてスタジオを開いたのは1985年6月。『ナウシカ』公開から1年以上後のことでした。
したがって、
「1984年にスタジオジブリが『ナウシカ』を制作した」
という説明は、会社の歴史としては成立しません。
まだ会社そのものがなかったからです。
実際にアニメーション制作を担当したのは「トップクラフト」
では、『ナウシカ』のアニメーションを制作したのはどこだったのでしょうか。
答えがトップクラフトです。
これは後世の研究者がそう分類しているという話ではありません。
現在のスタジオジブリ自身が、『風の谷のナウシカ』公式作品ページで**「制作はトップクラフトです」**と明記しています。
つまり、
『ナウシカ』=トップクラフト制作
という部分に曖昧さはありません。
ネットでよく言われる「ナウシカは厳密にはジブリ制作ではない」という話は、ここから来ています。
ただし、それだけを見て、
「だからナウシカはジブリとは関係ない」
と考えるのも正確ではありません。
なぜなら、その『ナウシカ』こそがスタジオジブリ誕生へ直接つながった作品だからです。
『ナウシカ』の成功がスタジオジブリ設立のきっかけになった
ここはスタジオジブリ公式がかなり明確に説明しています。
「スタジオジブリの歴史」では、スタジオジブリについて、
『風の谷のナウシカ』の内容面・興行面での成功を機に、『天空の城ラピュタ』を制作する1985年に設立されたアニメーションスタジオ
と説明されています。中心となったのは、『ナウシカ』を製作した出版社・徳間書店でした。
つまり順番は、
スタジオジブリ設立
↓
『ナウシカ』制作
ではありません。
逆です。
『ナウシカ』制作・公開
↓
作品が成功
↓
次の長編作品を作るためスタジオジブリ設立
↓
『天空の城ラピュタ』制作
という流れでした。
スタジオジブリ公式も、『ナウシカ』以後の経験がジブリ設立への原動力になったと振り返っています。
だから『ナウシカ』は、スタジオジブリが作った作品というより、
スタジオジブリを生み出した作品
と考えると分かりやすくなります。
スタジオジブリの「第1作」は『天空の城ラピュタ』
では、スタジオジブリという会社が制作した第1作は何なのでしょうか。
こちらも公式に答えがあります。
『天空の城ラピュタ』です。
スタジオジブリ公式の「ジブリだより」では、1984年に『風の谷のナウシカ』が生まれ、その成功によって翌年スタジオジブリが設立され、**「ジブリは第1作『天空の城ラピュタ』を制作」**したと説明されています。
年表でも、
1984年3月 『風の谷のナウシカ』公開
1985年6月 スタジオジブリとしてスタジオ開き
1986年8月 『天空の城ラピュタ』公開
という順番です。
したがって、
「一番古いジブリ関連映画はナウシカ」
と、
「スタジオジブリ第1作はラピュタ」
は両立します。
ここを混同すると「ナウシカはジブリなの?違うの?」という疑問が生まれやすくなります。
それなのになぜジブリ公式サイトに『ナウシカ』が載っている?
ここが今回の記事で一番面白いところです。
現在のスタジオジブリ公式サイトでは、「スタジオジブリの作品」の一覧に『風の谷のナウシカ』が掲載されています。
作品ページにも、
『風の谷のナウシカ(1984)』
として、宮﨑駿監督、高畑勲プロデューサー、久石譲さんらの情報とともに紹介されています。
そして、その同じページに、
「制作はトップクラフトです」
という注記があります。
つまりスタジオジブリ自身が、
「当時の制作会社はトップクラフトだった」
という歴史的事実を明示しながら、
「現在はジブリの作品史に含めて紹介する」
という扱いをしているわけです。
ここまで分かれば、実は矛盾していません。
「誰が1984年にアニメーションを制作したのか」と、「現在どの作品群の歴史として扱われているか」は別の話だからです。
日本テレビも『ナウシカ』を「スタジオジブリの原点」と表現
今回の金曜ロードショーの公式紹介も興味深いところです。
日本テレビは2026年8月14日の放送について、『風の谷のナウシカ』を**「スタジオジブリの原点」**と紹介しています。
「スタジオジブリ第1作」とは書いていません。
**「原点」**です。
これは歴史的な位置づけとして非常に分かりやすい表現でしょう。
『ナウシカ』はジブリ設立前の作品。
しかし、その作品の成功からスタジオジブリが生まれた。
だからこそ**「ジブリそのものが作った第1作ではないが、ジブリの原点」**という説明が成立します。
宮﨑駿監督作品=すべてジブリ作品ではない
「ナウシカはジブリじゃない」と聞いて驚く人が多い背景には、
宮﨑駿=スタジオジブリ
という現在のイメージもあるでしょう。
『風の谷のナウシカ』は、原作・脚本・監督が宮﨑駿さん。
プロデューサーは高畑勲さん。
音楽は久石譲さんです。
現在「宮﨑駿監督のジブリ映画」と聞いて思い浮かべる中心人物が、すでにそろっています。
作品の世界観や映像表現にも、後の『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『もののけ姫』などへつながっていくものを感じます。
だから感覚的には「どう見てもジブリ」と思いやすい。
しかし、
監督が誰か
と、
制作会社がどこか
は別です。
1984年当時の制作会社を見るならトップクラフト。
その制作経験と成功から生まれたスタジオを見るならジブリ。
両方を分けて考える必要があります。
「トップクラフト=そのままスタジオジブリ」と考えていい?
ここもネット上では説明が簡略化されやすいところです。
「トップクラフトがそのままスタジオジブリになった」
という形で説明されることがありますが、この記事ではそこまで単純化しません。
スタジオジブリ公式が説明しているのは、『ナウシカ』の成功を機に、同作を製作した出版社・徳間書店が中心となり、1985年にスタジオジブリを設立したという経緯です。
さらに公式ページでは、『ナウシカ』をプロデュースした高畑勲さんの実務能力がジブリのスタート時にも発揮され、『天空の城ラピュタ』も高畑勲プロデュース・宮﨑駿監督で制作されたと説明されています。
つまり重要なのは、
会社名がトップクラフトからジブリへ単純に変わった
と覚えることではありません。
『ナウシカ』で培われた制作体制や人のつながり、そして作品の成功が、次の長編を継続して作るためのスタジオジブリ誕生へつながったと理解する方が、公式資料に沿った説明です。
「制作」と「製作」が両方出てくるのはなぜ?
資料を読んでいると、もう一つややこしい部分があります。
スタジオジブリの『ナウシカ』作品ページでは、
「制作はトップクラフト」
と書かれています。
一方、ジブリの歴史ページでは、
『ナウシカ』を「製作した出版社・徳間書店」
という説明が出てきます。
「制作」と「製作」は映画・アニメの世界で異なる役割を示すために使い分けられることがあります。
今回の「ナウシカはジブリ制作なの?」という疑問について重要なのは、アニメーション制作を担当したのがトップクラフトだったことです。
徳間書店を中心とした企画・製作側の流れが、その後のスタジオジブリ設立にもつながっています。
似た言葉が出てくるため混乱しやすいですが、「トップクラフトと徳間書店のどちらが正しいの?」という二者択一ではありません。
役割が違います。
時系列で見ると「ナウシカとジブリ」の関係が一気に分かる
ここまでを改めて並べてみます。
1984年
『風の谷のナウシカ』公開。
制作はトップクラフト。
宮﨑駿監督、高畑勲プロデューサーによる作品として公開されます。
1985年
スタジオジブリ設立。
公式には、『ナウシカ』の内容面・興行面での成功を機に、『天空の城ラピュタ』制作時に設立されたと説明されています。
1986年
『天空の城ラピュタ』公開。
スタジオジブリ公式が「ジブリ第1作」としている作品です。
つまり、
ナウシカ
↓
スタジオジブリ誕生
↓
ラピュタ
という順番です。
『ナウシカ』はジブリの後から生まれたのではありません。
ジブリの方が『ナウシカ』の後から生まれています。
この一文が、今回の疑問を最も簡単に説明しているかもしれません。
なぜ現在は普通に「ジブリ作品」と呼ばれているのか
では現在、『ナウシカ』を普通に「ジブリ作品」と呼ぶこと自体が間違いなのでしょうか。
そこまで言う必要はないでしょう。
何より現在のスタジオジブリ自身が、『ナウシカ』を公式作品ページに掲載しています。
さらにスタジオジブリは2020年、公式サイトで提供する場面写真について『風の谷のナウシカ』を含めて**「スタジオジブリ作品の場面写真」**と案内しています。
そして日本テレビも2026年の金曜ロードショーで、『ナウシカ』を「3週連続 夏はジブリ!!」の一作品として編成し、**「スタジオジブリの原点」**と紹介しています。
したがって現在の一般的な作品群として「ジブリ作品」と呼ぶことまで否定する必要はありません。
ただし歴史を厳密に説明する場合には、
1984年当時の制作会社はトップクラフトだった
という一言を添えるのが最も正確です。
2026年8月14日、金曜ロードショーでノーカット放送
そして2026年8月14日、『風の谷のナウシカ』は再び金曜ロードショーに登場します。
日本テレビは8月7日『借りぐらしのアリエッティ』、8月14日『風の谷のナウシカ』、8月21日『となりのトトロ』を**「3週連続 夏はジブリ!!」**として編成しています。
『ナウシカ』は21時から23時24分まで、30分拡大のノーカット放送です。
1984年の公開から42年。
スタジオジブリ設立から41年。
今ではごく自然に「夏のジブリ」として放送される『ナウシカ』ですが、その歴史をたどると、
「ジブリがナウシカを作った」のではなく、「ナウシカの成功からジブリが生まれた」
という、一般的なイメージとは逆の順番だったことが分かります。
この事実を知ったうえで改めて映画を見ると、『ナウシカ』がジブリ作品の中でも少し特別な位置にある理由が見えてくるのではないでしょうか。
まとめ|『ナウシカ』は「ジブリ以前に生まれ、ジブリの原点になった作品」
『風の谷のナウシカ』はジブリ作品なのか。
最も正確に整理するなら、
「1984年公開時の制作会社はスタジオジブリではなくトップクラフト。ただし『ナウシカ』の成功がスタジオジブリ設立へつながり、現在はジブリ自身も公式作品群の中で扱っている」
となります。
『ナウシカ』公開は1984年。
スタジオジブリのスタジオ開きは1985年。
そしてジブリ公式が第1作としている『天空の城ラピュタ』は1986年公開です。
だから、
「ナウシカはジブリじゃない」
だけでは説明不足。
一方で、
「ナウシカはスタジオジブリが作った最初の映画」
というのも正確ではありません。
一番分かりやすい表現は、
『風の谷のナウシカ』は、スタジオジブリが生まれる前に作られ、スタジオジブリが生まれるきっかけになった作品。
でしょう。
現在、日本テレビが「スタジオジブリの原点」と表現しているのも、その歴史を考えれば納得できます。
『ナウシカ』はジブリが作った第1作ではありません。
ジブリというスタジオそのものへつながった“原点”です。