- マンジャロはダイエット目的で使っていい?日本肥満学会が注意喚起|過度な食事制限との併用は避けて
- 日本肥満学会がマンジャロなどの適正使用について新たに声明
- 結局、マンジャロをダイエット目的で使っていいの?
- なぜ「過度な食事制限」と一緒に使うことが問題なの?
- マンジャロはそもそも何の薬?
- マンジャロとゼップバウンドは同じ成分でも別の薬
- ウゴービ・オゼンピック・リベルサスとの違いは?
- 「GLP-1ダイエット」が禁止されたわけではない
- マンジャロではどんな副作用が注意されている?
- 今回初めて注意されたわけではない
- 今マンジャロを2型糖尿病治療で使っている人は?
- まとめ|マンジャロそのものではなく「何のために、どう使うか」が重要
マンジャロはダイエット目的で使っていい?日本肥満学会が注意喚起|過度な食事制限との併用は避けて

糖尿病治療薬「マンジャロ」を美容やダイエット目的で使うケースが広がるなか、日本肥満学会が2026年10月3日、肥満症治療薬の適正使用について新たなステートメントを発表しました。
今回のニュースでまず押さえておきたいのは、「マンジャロという薬そのものが危険になった」「マンジャロが使えなくなった」という話ではないことです。
マンジャロは、日本では「2型糖尿病」を効能・効果として承認された医薬品です。美容・痩身・ダイエット目的は承認された用途ではなく、厚生労働省も2026年6月、こうした適応外使用について改めて注意を呼びかけています。
さらに今回、日本肥満学会が強く注意を向けたのが、急激な減量や過度な食事制限のために薬を使うことです。
では、マンジャロをダイエット目的で使うことは具体的にどういう扱いなのでしょうか。同じチルゼパチドを成分とする「ゼップバウンド」との違いや、「適応外使用=違法なのか」という疑問も含めて整理します。
この記事のポイント
・マンジャロは日本では2型糖尿病治療薬として承認されている
・美容・痩身・ダイエット目的は承認された用途ではない
・日本肥満学会は10月3日、急激な減量や過度な食事制限のための使用などについて注意喚起したと報じられている
・マンジャロとゼップバウンドは同じチルゼパチド製剤でも承認された用途が異なる
・適応外使用と、SNSなどでの違法な個人間売買は同じ意味ではない
日本肥満学会がマンジャロなどの適正使用について新たに声明
日本肥満学会は2026年10月3日、宇都宮市で開催された「第47回日本肥満学会・第44回日本肥満症治療学会学術集会」で、「肥満症治療薬の適正使用に関するステートメント」を発表しました。
学術集会の公式プログラムでは、10月3日15時50分から「JASSO ステートメント」として発表枠が設けられており、小川渉氏(神戸大学大学院医学研究科)が登壇しています。
共同通信によると、背景にあるのは、マンジャロなど糖尿病・肥満症の治療に使われる薬が、適応外の減量目的で使用されるケースが増えていることです。
学会は減量する際には安全な方法を選ぶよう呼びかけ、過度な食事制限をしながらこれらの薬を使用することを避けるよう強く注意しています。また、肥満症や糖尿病ではない人が使用した場合、副作用の種類や頻度、重症度などが通常の使用と異なる可能性があるとも報じられています。
一方、10月3日夜の時点では、この新しいステートメント全文は日本肥満学会の公式サイトで確認できません。学術集会でステートメントが正式に発表されたことは公式プログラムで確認できますが、発表内容の細かな表現については現段階では当日の報道に基づく情報です。
声明は10月5日に日本肥満学会のホームページで公開される予定と報じられています。
結局、マンジャロをダイエット目的で使っていいの?
この疑問に答えるうえで最も重要なのは、マンジャロは日本で美容・痩身・ダイエット目的の薬として承認されているわけではないという点です。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)の電子添文では、マンジャロの効能・効果は「2型糖尿病」とされています。
厚生労働省も2026年6月16日、GLP-1受容体作動薬とGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について通知を出し、美容や痩身を目的とした使用が行われていることについて注意を呼びかけました。
承認された効能・効果や用法・用量の範囲外で使用した場合、その目的での安全性や有効性が確認されているわけではなく、思わぬ有害事象による健康被害につながるおそれがあるとしています。
つまり、マンジャロに体重減少がみられる作用があることと、日本で一般的なダイエットのための薬として承認されていることは別の話です。
「適応外使用」だから即違法という意味ではない
ここでもうひとつ混同しやすいのが「適応外使用」という言葉です。
医薬品には国が承認した効能・効果や用法・用量があります。その承認範囲から外れた使い方をすることが適応外使用です。
マンジャロの場合、日本で承認されている効能・効果は2型糖尿病なので、美容・痩身を目的とした使用は承認された効能・効果から外れます。
ただし、「適応外使用」という言葉そのものを「違法」と置き換えるのは正確ではありません。
自由診療で適応外の医薬品が使われるケースはあります。一方、承認された目的での使用と同じように安全性・有効性が確認されているわけではないという違いがあります。
そのため、「美容クリニックで処方されたマンジャロだから違法な薬」という理解も適切ではありません。適応外使用と、医薬品を違法に販売する行為は分けて考える必要があります。
なぜ「過度な食事制限」と一緒に使うことが問題なの?
今回の発表でとくに注目されたのが「過度な食事制限」です。
共同通信は、日本肥満学会が「過度な食事制限をしながらこれらの薬を使用する」ことを避けるよう強く呼びかけたと伝えています。別の当日報道では、急激な減量や過度な食事制限のためにマンジャロなどを使うべきではないという趣旨も報じられています。
ただし、10月3日夜の時点では新ステートメント全文を確認できていないため、「どこからが過度な食事制限なのか」という具体的な数値基準までは確認できません。
「1日○kcal以下なら危険」「1か月に○kgまでなら安全」といった独自の線引きを作ることはできません。
マンジャロの電子添文には、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、食欲減退などの副作用が記載されています。今回の声明では、薬による減量と無理な食事制限を組み合わせることで生じる健康への影響に、改めて注意が向けられたと考えるのがよいでしょう。
新しいステートメントの全文が公開された後は、「急激な減量」「過度な食事制限」について学会がどこまで具体的に示しているかを確認する必要があります。
マンジャロはそもそも何の薬?
マンジャロの有効成分は「チルゼパチド」です。
PMDAの電子添文で示されている薬効分類は「持続性GIP/GLP-1受容体作動薬」。一般向けには「GLP-1系」などとまとめて呼ばれることがありますが、正式にはGIPとGLP-1の両方の受容体に作用する薬です。
| 項目 | マンジャロ |
|---|---|
| 有効成分 | チルゼパチド |
| 分類 | 持続性GIP/GLP-1受容体作動薬 |
| 国内の効能・効果 | 2型糖尿病 |
| 製造販売元 | 日本イーライリリー株式会社 |
| 販売元 | 田辺ファーマ株式会社 |
厚生労働省も2026年6月16日の大臣会見で、マンジャロについて2型糖尿病を効能・効果として承認していることを説明しています。
電子添文では、2型糖尿病治療の基本となる食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り、マンジャロの適用を考慮するよう記載されています。
したがって、今回の「過度な食事制限」への注意を、「マンジャロを使う場合は食事療法をしてはいけない」という意味に読み替えるのも誤りです。
2型糖尿病の治療として医療専門職の管理のもとで行う食事療法と、減量のために自己判断で行う極端な食事制限は分けて考える必要があります。
マンジャロとゼップバウンドは同じ成分でも別の薬
ここで疑問になるのが、「チルゼパチドは肥満症の治療にも使われているのでは?」という点です。
そこで区別しておきたいのが「ゼップバウンド」です。
マンジャロとゼップバウンドは、どちらもチルゼパチドを有効成分としています。しかし、日本では別の商品として承認されており、効能・効果が異なります。
| 商品名 | 有効成分 | 国内の主な効能・効果 |
|---|---|---|
| マンジャロ | チルゼパチド | 2型糖尿病 |
| ゼップバウンド | チルゼパチド | 肥満症、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(対象条件あり) |
日本肥満学会の既存の「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」でも、マンジャロは2型糖尿病治療薬、ゼップバウンドは肥満症への効果と安全性について独立した臨床試験で検証された別の製剤として区別されています。
つまり、同じチルゼパチドだからといって、マンジャロとゼップバウンドを「名前だけが違う同じダイエット薬」と考えることはできません。
ゼップバウンドについても、「体重を減らしたい人なら誰でも使える」という薬ではありません。肥満症の診断に加えて、BMIや肥満に関連する健康障害など、承認上の条件があります。
「肥満」と「肥満症」も同じではない
日本肥満学会では、BMI25kg/m²以上を「肥満」としています。しかし、肥満だからそのまま医学的な「肥満症」になるわけではありません。
肥満症は、肥満に関連する健康障害があるなど、医学的に減量治療が必要と判断される状態です。
「肥満症治療薬がある=体重を減らしたい人なら使える」という理解では、この違いが抜け落ちてしまいます。
ウゴービ・オゼンピック・リベルサスとの違いは?
「GLP-1ダイエット」という言葉では複数の商品がまとめて語られがちですが、成分や日本で承認されている用途は同じではありません。
| 商品名 | 有効成分 | 分類 | 日本での主な効能・効果 |
|---|---|---|---|
| マンジャロ | チルゼパチド | GIP/GLP-1受容体作動薬 | 2型糖尿病 |
| ゼップバウンド | チルゼパチド | GIP/GLP-1受容体作動薬 | 肥満症、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(対象条件あり) |
| ウゴービ | セマグルチド | GLP-1受容体作動薬 | 肥満症など(対象条件あり) |
| オゼンピック | セマグルチド | GLP-1受容体作動薬 | 2型糖尿病 |
| リベルサス | セマグルチド | GLP-1受容体作動薬 | 2型糖尿病 |
マンジャロとゼップバウンドだけでなく、セマグルチドを成分とするウゴービ、オゼンピック、リベルサスでも商品によって承認された用途が異なります。
「GLP-1系だからダイエット用」「同じ成分だから同じ用途」と判断するのではなく、どの商品が、どの効能・効果で承認されているのかを確認することが重要です。
「GLP-1ダイエット」が禁止されたわけではない
今回の日本肥満学会の発表を「GLP-1ダイエットが法律で禁止された」と受け取るのも正確ではありません。
ポイントは、マンジャロなどを承認された用途とは異なる美容・痩身目的で使う場合、その目的での安全性や有効性が確認されているわけではないこと、さらに無理な減量方法と組み合わせることへの注意が示されていることです。
自由診療で適応外の医薬品が扱われるケースもありますが、「自由診療で提供されている=国がダイエット薬として承認している」という意味ではありません。
反対に、「適応外使用=すべて違法」という意味でもありません。
SNS・フリマサイトなどでの個人間売買は別問題
一方、厚生労働省が明確に違法と注意しているのが、SNSやフリマサイトなどを通じた医薬品の個人間売買です。
こうしたルートでは、偽造品や品質が劣化したもの、成分・含量が不明なものが流通する可能性もあります。
医療機関で行われる適応外使用と、SNSなどで医薬品を個人間売買する行為は別の問題です。この2つを「どちらも違法なマンジャロ」とまとめてしまうと、かえって実態が分かりにくくなります。
マンジャロではどんな副作用が注意されている?
マンジャロは、承認された2型糖尿病治療として使用する場合でも副作用への注意が必要な医薬品です。
PMDAの電子添文には、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退などが記載されています。
また、重大な副作用として、低血糖、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎、アナフィラキシー・血管性浮腫、イレウスなどが挙げられています。
もちろん、マンジャロを使用した人にこれらの副作用が必ず起きるという意味ではありません。副作用として注意が必要なことと、すべての使用者に発生することは別です。
肥満症や糖尿病ではない人では分かっていないこともある
共同通信によると、10月3日の日本肥満学会の声明では、肥満症や糖尿病ではない人が使用した場合、副作用の種類や頻度、重症度などが通常の使用と異なる可能性があると指摘されています。
これも「使用すれば必ず重い副作用が起きる」という意味ではありません。
承認された対象や条件から外れた使用について、承認された治療と同じように安全性・有効性が確認されているわけではない、という点が重要です。
副作用被害救済制度の対象にならない可能性も
適応外使用では、健康被害が起きた後の扱いにも注意点があります。
医薬品には、適正に使用したにもかかわらず副作用によって入院が必要になるほどの健康被害などが生じた場合に、医療費や年金などを給付する「医薬品副作用被害救済制度」があります。
厚生労働省は、美容・痩身・ダイエット目的で適応外使用された場合、重篤な健康被害が生じても、この制度による給付を受けられない可能性が非常に高いと注意しています。
「適応外使用なら絶対に救済されない」とまで一律に言い切るものではありませんが、承認された目的で適正に使用する場合とは、この点でも違いがあります。
今回初めて注意されたわけではない
10月3日のニュースだけを見ると、日本肥満学会が突然マンジャロなどに注意を呼びかけたようにも見えます。しかし、美容・痩身目的での適応外使用については以前から問題になっていました。
日本肥満学会は、肥満症治療薬の安全・適正使用について以前からステートメントを公表しています。2025年4月に改訂されたステートメントでも、ウゴービやゼップバウンドについて、健康障害を伴わず肥満症と診断されない肥満や、低体重・普通体重の人へ美容・痩身・ダイエット目的で使用する薬ではないことを明記しています。
厚生労働省も2026年6月16日、「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について」とする通知を発出しました。
同日の厚生労働大臣会見でもマンジャロが取り上げられ、2型糖尿病を効能・効果として承認していること、本来の目的以外での使用では思わぬ健康被害が生じる可能性があることが説明されています。
10月3日の新しいステートメントは、こうした適正使用をめぐる流れのなかで、急激な減量や過度な食事制限にも改めて注意を向けたものです。
今マンジャロを2型糖尿病治療で使っている人は?
今回のニュースを見て、「治療でマンジャロを使っている自分もやめた方がいいのか」と不安になった人もいるかもしれません。
しかし、今回問題になっている美容・痩身目的の適応外使用と、2型糖尿病の治療として承認された範囲でマンジャロを使用することは分けて考える必要があります。
今回の注意喚起は、マンジャロを使用している患者全員に一律の中止を求めるものではありません。
治療中の人は、このニュースだけを理由に自己判断で使用を中止したり、量を変更したりせず、使用方法や副作用などで気になることがあれば、治療を受けている医師や薬剤師などの医療専門職に確認してください。
美容・痩身目的ですでに使用している場合も、記事を読んで自己判断で使用方法を変更するのではなく、使用について不安がある場合や体調に異常がある場合は医療機関へ相談してください。
まとめ|マンジャロそのものではなく「何のために、どう使うか」が重要
日本肥満学会は2026年10月3日、「肥満症治療薬の適正使用に関するステートメント」を学術集会で発表しました。
共同通信などの当日報道によると、適応外の減量目的で使われるケースが増えていることを背景に、安全な方法での減量を求め、過度な食事制限をしながら薬を使用することを避けるよう強く呼びかけています。
マンジャロはチルゼパチドを有効成分とする持続性GIP/GLP-1受容体作動薬で、日本では2型糖尿病を効能・効果として承認されています。美容・痩身・ダイエット目的は承認された用途ではありません。
一方、同じチルゼパチドを使うゼップバウンドは、条件を満たす肥満症などを効能・効果として承認された別の商品です。同じ成分でも、承認された用途まで同じではありません。
また、適応外使用と違法な個人間売買も別の問題です。SNSやフリマサイトなどを通じた医薬品の個人間売買については、厚生労働省が違法と明記しています。
今回のニュースを「マンジャロは危険な薬になった」「治療中の人もやめるべき」「GLP-1を使った治療が禁止された」と単純化するのではなく、その薬が何の治療のために承認され、どのような条件で使われるものなのかを分けて見ることが大切です。