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電気代は11月から月240円上がる?託送料金値上げは誰が対象・地域差・いつ反映されるか整理

電気代は11月から月240円上がる?託送料金値上げは誰が対象・地域差・いつ反映?

2026年11月からの電気代と託送料金の見直しをイメージしたイラスト。「電気代 11月から?」「託送料金 月240円?」の文字と送電鉄塔、電気メーター、請求書

2026年11月から電気を送るための「託送料金」が見直されます。

9月8日には「東京電力管内の一般的な家庭で月240円程度値上がりする可能性」との報道もあり、「11月から電気代が全員240円上がるの?」と気になった人もいるのではないでしょうか。

最初に整理しておくと、全国の家庭の電気料金が一律で月240円上がると決まったわけではありません。

240円という数字は、託送料金の増額分を利用者へ転嫁した場合について、ANNが東京電力管内の一般的な家庭の目安として報じたものです。記事では月間使用電力量や料金プラン、税込・税抜など細かな計算条件までは明らかにされていません。

一方、東京電力エナジーパートナーは11月1日から託送料金の見直し内容を電気料金へ反映する予定と正式に発表しています。ただし、具体的な電気料金単価は9月8日時点では未発表です。

つまり、

託送料金が上がること

自宅の電気料金が具体的にいくら上がるか

は、まだ同じ話ではありません。

地域によって託送料金の上昇幅も違い、契約している小売電気事業者によって料金への反映方法も異なる可能性があります。

電気代は11月から本当に月240円上がる?

「月240円」は、すべての家庭に適用される確定した値上げ額ではありません。

ANNは9月8日、東京電力パワーグリッドなどが11月1日から託送料金を引き上げる方針だと伝えたうえで、増額分を利用者へ転嫁した場合、東京電力管内の一般的な家庭では月240円程度値上がりする可能性があると報じました。

ここで大事なのは「東京電力管内」という表現です。

東京電力パワーグリッドの送配電エリアに住んでいるからといって、全員が東京電力エナジーパートナーと契約しているわけではありません。楽天でんきやENEOSでんきなど、別の小売電気事業者から電気を買っている家庭もあります。

さらにANNの記事からは、

  • 何kWh使う家庭を想定したのか
  • どの料金プランを基準にしたのか
  • 税込か税抜か
  • 基本料金の変化を含んでいるのか

といった試算条件までは確認できません。

そのため、

「東京の家庭は11月から240円値上げ」
「全国で月240円値上げ」

と受け取るのは正確ではありません。

東京電力エナジーパートナー自身も、11月1日から託送料金の見直しを料金へ反映する予定とはしていますが、具体的な単価は「別途お知らせ」としています。規制料金については、経済産業大臣への特定小売供給約款の変更届出を経て確定します。

9月8日夜までの同社の発表一覧にも、8月31日以降、今回の具体的な家庭向け新単価を示す追加発表は確認できません。

そもそも託送料金とは?

家庭で払っている電気料金には、発電した電気そのものの費用だけではなく、電気を自宅まで届ける費用も含まれています。

発電所から送られた電気は、送電線、変電所、電柱や配電線などを通って家庭へ届きます。この送配電ネットワークを使うために、小売電気事業者が一般送配電事業者へ支払う料金が「託送料金」です。

一般家庭が東京電力パワーグリッドや関西電力送配電へ直接、毎月託送料金を振り込んでいるわけではありません。

普段は小売電気事業者が負担し、その費用が電気料金の中に組み込まれています。

そのため、旧来の大手電力会社から新電力へ契約先を変更しても、送配電網を利用する以上、託送料金そのものがなくなるわけではありません。

四国電力送配電も、託送料金について、一般送配電事業者が電気を届ける送配電設備を利用した対価として受け取る料金だと説明しています。

9月4日に国が承認したのは「家庭の240円値上げ」ではない

今回のニュースでは「国が託送料金の値上げを承認」と短く表現されることがあります。

ただ、手続きを正確に見ると、9月4日に経済産業省が承認したのは、一般送配電事業者8社が申請していた「託送供給等に係る収入の見通し」の変更です。

家庭向けの電気料金について「1世帯○円上げてよい」と国が決めたわけではありません。

現在の託送料金には「レベニューキャップ制度」が使われています。

難しい名前ですが、送配電会社が安定供給に必要な設備投資を続けながら、無制限に料金を上げないよう、一定期間に必要となる収入の上限を国が審査する仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

日本では2023年度から導入され、第一規制期間は2023~2027年度です。

今回の流れを簡単に並べると、

2026年7月10日
→8社が「収入の見通し」の変更を申請

8月24日
→国の料金制度専門会合で審査が完了し、各社が審査結果を前提とした託送料金単価を算出

9月4日
→経済産業大臣が8社の収入の見通し変更を承認

今後
→各社が託送供給等約款に新単価を反映する手続き

11月1日
→新しい託送料金の適用を予定

という順番です。

東京電力パワーグリッドも8月24日の発表で、当時示した単価について「審査された収入の見通しを前提として算出したもの」と説明し、承認後に約款変更届出を行い、正式な託送料金単価を改めて知らせるとしていました。

11月の託送料金は地域によってどのくらい違う?

11月の見直しで特に分かりにくいのが、地域ごとに上昇幅が違うことです。

8月24日に各送配電会社が公表した、低圧・需要側の1kWhあたり平均単価を比べると次のようになります。

いずれも税抜の平均単価です。

エリア現行平均単価見直し後の算出値差額
北海道10.23円12.12円+1.89円
東北10.31円12.09円+1.78円
東京8.58円9.65円+1.07円
中部9.13円10.76円+1.63円
北陸同種の11月改定は確認できず
関西7.82円9.04円+1.22円
中国9.34円10.46円+1.12円
四国9.22円10.74円+1.52円
九州9.34円10.89円+1.55円
沖縄11.53円13.52円+1.99円

8社については8月24日時点で審査結果を前提に算出された平均単価で、中国電力ネットワークは同日に11月1日実施の約款変更を届出済みです。

数字だけを見ると、東京の上昇幅は+1.07円/kWh、沖縄では+1.99円/kWhとなっており、地域差があります。

ただし、この「平均託送料金の差額」を、そのまま家庭の電気料金単価の上昇額として扱うことはできません。

実際の家庭料金は、

  • 契約している小売会社
  • 料金プラン
  • 基本料金
  • 小売会社の料金設計
  • 燃料費調整額
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金

などを含めて決まります。

たとえば東京の平均託送料金が1.07円/kWh上がるからといって、すべての家庭の電力量料金がそのまま1.07円/kWh上がると断定することはできません。

「8社値上げ」なのに中国も上がるのはなぜ?

今回の報道を追っていると「8社」という数字と、「中国電力ネットワークも値上げ」という情報が両方出てくるため、混乱しやすいところです。

7月10日に「収入の見通し」の変更を申請し、9月4日に国の承認を受けたのは、

北海道電力ネットワーク
東北電力ネットワーク
東京電力パワーグリッド
中部電力パワーグリッド
関西電力送配電
四国電力送配電
九州電力送配電
沖縄電力

の8社です。

中国電力ネットワークはこの8社の申請には含まれていません。

しかし中国電力ネットワークは別の経緯で、8月24日に託送供給等約款の変更を届け出ており、11月1日から低圧平均単価を9.34円/kWhから10.46円/kWhへ見直すと正式に発表しています。

つまり、2026年11月の見直しについては、

8社が同じ期中調整の手続きで変更
+
中国電力ネットワークが別の経緯で変更

という形です。

「9社が同じ申請をした」わけではありません。

北陸電力送配電は11月に上がらない?

北陸については、9月8日時点で今回の8社と同じ収入見通し変更申請には入っていません。

北陸電力送配電の公式情報では、2026年10月1日実施の託送供給等約款変更などは確認できますが、今回と同種の「11月1日からの託送料金引き上げ」という発表は確認できませんでした。

そのため現時点では、

「北陸だけ値上げしないことが将来まで確定している」

とまでは言えません。

正確には、

9月8日時点で、今回と同種の11月1日見直しは確認できていない

という位置づけです。

東京電力以外の契約でも関係する?

関係する可能性があります。

ここで分けて考えたいのが、

どの送配電エリアに住んでいるか

どの小売電気事業者と契約しているか

です。

たとえば東京電力パワーグリッドのエリアで生活していても、電気の契約先が東京電力エナジーパートナーとは限りません。

新電力を利用していても、家庭まで電気を届ける際には東京電力パワーグリッドなど地域の送配電網を使います。

託送料金は新電力を含む小売事業者側のコストになるため、「新電力だから今回の変更とは無関係」とは言えません。

実際、四国電力も託送料金について「新電力を含むすべての小売電気事業者等が公平に負担する費用」と説明しています。

ただし、新電力各社がその増加分を、

  • そのまま家庭料金へ反映する
  • 料金メニューを変更する
  • 一部を自社で吸収する

など、どのように扱うかは別問題です。

新電力も全社が11月1日に同額値上げする、と決まっているわけではありません。

自分の家庭への影響を知りたい場合は、住んでいる地域だけでなく、実際に請求書を発行している電力会社の発表を見る必要があります。

大手電力でも対応はすでに違っている

9月8日時点でも、小売会社側の発表状況には差があります。

東京電力エナジーパートナーは、11月1日から託送料金の見直しを電気料金へ反映する予定と発表していますが、具体的な単価は別途公表するとしています。

九州電力はさらに明確で、すべての利用者を対象に11月1日から託送料金の見直しを電気料金へ反映すると発表済みです。ただし、具体的な電気料金単価については9月をめどに知らせるとしていました。

関西電力も11月1日から電気料金へ反映する予定と発表しています。

一方で、すべての地域・すべての小売会社について、具体的な家庭向け料金がすでに出そろっているわけではありません。

「託送料金の見直しは決まっているが、自分の料金プランで最終的に何円変わるかはまだ分からない」という家庭も多い段階です。

11月1日からすぐ請求額が変わる?

ここも「11月1日」という日付だけを見ると誤解しやすいところです。

11月1日は、新しい託送料金の適用予定日です。

東京電力エナジーパートナーなども同日から電気料金へ反映するとしています。

ただし、

11月1日の朝になった瞬間、全国の家庭の請求書が一斉に書き換わる

という意味ではありません。

実際の請求には、検針日や料金の算定期間、小売会社ごとの取り扱いが関係します。

そのため「11月に届く請求書から必ず値上がりする」「12月請求から必ず変わる」と一律には決められません。

契約先から具体的な新料金や適用方法が発表されたら、自分のプランの「適用開始日」「使用期間」を確認するのが確実です。

オール電化やマンションも対象になる?

オール電化住宅だから託送料金の影響を受けない、という仕組みではありません。

一般家庭の多くは低圧契約なので、オール電化でも低圧契約で電気を利用していれば今回の見直しと無関係ではありません。

また、低圧契約は住宅だけでなく、小規模な店舗や事務所にも使われています。

マンションについては少し複雑です。

各部屋がそれぞれ電力会社と契約している一般的な方式なら、戸建て住宅と同じように小売会社の料金改定が関係します。

一方、建物全体で高圧契約を結び、各住戸へ電気を分ける高圧一括受電方式では契約の仕組みが異なります。

「マンションなら全員一律」「オール電化なら対象外」といった分け方はできません。

なぜ託送料金が上がる?

今回の8社による見直しでは、物価や労務費、金利など、第一規制期間の計画を作った時点では十分に織り込めなかった費用の増加が背景にあります。

送電線や変電所、電柱といった設備は作って終わりではなく、日常的な保守や古くなった設備の更新も必要です。

さらに再生可能エネルギーの導入拡大に対応するための送配電網整備、災害時にも電気を送り続けるためのレジリエンス強化など、今後も設備投資が必要になります。

中国電力ネットワークは、これらに加えて別の事情も説明しています。

人口減少や省エネなどで電力需要が当初想定を下回り、料金収入が減っていることも今回の見直し理由の一つです。

そのため、「今回の託送料金値上げは燃料価格が高くなったから」とだけ説明するのも正確ではありません。

政府の電気・ガス料金支援とは別の話

2026年夏には、政府による電気・ガス料金支援も行われています。

こちらは今回の託送料金見直しとは別制度です。

政府が公表している2026年夏の支援は、原則として7月使用分から9月使用分まで。

低圧電気の値引き単価は、

  • 7月使用分:3.5円/kWh
  • 8月使用分:4.5円/kWh
  • 9月使用分:3.5円/kWh

で、いずれも税込です。

つまり、夏の政府支援が終わることと、11月から託送料金が見直されることは別々に考える必要があります。

月々の電気料金は託送料金だけで決まるわけでもありません。

燃料費調整額、市場価格調整、再エネ賦課金、政府の支援などによっても請求額は変わります。

そのため、11月の電気代が前月より高くなったとしても、差額すべてが託送料金の見直しによるものとは限りません。

食品や日用品を含む2026年の値上げについては、つぶログの2026年値上げ一覧でも整理しています。

自分の電気代がいくら上がるか、今の段階で分かる?

9月8日時点では、すべての家庭について正確な増加額を出すことはできません。

「地域別の平均託送料金の増加額×使用電力量」で参考値を計算すること自体は可能ですが、それはあくまで送配電コストの単純換算です。

実際に請求される電気料金の増加額ではありません。

今回特に注意したいのは、東京の「月240円」という報道値です。

東京電力パワーグリッドが8月24日に示した低圧平均単価は、8.58円/kWhから9.65円/kWhへの上昇で、差は1.07円/kWhです。

しかしANNの「240円」の試算条件は詳しく公表されていません。

ここでこちらが適当な使用電力量を当てはめて「240円の根拠はこれ」と推測すると、かえって誤解を生みます。

現段階で確実に言えるのは、

240円は全国共通の確定額ではない
東京電力管内について報じられた条件付きの目安
最終的な家庭料金は小売会社の正式発表を確認する必要がある

というところまでです。

まとめ|11月から「全員240円値上げ」ではない

2026年11月1日から託送料金の見直しが予定されていますが、全国の家庭の電気代が一律で月240円上がるわけではありません。

「月240円」は、ANNが東京電力管内の一般的な家庭について、託送料金の増額分が利用者へ転嫁された場合の目安として報じた数字です。具体的な計算条件は記事では示されておらず、東京電力エナジーパートナーの正式な家庭向け新単価も9月8日時点ではまだ公表されていません。

託送料金の上昇幅は北海道、東京、関西、九州、沖縄など地域ごとに違います。

さらに、新電力を利用している家庭も送配電網を利用する以上、今回の見直しと無関係とは限りませんが、実際にどの程度料金へ反映するかは契約先によって異なる可能性があります。

11月1日は託送料金の新料金が適用される予定の日であり、すべての家庭の請求額が同じ日に同額変わるという意味でもありません。

今後、各小売電気事業者から具体的な新料金が発表されれば、自分の地域だけでなく、契約している電力会社と料金プランを確認することが一番確実です。

少なくとも現段階では、「11月から電気代が全員240円上がる」と心配する必要はありません。

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