- Transport Fever 3 忖度なしレビュー|2との違い・評価・進化を検証
- 『Transport Fever 3』の基本情報
- 『Transport Fever 2』から何が変わった?
- 本当に「3」と呼べる進化なのか
- 交通網を作る基本の面白さは変わらない
- 都市成長は「人と荷物を運べば終わり」ではなくなった
- 貨物システムは『3』最大級の進化
- 道路は「太くする」だけではなく、レーンを設計するゲームへ
- 鉄道は優先順位と進路予約が効いてくる
- バス・船・飛行機にも使う理由がある
- 300種類以上の車両は「数」より選び分けが重要
- 黒字になった後も考えることを残そうとしている
- キャンペーンは8ミッション。最初はチュートリアルも兼ねる
- 長く遊ぶなら本体はTycoonとSandbox
- MODは全機種対応。ただしSteam Workshopは使わない
- 初心者でも遊べる?複雑だが、入口はかなり整えられた
- UIは機能強化されたが、大規模になるほど弱点が出る
- PS5・Xboxはコントローラーで大量路線を管理するのがつらい
- PC版は要求スペック以上に「終盤のCPU負荷」が重要
- Steamで評価が割れているのはなぜ?
- 昼夜はあるが、時刻表シミュレーションではない
- 『Transport Fever 2』ユーザーは買い替える価値がある?
- シリーズ初見なら『2』ではなく『3』からでいい
- 『Transport Fever 3』が向いている人、注意したい人
- 総評|「2.5」に見えても、物流シムとしてはかなり深くなった
- 『Transport Fever 3』忖度なしスコア
Transport Fever 3 忖度なしレビュー|2との違い・評価・進化を検証
2019年の『Transport Fever 2』から約7年。交通・物流シミュレーションの新作『Transport Fever 3』が、2026年9月29日に発売されました。
列車を走らせ、道路を引き、バスや船、飛行機まで使って都市と産業を結ぶ。ゲームの見た目と基本的な流れだけを追えば、前作を知っている人ほど「これはTransport Fever 2.5では?」と感じやすい新作です。
ただし、中身まで単なる大型拡張版という評価にはなりません。
貨物は「決められた目的地へ運ぶ」仕組みから、プレイヤー自身が物流の流れを組み立てる方向へ変化。都市成長には旅客と貨物だけでなく、待ち時間、渋滞、騒音、公害まで関わるようになりました。道路のレーン制御、列車の優先順位、倉庫、企業成長、車両メンテナンスなども絡み、交通網を作った後に考えることは明らかに増えています。
先に結論を言えば、『Transport Fever 3』は「2.5に見えやすいが、中身まで2.5ではない」作品です。
シリーズの核を崩さず、物流と都市、インフラ設計をかなり深くした正統進化。ただし、発売直後のPC版にはパフォーマンス面の課題が残り、PS5などでは大規模になった後のコントローラー操作も弱点です。新要素の多さだけで歴代上位級へ置けるほど隙のない完成度ではありません。
※本記事は2026年10月4日時点の公式仕様、発売後の製品版レビュー、Steamユーザーレビュー、公式Known Issuesなどをもとに評価しています。発売直後のため、パッチ、Steam評価、MOD環境、長時間プレイ時のパフォーマンスは今後変化する可能性があります。
『Transport Fever 3』の基本情報
| タイトル | Transport Fever 3 |
|---|---|
| 発売日 | 2026年9月29日 |
| 開発 | Urban Games |
| 販売 | Paradox Interactive |
| 対応機種 | Windows/macOS/Linux/PlayStation 5/Xbox Series X|S |
| PCストア | Steam/Epic Games Store/GOG |
| 日本語 | インターフェース・字幕対応 |
| プレイ人数 | 1人(マルチプレイなし) |
| 主なモード | キャンペーン/Tycoon/Sandbox |
| 年代 | 1900年~2030年以降 |
| 車両 | 300種類以上 |
| MOD | 全対応機種でゲーム内Mod Hubに対応 |
2026年10月4日時点の通常版価格は、Steamが6,990円、PS5が7,920円、Xbox Series X|Sが7,000円~。ストアごとに価格設定が異なります。
Standard EditionのほかDeluxe Edition、物理商品のCollector's Editionもありますが、基本システムをDeluxeだけに切り分けたゲームではありません。Deluxeではコンコルド、ロンドンバス、トランスヨーロッパ・エクスプレスなど6種類の追加車両、ランドマーク、専用マップなどが追加されます。
また『Transport Fever 2』所有者には、同じプラットフォーム・同じアカウントなどの条件を満たす場合、発売後14日間Standard/Deluxe Editionが10%引きになるロイヤリティ割引が用意されています。
『Transport Fever 2』から何が変わった?
『Transport Fever 3』を評価するなら、追加された車両やグラフィックだけを数えても意味がありません。
重要なのは、2019年発売の『Transport Fever 2』で完成していた「都市と産業を交通網でつなぐ」という遊びに、どれだけ新しい判断が加わったかです。
| 項目 | 『Transport Fever 3』の主な変化 | 進化度 |
|---|---|---|
| 基本ループ | 路線を作り、車両を走らせ、輸送で利益を出す骨格は継承 | 前作の延長 |
| 貨物 | 生産時に目的地が固定されず、配送網をプレイヤーが組み立てる | 大幅進化 |
| 都市 | 18段階の成長と6種類の都市評価を導入 | 大幅進化 |
| 道路 | レーン分岐・合流、右左折、信号フェーズなど細かな制御 | 大幅進化 |
| 鉄道 | 路線優先度、進路予約ロジック、代替ホーム処理などを強化 | 明確に進化 |
| 路面電車 | 地下、貨物トラム、鉄道路線へ直通するTram-Trainに対応 | 大幅進化 |
| 経営 | 会社進行、都市評価、ランドマーク、各種ボーナスなどを追加 | 強化 |
| MOD | Steam Workshopではなく、全機種共通のMod Hubへ一本化 | 大きな方針変更 |
| UI | 管理機能を拡張した一方、大規模化すると操作負荷も目立つ | 功罪あり |
この表だけでも分かる通り、「見た目が前作に近い」という理由だけで2.5扱いするのは少し乱暴です。
一方で、完全に別物へ作り替えた続編でもありません。路線を作り、需要を見つけ、車両を投入し、輸送量が増えたら設備を拡張する。この気持ちよさは『2』からそのまま受け継がれています。
本当に「3」と呼べる進化なのか
答えは「基本ループは前作のまま。ただし、ループの途中で要求される判断はかなり増えた」です。
『2』では、利益の出る交通網が完成すると、その路線へ車両を増やし、需要に合わせて拡張していく流れが強くなりました。『3』でもその骨格は変わりません。
違うのは、単純に輸送量を増やせば都市も会社も順調に伸び続けるとは限らなくなったことです。
速く運べても騒音が増える。都市中心部へ大きな駅を入れれば便利になるが、土地改変や交通量の問題が出る。貨物を大量に作れても配送が遅ければ都市評価が落ちる。列車を増やしても優先順位や分岐を整理しなければ幹線が詰まる。
この「運べば正解」では終わらない関係が、『3』を単純な追加パックではなくしている最大の部分です。
交通網を作る基本の面白さは変わらない
シリーズの土台は非常にシンプルです。
街と街を鉄道やバスで結ぶ。農場や工場から貨物を運ぶ。利益が出たら車両を増やし、駅を広げ、混雑した場所を作り直す。輸送が充実すれば都市と産業が成長し、今度はその成長によって新しい問題が生まれる。
『Transport Fever』の面白さは、最初から巨大な路線網を完成させることではありません。
一本のバス路線から始まった交通網が、鉄道幹線、貨物ターミナル、都市内トラム、空港、港湾へ少しずつ広がっていく。その結果として都市の形まで変わり、自分が作ったネットワークの上を何百もの車両が動き続けるところにあります。
このジオラマ的な気持ちよさは『3』でも大きな魅力です。300種類以上の車両を収録していますが、価値があるのは数ではなく、1900年から2030年以降まで輸送網そのものを更新し続けられることです。
都市成長は「人と荷物を運べば終わり」ではなくなった

『3』で特に変わったのが都市です。
都市はSmall HamletからLarge Metropolisまで18段階で成長し、旅客輸送や必要な貨物の供給によって成長用の経験値を得ます。
ただし、その経験値だけを稼げば都市が無条件に巨大化するわけではありません。
- Reputation(評判)
- Satisfaction(旅客満足度)
- Delivery(貨物の配送状況)
- Traffic(交通・渋滞)
- Noise(騒音)
- Pollution(公害)
都市はこの6項目から評価され、数値が低ければ成長効率にも影響します。
特に面白いのが、ひとつの問題を解決すると別の問題が出やすいことです。
住民の待ち時間を減らすために駅を増やせば騒音源が増える。市街地へ高速道路を通せば交通は流しやすくなるものの、土地改変や公害を無視できない。大型の交通拠点を郊外へ置けば住宅地の騒音は抑えやすい反面、そこまで住民を運ぶ交通手段が必要になります。
都市を直接ゾーニングするゲームではないのに、交通網の作り方が都市の状態へ返ってくる。この距離感は本作の強みです。
『Cities: Skylines』と同じ都市建設ゲームではない
ここは購入前に誤解しやすいところです。
『Transport Fever 3』では、住宅地や商業地を細かくゾーニングし、税率や行政サービスを管理して都市そのものを設計するわけではありません。
主役はあくまで交通会社です。
都市を作るゲームではなく、交通と物流を改善した結果として都市が変わっていくゲーム。
鉄道会社経営と都市発展そのものをより強く楽しみたい場合は、同じ鉄道系でも『A列車で行こう9 Evolution』の忖度なしレビューで扱った方向性の方が近い部分があります。『Transport Fever 3』は、鉄道だけでなく陸海空をまたいだ「輸送網そのもの」の設計に比重を置いた作品です。
貨物システムは『3』最大級の進化
前作経験者が最も注目したいのは貨物です。
『Transport Fever 3』では、生産された貨物に最初から目的地が固定されません。
貨物は生産元へ置かれ、プレイヤーが回収し、自分の輸送網の中でどこへ流すかを決めます。つまり工場同士を正しく結んで「荷物が流れるのを待つ」という考え方から、物流全体をこちらで組み立てる方向へ一段踏み込みました。
さらに倉庫が加わり、複数路線の中継や一時保管、巨大物流ハブの構築が可能になっています。
工場や農場には標準の積載設備がありますが、大量輸送になると速度が足りなくなりやすい。専用の積載設備を用意すれば処理能力は上がるものの、建設・運用コストだけでなく騒音や公害も増えます。
貨物ごとに配送時間の考え方もあり、食料のように時間を意識したい品目と、石材のように時間への許容度が高い品目では、最適な輸送手段が変わります。
速い飛行機を使えば常に正解、遅い船は下位互換、とはなりません。輸送速度、量、コスト、環境負荷を見ながら、鉄道、トラック、船、航空を使い分ける理由があります。
なお、発売前の公式開発ブログでは貨物を37種類と紹介していますが、発売後の公式Wikiではフリーゲームに登場する貨物を36種類と整理しています。キャンペーン用の特殊貨物もあるため、本記事では単純な総数を評価材料にはしていません。
道路は「太くする」だけではなく、レーンを設計するゲームへ
道路建設も前作との差が分かりやすい部分です。
道路はレーンを柔軟に分岐・合流でき、2車線から3車線、4車線から2車線といった接続も可能。高速道路の加速・減速レーンや、固定角度に縛られないランプも作りやすくなりました。
交差点では車線ごとの進行方向を制限し、横断歩道、右左折レーン、信号フェーズまで調整できます。バスやトラム用のレーンを中央だけ、片側だけ、一般車線から完全分離といった形で置くこともできます。
都市が成長して自家用車が増えた後、「道路を一本増やせば解決」ではなく、どこで交通が詰まり、どの流れを分離するべきかを考える余地が増えました。
細かな設定は必須ではありません。普通に道路を引くこともできるため、交通工学の知識を最初から要求する設計ではなく、必要になった人だけ深く入れる作りです。
鉄道は優先順位と進路予約が効いてくる
鉄道好きにとって大きいのが、路線ごとの優先順位です。
同じ線路へ高速旅客列車、普通列車、貨物列車を走らせたとき、優先度の高い路線を先に通す設定が可能になりました。優先度の高い列車はより遠くまで進路を予約するため、高速列車が低速列車の後ろへ詰まり続ける状況を減らす手段になります。
進路予約の仕組み自体も改良されています。
『2』では単線区間などで互いに列車が入り込み、デッドロックを起こしやすい場面がありました。『3』では次の停車地点だけでなく、方向転換可能な地点や次の信号まで広く予約することで、複雑な単線運用を組みやすくしています。
駅では代替ホームも考慮でき、第一候補のホームが塞がっている場合に別ホームを利用できる仕組みがあります。
これは派手な新車両より地味ですが、何十本もの列車を同じ幹線へ流したいゲームでは、長期的な使い勝手に直結する改善です。
路面電車はかなり自由になった
路面電車も単なる都市内バスの大容量版ではなくなっています。
専用軌道や地下区間を組みやすくなったほか、貨物トラムも登場。対応車両なら道路上のトラム線から鉄道路線へそのまま入る「Tram-Train」も作れます。
市内交通と郊外鉄道を完全に別々のネットワークとして作る必要がなく、ひとつの系統で両方をつなげられるのは『3』らしい新しい遊びです。
バス・船・飛行機にも使う理由がある
鉄道が目立つゲームですが、電車だけの作品ではありません。
都市内ではバスと路面電車が鉄道駅へのフィーダーとして機能し、離島や水路の多い地形では船が活きます。長距離では航空機やヘリコプターも選択肢になります。
貨物に配送時間が入ったことで、輸送手段の違いも前作以上に意味を持ちます。
大量輸送なら鉄道や船、速達性を重視するなら航空、細かな末端配送ならトラック。どれか一種類だけが常に最適になるのではなく、複数の交通手段を一つの物流網としてつなぐところが本作の本領です。
300種類以上の車両は「数」より選び分けが重要
公式には300種類以上の車両が収録され、1900年から2030年以降まで120年以上の交通史を扱います。
列車、バス、トラック、トラム、船、航空機に加え、『3』ではヘリコプターや貨物トラムも登場します。
ただし300という数字だけなら評価理由にはなりません。
重要なのは、車両ごとに速度や容量だけでなく、積載速度、快適性、騒音、公害、ランニングコストなどを見る必要があることです。
新型だから無条件に買い替えるのではなく、都市中心部なら静かな車両、輸送量を優先する路線なら大容量車両、時間制限の厳しい貨物なら高速車両と、路線ごとに選ぶ理由があります。
メンテナンスは深い整備シムではない
車両は時間とともに状態が悪化し、メンテナンス施設の周辺を通過させることで整備できます。
ただし燃料補給や部品交換まで一本ずつ管理するゲームではありません。経路上へ整備拠点を組み込み、車両状態も含めてネットワークを維持する程度の仕組みです。
経営判断を増やす要素としては機能しますが、車両数が膨大になった後に「面白い保守」より「管理作業」へ寄る可能性は残ります。ここは長期プレイ評価でまだ見ていきたい部分です。
黒字になった後も考えることを残そうとしている
『Transport Fever 2』では、強い路線を確立して資金が潤沢になると、経営面の緊張感が薄れやすいという弱点がありました。
『3』では、この「儲かった後」を延ばすための仕組みがかなり増えています。
会社の進行に応じて本社の拡張、ランドマーク、特殊効果などが解禁され、都市側では人口が増えるほど必要な貨物や交通量も増加します。
都市の評価もあるため、会社の預金残高だけを見て「勝ち」とはなりません。
ただし、発売直後の段階で「50時間、100時間を超えても経営が緊張し続ける」とまでは断定できません。
実際、長時間プレイヤーからは経済が早い段階で安定しすぎるという意見も出ています。仕組みとして前作の弱点へ手を入れたことは評価できますが、その答えが完全に出たとはまだ言いにくいところです。
キャンペーンは8ミッション。最初はチュートリアルも兼ねる
キャンペーンは全8ミッションです。
数だけを見ると多くはありませんが、公式は『Transport Fever 2』のキャンペーンに対するフィードバックを受け、ミッションごとの内容を多様化し、進行につれて難しくなる構成へ変更したと説明しています。
序盤はチュートリアルも兼ねており、シリーズ未経験者が基本操作を覚える入口になっています。
一方、PS5の製品版レビューではチュートリアルが途中で停止したという事例も報告されています。ただし、公式Known Issuesではチュートリアル停止が広範な既知問題として掲載されているわけではありません。
一例をもって「PS5版のチュートリアルは壊れている」と扱うのは適切ではありませんが、発売直後の不具合としては頭に入れておきたいところです。
長く遊ぶなら本体はTycoonとSandbox
『Transport Fever 3』を何十時間、何百時間と遊ぶなら、中心になるのは自由度の高いモードです。
Tycoonでは都市の成長、会社経営、物流、環境負荷などを含めて交通会社を育てていきます。
Sandboxではさらに制約を外せます。費用を無効にし、都市や産業を自由に配置し、時間を前後へ動かすことも可能。都市の大きさや要求貨物まで調整できます。
「経営ゲームとして攻略したい人」と「巨大な交通模型を作りたい人」の両方を同じゲーム内で受け止められるのは、シリーズの強さです。
MODは全機種対応。ただしSteam Workshopは使わない
MOD周りは前作から大きく方針が変わりました。
『Transport Fever 3』はSteam、Epic Games Store、GOG、PS5、Xbox Series X|Sを対象に、mod.ioを使ったゲーム内Mod Hubを採用しています。
Steam Workshopには対応していません。
これはMODを縮小したからではなく、Steamだけ別のMODコミュニティにせず、PCとコンソールをできるだけ同じ場所へ集約するための判断です。PCではゲーム外から手動導入する方法も残されています。
発売直後から全機種へMODの入口を用意したこと自体は大きな強みです。
ただし「PC用MODならすべてPS5・Xboxで完全に同じように使える」とまで考えない方が安全です。公式Known Issuesでも、PCからMod Hubへアップロードしたセーブデータをコンソールでダウンロードできない状態が案内されており、クロスプラットフォーム周りにはまだ整備途中の部分があります。
将来MODが増えてゲームがさらに便利になる可能性はありますが、それは将来の話です。現在の評価では、統合Mod Hubという基盤が最初から用意されている点までを評価しています。
初心者でも遊べる?複雑だが、入口はかなり整えられた
簡単なゲームではありません。
鉄道だけでも線路、信号、駅、車両、路線、維持費があり、そこへ道路、貨物、倉庫、都市評価、公害、船、航空まで加わります。
それでも「シリーズ経験者専用」とまでは言えません。
道路や線路には連続建設モードが入り、複雑なレーン制御は必要になってから触ればよい。キャンペーン序盤がチュートリアルになり、貨物流や都市の問題もオーバーレイで確認できます。
何が悪いのか分からないまま数字だけ落ちるタイプの経営ゲームより、原因へたどり着くための情報はかなり用意されています。
初めてなら、いきなり巨大マップで全交通手段を使うより、キャンペーンか小さめのTycoonから始めた方が理解しやすいでしょう。
UIは機能強化されたが、大規模になるほど弱点が出る
今回、最も減点したいのがUIと大規模ネットワークの管理です。
Line Manager自体は前作から大きく作り直されています。
路線、駅、車両をマップ側から直接選択でき、停留所順はドラッグ&ドロップで変更可能。路線の自動命名や貨物流オーバーレイ、車両比較画面など、個々の操作は便利になりました。
問題は、それでも路線と車両が増えれば一覧そのものが長大になることです。
20路線、50路線、さらにその先へ進むゲームである以上、「小さな会社なら使いやすい」で終わるUIでは困ります。
Steamでは発売後、前作より情報へのアクセスが分かりにくくなった、管理操作のクリック数が増えたとする不満も確認できます。全体として前作より悪化したとまでは言いませんが、機能増加に対して管理画面が完全に追いついたとも評価しにくいです。
PS5・Xboxはコントローラーで大量路線を管理するのがつらい
PC版とコンソール版は操作性を分けて考えた方がいいです。
PS5製品版を評価したTheSixthAxisは、路線が20本程度まで増えた段階でも一覧をスクロールする手間が目立ち、車両更新もコントローラーでは煩雑だと指摘しています。
道路や線路を敷くところまではコントローラーでも成立していても、長時間プレイでは「建設」より「既存ネットワークを管理する時間」が増えてきます。
その段階で大量の路線、車両、駅を一覧から追う必要がある本作は、マウス操作との相性がいいゲームです。
Xbox版についてはストア上で本体のキーボードとマウス対応も明記されています。コンソールで腰を据えて巨大ネットワークを作るつもりなら、入力方法まで含めて考えたいところです。
PC版は要求スペック以上に「終盤のCPU負荷」が重要
PC版の最低要件はCore i5-8400/Ryzen 5 2600X、8GB RAM、GTX 1060/RX 480/Arc A380クラス。推奨はCore i7-13700K/Ryzen 7 7800X3D、16GB RAM、RTX 3070/RX 6800/Arc A770クラスで、90GBのSSD空き容量が必要です。
数字だけを見ると極端なハイエンド専用ゲームではありません。
ただし、このゲームで本当に怖いのは序盤の描画負荷より終盤のシミュレーション負荷です。
都市が成長し、住民と車両が増え、何十もの路線が経路探索を始めればCPU側の負荷が大きくなります。公式サポートも、ゲーム速度を2倍・4倍へ上げてもシミュレーションが比例して速くならない場合はCPU側が制限になっている可能性を案内しています。
発売直後にはスタッター、クラッシュ、VRAM使用量などの報告も出ており、Urban Gamesは安定性・レンダリング性能・VRAM使用量などの改善をSteamのpreview branchで公開テストしています。
2026年10月4日時点では、これらを「正式パッチで全部改善済み」と扱うことはできません。
少なくとも開発側がすでに対応へ動いている一方、現在販売されているゲームの評価としては、ローンチ時の技術問題を減点から外す理由もありません。
PS5では深刻なフレームレート問題が共通して報告されているわけではない
PS5については事情が少し違います。
TheSixthAxisの製品版レビューでは、検証範囲で目立つフレームレート低下やグラフィック上の問題は確認されていません。
そのため「Transport Fever 3は全機種で重い」とまとめるのは正確ではありません。
PCでは環境やマップ規模による性能問題、PS5では主にコントローラーとUI。それぞれ別の弱点として見る必要があります。
Steamで評価が割れているのはなぜ?
2026年10月4日確認時点で、Steamの英語ユーザーレビューは1,800件を超え、好評率は71%。「やや好評(Mostly Positive)」です。
71%だから7.1点、という話ではありません。
見るべきなのは、なぜ約3割が推奨していないのかです。
発売直後の不満では、PCパフォーマンス、クラッシュや不具合、UI、Steam Workshopを使わないMOD方針、そして『Transport Fever 2』との差が分かりにくいことが繰り返し挙がっています。
実際に「Transport Fever 2.5に感じる」という前作経験者のレビューも存在します。
これは完全な言いがかりとも言えません。
都市の景観、車両を走らせる基本操作、駅と路線をつなぐ流れは明らかに『2』の延長線上にあります。新しいゲームを起動した瞬間から別物だと分かる続編ではありません。
その一方、貨物の配送先、倉庫、都市評価、レーン設計、列車優先度まで触ると、前作と同じ判断だけでは済まなくなっています。
「2.5」という評価が生まれる理由は理解できる。しかし、それだけで中身まで説明できる作品ではない。
これが発売直後の評価を最も整理しやすいと思います。
昼夜はあるが、時刻表シミュレーションではない
交通ゲーム好きなら気になる点も補足しておきます。
本作には昼夜サイクルや天候変化がありますが、昼夜によって通勤需要が変化する仕組みではありません。
朝夕ラッシュに合わせて本数を変更したり、深夜に貨物列車だけを走らせたりする本格的な時刻表機能も標準では搭載されていません。
昼夜は景観や環境音を変化させる要素としての意味が中心です。
列車優先度はありますが、これはダイヤを作るゲームではなく、路線と進路を最適化するゲーム。この違いは鉄道シミュレーターとして期待する人ほど確認しておきたいところです。
『Transport Fever 2』ユーザーは買い替える価値がある?
前作を遊び込んだ人ほど、答えはプレイスタイルで分かれます。
「列車をたくさん走らせて景色を眺めたい」「前作のMOD環境ですでに理想の箱庭が完成している」という人なら、発売直後に急いで移る必要はありません。
グラフィックだけを目的に買い替えるほどの世代交代でもなく、前作で蓄積されたSteam Workshop資産がそのまま『3』へ移るわけでもありません。
逆に、前作で「もっと貨物を自分で制御したい」「道路の車線を細かく作りたい」「急行と貨物の優先順位を決めたい」「都市が大きくなった後も別の問題が欲しい」と感じていた人には、買い替える理由があります。
『3』の進化はスクリーンショットより、交通網が巨大になった後に効いてくるものが多いからです。
シリーズ初見なら『2』ではなく『3』からでいい
これからシリーズへ入る人が、安くなった『Transport Fever 2』と迷う場合はどうか。
価格差を除けば、基本的には『3』から始める方が自然です。
建設ツール、貨物管理、都市のフィードバック、チュートリアル、MOD基盤まで現行作品向けに作り直されています。
ただしPC版は発売直後の技術面がまだ落ち着いていません。安定性を何より優先するなら、今後の正式パッチ状況を見てからでも遅くありません。
『Transport Fever 3』が向いている人、注意したい人
特に向いている人
- 鉄道だけでなく、バス・トラック・船・航空まで一つの交通網として組みたい
- 工場から都市までの物流チェーンを自分で設計したい
- 渋滞や信号、車線、鉄道の合流を改善する作業が好き
- 小さな町が巨大都市へ成長する過程を眺めたい
- 一つのセーブデータを数十時間以上育てるシミュレーションが好き
- MODやSandboxで自分なりの交通世界を作りたい
購入前に注意したい人
- 細かな路線管理や数字を見ること自体が苦手
- 都市を自分で区画整理する『Cities: Skylines』型を期待している
- 厳密なダイヤ・時刻表運転を求めている
- PS5/Xboxで大量の路線をすべてコントローラーだけで管理したい
- PCで発売直後から巨大マップを極限まで育てたい
- Steam Workshopの既存環境をそのまま引き継ぎたい
総評|「2.5」に見えても、物流シムとしてはかなり深くなった

『Transport Fever 3』は、分かりやすい革命を起こした続編ではありません。
線路を引いた瞬間の感触も、駅へ列車が入ってくる景色も、都市と産業を結んで利益を出す基本の流れも『Transport Fever 2』から続いています。
だから「約7年待ったのに、最初の印象は前作とかなり似ている」と感じるのは自然です。
それでも、貨物がどこへ行くかを自分で決め、倉庫を挟み、配送時間を考え、都市の渋滞や騒音まで見ながら路線を組み直すところまで進むと、『2』とは判断の密度が違います。
道路のレーン、信号フェーズ、列車優先度、Tram-Train、都市の6評価、会社進行。個々の新機能だけなら小さく見えるものも、それぞれが交通網へ戻ってくることで「利益が出る路線を一本作れば終わり」にしにくくしています。
この部分は正統なナンバリング続編として評価できます。
惜しいのは、その複雑さを最後まで快適に扱うUIと技術面です。
大規模になれば路線・車両管理の手数が増え、コンソールではコントローラー操作が重くなる。PC版も発売直後のパフォーマンス問題を無視できません。
さらに、Company Progressionや車両メンテナンスが数十時間後も戦略として面白いのか、それとも新しい管理作業へ変わるのかは、発売5日目ではまだ断定できない部分です。
シリーズの完成形というより、前作の優れた骨格を残しながら「運ぶだけでは足りない」方向へ踏み込んだ続編。
少なくとも、中身を確認したうえで『Transport Fever 2.5』だけで片付けるのは厳しい。それだけの進化はあります。
『Transport Fever 3』忖度なしスコア
| 評価項目 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|
| 交通網設計/物流シミュレーション | 8.8 | 貨物の配送先自由化、倉庫、配送時間、陸海空の使い分けによって物流設計はシリーズでもかなり強い。単に線を結ぶだけでは終わらない。 |
| 都市・産業/経営システム | 8.3 | 18段階の都市成長と6評価によって、利益以外を見る理由が増えた。終盤まで経済的緊張感が続くかはまだ長期検証が必要。 |
| インフラ建設/自由度 | 8.9 | 道路レーン、交差点、信号、鉄道優先、地下トラムなど進化が明確。必要な人だけ高度な設定へ入れる作りもいい。 |
| 車両/歴史・輸送手段 | 8.5 | 300種類以上という物量だけでなく、快適性・騒音・公害・積載速度などで選択理由を作った。1900年からの更新も長期プレイと相性がいい。 |
| キャンペーン/サンドボックス・リプレイ性 | 8.3 | キャンペーンは8本だが、自由モード、Sandbox、マップ編集、MODまで含めた遊びの幅は非常に広い。 |
| UI/操作性・技術面 | 6.6 | 今回最大の弱点。PCのローンチ時パフォーマンス、大量路線管理、コンソールのコントローラー操作が足を引っ張る。 |
| 続編としての進化/総合完成度 | 7.8 | 表面と基本ループは『2』に近いが、物流・都市・道路・鉄道の内部は相当に変わった。「2.5」で切り捨てるには進化が大きい。 |
| 総合評価 | 7.9 / 10 | 交通・物流シミュレーションとして非常に強い一本。ただし、UIと発売直後の技術面まで含めると、現時点で8.5以上の歴代上位級へ置くには届かない。 |
『Transport Fever 3』の評価を決めるのは、新機能の数ではありません。
前作と同じ「路線を作り、運び、拡張する」という基本ループへ、都市、物流、環境、交通制御をどこまで意味のある形で重ねられたか。
その点では十分に成功しています。
あとは発売後の改善で、巨大な交通網を作った先の重さと管理負荷をどこまで減らせるか。そこが『Transport Fever 3』を長期的なシリーズ最高作へ押し上げられるかどうかの分かれ目になりそうです。